成歩堂 龍一…黒 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
宝月 茜…桃 | |
宝月 巴…藤 | |
巌徒 海慈…紫 | |
罪門 恭介…紺 | |
市ノ谷 響華…水 | |
原灰 ススム…黄 |
警察局・エントランス | |
茜: |
うー‥‥ やっと着きましたね。 なんでこんなに検事局から離れた トコに建てるかなあ、警察局。 |
成: |
タクシーで30分近くかかったね。 いつも刑事課に行くから、 警察局に来るのは初めて‥‥ん? なんだ? アレ。 |
茜: |
ぶ‥‥ブキミですね、なんか。 ワキワキとうごめいてますよ。 |
成: |
‥‥ああ。コイツならたしか、 ”タイホくん”とか言ったっけ。 将来、警察のマスコットに なるかもしれないよ。 |
茜: |
うわ。成歩堂さん、 ケーサツマニアですねー! ‥‥でも。なんか、どこかで 見たことがあるような‥‥ |
成: |
それより‥‥ タイホくんの、となりだけど。 |
茜: |
タイホくんと、いっしょに おどってるヒトがいますね‥‥ ‥‥あ。 あたしたちに気がついたみたい。 |
成: |
スゴいイキオイで こっちに走ってくるな‥‥ |
糸: |
あ。あ。あ。あ。アンタ! こ。こ。こ。こ。ここで何を! |
成: |
それは、こっちのセリフですよ イトノコ刑事。 どうしてこんなトコロで おどってるんですか? |
糸: | えッ! それは‥‥その。 |
成: |
(せっかくだ。ヒマみたいだし、 いろいろ聞かせてもらおう) |
糸: | ヒマじゃないッス! |
糸: |
とにかく、アンタに1つだけ 忠告しておくッス。 ‥‥彼女のベンゴだけは、 引き受けちゃダメッス。 |
茜: |
ど。どうしてそんなコト 言うんですかッ! |
糸: |
え! えーと、その。主席検事殿は ハッキリ犯行を認めているッス。 被害者の捜査官を検事局に 呼び出して‥‥殺害したと。 |
茜: |
でも! それがホンネかどうか、 わからないじゃないですかっ! |
糸: |
い、いやその。決定的な証拠も たくさんあるッスし。 |
茜: |
でも! そんなの、デッチ上げ かもしれないじゃないですかっ! |
糸: |
あの‥‥アンタ。 ちょっといいッスか? |
成: | はい? ぼくですか。 |
糸: |
なんで自分、こんなちっちゃい子に 怒られなきゃならないッス? |
成: |
その子、妹さんなんですよ。 ‥‥宝月 巴さんの。 |
糸: |
うげへェェッ! 主席検事殿のォォッ! |
茜: |
ちゃんと捜査してくださいね! いわば、その。カガク的にっ! |
糸: |
はッ! ‥‥あ、そッス。 ここであんまり大きな声で 言わないほうがいいッスよ。 ‥‥”デッチ上げ”なんて。 |
茜: | え‥‥‥ |
糸: |
ワレワレは今、そのコトバに ビンカンになってるッスから‥‥ |
茜: |
それで‥‥何してるんですか? こんなトコロで。 |
糸: |
いや、その。なんというかあの。 追い出されちゃったッス。 ‥‥刑事課を。 |
成: |
イトノコ刑事‥‥また、 何かやっちゃったんですか? |
糸: | なな、なんスか、”また”とは! |
茜: |
じゃあ、どうしたんですか? 今、タイヘンなんですよね? その‥‥お姉ちゃんのコトで。 |
糸: |
そッスね。主席検事の殺人なんて 前代未聞ッスから。 今、刑事課に入れるのは、刑事部長 よりエラいヒトたちだけッス。 ワレワレ、ヒラの刑事は‥‥その。 まぜてもらえないッス。 |
茜: | そ、そんな‥‥ |
成: |
(いくら主席検事の裁判でも‥‥ さすがに不自然じゃないか?) |
糸: |
とりあえず、自分は今日中にこの おどりをマスターしようかな、と。 |
茜: |
‥‥あの。他にするコトは ないんですか? |
糸: |
事件の捜査は、警察局長殿が ご自身で指揮をとってるッスし‥‥ 検事局の地下駐車場の捜査には、 ザイモン巡査が任命されたッス。 |
茜: | ‥‥ザイモンさん‥‥ |
成: |
(そういえば‥‥茜ちゃん、 知り合いみたいだったな‥‥) |
糸: |
巡査が現場の指揮を任される‥‥ これまた、前代未聞ッス! |
茜: |
あの‥‥。 アレのコトなんですけど。 |
糸: |
<<おどるタイホくん>>ッスか。 ‥‥ズバリ、自信作ッス。 |
成: |
‥‥イトノコ刑事が 作ったんですか、コレ。 |
糸: |
カチョー殿の設計図をもとに、 自分がウデをふるってみたッス。 |
茜: | ‥‥へえ! |
糸: |
どこでも置けるように、 デンチで動くようにしてあるッス。 スイッチがないから、デンチが 切れるまで、おどり狂うッス。 |
茜: |
カナしい運命なんですね、 タイホくん‥‥ |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
あの‥‥イトノコ刑事。 これ、なんですけど‥‥ |
糸: |
お! アンタ、コレ‥‥ 捜査官のIDじゃないッスか! ダメッスよ! 拾ったら、 ちゃんと交番に届けないと。 アンタみたいなのがいるから、 いつも自分、怒られちゃうッス。 |
成: |
(イトノコ刑事‥‥いつも 落とすみたいだな、IDカード) |
糸: |
えー、なになに。 ”タダシキ ミチオ”‥‥ タダシキ‥‥? 最近、どこかで聞いたような。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 気のせいッスね、きっと。 |
茜: |
でも、刑事課でいっしょに シゴトをしてい |
糸: |
うほオオオオオオオオオオオッ! 気のせいじゃなかったッス! 多田敷 道夫といえば‥‥ 今回の事件の被害者ッスゥ! |
成: |
(‥‥なんとなく、 そんな気はしてたんだよな) |
茜: |
け、刑事さん! お話、聞かせてくださいっ! |
糸: |
お、それ! きのう御剣検事がもらった <<検事・オブ・ザ・イヤー>>ッス! |
成: |
授賞式、イトノコ刑事も 出席していたんですか? |
糸: |
そりゃそッス! 自分ももらったッスよ。努力賞。 |
成: | はあ‥‥おめでとうございます。 |
茜: |
それにしても、 なんで<<盾>>なんですか? ‥‥しかも、割れてるし。 |
糸: |
それはモチロン、 ちゃーんと理由があるッス。 ええと‥‥‥‥‥‥ また、今度教えてあげるッス。 |
成: | (忘れたらしいな、どうやら) |
糸: |
‥‥でも。御剣検事が 受賞して、自分もうれしいッス。 検事局では、彼を認める声 ばかりじゃないッスからねえ。 |
成: | (”黒いウワサ”‥‥か) |
糸: |
御剣検事のクルマに、 御剣検事のナイフ‥‥ どうして宝月主席検事殿は、 そんなコトをしたッスかねえ‥‥ |
茜: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
糸: |
あ。あやや。も、モチロン! ハンニンは、ベツのニンゲンッス! そのハンニンは、まるで‥‥ 御剣検事に、ウラミでも あるみたいッスねえ‥‥ |
成: |
(たしかに‥‥ グーゼンとは思えないよな) |
茜: |
御剣検事さん‥‥ いったい、何があったんだろ‥‥ |
成: |
(詳しく聞いてみたいな。 アイツのこと‥‥) |
成: |
このIDカード‥‥ 被害者のものだったんですね。 |
糸: |
彼は、自分と同じく捜査官‥‥ いわゆる、刑事だったッス。 多田敷 道夫 (タダシキミチオ)巡査部長。 |
茜: |
うーん‥‥ なんか、ちょっとフシギですね。 被害者のIDカードが、どうして あんなところに落ちてたのか‥‥ |
糸: |
きのうは、多田敷刑事は 警察局にいたはずッスよ。 2年前に担当した事件の証拠品の <<申し送り>>があったッスから。 |
茜: |
<<申し送り>>‥‥御剣検事さんも そんなコトを言ってましたね。 でも‥‥多田敷さんが 殺害されたの、検事局でしたよね。 |
糸: |
だから‥‥その。 言いにくいッスけど‥‥ 宝月主席検事殿が呼び出したッス。 ‥‥地下駐車場に。 |
成: |
(ともえさんも、それを認めてる ってワケか‥‥) |
糸: |
ツラい立場に立たされているッス。 ‥‥今も、なお。 |
成: | ”今も”‥‥? |
糸: |
キッカケは、あの事件ッス。 生倉弁護士の殺害事件‥‥ |
茜: |
でも! 御剣検事さんの無実は 立証されたじゃないですか! |
糸: |
検事には、ムカシから イロイロなウワサがあったッス。 ‥‥証拠のねつ造や、 証人との取引とか‥‥ 今までは、カゲでひそひそ ささやかれていたッスが‥‥ 殺人事件の容疑者になってから、 みんな、もうエンリョなしッス。 |
茜: | そんな! 証拠もないのに! |
糸: |
ジッサイ御剣検事は、上層部との つながりが、不自然に強くて‥‥ ちょっぴり、怪しまれても しかたないというか‥‥その。 |
成: |
(‥‥そこまで苦しい立場に いたのか、アイツ‥‥) |
糸: |
今回の件も、そうッス。 『この法廷を引き受けたのは、 主席検事の座を狙っているから』 ‥‥そんなウワサも あるぐらいッス。 |
成: | なんですって! |
糸: |
‥‥でも! 自分にはわかっているッス! 宝月主席検事の法廷なんて、 ダレもやりたくないッス! 御剣検事は、あえてビンボークジを 引いたッス。みんなのために‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥ まあ。自分が話せるのは、 こんなところッスかね。 なにぶん、 事件を担当してないッスから。 |
茜: | ありがとうございました! |
成: |
‥‥でも、イトノコ刑事が担当して いないなんて、めずらしいですね。 地下駐車場の担当のヒト‥‥ なんて言いましたっけ? |
糸: |
ザイモン巡査ッスか。 警察局長、じきじきの 任命ッスから‥‥勝てないッス。 |
成: |
ミスター・サイモン‥‥ やっぱり、アメリカから? |
糸: |
いやいや、ザイモンッス。 罪門 恭介(キョウスケ)。 リッパなニッポン人ッス。 |
成: | え! そ、そうなんですか! |
糸: |
まま。ここはヒトツ、自分が ベンギをはかってあげるッス。 これを見せれば、現場を調べさせて もらえるッスよ。‥‥たぶん。 |
法廷記録に挟んだ。 | |
成: |
(この刑事さんに、そんな チカラがあるのか‥‥?) |
糸: |
でっかいドロ舟に乗った気分で ひとっぱしり、行ってくるッス! |