成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
裁判長…緑 | |
裁判官…黄 | |
矢張 政志…紺 | |
天龍斎 エリス…桃 | |
毘忌尼…橙 | |
葉桜院 あやめ…藤 | |
美柳 ちなみ…紫 |
奥の院・修験堂内 | |
成: |
‥‥なんだか、スゴいな。 サムくて小さな部屋だけど‥‥ 今夜は、ここで修行するの? 真宵ちゃんたち。 |
真: |
え? ううん、修行するのは あたしだけだよ。 |
成: | あれ‥‥そうなの? |
真: |
だってさ。はみちゃんには ムリでしょ、さすがに。 |
成: |
(ぶるぶるフルえてる 真宵ちゃんのほうがムリっぽい) |
真: |
それに‥‥修行場は、きっと あの扉の向こうじゃないかな。 なんだか、それっぽい空気を 感じるもん。 |
成: |
(たしかに‥‥神秘的な空気が ただよっているな‥‥) |
?: |
‥‥あの‥‥ 失礼ですが、あなたがたは‥‥ ‥‥あ‥‥っ。 |
成: | き‥‥きみは‥‥‥ |
真: |
こんにちは! あたしたち、 今晩、お世話になるんですけど‥‥ |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
‥‥‥? どうかしましたか? |
?: |
あっ。いえ! な、なんでもありません‥‥ |
真: |
なんか、うろたえてるねえ、 なるほどくん。 |
成: |
え‥‥あっ。なな、なんか言った? ま真宵ちゃん。 |
真: |
‥‥なるほどくんまで うろたえてる‥‥ |
あ: |
あ‥‥あやめ、と申します。 この宿坊の‥‥尼僧でございます。 |
真: |
綾里 真宵です。 今晩は、よろしくおねがいします! |
あ: |
こちらこそ‥‥。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あ。そ、それでは! 準備がありますので‥‥のちほど。 |
真: |
はああ‥‥キレイなひとだねー。 ちょっと、ぽーっとしてたけど。 やっぱり、あたしたちみたいな 都会っ子がめずらしいのかな。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: | なるほどくん? |
成: | (‥‥彼女‥‥。どう見ても‥‥) |
真: | ‥‥‥? |
真: |
この向こうだね、修行場。 どんなところかなー。 ううう‥‥、 カギがかかってるよ。 はい、なるほどくん。 開ける開ける。 |
成: | ‥‥ムリだよ。 |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ なんか、さっきから ノリが悪いなあ、なるほどくん。 ‥‥ズヴァリ! あやめさんのコトでしょ! |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
あははははは! 赤くなった赤くなった! |
成: |
(掛け軸‥‥か。そんなに 古いものじゃないな‥‥) |
真: | きゃわわあああああっ! |
成: |
きゃわわあああああっ! ‥‥って、なんだよ! 急に‥‥ |
真: |
ここ、これ! このひと‥‥ あ、あたしの‥‥‥ おかあさん‥‥‥ |
成: |
え‥‥‥ ええええええええええええッ! |
真: |
‥‥綾里 舞子。 倉院流霊媒道の、家元‥‥ |
成: | ま‥‥まちがいないの? |
真: |
うん‥‥。 ‥‥掛け軸の上に、 <<紋>>があるでしょ。 あれがね。倉院流家元をあらわす <<アカシ>>なの。 |
成: | (あのマークが‥‥) |
真: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | ど、どうしたの? |
真: |
‥‥うん。 おかあさんがいなくなったの、 もう15年以上も前なの。 この<<紋>>がなかったら‥‥ 気がつかなかったと思うんだ。 おかあさんなのに‥‥あたし。 カオもわからないんだな、って。 |
成: | ‥‥真宵ちゃん‥‥ |
法廷記録にファイルした。 | |
おぼろ橋 | |
真: |
いやー、なんとか わたれたね、おんぼろ橋。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
なるほどくん、カオが 深ミドリ色になってるよ。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
真: |
もう! どうしちゃったの? 修験堂であやめさんに会ってから、 急にダマりこんじゃって。 |
成: | え! あ、ああ。ごめん‥‥ |
?: | そこのアンタ! ‥‥ちょっと! |
真: |
‥‥‥? あたしたちのコトかな。 |
成: |
そ‥‥そうみたいだね。 他にだれもいないし‥‥ |
?: |
コマるんだよなー、 そこに立たれるとさあ。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥あ。 |
真: |
あれ! あなたは、たしか‥‥ |
?: |
うッ! ここ、これはどうも シツレイしました! ‥‥じゃッ。 |
成: | お、おい。ちょっと待てよ! |
?: |
は、はじめまして。 ‥‥天流斎 マシスです。 |
成: |
ウソつけ! ただの矢張だろうが。 |
矢: |
うるせえよ! オレは‥‥オレは‥‥ マシスなんだよおおおおおおおッ! おぼろブリッジを そぞろスケッチしてるんだあ! |
真: |
‥‥やっぱり、ヤッパリさんだよ。 ワケ、わかんないもん。 |
成: |
よりによって、 なんでおまえが天流斎なんだよ! |
矢: |
オレ‥‥オレよお‥‥‥ 生まれ変わりたいんだよ。 マッシロな自分に! |
真: | まっしろ‥‥? |
矢: | あっただろ? こないだの事件。 |
成: | (怪人☆仮面マスクの事件か‥‥) |
矢: |
オレ‥‥矢張 政志ってオトコが、 つくづくイヤになったんだ。 そんなとき、出会ったんだよ。 ‥‥あの、ウンメイの本に! |
真: |
”ウンメイの本”‥‥って、 もしかして! |
矢: |
『まほうのびん』だよ! 天流斎 エリス先生の! うつくしくて‥‥センサイで‥‥ そして、やさしくて。 オレ、ココロが洗われたんだよ! 救われたんだ! |
成: |
(ぼくも買ってみようかな。 ‥‥『まほうのびん』) |
真: |
あたしも、 ムショーにほしくなってきた。 |
矢: |
すばらしいヒトだよ、 エリス先生は! もお。一生ついてくぜ、オレは! |
真: |
なんていうか、 上品なひとですよね。 |
矢: |
だろ? だろ? だろ? だろ? ‥‥ほれ。盗み撮りした写真だぜ! |
真: | へええ。キレイに撮れてますねー。 |
矢: |
しょうがねえなー。 オマエにもわけてやるよ! |
法廷記録にそっと挟んだ。 | |
成: |
それにしても‥‥ おまえが”絵本”ねえ‥‥。 どうせ、何か 下ゴコロがあるんじゃないのか? |
矢: |
な、バ。バカ言ってんじゃねえよ! オレ‥‥もう、オンナなんか‥‥ オンナなんか、ダレも信じねえぞ! |
真: | ‥‥いきなり完全否定されたよ。 |
成: |
でも‥‥おまえ、 描けるのか? 絵本なんて。 |
矢: |
絵は、技術じゃねえよ。 ダイジなのは、キレイなココロさ。 |
成: |
だから聞いてるんだよ。 描けるのか、って。 |
矢: |
‥‥‥‥! ううん‥‥言われてみれば‥‥ どうなんだろ‥‥ |
真: |
まだ、ココロに 迷いがあるみたいですね。 |
矢: |
ジツは、そうなんだよ‥‥。 彼女をひとめ見た、そのとき! オレの中で何かが終わり、 何かが始まろうとしてるんだ。 |
真: |
お。ヤッパリさん、恋してますね! ‥‥エリス先生に。 |
矢: |
ちち、ちがうって! あのコだよ、あのコ! |
成: |
”あのコ”って、まさか‥‥? (イヤな予感がするな‥‥) |
矢: |
そう! このコ! あやめちゃん、な! |
真: | キレイなひとですよねー。 |
矢: |
もお、カンゼンに オレのタイプだぜ、ああいう子。 モデルになってくれねえかなあ。 ‥‥オレの絵。 |
真: |
ナニがなんでも、モデルさんが 好きなんですねー、ヤッパリさん。 ‥‥って、ヤッパリさん! もう、 女のヒトにはコリたんじゃあ‥‥? |
矢: |
えッ! あ? ああ。 ‥‥ああ、モチロンそうさ! そうなんだケド! |
真: | ”ケド”‥‥? |
矢: |
でも‥‥あやめちゃんとなら。 もう一度だけ‥‥ ユメが見られそうなんだよなあ‥‥ |
成: | (つきあいきれない) |
春: | みなさーん! |
真: | あ‥‥はみちゃん! |
春: |
お夕食のジュンビが ととのいました! 大急ぎで、 本堂に集まってくださいね! |
真: |
よおし。今夜という今夜は、 食べるよ、はみちゃん! |
春: |
わたくし、奥の院に行って あやめさまを呼んで来ますね! 真宵さまの修行なさる場所も 見学しておきたいので‥‥。 |
葉桜院 本堂 | |
真: | ‥‥いやあ、食べた食べた。 |
成: |
だいじょうぶなの? 修行前に、そんなに食べて。 |
真: |
いわゆる体力勝負だからね。 こういうのは。 |
春: |
真宵さま‥‥。あの。 ムリ、なさらないでくださいね。 |
真: |
あはははは。ムリしなくちゃ 霊力はつかないよ。 |
春: |
うううう‥‥ シンパイです‥‥。 |
毘: |
さあさあさあ。じゃあ、そろそろ したくを始めましょうかねぇ。 |
エ: |
がんばってね。 ‥‥真宵さん。 |
真: |
いっちょ、やりますか! 行ってくるよ、なるほどくん! |
毘: |
じゃ、あやめ。10時になったら <<消灯の鐘>>をたのむよ。 |
あ: | はい、毘忌尼さま。 |
毘: |
<<消灯の鐘>>を鳴らしたら、 あなたも修験堂に来てちょうだい。 |
あ: | ええ。わかりました。 |
成: |
(やる気マンマンだったな‥‥ 真宵ちゃんとビキニさん) |
エ: |
‥‥それで、春美ちゃんは‥‥ 今晩は、どうするのかしら? |
春: | え‥‥ええと。そうですね‥‥ |
エ: |
よかったら‥‥わたくしの お部屋に来ないかしら? いっしょに、 ご本を読んであげましょう。 |
春: |
えっ! よ、よ、 よろしいのですか? あ。あの、わたくし。 読めない漢字があるのですけれど。 |
エ: |
ふふふ。いっしょに お勉強しましょうか。 |
春: | わあ! うれしいです! |
成: |
(春美ちゃんは、エリス先生に ムチュウ、か‥‥) 矢張。おまえはどうするんだ? |
矢: |
え‥‥えッ! オレ? ええと。そりゃ、オマエ‥‥ 自分の部屋でゆっくりするさ。 オレ、サムいのニガテだから。 |
成: |
(‥‥そうだな。 ぼくもそうするか‥‥) |
春: |
あ、あの。先生! たとえば、 これは、なんと読むのですか? |
エ: |
<<華麗>>‥‥ムズカシイ字。 これは、<<かれい>>ね。 |
春: |
わあ! じゃあ、 こちらは、なんと読むのですか? |
エ: |
<<引導>>‥‥これもムズカシイわ。 <<いんどう>>ね。 |
成: |
(‥‥春美ちゃん、いったい どんな本を読んでるんだ‥‥?) |
春: |
それでは、わたくし。 お夕食のおかたづけをしますから。 あとで、うかがいますねっ! 先生! |
成: |
(‥‥さてと。じゃあ、 ぼくも部屋に戻るとするか) |
葉桜院 本堂 | |
成: |
(うううう‥‥やっぱり、山の 冷えこみは、<<格>>がちがうな。 どうにも、トイレが 近くなって困る‥‥) |
?: | ‥‥成歩堂さん? |
成: |
ひゃああああああっ! あ、ああ‥‥エリス先生。 先生も、トイレですか? |
エ: |
あの。春美ちゃん‥‥ 見かけませんでしたか? |
成: |
え。‥‥知りませんけど。 たしか、エリス先生の お部屋にうかがう、って‥‥ |
エ: |
それが‥‥ まだ、来ていないんです。 あ。わたくし、探してみますから。 ‥‥失礼しました。 |
成: |
(天流斎 エリス先生‥‥か。 フシギなひとだよな‥‥ でも‥‥ ”フシギ”と言えば‥‥‥) |
あ: | あ‥‥ |
成: | あ‥‥あやめさん‥‥! |
あ: | こ‥‥こ。こんばんは。 |
成: |
(フシギといえば‥‥ やっぱり、この子だ‥‥!) |
あ: |
あの。成歩堂さんも‥‥ おトイレですか? |
成: |
(‥‥このチャンスを 逃がすワケには行かない! 話を聞かせてもらおう‥‥) |
成: |
あの‥‥ あやめさん、ですよね。 |
あ: | ‥‥はい‥‥ |
成: |
ええと‥‥その。いつから この<<葉桜院>>に? |
あ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ おさないころから、ずっと お世話になっています。 |
成: | ずっと‥‥? |
あ: |
私、もう身寄りが ないものですから‥‥。 毘忌尼さまが‥‥私の おかあさまです。 |
成: |
あ、あの。大学‥‥へは 行ってませんでしたっけ。 勇盟大学の‥‥文学部、とか。 |
あ: |
‥‥いいえ。私には、 必要ありませんもの。 学問は、こちらで 修行しています。 |
成: | そ、そうですか‥‥ |
あ: |
あ。でも、街へ出ることも たまには、あるんですよ。 ”ぱそこん”も”けいたいでんわ” も使えますし。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (イバるほどのことでもない。 でも、サイコ・ロックが 見えない‥‥ということは ウソはついてない、 ということになるな‥‥) |
あ: |
‥‥そんなに、 見つめないでください‥‥。 |
成: |
ここは‥‥いったい、 どういうところなんですか? 霊力を引き出す修行場‥‥ って聞きましたけど。 |
あ: |
ふつうのかたは、あまり 縁のない世界ですよね。 |
成: |
‥‥ええ、まあ。なんか、 別世界のコトみたいで‥‥ |
あ: | それでいいと思います。 |
成: | え‥‥ |
あ: |
死者と語らうなんて‥‥ だれのためにもなりません。 私は、きらいです。 |
成: |
そ、そうなんですか‥‥? (じゃあ、どうして ここにいるんだろう‥‥?) |
あ: | あ‥‥ |
成: | ど、どうかしましたか? |
あ: |
もう‥‥こんな時間。 <<消灯の鐘>>を鳴らさないと‥‥ |
成: | (もうすぐ10時、か‥‥) |
あ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あの‥‥成歩堂さん。 |
成: | ‥‥はい? |
あ: |
もし、よろしかったら‥‥ 受け取っていただけますか? |
成: |
あやめさんの ずきん、ですか‥‥? |
あ: |
悪霊から身を守るための ずきんです。 |
成: |
(そういえば、ビキニさんも かぶってたな‥‥) |
あ: |
この、不吉な宵闇‥‥ブジに やりすごせますように。 |
受け取った。 | |
あ: |
‥‥それでは、 おやすみなさいませ。 |
成: |
ちょっと待って。 ‥‥あやめさん。 |
あ: | は、はい‥‥? |
成: |
今‥‥ぼくの名前を呼びましたね。 <<成歩堂>>‥‥って。 どうして知っているんですか? 自己紹介、していないのに。 |
あ: | そ、それは‥‥ |
成: |
‥‥あやめさん。 ハッキリ聞きましょう。 ぼくたち‥‥以前に、 会ったことはありませんか? |
あ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | ‥‥‥あ、あやめさん‥‥ |
あ: |
も、もうじき、10時になります。 また、明日‥‥ お話ししましょうね。 |
ゴーン‥‥ゴーン‥‥ゴーン‥‥ | |
成: |
(やっぱり‥‥彼女は ぼくを知っているんだ‥‥ 明日‥‥もう一度、 ゆっくり話をしよう‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥) |
ぎゃああああああああああああ ああああああああああああああッ! | |
成: |
(なな。なんだなんだ! 境内のほうから、 茶色い悲鳴が‥‥ッ!) |
葉桜院 境内 | |
成: |
(悲鳴は‥‥たしか、こっちから 聞こえてきたような‥‥) ‥‥うわああああッ! (ひ‥‥ひとが倒れている‥‥!) エリス先生ェェェェェェェェェッ! |
‥‥むぎゅう。 | |
成: | (‥‥何か踏んづけたぞ‥‥) |
毘: |
こらッ! ドテっぱらを 踏まないでちょうだい! |
成: |
なな、ナニしてるんですか! 雪の上に寝ころんで‥‥ |
毘: |
キゼツしてたに 決まってるでしょうがッ! |
成: |
やっぱり、さっきの茶色い 悲鳴は、ビキニさん‥‥ |
毘: |
とと、とにかく、アンタ! はやく! はやく、警察を‥‥! |
成: |
あ! でも、本堂に電話なんか ありましたか? |
毘: |
こんな山奥でもね。 電波は通じるんだよ! アンタも、携帯電話ぐらい ポッケに入ってるでしょ! |
成: |
それが‥‥その。 持ってきてないんですけど‥‥ |
毘: |
もお、たよりにならない子だねぇ! 携帯電話ぐらい、 あやめだって持ってるのに‥‥ しかたない! おぼろ橋のたもとに 公衆電話があるから! ホラホラホラホラ! ひとっ走り、行っといで! |
成: | は、はいッ‥‥ |
毘: |
早くしないと、 あやめが‥‥あやめがあ‥‥! |
おぼろ橋 | |
成: |
‥‥ふう‥‥ふう‥‥ (けっこう、キョリがあるな‥‥ もうすぐ、おぼろ橋だ。 真宵ちゃんにも知らせないと!) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥うわあああああああッ! おぼろ橋が‥‥焼け落ちている! (いったい‥‥何が起こった!) |
矢: | ナニしてんだ、こんなトコで。 |
成: | ひゃわあああああああッ! |
矢: | え。なな、ナニ? オレ? |
成: |
お、おどかすな矢張! しし、死ぬかと思ったぞ! |
矢: |
だから、オレは矢張じゃねえ! ‥‥マシスだ! |
成: |
矢張、すぐに警察を呼んでくれ! ぼくは、奥の院へ行く! |
矢: |
ばば、バカ言え! こんな燃えカス、わたれるかよ! |
成: |
いいか! 葉桜院で、 殺人事件が起こったんだ! |
矢: | なんだってェェェッ! |
成: |
この橋の向こうに‥‥犯人が 逃げこんだかもしれない! 真宵ちゃんを、 ほっておけないだろ! |
矢: | で、でもよお‥‥ |
成: |
たのむ! 早く、警察に電話を! ぼくは行く。‥‥どいてくれッ! |
矢: |
あ、あぶねえって! 成歩堂、待てよッ! |
成: |
(‥‥ムチュウだった‥‥ ああなることは、 わかりきっていたのに‥‥) |
成: | うわああああああああああああッ! |
矢: | なるほどおおおおおおおおおおお! |
成: |
(橋は、その名のとおり、 くだけ散って、おぼろに消えた。 ‥‥この悪夢のような夜、 最後の悲鳴を上げて‥‥ ‥‥ぼくは、永遠に閉ざされた 闇へと吸いこまれていった‥‥) |