成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
警察署・刑事課 | |
刑: | 署のマシンがパンクしました! |
刑: |
記者会見の用意はまだか! 総監が見えたぞ! |
課: |
ううん。インターネットでも 話題になっているようだな。 |
刑: |
だから! 課長、コンピュータを 使わないでください! |
課: | いや、しかし今、ワシの王手が‥‥ |
刑: |
また今度にしてください! はい。スイッチ、切りますよ! |
課: | ぎゃー! ワシの王手が‥‥ |
真: |
いやー、 盛り上がってるねえ。 |
成: |
何か事件が起こったみたいだな。 ‥‥とびきり、ハデなのが。 |
糸: | おッ! アンタたち! |
真: | あ、イトノコ刑事さん! |
糸: |
ダメッスよ。 こんなときに来ちゃあ。 アンタたちまでかり出されるッス。 ‥‥聞き込みに。 |
成: | ま、まさか。 |
糸: |
とにかく、タイヘンな コトになってるッス! |
真: | ‥‥あの。何があったんですか? |
糸: | ウイルスッス! ウイルスッス! |
成: | (ウイルス‥‥?) |
糸: |
コンピュータ・ウイルスが 署内で暴れ狂っているッス! |
成: |
(まいったな‥‥ いろいろ聞くことがあるのに) |
糸: | いいッスか。よく聞くッス! |
真: | ‥‥は、はい! |
糸: |
いくらビンボーでも、こういう ところから借りちゃダメッス! |
真: | ‥‥は、はい? |
糸: |
そういうときは‥‥ ソーメンを食べて、ガマンッス! |
成: |
いやいや! 借金じゃなくて、 この会社の情報がほしいんですよ! |
糸: |
‥‥なんだ。 カリヨーゼは、闇金融の中でも 特にアヤシイ会社ッス。 なんか最近、急に カネに困りだしたらしく‥‥、 かなりゴーインな 取り立てをしている、とか。 |
真: | そうなんですか‥‥ |
糸: |
あの会社には、クビを つっこまないほうがいいッス。 彼女にニラまれたら、 ブジじゃすまないッスからねえ。 |
成: |
‥‥わかりました。 (‥‥って、ちょっと待て! 今、なんて言った! ‥‥”彼女”‥‥?) |
真: | ‥‥ダレのことかな。 |
成: |
(詳しく聞いてみるか‥‥。 ”彼女”のこと‥‥) |
真: |
あの‥‥なんですか? コンピュータ・ウイルスって。 |
糸: | 知らねッス。 |
真: | え。 |
糸: |
自分は、このさわぎに ただ、オドらされているだけッス。 |
成: | (あきれた刑事さんだな‥‥) |
糸: |
あー! なんスか、そのカオ! じゃーアンタ、知ってるッスか! |
真: | 知ってるッスか? なるほどくん! |
成: |
コンピュータ・ウイルス、か。 まあ、カンタンなコトなら‥‥。 |
真: |
えッ! スゴい、なるほどくん! ものしりハカセだ! |
糸: | これから、ハカセって呼ぶッス! |
真: |
あ。いいなそれ。 ‥‥ね? ハカセ。 |
成: |
(バカにされてるような気がする) しかたないな。あまり詳しく ないけど、説明しましょうか? |
成: |
”ウイルス”は、コンピュータを 破壊するためのプログラムです。 |
糸: |
は、ハカイ‥‥って、 ボカーン! と行くッスか! |
成: |
‥‥ちがいます。コワすのは‥‥ そう。コンピュータの中身、かな。 |
真: | 中身がボカーン! って行くの? |
成: |
たとえば、警察のコンピュータには 事件のデータが記録されてるだろ? それが、ウイルスプログラムで ゼンブ、ぱあになるわけ。 |
真: | ひゃあ。コワいねー、ウイルス。 |
成: |
もっとコワいのは、ウイルスは 伝染する、ってトコロだ。 |
真: | でんせん‥‥? |
成: |
コンピュータは、ネットワークで つながってるコトが多いだろ? ウイルスは、それらのマシンを 次々に破壊していくんだよ。 ネットワークを通じて、ウイルスは 自分で勝手に、増えていくわけだ。 |
糸: |
うーん。ホンモノの 伝染病みたいッスねー。 |
真: |
でも、でも! なんでそんな プログラムを作るのかな。 |
糸: |
そッス。せっかく作ったデータを ぶちコワしたら、イミがないッス! |
成: |
いやいや。ウイルスプログラムは、 他人のマシンに送り込むんです。 |
真: | うわ。ヒドいの! |
糸: |
あー。つまりアレッスか。 アンタが、ゴドー検事にクシャミ 引っかけてカゼをうつす、という。 |
真: |
そうか! それでゴドー検事は 法廷をお休み、と。 ‥‥あいかわらずワルだねー、 なるほどくん。 |
成: |
なんでぼくの話になるんだよ! とにかく、それがコンピュータ・ ウイルスだよ。悪いプログラムだ。 |
糸: |
ウイルスプログラムには、いちいち 名前がついているッス。 今回、ウチで暴れてるウイルス‥‥ どこかで聞いた名前なんスがねえ。 |
成: |
(ウイルスプログラムの名前。 ココロ当たりがあるような‥‥) |
糸: |
カリヨーゼの従業員ッスね。 ‥‥ヘタに近よらないほうが いいッスよ。これはホントに。 |
真: |
たしかに、うらめしげ ですからねー、このひと‥‥。 |
糸: | ‥‥そういうコトじゃないッス。 |
成: | (どういうことだ‥‥?) |
糸: |
彼女の名前は、 鹿羽(しかばね)うらみ。 あの、鹿羽 権太(ごんた)の たったヒトリのマゴにあたるッス。 |
真: |
‥‥しかばね ごんた‥‥? 知ってる? なるほどくん。 |
成: | 聞いたコトないよ。 |
糸: |
鹿羽 権太は‥‥ 恐怖の<<鹿羽組>>組長ッス。 |
成: |
し、しかばねぐみ‥‥ (ゼッタイ、関わりたくないな) |
糸: |
警察の力ですら、ヤツらを つぶすのはムズカシイッス。 それでも‥‥、戦うと言うッスか? |
成: |
だ、ダレもそんなコト 言ってませんよ! (とにかく‥‥少しだけ、 話を聞いておくか‥‥) |
成: |
あまり聞きたくないですけど‥‥ <<鹿羽組>>というのは? |
糸: | まー、コワい連中ッスな。 |
成: |
(刑事のクセに、”コワい” ってのも、どうだろう‥‥) |
糸: |
刑事だろうと小学生だろうと、 コワいものはコワいッス! ウラ社会で絶大な力を持つ、 やっかいなグループッス。 とにかく連中、ミョーに資金が あるので、手に負えないッス。 |
成: | 資金が‥‥? |
糸: |
街の闇金融業界をひとまとめに して、かせいでいるとか。 |
成: |
闇金融‥‥というと、 <<カリヨーゼ>>も‥‥? |
糸: |
トーゼン、鹿羽 権太には アタマが上がらないッス。 |
成: | (そうだったのか‥‥) |
真: |
うらみさん、そんなコワい人の おマゴさんだったんですね‥‥ |
糸: |
鹿羽 権太のマゴ好きは 有名ッス。 たったヒトリのマゴで、 組長の生きがいッス。 |
成: |
そういえば‥‥ どうして彼女、 <<カリヨーゼ>>にいるんですか? |
糸: |
さー。そこまでは 知らないッスけど‥‥。 でも、かなりアツアツな ふたりらしいッス。 |
真: | あつあつ‥‥ |
糸: |
マコクンの事件で、関係者の資料に そう書いてあったッス。 |
成: |
(これは‥‥かなり重要な 手がかりだな‥‥) |
成: |
あの‥‥イトノコ刑事。 これ、なんですけど‥‥ |
糸: |
なんスか! 自分は今、 マコクンとウイルスで、アタマが うほおほおおおおおおおおおおッ! これッス! この、 フザけた名前! 思い出したッス! |
成: | (やっぱり、な‥‥) |
真: |
ナニよー! ヒトリでうなずいて ないで、教えてよー! |
成: | な、泣くなよ! |
糸: |
スポーツ新聞のラクガキ‥‥ そして、CD‥‥ <<クリーニング・ボンバー>> ‥‥ウイルスの名前ッス! |
真: | ええええええええええッ! |
糸: |
今、署内でウワサの コンピュータ・ウイルスッス! |
成: |
もう少し、詳しく 聞かせてもらえますか? |
糸: |
<<クリーニング・ボンバー>>の 情報は、以前から流れていたッス。 警察の上層部に、ナニやら 取引を持ちかけたグループが‥‥ 『取引に応じなければ、ウイルスを バラまくぞ』と脅してきたッス。 |
真: |
ダレですか? そんなダイタンな コトをするの。 |
糸: |
ウラ社会の大物、らしいッスね。 ‥‥自分は知らねッス。 |
成: |
そのウイルスが、送りこまれて きた、というわけですか‥‥。 |
糸: |
公共機関のコンピュータが、 バクハツ的に感染して‥‥ もお、お祭りさわぎッス! カーニバルッス! |
真: |
すごいなあ。なんか、アレ。 ”えすえふ”みたいですよねー。 |
糸: |
かなりウデのいいプログラマーが 作ったウイルスらしいッス。 今、コイツが売りさばかれた 闇ルートを、必死で探してるッス! |
成: |
ウイルスプログラム‥‥って、 ”商品”になるんですか? |
糸: |
そうみたいッス。特に、今回の ウイルスはよくできてるッスから、 ”億”単位のカネが 動いていると思われるッス。 |
成: |
(ウイルスプログラムに、そんな 価値があったなんて‥‥!) |
データを書きなおした。 | |
糸: |
‥‥あああああッ、そおッスゥッ! イチバン重要なコトを 忘れていたッス! |
成: | な、なんですか‥‥? |
糸: |
決まってるじゃないッスかッ! ‥‥ベントウッスよ! |
成: | ベントウ‥‥? |
真: | あれだよ。ウインナーの‥‥ |
マ: |
『スズキ、ウインナーは 大ッキライッス!』 |
成: | (‥‥ああ、あれか‥‥) |
糸: |
どうだったッスか! 自分のベントウはッ! |
真: |
え! えーと‥‥あの。 ‥‥‥‥‥‥おいしかったです。 |
糸: |
そーッスか! そーッスか! そりゃ、よかったッス! |
真: |
あ、いや。そういう イミじゃなくて‥‥ |
糸: |
ダイジョーブ! シンパイ、いらないッス! そんなコトもあろうかと‥‥ ちゃーんと、作っておいたッス! |
成: |
え‥‥ な、ナニを‥‥? |
糸: | おかわりの大盛りベントウッス! |
真: | は‥‥はああ‥‥。 |
糸: |
じゃ、またコレ。 よろしくたのむッス。 |
成: |
(ズッシリ重いな‥‥ あらゆるイミで‥‥) |
糸: |
マコクンのよろこぶカオが 目に浮かぶッス! |
真: | また食べるの? ウインナー‥‥ |
ふたたび、真宵ちゃんに持たせた。 | |
真: | もう食べられないよ、あたし。 |
バグダス | |
真: |
うわ! ”はいてく”のカオリが するよ、なるほどくん! |
成: |
まあ、コンピュータの 会社だからね。 |
?: | どーしたのかなキミたちー。 |
真: |
あ‥‥ こ、こんにちは‥‥ |
?: |
んー、ダメだぞー。 勝手に入って来ちゃあ。 ここでは、コンピュータの プログラムを作ってるからねー。 すっごいヒミツが イッパイなんだよー。 |
真: | うわあ。ヒミツですか? |
?: |
そうなんだ! ここで見たことは、 おウチに帰っても、ヒミツだぞー。 |
真: | はあい。 |
成: |
(なんだ? この教育番組の おねえさんみたいなロボットは) |
小: |
おねえさんは、小池 ケイコって いうんだねー。 この会社の、なんと 社長さんなんだよー。 |
成: |
しゃ、シャチョーさん‥‥ですか! (ニンゲンだったのか‥‥ そういえば、岡 高夫と同じ 装置をつけているな‥‥) |
真: | <<おめがね>>だっけ。 |
成: |
<<モノクル>>だよ! ‥‥字数しか 合ってないじゃないか! |
小: |
バグダスのプログラマーは、 みーんなつけてるんだよー。 |
真: |
社長さんも作るんですか? ぷろぐらむ。 |
小: |
おねえさんはねー。フンイキだけ 楽しんでるんだなー。 |
真: |
たしかに‥‥あたしも ほしいもん。ちょっとだけ。 |
成: |
あの‥‥。 この会社って、どういう? |
小: |
そうだねー。 わかりやすくセツメイすると‥‥ ある企業が必要とするデータ管理 システムをブンセキして、 ベストなオペレーションソフトと ソースの配信をしてるんだねー。 |
真: | ‥‥意味わかんないね。 |
成: |
いいよ。 フンイキだけつかんどけば。 |
小: |
そうやって作ったプログラムを CDにして、売っているんだよー。 |
真: | し、しーでぃー‥‥ですか? |
小: |
そー、コンパクト・ディスク。 データをしまう、円盤だねー。 |
成: |
(CDって、音楽だけじゃなくて プログラムも記録できるからな) |
小: |
数は少ないけど、みんな スゴいプログラマーなんだぞー。 ちょっと、 話を聞いてみようねー。 すみませーん。今、ナニを? |
プ: |
プログラムのストラクチャはコード の応答性がパフォーマンスの向上に ラジカルなグローバル性とメモリの オーバーヘッドの独立性が重要です だからマルチスレッドにおける同じ ソースをタイムスライスされますが 協調型のグローバル定数がラジカル に読みこむ利点を研究しています。 |
小: |
‥‥とまあ、 こんな感じなんだねー。 よい子のみんなは、 わかったかなー? |
真: | はははあ‥‥。 |
成: |
(真宵ちゃん‥‥うつろに ほほえんでるな) |
成: |
社長さん、知ってますよね。 ‥‥事件のこと。 |
小: |
高夫くんが殺された、アレかなー? カワイソウだったねー。 |
真: |
何か、ご存じのこと、 ありませんか? |
小: |
うーん‥‥。警察のおじさんも 来たけどねー。 お役に立てることはなかったなー。 ハンニンのウエイトレスさん、 会社とは関係なかったしねー。 |
真: | ‥‥そうですか。 |
成: |
あ。岡さんのデスク、もう かたづけちゃいましたか? |
小: |
それが、まだあるんだねー。 目の前の、コレなんだよー。 ほしいものがあったら、 持ってっちゃっていいよー。 |
成: |
(手がかりになりそうなもの、 探してみるか‥‥?) |
真: |
うわ。ヒドい机だね、こりゃ。 どうよ、なるほどくん。 |
成: | ベツに‥‥フツウじゃないかな。 |
真: |
でも、シゴトにならないよね。 こんなに散らかってたら。 |
成: |
そうかな。デキるオトコは 仕事場を選ばないからね。 |
真: | ‥‥‥‥‥‥‥‥! |
成: |
(‥‥ぼくの机を片づけ させようというつもりだろう。 ゼッタイ、同意するもんか!) |
真: |
‥‥あれ。 このカレンダー‥‥ |
成: |
‥‥? 机なら片づけないけど、 何かあった? |
真: |
こ、これ‥‥。12月 3日に、 赤くマークがついてるよ! |
成: |
12月 3日‥‥って、高夫さんが 殺害された日じゃないか! 他に何か、書いてある? |
真: |
うん! ええとね‥‥ <<ゼニトラに会う>>だって。 |
成: | ぜ‥‥ゼニトラ‥‥ |
法廷記録にファイルした。 | |
真: | うわー、キップがいっぱいあるよ。 |
成: | それ、ぜんぶ馬券だね。 |
真: | ばけん? |
成: | <<勝ち馬投票券>>。ケイバだよ。 |
真: |
引き出しにも入ってる。 ずいぶんいっぱいあるね‥‥ |
成: |
(これみんな、ハズレ馬券‥‥ みたいだな) |
拾い集めた。 | |
真: |
これだけあれば、 100円ぐらいにはなるかもね。 なるほどくんもワルだねー。 |
成: |
(そういうモノじゃ ないんだけどな。馬券‥‥) |
成: |
あの。岡 高夫さんの ことですけど‥‥。 |
小: |
優秀なプログラマーだったねー。 天才、っていうのかなー。 ちょーっと、性格に モンダイがあったけど。 |
真: | 性格に‥‥? |
小: |
ちょーっと、 ルーズだったんだねー。 そのせいで、ちょーっとした トラブルに‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: | ど、どうしたんですか? |
小: |
優秀なプログラマーだったねー。 天才、っていうのかなー。 だから、なーんのモンダイも なかったんだねー。 |
成: |
いやいや! さっき、たしかに‥‥ ”ちょーっとしたトラブル” って‥‥ (聞き出す必要がありそうだな。 ”トラブル”‥‥) |
成: |
あの。岡 高夫さんですけど‥‥、 何か、トラブルに 巻きこまれていたんですか? |
小: |
んー? どうして そう思うのかなー? |
成: |
さっき、言いかけた じゃないですか。 ”ルーズな性格のせいで、 ちょっとしたトラブルに”って! |
小: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | (サイコ・ロックか‥‥) |
真: |
やっぱり‥‥ヒミツが あったんだね、岡 高夫さん。 |