成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
糸: |
‥‥じゃあ、アンタたち。 自分はそろそろ、署に戻るッス。 捜査会議があるッスから。 |
真: | お。マコちゃんの事件ですか? |
糸: |
アレは、いちおう決着が ついたことになってるッス‥‥ なんか今、大事件が 起きてるッスから、そっちッス。 |
真: |
わかりました。 じゃ、さよなら。イトノコさん。 |
糸: | じゃッ! |
成: | ‥‥‥‥ |
糸: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ は、早く帰ってくださいよ! |
糸: |
‥‥じ、ジツは‥‥ この糸鋸 圭介! 一生のおねがいがあるッス。 |
成: | お、おねがい‥‥? |
糸: |
あ、あの‥‥ ま。マコクンに‥‥ マコクンに‥‥、これを 差し入れしてほしいッス。 |
真: | こ、これは‥‥? |
糸: |
ベントウ‥‥ッス。 早起きして作ったッス。 マコクン‥‥少し、 ヤセたみたいだったッスから。 |
真: |
イトノコさん‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ イヤになるほどギッシリ つまってますね。ウインナー。 |
糸: |
自分には、イチバンの ゴチソウッスから。 おねがいッス! いっしょうけんめい、作ったッス! |
成: |
(これは‥‥ 断れないよな、さすがに) |
真宵ちゃんに持たせた。 | |
真: | 食べちゃうかもよ、あたし。 |
糸: |
じゃ、その‥‥ くれぐれもヨロシクッス! |
成: | (やっと帰っていった‥‥) |
ビタミン広場 | |
真: |
‥‥あれ。 オジさん、いないよ。 |
成: |
マメを買いに行ってるのかも しれないね。 なんにしても、あまり 会いたくないな、今は。 (もう、今日はじゅうぶん 食らわされたからな。マメなら) |
カリヨーゼ | |
真: |
‥‥なんか、フツウじゃない 空気がただよってるね。 |
成: |
どうも、<<ナニワのゼニトラ>>は いないみたいだな。 (‥‥ちょっと、 ホッとしてしまった) |
?: | ‥‥いらっしゃいませ‥‥ |
成: |
うっ‥‥ (‥‥この、聞いてるだけで 死にたくなる、暗ぁい声は‥‥) |
?: | ‥‥ご融資の相談、ですよね‥‥ |
成: | え。いや、その‥‥。 |
?: |
店長は、外出してますから‥‥ おとなしく、お待ちください‥‥ |
真: | 行っちゃった。 |
成: |
しかたないな。 また、あとで来るか。 |
真: |
ね。ね。なるほどくん。 今がチャンスだよ。 なんか、アヤしげなトコだし。 ちょっと調べてみようよ。 |
成: | だ、だいじょうぶかな‥‥。 |
真: | ヘーキだって。バレやしない‥‥ |
?: | ‥‥お茶‥‥ |
真: | ひゃひゃああああっ! |
?: | ここに、置いておきますから‥‥ |
成: |
はは、ハイッ! ど、ど、どうも。 |
?: |
‥‥机には さわらないでくださいね‥‥ |
真: |
なな、なるほどくん! かかか、帰ろう! |
成: | (やれやれ‥‥) |
成: |
まぶしい金のデスクに CDプレイヤーが置いてある。 |
真: |
フタがあいてるよ。‥‥どんな 音楽を聞いてるのかな、ゼニトラ。 |
?: | ‥‥飲みましたか‥‥お茶‥‥ |
真: | ひゃひゃあああああっ! |
成: |
え、ええ、飲みました。 ご、ごちそうさま。 |
?: |
‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥そうですか‥‥ 飲んじゃったんですか‥‥ククッ。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥。 |
真: | ‥‥‥‥‥‥ぐ。 |
?: |
‥‥これ以上、何かさわったら‥‥ もう1ぱい、飲んでもらいます‥‥ |
成: |
(な‥‥ナニが入ってたんだ! さっきのお茶!) |
真: |
なな、なるほどくん。 おなかがイタい! イタいよお! ‥‥‥‥‥‥‥‥ 気のせいかな。 |
成: |
だ、だといいけど‥‥。 (とにかく、今のうちに CDを見ておくか‥‥) ああああああ‥‥ッ! |
真: |
な、なに? やっぱり、ナニワ節‥‥? |
成: |
このCD‥‥どうやら、 サンプルらしいよ。 サインペンでバンドの 名前が書いてある。 <<クリーニング・ボンバー>> ‥‥って。 |
真: | ええええええッ! |
成: |
(これが‥‥マコちゃんの 言っていたCDか‥‥!) |
真: |
き、聞いてみようよ! きっと、 ”ろっけん・ろーる”だよ! |
成: | ダメだよ! お茶を飲まされる。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
真: |
ダルマさんって、エラいよねー。 何度コロがしても、 ムクッて起きあがるんだもん。 |
成: |
こんなデカいダルマでも、 やっぱり起きるのかな。 |
真: |
ほおほお。それはキョーミ深い モンダイだねー。 ほら。ほら。なるほどくん。 転がす転がす。 |
成: | む、ムチャ言うなよ。 |
真: |
こっちには、ショウギの コマがあるね。<<金将>>だって。 ま。あたしは五目ならべしか 知らないけどね。 |
成: |
(それはショウギですら ないぞ‥‥) |
真: |
‥‥あれ。 ‥‥なんか、ショウギのコマの 下から、紙キレがのぞいてるね。 |
成: |
なんだ、コレ。 ‥‥<<修理代請求書>>か‥‥。 (自動車の修理をしたらしいな) バンパーとライトの交換、 150万円。‥‥高ェ! |
真: |
クルマの持ち主は‥‥ <<シカバネ組>>だって。 |
成: |
なんだ。ゼニトラじゃ ないのか。 (他人のクルマの修理代請求書が、 どうしてこんなところに‥‥?) |
法廷記録にファイルした。 | |
真: |
お。パリっぽいコートがあるよ。 オシャレさんだねー。 |
成: |
(ボクサーのガウンに見えるけど ‥‥気のせいだよな、モチロン) |
真: |
‥‥あれ。 このスーツ、なるほどくんが 着てるのと同じ色だね。 |
成: | 同じ色の‥‥スーツ‥‥? |
真: | うわああああああっ! |
成: | お‥‥大きな声、出すなよ! |
真: |
ななな、なるほどくん! これ‥‥、ちょっと見てよ |
?: | おせんべい‥‥ |
真: | きゃわわああああっ! |
?: | 置いておきますから、ここ‥‥ |
真: |
あああ、あのあのあの! あの、あたし‥‥! |
?: |
おとなしく待っててくださいね‥‥ でないと、わたし‥‥ |
真: |
は、は、はい! なるほどくん! ダメだよ おとなしくしてなきゃ! |
成: | え! は、はあ。 |
?: | ‥‥わたし‥‥見てますから‥‥。 |
真: | うううう‥‥コワいよお。 |
成: |
‥‥‥で? さっき、 何か見つけなかった? |
真: | あのね。‥‥スーツのエリに‥‥ |
成: |
あ‥‥ッ! こ、これは‥‥ 弁護士バッジ‥‥? |
真: |
ゼニトラって、 弁護士なのかな‥‥? |
成: |
い、いやいや! このバッジ、 ボール紙でできてるじゃないか! |
法廷記録にファイルした。 | |
真: |
なんか、なるほどくんのバッジが 急に安っぽく見えてきたよ。 |
成: |
(ダレか気づけよ! こんなヒドいニセモノ‥‥) |
真: |
うわー、ハイザラが ひっくり返ってるよ。 これって、おそうじが タイヘンなんだよねー。 |
成: |
たしかに‥‥ ジュータンの上だもんな。 |
真: |
あたしもムカシ、火バチを ひっくり返してさ。 泣きながらハイを 集めたっけ。 |
成: |
(火バチなんて、どうやったら ひっくり返せるんだ‥‥?) |
真: | ‥‥おっ!マッチが落ちてたよ。 |
成: |
へえ。今どき、紙マッチなんて めずらしいな‥‥‥‥‥‥? |
真: | どうしたの? |
成: |
この紙マッチ‥‥ <<吐麗美庵>>って書いてある! |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
(このマッチ‥‥ 使えるかもしれないな‥‥) |
真: |
そうだね。‥‥事務所のコンロ、 なんか調子ワルいし。 |
成: |
‥‥そういうコトじゃ ないんだ。 |
?: |
コォラァアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア ッ! |
真: | きゃわわわああああああッ! |
成: |
(真宵ちゃん、デスクの下に かくれちまったぞ‥‥!) |
虎: |
ヒトの事務所、ナニ勝手に いじくりまわしとるんやワレェッ! |
成: | い、いえベツに、ぼくは |
虎: |
うおわあああああああああああッ! ワイのお宝ジュータンがコレ、 ハイまみれになっとるやんけェッ! キサマやなッ! |
成: |
ちち、ちがいますよ! ぼくたちが来たときには、すで |
虎: |
‥‥エエ度胸やなァ、ニイちゃん。 ボテくりこかしまわしてさらにコレ シバきたおしたろかいワレェェッ! |
真: | きゃわわわわああああああッ! |
?: |
‥‥あら‥‥ ‥‥帰っていらしたの‥‥ トラさま‥‥ |
成: |
(‥‥この、地の底から聞こえる、 うらみがましい声は‥‥) |
?: |
ごめんなさい‥‥トラさま‥‥ ‥‥そのハイザラ、わたしが ひっくり返しましたの‥‥ |
成: |
(うわあ‥‥イノチ知らずだな。 ドナり倒されるぞ‥‥) |
虎: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あ‥‥そ、そうなんや。 |
成: | え。 |
虎: |
う、うらみちゃんなら‥‥ま。 しゃアないな。うん。しゃアない。 |
成: | (なな、なんだなんだなんだ!) |
虎: |
カワイイうらみちゃんのコトや。 なんでも。ゆ、ユルしたるでェ! |
成: | (‥‥不公平だ!) |
?: |
‥‥わたし、ビスケットを焼いて 待ってましたの‥‥ 融資の話をしながら、 濃厚なお茶をいただきましょう‥‥ |
虎: |
コラァアアアアアッ! 成歩堂 龍一ィィッ! |
成: | ‥‥は、はい! |
虎: |
やるのォ‥‥。ついに ここまで、たどり着いたか‥‥ ゴクロウなコトや。わざわざ、 ホンモノが出てくるとはなァ‥‥ |
成: |
(ぜ、ゼニトラ‥‥ やっぱり、コイツが‥‥) |
虎: |
まあ‥‥。何度やっても アンタの負けは、動かへんでェ。 |
成: |
な、なんだと? ‥‥いや、なんですって? |
虎: |
クククク‥‥あんなコムスメ、 ほっておけばいいものを‥‥。 |
成: |
あの‥‥ 聞きたいことがあるんですけど |
虎: | おらァアアアアアアァァァァァッ! |
真: | きゃわわわわああああああッ! |
虎: |
ワイには聞きたいコトなんかない! もう、会うこともないで! |
成: |
あ! 待てッ! ‥‥いや、待ってください! |
真: |
‥‥いやー、情けないねー なるほどくん。 声が届かなくなるまで待ってから ”待てッ!”だもんね。 |
成: |
(真宵ちゃんに 言われたくないぞ‥‥) |
?: | ‥‥お茶‥‥ |
真: | きゃはああああっ! |
?: |
‥‥さらに、ビスケット‥‥ お持ちしました‥‥ |
成: |
(‥‥ホント、シンゾウに 悪いな、このヒト‥‥ ”うらみちゃん”とか 呼ばれてたっけ‥‥) |
成: |
あの‥‥。 この会社のことなんですけど。 |
う: |
‥‥カリヨーゼは、 中小企業のミカタ‥‥ 良心的な金利と、返済方法‥‥ みなさん、とてもよろこんで‥‥ |
成: |
(‥‥語尾が聞きとりにくいのが ちょっと気になるな) |
う: |
闇金融業界の中で、他よりほんの 少し、明るめのカリヨーゼ‥‥ |
真: |
そういえば、ウチの事務所も今、 ちょっと苦しいよね。 トランプの勝負で、なるほどくん、 あたしに5万円の借りがあるし。 ホラ、なるほどくん。 借りる借りる。 |
成: | (だだ、だいじょうぶかなあ‥‥) |
う: |
‥‥カリヨーゼは、そんな アナタのミカタ‥‥ククッ‥‥。 |
成: |
あの。もし返すのが遅れたら、 どうなるんですか? |
う: |
‥‥とびきり濃いお茶と‥‥ ‥‥‥‥‥を飲んでもらいます‥‥ |
成: |
よそう。借金、踏み倒した ほうがマシだ。 |
真: | あたしのお茶も濃いからね! |
成: |
ええと‥‥事件のことは、 ご存じですか? |
う: | ‥‥事件‥‥ |
真: |
レストランで、男の人が 毒のコーヒーを飲んだ、アレです。 |
う: |
‥‥さあ‥‥ ‥‥その日は、店長と お店にいましたから‥‥ |
成: |
店長‥‥って、ゼニトラさんの ことですか? |
う: |
‥‥芝九蔵 虎ノ助(しばくぞう とらのすけ)‥‥ |
真: | し、しばくぞう‥‥ |
成: |
と、とらのすけ‥‥ (<<ナニワのゼニトラ>>‥‥か) |
真: |
なるほどくんのニセモノだよ! もっと、ハナシを聞こうよ! |
成: |
ゼニトラ‥‥芝九蔵さんのこと、 聞かせていただけませんか。 |
う: | ‥‥ビスケット‥‥ |
真: | は、はい? |
う: |
いかがですか‥‥。わたしが 焼いたんですけど‥‥ククッ‥‥。 |
真: | なるほどくん、お先にどうぞ。 |
成: | いやいや。真宵ちゃんこそ。 |
う: | ‥‥ククッ。 |
成: |
(どうも、よくわからない。 どうしてゼニトラは‥‥ こんなコワいヒトと いっしょにいるんだろう‥‥?) |
う: |
‥‥わたしたち‥‥ 愛しあっていますから‥‥ |
成: |
(そんな、うらめしげに 言われてもなあ‥‥) |
う: |
イノチの恩人なんです。 トラさま‥‥ |
成: | あの、ゼニトラが‥‥? |
う: |
”トラさま”とお呼びください‥‥ でないと、わたし‥‥ |
成: |
とと、トラさまですね、はい! (イノチの恩人、ねえ‥‥ もう少し、話を聞いてみるか) |
う: |
‥‥わたし、もともとカラダが 弱いものですから‥‥ ‥‥死んでしまいましたの‥‥ 一度。‥‥ククッ。 |
真: | しし、死んだ‥‥? |
う: |
‥‥今から、4ヶ月ほど前‥‥ ‥‥もう絶望的だろう、って お医者さまが‥‥ |
成: |
(このヒトが”ゼツボー”って 言うと、シャレにならないな) |
う: |
それなのに‥‥ トラさまが、助けてくれた‥‥ すべてを投げうって‥‥ |
真: | す、”すべてを”‥‥? |
う: |
うれしかった‥‥それで トラさまのキモチを知って‥‥ |
真: |
‥‥ちょっと、想像しにくいね。 ショージキなところ。 |
う: |
このヒトのために、一生、お茶を いれてあげよう、って‥‥ |
成: |
(だいじょうぶなんだろうな。 そのお茶は‥‥) あの‥‥ところで、 そのアタマのホータイは‥‥? |
う: | ククッ‥‥。これ、ですか‥‥ |
成: |
そのホータイ‥‥ どうしたんですか? |
う: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 手術のアト、なんです‥‥ |
真: | しゅじゅつ‥‥? |
う: |
ちょっと‥‥致命傷を 負ってしまって‥‥ククッ‥‥。 |
真: | ちちち、チメーショー! |
成: |
(真宵ちゃん、ココロに 致命傷を負ったみたいだ‥‥) さっき言ってた<<一度、死んだ>> と言うのは、そのケガですか。 |
う: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | ‥‥! |
真: |
ううう‥‥なんか、コワいよ なるほどくん。 |
成: |
(でも‥‥聞き出さないワケにも いかない‥‥!) |