成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
糸: |
『通報は、おっかないジイさんから、 2時25分に入ったッス。』(証言1) 『カワイソウに、マコクンは ショックでキゼツしていたッス。』(証言2) 『被害者は、身分証明書などを 身につけていなかったッス。』(証言3) 『さいわい、すぐに身元がわかった ので、捜査は順調だったッスが。』(証言4) 『マコクンの身体検査で、宝クジと 毒薬の小ビンが発見されたッス。』(証言5) 『他に現場からなくなったものは、 いっさいなかったッス。』(証言6) |
裁: |
身元の特定、容疑者のカクホ‥‥ 初動捜査にも、問題ありませんな。 |
ゴ: |
ホンモノとニセモノのちがいを 見せる、最後のチャンスだな。 |
成: | ‥‥! |
ゴ: |
最後の尋問になるかもしれねえ。 楽しませてくれよ、弁護士クン‥‥ |
成: | ちょっと待ってください! |
糸: |
おッ! またバカなコト 言っちまったッスか? 自分は。 |
成: |
‥‥証人は、ついさっき、 こう証言していますよね? ”被害者は、身分証明書を 持っていなかった”‥‥と。 |
糸: | 言っちまったッス。 |
成: |
それならば‥‥どうして、すぐに 被害者の身元がわかったんですか? |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ なんだ。そんなコトッスか。 |
成: | (ロコツにガッカリされた‥‥) |
糸: |
被害者のテーブルの上には、 宝クジと‥‥薬袋があったッス。 |
ゴ: |
岡 高夫は、吐麗美庵に現れる前に ‥‥医者に行っていたらしいぜ。 |
糸: |
クスリを処方した医者のカルテから 被害者の名前がわかったッス。 |
裁: |
ふむう‥‥。 モンダイないようですな。 |
成: |
(どうしよう‥‥ もっと詳しく話を聞くか‥‥?) |
成: |
その薬袋には、なんの クスリが入っていたんですか? |
糸: |
それが‥‥‥ 薬袋の中には、 何も入っていなかったッス。 |
成: | え‥‥? |
糸: | カラッポだったッス。 |
成: | (カラッポの薬袋、か‥‥) |
法廷記録にファイルした。 | |
ゴ: |
クッ‥‥! カラッポの手がかりをもらって マンゾクしたかい‥‥? |
成: | ‥‥‥! |
ゴ: |
それで‥‥その後、 捜査はどうなったんだ? 刑事。 |
成: |
イトノコ刑事。お望みどおり ‥‥たたきつけてあげましょう。 ちょっとしたムジュンを。 |
糸: |
お! ついに来たッス! ちょっぴり、 ムネがワクワクするッスね‥‥ |
成: |
『現場から消えたモノはない』 ‥‥あなたは、そう証言しました。 しかし! 被害者の薬袋は カラッポだったそうですね! 現場から、被害者のクスリは 見つかったんですか? |
糸: |
い、いや! それはなかったッス‥‥ |
成: |
被害者は、現場に来る前に 医者からクスリをもらっている。 薬袋がカラッポのはずが ありませんッ! |
糸: |
か‥‥‥‥‥ カッコイイッスううううゥゥゥッ! |
裁: |
た‥‥たしかに! 前回の裁判では、被害者のクスリ など、審議されませんでした! 証人! あなたはなぜ、 いつもこうなのですかッ! |
糸: |
い‥‥いつも以上に ウッカリしてたッスゥゥゥッ! |
成: |
被害者は、”毒薬”によって 殺害された! そして‥‥被害者の”クスリ”が 消えてしまっている‥‥ その消えたクスリが、 毒薬だったのかもしれません! |
裁: |
せ‥‥静粛に! 静粛に! いかがですか! ゴドー検事ッ! |
ゴ: |
クッ‥‥! とだけ、言っておこうか。 |
成: | な‥‥なんですか! |
ゴ: |
薬袋に書かれている 医者の名前‥‥よく読んでみな。 |
成: |
医者の‥‥名前‥‥? <<ニューイヤー耳鼻科クリニック>> ‥‥じ、じびか‥‥? |
裁: |
あ、あの‥‥被害者は、 いったい、なんの病気で‥‥? |
ゴ: |
病気‥‥というのはちがうぜ。 ニガい戦利品、てヤツだな。 |
裁: | せんりひん‥‥? |
ゴ: |
岡 高夫は、事件の前日 だれかとケンカしたらしい。 その際、横っツラをビンタされて、 コマクが破れちまったのさ。 |
成: | ‥‥こ、コマク‥‥ |
裁: |
じゃ、じゃあ‥‥処方された ”クスリ”というのは? |
ゴ: |
耳の中にたらす、外用薬さ。 ‥‥飲み薬じゃァねえぜ! |
成: | な‥‥‥なんですってぇぇぇッ! |
ゴ: |
解剖記録の所見に、 小さく書いてあるぜ。 被害者の左耳から そのクスリが検出された、ってな。 |
裁: |
あ。たしかに‥‥これまた ちっちゃく書いてありますな‥‥。 |
ゴ: |
どうやら岡 高夫は、吐麗美庵で そのクスリを使用したらしい。 ということは、まちがって飲んだ ってのも、あり得ねえ。 |
成: | ううう‥‥ |
裁: |
どうやら‥‥このクスリは 事件とは無関係、のようですな。 |
成: | は‥‥はあ‥‥ |
真: |
なるほどくん! ここで認めちゃったら 終わっちゃうよ! 裁判! |
成: |
(たしかに‥‥! ヘタな異議はユルされない! どうする‥‥?) |
成: |
さきほど、ゴドー検事は こう発言しました! 『岡 高夫は、吐麗美庵で あのクスリを使用した』‥‥ ‥‥それならば、なぜ! クスリは消えたのか! |
ゴ: | ‥‥‥! |
裁: |
しかし‥‥そのクスリは、 耳に使う、外用薬ですぞ! |
成: |
現場から消えたという ジジツは変わりません! 少しでもギモンが残るかぎり‥‥ 弁護側は審理を求めます! |
ゴ: |
そんなクスリにイミがないコトは、 アンタもわかってるだろうぜ。 医者が出したクスリに、 青酸カリが入っているハズがねえ! |
成: |
ウエイトレスが運んだコーヒーにも 青酸カリが入っているハズはない! でも、ジッサイには入っていた! 可能性は変わりません! |
ゴ: | ‥‥ぐううぅぅ‥‥ |
裁: |
‥‥もう、けっこうです。 ゴドー検事。検察側が用意した 証人は、この刑事だけなのですか? |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: | ‥‥検事さん? |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥ |
糸: |
あ。あの。自分が今朝 つれてきた証人がいるッス。 事件当日、レストランにいた おジイさんッスけど。 |
成: |
(五十嵐 将兵、か。 ハトにエサをやっていた‥‥) |
裁: |
わかりました。 小さなクスリが消えたのは、 ササイなことです。 ‥‥しかし。 前回の裁判で、その問題は いっさい触れられなかった。 それが私には気になります。 |
真: | や‥‥やったよ! なるほどくん。 |
裁: |
ここで、いったん 10分間の休憩をとります。 検察側は、新しい証人の 準備をしておくように。 |
ゴ: |
クッ‥‥! どうやら‥‥ 残りの6杯で、決着をつけるしか ねえようだな‥‥。 |
裁: | ‥‥それでは、休憩に入ります! |
地方裁判所 被告人第1控え室 | |
真: |
い、いやあ‥‥ あぶなかったねえ。 |
成: | ‥‥ううう‥‥死ぬかと思った。 |
マ: | それはこっちのセリフッス! |
真: |
あたしのセリフだよ! ジッサイ、ちょっと死んでたかも。 |
マ: |
ヘタしたら、ここにいる3人 みんな死んでたみたいッスね‥‥ イトノコセンパイ、ヒドいッス! ウラ切り者ッス! |
真: | え‥‥ |
マ: |
アタシを助けてくれる、 って言ってたのに‥‥ 思いっきり、 クビをしめられたッス! |
成: |
あ‥‥。でも、 しかたないんじゃないかな。 イトノコさんも、ホラ。 シゴトだし‥‥ |
マ: |
スズキ、ウソとウラ切りには 慣れてるッス。 ‥‥でも! 今回のは、ハラにイッパツ、 ズンと来たッス! もー、キライッス! カオも見たくないッス! |
成: | (かわいそうなイトノコ刑事‥‥) |
真: |
次の証人‥‥って、 あのオジさんだよね。 |
成: |
ああ、イガラシさんね。 制服とマメが大好きな。 |
マ: |
‥‥きっと、手ゴワいと思うッス。 シッカリしたオジさんッスから。 |
真: |
ガンコそうだしねえ‥‥。 だいじょうぶ? なるほどくん。 |
成: |
ああ。しっかり受けとめてやるさ。 ‥‥あのマメを、この顔面で! |
地方裁判所 第4法廷 | |
裁: |
それでは、審理を再開しましょう。 ゴドー検事。 次の証人をおねがいします。 |
ゴ: |
コーヒーを飲みながら、ショーを 楽しんだ、ラッキーな老人‥‥ 入廷させてやってくれねえか。 |
ゴ: | ‥‥ナニモノだ? アンタ。 |
五: |
手前、五十嵐 将兵と申すもの。 生まれも育ちも下町でございます。 ギリと人情にゃチト、アツい。 けれどもちょっぴりナミダもろい。 |
成: |
い、いやいや。それはいいから 職業を聞かせてください。 |
五: |
シゴト‥‥ いいか、若いの。この不景気で 紋つきが売れると思うかッ! |
成: | もんつき‥‥? |
五: |
ワシは職人なのだ! 和服に、家紋を描いておる。 紋章上絵師という、下町ジョウチョ あふれる家業をいとなんでおる! |
真: |
うわあ。職人さんだよ! 下町ッ子だねえ。 いっちょ、あたしも 描いてもらおうかなあ。 |
五: |
ま。本職がサッパリなのでな。 最近はハンバーガー屋のレジで、 ムリヤリ笑顔をうかべておる始末。 |
成: | (キッチンに引っこんでろよ‥‥) |
裁: |
証人。あなたは事件当日、 現場のレストランにいましたね? |
五: |
さよう。マメ食って、 コーシー飲んでましたな。 |
裁: | まめ? |
五: | コイツですわいッ! |
裁: | はああ。 |
ゴ: |
‥‥ジイさん。アンタ、 見たんだろう? あの日。 |
五: |
よくぞ聞いてくださった! そのとおり! ワシは見た! |
ゴ: |
そいつを話してみな。 ‥‥聞いてやるぜ。 |
五: |
あらよッと! どうか、 ココロして聞いてもらいたいッ! |
成: | (元気なジイさんだな‥‥) |
五: |
『その客は、 スポーツ新聞を読んでおった。』(証言1) 『女給さんがコーシーを運んできた のだが‥‥中に、何か入れたのだ!』(証言2) 『客が、そのコーシーを飲んだ瞬間! いきなり苦しみ、そして倒れたッ!』(証言3) 『女給さんの正体こそ、被告席の 婦女子。よぉく、おぼえておる!』(証言4) |
裁: |
”女給”‥‥は、よくありません。 ウエイトレスさん、ですな。 |
五: |
かぁッ! なげかわしい! アンタみたいなジイさんまで、 西洋かぶれかッ! |
裁: | せ‥‥西洋‥‥ |
五: |
ワシに言わせれば、トイレは便所! ティッシュはあくまで、ちり紙! |
裁: | は、はあ‥‥。 |
五: |
みなみなサマがた! もっと、自分の国のコトバを タイセツにせにゃイカンですぞ! |
裁: |
‥‥では、そういうことで 尋問をおねがいします。 |
成: | は、はあ‥‥ |
成: |
”よくおぼえている” ということは‥‥ そのウエイトレスさん、何か トクチョウがあったんですね? |
五: |
まったく、こっぱずかしい カッコウをしおって! |
成: | ‥‥はい? |
五: |
ふとももに‥‥、むむ。 その、なんだ。 まるだしじゃないかッ! どうなんだコラッ! |
成: |
トクチョウ、って‥‥ 制服じゃないですか! そんなもの、ぼくにだって 着られる! |
裁: |
‥‥成歩堂くん。それはちょっと ムリがあるでしょう。 |
真: | 落ちついて行こう、なるほどくん! |
成: | (なだめられてしまった‥‥) |
五: |
かぁッ! モチロン、他にも トクチョウはあったともさ! |
成: |
(ヨユウたっぷりだな‥‥。 どうしよう?) |
成: |
あなたは、ウエイトレスを 見ているのかもしれません。 しかし! 重要なのは、それが 被告人だったかどうか、です! |
裁: |
たしかに、そうですな。 証人。あなたが言う ”ウエイトレスのトクチョウ”‥‥ 証言に加えていただけますかな。 |
五: |
あらよッと! 『髪をゆわいたリボン。それに、 前かけのヒモが、ほどけておった。』(証言5) |
成: |
たしかに、細かいところまで おぼえているようですが‥‥ カンジンの、カオは‥‥? |
五: |
かぁッ! そんなもん、 決まっとろうが! ワシは‥‥ |
ゴ: |
この証人は、エプロンの ヒモまで見てるんだ。 ‥‥カオだって、 まちがいねえだろうさ。 |
五: | ちなみに、リボンは赤でしたな! |
ゴ: |
このとおり、観察力に モンダイはねえぜ。 |
裁: | ‥‥ふむう‥‥ |
成: |
(ウエイトレスをハッキリ おぼえてるのは、まちがいない。 どうしよう。少し、 気になるコトがあるような‥‥) |
成: |
あなたのいう”トクチョウ”‥‥ 背中から見たものばかりですね。 |
五: | せ、せなか‥‥? |
成: |
もしかして、あなたは‥‥ そのウエイトレスを、 前からは見ていないのでは‥‥? |
ゴ: |
クッ‥‥! ジイさん‥‥言われてるぜ。 |
成: |
人物のトクチョウを聞かれたら、 ふつうはカオのコトを言うはず。 しかし、この証人ときたら。 背中のヒモに赤いリボンです! |
五: |
ままま待てい! ひ、ヒトを 変人みたいに言うなッ! ちゃんと見ているに 決まっとろうがッ! |
裁: |
‥‥それでは、証言に 加えていただきましょう。 あなたが見たウエイトレスの、 前から見たトクチョウを。 |
五: | あらよッと! |
真: |
なんか、増える一方だよ。 マメのオジさんの証言‥‥。 |
成: |
早くムジュンを見つけないと、 まだまだ増えるぞ、きっと。 |
五: |
『前から見て、目につくような ヘンなトコロは、なかったですな。』(証言6) |
成: |
五十嵐さん。 コイツを見てください。 |
五: |
かぁッ! キサマに似合いの、 ばばっちいエプロンだな。 メシを食ったあとの、 マゴのカオを思い出すワ。 |
成: | 見おぼえは‥‥ありますか? |
五: |
あるワケがない! そんなハデな前かけ、一度見たら 忘れるモンかッ! この、大たわけがッ! |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: | ‥‥‥‥‥‥ |
五: |
な。な。なんだ! この、”大たわけはアンタだ”と 言わんばかりの空気は‥‥ |
成: |
五十嵐さん。 このエプロンは‥‥ 事件当日、被告人がつけていた ものなんですよ。 |
五: | え‥‥ |
成: |
あなたの言うとおりなんです。 ‥‥こんなハデなエプロンを 忘れるわけがない。 もし、本当に それを見ていたのならば! |
五: | あ‥‥‥ |
成: |
つまり! あなたは、ウエイトレスの 背中しか見ていなかったのです! |
五: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ こりゃマイった。 |
裁: |
こ、コラ! 証人! 笑ってゆるされる トシじゃありませんぞ! |
ゴ: |
クッ‥‥! どうやら‥‥ この裁判も、やっと ホンモノらしくなってきたぜ。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥ |
ゴ: |
いいか、まるほどう。 ここに1つのジジツがある。 事件当時、レストランには ウエイトレスは1人だけだった。 |
裁: |
それが、被告人の須々木 マコさん ‥‥というワケですか。 |
ゴ: |
そのとおりだぜ。 その、たった1人のウエイトレスが 毒を入れた、その瞬間を‥‥ ‥‥このジイさんは、 ハッキリ見ているのさ! |
裁: |
ふむう‥‥。 いいですかな、証人。 被告人のウンメイは、 あなたの記憶にかかっています。 |
ゴ: |
ハッキリおぼえてるコトだけ、 セイカクにしゃべってくれ。 |
五: |
まかせなさい、大将! ワシのオツムは現役ですワイ。 ハンバーガー屋でも、客の注文を まちがえたコトなど、記憶がない! |
真: |
‥‥”記憶がない”時点で、 すでにモンダイがあるような‥‥ |
裁: |
では、あなたの注意力と記憶力が セイカクかどうか、試しましょう。 今度は、あなたが見た<<被害者>>に ついて、詳しく聞かせてください! |