成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
成歩堂法律事務所 | |
真: | 今日の法廷‥‥どうだったのかな。 |
成: | ”どう”って? |
真: |
なんだか、よけいに こんがらがっちゃったよ。 |
成: |
そうだなあ。あの、 メイワクなオジさんの証言‥‥ コーヒーに”白いコナ”を入れた ウエイトレスは、ダレだったのか? |
真: |
オジさん、エプロンのヒモと リボンしか見てなかったんだよね。 |
成: |
それに、コマクの破れた耳に イヤホンをしていた、被害者‥‥ |
真: |
ううん‥‥。世の中、ムジュン だらけだよねー、ホントに。 |
成: |
とにかく‥‥1つでも多くの コタエを見つけないとね。 |
真: |
マコちゃんのためだもんね! いっちょ、やるよ! |
成: |
さて‥‥、どこから手を つけたらいいかな。 |
真: |
そうだねえ。 なるほどくんはどう思う? |
成: |
とにかく、あのオジさんの証言を どうにかしたいよね。 |
真: | ふんふん。 |
成: |
それに、被害者にコーヒーを運んだ ウエイトレスと、被害者自身‥‥ やっぱり、事件のカギは 吐麗美庵にあるんじゃないかな。 |
真: |
よし! じゃあ、 それで行ってみよう! あ! あと、マコちゃんを はげましてあげないとね! |
成: |
‥‥どう? 何か 気づいたこと、あるかな。 |
真: | ああ‥‥そういえば。 |
成: | ‥‥‥? |
真: |
ケッキョク、どうなったのかな。 なるほどくんのニセモノ。 |
成: |
あ‥‥ 忘れてたな、そのコト。 |
?: |
『ボテくりこかしまわしてさらにコレ シバきたおしたろかいワレェェッ! ‥‥成歩堂 龍一ィィィ? アンタがかァ? 弁護士の成歩堂 龍一ゆうたら‥‥ この、ワイのコトやああぁぁぁッ!』 |
成: |
じつは‥‥ココロ当たりは あるんだよ。ソイツのこと。 |
真: |
あれ。知ってるの? ニセなるほどくん。 |
成: |
(そうか‥‥。真宵ちゃんは アルバイト中だったっけ) ‥‥アレでニセモノだったら、 名誉キソンで訴えてやりたいよ。 (アイツの狙いは‥‥ いったい、なんなんだ?) |
留置所 面会室 | |
成: |
取り調べ中だってさ、 マコちゃん。 |
真: |
えー! 話を聞きたかったのに。 マー コー ちゃん! |
成: |
や、やめろよ! 遊びに来た コドモじゃないんだから。 |
レストラン 吐麗美庵 | |
真: |
あいかわらず いないねー、お客さん。 |
成: | ヒルメシどきなのになあ。 |
?: |
よよ、よしッ! きたきたきたきたきたアッ! |
成: | あれ。この声‥‥ |
糸: |
そう! そこで<<8>>ッス! カモンッス! |
真: |
‥‥なんか、 ひとりでアツくなってるよ。 |
糸: |
うがああああああッ! ハズしたッスかああッ! <<8>>なら500円‥‥ ぐううう‥‥クヤシイッ! |
真: |
なに、もだえてるんですか? イトノコさん。 |
糸: |
あ! アンタたち‥‥ ま、まあその。ははははは。 ちょっとその。ははははは。 ラジオ、聞いてたッス。 |
成: | ‥‥ラジオ‥‥? |
真: |
ああっ! イトノコさん、 ランチ食べてる! |
成: |
(おお、ホントだ! ニクハチセット‥‥) |
糸: |
はああああ。 イイコトないッスねー‥‥ |
糸: |
もう、サイアクッス! 自分は‥‥マコクンに 合わせるカオがないッス! |
真: |
いい調子で追いつめてました からねー、マコちゃんのこと。 |
糸: |
どーして、今日にかぎって やっつけてくれなかったッスか! |
成: |
す、スミマセン。めずらしく スキがなかったから‥‥ |
真: |
いつもは、スキだらけで スカスカなのにね。 |
糸: | す‥‥スカスカッスか。 |
成: |
(まあ‥‥当たり前の ハナシなんだよな。 一度は判決が下ってる事件だ。 そう、スキがあるワケがない) |
糸: |
あの‥‥マコクン、ナニか 言ってたッスか? 自分のコト。 |
真: | そうですねー‥‥ |
マ: |
『イトノコセンパイ、ヒドいッス! もー、キライッス! カオも見たくないッス!』 |
真: | ‥‥とか、なんとか。 |
糸: |
う‥‥‥‥ うおおおおおおおおおおおおッ! |
真: | あ! イトノコさん! |
糸: | 自分は! 自分はああああああッ! |
真: | カベにアタマぶつけてる‥‥ |
成: | (やれやれ‥‥カワイソウに) |
成: |
イトノコ刑事。 どうですか? ニクハチセットは。 |
糸: |
こんな高いヒルメシは 生まれてはじめてッス。 食べてて、あまりのキンチョーに 手がふるえるッス。 |
真: | で? で? おアジのほうは‥‥? |
糸: |
そッスねー。 さすが2980円だけあって、 なんというか‥‥珍味ッス。 |
真: | ちんみ‥‥ |
成: |
あの。刑事さん。 マズくないんですか? それ。 |
糸: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
ど、どうしたのかな、 イトノコさん。 |
成: | なにやら、ジッと考えこんでるぞ。 |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ それッスゥッ! じつはさっきから、この料理に ふさわしいコトバを探してたッス。 今、わかったッス! ”マズい”だったッス! |
成: | はあ‥‥。 |
糸: |
2980円も払ったから、その ジジツを認められなかったッス! |
成: |
(‥‥食べ終わってから 教えてあげればよかったな) |
真: |
被害者の岡 高夫さんも、 わざわざ食べに来たのかな。 恐るべきニクハチセットの ウワサを聞きつけて。 |
成: |
(”被害者”、か。 そういえば、今さらだけど‥‥ 岡 高夫の情報、ほとんど ないんだよな‥‥) |
真: |
せっかくだし、聞いてみる? イトノコさんに。 |
真: |
そういえば‥‥ひとりで 大サワギしてましたよね。 |
糸: | え。 |
成: |
あ! そうそう。 ”ラジオを聞いてた”とか。 |
糸: |
べ、ベツにそんな! 大サワギなんて‥‥ |
真: |
ね。ね。ナニ聞いて コーフンしてたんですか? |
糸: |
いや、その‥‥ ラ、<<ラジオ体操>>ッス。 |
成: |
(な、なんだ! サイコ・ロック‥‥?) |
糸: |
ははは。オイシイッスねー、 オマールえびは! |
真: |
イトノコさん、 声がウラがえってるよ‥‥ |
成: |
さあ、イトノコ刑事。 ‥‥聞かせてもらいましょうか。 |
糸: |
ううう。あらたまって聞かれると、 よけい言いにくいッス‥‥。 |
成: |
すぐ、ラクにしてあげますよ。 あなたが、ラジオを聴きながら 絶叫していた内容を考えれば‥‥ だいたいわかりますからね。 聞いていた番組の内容は‥‥! |
成: |
もしかして、イトノコ刑事‥‥ 宝くじの当選番号の発表を 聞いていたんじゃないですか? 被害者の岡 高夫にあやかって、 デカいのを当てようとした! |
糸: |
あ‥‥ アンタは超能力者ッスゥゥッ! |
成: |
(な、なんだ‥‥? もうオシマイかよ!) |
糸: |
‥‥だから、かえって 言いだせなかったッスゥゥゥゥ! |
糸: |
けっこう当たるもんだな、 と思って、買ってみたッス。 |
成: | 宝クジ、ですか。 |
真: | で? で? どうでした? |
糸: |
50円、当たったッス。 ゼンゼン当たらないより、 かえってハラが立ったッス! |
成: | (キモチはわかるな‥‥) |
糸: |
岡 高夫と同じクジを 買ったッスがねえ‥‥。 ラジオ番組と連動していて、 なかなかスリリングだったッス。 クジの抽選のようすを、ナマ放送。 これが燃えるッス。 |
真: |
岡 高夫さんも、それを聞いて いたんですねー、きっと。 |
成: |
ところで‥‥ 今、何時ですか? |
糸: |
‥‥え。 1時半、ちょっとすぎ‥‥ッス。 |
成: |
その、宝クジのラジオ番組は、 いつもこの時間に‥‥? |
糸: |
そッス。‥‥クジ売り場で もらったチラシがあるッスよ。 |
法廷記録にファイルした。 | |
真: |
<<長者ラジオ>>‥‥かあ。 いいね、”長者”ってヒビキ。 なるほどくん! あたしもやってみたい! |
成: | 自分のおこづかいで買えよ。 |
糸: |
かなりウデのいい プログラマーだったッス。 職場じゃ<<歩くコンピュータ>> と呼ばれていたらしいッス。 |
真: |
‥‥じゃあ、そもそも プログラムを作る必要、ないね。 |
成: | (そういうコトじゃない) |
糸: |
とにかく、マコクンと 接点がないのはたしかッス。 |
成: |
‥‥きのう聞いたハナシと、 あまり変わりませんね。 |
真: |
ね。ね。もっと楽しい情報は ないんですか? |
糸: |
た、楽しい情報、ッスか? そッスねー‥‥‥‥‥‥ あ、そッス! いっそ、 彼の職場に行ってみるッスか? |
真: | 岡 高夫さんの‥‥? |
糸: |
たしか‥‥<<バグダス>>とかいう コンピュータ会社ッス。 |
真: |
なんか、ヤリ手っぽい名前ですね! おもしろそうだよ、なるほどくん! |
成: |
‥‥キカイ、 ニガテなんだよな、ぼく。 |
真: |
だいじょうぶ! ”はいてく”なら 真宵ちゃんにまかせて! |
成: | (ホントかよ‥‥) |
糸: |
このレストランの近くッスから。 行ってみるといいッス! |
成: |
(コンピュータ会社 <<バグダス>>‥‥か‥‥) |
吐麗美庵 キッチン | |
真: |
‥‥あれ。 店長さん、だれかと話してるよ。 |
?: | ‥‥来月、また来ますから‥‥ |
本: |
おま、おま、おま、 お待ちしてるわあ! |
?: |
‥‥今度いただけなかったら‥‥ つけますね‥‥火‥‥ |
本: |
い、いやだワ! ちゃんと用意するから! |
?: |
‥‥スキなんです、火を見るの‥‥ ククッ‥‥ |
本: |
ノノノ、ノンノンノン! やめてちょうだい! |
?: |
‥‥ウラ切らないでくださいね‥‥ わたし‥‥いつも、見てます‥‥ |
本: |
そ、そんな! し、し、信じてちょうだいよお。 |
?: |
‥‥しゃべったら‥‥刺しますから ‥‥包丁で‥‥ |
本: |
だだ、だいじょうぶよ。 もお、心配屋さんなんだから! そんなあなたには、これよお。 サンダルウッドの香水‥‥ |
?: |
‥‥スキなんです‥‥おさしみ‥‥ ククッ‥‥。 |
本: | きゃああああああっ! |
?: |
‥‥じゃあ、わたし‥‥ 帰りますから‥‥ |
本: |
‥‥うううう‥‥。 キモチワルい! シオでも まいておこうかしらね! そおれ。オーエス、オーエス! |
成: | うぎゃわっ! |
本: |
あ、あらあらあら! ゴメンナサイ。 |
成: | めめ、目が! 目があああっ! |
本: |
そんなときは、これ。 サンダルウッドの香水よお。 |
成: |
さっきの あまりものじゃないですか! |
成: |
それにしても‥‥お客さんが 来ませんね。このレストラン。 |
本: |
オー。そおねえ。 ちょうどいいんじゃないかしら。 お客サマには、ゆったりと 食事してほしいから。 |
成: | ‥‥強がり、言ってるぞ。 |
真: | ううん、女ゴコロだねえ。 |
本: |
‥‥でも。おかげでお店は 苦しくなるばかり。 やっぱり、吐麗美庵の”吐”の イメージがワルかったのかしら。 ”吐息がもれるほどオイシイ”って いう意味だったのに‥‥。 |
成: | ‥‥グチ、こぼしだしたぞ。 |
真: | ううん、めめしいねえ。 |
成: |
‥‥真宵ちゃん。本土坊さんが オトコだって、忘れかけてない? |
本: |
‥‥でも。このお店は ワタシのすべてだから。 なんとしても! 守りぬいて 見せちゃうんだから! |
成: |
‥‥あの。ダレなんですか? さっき帰っていった、女の人は。 |
本: | オー・ラ・ラ‥‥見てたのかしら? |
成: | え、ええ。すみません。 |
真: |
なんかこう、 しとやかなヒトでしたよねー。 |
本: | え! シ、シトヤカ‥‥? |
真: | おさしみと火事が大好き、とか。 |
?: | 『‥‥来月、また来ますから‥‥』 |
本: |
『おま、おま、おま、 お待ちしてるわあ!』 |
?: |
『‥‥今度いただけなかったら‥‥ つけますね‥‥火‥‥』 |
本: |
『い、いやだワ! ちゃんと用意するから!』 |
成: |
(‥‥このへんの会話を 考えれば‥‥ 何のハナシをしていたのか、 なんとなく、わかる気がするな) |
真: |
じゃあ。じゃあ。その証拠品、 見せてみようよ! |
本: |
それがあるかぎり、ワタシ、 ツバサの折れたエンジェルなのね。 |
真: | えんじぇる‥‥ |
本: |
毎月まいつき、ギュウギュウに シボりあげられた上‥‥、 ‥‥ついには、あんなコトまで 手伝わされちゃって‥‥ |
真: | ”あんなコト”‥‥? |
本: |
あ! 借金がなければ、 モチロン断ったわよ! でも‥‥しかたないじゃないの! |
成: |
いったい、ナニを 手伝わされたんですか? |
本: |
そ‥‥それだけは言えないわ! 言っちゃったら、あのオンナに おさしみにされて‥‥ ワサビじょうゆで食べられちゃう! |
成: |
(”おさしみにされちゃう” ‥‥か) どうやら‥‥さっきの女の人、 借用書と関係があるようですね。 |
本: | う‥‥! |
真: |
あの女の人のコト‥‥ 聞かせてくださいっ! |
成: |
さっき帰っていった女の人は、 やっぱり‥‥? |
本: |
‥‥はああ。まったく、どうして こんなコトになったのかしら‥‥ 気がついたら、借金まみれ。 社会がワルいと思うんだけど。 |
成: |
(‥‥料理のウデが ワルいんじゃないかな‥‥) |
本: |
あの気味のワルいオンナはね。 お察しのとおり、ローン会社の子。 |
成: |
ローン会社‥‥5000万円を 借りているところですか? |
本: |
え、ええ‥‥。 <<カリヨーゼ>>っていうんだけど。 |
真: |
なんか、カルいキモチで 借りちゃいたくなる名前ですね。 |
本: |
あそこで借りるなら、 1000円までにしときなさい! |
成: |
(そんなの、真宵ちゃんの おこづかいじゃないか‥‥) |
真: |
いくらなんでも もう少しあるよ! |
成: |
本土坊さんが5000万円の 借金をしている会社、か‥‥。 |
真: | 事件に関係あるのかな? |
本: |
ワタシ‥‥ナミダでキレイになる タイプのオンナなのね。 アイツのおかげで、借金は 5000万円にふくれあがって、 もう、ナニを言われても 逆らえないわ‥‥アイツに。 |
真: |
あの。”アイツ”‥‥って、 どなたですか? |
本: | <<ナニワのゼニトラ>>‥‥。 |
真: | なにわ‥‥ |
本: |
<<カリヨーゼ>>の社長サン。 そりゃもう、コワいのよお。 大阪弁でドナりつけられると、 3日ぐらい耳鳴りがやまなくて。 オンボロのスクーターの音が聞こえ ただけで、ワタシ、泣いちゃうの。 |
成: |
(”大阪弁”に”オンボロの スクーター”‥‥?) ‥‥もしかして、その男‥‥ ぼくに似てますか? |
本: |
オオ‥‥ノンノンゼンゼン。 もお、ハクリョクがちがうわ。 ‥‥あ。でも、そうねえ‥‥ そのトガったアタマは‥‥ ちょっと、似てるかも。 |
成: |
(どうやら‥‥ 行ってみたほうがよさそうだな。 そのローン会社‥‥) |
本: |
<<カリヨーゼ>>なら、 ビタミン広場の先にあるわあ。 |
真: |
‥‥なるほどくん。 おカネなら、あたしが貸すよ? 300円までなら。 |
成: | (ビタミン広場の先、か‥‥) |