第5話『華麗なる逆転』探偵パート1日目(その1)

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成歩堂 龍一…黒
綾里 千尋…赤
綾里 真宵…青
綾里 春美…黄緑
御剣 怜侍…茶
狩魔 冥…水
糸鋸 圭介…黄土
ゴドー検事…薄橙
裁判長…緑
裁判官…黄
矢張 政志…紺
天龍斎 エリス…桃
毘忌尼…橙
葉桜院 あやめ…藤
美柳 ちなみ…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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倉院の里に伝わる秘宝
‥‥<<七支刀>>‥‥。
その刀は、ぼくたちの人生を
あらわしているのだそうだ。
無数に枝わかれして、無限に広がる
かに見える、ぼくたちの運命‥‥
しかし‥‥その切っ先は、
いつだって、ただ1つ。
ヨウシャなく運命の糸を切り裂き
‥‥最後に、刺しつらぬく。
そして‥‥避けることのできない、
”決着”をつける‥‥


2月6日 午前9時48分
成歩堂法律事務所

真: あのさ、なるほどくん。
成: ん? なに。
真: あたしって、霊力があるでしょ?
なるほどくんとちがって。
成: まあ‥‥霊媒師、だもんね。
真: でも、キタえないとナマるワケ。
なるほどくんといっしょで。
成: へえ‥‥そんなモンなんだ。
真: そこで‥‥
ホラ、はみちゃん! おいで。
成: (春美ちゃん‥‥?)
春: そこで! この<<霊場破りツアー>>
なのです、なるほどくん!
成: ‥‥な、なに? その雑誌。
春: <<お!カルト>>新年号。
真冬の霊場・大特集ですっ!
成: ‥‥はあ。
(春美ちゃん、うれしそうだな)
真: ”一晩のキッツーい修行で、
霊力がグッグーンとアップ!”
‥‥どうよ、ユメみたいでしょ!
成: たしかに、ユメみたいだね。
‥‥とてもイヤな。
真: <<葉桜院(はざくらいん)>>って
いう霊場なんだけどさ。
すごい山奥にあるの。きっと
今なら、いいぐあいにサムいよ。
成: (ゼッタイ行きたくない)
真: 葉桜院って、そのスジじゃ
ちょっと有名な霊行道場なんだ。
あたしたち霊媒師でも、
なかなか予約、とれないんだから!
成: 予約‥‥して行くモノなんだ。
春: ええ! このたび、
わたくしが、トクベツにご予約を。
真: あたし<<スペシャル・コース>>
申しこんじゃった!
成: ま、いいんじゃないかな。
行ってくれば。
‥‥今、依頼もないし。
真: よーし、ハナシは決まったね!
じゃ、ホラホラ。ぼやぼやしないで
さっさとしたくする。
春: ダメですよ、ぼやぼやしては。
成: え‥‥‥。
な、なんでぼくが行くんだよ!
真: 20才以上のヒトがいっしょ
じゃないと、ダメなんだって。
成: でも! ぼく、霊力なんて
カンケイないぞ。
その<<葉桜院>>って‥‥
温泉でもあるの?
春: 冷たい滝で身を清めましょうよ!
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ワルいけど、やめとくよ。
サムいの、ニガテだし。
真: ええええ! そんなあ!
ワガママ言わないでよー!
春: ほ、ホラ。見てくださいっ!
とてもステキなところですよ!
成: いやいやいや。とにかく‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
春: ど、どうしたのですか?
なるほどくん‥‥
成: ちょっと、その雑誌‥‥
見せて!
こ、この尼さん‥‥

(美柳 ちなみにそっくりな尼僧)
真: なに、トモダチなの?
なるほどくん。
成: (‥‥この子は‥‥この子は!)

ち: 『‥‥お名前は、美柳 ちなみと
申しますわ。
ふつつか者ですが‥‥なにとぞ、
よろしくおねがいいたしますね。』
『ほんッと、宇宙のはてまで
たよりにならないオトコ。
‥‥クズがッ!』

成: ‥‥そ‥‥
そんなハズはない!
(彼女は有罪判決を受けて、
今も‥‥刑務所に‥‥)
春: ‥‥どうされたのですか?
なるほどくん。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
行くよ。
真:え‥‥?
成: <<葉桜院>>だっけ。
‥‥ぼくも行く。
真: やったぜ、はみちゃん!
春: ええ、ええ。それはもう。
さすがなるほどくん!
真宵さまのためならば、
いつも火の中、水の中ですから!

あやしい雑誌<<お!カルト>>を
春美ちゃんからもらった。
成: (‥‥美柳 ちなみ‥‥
こんなところに、いるはずがない
‥‥それは、わかっている。
ただ‥‥なんとしても、
たしかめたかった。
‥‥この、尼僧の正体を‥‥)


2月7日 午後3時24分
葉桜院 山門

真: ささささ、サムいよなるほどくん。
キョーレツに。
成: そんなカッコで来るからだよ。
真: しゅしゅしゅしゅ、修行だからね、
ここここ、これも。
‥‥ハックショ!
成: (声がうわずってるな‥‥)
春: わあ、これがウワサの<<葉桜院>>
なのですね、真宵さま!
真: はははは‥‥はみちゃん。
はははは‥‥ハックショ!
?: おやおやおやおや。
これはこれは‥‥いらっしゃい。
真: あ‥‥! どど、どどどどうも‥‥
ハックショ!
?: あらあらあらあら。
とおいところをわざわざ。
さあさ、さあさあ。
サムかったでしょお?
成: ”サムかった”というか‥‥
現在進行形でサムいです。今
?: まあまあ、こんな山の中でしょ。
そりゃサムいわよぉ。
こんなところで立ち話もなんだし。
‥‥どぉぞどぉぞ、こちらへ。
真: あ、スミマセン。ホント、
あたしもう、イシキがモーロー
?: あ。そうそうそう。
自己紹介、しないとねぇ。
オバサンね。葉桜院の住職よぉ。
名前は、ビキニ。
真: ‥‥びび、”びきに”‥‥?
毘: そぉぉなのよ!
”法名”っていうんだけど、
どう思う?
漢字で書くと、”毘忌尼”なんて、
もっともらしいんだけどねぇ。
いいトシしてビキニよビキニ。
ま、若くてもどうかと思うけど。
わはは。はは。わはははは。
真: あたし、スペシャル・コースを
申し込んだんですよ!
毘: あらあらあらあら。
このサムいのにスペシャル?
イノチしらずねぇ、ワカい子は。
死んでも知らないから。
わはは。はは。わはははは。
春: い、”イノチ知らず”‥‥?
真: わ、”わはははは”‥‥?
春: あの、真宵さま。やはり今夜は
やめておいたほうが‥‥
真: え。でも‥‥せっかく
はみちゃんが予約してくれたの
毘: ま。ま。ま。ま。せっかくだから、
ゆっくりしていってね。
まだ、晩ゴハンまで時間あるし。
そのへん、見てきたらいいよ。

(「霊行道場・葉桜院」を聞く)
成: あの‥‥。
霊行道場、というのは‥‥?
毘: あらあらあらあらあら。
そんなコトも知らないで来たの?
真: すみません、住職さま。
このモノは、なにぶんシロウト
毘: まあまあまあ。ビキニでいいから。
オバサンのコトは。
霊行道(れいぎょうどう)は、
霊力を引き出す修行のコトよぉ。
ここにはねぇ。そのための
宝具がまつられているワケ。
成: ‥‥ほうぐ‥‥
毘: 一晩かけて、その前でキチンと
修行すれば、あぁらフシギ。
霊力がモリモリムクムクワクワク。
いい感じでしょ? わははははは。
成: (ホントかなあ‥‥)
真: あの‥‥スペシャル・コース、
っていうのは‥‥
毘: まあホントにねぇ。ワカいのに、
マニアックなんだから、アナタ。
霊氷の上に座って、
呪詞を3万回となえる修行ね。
‥‥キンキンに冷えきった
宝水をあびながら。
真:え‥‥
毘: ホラ。2月でしょ、今。
この季節だとねぇ‥‥
ちょっと油断すると、
アッというまに凍っちゃうから。
気をつけなさいよ。
わは。はは。わははははは。わは。
真: ‥‥どう気をつければ
いいんだろ‥‥
春: ううう‥‥やはり、やめておけば
よかったのでしょうか‥‥

(「もうひとりの尼僧」を聞く)
成: あの‥‥住職さん。
この写真なんですけど。
毘: あらあらあら。オバサン、なかなか
よく写ってるじゃなぁい。ねえ?
成: と、とてもステキだと思います。
毘: でしょお? でしょお?
わは。わははははは。わはは。
おケショー、タイヘンだったのよ。
‥‥あやめに手伝ってもらって。
真: ”あやめ”さん‥‥?
毘: そ。そ。写真に写ってる、
オバサン似のカワイイ子ね。
ここって、小さな霊場だから。
2人で切り盛りしてるのよぉ。
真: へええ。なんか、楽しそうですね
成: あ、あの‥‥!
この”あやめ”さんですけど‥‥
今、どこに?
毘: あらヤダね、この子ったら!
こんな山奥まで、ガールフレンド
探しに来たのかしら?
春: ‥‥ジロリ!
成: い、いやいや!
そういうワケでは‥‥
毘: あやめなら、奥の院のほうで
今夜の準備をしてるわよ。
真: おくのいん‥‥?
毘: まあまあまあまあ。あやめなら、
夜になれば戻ってくるから。
オバサンの本堂でも
見に行ってよ。わは。わはははは。
成: (<<奥の院>>、か‥‥)

(「葉桜院・本堂」に移動する)


同日 某時刻
葉桜院 本堂

真: ままま、ますますサムいね、
この本堂‥‥ハックショ!
春: あ! なるほどくん!
カレーのにおいがしますよっ!
真: お、ホントだ!
今夜はカレーだね!
成: ‥‥あれ。こういうところって、
精進料理を食べるんじゃあ‥‥?
真: ナニ言ってるの、なるほどくん。
こんな夜は、問答無用で
カレーに決まってるでしょ!
春: わたくし。カレーライス、
だいすきですっ!
?: ふふふ‥‥愛らしい修験者さんね。
ごきげんよろしゅう、みなさま。
成: あ‥‥こ、こんにちは。
(真宵ちゃんとはちがったイミで、
これまたアヤシイ‥‥)
真: その装束‥‥。スペシャル・コース
と、お見受けしましたが‥‥?
?: ふふふ‥‥ザンネンだけど、
ちがうの。わたくしは‥‥
春: きゃあああああああっ!
こ‥‥このカタは‥‥
このカタは‥‥!
天流斎(てんりゅうさい)エリス
先生ではないですかっ!
エ: まあ‥‥。わたくしを
知ってるのかしら?
春: わ、わた、わたくし、あの。
綾里 春美と申します!
その‥‥だ、大ファンですっ!
真: ダレ? なるほどくん。
成: さあ‥‥。ぼくのスイリでは、
ズヴァリ! ‥‥占い師かな?
春: わたくし‥‥先生のご本、
みんな持っています!
エ: ふふふ‥‥いい子ね、春美ちゃん。
どうも、ありがとう。
成: ”ご本”‥‥?
春: なるほどくん、ヒジョーシキです!
先生をご存じないなんて。
成: は、はあ‥‥。
あの。作家さん‥‥なんですか?
エ: ‥‥ええ。絵本を、少し。
真: えほん‥‥かあ。
なるほどねー‥‥

(「天流斎エリス」を聞く)
成: あの‥‥。
知らなくてすみません。
絵本、あまり見る機会が
ないものですから‥‥
エ: ムリもありませんね。
子どもむけの、やさしいものを
描いておりますから。
春: エリス先生の絵は、
それはうつくしいのですよ。
わたくし、いつもココロを
洗われる気持ちになります。
エ: ふふふ‥‥うれしいわ。
そう言ってもらえると。
成: (見た目はともかく‥‥
たしかに、とても
キレイな目をした先生だな)
春: 先生は去年、『まほうのびん』で
賞をおとりになったのですよね!
エ: ええ。‥‥たまたま描いたものを、
知人がコッソリ出版社に。
それが、そのまま
本になってしまいましたの。
成: へえ‥‥。よっぽど
スゴかったんですねえ。
真: ‥‥あたしも、たまたま描いて
みようかなあ、絵本。
なるほどくん、コッソリ
持ちこんでね。出版社に。
エ: 最近は、弟子にしてほしい
という殿方もいましてね。
成: お弟子さん‥‥ですか?
エ: 天流斎 マシスを
名乗っております。
どこかで風景のスケッチを
していると思いますから‥‥
マシスのほうも、
よろしくおねがいいたします。
春: はいっ! エリス先生!
エ: ふふふ‥‥。

(「ここへ来た理由」を聞く)
春: あの‥‥先生は、どうして
<<葉桜院>>にいらしたのですか?
やはり、修行‥‥なのでしょうか。
エ: ふふふ‥‥そうじゃないわ。
じつはね。ここで、新しい
絵本を描こうと思っているの。
春: まあ! ‥‥ステキです、先生。
成: (春美ちゃん‥‥
うっとりしてるぞ)
エ: わたくし‥‥今までは、西洋の
おはなしを描いていましたから。
成: ‥‥だから、そんなカッコウを?
エ: 子どもたちは、わたくしどもに
ユメを持っているのです。
それに、少しでも
こたえたいと思って‥‥。
成: (はあ‥‥。やさしい
ヒトなんだな‥‥)
春: あ。でも先生、修験者の
装束を着ておられますね!
エ: ええ。住職さまが用意して
くださったものですから‥‥
ローブの下に、着させて
いただいているのよ。
真: ‥‥あたしも、そんなツエが
ほしいなあ。
エ: ああ、この水晶‥‥?
これはね。ホンモノなのよ。
真: ‥‥あとで、山で1本
拾ってこようかな。
水晶のほうはよろしくね、
なるほどくん!
エ: ‥‥それでは、そろそろ
シツレイしますね。
お夕食のしたくがありますから。
春: え! エリス先生が
お作りなのですか? カレー‥‥
エ: そうよ。春美ちゃんも
手伝ってくれるかしら?
春: わあ! わたくし、
なんでもやりますとも!
成: (春美ちゃん‥‥すっかり、
なついてしまったみたいだ)
真: あ。じゃ、あたしも‥‥
エ: ‥‥いいえ。
気にしないでいいのよ。
真宵さんたちは、ゆっくり
遊んでいらっしゃいな。
真: え! でも‥‥
エ: ‥‥ああ。よかったら、
これをお持ちなさい。
この付近の見取り図よ。
迷子にならないようにね。
成: (‥‥橋の向こうにあるな。
<<奥の院>>‥‥)
じゃあ‥‥おコトバにあまえて。
その辺を見て来ます。

<<葉桜院の見取り図>>のデータを
法廷記録にファイルした。
春: それでは、
いってらっしゃいませ!
おふたりとも、
ケンカしちゃダメですよ!
真: よし! じゃあ行ってみようか、
なるほどくん!

(「葉桜院・山門」に移動する)


同日 某時刻
葉桜院 山門

真: あれ。毘忌尼さん、
どこか行っちゃったね。
成: <<奥の院>>に行ったのかな。
あの‥‥、彼女を手伝いに。
真: ああ。たしか、
”あやめさん”だったっけ。
成: ‥‥あ、ああ。
そんな名前だったね。
(正体を知りたいような、
コワいような‥‥)
真:‥‥‥?

(「吊り橋」に移動する)


同日 某時刻
吊り橋前

真: うわあ! ボロい吊り橋があるよ、
なるほどくん!
成: そ、それより‥‥ものスゴい
ガケになってるぞ。この下。
真: おお。川が流れてるよ!
けっこう、流れがはやいねえ。
‥‥‥どうしたの?
コシが引けてるよ、なるほどくん。
成: ちょっと、ニガテなんだよ。
‥‥高いところ。
真: ふううん。
‥‥あ、そうだ!
じゃあ、じゃあ。いっそ、
落っこちてみたらどうかな?
ここから、えい! って。
意外と、いい修行に
なるんじゃないかな!
成: ‥‥人生修行にはなるだろうね。
それにしても‥‥ボロい橋だなあ。
真: そりゃそうだよ。
なんと言っても、ホラ。
橋の名前、<<おんぼろ橋>>だもん。
成: いやいや、よく読めよ。
<<おぼろ橋>>だろ。
真: ま。似たようなもんだけど。
この先が<<奥の院>>だね。
はりきって行ってみようか!
成: ううう‥‥できれば、
わたりたくないなあ。吊り橋は‥‥

(「奥の院・修験堂入口」に移動する)


同日 某時刻
奥の院・修験堂前

真: いやあ、揺れまくったねえ。
あの吊り橋。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
真: しかも、ところどころ
コワれかけてたし。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
真: 橋のサイゴなんて、板キレが1枚
置いてあるだけだったもんねー。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
真: どうしたの?
カオがミドリ色だよ。
成: ‥‥ぼ、ぼくのコトは
ほっといてもらえるかな。
あの橋をブジ、わたり終えた
カンゲキにひたってるんだ。
真: ふうん。
‥‥それにしても、すさんでるね。
今にもくずれそうだよ。
成: あんまりヒトが
来ないんだろうな。
こんなところで修行するの?
‥‥今夜。
真: そ、そうみたいだね。
コワいなあ。
オバケ、出ないかなあ‥‥
成: (霊媒師がオバケをこわがるのは
どうかと思うな‥‥)

(「奥の院・修験堂内」に移動する)


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