成歩堂 龍一…黒 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
宝月 茜…桃 | |
宝月 巴…藤 | |
巌徒 海慈…紫 | |
罪門 恭介…紺 | |
市ノ谷 響華…水 | |
原灰 ススム…黄 | |
綾里 千尋…赤 |
響: |
『約5分間、現場から目を離したコト ‥‥申し上げるべきでしたわね。』(証言1) 『では。被害者のクツが脱げたコト。 ‥‥これはお話ししたかしら?』(証言2) 『調べてみたら‥‥2種類の血痕が。 1つはモチロン、被害者のモノ。』(証言3) 『そして、もう1つは‥‥そう! 被告人・宝月 巴のモノさねッ!』(証言4) 『このクツは‥‥なんのムジュンも ない、カンペキな証拠品ですわ!』(証言5) |
裁: |
な、なんですって! 被害者のクツに‥‥血痕がッ! |
響: |
決定的な証拠品とお弁当は、 <<ベントーランド>>に、ご用命を。 |
御: |
どういうつもりだ、証人‥‥ このようなシロモノ‥‥ なんの報告も受けていないが? |
響: |
カンタンなコト。 ‥‥前にも申し上げたでしょう? ワタクシ、信用しておりませんの。 検事サマの、証拠品のあつかい‥‥ それゆえ、ワタクシ自身が 調査してさしあげましたのよ。 |
御: |
しかも‥‥すでに、血液検査まで 済まされているようだが? |
響: |
申し上げませんでしたかしら。 ‥‥ワタクシ、鑑識課の職員に 3名ほど、カレがいますのよ。 |
御: |
とにかく、裁判長! これは、正当な証拠品ではないッ! |
響: | なんだって‥‥? |
御: |
法廷における<<証拠法>>の2大原則 ‥‥知らないわけではあるまい。 <<その1:警察局の許可のない 証拠品の提示は認められない>> つまり、このクツは違法な証拠だ。 少なくとも、現時点では‥‥ |
茜: |
そ、そうなんですか! 成歩堂さん! |
成: |
た‥‥たぶんね。 御剣のヤツ、勝ちホコってるし。 |
響: | ‥‥そうはいかないよ、検事サマ。 |
御: | ‥‥! |
響: |
忘れてもらっちゃ困るねェ。 このおキョウは‥‥元・捜査官! ‥‥先ほど、 申し上げたハズですわよ。 このクツは、すでに鑑識課員による 検分が済んでおりますの。 このとおり。今日の日付で 警察局の認可も受けておりますの。 一般人であっても、正式な証拠品の 提示はできますのよ‥‥検事サマ。 |
御: | ぐ‥‥‥ぐッ! |
茜: |
そ、そうなんですか! 成歩堂さん! |
成: |
た‥‥たぶんね。 御剣のヤツ、ダマっちまったし。 |
茜: |
もう! <<証拠法>>ぐらい ベンキョウしておきましょうよ! |
裁: |
検察側の事情はともかく‥‥ <<証拠法>>の第1原則は、 モンダイないようです。 どうやら‥‥あなたに対する 処罰がまた1つ、増えましたな。 |
響: |
‥‥罪人に、正しい裁きを。 すべてはカクゴの上ですわ。 |
法廷記録にファイルした。 | |
裁: |
‥‥それでは、弁護人。 尋問をおねがいします! |
茜: |
きゃあっ!こんなトコロにも、 べったり血がついてますッ! |
成: |
クツの底、か‥‥ 被害者自身の血、だろうね。 どうやら‥‥血だまりの中を 歩いたみたい、だね。 |
茜: |
ううう‥‥ナマナマしいんですね。 サツジン事件って。 |
成: |
(足のウラに、血のアトが あるということは‥‥ 当然、血だまりの上を 歩いたことになる、よな‥‥) |
成: |
(‥‥おキョウさんの主張を 認めるわけにはいかない!) |
響: |
こちら‥‥シオカラ弁当で よろしかったかしら? |
成: | ‥‥! |
響: |
オトナの味を おぼえるコトだねェ、ボウヤ。 ‥‥アンタの依頼人は、取り返しの つかないおイタをしちまったのさ。 |
茜: |
成歩堂さん! このクツ、 何かモンダイはないんですか? |
成: |
”モンダイ”‥‥ (ここは、重要なポイントだ。 被害者のクツ‥‥どうなんだ?) |
成: |
ぼくの、気のせいでなければ‥‥ このクツの、ある”ポイント”に、 大きな”ムジュン”があります! |
響: |
‥‥その、目‥‥ やっぱり、ボウヤだねェ。 シオカラ弁当のシオからさ‥‥ とっくり味わうがいいさ! |
裁: |
それでは、弁護人に うかがいましょう。 被害者のクツの、”どこ”に ムジュンがあるのか‥‥? モンダイのあるポイントを 指摘してください! |
成: |
証人。‥‥気づいていましたか? このクツ底には、血痕があります。 |
響: |
‥‥おキョウを、あんまり ナメないコトだねェ‥‥ おキョウのクツ底に、ボウヤの 血痕がコビりつくことになるよ! |
裁: |
クツ底‥‥たしかに、血痕が ベッタリ残っていますな。 |
御: |
‥‥被害者は、ナイフで刺された。 自然なコトだと思われるが‥‥ いったい! クツ底の血痕が、 何とムジュンしていると言うのか! |
成: | モンダイは‥‥”足跡”です。 |
響: | ‥‥あしあと‥‥? |
成: |
このとおり、被害者のクツの底には 血痕がハッキリ、残っています。 ‥‥それならば! 現場であるクルマのそばには、 ”血の足跡”が残るハズです! |
裁: | あ‥‥ッ! |
成: |
しかし、このとおり! 現場には、なんの痕跡もない! これはあきらかに、 ムジュンしています! |
御: |
この写真で見えるのは、床の一部! 血痕がなかったとは、言い切れぬ! |
成: |
もし、床に血痕が残っていれば! 捜査でイヤでも発見されるハズ! ぼくたちも現場は調べました。 しかし、そんな血痕はなかった! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛に! 証人! どうなのですかッ! |
響: | え‥‥ッ! そ、それは‥‥ |
茜: |
さ。さすが、成歩堂さんですっ! でも‥‥ たしかに、足跡がないのは ムジュンしてますけど‥‥ じゃあ、どうして ないんですか? 足跡。 |
成: | え‥‥! |
裁: |
たしかに! モンダイは、 足跡が残っていない”理由”です! |
茜: | 教えてください、成歩堂さんっ! |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥まあ。ぼくは、ムジュンを 見つけるのがトクイなヒトだから。 |
茜: | なんですか、それ! |
御: |
‥‥なるほど、な。 そういうコト、だったか‥‥ |
成: |
(な、なんだ? 何をナットクしている‥‥?) |
御: |
‥‥まったく、ヤッカイな証人だ。 最後まで、我々をまどわせる‥‥ しかし。‥‥その証言の中に、 ヒントはかくされていたようだ。 |
裁: | ど‥‥どういうことですかッ! |
御: |
思い出していただきたい。 被告人をタイホしたときの証言‥‥ |
響: |
『‥‥主席検事殿の抵抗は、 それは見苦しいモノでしたわ。 この手を振りはらって ドラム缶をケリ倒してみたり‥‥ ‥‥カワイイカオをして、 ワリと女豹でしたわねェ‥‥』
|
御: |
‥‥冷静な主席検事にしては、 妙な行動だと思っていたのだが‥‥ |
成: | (たしかに‥‥) |
御: |
さて、証人。1つだけ カクニンさせてもらいたい。 その”ドラム缶”‥‥ 中は、カラだったのだろうか? |
響: |
‥‥‥‥‥‥‥ そういうコト、かい。 アンタの根性は気に入らないさ、 御剣検事サマ。でも‥‥ やっぱり、アタマの回転は 悪くないようだねェ。 |
裁: |
証人! で、では! ドラム缶の中には‥‥? |
響: |
主席検事サマが倒したドラム缶‥‥ 水が入っていたよ。 |
成: |
み‥‥みず、ですか‥‥? (どういうコトだ‥‥) |
御: |
まだ、わからないのかな? ‥‥弁護人。 被告人がドラム缶を倒した‥‥ その、本当の理由がッ! |
裁: |
‥‥あ。あああああッ! ま、まさか‥‥ |
御: |
そう。被告人が、ムリヤリ ドラム缶を倒した理由は、1つ! 自らの罪の痕跡である血痕を 洗い流すためだったのだッ! |
成: | う‥‥うおおおおおおおおおおッ! |
裁: |
どうやら、カンゼンに コタエが出たようです! 被害者のクツに残った血痕は、 被告人と犯行を結びつけています! そして、犯行後! 犯行の痕跡を 消すため、ドラム缶を倒した! |
響: |
検事サマたちの得意ワザですもの。 ‥‥”証拠のインメツ”は。 |
成: |
(ともえさん‥‥たしかに、 右手にケガをしていた。 『刺したとき、手を切った』 ‥‥そう言ってたな、たしか) |
茜: |
クツについた、お姉ちゃんの血‥‥ やっぱり、そのときに‥‥? |
裁: |
どうやら‥‥これ以上、 審議の必要はないようです。 |
茜: |
な‥‥成歩堂さん! なんとかして! おねがい! |
成: |
む‥‥‥ムリだよ! ともえさんは、罪を認めてるし‥‥ 証拠をかくす工作までしている! |
茜: | で、でも‥‥! |
御: |
‥‥そこまでだ。 すでにコトバは必要ない。 ‥‥判決をおねがいしよう。 |
裁: | わかりました。‥‥それでは。 |
茜: |
おキョウさん、検察側の証人だよ! 検事のミカタなんだよ! ドラム缶に水が入っていたなんて ‥‥ウソかもしれないじゃない! |
裁: |
被告人、宝月 巴に 判決を言いわたします! |
響: |
そこのコムスメ‥‥ 今、なんて言ったのかしら? |
茜: |
え‥‥? あ、あたし、ですか? |
響: |
この、おキョウが‥‥ 検事の”ミカタ”だって‥‥? |
茜: |
だ、だって。そうじゃないですか! お姉ちゃんが、証拠を‥‥ 血痕を、消そうとしたなんて! |
響: |
どうやら‥‥もう1ぱい、 オカワリがほしいようだねェ。 証拠品という名の、 とりそぼろ弁当がッ! |
裁: |
ま、まさか、証人‥‥ あなたは、まだ何か証拠を‥‥ |
御: |
すでに審理は終了した! これ以上の勝手な発言には、 法廷侮辱罪の適用を要請するッ! |
響: |
どうせゲロまみれさ。 そんなオドシは通用しないよ! ‥‥これを見るがいいさッ! |
裁: | ‥‥この、写真は‥‥ |
響: |
あの白いクツが、 本当に被害者のものかどうか‥‥ 弁護士がケチをつけたら、 たたきつけようと思っていたのさ。 |
裁: |
ふ、ふむう‥‥さすが、 ヌカリがないですなあ‥‥ |
茜: |
な‥‥成歩堂さん! 見て! この、写真のアスファルト‥‥ |
成: |
あ‥‥! ハッキリと‥‥ ぬれているのがわかる! |
裁: |
‥‥今度こそ、 ギモンの余地はありません。 事件の起こった直後‥‥現場は、 水によって洗い流されていた! |
茜: |
ご、ゴメンなさい‥‥成歩堂さん。 やっぱり‥‥あたし。 ダメ、だったんですね‥‥ |
成: |
(‥‥しかたなかったんだ‥‥ 最初から、わかっていた。 それに、この結末は‥‥ ともえさんが望んだコトだ! ‥‥‥‥‥‥ ゴメン‥‥千尋さん‥‥) ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥ ‥‥‥‥ |
‥‥うつむくのは早いわ、 なるほどくん‥‥ | |
成: | ‥‥! |
もう一度、よく見るの‥‥ ‥‥最後まで あきらめちゃダメ‥‥
| |
成: | (これが‥‥最後の証拠品!) |
裁: |
‥‥それでは、今度こそ! 判決を言いわたします! |
成: | 裁判長! お待ちください! |
裁: |
な、なんですか! みんなして、判決をジャマして! ちょっと、あとにして もらえませんかな! |
成: |
い、いやいや! それじゃ、遅いですから。 最後に提出された、この写真‥‥ もう一度、見てください! この証拠品だけは‥‥まだ、 じゅうぶんなギロンをしていない! |
御: |
すると、キサマは‥‥ この写真に何か、モンダイがある。 ‥‥そう主張するのか? |
成: |
‥‥え! (”考える”のは、後でいい‥‥) そう、モンダイがあります! (今は、前に進むんだ‥‥!) |
裁: |
ここまで来た以上、すべての ギロンは尽くされるべきです。 それでは、弁護人。 示していただきましょう! この写真の”モンダイ”‥‥ いったい、どこですかッ! |
成: |
モンダイになる点は‥‥ モチロン、ここです! |
御: |
こ‥‥、これは‥‥ クルマのマフラーから、 何かのぞいているではないかッ! |
裁: |
ちょっと、お待ちなさい! ‥‥御剣検事ッ! |
御: | な、なんだろうか。 |
裁: |
あの‥‥今、”まふらー” と言いましたかな? ‥‥この写真に、エリマキは 写っていないようですが‥‥? |
御: |
‥‥‥‥‥‥ ”マフラー”とは‥‥ クルマやオートバイの部品、だ。 排気用のパイプ‥‥と おぼえておけば、ハジはかかない。 |
裁: |
なるほどッ! たしかに‥‥ ”まふらあ”から、何かアヤシイ 布キレがのぞいているようです! |
響: |
‥‥‥フン! だから、なんだと言うのさ! そんなチッポケな布きれ‥‥ 事件とは無関係に決まってるッ! |
成: |
ザンネンながら‥‥おキョウさん。 そうはいきません。 じつは‥‥あなたはすでに、 証言しているんですよ。 マフラーの中の布きれが、事件に 関係があるという可能性について! |
響: | な‥‥‥なんだって! |
裁: |
それでは‥‥弁護人の考えを うかがいましょう! マフラーの布きれが、事件に関係 すると考えられる、コンキョとは? |
成: |
おキョウさん。 思い出してください。 ‥‥あなた自身の証言です。 |
響: |
『‥‥そう。タイホの瞬間、彼女は マフラーのことを口走ったの! それで先ほどの証言で、カンちがい してしまったのでしょう。』 |
響: |
”マフラー”‥‥あ‥‥! あああああ‥‥ああああああ‥‥ |
成: |
あなたが聞いたという、 ”マフラー”のヒトコト‥‥ この、排気用パイプのコト だったのではないでしょうか? もし、そうならば! その布きれこそは、 重要な証拠物件になるのです! |
響: |
う‥‥‥‥ きゃああああああああああああッ! |
裁: |
どうやら‥‥本法廷は、 中断せざるを得ないようです。 |
響: | ちゅ‥‥”中断”‥‥! |
裁: |
あの布きれに、イミがあるのか? 私自身は、疑わしく思います。 しかし! すべての疑問は、 アキラカにされなければならない。 至急、現場のクルマを調査して、 その布きれを提出するように。 判決は、それからです。 ‥‥よろしいですね? |
御: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ やむを得まい。 |
成: |
(‥‥な。なんとか‥‥ しのいだみたいだな ‥‥この場は!) |
裁: |
それでは! これより、 30分間の休憩に入ります! そろそろ、おヒルごはんの 時間ですしね。 |
成: | (まだ食べるのかよ!) |