成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
華宮 霧緒…藤 | |
矢張 政志…紺 | |
星威岳 哀牙…紫 | |
天杉 優作…灰 | |
天杉 希華…桃 | |
亜内検事…茶 | |
裁判官…黄 |
地方裁判所 被告人第4控え室 | |
真: | なっ、なるほどくん! |
成: |
どうした? また、何かあったの‥‥? |
真: |
ものスゴい人気だよ、 今日の法廷も! |
成: | まあ‥‥殺人事件だからなあ。 |
真: |
ナニ言ってんの。 おとなりの法廷だよ! |
成: | ”おとなり”‥‥? |
真: |
ホラ! アイガ探偵の 裁判があるんだよ! 今日。 |
成: | ‥‥哀牙探偵の‥‥? |
真: |
怪人☆仮面マスクとして 裁判にかけられるんだって。 |
成: | も、もう? 早いな‥‥ |
真: |
あたしも見たかったなあ、 仮面マスクの裁判。 |
?: | ‥‥どうせ‥‥ |
成: | そういえば、春美ちゃんは? |
真: |
ああ。里に帰ったよ。 これ以上、修行を休めない、って。 |
?: | ‥‥どうせ、ボクなんか‥‥ |
成: |
春美ちゃん‥‥最近、 さらに熱心になったね。修行。 |
真: |
うん。 ‥‥1年前の事件から、かな。 |
天: |
ボクのコト、 ムシしないでくださーーーい! |
真: |
‥‥あ、優作さん。 おはようございます! |
天: |
どうせ、ボクなんて‥‥ サツジンを犯しても、ダレにも 注目されないんですよね‥‥ |
真: |
いやいや、そんなコトないですよ。 ‥‥って、ゆ、優作さん! |
成: |
ま、ま、まさか‥‥ きみが、はは、ハンニン‥‥! |
天: |
あやややや、ちちちちがいますッ! ボク、しがない怪人でーーーす! ‥‥‥‥いや。ヘンか。 怪人に”しがない”も”ナイス” |
成: |
(天杉 優作の主張によると‥‥ 怪人の2回目からの犯行は、 計画書にしたがっただけ‥‥ だれかが彼に犯行を指示して、 エモノを取りあげていたらしい) |
真: |
なるほどくん。怪人のコト‥‥ サツジンに関係あるの? |
成: |
たぶんね。‥‥とにかく、 今日の法廷はスピード勝負だよ。 |
真: |
え、どうして? いつもどおり、のんびり行こうよ。 |
成: |
それじゃあ‥‥ ちょっと、マズいんだよ。 |
真: | ‥‥‥‥? |
地方裁判所 第6法廷 | |
裁: |
これより、天杉 優作の 法廷を開廷します。 |
成: | 弁護側、準備完了しています。 |
ゴ: |
ジュンビ‥‥か。 オクビョウ者の逃げ口上だぜ。 |
裁: |
‥‥はい。そういうワケで、 冒頭弁論をおねがいします。 |
成: |
(裁判長‥‥すっかり 慣れちまったみたいだな) |
ゴ: |
天杉 優作は、戦場に出るには 若すぎた。‥‥それだけだぜ。 |
裁: |
‥‥‥‥‥‥ さすがに、それだけでは ゼンゼンわかりません。 |
ゴ: |
クッ‥‥! 世話のやける連中だぜ。 人生は戦場だ。だが‥‥だからこそ スジは通さなきゃいけねえ。 ‥‥そういうコトだ。 わかるだろ? |
裁: |
‥‥はい。では、事件のあらましを カクニンしておきましょう。 |
成: |
(裁判長‥‥ ヤリ手の司会者みたいだな) |
裁: |
被害者は毒島 黒兵衛。 KB警備会社の社長でした。 彼の死体が金庫の中から発見された のは、13日の朝、9時ごろ。 しかし‥‥殺害されたのは、 前日の午前1時だった。 |
ゴ: |
そして‥‥その時刻。現場で、 迷子のコネコちゃんが鳴いていた。 ソイツが‥‥ そこの被告人、ってワケだぜ。 |
裁: |
それでは、ゴドー検事。 最初の証人を呼んでください。 |
ゴ: |
‥‥オレは、裁判中のコーヒーは 17杯まで、と決めている。 だが。ホンモノはいつだって‥‥ 最初の1杯目だけ、だぜ。 |
裁: | あの。最初の証人を‥‥ |
ゴ: |
‥‥じゃあ、被告人・天杉 優作の 証言を聞くとするぜ。 |
裁: |
ひ、被告人‥‥? いかがですか、弁護人。 被告人が証人となると、 弁護側には不利になりますが‥‥ |
成: |
(ムカシ、千尋さんが ぼくを弁護してくれたとき‥‥ 彼女は、被告人である ぼくの尋問を受け入れた‥‥ このぼくを‥‥ ”信頼”してくれていたから) 弁護側に異議はありません。 被告人を証人として認めます。 |
ゴ: |
クッ‥‥! いいカクゴだ、まるほどう‥‥ |
裁: |
それでは、 天杉 優作を証言台へ! |
ゴ: | ‥‥やったんだろ? アンタが。 |
天: | はい。 |
成: | え。 |
天: |
あ。‥‥いえいえいえいえいえいえ めめ。めっそうもありません! |
裁: |
‥‥ふう。 裁判の最短キロクが 生まれるかと思いました。 |
真: |
優作さん、見た目だけですでに、 半分有罪だもんね‥‥。 |
成: |
クチを開けば、もう半分も有罪 って感じなんだよな‥‥。 |
ゴ: |
クッ‥‥! いいだろうさ。 なあ、アンタ‥‥。 聞かせてくれねえか? 社長を殺していないなら‥‥ なぜ、KB警備へ行ったんだ? |
天: |
そ、それは‥‥その。 言いにくいんだよなあ。帰りたいな |
裁: |
では、そのあたりのことを 証言してもらいましょう! |
天: |
『あの晩、夜中の1時ごろ、 KB警備の社長室をたずねました。』(証言1) 『呼び出しのお手紙‥‥その。 脅迫状をもらったものですから。』(証言2) 『1年前まで社員でしたから、 社長室の場所は知ってました。』(証言3) |
裁: |
夜中の1時‥‥というと、 まさに犯行時間のころですな。 |
ゴ: |
‥‥弱者は運命に流され、 強者はそれを飲みほす。 クッ‥‥! 今日もニガいぜ。 ‥‥オレの運命。 |
真: |
なんだかんだ言って コーヒー飲んでるよ。 |
裁: | それでは、弁護人。‥‥尋問を。 |
成: | ”呼び出しのお手紙”ですか‥‥ |
天: |
どこかに呼び出される 脅迫状は、初めてでしたね。 |
裁: |
そうでない脅迫状は、 初めてではなかったのですか? |
天: |
ええ、それはもう。 あれを盗めとか、これを奪えとか。 |
成: |
いやいや! その話は、また今度! (よけいなコト、言うなよ‥‥ ‥‥さて、どうしよう?) |
成: |
その脅迫状には、 どんなコトが‥‥? |
天: | 500万円を持ってこい、って。 |
ゴ: |
‥‥カネ、か。サツジンの 動機として、じゅうぶんだぜ。 |
天: |
あ! でも!でもでも! ちょっと待ってくださーーーい! ボク、おカネを払うつもり なんて、ありませんでしたよ! |
裁: |
ほお‥‥ そうなんですか? |
天: |
だって! ボクには、脅迫されて 困ることなんて、ありませんから! |
裁: |
ふむう‥‥それは重要な ポイントですな‥‥ 証人。今の発言を 証言に加えていただきましょう。 |
天: | はい! |
ゴ: | クッ‥‥! |
成: |
(だいじょうぶか‥‥? 優作くん‥‥) |
天: |
『社長の脅迫はコワくなかったです。 バラされて困ることもなかったし。』(証言4) |
成: |
たしか‥‥KB警備会社の 警備隊長だったんですよね? |
天: | ‥‥ええ、まあ。 |
裁: |
たた、たいちょう? ああ、あなたが? |
ゴ: |
それが‥‥今から1年前。 突然、クビになった‥‥ クビにされた恨み、か。 動機として、じゅうぶんだぜ。 |
裁: | ふむう‥‥ |
成: |
(‥‥マズいな。話題を 変えたほうがいいか‥‥?) |
成: |
優作くん。クビになった理由を 聞かせてください。 |
天: | そ、それは‥‥ |
ゴ: |
『聞かなきゃよかった』‥‥ 世の中、そんなのばっかりだぜ。 |
成: | じゃ、じゃあやっぱり‥‥ |
裁: |
‥‥被告人。 証言してください。 |
天: |
あの‥‥ボク。 おカネが必要だったんです。 |
裁: | おカネ‥‥? |
天: |
その‥‥まれかちゃんが おカネつかうの、シュミだから‥‥ |
真: |
イヤなシュミだねー、 なるほどくん。 |
天: |
給料じゃ、とても足りなくて‥‥ ボク、会社からデータを 盗んじゃったんです。 |
成: | ‥‥え。 |
天: |
KB警備って、いろんな会社の セキュリティの情報が集まるし‥‥ ボク、いちおう警備チームの 隊長だったから‥‥ |
ゴ: |
データを盗んで‥‥ 売っちまったワケだ。 |
天: |
それが、社長にバレちゃって。 ‥‥懲戒免職に。 |
成: |
ええええええええッ! (聞かなきゃよかった‥‥) |
天: |
なんとか、内密にしてもらって。 自分からやめたコトにしたんです。 |
真: |
なるほどくん、なあに? チョーカイメンショクって。 |
ゴ: |
会社に損害を与えた人間を、 バツとしてクビにするコト、だぜ。 アンタは特に、よく覚えて おいたほうがよさそうだな。 |
真: | ‥‥言われちゃったよ。 |
裁: |
証人。会社のデータを盗んだ ‥‥ジジツなのですね? |
天: |
は、はい。 ご、ごめんなさい‥‥ |
裁: |
このジジツは重要と考えます。 ‥‥証言に加えてもらいましょう! |
成: |
(これで‥‥状況はガラリと 変わってしまったな‥‥ ‥‥よくない方向に) |
天: |
『会社の機密情報を売って、クビに。 まれかちゃんにはヒミツですけど。』(証言5) |
成: |
優作くん。‥‥きのう聞いた話と、 ちょっとちがいますね。 |
天: | え、え‥‥ナニがですか? |
成: |
きみは‥‥ 何よりも恐れていたはずだ。 きみのヒミツを、ある人物に 知られてしまうことを‥‥ |
天: | はうぐ。 |
裁: | ある人物‥‥? |
成: |
‥‥天杉 希華さん。 被告人の奥さんです。 |
天: |
うあ! ‥‥ぼ、ぼくッ! あの。なんて言うか、 まれかちゃんはその。 |
ゴ: |
‥‥どうやら、ウカウカしてると シゴトを取られちまいそうだぜ。 |
成: | (ゴドー検事‥‥!) |
ゴ: |
そう。すべては‥‥ そのカミさんが原因だったのさ。 |
裁: | ‥‥どういうことですか? |
ゴ: |
カミさんの小づかいのため、 会社の機密データを盗んだ。 クビになったことをカミさんに 知られたくなくて、脅迫された。 そして、殺人事件が起こったのさ! |
裁: | ふ‥‥‥‥ふむう‥‥! |
成: |
(くそ! また、 アイツの思うツボか‥‥) |
天: |
ま、まれかちゃんのコト。 そんなふうに言うと‥‥ |
裁: |
‥‥どうやら‥‥ いろいろなコトが ハッキリしてきました。 |
真: | どう? なるほどくん。 |
成: |
‥‥開廷から20分で、ここまで 不利になるとは思わなかったよ。 |
裁: |
動機はじゅうぶんです。 奥さんのためにデータを盗み、 ヒミツを守るために、殺人を‥‥。 行きすぎた家族サービス、 とでも言いましょうか。 |
ゴ: |
‥‥動機は立証された。 次へ行くぜ。 |
成: | うううう‥‥ |
ゴ: |
あの晩、午前1時。 殺人現場で何があったか‥‥? さあ、話してみな! ‥‥聞いてやるぜ。 |