成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
本: |
『被害者のムッシュ・タカオ‥‥ ヒトリで店に来たわ。』(証言1) 『たしか‥‥そのすぐ後に、 あのオジさんも店に来たのよォ。』(証言2) 『店内には、他にお客さんは いなかったわ。』(証言3) 『宝クジが当たって‥‥ ムッシュ・タカオは大騒ぎだった。』(証言4) 『その5分後ぐらいだったかしら。 あの事件が起こったのは。』(証言5) 『ニセモノがシバイするヒマなんか なかったわねェ‥‥。』(証言6) |
裁: |
‥‥ケッキョク、店内に カガミはなかったのですね? |
本: |
ジュ・ヴ・デュマン・パルドン! ユルしてちょうだいな! お店のゴタゴタを早く 片づけたくて、あんなウソを‥‥ |
裁: |
あなたのしたことは、 <<偽証罪>>にあたります。 ‥‥処分は、あとで 言いわたしましょう。 |
本: | う‥‥ウイ。 |
裁: |
それでは、弁護人! 尋問をおねがいします! |
成: |
(本土坊さん‥‥。<<偽証罪>>で マイるのは早すぎるだろう。 この尋問が終わったら‥‥ それでは済まなくなるはずだ!) |
成: | 五十嵐 将兵‥‥ですか? |
本: |
ウチのコーヒーの味がわかる、 ”通”なお客さんなのよォ。 |
ゴ: |
‥‥オレも一度だけ、 あのコーヒーを飲んだコトがある。 スゴい味だったな‥‥たしかに。 ヒトクチ飲む価値はあるぜ。 |
本: |
ウレシイわぁ。 また、飲みに来てね。 |
ゴ: |
ヒトクチ飲む価値はある。 しかし‥‥それ以上じゃねえさ。 |
成: |
(‥‥あのジイさん、被害者と ほぼ同時に、店に来たらしいな。 もう少し、情報を 探ってみるか‥‥?) |
成: |
ところで‥‥オジさんが 店に来たのは、何時ごろでしたか? |
本: |
そうねえ‥‥ よく、おぼえてないわぁ。 |
裁: |
ふむう‥‥。たしか、 きのうの証人によれば‥‥ |
糸: |
『通報は、おっかないジイさんから、 2時25分に入ったッス。』 |
裁: | ‥‥というコトでしたが。 |
本: |
来店から事件が起こるまで、 20分ぐらいだったから‥‥ 2時から2時10分‥‥ ってコトになるかしらぁ。 |
成: | (2時すぎ、か‥‥) |
本: |
オジさんのおかげで思い出せたワ。 ‥‥ア・リ・ガ・ト。 |
裁: |
ほっほっほっ。たまには 役に立たないと、アレですからな。 記念に、その時間を証言に 加えていただきましょうかな。 |
本: |
ウイ、ムッシュ・サイバンチョ。 ‥‥いいわよぉ。 |
裁: |
メルシ・ビエン。‥‥なーんて。 ほっほっほっ。 |
成: | (裁判長、ゴキゲンだな‥‥) |
真: |
‥‥ハナ歌で シャンソンうたってるよ‥‥。 |
本: |
『そのすぐ後、オジさんも来店を。 2時、ちょっと過ぎぐらいかしら。』(証言7) |
成: |
ついに‥‥つかまえましたよ、 本土坊さん。 |
本: | く‥‥クワ? 何かしら‥‥。 |
成: |
被害者は事件当時、イヤホンで ラジオを聞いていました。 ‥‥<<長者ラジオ>>‥‥ 毎週、5000万円の当選番号を 番組の中で発表しています。 |
本: |
ムッシュ・タカオは、 その番組をきいていたワケね‥‥ |
裁: | まったく、問題ありませんな。 |
成: | そうでしょうか‥‥? |
本: | ‥‥‥? |
成: |
被害者たちが来店したとき‥‥ 午後2時をすぎていたそうですね? |
本: |
マチガイないわ! ハッキリ思い出しちゃったから。 ランチのサービス・タイムが 終わる時間なのよねえ。 |
ゴ: |
‥‥どういうコトだ? まるほどう‥‥ |
成: |
この番組は、午後1時30分から 始まるんですよ。 ‥‥地上で最もスリリングな 10分間を放送するために‥‥ |
裁: | い‥‥1時30分‥‥! |
成: |
被害者は、大騒ぎしたそうですね。 ”宝クジが当たった”‥‥と。 しかし‥‥そんなことは あり得ない。ゼッタイに! その30分も前に、番組は とっくに終わっていたのだから! |
本: | のーーーーーーん! |
成: |
この<<被害者>>は、 あり得ない行動ばかりとっている! 聞こえるはずのないラジオ、 終わってしまったはずの番組‥‥ それらのムジュンを解決する コタエは、1つしかない! すべては、本来の犯行時刻から 30分ズレた、ニセモノだった! |
成: |
あの日、吐麗美庵には 2人の岡 高夫がいたのです。 真犯人に毒を盛られて死んだ、 ホンモノの岡 高夫と‥‥ 五十嵐 将兵に見せるために 仕組まれた、ニセモノの岡 高夫! |
裁: |
た‥‥たしかに‥‥ そう考えなければ、時間のズレに 説明がつきません! |
ゴ: |
調子に乗ってるようだな、 まるほどう‥‥。 |
成: | ‥‥‥! |
ゴ: |
だが‥‥アンタの乗ってるのは、 ガキのリズム、エイトビートだぜ! |
成: |
(”調子に乗る”って、 そういうコトなのか‥‥?) |
ゴ: |
いいか! アンタのムチャな 主張どおり‥‥午後2時すぎ。 ニセモノの岡 高夫が、ジイさん 相手にシバイを見せたのならば! そのとき、ホンモノの岡 高夫は どうなっていたんだ! |
成: |
そ、そんなの‥‥ 考えるまでもありません! ホンモノは、とっくに 毒殺されていたはずです! |
裁: | ‥‥当然、そうでしょう。 |
ゴ: | ‥‥かかったな、まるほどう‥‥ |
成: | な、なんだと‥‥! |
ゴ: |
それなら‥‥アンタには 立証できる、ってワケだな? その<<死体>>が、いったい どこに消えちまったのか! |
成: | し、死体が‥‥”消えた”‥‥? |
ゴ: |
”店内に、客は1人きりだった” それが、ジイさんの証言だ。 その”客”が、ニセモノの 岡 高夫だったとしたら‥‥ 犯人は、ホンモノの死体を どこかにかくしたハズだぜ! |
成: | あぎゃあああああああッ! |
裁: |
‥‥弁護人。 お聞きのとおりです。 あなたが、自分の仮説を 立証するためには‥‥ 次の問題に、カンペキに 答えてもらう必要があります。 すなわち。犯人が、 『死体をどこにかくしたか?』 |
成: | は‥‥はい‥‥ |
ゴ: |
もちろん‥‥当てずっぽうは ユルされねえ。 死体がかくされた場所‥‥ <<証拠品>>で立証してもらうぜ。 |
成: | しょ、証拠品‥‥! |
真: |
なな、なんか急に 風が冷たくなってきたよ! |
成: |
(ムジュンを暴いて 追いつめたつもりが‥‥ いつの間にか、こっちが 追いつめられている‥‥!) |
裁: |
それでは、成歩堂くん! ‥‥うかがいましょう。 ホンモノの岡 高夫の死体が かくされた場所は、どこですかな? |
成: |
死体を店外に運びだすのは、 キケンが大きすぎます。 当然‥‥店内のどこかに かくしたはずです! |
裁: |
それは、おもしろい‥‥。 いったい、店内のどこに かくすことができたのか? この上面図で、 示していただきましょう。 |
成: |
‥‥わかりました。 吐麗美庵の店内で‥‥ 死体がかくされていたのはッ! |
成: |
死体をかくした場所‥‥ それは、ここです! |
裁: | ふむう‥‥なるほど。 |
ゴ: |
そこまでは、いいさ。 じゃあ、そいつを立証して もらおうか、まるほどう! 死体が、そこにかくされた‥‥ それを立証する証拠はッ! |
成: |
本土坊さん。 この小ビンに、見おぼえは? |
本: |
の、ノンノン! そんな こきたないビン、知らないわ。 ワタシが愛用しているのは、コレ。 モルニーフル社の最高級品よぉ。 |
裁: |
成歩堂くん。その小ビン‥‥、 どこで見つけたのですかな? |
成: |
フシギなコトに‥‥ 吐麗美庵のキッチンなんです。 |
本: |
コム! なんですって‥‥ でも。アロマ・オイルのボトルは これしか使わないコトに‥‥ |
成: |
ザンネンながら‥‥コイツの中身は アロマ・オイルではありません。 ‥‥外用薬です。 |
裁: | く‥‥クスリ‥‥ |
成: |
もちろん、おぼえていますね? 岡 高夫さんが事件当日、 耳鼻科へ行っていたことを! |
ゴ: | ま‥‥まさか‥‥ |
成: |
ブンセキの結果は、 すでに出ています! これは、そのときに 処方されたクスリなのです! |
ゴ: | ぶへえええッ! |
成: |
岡 高夫さんを毒殺した犯人は、 死体をキッチンにかくした! そのとき‥‥被害者のポケットから コイツが落ちたのです。 本土坊さん! ‥‥事件が起こったとき‥‥ あなたは、キッチンに いたそうですね‥‥? |
本: | ももも、もん・でゅ‥‥ |
成: |
そう‥‥死体をかくしたのは あなただった! あなたは、被告人・須々木 マコを 守るフリをして‥‥ そのウラで、彼女を犯人に 仕立て上げようとしたのです! |
本: | のーーーーーーーーーーーーーん! |
裁: |
せ‥‥静粛に! 静粛に! おどろくべき事態ですッ! 証人! あなたが‥‥ 岡 高夫さんを殺害したのですか! |
本: |
ち、ちがうの! ワタシ、そんなコト‥‥ |
ゴ: |
うおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおおおおおおおおおおッ! |
裁: | ごごご、ゴドー検事‥‥? |
ゴ: |
‥‥苦ェ‥‥ ウソを1つ聞かされるたび、カップ のコーヒーを1杯、飲みほす‥‥ ‥‥そいつが、オレのルールだぜ。 |
成: | (何杯目だと思ってるんだよ!) |
ゴ: |
そして‥‥そのウソをついた クソ野郎に‥‥ カラになったコーヒーのカップを 1ケ、飲みこませる‥‥ そこのコックさんよォ‥‥。 アンタも1ケ、 飲みこんでみるかい! |
本: |
ジュ・ヴ・デュマン・パルドン! 聞いてちょうだいッ! これはワナなのよ! 聞いてったら! ‥‥プリーズ‥‥ |
裁: | ”プリーズ”は英語です。 |
ゴ: |
一度だけ聞くぜ。 ‥‥やったのかい? アンタが‥‥ |
本: |
の‥‥ノンノンノンノン! 断じて‥‥極めてノンよッ! わ‥‥ワタシは、ただ‥‥ |
ゴ: |
‥‥いいだろうぜ。 最後に一度だけ、くれてやるさ。 ‥‥なあ、ジイさん。 |
裁: |
証人に‥‥ 発言のチャンスを与えましょう。 もし、またウソをついた場合。 ゴドー検事のコーヒーカップと‥‥ ‥‥私の、この木槌を 飲みこんでいただきます。 |
本: |
‥‥ウイ。 わかりました‥‥。 |
成: |
(‥‥なんなんだ、 このミョーなフンイキは‥‥) |
裁: |
‥‥それでは! 最後の証言をおねがいします! |
本: |
『ワタシ‥‥たしかに、死体を キッチンにかくしたわ。』(証言1) 『あるオトコに命令されて‥‥ しかたがなかったの。』(証言2) 『‥‥協力するしかなかった。 断れない理由があったから‥‥』(証言3) 『でも! ワタシ、殺人なんて やってないの! 信じて‥‥!』(証言4) |
裁: |
”協力”‥‥? いったい、だれに! |
本: |
い、言えないわ! ワタシ‥‥消されちゃう! |
成: |
じゃあ、他のことを聞きましょう。 岡 高夫が死んだとき‥‥ ‥‥テーブルには、本当に 彼しかいなかったのですか? |
本: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥いたわ。 もうヒトリ‥‥オトコが。 |
成: | (やっぱり‥‥) |
真: |
マコちゃん‥‥ホントのコト、 話してくれていたんだね‥‥ |
裁: | それでは、弁護人。‥‥尋問を。 |
成: |
(もう‥‥ぼくのするべきコトは 1つしか残っていない。 彼がかくしている”真犯人” その名前を暴くだけだ‥‥) |
成: |
もう終わりにしましょう、 本土坊さん。 あなたが協力したのは‥‥ このオトコですね。 |
本: | あうううう‥‥ |
裁: |
ど、どなたですかッ! なんか、どこかで 見たコトがあるような‥‥ |
成: |
(‥‥1ヶ月前の裁判で、 法廷に立っていたからな‥‥) ‥‥芝九蔵 虎ノ助。闇金融 <<カリヨーゼ>>の社長です。 |
本: | ‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
‥‥もう、かくしてもムダです。 わかっているでしょう‥‥ あなたは、彼には逆らえなかった。 ‥‥コイツがあるかぎり! |
成: |
‥‥闇金融からの、 5000万円の借金。 あなたには、返済の アテはまったくなかった。 だから‥‥この人物の言うことを 聞かざるを得なかった‥‥ |
本: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥そのとおりよ。 |
真: | 本土坊さん‥‥ |
本: |
ゼニトラさん‥‥ウチの店を <<打ち合わせに使う>>って‥‥。 あの日、被害者と待ち合わせて 返済のハナシをしていたの。 ‥‥どうして、あんなコトに なったのかは知らないわ。 ワタシ、あのオトコの言うとおりに 動くしかなかったの。 死体と‥‥キゼツしたマコちゃんを 店内から運び出して‥‥ キッチンにかくしたの。 すべてを見なかったことにして‥‥ |
成: |
”あのオトコ”‥‥ 芝九蔵 虎ノ助、ですね。 |
裁: |
‥‥証人。 もう1つ、うかがいましょう。 ‥‥被告人のエプロンから、 毒薬と宝クジが見つかりましたが、 これも、あなたが‥‥? |
本: |
ち‥‥ちがう! ワタシは知らなかった! マコちゃんにツミを着せる なんて‥‥ワタシ‥‥ 聞かされてなかったわ! そんな、ヒドいコト‥‥ |
裁: | ゴドー検事! |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥芝九蔵 虎ノ助を 証人として召喚してください。 本日中にはムリでしょうから、 審理は中断します。 このつづきは、明日‥‥ |
ゴ: | ‥‥30分だ。 |
裁: | な‥‥なんですか? |
ゴ: |
オレは、審理をつづけるぜ。 30分後‥‥コイツを 証言台に立たせる。‥‥かならず。 |
成: | ご、ゴドー検事‥‥ |
ゴ: |
安心するのは早いぜ、 まるほどう‥‥ そこのコックが、本当のコトを 言ってるかどうか‥‥? まだまだ、判決の行方は わからねえさ。 |
裁: |
わかりました。 あなたにまかせましょう。 芝九蔵 虎ノ助の到着しだい、 審理を再開します。 それでは‥‥ これより、30分間の 休憩に入ります! |