第2話『盗まれた逆転』第2回法廷(その5)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
綾里 春美…黄緑
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
ゴドー検事…薄橙
華宮 霧緒…藤
矢張 政志…紺
星威岳 哀牙…紫
天杉 優作…灰
天杉 希華…桃
亜内検事…茶
裁判官…黄
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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(最後の証言)
哀: 『さよう、たしかに我はあの晩、
高菱屋にはいませんでしたな。』(証言1)
『さる重大な事件の依頼について、
どうしても行かねばならなかった。』(証言2)
『前もって、日取りがわかっていた
ので、この写真を用意したのです。』(証言3)
『真犯人が天杉 優作であることは、
美しきスイリが我にささやく真実。』(証言4)
『サイフとキーカードより、彼が
事件当時、現場にいたのは明白。』(証言5)
『また、一度だけ鳴った非常ブザー。
ここからも、スイリは可能です。』(証言6)
『あのボタンには、指紋が
残っていなかった。‥‥なぜか?』(証言7)
『被害者が鳴らせば、指紋が残った。
つまり‥‥鳴らしたのは、犯人。』(証言8)
『彼は仮面マスクの衣装を着ていた。
だから指紋が残らなかったのです。』(証言9)
『そして、脅迫状。宝石の色など、
被害者の書きまちがいでしょう。』(証言10)
『ズヴァリ! すべての証拠は、
あわれなる青年を示しているッ!』(証言11)
成: (この証言‥‥意外に
スジが通っているな‥‥)
裁: 先ほどの証人の発言は、不用意な
モノではなかったようです。
すべての点が説明され、ムジュン
している部分は、ありません。
哀: ‥‥当然、ですな。
裁: しかし‥‥なぜ、非常ブザーの
コトを、ご存じなのですかな?
哀: ‥‥警察の捜査資料など、
我が名探偵にはツツヌケなのです。
調書には、すべて目を通す。
キホンですな、弁護士殿ッ!
成:ぐ‥‥
ゴ: この上、悪あがきをするつもりか?
弁護士センセイよお‥‥。
裁: それは、この私がユルしません。
‥‥成歩堂くん。
成: は、はい。
裁: 星威岳 哀牙の裁判を、これ以上
中止させておくコトはできません。
‥‥あなたに、一度だけ。
チャンスを与えましょう。
成: ちょ、ちょっと待ってください!
‥‥一度だけ、なんて‥‥!
ゴ: クッ‥‥! どうやら、
パーティーはお開き、みたいだぜ。
千: ‥‥どう? なるほどくん。
成: 今の証言にムジュンしている
証拠品なんて、ありませんよ!
千: ‥‥そのようね。
成: そ、”そのようね”‥‥って‥‥
千: いい? なるほどくん。
ムジュンを指摘する方法は‥‥
何も、証拠品をつきつけるだけじゃ
ないでしょう?
いずれにせよ‥‥
これが最後のチャンスよ。
<<決定的なムジュン>>を
指摘できなければ‥‥
あなたの負け。
‥‥それだけのことよ。
ゴ: ‥‥17杯目。
これが、最後の1杯。
この裁判も、どうやら
終わらせるときが来たようだぜ。
成: (‥‥この証言の中に、致命的な
ムジュンを見つけだすんだ‥‥
そして‥‥証拠品をつきつける
以外の方法で、暴き出す!
‥‥<<ゆさぶる>>しかない、か。
ムジュンしている発言を‥‥!)
千: いいわね。
チャンスは‥‥たった一度よ!
裁: それでは、弁護人。
最後の尋問をおねがいします!

(「証言9」をゆさぶる)
成: 哀牙さん。今の発言ですが‥‥

(ゴドー検事「異議あり!」)
ゴ: ‥‥わかってねえな、まるほどう。
ちまちまゆさぶってる
場合じゃねえんだぜ。
成: ‥‥わかってないのは
あなたのほうですよ、ゴドー検事。
ゴ: な‥‥なんだと‥‥?
成: ‥‥哀牙さん。
ついに、認めましたね‥‥。
あの晩‥‥殺人現場、KB警備の
社長室にいたことを‥‥
哀: な‥‥なな、ナニをバカな!
成: たった今‥‥あなたは
こう発言しました。
”非常ブザーのボタンに
指紋が残っていなかったのは‥‥
天杉 優作が怪人☆仮面マスクの
衣装を着ていたからだ”‥‥と。
哀: い、いかにも!
このスイリに、マチガイなど‥‥
成: 哀牙さん。‥‥どうして、あなたが
それを知っているのですか?
哀: ‥‥し、シツレイ。
どういうコトですかな?
ゴ: ‥‥なんか、ノドが
かわいてきやがった‥‥
成: ”優作くんが犯行現場に行ったとき
怪人の衣装を着ていた”‥‥
ぼくたちが、そのジジツを知った
のは‥‥いつのことでしたか?
裁: そ、それは‥‥たしか‥‥
ゴ: つい、さっき‥‥
数時間前のことだ。
6杯目のコーヒーが、さめた視線で
オレを見つめた、あのときだぜ。

天: 『‥‥あれ。そういえばコレ、
言ってませんでしたっけ。
スミマセン。今まで、言い出す
チャンスがなくて‥‥』

成: ‥‥そう。被告人は、その情報を
だれにも話していなかった!
それを知り得たのは‥‥今日、
この法廷にいた人間だけなのです。
哀: お‥‥‥おおおおおお‥‥
成: おわかりになりましたか?
‥‥哀牙探偵。
あなたが、この情報を
知っているハズがないんです!
哀: あ‥‥‥‥
あいやいやああああァァァァッ!

(ざわめきが起こる)
成: あなたは今日、怪人☆仮面マスクと
して、裁判を受けていた!
‥‥なのに、なぜ!
この情報を知っていたのですか!
哀: う‥‥クッ! そ、それは‥‥

(ゴドー検事「異議あり!」)
ゴ: と‥‥とにかく! この探偵は
知っていたんだ!
おそらく‥‥もっと前に、
知るチャンスがあったんだろうぜ!

(成歩堂「異議あり!」)
成: その”チャンス”が問題なのです!
<<あの晩、優作くんが
仮面マスクの衣装を着ていた>>
哀牙探偵が、それを知ることが
できた可能性は‥‥
‥‥たった1つしか、
あり得ないのです!
裁: たった1つの‥‥
ゴ: 可能性‥‥だと‥‥!
成: 思い出してください。
天杉 優作の証言を‥‥もう一度!

天: 『社長室に入ったら、目の前に
アヤシイ人影がヌッと出てきて‥‥』

成: ‥‥優作くんは一瞬、
真犯人を目撃していたんです。

(ゴドー検事「異議あり!」)
ゴ: し‥‥しかし、天杉は
そいつを見てねえんだぜ!
その”真犯人”が
哀牙だったかどうかは‥‥

(成歩堂「異議あり!」)
成: その証言を‥‥
”逆転”させるんですよ。
ゴ: ぎゃ‥‥ぎゃくてん、だと‥‥?
成: ”優作くんが真犯人を目撃した”
‥‥それを逆転させれば‥‥
真犯人もまた、優作くんを
”目撃”していることになる!
ゴ: ま‥‥‥‥まさか‥‥ッ!
成: 哀牙探偵! あなたは事件当夜、
殺人現場で怪人を目撃したのです!
ブスジマ社長を殺害して
天杉 優作を殴った、そのときに!
優作くんの衣装のコトを知る
チャンスは、それ以外にない!
哀: あーっはっはっはっはっはっはっ
はっはっはっはっはっはっはっ‥‥
‥‥さあさあみなさん、
ごらんくださあい‥‥!
天才にふさわしき好敵手を求めて、
ついに自ら犯罪に手を染めた‥‥
あわれなピエロでござあい‥‥
裁: ‥‥きのうと
同じコトを言ってます。
成: でも‥‥、そのイミあいは
だいぶちがうようですけどね。
哀: あーっはっはっはっはっはっはっ
はっはっはっはっはっはっはっ‥‥

裁: ‥‥フクザツな事件でした。
天杉 優作を脅迫した哀牙探偵が、
毒島 黒兵衛に脅迫されていた。
その脅迫者を殺害した哀牙探偵は、
罪を天杉 優作に着せようとした。
そして、殺人の罪を逃れるため、
怪人として有罪になろうとした‥‥
成: ‥‥そのために
考え出されたのが‥‥
裁判の<<一事不再審>>の原則を利用
した、アリバイ作りだったのです。
?:あの‥‥
裁: とにかく。‥‥どうやら、
真相にたどりつけたようですな。
?: スミマセン‥‥
裁: ワレワレはもう少しで、無実の
青年に汚名を着せるところでした。
おぞましき”殺人犯”の汚名を‥‥
天: ‥‥ボクのコト、
ムシしないでくださーーーい!
裁: ‥‥あ。いたのですか。
成: (そりゃ、いるだろ‥‥)
天: ‥‥あの。
判決のコトなんですけど‥‥
裁: わかっています。あなたは
殺人など、やっていません。
天: ええ! わかってもらえて
うれしいです! ‥‥でも。
ええと、ボク‥‥やっぱり
怪人☆仮面マスクなんでーーーす!
裁:え‥‥
天: きのう、その件で‥‥
ムザイ、になっちゃいましたよね。
成:あ‥‥
天: あの。<<一事不再審>>って
言うんでしたっけ、こういうの。
裁: 言われてみれば‥‥
ゴ: ウッカリしてたぜ、コイツは。
成: (ウッカリ、って‥‥)
‥‥あの。どうなんですか?
千尋さん。
千: 被告人の言うとおり<<一事不再審>>
の原則は、ゼッタイよ。
無罪判決を受けた件では、
二度と起訴することはできない。
成: じゃあ‥‥ムザイ、に
なっちゃうんですか? 怪人。
千: とりあえず‥‥
そうなっちゃうんじゃないかしら。
成: (と、とりあえず‥‥)
裁: それでは! そういうことで、
被告人に判決を言いわたします!


(無罪判決)

天: いいのかなあ。トクした、って
コトで‥‥‥‥いや。
やっぱり、いくらなんでもそれは
まずいよなあ。怪人だもんな、ボク


同日 午後3時35分
地方裁判所 被告人第4控え室

千: よくやってくれたわね、
なるほどくん!
成: ありがとう、千尋さん!
ずいぶん‥‥ひさしぶりですね。
千: ‥‥そうね。最近、真宵が
呼んでくれないものだから。
成: そ、そうなんですか。
千: それは冗談だけど。
あの子‥‥今、迷ってる
みたいなの。
成: ‥‥倉院流霊媒道の
家元になること、ですか?
千: 家元をつぐことは‥‥
母との別れをイミするから。
成: 綾里 舞子さん、ですか‥‥
千: ‥‥そばにいてあげてね。
なるほどくん。
成: は‥‥はい。
千: じゃあ‥‥
また会いましょう。
成: (‥‥千尋さん‥‥)
天: あ! な。成歩堂さん!
あの‥‥ボク! その。
なんと言っていいのやら。
成: おめでとう、優作くん。
天: あああ、ありがとうございます!
‥‥‥‥いや。どうなんだろ。
ナニもかも、もう。どうでもい
真: もう! スナオに
喜べばいいじゃないですか!
成: 真宵ちゃん‥‥
真: サツジン容疑が晴れて、怪人の
無罪もオマケつきなんですよ!
天: でも‥‥そのかわり‥‥ボク。
すべてを失っちゃいましたから。
真: ‥‥え。
どういうことですか?
天: KB警備をクビになったのも、
仮面マスクになったのも‥‥
彼女のため、だったんです。
成: まれかさん‥‥ですか?
天: 彼女、犯罪者が
何よりもキライなんです。
成: (強盗のヒトジチになったコトが
ある、って言ってたっけ‥‥)
天: ”ヒキョウなマネをする犯罪者
なんて、ユルせない!”って。
わかってたのに。でも‥‥
KB警備をクビになって、
おカネがなくなっちゃったら‥‥
ボクなんか、なんの
とりえもミリョクもないし‥‥
まれかちゃん、きっと
いなくなっちゃう、って思って。
成: だから‥‥怪人に‥‥?
天: え、ええ‥‥。
でも、もう‥‥オシマイです。
割れたおちゃわんは‥‥
元には戻りませーーーん!
真: そ、そんなコトありませんよ!
ね、なるほどくん!
成:え。
天: ほ‥‥ホントですか!
ホントに戻るんですか!
真: だいじょうぶ! なるほどくんが
証明してくれますから!
成: (い、いきなりそんなコト
言われてもコマるけど‥‥)
優作くん。割れたおちゃわんも、
いつか元に戻るコトもあるよ。

(「倉院のツボ」を選択)
天: <<倉院のツボ>>‥‥まれかちゃんが
見つけてきてくれた‥‥
成: まれかさんは‥‥いつでも
信じてるんだよ、優作くんのコト。
‥‥だから、だいじょうぶ。
何もシンパイはいらないと思うよ。
希: あ! いたいた!
成: ま‥‥まれかさん。
希: やったね、ユーサクくん!
ムザイだよムザイ!
天: あ、ああああ、ありがとう!
‥‥でも、その。
まれかちゃんはもう、
ボクなんて、あの。
希: ユーサクくん! どうしてキチンと
話してくれなかったかなー。
KB警備をやめたなんて
アタシ、知らなかったんだもん。
まさか、ホントに
怪人やってたとはねー。
真: ま、まれかさん‥‥それを
知っちゃって、どうするんですか?
‥‥まさか‥‥
希: ‥‥決まってるでしょ?
そんなスリリングなこと、
見逃すハズがないじゃない!
アタシのバイク、
シャレ抜きで飛ぶからさ。
ゼーッタイ、逃げおくれる
なんて、あり得ないからね!
成: あの‥‥たしか、犯罪者は
ユルせなかったのでは‥‥?
希: んー? アタシがユルせないのは、
ヒキョウなマネをするヤツだよ。
‥‥あの探偵みたいに。
成: ‥‥なるほどね‥‥
希: ユーサクくん、正々堂々と
予告状で宣戦布告しちゃって。
アタシ、大スキなんだよねー、
そういう、スポーツマンシップ。
真: すぽーつまん‥‥
希: ‥‥やっぱり、アタシの
予感は正しかったよ。
ユーサクくんといれば、
スリリングな毎日を送れる、って。
天: ま、まれかちゃん‥‥
成: (まれかさん‥‥優作くんのこと、
ホントに好きなんだな‥‥)
希: ‥‥ねえ、リューイチくん。
成: は、はい。
希: リューイチくんに弁護を
おねがいして、本当によかったよ。
どうもありがとう!
アタシ、ずっと忘れないから。
成: いや、まあ、その。
‥‥お元気で。
希: リューイチくんもね。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
成: (うう‥‥カオが赤くなってきた)
春: なるほどくん! 真宵さま!
おめでとうございます!
‥‥って、まあ!
成: (ささ、サイアクの
タイミングだ‥‥)
春: なるほどくんッ!
真宵さまの前で!
ヒトさまの奥方と!
成: ちちちち、ちが
春: ユルしませんっ!

(連続ビンタ)

成: ぼくの意識はうすれて行き‥‥
そして、事件は終わった。
”割れたおちゃわんは、元には
戻らない”‥‥優作くんは言う。
でも、そんなコトはないハズだ。
だって‥‥そうだよ。
割れたツボだって、こうして
元に戻ったわけだからね‥‥。


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