第5話『甦る逆転』第1回法廷(その1)

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成歩堂 龍一…黒
御剣 怜侍…茶
糸鋸 圭介…黄土
裁判長…緑
宝月 茜…桃
宝月 巴…藤
巌徒 海慈…紫
罪門 恭介…紺
市ノ谷 響華…水
原灰 ススム…黄
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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2月23日 午前9時34分
地方裁判所 被告人第2控え室

巴: ‥‥いかがでしたかしら、
成歩堂弁護士。きのうの調査は。
成: 正直なところ‥‥まだハッキリ
しない点がいくつか、あります。
茜: ‥‥というか、
ハッキリしない点だらけだよ‥‥
巴: どんな判決になっても、
気に病むことはありません。
カクゴはできていますから。
茜: ‥‥あたし、信じてるから。
お姉ちゃんのコト‥‥
巴: 成歩堂弁護士。センパイとして
1つだけ、忠告しておきます。
成: なんですか?
巴: 弁護士は、依頼人を信じるなど
もってのほか。
茜:‥‥!
巴: 被告人は、疑われる理由が
あるから、起訴される‥‥
それを忘れないことです。
成: ‥‥ともえさん。
あなたは、千尋さんの先輩で、
あのひとに、よく似ています。
‥‥でも。おふたりには、決定的に
ちがう点が、1つあります。
巴:それは?
成: あなたは、弁護士ではありません。
巴: ‥‥‥‥‥‥
そろそろ時間ですね。
それでは、おねがいします。
‥‥弁護士さん。
成: (真宵ちゃんがいない、
初めての法廷‥‥か。
それって、つまり‥‥
‥‥だれのチカラも借りない。
ぼく自身が、見つけるんだ。
この手で‥‥真実を!)
茜: がんばりましょう、成歩堂さん!
あたしがついてますからね!


同日 午前10時
地方裁判所 第9法廷

裁: これより、宝月 巴の
法廷を開廷します。
成: 弁護側、準備完了しております。
御: 検察側‥‥もとより。
成: (御剣‥‥
あの事件以来、ひさしぶりだな。
‥‥法廷に立つのは)
御: ‥‥よけいな感情をまじえる
必要はない、成歩堂 龍一。
成:‥‥!
御: まわりの者が何を言おうが、
自分の進むべき道は、私が決める。
外野にはしょせん、
判決を変えることはできないのだ。
裁: それでは、御剣検事。
冒頭弁論をおねがいします。
御: 宝月 巴は、主席検事でありながら
ユルされざる罪を犯した。
しかも‥‥検事局を犯行現場に
選ぶという暴挙ッ!
茜: くうう‥‥やっぱり、ナマは
ハクリョクがちがいますね。
なんかあたし、いろいろ
白状したくなってきちゃいました。
御: しかし‥‥その暴挙が
イノチ取りとなったようだ。
犯行は、ある証人に目撃された。
いわば”プロ”と呼べる証人に!
裁: それでは、その証人を
入廷させていただきましょう!
御: 市ノ谷 響華を証人席へ。
成: (<<ゲロまみれのおキョウ>>さん、
か‥‥)

裁: ええと、あなたはどこかで‥‥
響: あら、こちら。キャビア弁当で
よろしかったかしら。
裁: おほッ! これが、キャビア!
生まれて初めて食べますぞッ!
成: (ナミダ目で
メシをかきこんでる‥‥)
響: そちらさまも。‥‥ふりかけ弁当で
よろしかったかしら?
成: は、はあ‥‥どうも。
御: ‥‥証人。名前と職業を。
響: それで、そちらさまは‥‥
ゴマ弁当でよろしかったかしら?
御: ランチタイムには、まだ早い。
名前と、職業をおねがいする。
響: ‥‥‥‥‥‥
そちらさま、いかがかしら?
お味のほうは。
裁: これが、アコガレのキャビア‥‥
脳がとろけそうですぞッ!
私、キャビアとは、ヒジキに
似たものだと思ってました!
成: (どんなイメージだよ‥‥)
御: ‥‥名前と、職業だ。
響: 市ノ谷 響華でございますわ。
‥‥以後、お見知りおきを。
ワケあって<<ベントーランド>>にて
陣頭指揮をとっております。
これでよろしかったかしら?
‥‥御剣検事サマ?
御: それでは、証人。
事件の説明をおねがいしよう。
裁: ちょっと待ってください!
‥‥もうヒトクチ食べちゃいます。
成: (早くしろよ!)
裁: ふう‥‥さて、御剣検事。
事件のセツメイですが、
できれば、警察関係者のカタに‥‥
響: ‥‥裁判長さま。そこの検事さんが
おっしゃったでしょう。
この市ノ谷 響華は、
”プロである”と。
裁: は、はあ‥‥
どういうことですかな?
御: 市ノ谷 響華は、2年前まで
捜査一課の特別捜査官‥‥
甲種殺人事件担当の
刑事だったのだ。
茜: え‥‥ええええッ!
おキョウさんが、刑事ッ!
裁: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ああああああああああああああッ!
あ、あなたは‥‥もしや!
<<ゲロまみれ>>の‥‥?
響: おキョウですわ。
‥‥おひさしゅう、裁判長さま。
裁: わ、わわ、わかりました!
せ。せ、説明をおねがいします!
成: (‥‥ナニモノなんだ、
あのネエさん‥‥)
響: それでは、みなさま。
こちらをごらんくださいな。
検事局の地下駐車場は、2つの
ブロックにわかれておりますの。
Aブロックは検事局職員用、
Bブロックは外来者・来客用‥‥
2つのブロックは金網で
仕切られておりますわ。
裁: まあ‥‥部外者に侵入されては
コマりますからなあ。
響: 事件現場は、Aブロック奥の
クルマ‥‥その、後部トランク。
犯人は、被害者をナイフで殺害後、
クルマで運びだそうとしました。
でも‥‥運悪く、目撃者によって
現行犯タイホされましたの。
裁: その、勇敢な”目撃者”
というのが‥‥?
響: このおキョウですわ。
‥‥裁判長さま。

証拠品<<地下駐車場の上面図>>を
法廷記録にファイルした。
裁: 証人。あなたは、
犯行の瞬間を目撃したのですか?
響: もちろんですわ。
その後ただちに、主席検事サマの
身柄をカクホいたしましたの。
裁: ふむう‥‥これはもう、
キマリだと思うのですが。
いかがですかな、弁護人。
成: ‥‥ぼくに同意を
求めないでください。
響: それでは、裁判長さま。
往生ぎわの悪い殿方を、まっぷたつ
にさせていただきますわ。
裁: たのもしいかぎりです。
ひとつ、おねがいいたしますぞ!
成: (まっぷたつ、って‥‥
ぼくのことか?)

(目撃したこと)
響: 『ワタクシ、わかっておりました。
いつか、こんな日が来ることを‥‥』(証言1)
『あの日‥‥カレにお弁当を
お持ちする途中のコトでしたのよ。』(証言2)
『捜査官としてのカンと申すのかしら
‥‥何かを感じてしまいましたの。』(証言3)
『見ると、金網越しに、シュミの悪い
クルマのそばにいる主席検事殿が。』(証言4)
『主席検事殿は、右手にナイフを
かまえておりましたわね。』(証言5)
『そして‥‥多田敷捜査官の胸に
ズブリと突き刺しましたのよ!』(証言6)
裁: ふむう‥‥コイビトにお弁当。
オトメゴコロ、というヤツですな。
御: フッ‥‥
ギモンの余地はないようだ。
裁: たしかに‥‥ナイフをズブリ! と
刺したところを、そのものズブリ!
目撃しているワケですからなあ。
響: ‥‥いかがでしたかしら?
まっぷたつにされた感想は。
成: か‥‥考え中です。
茜: き‥‥キズは浅いです、
成歩堂さんっ!
裁: それでは、弁護人。尋問を
おねがいします‥‥さっさと!

(「証言1」をゆさぶる)
成: なぜ、そんなことを‥‥?
響: 検事サマの、罪をにくむ感情‥‥
ソンケイすべき点もありますわ。
しかし。彼らのやり方は、
みにくくユガんでいる。
ユガんだやり方は、
いつかヒゲキを生み出すもの。
御: ‥‥弁当屋の意見として、
ありがたく受けとめておこう。
響: ツゴウの悪い証拠品はモミ消して、
存在しなかったことにする‥‥
そのためなら、知りすぎた捜査官を
切り捨てる‥‥お手のモノだねェ。
御: ‥‥‥‥‥‥
茜: おキョウさん‥‥何か、
検事さんにウラミでもあるのかな?
響: 私、捜査官を天職とココロ得て
おりましたわ。おそらく‥‥
そこのすました検事さんたちに
解雇通知を受けなければ‥‥今も。
成: カイコ通知?
(クビにされたのか‥‥)
響: ワタクシにとって”検事”は、
虫けらにもおよばぬ存在。
さりとて、ワタクシも”プロ”。
証言にクモリはございませんのよ。
裁: ‥‥わかりました。それでは、
つづけていただきましょう。

(「証言4」をゆさぶる)
成: シュミの悪いクルマというのは、
モチロン‥‥
響: 御剣検事サマのクルマですわ。
裁: み、御剣検事の‥‥!
響: ちなみに。死体に刺さっていた
ナイフも、検事サマのモノ‥‥
そうでしたわね?
御: ‥‥‥‥‥‥
まちがいない。

(ざわめきが起こる)
裁: ふ‥‥ふむう‥‥マッタク。
ビミョーな事件です。
それで、あなたの見た人物は‥‥
被告人にマチガイないのですかな?
響: ワタクシ、現場から10メートルも
離れていない場所で見ましたのよ。
‥‥まちがえようが
ないだろうねえ‥‥
成: (もし、これが本当なら‥‥
攻めようがないぞ!)
茜: とりあえず、つけてみましょうよ!
ケチの1つでも。
成: 証人! あなたは先ほどの証言で
ハッキリ、こう言っています!
”検事は虫けらにもおよばぬ存在”
‥‥それならば!
あなたは、ある”悪意”を持って
犯行を目撃していたことに‥‥
響: ‥‥クチを
つつしむんだねえ、ボウヤ‥‥
成:え。
響: おキョウのコトバにアヤをつける
‥‥カクゴはいいんだろうねぇ?
初めちょろちょろ、なかパッパ。
おいしく炊きあげられたいかいッ!
裁: で‥‥出ました!
おキョウさんのグルメタンカ!
茜: ‥‥”新米弁護士”と”新米”を
かけたものと思われる、と。
響: 弁当屋に身をやつしていても
スジはとおす。ワタクシなりにッ!
裁: こ‥‥‥この写真はッ!
あなたが撮影したのですか!
響: 事件に気づいた、その瞬間。
反射的にシャッターをひとつ。
ワタクシ‥‥弁当の1つに
カメラを仕込んでありますのよ。
成: (ふつうにクビから
ぶら下げておけばいいのに)
御: このような写真‥‥
私も初めて見るが?
響: 検事サマに見せたら、何をされるか
わかりませんからねえ。
御:‥‥!
響: ‥‥ワタクシ、捜査課の写真班に
カレがいますのよ。
裁: たしかに‥‥これは被告人に
まちがいないようです!

証拠品<<現場写真>>を
法廷記録にファイルした。
成: (マズいな‥‥これはたしかに、
ともえさんにマチガイないぞ!)
御: それで‥‥このとき、
被告人はいったい‥‥?

(「証言5」に「現場写真」をつきつける)
成: ‥‥あなたは、
それを目撃したわけですか?
ともえさんが、ナイフで被害者を
”刺す”‥‥その瞬間を。
響: すでに申し上げたとおり。
‥‥この、ソース弁当にかけて!
裁: ふむう‥‥!
食欲をそそるニオイですなあ。
成: しかし‥‥それはオカシイのです。
この写真を見てください!
あなたの撮影した、この写真‥‥
巴さんは、ナイフなど
持っていないッ!
響: ‥‥‥‥‥‥
御: ‥‥‥‥‥‥
裁: ‥‥‥‥‥‥あの。
御剣検事。
何かコメントをおねがいします。
御: 異議あり。
成: ‥‥もう少し
ヤル気を出して行きましょうよ。
御: ヤル気を出すべきは
キサマのほうだ、弁護士。
裁: どういうことですかな?
御: この写真は‥‥犯行直前に
撮影されたものではない。
シャッターが切られたのは
すでにナイフを刺した”あと”だ。

(成歩堂「異議あり!」)
成: ど‥‥どうしてそんなコトが
わかるんですかッ!
響: ‥‥返り血。
成:え‥‥
響: 主席検事サマのコートの
赤いシミ‥‥見えませんかしら?
成: (シロクロ写真じゃないか!)
裁: はああ‥‥わかりにくいですが、
これは血痕だったのですか‥‥
御: いかがかな、弁護人。
問題はマッタク、見あたらないが。
‥‥”キミ”以外は。
茜: 成歩堂さん! モンダイ児あつかい
されてますよ!
成: (ううう‥‥どうなんだろう‥‥)

(「異議あり!」を選択)
成: しかし! さっき証人は
ハッキリ証言した!
『事件に気づいた”瞬間”に
シャッターを押した』と!
響: コトバが足りませんでしたわね。
‥‥ごめんあそばせ。
成: ‥‥‥‥‥
響: ‥‥‥‥‥‥‥
成: そ、それで終わりですか。
響: ‥‥ゴハンが足りなければ、
おかわりをすれば済むコト。
それがイヤなら、最初から
大盛りを注文するコトだねッ!
茜: ワケもわからず
怒られちゃいましたね。
響: ワタクシには、彼女の犯行を止める
ヨユウはありませんでしたの。
宝月検事サマは、プログラムされた
ロボットのように、セイカクに‥‥
そして冷酷に、殺人計画を
実行したのですわ!

(成歩堂「異議あり!」)
成: け、”計画”‥‥
なぜ、わかるんですか!
御: ‥‥写真の、主席検事の手に
注目していただきたい。
裁: これは‥‥
”手袋”ですかな‥‥?
御: うすい、ゴム製の手袋だろう。
彼女はなぜ、こんな特殊なものを?
成:あ‥‥
御: 犯行計画なくして、
こんな手袋をしているハズがない!
成: ぐはあああああッ!

(ざわめきが起こる)
裁: たしかに、この手袋は
犯行の計画性を物語っています!
響: ”計画殺人”‥‥重罪ですわね。
裁: ‥‥証人!
証言に追加していただきましょう!
響: 『殺人は、すべてが計画的だった!
ゴム手袋が、いい証拠じゃないか。』(証言7)

(「証言7」に「御剣のナイフ」をつきつける)
成: ‥‥証人。これがなんだか、
おわかりですか?
響: このおキョウを試そうなんて
10年早くてよ。
モチロン、凶器ですわ。‥‥そこの
検事サマのトランクに入っていた!
御: ‥‥そのとおり。私のナイフだ。

(ざわめきが起こる)

どうなってるんだよ、この事件‥‥

赤い凶器も、赤いクルマも‥‥
あの赤い検事さんのですって!

‥‥そもそも、被告人が
地方検事局の主席検事、だろう?

ママー。どうなってるの?
検事局のおじちゃんたち‥‥
成: ‥‥弁護側から、要請します。
証人は、セイカクな証言を
してください!
響: どういうことかしら?
ボウヤ‥‥
成: あなたは、こう証言しました。
『宝月 巴は、あらかじめ犯行を
”すべて”計画していた。
だから、こんな特殊な
ゴム手袋を用意していたのだ』
裁: 自然なスイリではないですか。
手袋には、計画性を感じますが‥‥
成: しかし、それならば!
なぜ、かんじんの”凶器”を
用意していなかったのでしょうか?
響: あ‥‥‥
成: このナイフは、たまたまクルマの
トランクに入っていたものです。
もし、殺人を計画するのならば!
まず用意するのが”凶器”です!
響: く‥‥‥‥くううううう‥‥ッ!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に! 静粛にッ!
成: (‥‥よし!
これで、状況は変わった!)
茜: さすがですっ、成歩堂さん!
お姉ちゃん、これでムザイに‥‥
御: ‥‥弁護士クン。
シオ弁当‥‥でよかったかな?
成: な、なんだって?
御: ‥‥まさか、
こんなササイなことで‥‥
”状況は変わった”などと
カンちがいしていないだろうな。
成: し、しかし! ジッサイ、
殺人の計画性は、これで‥‥
御: ‥‥バカな。
検察側は、”計画性”など
最初から、モンダイにしていない。
‥‥そこの弁当屋が
勝手に言いだしたことだ。
響:
御: <<被告人・宝月 巴が、
捜査官をナイフで刺殺した>>
検察側が立証すべきは
その1点のみ。‥‥他にはない。
響: フン‥‥! 検事局のボウヤが
アタマのいいトコを見せたワケ?
でもね。あの女はアキラカに
やっつけるつもりだったのさ!
それでなければ、あんな‥‥
裁: どうやら‥‥その先は、証言して
いただいたほうがいいようです。
御: 証人。”見たことだけ”‥‥
おねがいしよう。
響: おだまりなさいな。
おキョウのスイリは、ボウヤの目玉
50コぶんのビタミンがあるのさ!
成: (コワいなあ‥‥)


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