成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
真: |
あ。このオジさん‥‥。 まだ、エサやってるの? ハトに。 |
成: | ぼくも食らわされたよ。 |
真: | ひゃあ‥‥ |
成: |
ところで‥‥ちょっと 来てくれないかな。いっしょに。 |
真: | え。あたし? |
成: |
どうしても、話を聞きたいんだよ。 あのオジさんから。 |
真: |
うん、いいよ。 じゃ、着がえてくるから‥‥ |
成: |
あ。ちょっと待って。 できれば‥‥ そのままがいいんだけど。 |
真: | ? そうなんだ。 |
成: | あの。オジさん‥‥? |
五: |
フン! キサマには‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: | ? |
五: | ふうむ‥‥ほお。なるほど‥‥ |
真: |
なな、なるほどくん‥‥ キョーレツな視線を感じるよ! |
成: |
だいじょうぶ。 うまくいってるみたいだ。 |
五: | ‥‥‥‥‥‥ぷいっ。 |
成: | え。 |
五: |
まだまだ、オコサマだの。 そこのすべり台で おゆうぎでもしとれ! |
真: | ‥‥おゆうぎ‥‥ |
成: |
(ううん‥‥ もう少しだったのに‥‥) |
五: |
ぽっぽっぽお! ハトぽっぽお ‥‥‥‥とぉ! |
成: | (まいったな‥‥) |
?: |
あの‥‥。 ちょっとよろしいかしら‥‥ |
五: |
ウルサイ! ワシは今、 ハト‥‥に‥‥エサ‥‥を‥‥ |
成: |
ち‥‥ 千尋さん‥‥! |
五: | ‥‥むほッ! |
千: |
もしよろしかったら‥‥ 私とおしゃべり、 していただけないかしら。 |
五: |
い。い。い。 ‥‥五十嵐 将兵と申す。 |
成: | (‥‥すげェ!) |
千: | 事件のコトですけど‥‥。 |
五: |
ああ、アレですかな。 客がコーシー飲んで死んだヤツ。 |
成: | (‥‥性格が変わったぞ‥‥) |
五: |
ビックリしましたなあ、 さすがのワシも! なんか、ミョーなカッコウを したワカゾウでしたわい! 女給さんが、コーシーを 運んだワケですわ、その男に! |
千: |
お客さんは‥‥ひとり、 だったのかしら? |
五: |
マチガイない! あの席には、 ソイツしかいませんでしたぞ! で、その客がコーシーを ヒトクチ飲んだら‥‥。 |
千: | 飲んだら? |
五: |
うぎゃーっとこう、 倒れちまったわけだ! |
千: | まあ‥‥コワい! |
五: |
おじょうさん、 聞きじょうずですなあ。 オジさん、いくらでも しゃべれそうだワイ。うははは。 |
成: |
(ウソをついているようすは まったく、ない‥‥ 五十嵐さんは、見ていないんだ! ”もうひとりの男”を‥‥) |
千: |
吐麗美庵のお料理は、 おクチに合いまして? |
五: |
え! そ、それはもう! ワシはその、若いコロ‥‥ 青年実業家でしてなァ! ロンドンでパチンコ屋、 やっとったんですワ! |
千: | まあ‥‥。 |
五: |
あそこの料理を食うと、その。 思い出すわけですわ、フランスを! |
千: | ステキなお話‥‥。 |
成: | (ロンドンはイギリスだろう!) |
五: |
フランスはイイですぞお! 見せてあげたいですなあ! もう、タマランですぞ! その‥‥フランスは。 |
千: | ふふふ‥‥ |
成: | (千尋さん‥‥失笑してるな) |
千: |
いつも来てくださっている そうですわね。吐麗美庵。 |
五: |
も、もちろん! まあ‥‥なんですワイ。 おじょうさんに会いに行っとる ようなもんですわ! うははは。 |
千: |
まあ、うれしい。 店長ともども、 お待ちしておりますわ。 |
五: |
あ! おじょうさん! あの板前には、気をつけなさいよ。 |
成: |
板前‥‥って、 シェフの本土坊さんですか? |
五: |
おうよ! なんと言っても、 前科があるからな! |
成: |
彼女‥‥いや、彼に ”前科”ですって‥‥! |
千: |
店長さん‥‥いったい、なにを なさったのかしら? |
五: |
イイ! そのシンケンなまなざしが もう‥‥タマランですなコリャ! |
成: | (やれやれ‥‥) |
五: |
あのオトコ‥‥客の持ちものに 手を出すクセがあったんですわ! |
成: | お客さんの‥‥? |
五: |
手袋だのハンケチだの、 セコいものが多いらしいけどな。 かっぱらい、というヤツですな! おじょうさんも気をつけないと! |
千: |
‥‥それ‥‥たしかな 情報なんですの? |
五: |
モチロンですぞ! 客にバレてタイホされるところを、 オジさん、目撃しましたからな! ‥‥コーシー飲みながら。 |
成: | (ホントに常連らしいな‥‥) |
五: |
そうだ、おじょうさん! ワシが一句、書いてあげよう! |
成: | 一句‥‥? |
五: |
あのオトコに気をつけるよう‥‥ ”警句”というヤツですかな! |
法廷記録にファイルした。 | |
五: |
いいですな! 何かとられたら、 オジさんに相談しなさい! ヤスいものなら、 オジさんが買ってあげますぞ! |
成: | (コマったおジイさんだな‥‥) |
千: |
‥‥じゃあ、なるほどくん。 私が協力できるのは、 ここまでね。 |
成: |
あ、ありがとうございます。 おかげで、重要な情報が 手に入りました! |
千: |
まったく、真宵ったら。 こんなコトで呼び出すんだから‥‥ |
レストラン 吐麗美庵 | |
真: |
そろそろ、今日の調査も オシマイかねえ。 |
成: |
もう、いいの? ウエイトレスさんは。 |
真: | うん。お客さん、来ないし。 |
本: |
ああら! マドモワゼル・マヨイ! ダメでしょ。お店すっぽかしちゃ。 |
真: | あ。す、すみません‥‥。 |
成: |
(そういえば‥‥ このヒトも、サイコ・ロックを 抱えていたんだっけ‥‥ 最後に、ソイツを 解除しておかないとな‥‥) 本土坊さん。 もう一度、お話を うかがいたいのですが‥‥ |
本: |
ヴォロンティエ! いいわよお。 |
本: |
なな、ナニよ? この、異様なフンイキは‥‥ |
成: |
‥‥なんとしても聞き出します。 あの日、何があったか‥‥? |
本: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ わわ、わかったワ! コワいから、白状しちゃう! |
成: |
‥‥え。 (い、いきなりかよ!) |
本: | 宝クジなのよッ! |
成: | たからくじ‥‥? |
本: |
あの、死んだ被害者のヒト‥‥ まちがいなく、持ってたの。 5000万円の当たりクジを! |
成: | ごご‥‥5000万円ですって! |
本: |
その当たりクジだけが‥‥ 事件が起こった直後に、 コツゼンと消えちゃったの! |
成: | (宝クジが‥‥”消えた”‥‥) |
本: |
裁判では、それが動機だって 言われてたわ! あの子が、5000万円のクジを 奪うために毒を盛った、って‥‥ |
成: |
‥‥どうして、今まで 教えてくれなかったんですか? |
本: | え! そ、それは‥‥ |
成: |
あなたは、宝クジのことを ぼくにかくそうとしていた‥‥ そこには、何か”理由”が あったはずです! |
本: |
な、何を言うのよォ! せっかく教えてあげたのにィィ! |
成: |
本土坊さん‥‥ 5000万円の宝くじ。 被害者から、それを盗んだのは‥‥ もしかして、 この人物だったのでは‥‥? |
成: |
本土坊さん。‥‥あなたには、 その可能性があるかもしれません。 |
本: | きゃあああああああッ! |
成: |
(キヌを裂くような オトコのヒメイ‥‥) |
本: |
ぷ‥‥プルコワ? なぜ! ナニを証拠に‥‥! ワタシ、仮面マスクじゃないのよ! ヒトのもの、盗むなんてコト‥‥ |
成: |
もうしわけありませんが‥‥ 証拠があるんです。 あなたは、ヒトのものを 盗んだことがある‥‥! |
本: |
あらあ‥‥俳句、かしら。 ワタシ、詩にはうるさいのよ。 |
成: |
読んでみてください。 ‥‥ゆたかな感情をこめて。 |
本: |
”板前はか‥‥っぱらいな‥‥ り常習犯”‥‥ |
成: |
本土坊さん。 あまり言いたくないですけど‥‥ お客さんのものを盗んで、 タイホされたことがある、とか‥‥ |
本: |
モン・デュッ! ゆ‥‥ユイ・マンソンジュ! ウソっぱちよ、そんなの! |
成: | え‥‥ |
本: |
言いがかりもイイカゲンに シルヴ・プレるかしら! そんな証拠はあるの? ワタシが‥‥お客さんのモノを 盗んだっていう、決定的な証拠よ! |
成: |
ザンネンですが‥‥まだ、クセは なおってないみたいですね。 |
本: | そ、それは‥‥ |
成: |
これは、ぼくの勾玉です。 ‥‥キッチンで見つけました。 |
本: | いやあああああああッ! |
成: |
(なやましげな オトコのヒメイ‥‥) |
本: |
た‥‥たしかに‥‥ ワタシ、キレイな アクセサリーや小物が大好き。 つい手が出ちゃうコトがあるの。 自分でも止められなくて‥‥。 |
成: |
客のハンカチとか、手袋なんかを シッケイしたらしいですね。 |
本: |
そ、そうなの! 気の小さい、子リスの ような女の子なのよ、ワタシは! 盗まれたのは、5000万円。 ‥‥ものすごい金額じゃない! ワタシには、必要ないモノ! 盗むはずがないでしょ! |
成: | ‥‥そうでしょうか‥‥ |
本: | クワ? なんですって‥‥? |
成: |
あなたは‥‥大きなモンダイを 抱えていた。 ‥‥大金が必要だったんじゃ ないんですか? |
成: |
‥‥このレストラン、 かなり苦しいらしいですね。 |
本: | ‥‥え! |
成: |
なんでも、借金をしているとか。 ‥‥5000万円。 宝くじが手に入れば‥‥ 借金はなくなります。 |
本: | ううう‥‥ |
成: | どうですか! 本土坊さん! |
本: |
あ‥‥ ああああれええぇぇぇぇぇぇぇっ! |
成: |
その、宝くじのコトですけど‥‥ そもそも、どうして あなたが知っていたんですか? 被害者が、5000万円の 当たりクジを持っていたって。 |
本: |
あのお客さん、ラジオ聞いてたの。 ‥‥イヤホンで。 |
成: |
(そういえば、マコちゃんも 言ってたな‥‥イヤホンのこと) |
本: |
‥‥宝クジの当選番号の ニュースを聞いていたみたい。 いきなり叫びだしたわ。 『当たった! 5000万だッ!』 |
成: | そこに、宝クジが‥‥? |
本: |
そう。テーブルの上に 広げてあったワケ。 わ‥‥ワタシ‥‥どうしても、 おカネが必要だった。だから‥‥ |
成: |
<<毒>>を入れたワケですか。 ‥‥被害者のコーヒーに‥‥。 |
本: |
ののの、のんのんのん! チガうわよッ! ワタシはただ、クジを ちょっと1枚、もらっただけ。 |
真: | え‥‥ |
本: |
コーヒーを飲んだ被害者が倒れて、 マコちゃんがキゼツして‥‥ 1枚ぐらい、いいかな、って。 いっぱいあるんだし。 |
成: | (当たりクジは1枚だけだぞ‥‥) |
真: |
でも、店長さん! ヒドいじゃないですか! そのせいで、マコちゃんは タイホされちゃったんですよッ! |
本: |
そ、それは‥‥ ちがうのよォッ! |
本: |
ワタシ‥‥盗んでないの! ご、5000万円のクジなんて! |
真: |
だって今、言ったじゃないですか! ”1枚もらった”‥‥って! |
本: | だ。だから。それは‥‥‥ |
?: | ‥‥そこまでだ。 |
真: |
あ‥‥‥ あああああああああッ! ゴドー検事ィィィィッ! |
成: |
な、ナニしてるんですか、 こんなトコロで‥‥! |
ゴ: |
クッ‥‥! こんなにすっぱいコーヒー‥‥ 初めてだぜ、マスター。 |
成: | (コーヒー飲んでたのかよ!) |
ゴ: |
本土坊は‥‥たしかにあの日、 被害者のクジを盗んじまった。 |
本: |
バカなオンナよ! 笑ってやってちょうだいな! |
真: |
でも! それなら、アヤシイのは マコちゃんだけじゃなくて‥‥ |
ゴ: | 番号をまちがえたのさ。 |
成: | ‥‥‥はい? |
ゴ: |
本土坊は‥‥となりのクジを シッケイした。当たりクジの、な。 |
真: |
そ、それって‥‥ ハズレ、ってコトですか? |
ゴ: |
いちおう、当たったらしい。 ‥‥100円。 |
本: |
‥‥バカなオンナなのよぅ! 笑ってってばあ! |
成: |
じゃ、じゃあ‥‥ ホンモノの当たりクジは‥‥ どうなったんですか? |
ゴ: |
さあ。どうなったのかねえ‥‥ オレのルールでは、映画の予告は 見ないことにしている。 お楽しみは、明日に とっておくことだ‥‥ |
真: | うううう‥‥ |
本: |
ねええ! そこの2人! 笑ってってばあ! |
成: |
(やれやれ‥‥この紙きれ、 もういらないな‥‥) |
ゴミバコに捨てた。 | |
成: |
‥‥5000万円の 当たりクジの行方、か‥‥ |
真: | なんか、イヤな予感がするね。 |
成: |
とにかく‥‥ マコちゃんに、2回もツラい 思いをさせるわけにはいかないよ。 |