成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
須々木 マコ…橙 | |
芝九蔵 虎之介…紫 | |
鹿羽 うらみ…灰 | |
本土坊 薫…桃 | |
五十嵐 将兵…紺 | |
小池 けいこ…黄 |
ゴ: |
じゃあ、ジイさん! アンタは、立証できるのか? 1ヶ月前の”弁護士”が このオトコだった、とッ! 証言台に立って 立証できるって言うのかッ! |
裁: |
‥‥‥‥ぐふッ! ふ、ふむう‥‥‥‥ |
虎: |
‥‥ちょっと‥‥ おっちゃん‥‥ か、カンベンしてェな。 |
成: | ‥‥‥! |
虎: |
ワイ、そんなんチャウで。 やってへん、やってへん。 なァ‥‥、見まちがいやろ? そう言ってぇな、おっちゃんやァ。 |
成: |
ぷ‥‥プライドはないんですか! あなたには‥‥ |
ゴ: |
‥‥コイツは プライドの問題じゃねえ。 オレたちは法廷にいて‥‥ イノチのやりとりをしているのさ! |
成: | ぐ‥‥‥ッ! |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ そのとおりですな。 |
成: | さ、裁判長‥‥! |
裁: |
”個人”としての私には、 カクシンがあります。 あの弁護士は、この証人だった! ‥‥しかし‥‥! 私は今、判決を下す立場‥‥ ”裁判長”として法廷にいます。 証拠のない”記憶”などに 左右されるわけにはいきません! |
成: | そんなああああああッ! |
裁: |
弁護側に証拠がない以上‥‥ この証人の審理は、ここまでです。 きわめて疑わしいが、 ‥‥決定的ではない! |
真: |
そ‥‥そんな‥‥ ここまで来たのに! |
ゴ: |
岡 高夫に変装しようが、 弁護士に変装しようが‥‥ それが”殺人罪”を 立証するワケじゃねえ。 コーヒーに毒を入れた 証拠なんか、どこにもねえぜ! |
成: |
うおおおおおおおおおおおおおおお おおおおおおおおおおおおおおッ! |
虎: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ケッ! |
成: | ‥‥! |
虎: |
ザンネンだったのォ、成歩堂‥‥ このゼニトラァ! ナメたらメチャ、しょっぱいでェ! |
成: |
(この裁判‥‥アイツを 追いつめるしかなかった‥‥ ”自分からツミを認めさせる” ‥‥もう少しだったのに‥‥) |
ゴ: |
クッ‥‥! どうやら‥‥もう、 おかわりは必要ないようだぜ。 |
成: |
(証拠が‥‥あと1つ。 あと1つだけあれば‥‥ マコちゃんを‥‥ 助けられるのに‥‥!) |
裁: |
それでは、この証人の 審理は、これで終了します! |
| |
裁: | あ、あなたは‥‥ |
成: |
|
糸: |
お待たせしたッス! この自分が‥‥自分がッ! 消えそうな刑事生命のすべてを かけて、今ここにッ! 持ってきたッス! 燃えそうなアイのためにッ! |
裁: | い‥‥いったい、何を‥‥? |
糸: |
‥‥‥決まってるッス! モチロン‥‥‥ 決定的な証拠ッスゥゥゥッ! |
裁: |
な‥‥‥‥‥ なんですっとォォォォォッ! |
地方裁判所 被告人第1控え室 | |
糸: |
おそくなってすまないッス! 検査結果が出たッス! |
成: | け‥‥”検査結果”‥‥? |
糸: |
指紋ッスよ! この、クスリビンの‥‥! |
真: |
あ‥‥ッ! どうでした? わかりましたか、指紋のヌシ! |
糸: |
もちろんッス! 自分をナメちゃダメッス! |
真: |
で? で? ‥‥やっぱり、 ゼニトラだったんでしょ? ヌシ。 |
糸: |
ふっふっふっ‥‥ モチロンッス! この小ビンには‥‥ ハッキリ残っていたッス! 芝九蔵 虎ノ助の指紋がァッ! |
真: |
よおし! やったぜ、 なるほどくん! |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
どーしたの、さっきから! ダマりこんじゃって! せっかく、イトノコさんが がんばってくれたのに‥‥ |
成: |
‥‥ゴメン。 言いにくいんだけど‥‥ 今さら、このビンにダレの指紋が ついていても‥‥イミがないんだ。 |
糸: |
え‥‥! ど、どういうコトッス? |
成: |
今、ぼくたちが提示しなければ ならないのは‥‥ ”芝九蔵がコーヒーに毒を入れた、 決定的な証拠”‥‥です。 芝九蔵は、被害者と会ったことは もう、とっくに認めています。 この小ビンにアイツの 指紋がついていても‥‥ 今となっては‥‥ まったく、イミがないんです。 |
糸: |
‥‥‥‥!! ‥‥‥‥やっぱり。 こんなときでも‥‥ 自分は、役に立たないッスね。 |
真: | イトノコさん‥‥ |
糸: |
これが‥‥マコクンを助けられる、 最後のチャンスだったのに‥‥ 自分は‥‥なんのイミもないコトに 必死になって‥‥ ただのバカッスね、やっぱり。 |
?: |
‥‥‥あの‥‥‥ イトノコ‥‥センパイ‥‥ |
真: |
あ‥‥ ま‥‥マコちゃん! |
マ: |
センパイ‥‥アタシのために、 今まで‥‥? |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ダメなセンパイッス。 マコクンが犯人じゃないコトは、 自分には、よくわかっているッス。 ‥‥それなのに‥‥ 自分は‥‥刑事なのに‥‥ すまねッス! もー、 合わせるカオがないッス! |
マ: | い、イトノコセンパイ! |
成: | (行っちまった、か‥‥) |
真: |
なるほどくん! なんとかならないの? |
成: |
(‥‥なんとかしたいさ、 ぼくだって‥‥! イトノコ刑事が‥‥必死で 持ってきてくれた、証拠品‥‥ 何か‥‥使い道はないのか! ‥‥何か‥‥!) |
ポケットにしまった。 | |
地方裁判所 第4法廷 | |
裁: | ‥‥弁護人。 |
成: | ‥‥はい。 |
裁: |
”決定的な証拠品が発見された” ということで休廷しましたが‥‥? |
成: | は‥‥はい‥‥。 |
ゴ: |
さっそく、提示してもらおうぜ。 その、<<証拠品>>とやらを。 ‥‥当然‥‥ 完全な立証能力を持つ 証拠品‥‥なんだろうなあ。 |
成: |
(考えるんだ‥‥成歩堂 龍一! イトノコ刑事の努力を ムダにしないためにも‥‥!) |
虎: |
フン! アホらしいワ。 初めて裁判ってモンを見たケド‥‥ やっぱり、大したコトないのォ。 ‥‥弁護士なんて連中は! |
裁: |
それが<<決定的>>である以上、 多くを語る必要はないはず。 ただ、一度だけ‥‥ 証拠品の提示を認めましょう! |
成: |
(‥‥証拠品での立証は、 まず不可能だ‥‥ この絶体絶命のピンチ‥‥ つけいるスキがあるとすれば 勝利をカクシンした アイツの、気のゆるみ‥‥か!) |
裁: |
それでは、弁護人。 ‥‥提示してください。 証人の犯行を立証する、 最後の証拠品を‥‥! |
成: |
‥‥これが、弁護側の提出する 最後の証拠品です! |
裁: |
こ、これは。 たしか、被害者の‥‥ |
成: |
‥‥裁判長。 こいつの中身は、法廷中の だれもが知っています。 モンダイなのは‥‥ この小ビンに、ハッキリと 指紋が残っていることです! 芝九蔵 虎ノ助‥‥証人! あなたの指紋が! |
虎: | な‥‥なんやて‥‥? |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
し‥‥しかし、成歩堂くん。 今さら、その小ビンの指紋が どうしたと言うのですか‥‥? |
成: |
(‥‥この法廷にいた人間は、 当然、ビンの中身を知っている。 しかし‥‥たったひとりだけ! 知らないはずの人物がいる‥‥) |
虎: |
そのチンケなビンに、ワイの 指紋がついている、やてェ‥‥? それがいったい、なんやァッ! |
成: |
(ニセモノの裁判、ニセモノの弁護 ‥‥そしてニセモノの手がかり。 すべてがニセモノだった、この 事件のカタをつけるのは‥‥ やはり<<ニセモノの証拠>>こそが ふさわしい!) 芝九蔵さん。‥‥これは、 致命的な証拠品なのです! なぜなら! この小ビンに入っているのは‥‥ |
成: |
これは‥‥青酸カリが 入っていたビンなのです。 |
裁: | せ‥‥せいさんかり‥‥? |
成: |
岡 高夫さんの殺害に 使用された、猛毒です。 犯行に使われたのは‥‥ この小ビンだった! |
虎: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
その、猛毒の小ビンから あなたの指紋が発見された。 いかがですか、証人ッ! |
虎: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ハァッハッハッハッハッハッハァ! ‥‥ケッサクやなァ、アンタ‥‥ |
成: | な‥‥なんですか? |
虎: |
いくらニラんでもムダや、ムダァ! ホンマ、笑わせてくれるワ‥‥ そんな安ぅいハッタリで‥‥ ゼニトラをダマせると思ォたか? |
成: | は、<<ハッタリ>>ですって‥‥? |
虎: |
ミエミエのシバイ、打つなやァ! 成歩堂 龍一ィィッ! そいつは、青酸カリが入っていた ビンやないでェッ! |
成: |
し、しかし! たしかに このビンには、猛毒が‥‥ |
虎: |
このゼニトラァ! ナメたらメチャ、しょっぱいでェ! 青酸カリの入ったビンは、 茶色い、ガラスビンや! そォんなセコい小ビン‥‥、 ゼンゼンちがうやないかアァッ!
|
成: | (これで‥‥終わった‥‥) |
虎: |
な‥‥なんや? なんで‥‥みんなダマっとるんや! そ、その小ビンは‥‥ |
成: |
あなたの言っているビン‥‥ これのことですか? |
虎: |
そうや! それやッ! 青酸カリが入っていたのはッ! その茶色のビンに‥‥ ワイの指紋はついとらんハズや! み‥‥みんな、この弁護士に ダマされたら、アカンで! 検事さんよォ! アンタも なんか言うてくれやッ! |
ゴ: |
‥‥‥まだ‥‥‥ わからねえのか? 自分が今、何を言ったのか‥‥ |
虎: | ど‥‥‥どういうコト、や‥‥? |
成: |
あなたは、さっき初めて、 この法廷に召喚されてきました。 もし、この殺人事件に 関係がないのならば‥‥ 知っているハズがないんですよ。 青酸カリが、どんなビンに 入っていたか、なんて‥‥ね。 |
虎: | あ‥‥ああああ‥‥! |
成: |
あなたは、たった今 認めたんです! 自分自身が犯行に使用した、 猛毒の小ビンを! |
虎: |
う‥‥ううう‥‥ッ! そんな、アホな! ‥‥この、ゼニトラが‥‥ 億単位のカネを動かす、闇金融の プリンスがァァァ‥‥ こんな、ワカゾウに‥‥ッ! |
成: |
たしかに‥‥最後の証拠品は ニセモノでした。 しかし! あなたには ニセモノの証拠こそ、ふさわしい! ‥‥ニセモノの裁判、 ニセモノの弁護士‥‥ そして、あなた自身! すべてがニセモノだったのです! |
虎: |
ぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐぐ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ウオガァアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアアア アアアアアアアアアアアアアアア |
裁: | な‥‥‥ナニゴトですかッ! |
係: | どうやら‥‥停電のようです! |
ゴ: | やってくれたな‥‥まるほどう‥‥ |
ゴ: |
‥‥17杯目のコーヒーは、 アンタにおごっておくぜ。 |
ゴ: |
ゆっくり、味わうがいいさ‥‥ ‥‥アンタのエモノを ながめながら、な‥‥。 |
裁: |
‥‥今度こそ‥‥ 終わったのですね。 ゴドー検事。 芝九蔵 虎ノ助は? |
ゴ: |
‥‥緊急逮捕した。 岡 高夫・殺害容疑、だ‥‥。 |
裁: |
どうやら、ワレワレは‥‥ 恐るべきあやまちを、ただすことが できたようですね。 弁護士不在のまま、 判決を下してしまった、という‥‥ |
成: | ‥‥そうですね。 |
ゴ: |
証拠は‥‥なかった。 ヤツの、たったヒトコトさえ なければ‥‥ |
裁: |
‥‥そのとおり。 芝九蔵 虎ノ助は‥‥ ツミを逃れていたかもしれません。 恐ろしい‥‥犯人でしたな。 |
ゴ: |
クッ‥‥! 本当に恐ろしかったのは‥‥ そこの弁護人だった‥‥のかも、 しれねえな‥‥ |
成: | (‥‥ゴドー検事‥‥) |
裁: |
何はともあれ‥‥ 決着は今、つきました。 被告人・須々木 マコに、 改めて判決を言いわたします! |
裁: | ‥‥では、本日はこれにて閉廷! |
地方裁判所 被告人第1控え室 | |
マ: |
な、成歩堂さん! アタシは‥‥スズキは‥‥‥ もー、なんと言っていいかッ! ありがとうございましたッ! |
真: | おめでとう! マコちゃん! |
マ: |
1ヶ月前の裁判で、成歩堂さんに こっぴどくハメられたのも‥‥ 今じゃ、ちょっぴり ユルせるキモチになりましたっ! |
成: |
い、いやいや! だから、アレは 芝九蔵だったんだから‥‥ |
真: |
あ‥‥! なるほどくん! ‥‥あの、ドアのところ‥‥ |
成: | (‥‥い、イトノコ刑事‥‥!) |
糸: |
あ‥‥じゃッ! そういうコトで‥‥! |
成: | ま、待ってくださいよ! |
糸: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
マ: | イトノコセンパイ‥‥ |
糸: |
あー、その。 マコクン、おめでとうッス! |
マ: | ‥‥ありがとうございます。 |
糸: | ‥‥‥‥‥‥ |
マ: | ‥‥‥‥‥‥ |
糸: |
じ、自分は信じていたッス! マコクンの無実を‥‥ |
マ: |
‥‥‥‥‥‥ そのコトバ、 証言の時に聞きたかったッス。 |
糸: |
むぐぎゅ! あー‥‥と。その‥‥ なんッスねえ‥‥。 ‥‥‥‥‥‥ じゃッ! そういうコトで‥‥! |
成: |
‥‥ちょっと! イトノコ刑事! (走っていっちまった‥‥) |
真: |
ま、マコちゃん! いいの‥‥? イトノコさん、マコちゃんのために がんばったんだよ! このクスリビンだって、 イトノコさんが‥‥ |
マ: |
そんなの、ケッキョク 役に立たなかったッス! |
真: | え‥‥‥ |
マ: |
成歩堂さんが、うまく 使ってくれたから‥‥ センパイは、ただひたすら、 カラ回りしてただけッス! |
成: |
(‥‥やれやれ) イトノコ刑事のコト‥‥ まだ、ユルせないみたいだね。 |
真: |
ね。なるほどくん‥‥。 なんとかしてあげられないの? |
成: |
(そうだなあ‥‥) ‥‥ねえ、マコちゃん。 イトノコ刑事は、いつもきみの コトをシンパイしてたんだよ。 |
マ: |
自分も、そう信じて いたかったッス。‥‥でも! 1日目の裁判‥‥ センパイの証言で、スズキ‥‥ あやうく、死にかけたッス! |
成: |
‥‥それは、しかたないよ。 彼は<<刑事>>だからね。 |
マ: |
自分を‥‥スズキのコトを、 ウタガってたに決まってるッス! |
成: |
(イトノコ刑事のキモチを、 彼女に伝えてあげよう。 マコちゃんへの、無罪判決の <<お祝い>>だな‥‥) |
成: |
‥‥はい、これ。 無罪判決の、お祝い。 |
マ: | こここ、これは‥‥! |
成: |
イトノコ刑事、入魂の プレゼントだよ。 |
真: |
マコちゃん、ちょっと ヤセたみたいだから、って。 |
マ: |
せ‥‥センパイ‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ アタシ‥‥ じつは、ウインナー‥‥ そんなにキライじゃないッス。 |
真: |
そういえば‥‥ おなかへったよねえ。 |
成: |
‥‥今日の裁判、ずいぶん 長くかかったからなあ。 |
マ: |
‥‥あの‥‥。 食べてもいいッスか? これ‥‥。 |
真: | |
マ: |
|
成: |
ニセモノだらけの物語は、 これでおしまいだ。 マコちゃんをとり巻いていた いつわりは姿を消して‥‥ ‥‥本当の物語が、これから 始まるのかもしれない‥‥ |