成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
成: |
さあ、聞かせてもらいましょうか。 岡 高夫さんの”トラブル”‥‥ |
小: |
ザンネンだけど、”トラブル”は ここじゃ対応してないんだなー。 <<お客さま電話相談室>>に 聞いてみてくれるかなー? |
成: |
(ワケのわからない 対応をされた‥‥ 岡 高夫の”トラブル”‥‥ なんとなく、見当はつくな) ‥‥社長さん。 もしかして‥‥ これじゃないんですか? 高夫さんの”トラブル”の原因。 |
小: | ナニかなー、それは。 |
成: |
宝クジです。 現場のテーブルに、 うなるほど落ちていました。 |
小: |
‥‥その宝クジが どうかしたかなー? |
成: |
被害者の岡 高夫さん‥‥ ギャンブル好き だったんじゃないですか? |
小: |
そんなクジだけじゃ、 なんとも言えないねー。 長者ラジオなら、おねえさんも 聞いてるんだよー。 |
成: |
(たしかに‥‥これだけじゃあ ちょっと、弱いかな‥‥) 高夫さんのギャンブル‥‥ 宝クジだけじゃないハズです! |
成: |
‥‥宝クジ、ケイバ。それも、 どっさり買って、ばっさりハズレ。 かなり‥‥おカネが かかっていますよね。 じゅうぶん”トラブル”の モトになるはずです! |
小: | キャアアアアアアアアアアアアアア |
小: |
たしかに高夫くん、ギャンブル 好きだったみたいだねー。 よい子のみんなは、 マネしちゃダメだぞー。 |
成: |
マネしたくても、 おカネないですから。ぼくは。 |
小: |
でも‥‥。もうかっていれば 問題ないんじゃないかなー? たしかカレ、5000万円 当てたんだよねー、宝くじで。 |
成: | そ、そうなんですけど。 |
小: |
それじゃあ、トラブルとは 言えないんじゃないかなー? |
成: |
たしかに‥‥最後のサイゴに、 高夫さんは5000万円を当てた。 しかし‥‥それまでは、 うまく行ってなかったはずです! |
小: | うまく行ってなかった‥‥? |
成: |
岡 高夫は、おカネに困っていた。 ‥‥その証拠があります! |
成: |
事件当日、高夫さんは ある人物に会っています。 カレンダーにメモがある。 <<ゼニトラに会う>>‥‥と。 |
小: |
それが、どうしたのかなー? 高夫くんが、借金の話でもしてた ‥‥と、こう言いたいのかなー? |
成: |
え、ええ。 まあ、そうなんですけど。 |
小: |
でも‥‥その<<ゼニトラ>>さんが どんなヒトか、知らないからねー。 ニンゲンじゃなくて、 トラさんかもしれないねー。 |
成: |
(メチャクチャ言ってるな‥‥) なんだったら、紹介しましょう。 <<ゼニトラ>>というのは‥‥ |
成: |
ゼニトラ‥‥芝九蔵 虎ノ助は、 ローン会社の社長です。 そんなオトコに、高夫さんは 個人的に会っているんですよ。 その話題は‥‥借金のコトに 決まっています! |
小: | キャアアアアアアアアアアアアアア |
小: |
たしかに‥‥ギャンブルで 借金を作っちゃったみたいだねー。 1000万円ぐらいに なっていたみたいだよー。 |
成: | (1000万円の借金、か‥‥) |
小: |
まあ。宝クジが当たったみたい だから、モンダイないねー。 |
成: |
(その幸運‥‥ほんの少し、 マコちゃんにわけてほしいな) あれ‥‥でも。 たまたまクジが当たったから いいようなものの‥‥ もし、当たらなかったら‥‥ 高夫さん、どうするつもり だったんでしょう? ‥‥借金。 |
小: |
それは‥‥言いにくいんだけど‥‥ ”自分のウデで返す”‥‥ そう言ってたねー。 |
成: | ”ウデ”‥‥? |
小: | プログラム、ということかなー。 |
成: |
い、1000万円の値打ちがある プログラム‥‥ですか? |
小: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ よい子のみんな、そろそろ カンベンしてくれないかなー? |
成: |
(そろそろ、トドメを 刺すときが来たな‥‥) その”プログラム”‥‥ もしかして、コイツですか? |
成: |
それは‥‥もちろん、 これですね。 今、世間をコンランさせている コンピュータ・ウイルス‥‥ <<クリーニング・ボンバー>>! |
小: | キャアアアアアアアアアアアアアア |
小: |
高夫くん、コンピュータよりも アタマがよかったんだけどねー。 <<ギャンブル>>っていうウイルスに 破壊されていたんだなー。 ‥‥高夫くん、追いつめられて いたんだねー。 |
成: | 借金、ですか‥‥ |
小: |
1000万円だからねー。 返せないよねー、カンタンには。 だから‥‥ <<危険なアルバイトをする>> ‥‥そう言ってたねー。 |
成: | <<危険なアルバイト>>‥‥? |
真: |
吐麗美庵のウエイトレスさん ‥‥かな。 |
成: | (ちがうよ!) |
成: |
やっぱり‥‥高夫さんが 作ったんですか。このウイルス。 |
小: |
<<クリーニング・ボンバー>> ‥‥そうだねー。 よくないイミで、天才的な プログラムなんだよー。それ。 闇ルートでも、数億円の 値段がつくんじゃないかなー。 |
成: |
(めずらしく、イトノコ刑事の 言ったとおりだな‥‥) |
小: |
そのカレンダーに書いてある 12月 3日‥‥ その日が、借金の支払い期限 だったんだねー。 |
データを書きなおした。 | |
成: |
(高夫さんの馬券‥‥ もう、いらないな) |
そっと床にもどした。 | |
真: | ちゃんとゴミ箱に捨てる! |
成: |
アタマの包帯‥‥ ”手術のアト”なんですよね? |
う: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | 脳に”致命傷”を負った、とか。 |
う: |
‥‥ええ‥‥ムズカシイ手術 だったそうです‥‥ |
成: |
”致命傷”ということは‥‥ ”ケガ”をしたんですよね? |
う: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ククッ。 |
成: |
”ケガ”の原因‥‥。この証拠品と 関係があるんじゃないですか? |
成: |
ここに、自動車の修理代の 請求書があります。 当然、考えられるのは‥‥ 交通事故、ですよね。 |
う: |
‥‥その請求書‥‥ 見せてください‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 修理代の受取人‥‥ <<鹿羽組>>‥‥ですか‥‥ |
成: | そ、そうですね。 |
う: |
わたし‥‥自己紹介した おぼえ、ないのですけど‥‥ この<<鹿羽組>>とわたし‥‥ どういうカンケイなんですか? |
成: |
(やれやれ‥‥自己紹介して くれそうなフンイキじゃないな) あなたと、<<鹿羽組>>の カンケイは‥‥ |
成: |
あなたのことは、わかっています。 ‥‥鹿羽 うらみさん。 あなたの、そのケガ‥‥ 交通事故、だったんですね? |
う: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
う: |
4ヶ月ほど前のコトでした‥‥ 組のクルマの前に、いきなり 飛び出してきた人がいました‥‥ オートバイ、だったような‥‥ よく、おぼえていません‥‥ そのオートバイと接触して、 ハンドルを切りそこねて‥‥ ‥‥わたし、打ちどころが 悪かったそうです。‥‥異常に。 |
成: |
(‥‥なんか、 わかる気がするな‥‥) それで‥‥その、飛び出してきた 人は、どうなったんですか? タダじゃすまなかったと 思いますけど‥‥。 |
う: |
‥‥わたし、知りません‥‥ ‥‥そのまま逃げてしまった、 と聞いています‥‥ |
成: | 逃げた‥‥ |
う: |
そうでなければ、わたし‥‥ ククッ‥‥。 |
成: |
(もしかして‥‥その、 ”逃げた人”というのは‥‥) |
成: |
‥‥事故の原因を作ったのは、 このオトコ‥‥じゃないですか? |
う: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ と‥‥トラさまじゃない! わたし、信じません‥‥ |
う: |
相手のオートバイ‥‥ わたしのクルマと接触しました‥‥ でも、トラさまは‥‥ケガなど していませんでしょう‥‥? |
成: |
(ゼニトラは、鹿羽組の クルマに接触したんだ‥‥ ロックが割れたということは‥‥ 彼女もそれを疑っている‥‥!) ‥‥ザンネンですが‥‥ 彼が”交通事故にあった”という 可能性を示す証拠があります! |
成: |
‥‥”オートバイ”では ありませんが‥‥ 芝九蔵さん、スクーターを 乗り回していますよね。 前のカバーが、ハデに コワれています。 |
う: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
うらみさん‥‥ ホントは、あなたも 気づいているのでは‥‥? |
う: | ‥‥‥‥‥‥ククッ‥‥ |
成: |
この修理代請求書‥‥支払人の名は 芝九蔵 虎ノ助です。 <<鹿羽組>>は、事故のハンニンを、 とっくに見つけていたんですよ。 |
う: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥もしかしたら‥‥ そうかもしれない‥‥ ‥‥ココロのスミっこで、 そう思っていました‥‥ |
成: | (やっぱり‥‥) |
う: |
‥‥でも‥‥ トラさまは、わたしの イノチを助けてくれた‥‥ 手術はとてもむずかしくて‥‥ おカネがかかりました‥‥ |
成: | いったい、いくらぐらい‥‥? |
う: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥とても。 とても、たくさん‥‥。 |
成: |
(‥‥どうやら、金額は 言いたくないみたいだな‥‥) それを支払ったのが‥‥ ゼニトラ、というわけですか。 |
う: |
‥‥なんとか助かってから‥‥ トラさまが、言ってくれました‥‥ ”うらみちゃんだから” おカネを出した、って‥‥ わたし‥‥それを 信じてますから‥‥。 |
成: |
‥‥本当に‥‥ そうだったんでしょうか。 |
う: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
もしかしたら‥‥ 芝九蔵さんが手術代を出したのは、 あなたのためではなく‥‥ |
成: |
‥‥こんなコト、言っちゃ いけないのかもしれませんけど‥‥ おじいさんの鹿羽 権太さん、 闇金融のボス、なんですよね? そして、マゴのあなたを 生きがいにしている。 |
う: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
その手術代の金額にも よりますけど‥‥、 もし、あなたが鹿羽 権太の マゴでなかったら‥‥ 芝九蔵さんは、その カネを出したでしょうか‥‥? |
う: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥いちおくえん‥‥ |
う: |
4ヶ月前‥‥交通事故にあって 手術を受けた‥‥ わたし‥‥気づいてました‥‥。 たいした手術じゃない、って‥‥ |
真: | え! そ、そうだったんですか! |
成: |
(まあ、4ヶ月で治ってるぐらい だもんな‥‥) |
う: |
手術代は‥‥1億円‥‥ そう聞きました‥‥ |
真: |
い‥‥い‥‥ いちおくえんンンッッッッ! |
う: |
‥‥おじいさまが。トラさまに 払うように、って‥‥ ‥‥1億円のほとんどは‥‥ ”オトシマエ”だった‥‥ |
真: | なあに? ”オトシマエ”って‥‥ |
成: |
ウラの社会で、セキニンを とること、だよ。 ‥‥たいてい、タイヘンな 目にあうみたいだね。 (イチオクエン‥‥か。 どうやら、つながったな。 今回の事件と‥‥) |
う: |
‥‥信じていたかった‥‥ トラさまのコトバ‥‥ おじいさまは‥‥鹿羽 権太は いっさい、カンケイない。 ”わたしだから”助けてくれた。 そう思っていたかった‥‥ そうじゃないことは‥‥ はじめから、わかっていたのに。 |
真: | う、うらみさん‥‥ |
う: |
トラさま‥‥1億円を払うために、 あんな、ひ‥‥ヒドいコトを‥‥ |
成: | ‥‥‥! |
う: |
”わたしのためだから”って‥‥ そう、自分に言い聞かせて‥‥ だから、わたし‥‥ ‥‥手伝ってしまった‥‥ |
真: | て、”手伝った”‥‥? |
う: | これ‥‥お持ちください。 |
成: | (これは‥‥診断書‥‥?) |
う: |
わたし‥‥‥ <<鹿羽組>>のムスメですから‥‥ オトシマエ‥‥つけなくては いけないんですよね‥‥ |
法廷記録に挟んだ。 | |
真: |
‥‥かわいそうだね。 うらみさん。 |
成: | ユルせない。 |
真: | え‥‥? |
成: |
(ぼくには、どうしても ユルせないものが、2つある。 ”毒薬”と”ウラぎり”‥‥ 最もヒキョウで、最も深く 人をキズつける‥‥) |
真: | な、なるほどくん‥‥? |
成: |
じゃあ‥‥ぼくたちも、そろそろ 行こうか。 ‥‥このお茶を飲んだら。 |
真: | そうだね‥‥。 |
成: |
(うらみさんに関する証拠は もう、いらないな‥‥) |
ゴミ箱に捨てた。 | |
レストラン 吐麗美庵 | |
本: |
あ‥‥あら。あなたたち。 お待ちしてたわぁ。 |
真: | ‥‥本土坊さん‥‥ |
成: |
ちょうどよかった。ぼくたちも お話を聞きたいと‥‥ |
?: |
こっちには、 話すコトなんかあらへんねや! |
真: | あ! ニセなるほどくん‥‥ |
虎: |
だァれが なるほどくんじゃいぃぃィィィッ! |
真: | きゃわははわあああああっ! |
成: |
(真宵ちゃん、テーブルの下に かくれちまったぞ‥‥!) |
虎: |
‥‥さ。 わたしてもらおうかい。 |
成: | な、ナニをですか‥‥? |
虎: |
トボけんなや! 診断書よ、診断書ォ‥‥ |
成: |
(うらみさんのアレ、か‥‥) ‥‥これ、ですか。 ”1億円”の診断書‥‥ |
虎: | ‥‥‥‥‥‥ |
成: |
‥‥うらみさんは、あなたを 信じていた。 だから‥‥”あなたを手伝った” そう言ってましたよ。 |
虎: |
‥‥クソがッ! あのバカ女ァ‥‥ しめっぽいのは ツラだけにしろっちゅうねん! ホンマ、組長のマゴや思うて デカいカオしおって‥‥ |
成: |
この診断書はわたせない。 この”1億円”を用意するために、 あなたがナニをやったか‥‥ 明日の法廷で、立証する! |
虎: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ アホな弁護士さんやのォ。 アンタにわたす気がなくても、 こっちにはカンケイないんや。 なにしろ‥‥こっちは、 2人がかりや。‥‥せやな? |
本: | ウイ。‥‥そうね。 |
成: | ほ‥‥本土坊さん‥‥! |
本: |
ユルして‥‥。ワタシ‥‥ 逆らえないのよ‥‥。 |
成: |
う、うぐ‥‥ッ! (な‥‥殴られた‥‥!) |
虎: |
‥‥じゃあ‥‥ いただくぜ‥‥コイツは。 本土坊! ‥‥ライター、 持ってこいやッ! |
成: | ま‥‥待て‥‥ッ! |
虎: | ザンネンやったな‥‥成歩堂。 |
成: |
(最後のサイゴで‥‥ 油断、したか‥‥ あの診断書は‥‥ 決定的な‥‥証‥‥拠‥‥‥) |
成: | い‥‥イトノコ刑事‥‥ッ! |
虎: |
け‥‥刑事ィィ‥‥? ダレだろうとカンケイあらへんでェ コラアアアアアアァァァァッ! |
糸: |
ここここ、恐ェッス‥‥! イヤ、ガマンッス! アンタ! こ、この場は 自分にまかせて、逃げるッス! |
成: | ‥‥で、でも‥‥ |
糸: |
いいからッ! これ、持っていくッス! アンタがいなくて‥‥ ダレがマコクンを助けるッスかッ! |
成: |
‥‥‥‥! わ‥‥わかりました! おねがいしますッ! |
真: |
あっ、なるほどくん! 置いてかないでよー! |
成: |
(明日の法廷で‥‥きっと! この借りは、返す‥‥! カリヨーゼには‥‥ずいぶん、 いろいろ借りてしまったからな) |