成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
華宮 霧緒…藤 | |
矢張 政志…紺 | |
星威岳 哀牙…紫 | |
天杉 優作…灰 | |
天杉 希華…桃 | |
亜内検事…茶 | |
裁判官…黄 |
哀: |
『この哀牙、被害者との接点は まったくありませぬぞ。』(証言1) 『毒島氏は、怪人を調べていて‥‥ その正体を、とりちがえたのです!』(証言2) 『脅迫状は毒島氏が書いたもので、 天杉 優作に宛てられたもの。』(証言3) 『被害者は以前、天杉 優作に ウラ切られた恨みがあったのです。』(証言4) 『ただ‥‥被告人自身も、自分を 仮面マスクだと思いこんでいた!』(証言5) 『だから、彼は毒島氏を殺害した。 ‥‥まさに、ヒゲキですな。』(証言6) |
裁: |
被害者の毒島氏が、 被告人を脅迫していた‥‥? |
ゴ: |
コイツが‥‥ヤツの部屋から 発見された脅迫状だ。 筆跡鑑定の結果、ブスジマ本人が 書いたものとカクニンされたぜ。 |
成: | (そ、そうなのか‥‥!) |
データを書きなおした。 | |
裁: |
‥‥それでは、成歩堂くん。 尋問をおねがいします。 |
成: |
‥‥この新聞記事を よく見てください。 <<エマノンの涙>>‥‥ 盗まれた宝石の写真があります。 |
裁: |
‥‥そ、それが どうかしましたか? |
成: |
モンダイは、 この宝石の”色”です。 |
ゴ: |
”色”‥‥? ‥‥ニガテな話題だぜ‥‥。 |
成: |
記事によれば、盗まれた宝石の 色は<<青>>‥‥です。 ‥‥しかし! 脅迫状には、 こう書かれている‥‥ <<先日手に入れた、赤ダイヤを 処分することだ>>‥‥ |
裁: | あ‥‥<<赤>>‥‥! |
成: |
つまり! 脅迫状に書かれた <<赤ダイヤ>>とは‥‥ 仮面マスクの盗み出した <<エマノンの涙>>ではなかった! |
ゴ: |
じゃあ、何か、まるほどおッ! この脅迫状は‥‥ベツの人間に 宛てて書かれた! ‥‥アンタ、 そう言うつもりなのかッ! |
裁: | 言うつもりなのですかッ! |
真: | 言うつもりなの! なるほどくん! |
成: |
‥‥そのとおり。 毒島社長が脅迫していたのは、 この人物だったのです! |
成: |
もちろん‥‥ あなたですよ、哀牙探偵! |
哀: |
‥‥な‥‥何か コンキョでもあるのですかな? |
成: |
あなたは‥‥仮面マスクの 事件には、すべて関わっている。 そして‥‥前回の事件では、 エモノを取り戻しました。 そして、その際、 あなたは”お礼”として‥‥ ‥‥<<宝石>>を 受け取ったそうですね。 |
ゴ: | ほ、宝石‥‥だと‥‥? |
成: |
‥‥おそらく、その指に ぶらさがっている‥‥ 赤いダイヤのリングのことだッ! |
哀: | ‥‥うう‥‥ぐッ‥‥! |
成: |
脅迫状に書かれていたのは、 その宝石のコトだった! 毒島 黒兵衛に脅迫されて いたのは、あなただったのです! |
哀: | ぎィゃあああッ! |
裁: |
せ、静粛に! 静粛に! ええと‥‥その! 静粛に‥‥ |
ゴ: |
どうやら‥‥おイタが すぎたみたいだな、弁護士さんよ。 |
成: |
(うう‥‥ミョーな ハクリョクを感じるぞ‥‥) |
ゴ: |
毒島 黒兵衛が 星威岳 哀牙を脅迫していた。 アンタ‥‥ホンキで言ってるのか? |
成: | え、ええ。そうです。 |
真: |
なるほどくん! もっとムネ張って! |
ゴ: |
じゃあ、答えてもらうぜ! ‥‥脅迫状のコトだ。 コイツには‥‥ こんなコトが書いてある。 『キサマの”正体”を 公表されたくなければ』‥‥と! |
裁: | 書いてありますな‥‥たしかに。 |
ゴ: |
毒島は、星威岳 哀牙の ”正体”を公表しようとした! 公表されては困る”正体”。 そいつはいったい、なんだ! |
成: |
(哀牙は、その脅迫を恐れて 毒島社長の口をふさいだ‥‥! そこまでして守りたかった、 哀牙の”正体”とは‥‥?) |
真: |
ここが勝負ドコロだね‥‥ なるほどくん! |
成: |
星威岳 哀牙が、殺人までして 守りたかった”正体”とは! |
成: |
星威岳 哀牙は‥‥ 脅迫者だったのです! |
哀: | ‥‥‥! |
ゴ: |
オイオイ‥‥ アンタ、こう言ってたハズだ。 被害者の毒島が脅迫していたのは、 この、星威岳 哀牙だと。 脅迫されていた哀牙が‥‥さらに ダレかを脅迫していたってのか? |
真: |
ううん‥‥。さすがにちょっと、 ヘンじゃないかなあ‥‥。 |
成: |
ヘンじゃないよ。 ‥‥それしか考えられないんだ。 毒島 黒兵衛は、星威岳 哀牙を 脅迫していました。 しかし! 天杉 優作もまた、 だれかに脅迫されていたのです! |
成: | 『最初の脅迫状が届いたのは‥‥?』 |
天: |
『ええ。<<エマノンの涙>>事件から 数日たったころでしたね。 それからです。ボクのところに、 計画書が届くようになったのは。 だれか親切なヒトが、イカした 大作戦を考えてくれるんですよ!』 |
裁: |
‥‥”イカした大作戦”‥‥ すると‥‥やはり、怪人の正体は 天杉 優作だった、と‥‥? |
成: |
それが弁護側の主張です。 ‥‥計画を立て、自分は手を汚さず エモノだけ、取り上げる。 アイガ探偵! これが、 あなたのやったことなのです! |
哀: |
‥‥シッ! ダマって! ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ クックックックックッ‥‥ どうやら、見えたようですな。 |
成: | なな、なんですか‥‥? |
哀: |
貴方は‥‥小学校のころ、 通信簿でよく、こう書かれた。 『そそっかしく、早とちりが多い』 ‥‥ちがいますかな? |
成: | どどどど、どうしてそれを‥‥ッ! |
哀: |
‥‥この哀牙が、天杉 優作を 脅迫していた、ですと‥‥? ならば、当然! 彼と仮面マスクの 関係を、我は知っていたコトに‥‥ |
成: |
それは‥‥たしかに、 そうなります。 |
哀: |
天杉 優作のもとには、2回目の 犯行から、計画書が届いた。 つまり‥‥1回目の犯行の際、 我は怪盗の正体を知った‥‥。 |
裁: |
たしかに‥‥。そうでなければ、 脅迫できませんからな。 |
ゴ: |
それなら‥‥アツくてニガい 証拠を見せてもらおうか。 1回目の事件で、哀牙がなぜ、 天杉を仮面マスクと見抜けたか? |
成: | ‥‥どうやら、見えましたよ‥‥ |
哀: | 何が‥‥ですかな? |
成: |
‥‥小学校のころ、あなたは 通信簿でよく、こう書かれた。 『悪あがきするが、効果はウスい』 ‥‥ちがいますか? |
哀: | どどどど、どうしてそれを‥‥ッ! |
成: |
‥‥さきほどの新聞記事です。 哀牙探偵と、警備員のカッコウを した、天杉 優作‥‥ 仮面マスクは、袋小路で 消えたワケではなかった。 衣装を脱いで‥‥ポリバケツに かくしただけだったのです。 |
裁: |
なんという‥‥ ヒトをバカにした話でしょう‥‥ |
成: |
これでは、名探偵どころか、 コドモすらだませません。 ‥‥哀牙さん! あなたは このとき、知ったのです! 仮面マスクは、このたよりなくも 図々しい、天杉 優作だと! |
哀: | ‥‥う‥‥うう‥‥ |
なんだよ‥‥アイツ、 怪人じゃなかったのか‥‥? | |
それどころか‥‥名探偵ですら なかったみたいだぜ! | |
ガッカリね。うすぎたない 脅迫者だった、なんて‥‥ | |
ヒキョウだぜ! 名探偵ヅラしやがってさあ‥‥ | |
哀: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ キ‥‥キサマ! 言わせておけば ‥‥調子に乗りおってェェェ! |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
哀: |
オレは‥‥わ、我は‥‥ きょ、脅迫者などではない! ほ‥‥ホコリ高き名探偵であり、 そして‥‥怪盗なのだッ! なぜ、それがわからないッ! |
成: |
あなたは‥‥ホコリ高くも怪盗でも ‥‥まして名探偵でもない。 脅迫者にして、殺人犯人。 それがあなたの正体なのです! |
哀: |
グ愚‥‥ク苦苦苦オオ悪悪悪オ‥‥ さよう! 愚にして戯なる民どもに 我が高邁なる御霊など、理解不能! 貴殿らの暴戻不遜なる罵詈雑言は、 悪逆無道にして人面獣心なる蛮行! 阿鼻叫喚悪人正機な百鬼夜行的蒙昧 夜郎自大の阿修羅道は悪人正機な 満身創痍神出鬼没美人薄命信賞必罰 夜露死苦四捨五入東西南北四字熟 さあれ! 我をさげすむがいい! 迷探偵にして不可解人たる我をッ! 殺人者! 脅迫者! 魑魅魍魎たる 我は闇を跳梁跋扈する孤高の奇人! あーっはっはっはっはっはっはっ! 笑いとばしていただきたいッ‥‥! |
裁: |
‥‥どうやら‥‥今度こそ、 コタエが出たようですな。 |
真: |
スゴいハクリョクだったね。 ‥‥アイガ探偵。 |
裁: |
係官! 星威岳 哀牙の 留置の用意を‥‥ |
ゴ: |
‥‥早すぎる木槌‥‥ カッコつかねえぜ。 |
裁: |
ど、どういうことですか! 私はすでに、判決の用意を‥‥ |
ゴ: |
‥‥ひとつだけ言っておく。 裁くのは‥‥このオレだぜ! |
裁: | ‥‥‥‥‥! |
真: |
‥‥ショーゲキ的な 宣言が飛び出したよ。 |
ゴ: |
今ひとつ‥‥ツメがアマかった ようだぜ、まるほどう。 |
成: | な‥‥なんだと‥‥! |
ゴ: |
たしかに‥‥アンタは いろんなコトを立証したさ。 ‥‥星威岳 哀牙は、 サイテーの脅迫者だったこと。 ‥‥事件当夜、高菱屋の 地下倉庫にはいなかったこと‥‥ |
成: |
そうです! だからこそ、 ブスジマ社長を‥‥ |
ゴ: |
だが‥‥。 1つだけ‥‥立証して いないコトがある。 |
裁: | それは、いったい‥‥? |
ゴ: |
倉庫にいなかったからといって‥‥ 殺人現場にいたとはかぎらねえ。 このサイテーヤロウが事件当時、 KB警備の社長室にいたコト! そいつが立証されないかぎり、 判決は下せねえハズだぜ! |
成: | な‥‥なんですってえぇぇッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! ‥‥いかがですか、弁護人! |
成: |
(‥‥こ‥‥今度こそ、 サイゴのポイントだ‥‥! 事件当時‥‥哀牙がKB警備の 社長室にいたこと‥‥) |
真: |
で、でも‥‥! そんなコト、 立証できるの? |
ゴ: |
そこまでだ。まるほどう‥‥ コタエを聞かせてもらうぜ。 |
成: |
あの晩、哀牙探偵は KB警備にいた。弁護側は‥‥ |
成: | ‥‥立証は‥‥できません。 |
裁: | やはり‥‥ムリですか。 |
成: |
‥‥しかし! さらに 哀牙探偵の証言を聞けば‥‥ |
ゴ: |
ザンネンながら‥‥ ここまでだ、まるほどう。 |
成: | ‥‥ど、どういうことですか? |
ゴ: |
これ以上の証言は、オレが ユルさねえ‥‥そういうコトだ。 |
成: | なんですって‥‥ |
ゴ: |
忘れたのか? 星威岳 哀牙は今、 裁判を中断して、ここへ来ている。 アンタは‥‥殺人罪の立証に シッパイしたのさ! この証人には‥‥そろそろ 自分の法廷に戻ってもらうぜ。 <<怪人☆仮面マスク>>としての 有罪判決を受けるために‥‥ |
成: | そ、そんな‥‥ |
哀: |
やあれ、弁護士殿! やはり、 最後は愛が勝つのですよ! 我こそは、名探偵にして怪人! 判決がそれをウラづけるでしょう! そして‥‥天杉 優作こそ、 真犯人である! 名探偵として、この我が 断言いたしましょうぞッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! この証人の審理は‥‥ここまで! |
成: |
(な‥‥なんてこった‥‥! これじゃ、優作くんは‥‥) |
真: |
あ、あきらめちゃダメだよ、 なるほどくん! ‥‥まだ、明日があるじゃない! もう一度、証拠をさがして‥‥ |
成: |
それじゃあ‥‥ もう、おそいんだよ‥‥ |
真: | ‥‥え。ど、どうして! |
ゴ: |
”一事不再審”‥‥ 裁判の基本原則を知ってるかい? |
真: | いちじふさいしん‥‥? |
裁: |
<<ある罪状で裁判にかけられて、 無罪判決を受けた場合‥‥ その被告人は、同じ罪状では 二度と起訴されることはない>> これが、裁判の大原則なのです。 そして、それは‥‥ この証人の場合にも、 モチロン当てはまります。 |
ゴ: |
星威岳 哀牙はこの後、ただちに 有罪判決を受けるハズだ。 <<怪人☆仮面マスク>>として。 それはつまり‥‥ |
裁: |
毒島 黒兵衛の殺害においては 無実である、というコトなのです。 |
真: | そ、そんな‥‥ |
裁: |
‥‥今、この場で 罪を立証できなかった以上‥‥ 星威岳 哀牙が殺人罪で裁かれる ことは‥‥二度とないでしょう。 |
成: |
う‥‥‥ うわああああああああっ! |
成: |
(これで‥‥勝利への道は 閉ざされた‥‥ たとえ、優作くんの無罪判決を 勝ち取れたとしても‥‥ ‥‥真犯人に‥‥星威岳 哀牙に 逃げられてしまったら‥‥) |
裁: |
‥‥この法廷における証人の 発言は、すべて尋問されました。 そして、これ以上の証言が ない以上‥‥ これで、この証人の尋問は 終了したと言わざるを得ません! ‥‥異議はありませんね? それでは、星威岳 哀牙に対する 尋問を、終了します! |
?: |
‥‥どうやら‥‥見えたようね。 裁判長。あなたは小学校のころ、 通信簿でよく、こう書かれた。 『耳がとほく、聞きちがひをする』 ‥‥ちがうかしら? |
裁: | ‥‥どどどど、どうしてそれをッ! |
?: |
‥‥なるほどくん。 カオをあげなさい。 私が言ったこと‥‥忘れたの? 弁護士は‥‥ピンチのときほど、 ふてぶてしく笑うものよ。 |
成: | (‥‥こ、この声‥‥まさか!) |
千: | ひさしぶりね‥‥なるほどくん。 |
成: |
‥‥ち‥‥ 千尋さんッ! (これが‥‥倉院流霊媒道の 本当のチカラ‥‥ ぼくの目の前にいるのは ”真宵ちゃん”だけど‥‥ 今はちがう。”彼女”は‥‥ ぼくの師匠、綾里 千尋さんだ) |
千: | さあ‥‥一気に行くわよ! |
成: |
で、でも‥‥! ムリだよ、千尋さん! 証言が終わった以上、 尋問なんて‥‥ |
千: |
‥‥まだよ。 証言は終わっていないわ。 |
成: | ど‥‥どういうコトですか? |
千: |
裁判長! 先ほど、 こうおっしゃいましたね。 『証人の発言は、すべて<<証言>> として尋問された』‥‥と。 |
裁: | そ、そうですが‥‥。 |
千: |
ザンネンながら、裁判長は 忘れていることがあります。 さきほど‥‥最後の尋問が 終了してから、 この証人は一度、<<発言>>を しているではないですか! |
哀: |
『やあれ、弁護士殿! やはり、 最後は愛が勝つのですよ! 我こそは、名探偵にして怪人! 判決がそれをウラづけるでしょう! そして‥‥天杉 優作こそ、 真犯人である! 名探偵として、この我が 断言いたしましょうぞッ!』 |
裁: |
し‥‥しかし‥‥ この発言に、いかなる重要性が‥‥ |
千: |
それは‥‥尋問で アキラカになるでしょう。 とにかく! 証人の発言が あった以上‥‥ 弁護側は、尋問のケンリを 主張します! よろしいですね? ‥‥検事さん。 |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
ど‥‥どうしましたか? ゴドー検事‥‥ |
ゴ: | ‥‥! あ、ああ。 |
哀: |
やあれ、弁護士殿! 一足、おそかったようですな! そのような虚言、 この哀牙には‥‥ |
ゴ: | ‥‥しかたねえ。 |
哀: | え‥‥ |
ゴ: |
たしかに、証人は <<発言>>をしちまった。 最後の尋問‥‥ やってもらおうじゃねえか。 |
哀: |
け‥‥検事殿! それはいったい‥‥ |
裁: |
それでは、星威岳 哀牙さん。 先ほどの発言に対して、弁護側の 尋問を認めたいと思います。 |
千: |
”被告人を真犯人と断定できる 理由”‥‥について。 |
裁: |
最後に、もう一度‥‥ 証言を命じます! |
哀: | あ‥‥あいや‥‥ |
千: |
‥‥いいわね、なるほどくん。 今度こそ‥‥最後のチャンスよ。 |
成: | は‥‥はい! |