成歩堂 龍一…黒 | |
綾里 千尋…赤 | |
綾里 真宵…青 | |
綾里 春美…黄緑 | |
御剣 怜侍…茶 | |
狩魔 冥…水 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
ゴドー検事…薄橙 | |
裁判長…緑 | |
裁判官…黄 | |
矢張 政志…紺 | |
天龍斎 エリス…桃 | |
毘忌尼…橙 | |
葉桜院 あやめ…藤 | |
美柳 ちなみ…紫 |
地方裁判所 第7法廷 | |
裁: |
審理に入る前に‥‥ 先ほど、検査の結果が届きました ので、ご報告しましょう。 |
成: | <<けんさ>>‥‥? |
裁: |
この小刀の血痕です。 現場の、松の木に刺さっていた‥‥ |
成: |
あ、ああ! アレ、ですか。 (‥‥すっかり、忘れてた) |
ゴ: |
綾里 真宵が‥‥、被害者に ”反撃”した際の<<凶器>>‥‥だ。 |
成: |
それで‥‥結果は! 血痕は、やっぱり、被害者の‥‥? |
裁: |
時間の関係で、精密な検査は できませんでしたが‥‥ 1つだけ、ハッキリ 断言できることがあります。 ‥‥この小刀に付着した血液は、 被害者のものではありません! |
裁: |
‥‥以上です。 それでは、審理を再開しましょう。 |
成: |
(小刀に付着している血は、 舞子さんのものではない‥‥ じゃあ、いったいダレの‥‥?) |
書きなおした。 | |
裁: |
検察側・弁護側とも おわかりでしょうが‥‥ 本件の審理は、 これが最後になります。 両者には、決定的な立証を 要請します。 |
成: | わかりました。 |
ゴ: |
‥‥聞くところによると‥‥ 証人の体力は、限界に近いらしい。 ‥‥一気に行くぜ。 |
成: | ‥‥モチロンです。 |
裁: |
それでは! 最後の証人を 入廷させてください! |
ゴ: |
‥‥証人。名前と職業を 聞かせてもらえるかい。 |
真: |
綾里 真宵です。 職業は‥‥職業は‥‥‥ 成歩堂法律事務所の 副所長、です。 |
成: | (‥‥真宵ちゃん‥‥) |
裁: |
ここにある資料によれば、 あなたは‥‥ 倉院流霊媒道の霊媒師、 ということですが‥‥ |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ あたし‥‥恐いんです。 綾里家の‥‥ 血を引いていることが。 |
成: |
(綾里の”血”をめぐる事件‥‥ ムリもない、か‥‥) |
裁: |
‥‥よろしい。 さて、綾里 真宵さん。 あなたは、事件が起こったとき‥‥ <<奥の院>>の中庭にいました。 そして‥‥‥ 天流斎 エリスさんが殺害された 瞬間を、目撃した。 ‥‥まちがいありませんか? |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ あ、あ。あの、あたし‥‥ なんにも見ていませ |
ゴ: |
カオを上げるんだ、 おじょうちゃん。 |
真: | え‥‥ |
ゴ: |
目をそらさずに、今は前を見ろ。 ‥‥泣くのは、いつでもできる。 |
真: | で‥‥でも! |
ゴ: |
アンタの母親は、 アンタの目の前で殺害された! そのジジツは、もう‥‥ 変えられねえのさ。 |
真: | ‥‥! |
ゴ: |
アンタにできることは、ひとつ。 ‥‥決着をつけることだ。 今まで‥‥さんざん、 見てきただろう? 証人たちが、身をけずり‥‥ コトバをしぼり出す、その姿を。 アンタの番だ。 ‥‥証言してもらうぜ。 事件当夜‥‥アンタの目の前で、 何が起こったのか! |
裁: | ‥‥証人。おねがいします。 |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ はい。わかりました。 |
真: |
『はなれの間で修行の用意をして、 中庭を通りかかったときでした。』(証言1) 『いきなり、あの。だれかにアタマを ポカッて殴られたんです‥‥。』(証言2) 『あたし、よろめいてしまって‥‥ 灯ろうにもたれかかりました。』(証言3) 『思わず『助けてください!』って ‥‥叫んだような気がします。』(証言4) 『次の瞬間‥‥あたしの身体に、何か あたたかいものがふりかかって‥‥』(証言5) 『あたし‥‥そのまま、 気を失っちゃいました。』(証言6) |
裁: |
ふむう‥‥ ”ポカッ”と‥‥ もちろん、このツエ だったのでしょうな。 |
成: |
それで、真宵ちゃん! きみを殴ったのは‥‥ やっぱり、美柳 ちなみ だったんだね! |
真: |
ご‥‥ごめんね、なるほどくん。 あたし‥‥わからないの。 よく、見えなかったから‥‥ |
成: | ‥‥そう、なのか‥‥ |
真: | あ。ほ、ホントだからね! |
ゴ: |
クッ‥‥! 若い女の子には、おすすめできない 夜だったらしいぜ。 |
裁: |
どうやら、証言から犯人を特定 するのは、ムズカシイようですな。 それでは、弁護人。 ‥‥尋問をおねがいしましょう。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (真宵ちゃん‥‥ どうも‥‥ ようすがオカシイな‥‥) |
成: |
”叫んだような気がする”‥‥ ハッキリしないの? |
真: |
あたし‥‥もう、 ムチュウだったからね! ワルモノの姿も、 暗くてゼンゼン見えなくて‥‥ 男のヒトか、女のヒトか? オトナか、コドモか? ‥‥なんにも、わからないの。 本当に、コワかったんだよ! |
裁: |
たしかに‥‥。この私ですら、 少しひるんだかもしれませんな。 |
真: |
そいつが、いつ襲ってくるかも わからなかった。だから‥‥ とにかく、何か叫んだの。 ‥‥それが最後の希望だと思って。 |
成: |
(真宵ちゃん‥‥かなり、 コンランしているみたいだな。 言ってるコトが、よく わからなかったぞ‥‥ どうする? 詳しく 聞いてみるか‥‥?) |
成: |
ちょっと待って、真宵ちゃん。 ‥‥”最後の希望”というのは? |
真: |
え‥‥え! なに、なに? ”最後の希望”‥‥って? |
成: |
いやいや! 真宵ちゃんが言ったんだよ。 |
真: |
あ、あたし‥‥ そんなコト、言ったっけ。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ きみは、姿の見えない襲撃者の方へ 向かって、叫んだんだよね? <<助けてください!>>って。 |
真: | う‥‥うん。 |
成: |
それが”最後の希望だった” ‥‥きみは、そう証言しているよ。 |
真: |
あ‥‥ああ。そのことか。 ええと‥‥なんだっけなあ‥‥ |
成: |
(真宵ちゃん‥‥大丈夫なのかな。 こんな状態で‥‥) |
真: |
あのね。ええと‥‥ あ。そうだ! あたし‥‥ワルモノに向かって 叫んだわけじゃないんだよ。 |
成: | な、なんだって‥‥? |
真: |
たしか、あのとき‥‥ ワルモノの後ろに、 あの人が立っていたの。 だから、あたし。そのヒトに 『助けてください!』って‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥あああああああっ! |
成: | こ、今度はどうしたの! |
真: |
しまった! これ、 だまっておこうと思ったのに‥‥ |
成: | え‥‥‥ |
裁: |
しょ、証人! 今の証言は‥‥本当ですかッ! 襲撃者の後ろに‥‥ もうヒトリの人物がいた! |
真: |
あ、いえ‥‥あたし。それは、 かくしておくつもりで‥‥あ。 うううう‥‥。 ナニやってんだろ、あたし‥‥ |
ゴ: |
クッ‥‥! ‥‥ホンネを聞きたかったら、 極限状態をねらえ。 それが、オレのルールだぜ。 |
真: | きょくげんじょうたい‥‥ |
ゴ: |
‥‥今のアンタは、 追いつめられている。 ウソを考えたり、かくしごとをする ヨユウなんか、ねえのさ。 |
裁: |
‥‥証人。今の発言は、 言うまでもなく重要です。 証言に加えていただきましょう! |
真: |
『灯ろうのあかりで見えたんです。 ワルモノの後ろに、男の人が‥‥』(証言7) |
成: |
‥‥”襲撃者”の背後に、 <<男の人>>が立っていたんだね? |
真: | う‥‥うん。 |
成: |
その<<男>>が‥‥犯人だ。 背後から、被害者を刺した。 美柳 ちなみを霊媒した、 天流斎 エリス先生‥‥ つまり‥‥きみの、おかあさんを。 |
真: | ‥‥は、はんにん‥‥! |
成: |
真宵ちゃん。 きみは、その犯人の正体を‥‥ 知っているんじゃないかな? |
真: | え‥‥‥ |
裁: | ど、どういうことですか、弁護人! |
成: |
‥‥この証人は、かなり コンランしているようです。 だから‥‥大きなカンちがいを していることに、気づいていない。 |
真: |
な、なんのコト? ”カンちがい”って‥‥ |
成: |
‥‥真宵ちゃん。 事件当夜‥‥、あの灯ろうは こわれていたんだよ。 |
真: | え‥‥ええっ! |
成: |
‥‥そうなんだ。 奥の院の中庭に、 明かりなんて、なかったんだよ! |
真: | そ‥‥そんなああッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! い、いかがですか、ゴドー検事! |
ゴ: |
‥‥コーヒーの澄みきった闇に、 ミルクをそそいで、かきまわす。 証人のココロは、今‥‥ ニゴりきったカフェ・オ・レだぜ。 |
裁: |
か、かふぇおれ‥‥ コーヒー牛乳、ですかな? |
ゴ: |
弁護士のコトバがミルクならば‥‥ アンタはスプーンなのさ、裁判長! |
裁: | こ‥‥この私が、スプーン! |
ゴ: |
アンタもわかっているハズだ、 まるほどう。 ‥‥この証人の精神状態は、 かなり不安定な状態にある。 多少のカンちがいは、 やむを得ねえだろうぜ! |
成: |
ザンネンだけど‥‥ そうは行かない! |
ゴ: | ‥‥なんだと‥‥? |
成: |
<<中庭に、明かりがなかった>> ‥‥それがジジツとなると‥‥ さっきの証言には、致命的な ムジュンが生まれるのです! |
真: | な‥‥なるほどくん‥‥ |
成: |
‥‥いいですか。 証人は、”襲撃者”について こう証言しています。 『性別も、オトコかコドモかすら わからなかった』‥‥と。 ‥‥それなのに! その襲撃者の後ろに立っていた ハズの人物について、証人は‥‥ ハッキリ<<男の人>>だったと 証言している! |
真: | あ‥‥ッ! |
成: |
‥‥つまり! 真宵ちゃんには、その人物が ”見えていた”ことになる! 目の前に立った人物すら見えない はずの、暗闇の中でッ! |
真: |
い‥‥‥‥ いやあああああああああああっ! |
裁: |
せ‥‥静粛に! 静粛に! どういうことですか! 弁護人! <<暗闇の中で犯人の姿を見た>> などと‥‥! |
ゴ: |
アンタ‥‥自分の言ってることが わかってるのかい。 闇の中で、どうやって ”見る”ことができるんだ! 現場には、他の明かりは いっさい、なかったんだぜ! |
成: |
闇の中だからこそ‥‥”見える” ことがあるかもしれませんよ。 |
ゴ: | ‥‥‥! |
成: |
真宵ちゃん。きみは、闇の中で <<犯人>>の姿を見た。 そして‥‥、その男を かばおうとしている。 |
裁: |
か‥‥”かばう”‥‥ですって! 自分の母親を殺害した犯人を‥‥ |
成: |
‥‥そこから考えられる 結論は、ただひとつ。 ‥‥きみは、その<<男>>の 正体を、知っているんだよ。 |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ おねがい‥‥なるほどくん‥‥ あたし、何も知らないよ。 だから‥‥、もう‥‥‥ |
ゴ: |
‥‥クッ! おもしれえぜ‥‥まるほどう。 聞かせてもらおうじゃねえか。 証人が‥‥闇の中で、 いったい、何を見たのか‥‥? ハッキリさせようぜ! |
真: |
だ‥‥ダメ! なるほどくん‥‥ もう、やめて‥‥ |
成: |
(‥‥真宵ちゃんは、犯人を かばおうと必死だ‥‥ 自分の母親を殺害した、 その犯人を‥‥! でも‥‥、それを 見逃すわけにはいかない。 ぼくは<<真実>>を立証するため、 ここに立っているのだから!) |
裁: |
‥‥それでは、弁護人に 提示していただきましょう。 証人が闇の中で見た、 <<犯人>>の正体を‥‥! |
成: |
‥‥闇の中だからこそ、 目撃された<<真犯人>>‥‥ みなさんも、見てみたいと 思いませんか? |
裁: |
な‥‥なんですと! いったい、どうやって! |
成: |
‥‥カンタンなことです。 この法廷に、 ”闇”を作ればいい。 |
裁: | や‥‥”やみ”を‥‥? |
成: |
弁護側は、要請します! ‥‥この法廷の明かりを すべて、消してくださいッ! |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥こ‥‥これは‥‥ ‥‥まさか‥‥ッ! |
ゴ: | |
ゴ: |
やってくれるじゃねえか‥‥ まるほどう。 |
成: |
‥‥いかがですか、みなさん‥‥ これが、闇の中で目撃された <<男>>の正体なのです! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! ご‥‥ゴドー検事! いったい‥‥どういうことですか! |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
弁護人の主張は、あまりに キテレツというほか、ありません! なぜ、反論しないのですかッ! |
ゴ: |
クッ‥‥! 裁判長。 尋ねる相手が、ちがうようだぜ。 |
裁: | な‥‥なんですと? |
ゴ: |
目撃したことは、本人に聞く‥‥ そいつが、オレのルールだぜ。 |
成: |
真宵ちゃん! ‥‥どうなんだ? きみが現場で見たのは‥‥ あの、赤い3本の光、 だったんじゃないのかな? |
真: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: | いかがですかな‥‥証人? |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ち‥‥‥ ちがいます! あたし‥‥そんなもの、 み。見てませんっ! |
成: | ま、真宵ちゃん‥‥! |
真: |
ひ、被害者を刺したヒトが <<男の人>>だって思ったのは‥‥ 他に、ちゃんとした 理由があるんです! |
成: | な‥‥‥‥‥なんだってェェッ! |
裁: |
そ、それはいったい、 どういう‥‥ |
ゴ: |
おしゃべりは そこまでだぜ‥‥裁判長。 |
裁: | お‥‥、おしゃべり‥‥ |
ゴ: |
ダイジなコトは、証言で聞く。 そいつが‥‥オレのルールだぜ。 |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥ わかりました。 それでは、証言を つづけていただきましょう。 犯人を<<男>>であると 知った、その理由を! |
真: |
‥‥は、はい。 あれは、事件が起こって‥‥ あたしが気を失った あとのコトなんですけど‥‥ |
真: |
『‥‥気がついたら、あたし‥‥ 奥の院に、寝かされていました。』(証言1) 『中庭に戻ってみると‥‥なぜか 現場はすっかり、変わっていた‥‥』(証言2) 『かがり火が燃えていて‥‥ 死体が、消えていました。』(証言3) 『灯ろうのまわりの雪も、 キレイになくなっていたんです。』(証言4) 『それを、ひとりでやったんだから ‥‥<<男の人>>だって思いました。』(証言5) |
裁: |
ふむう‥‥ <<犯人>>が男だと思ったのは、 事件の”後”だったわけですか。 |
真: |
そう‥‥でした。 すみません。あたし‥‥ |
裁: |
ゴドー検事の言うとおり、 あなたは今、つかれています。 多少のコンランは やむを得ないでしょう。 |
ゴ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
それに‥‥たしかに、 現場の状況を考えれば、 犯人は男性と思うのも ムリはないようです。 それでは、弁護人。 ‥‥尋問をおねがいします! |
成: | かがり火が‥‥燃えていた? |
真: |
うん。それでわかったんだ。 現場が変わっていたコト。 |
成: |
(犯人が火をともした‥‥ そう考えるべきだろうな) |
裁: |
暗闇の中では、死体を運ぶなどの 作業は不可能ですからな。 しかし‥‥そうなると、 やはり気になりますね。 そもそも、犯人はなぜ 死体を運び出したのでしょうか? |
成: |
(たしかに‥‥犯人自身には なんのメリットもない。 死体が消えることで メリットがあったのは‥‥ 奥の院にひとりきりでいた、 真宵ちゃん、かな‥‥) |
真: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
それでは‥‥現場の状況を もう少し聞かせてもらえますかな。 |
成: |
じゃあ‥‥あの雪は、犯人が‥‥? (ずっと、妙だと思っていた。 不自然に切り取られた、 灯ろうのまわりの雪‥‥) |
真: |
奥の院の物置に、 スコップがあったの。 とっても、重くて‥‥ あたしには、ムリだったと思う。 |
裁: |
‥‥なんとも、 ナゾの多い犯人ですなあ。 いったい、なぜ。 雪を持ち去ったのでしょう? |
成: |
‥‥たしか‥‥ 雪の上には、被害者の血が 飛び散ったんだよね? |
真: |
う、うん‥‥ 地面に座りこんだあたしにも、 ふりかかったから。 |
成: |
つまり‥‥ 犯人は、血の付着した 雪を、かくすつもりだった。 そう考えるのが 自然だと思いますけど‥‥ |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ しかし、そう考えたとしても やはりギモンが残ります。 血の付着した雪をかくす だけだったのなら‥‥ 何も、こんなにたくさん、 雪かきをする必要はありません‥‥ |
成: |
(たしかに‥‥ 血のついたところだけ かたづければ済むハナシだ) |
裁: |
‥‥どうやら、この雪には まだ、ナゾがあるようですな。 |
真: |
‥‥で、でも。 これで、ハッキリしたと思います! |
成: |
もちろん‥‥<<犯人>>が やったことだろうね。 |
真: | ‥‥うん。そうだと思う。 |
成: |
どうして‥‥犯人は、 現場に細工をしたんだろう? 犯人自身にとって、何か 致命的な証拠でもあったのかな。 |
真: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あたし‥‥‥ じつは‥‥現場を見て、 感じたことがあるんです。 |
成: | ”感じたこと”‥‥? |
真: |
ハンニンは‥‥あたしのために、 証拠をかたづけてくれた‥‥って。 |
裁: |
な‥‥なんですって! ”あなたのために”‥‥? |
真: |
あの晩、奥の院にいたことが わかってるのは、あたしだけです。 毘忌尼さんが戻ってきて、 現場を見てしまったら‥‥ |
成: |
‥‥真宵ちゃんが犯人だと 思ったかもしれない‥‥ |
裁: |
‥‥いや。きっと、 そう思ったでしょうな。 だから、犯人は‥‥ 事件など、なかったかのように 現場をかたづけた、と‥‥? |
真: |
‥‥ええ。きっと‥‥ そうだと思うんです。 |
裁: |
今の発言は、重要な手がかりに なると考えられます! 証言に加えていただきましょう! |
真: |
‥‥はい。 『あたしのために‥‥証拠をゼンブ、 かたづけてくれたんだと思います。』(証言6) |
成: |
被害者・天流斎 エリスの死体は、 葉桜院の境内まで運ばれました。 そして、現場の中庭では‥‥ 血が飛び散ったと思われるエリアの 雪が、運び去られている。 これらは、本当の殺人現場を かくすための細工と考えられます。 ‥‥しかし。 それにしては‥‥ひとつだけ、 どうしても不自然な点があります。 |
ゴ: |
”不自然”ねえ‥‥。 いったい、なんのことだ? |
成: |
あなたも、今ならわかるはずです。 ゴドー検事‥‥ もちろん、灯ろうに 残された、血文字ですよ。 |
ゴ: | ‥‥‥! |
成: |
白い灯ろうに、ハッキリ 書かれています。 <<マヨイ>>‥‥‥と。 |
真: | あ‥‥‥ |
成: |
犯人の目的が<<真宵ちゃんを守る>> ことだったのならば! まっ先に、この灯ろうの文字を 消すはずなのです! |
裁: |
ああああああッ! た、たしかに! |