成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
裁判長…緑 | |
裁判官…黄 | |
矢張 政志…紺 | |
天龍斎 エリス…桃 | |
毘忌尼…橙 | |
葉桜院 あやめ…藤 | |
美柳 ちなみ…紫 |
裁: |
それでは‥‥ あなたこそが‥‥ホンモノの あやめさん、なのですね。 |
あ: |
‥‥はい。先ほど、修験洞から 助けていただきました。 |
裁: |
さすが、双子というだけあって、 よく似ていらっしゃる。 ‥‥どうやら‥‥ すべてがアキラカに なったようです。 ゴドー検事。‥‥美柳 ちなみは? |
ゴ: |
オレに聞かれても困るが‥‥ 帰っちまったんじゃねえか。 ‥‥アイツの世界に。 |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ 今回の事件の被害者は、 綾里 舞子さんだけではなかった。 綾里 真宵さんも、 おさない綾里 春美さんも‥‥ きわめて利己的な犯罪計画の 被害者だったわけですね。 |
成: | ‥‥そのとおりです。 |
裁: |
<<霊媒の谷>>という特殊な世界が 生み出したヒゲキ‥‥でした。 あの霊は、もう呼ばないほうが いいでしょうな。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あの‥‥裁判長。 |
裁: | なんですか? |
成: |
<<霊媒>>のことですけど‥‥ ブキミなほど、すんなり 受け入れていますね。 |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ じつは、弟も裁判官でしてね。 よく、こう言うのですよ。 私は、あまりに勉強不足だ、と。 それで‥‥‥倉院流霊媒道の資料を 研究しておいたわけです。 |
成: |
(<<お!カルト>>新年号 真冬の霊場・大特集じゃないか) |
裁: |
‥‥私も、この席について、 さまざまな事件を見てきました。 そして‥‥ やっと、わかったのです。 事件は、さまざまな世界を 背景に起こります。 その本質を理解するためには‥‥ 私たちはまず、その世界を 受け入れなければならない。 そこが‥‥‥弟と私の ちがう点、なのでしょうね。 |
成: | (なるほど、ね‥‥) |
裁: |
‥‥それでは! 葉桜院 あやめに 判決を言いわたしましょう。 |
ゴ: |
‥‥早すぎる木槌‥‥ カッコつかねえぜ。 |
裁: |
ど‥‥どういうことですか! ゴドー検事! |
千: |
審理は‥‥まだ、終わっていない。 ‥‥そういうこと、ね。 |
成: | な‥‥なんですって! |
ゴ: |
まるほどう‥‥ あの、タチのワルい悪霊の証言。 ‥‥よく、思い出してみるんだ。 |
成: | 美柳 ちなみの‥‥証言‥‥? |
ち: |
『大きな灯ろうの前で‥‥ アタシは、あの子を追いつめた。 そして‥‥物置で拾った 小刀で、切りかかったの。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥フシギなことに‥‥ そこからの記憶は ハッキリしないの。 アタシ‥‥ 刺されたような気がするわ。』 |
千: |
‥‥美柳 ちなみは、綾里 真宵に 襲いかかろうとした瞬間‥‥ 何者かに刺されて‥‥ <<殺害>>されたのです。 |
裁: |
た‥‥ たしかに、そうですが‥‥ |
ゴ: |
ジッサイに命を落としたのは、 ちなみの霊を呼んだ、霊媒師‥‥ 天流斎 エリス‥‥いや、 綾里 舞子だった。 しかし‥‥。 だれが彼女を殺害したのか‥‥? その犯人は、まだ わかっていねえのさ! |
成: | な‥‥なんだってェェェェッ! |
ゴ: |
他に容疑者が現れない以上、 被告人の疑いも消えねえ。 彼女の無実を決定的に立証する 証拠は‥‥まだ、何もねえのさ。 |
成: | そ‥‥そんな‥‥ |
裁: |
しかし‥‥本法廷で、 これ以上の審理の用意は‥‥ |
ゴ: |
‥‥検察側は、 ここで最後の証人を召喚するぜ。 |
裁: | さ、最後の‥‥証人‥‥! |
ゴ: |
そいつで‥‥ ハッキリさせようじゃねえか。 ”だれが、綾里 舞子を 殺害したのか”‥‥? |
裁: | ‥‥ふ、ふむう‥‥! |
千: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ 本当に、いいのね? ‥‥検事さん。 |
ゴ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ モチロン、かまわねえさ。 ‥‥弁護士さん。 |
裁: |
それで‥‥‥ 最後の証人とは‥‥ いったい、どなたですかな? |
ゴ: |
クッ‥‥! 決まってるじゃねえか。 いるだろう? 決定的な‥‥いや。 いっそ、致命的な目撃者が。 |
裁: | も‥‥<<目撃者>>‥‥? |
ゴ: |
‥‥目の前で、自分の母親を 殺害されちまった、張本人さ。 |
成: |
ま‥‥‥ 真宵ちゃんだって! ‥‥ムリだ! あんな目に あったばかりなのに‥‥ |
ゴ: |
‥‥<<真実>>を知るためだ。 検察側は、綾里 真宵を 証人として召喚するぜ! |
裁: |
‥‥いいでしょう。 それでは、ここで休憩を とりたいと思います。 ‥‥医務室に運ばれた 証人の回復を待ちましょう。 医師の許可が下りしだい、 審理を再開します! |
ゴ: |
‥‥いいか、まるほどう。 これだけは、言っておくぜ。 |
成: | ‥‥なんですか。 |
ゴ: |
オレは決して、アンタを 認めたわけじゃねえ。 アンタは、いつもそうだ。 ‥‥事件のウラを理解せず、 その場しのぎの弁護をして‥‥ カンジンなところで、キレイな お姉さんが現れて、助けてくれる。 |
成: | な‥‥、なんだって! |
ゴ: |
‥‥そんなヤツに、 一人前ヅラはさせねえ。 今度こそ‥‥! キサマの力でかかってきな。 |
成: | ‥‥‥! |
裁: |
それでは、これより 審理を一時、中断します! |
地方裁判所 被告人第1控え室 | |
あ: |
本当に、申しわけありません。 成歩堂さんが一生懸命がんばって くださったのに、私ときたら。 きのう一日、 お話しすることもできなくて‥‥ |
成: |
(‥‥そういえば‥‥ きのう、修験堂で<<あやめさん>> に会ったときは‥‥ すでに、入れ替わったあと‥‥ あやめさんは修験洞の中だった) |
あ: |
‥‥今日も、せめて被告席で 応援させていただきたかったのに。 |
成: |
し、しかたありませんよ。 閉じこめられていたんですから。 それより、あやめさん‥‥ どうして、そこまで お姉さんに協力するんですか? |
あ: | え‥‥ |
成: |
きのうだって、修験洞で 助けを求めてくれれば‥‥ まる1日も、閉じこめられずに 済んだのに。 |
あ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ お姉さまは‥‥ かわいそうな方なのです。 おかあさまに見捨てられて‥‥ お父さまにも、愛されなかった。 |
成: |
でも‥‥。それは あなたも同じ、ですよね‥‥? |
あ: |
‥‥私には、毘忌尼さまが いらっしゃいましたから。 ‥‥お姉さまも、いっしょに 葉桜院に来ればよかったのに。 私‥‥お姉さまが大好きでした。 頭がよくて、行動力もあって、 決して弱音を吐かない‥‥ だから、私‥‥ お姉さまのお手伝いをする、って ヤクソクしたんです。 |
成: |
それは‥‥10年ほど前の 誘拐事件のコトですか。 |
あ: |
‥‥ええ。私、 お姉さまの役に立ちたかった。 でも、やっぱり‥‥ 私、弱くてヒキョウだったから‥‥ 最後に、逃げてしまったんです。 ‥‥そのせいで‥‥ お姉さまは‥‥ 義理の姉・勇希さまを‥‥ |
成: |
(‥‥千尋さんが、ひどく キズついた、あの事件だな‥‥) |
あ: |
でも‥‥事件を終わらせることは できませんでした。 ついに、お姉さまを 疑う方たちが現れたのです。 |
成: |
美柳 ちなみさんを”疑った”。 もちろん、それは‥‥ |
あ: |
おふたりの弁護士です。 綾里 千尋さまと‥‥ 神乃木 荘龍さま。 お姉さまは、自分に近づいてきた 神乃木さまに毒を飲ませたうえ‥‥ その毒をかくしてくださった方まで 殺そうとなさったのです。 ‥‥そう。あなたです。 |
成: |
(‥‥ぼく、か‥‥) ‥‥あやめさん。 もう1つ、聞いておかなければ ならないことがあります。 |
あ: | はい。なんでしょうか‥‥ |
成: |
事件当夜のことです。 被害者の‥‥天流斎 エリスさんの 死体を<<始末>>したのは‥‥ やっぱり、 あなただったんですか? |
あ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ええ。‥‥私です。 ‥‥あの晩、<<消灯の鐘>>を 鳴らしたあと‥‥ 私、自室に戻りました。 10時半ごろ‥‥ 私の携帯電話が鳴ったんです。 |
電: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥ピッ‥‥ <<メンドウなことになった‥‥ すぐ、奥の院に来てほしい>> |
あ: |
私‥‥スノーモービルで <<奥の院>>に向かいました。 でも‥‥! |
成: |
‥‥<<奥の院>>への道は、 断たれてしまった‥‥ |
あ: | そのとおりです。 |
電: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥ピッ‥‥ <<‥‥死体を、こっちに 残しておくのは、マズい‥‥ ‥‥言うとおりにしてくれ‥‥>> |
あ: |
私は‥‥あの方の身体を 受け取りました。 死体には、出血をおさえるために <<凶器>>が刺さったままでした。 エリスさまの持っていらした、 あの、ツエが‥‥。 |
成: |
やっぱり‥‥ 本当の<<凶器>>は‥‥ このツエだったんですね。 |
あ: |
‥‥ええ。そうです。 私‥‥スノーモービルで 葉桜院に死体を運びました。 |
成: |
‥‥しかし‥‥ なぜ、あんな工作を‥‥? |
あ: |
‥‥凶器を、あのツエだと 知られたくなかったのです。 綾里 舞子さまの痕跡を いっさい、残したくなかった‥‥ ローブをお着せして、傷をごまかす ために、七支刀を刺して‥‥ ツエのカタナの血をぬぐって、 そばに置いておきました。 |
成: |
‥‥あやめさん。 最後に、教えていただけますか? あなたを電話で呼び出した、 <<真犯人>>の名前を。 |
あ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ すみません、成歩堂さん‥‥。 私の口からは‥‥どうしても、 申し上げられないのです。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ そう、ですか‥‥。 |
データを書きなおした。 | |
係: | ‥‥被告人! |
あ: | ‥‥はい‥‥ |
係: |
裁判長がお呼びです! 執務室のほうへ行きなさい。 美柳 ちなみのことを 聞きたいそうです。 |
あ: |
‥‥わかりました。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ それでは‥‥ また、のちほど‥‥。 聞いていただきたいことが ありますから。 |
成: |
え。‥‥は、はい‥‥ (”聞いてほしいこと”‥‥?) |
成: |
(やっぱり‥‥ あやめさんは、<<犯人>>に 協力していたんだ‥‥ おそらく‥‥最初から!) |
千: | ‥‥なるほどくん。 |
成: |
千尋さん‥‥! あ、あの! 真宵ちゃんの ぐあいは、どうなんですか! |
千: |
身体のほうは、シンパイないわ。 体力なら、じきに回復するから。 でも‥‥ココロのほうは、 ヒドく痛めつけられているわ。 |
成: |
‥‥そ、そうですか‥‥。 ‥‥! もしかして‥‥ エリス先生の正体を‥‥? |
千: |
‥‥ええ。真宵には 医務室で、すべてを話したわ。 私が知っていることは、 残らずゼンブ‥‥ね。 |
成: | ‥‥‥? |
千: |
‥‥真宵は、とても強い子よ。 きっと、受けとめられるわ‥‥ すべてを、ね。 |
成: |
”すべてを”って‥‥ どういうことですか? |
千: |
そのコタエは‥‥‥ あなた自身で見つけなさい。 ‥‥そろそろ、 最後の法廷が始まるわ。 真犯人の名前は‥‥ もう、わかっているかしら? |
成: |
(‥‥あやめさんは、 教えてくれなかった。でも‥‥ なんとなく‥‥ リンカクは、見える気がする) あの晩‥‥被害者は<<奥の院>>の 中庭で殺害されました。 犯人が”偶然”そんなところに いたとは、考えにくい。 ‥‥と、いうことは‥‥ 犯人は、最初から<<計画>>を 知っていたことになります。 |
千: |
‥‥そして、もう1つ。 被害者は、<<振り子>>を使って 葉桜院側にわたされたわ。 つまり‥‥犯人自身は 橋をわたることはできなかった。 まる1日、<<奥の院>>側に 閉じこめられていたことになるわ。 |
成: |
(‥‥そのとおり。 だから、犯人は‥‥ 事件の翌日、葉桜院側に いなかった人物‥‥!) |
千: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 私が協力できるのは、ここまでね。 ここからは、 あなたひとりの力で戦うの。 |
成: |
ええ、わかっています。 ‥‥ありがとう、千尋さん。 (ついに‥‥この事件にも 決着がつくときが来た‥‥ 真宵ちゃんは、いったい 何を目撃したのか‥‥? そして‥‥綾里 舞子を 殺害した犯人は、だれなのか? ‥‥何もかも、 アキラカにするんだ‥‥ この、ぼく自身の手で!) |