成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
地方裁判所 被告人第1控え室 | |
マ: |
そッスか‥‥やっぱり‥‥ ダレも見てないんですね。 あの、2人目のオトコ。 アタシがコーヒーを運んだときは ‥‥たしかに、いたのに! |
?: | マコクンッ! |
マ: |
‥‥あッ! い‥‥、イトノコセンパイ! |
糸: |
だ‥‥大丈夫ッスか! げ‥‥元気ッスか! |
マ: |
‥‥両方とも、 ビミョーな質問ッス。 |
糸: |
カラダに気をつけて、 ちゃんと食べなきゃダメッスよ! |
マ: | リョーカイッス! |
糸: | そして、コラ! アンタ! |
成: | は、はい! |
糸: |
モギ取るッスよ! 無罪判決! シッパイしたら、かわりに 自分が、モギ取るッス! ‥‥アンタの首をッ! |
成: | (こ、この目‥‥ホンキだ!) |
真: |
ね。イトノコさん! 今日は、 あたしたちの味方なんですよね! |
糸: | え。 |
真: |
マコちゃんのコト、 助けてくれるんでしょう? |
マ: |
そ、そうなんですか! イトノコセンパイ! |
糸: |
も‥‥‥モチロンッス! センパイにまかせるッス! いッスね! 自分は今日、 最初の証人ッス! キチンと見つけるッスよ! 致命的なムジュンを! |
成: | わ、わかりました。 |
糸: |
‥‥じゃッ! 今日は 共同戦線ッス! |
マ: |
‥‥スズキ、カンゲキッス! イトノコセンパイこそ、スズキが アコガレた刑事(デカ)ッス! さっすが、たのもしいなあ。 |
真: |
なんとかなりそうだね。 今日の法廷。 |
成: | (だといいけど‥‥) |
地方裁判所 第4法廷 | |
裁: |
これより、須々木 マコの 法廷を開廷します。 |
成: | 弁護側、準備完了しております。 |
ゴ: | ‥‥‥‥苦ェ。 |
裁: | あの‥‥な、成歩堂さん? |
成: | は、はい。なんでしょう? |
裁: | うおおおッ! |
成: | ど、どうしましたか? |
裁: |
いや、この前の法廷で あなたに呼びかけたら‥‥、 ”どないやねんッ!” と、ドヤしつけられて‥‥ホントに その、コワかったものですから。 |
成: |
いやいやいや! だからそれは、 ニセモノだったんですよ。 |
裁: |
今度こそ、私たちの成歩堂くんが 帰ってきたのですね。 |
成: | (”私たちの”‥‥‥) |
裁: |
では、ゴドー検事。 冒頭弁論をおねがいします。 |
ゴ: |
まるほどう‥‥。アンタが ホンモノか、ニセモノか‥‥ 今日の法廷で ハッキリするだろうぜ。 |
成: |
い、いやいや。ぼくは ホンモノの成歩堂 龍一です! |
ゴ: |
オレが言ってるのは、 そんなコトじゃねえさ‥‥ そもそも”まるほどう”という オトコが、ホンモノなのか‥‥? オレに関心があるのは、 それだけ、だぜ。 |
成: |
(やっぱり‥‥感じるな。 あの仮面のウラから‥‥ 強い”敵意”を!) |
裁: |
ご存じのとおり、この審理は 一度、判決が下されています。 したがって、今回は、 よけいな回り道は認めません。 同じ話は聞きたくありませんので。 |
成: |
(こっちだって、 同じ話にはさせないぞ‥‥) |
裁: |
‥‥では、さっそく最初の 証人を呼んでいただきましょう。 |
ゴ: |
社交辞令として聞くぜ。 ‥‥名前と職業を。 |
糸: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: | 証人! お名前! |
糸: |
あッ! す、すまねッス! 名前は所轄署の刑事ッス。 糸鋸 圭介やってるッス。 |
ゴ: | ‥‥逆だ、刑事。 |
糸: |
あれッ! そッスか! と、とにかく自分は、きのうから この事件の担当になったッス! |
裁: | きのうから‥‥? |
糸: |
初動捜査を担当した刑事は、 ベツの件で忙しいそうッス。 |
真: | 大丈夫かな、イトノコさん。 |
裁: |
それでは‥‥証人。 事件の基本的なデータを カクニンしておきましょうか。 |
糸: |
はは‥‥は、ははは、はッ。 被害者は岡 高夫。 プロのプログラマーッス。 コンピュータソフトの開発会社 <<バグダス>>の社員ッス。 これが、被害者の解剖記録ッス。 |
裁: | ‥‥受理しましょう。 |
法廷記録にファイルした。 | |
糸: |
えー。では、 上面図を見ていただくッス。 事件が起こったとき、 被害者はこの席に座っていたッス。 毒が入っていたコーヒーは、その。 ウエイトレスさんが運んだッス。 |
裁: |
ウエイトレス‥‥当然、 被告人のコトですな。 |
糸: |
‥‥そッス。 コーヒーをヒトクチ飲んだ 被害者は、すぐに中毒死。 そのとき、他に店内にいたのは‥‥ シェフ・本土坊 薫。 そして、常連客の 五十嵐 将兵。‥‥この2人ッス。 |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ やはり、明白な事件であるように 思われますね‥‥。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
ゴ: |
じゃあ、刑事。アンタの手で、 打ちこんでやってくれ。 ‥‥被告人のカンオケに、 最後のクギを、な。 |
裁: |
それでは‥‥ 証言をおねがいします! |
糸: | ううう‥‥了解ッス。 |
糸: |
『事件が起こったとき、テーブルには 被害者しかいなかったッス。』(証言1) 『岡 高夫は、どうやら ラジオを聞いていたらしいッス。』(証言2) 『毒は‥‥コーヒーカップの中から 検出されたッス。』(証言3) 『青酸カリ。これはもう、 エラいイキオイで猛毒ッス。』(証言4) 『さらに‥‥被告人には、その。 動機っぽいものもあったッス。』(証言5) |
裁: | ふむう‥‥ |
ゴ: |
カップの中の闇に毒をかくす‥‥ シャレたおじょうさんだぜ。 |
裁: |
これはもう、 疑いの余地がありませんな。 それでは、成歩堂くん。 尋問をおねがいしますが‥‥ |
成: | はい? |
裁: |
こないだみたいに、ワレワレを ドナりつけないように。 |
成: |
‥‥だから、それは ぼくじゃありませんよ! |
成: | ちょっと、いいですか? |
糸: |
おッ! な、なんスか! ムジュンしちゃったッス? 自分。 |
成: |
(‥‥キタイに 目をうるませているぞ‥‥) 今の証言‥‥被告人の主張と ムジュンしています。 被告人は、テーブルに もう1人オトコがいた、と‥‥ |
糸: |
いやあ、そッスよねえ! ジツは、自分も‥‥ |
ゴ: |
殺人罪を逃れるためだ。 それぐらいのコトは言うだろうぜ。 |
成: | なんですって‥‥! |
ゴ: |
ザンネンながら‥‥シェフと 常連客の証言は、そうじゃねえ。 そうだな? 刑事‥‥ |
糸: |
たしかに‥‥2人の証言は 一致してるッス。 あのテーブルには、 ダレもいなかった、と‥‥ |
裁: | ふむう‥‥ |
成: |
(どうする‥‥? もっとつっこんでみるか?) |
成: |
もしかしたら、証人たちが 見落としたのかもしれません! 何かのカゲで、被害者の テーブルが見えなかったのかも‥‥ |
ゴ: |
クッ‥‥! カナしすぎるぜ‥‥まるほどう。 |
成: | ‥‥‥! |
ゴ: |
ここに‥‥ チケットがあるぜ。 |
成: |
ちけっと‥‥? (写真じゃないか‥‥) |
ゴ: |
‥‥有罪判決行きのチケット。 アンタたちへのプレゼントさ! こいつは、キッチンの入り口 付近から撮影したものだ。 |
裁: |
事件当時、シェフが 目撃した光景、というわけですな。 |
ゴ: |
‥‥これだけハッキリ 現場が見えてるってのに‥‥ どうやったら、ヒトひとり 見落とせると言うつもりだッ? |
成: | ‥‥ぐお! |
裁: |
たしかに‥‥、被害者のテーブルは イヤでも目に入りますな。 |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
毒が発見されたのは、 コーヒーカップだけですか? |
糸: | どういうことッスか? |
成: |
その”毒”‥‥液体ですか? それとも、粉末なんですか? |
糸: |
シロートにもわかりやすく 言うなれば、まあ‥‥粉末ッス。 |
成: |
それならば、サトウとかシオとか、 コショウのビンにだって、毒は‥‥ |
ゴ: |
クッ‥‥! コーヒーにシオ、コショウで 味つけするのかい‥‥アンタは。 |
糸: |
ちなみに被害者は、 ブラックで飲んでいたッス。 |
成: | ううう‥‥ |
裁: |
やはり‥‥毒はコーヒーに 入れられたようですね。 |
成: |
(どうしよう‥‥。 もっとつっこんでみるか?) |
成: |
被害者がコーヒーを飲んだ というのは、たしかなんですか? |
糸: | ど‥‥どういうイミッス? |
成: |
”コーヒーカップに 毒が入っていた”‥‥ しかし! 被害者がそれを 飲んだという証拠は、ありません! |
糸: |
あっ! ナルホド! ジツは、自分も‥‥ |
ゴ: |
‥‥ちなみに、今のは そこの刑事にぶつけた異議だぜ。 |
糸: | え! 自分ッスか! |
ゴ: |
”あっ! ナルホド!” じゃねえだろう、刑事! ナットクするヒマがあったら、 さっさとアレを提出してくれ。 |
糸: | あ‥‥アレ‥‥ッスか‥‥! |
ゴ: | そう。アレだ。 |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あ、あの。 なんでしたッスっけ。アレって。 |
ゴ: | コイツだッ! |
成: | (なんで、ぼくなんだ‥‥) |
糸: |
あ。思い出したッス! ええと‥‥。被害者が使った コーヒーカップッス。 |
ゴ: |
このカップ‥‥ フチをよく見てみな。 |
裁: |
ハッキリ残っていますね。 ‥‥コーヒーを飲んだ跡が。 |
ゴ: |
被害者は、たしかに飲んだのさ。 被告人が運んだコーヒーを‥‥ ‥‥こんなふうにッ! |
成: | ううむむ‥‥ッ! |
糸: |
ちなみに、カップに残っていたのは 被害者と被告人の指紋だけッス。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
糸: |
このカップからは‥‥ ある薬品が検出されたッス。 |
成: | ”動機っぽい”‥‥? |
糸: |
ま、まあ‥‥個人的には、 ちっぽけなコトだと思うッスが‥‥ |
ゴ: |
いいか、刑事。 ‥‥オレのルールでは‥‥ マズいコーヒーは捨てて、 すぐにおかわりをする。 |
糸: | ‥‥どういうコトッスか? |
ゴ: |
アンタのおかわりなんぞ、 いくらでもいる、ってコトさ。 |
糸: | ‥‥むぐ。 |
ゴ: |
証言するんだ。 被告人の”動機”を、な。 |
成: | (‥‥イトノコ刑事‥‥) |
糸: |
ど、動機は‥‥ 宝クジだと考えられているッス。 |
成: |
たからくじ‥‥ (きのうも聞いたハナシだな) |
糸: |
‥‥事件の現場から、 消えちまったッス。 |
ゴ: |
ただのクジじゃねえぜ。 5000万円の大当たりだ! |
真: |
本土坊さんも言ってたね。 クジのコト。 まちがえて、となりの ハズレクジを盗んだ、って‥‥ |
成: |
(ホンモノは‥‥マコちゃんが 盗んだ、というコトか‥‥? どうする‥‥? もっとつっこんでみるか?) |
成: |
ちょっと待ってください! クジが消えたからと言って、 被告人が盗んだコトにはならない! |
ゴ: |
クッ‥‥! ここに‥‥ そのクジがあるぜ。 |
裁: |
それが‥‥ ご、ごせんまんえん‥‥ |
糸: |
‥‥現場で捜査中の 婦人警官が発見したらしいッス。 マコクン‥‥被告人の 身体検査をしているときに‥‥ |
成: | な‥‥なんですってェェッ! |
裁: | 静粛に! 静粛に! |
ゴ: |
クッ‥‥! とんだラッキー・ガールだったぜ。 |
裁: |
そ、その、そのクジを て‥‥提出してくださいッ! |
成: |
(裁判長‥‥声が ウラがえってるぞ‥‥) |
法廷記録にファイルした。 | |
裁: |
前回の法廷でも 目にしましたが‥‥ お、重さがちがいますな。 ご、ごせんまんえん‥‥ |
ゴ: |
‥‥紙キレさ。 重要なのは‥‥その紙キレが、 どこから見つかったか、だぜ。 |
成: | (マコちゃんの身体、ってワケか) |
裁: |
そこまで! やはり‥‥事件の真相は ハッキリしているようです。 被告人には、犯行のチャンスが ありました。 そして、ジッサイにそれを行った 可能性も、きわめて高い。 |
ゴ: |
ものわかりのいいジイさん‥‥ キライじゃねえぜ。 |
裁: |
さらに、ご、5000万円の 宝クジがあります。 これはもう、動機として じゅうぶんです。 これだけのおカネ‥‥私ですら ちょっぴり、ココロがゆらぎます! |
ゴ: |
カネの魔力にヨワいジイさん‥‥ キライじゃねえぜ。 |
真: |
ううう‥‥ものすごい イキオイで証拠が出てきたね。 |
成: |
一度、有罪判決が 出ている裁判だからなあ‥‥ |
ゴ: |
それじゃあ‥‥そろそろ、 この再放送を打ち切るぜ。 ‥‥決定的な証拠で、な。 |
成: |
(ま、まだあるのかよ! 決定的な証拠‥‥) |
ゴ: |
コイツは、オレたちのマドンナが つけていた、エプロンだ。 |
真: |
うわあ‥‥。ずいぶんキタナイ エプロンだね‥‥。 |
成: |
あの‥‥こ、このシミは‥‥? (まさか‥‥”血”か‥‥!) |
ゴ: |
クッ‥‥! あわてんぼうの ウエイトレスさんだぜ‥‥。 どうやら‥‥、コーヒーを ひっくり返したらしいな。 |
成: |
こ、コーヒー? いやいや。そうじゃなくて‥‥ |
ゴ: |
そう。‥‥モンダイは、 コーヒーのシミなんかじゃねえ。 このエプロンについている、 もう1つのシロモノだ。 |
裁: |
もう1つの‥‥ そ、それは、当然‥‥ |
ゴ: | モチロン、ポケットさ。 |
成: | ぽ、ポケット‥‥? |
ゴ: |
事件発生後、身体検査の際‥‥ ポケットから、出てきやがった。 青酸カリだ。 殺害に使用された、猛毒さ‥‥。 |
成: |
ど、毒薬のビンが‥‥ 被告人のエプロンから? |
糸: |
‥‥被告人の指紋だけが 付着しているッス。 |
成: | なんですってえええェェッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! とにかく、証拠品を受理します! |
法廷記録にファイルした。 | |
法廷記録にファイルした。 | |
裁: |
ところで‥‥さっきから フシギだったのですが‥‥ なぜ‥‥この血痕について、 セツメイがないのですかな? |
ゴ: |
<<血痕>>だと‥‥? なんのコトだ、いったい。 |
裁: |
いやいや! まっ赤な血が、 このようにドバッとベッタリ‥‥ |
ゴ: |
ば‥‥バカな! 聞いてねえぞ、オレは! |
成: |
(”聞いてない”もナニも、 見ればわかるじゃないか!) |
ゴ: |
どうなんだい、刑事‥‥! まさか、コイツは‥‥ 血ィを吸ってると言うのかッ! |
糸: |
い‥‥いや、そのッ! それは‥‥いわゆる、あの。 ケチャップッス。 |
成: | け、けちゃっぷ‥‥? |
糸: |
この日のモーニングセットを運ぶ とき、ぶちまけたらしいッス。 |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ そういうコトは、 早く言いなさいッ! |
ゴ: |
今度やったら、ケチャップを 17杯、飲んでもらうぜ! |
糸: |
うううう‥‥いくらなんでも 気がついてると思ったッス‥‥ |
裁: |
‥‥やはり、前回の有罪判決は マチガイではなかったようです。 |
成: | ‥‥‥! |
裁: |
決定的な証拠‥‥動機、 そして、犯行のチャンス。 ‥‥すべてが立証されました。 |
ゴ: |
どうやら、まるほどう‥‥ やっぱり‥‥アンタは ニセモノだったみたいだぜ。 |
成: | (く、くそお‥‥) |
裁: |
‥‥それでは、証人。 証言をつづけていただきます。 事件の発見、そして‥‥ その後の捜査について! |