成歩堂 龍一…黒 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
宝月 茜…桃 | |
宝月 巴…藤 | |
巌徒 海慈…紫 | |
罪門 恭介…紺 | |
市ノ谷 響華…水 | |
原灰 ススム…黄 |
茜: |
あたし‥‥ショックだったんです。 <<SL9号事件>>が、まさか‥‥ あの<<青影事件>>だった、なんて。 |
成: |
(そういえば‥‥ 資料の中に、宝月姉妹の名前も 出てきていたっけ) |
茜: |
でも。それで‥‥あたし。 なんとなく、わかったんです。 罪門さんが、あの日。 何をやろうとしていたのか‥‥ だから、罪門さんの指紋は 事件にカンケイない、って。 ‥‥残るのは、コレ。 もう1つの”手のアト”ですよね。 |
御: |
イトノコギリ刑事の保管庫から 発見された血痕、か‥‥ |
裁: |
しかし‥‥その手形からは、 指紋は検出されなかったのでは? |
茜: |
でも! カガク的に 調べれば、手がかりがあるかも! そう思って‥‥ひとっ走り、 調べなおしてきたんです! |
成: |
‥‥! そ、それで! 何かわかったの? |
茜: | ええと‥‥‥いいえっ! |
成: | え。 |
茜: |
ザンネンですが。 あたしのチカラでは、どうにも。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
茜: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | あの。それでおしまい‥‥? |
茜: |
なんといっても、あたし。 かよわい女子高生ですから。 |
成: |
(こっちだって、 かよわい弁護士なんだけど) |
茜: |
でも、でも! もう、手がかりは この血のアトしかないんです! ここに、何か”ムジュン”を 見つけないと‥‥ 成歩堂さん、プロだし。 あとは、おねがいしますっ! |
成: |
え‥‥‥ ええええええええッ! |
裁: |
‥‥時間です。 コタエをうかがいましょう。 警察局の”事件”について‥‥ 何か、まだ”ギモン”が 残されているのですか? |
成: | そ、それは‥‥‥ |
御: |
どうやら‥‥弁護側は、 もう1つの血痕が気になるようだ。 上面図で言えば‥‥このあたりに 付着していた”手のアト”だな。 これに、何かモンダイでも? ‥‥おじょうさん? |
茜: |
成歩堂さん、ごめんなさい! あたし、チカラになれなくて。 でも‥‥! この血痕に、何か”ムジュン”が ないと‥‥お姉ちゃんは! |
裁: |
いかがですか、弁護人! これ以上は、待てませんぞ。 |
成: |
は、はい‥‥ (よく、考えるんだ‥‥今こそ! イトノコ刑事の保管庫に 残された、”手のアト”‥‥ 何か‥‥何か、ないのか! ”ムジュン”は‥‥) |
成: |
現場に残された、 この”手のアト”は‥‥ おそらく、アキラカに ムジュンしています! |
御: |
‥‥アキラカに目が 泳いでいるようだな‥‥弁護士。 |
裁: |
さきほどから‥‥現場の上面図を 穴のあくほど見つめていますが‥‥ そこに、何かモンダイが あるのですか? |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (やはり、オカシイ‥‥!) よく見れば、この上面図‥‥ 何か”足りないモノ”があります。 |
御: |
”足りないモノ”‥‥? 描かれていない、というコトかな? |
成: |
そして、その”足りないモノ”を 描きこむことによって‥‥ この血痕の”イミ”は、まったく ちがったモノになるのです! |
裁: |
‥‥今のコトバが、弁護人の 言い逃れでないことを祈ります。 それでは。うかがいましょう! |
成: |
(今回は、やたら証拠品が たくさんある‥‥ 何か、あるだろう‥‥) |
裁: |
上面図に”足りないモノ”‥‥ いったい、なんですかな? |
罪: | そのベニヤ板が、どうかしたかい。 |
成: |
<<タイホくん>>‥‥ さすが、将来のマスコットです。 彼はその身をもって、 決定的な証拠を守っていました。 |
御: | ‥‥どういうことだ、弁護人。 |
成: |
現場の上面図を見てください。 ここには‥‥”彼”がいません。 |
罪: |
ウスっぺらいヤツには、 ウスっぺらい友が、よく似合うさ。 |
成: |
それでは‥‥ウスっぺらい ぼくの友だちを置いてみましょう。 事件当時、彼が おどっていた場所は‥‥ここです。 いかがですか? ”あるコト”に 気づきませんか‥‥? |
裁: | ”あるコト”と言われましても‥‥ |
御: | あ‥‥あああああ‥‥ッ! |
成: |
そう。この場所でタイホくんが おどっているかぎり‥‥ イトノコ刑事の保管庫に、 手のアトをつけるコトはできない! |
罪: | な‥‥‥なんだとおおおッ‥‥! |
裁: |
つ、つまり‥‥つまり! どういうことなのですかッ! |
成: |
いや、だから! 不可能なんですよ! |
裁: |
いやいや、だから! ジッサイ、血痕は残っています! |
成: |
いやいやいや、だから! そんなコト、ぼくに聞かれても |
茜: |
成歩堂さん! カガク的に考えてみましょう! |
成: | あ、あかねちゃん‥‥! |
茜: |
あの日の午後‥‥‥ タイホくんを保管室に運んだのは、 原灰巡査ですよね。 それ以降、後ろの保管庫に ”手のアト”を残すのは、不可能。 |
成: |
‥‥‥! ということは、この”血痕”は‥‥ タイホくんが置かれるより ”以前”につけられた‥‥? |
裁: |
待ってください! いくらなんでも、それは‥‥! |
成: |
たしかに、信じがたい‥‥でも。 そう考えるしかありません! ‥‥2月21日。 あの日、証拠保管室では‥‥ ”2回”、血が 流されたコトになります! |
御: | な‥‥なんだと‥‥! |
成: |
1回は、この防犯カメラに 映っている”事件”‥‥ 原灰巡査が手をケガした、 ササヤカなものでした。 そして‥‥モンダイは、 ”もう1つ”の事件です。 この格闘より”以前”にも、 保管室では、血が流された。 ‥‥つまり! それこそが、”ホンモノ”の 多田敷捜査官の殺害事件なのです! |
御: |
ば‥‥バカなコトを! その可能性は、否定された! |
成: |
たしかに、防犯カメラの映像は ”ニセモノ”でした! しかし! それだけでは、 保管庫の血痕に、説明がつかない! |
御: |
それでは‥‥キサマの言う ”もう1つ”の事件は‥‥ いったい”いつ” 起こったというのだ! 事件が起こったことを示す、 証拠の提示を要求するッ! |
成: |
(”1回目”の事件が 起こった時間‥‥) |
裁: |
‥‥弁護側の主張は こういうことですね? 多田敷さんに変装した罪門 恭介が 原灰巡査をキズつけるより、以前。 あの日の証拠保管室では、 ”もう1つの事件”があった。 |
成: |
保管庫の血痕が、 それを証明しています。 |
裁: |
では‥‥いったい、その ”1回目”の事件は‥‥ ”いつ”起こったのでしょうか? その手がかりが必要です。 |
成: |
(犯行時刻を示す手がかり‥‥ 1つだけ、ある!) |
裁: |
それでは、弁護側に 提示していただきましょう! ”1回目”の犯行が行われた 時刻を示す、証拠品とは! |
成: |
事件が証拠保管室で起きた以上、 この部屋に入らなければならない。 そして‥‥そのためには、 IDカードが必要です。 |
裁: |
IDカード‥‥‥あッ! <<使用記録>>ですかッ! |
成: |
原灰巡査が、タイホくんのパネルを 持ちこんだ時刻は‥‥ |
裁: |
<<4時50分>>でしょうな、 モチロン。 1回目の事件は、”それ以前”に 起こったわけですから‥‥ <<4時40分>>‥‥‥あ! ああああああああああああああッ! み。み。み。み。み。み。み。み。 みみみみみみみみみみ、御剣検事! あなた、なんというコトをッ! |
罪: |
まさか‥‥アンタだったとはなァ、 御剣のボウヤ。 |
御: |
しらじらしいな‥‥証人。 わかっているはずだ。 ‥‥考えるまでもあるまい。 |
罪: |
フン‥‥‥! ザンネンながら、ね。 |
裁: |
フン‥‥‥! 考えても、わかりません。 |
御: |
現場のルミノール反応を見れば、 そこで”流血”があったのは明白。 ‥‥しかし。”2回目”の 事件が起こった際‥‥ 原灰巡査も、罪門 恭介も、 その痕跡に気づいていない。 |
成: |
つまり‥‥”1回目”の事件の 痕跡は、インメツされたわけだ‥‥ ”真犯人”によって。 |
御: |
被害者を殺害して、死体を運び、 床に残った血痕を処理する‥‥ 私に与えられた時間は、10分。 ‥‥できるはずがない。 |
裁: |
そうなると‥‥ 犯行は、さらに<<前>>に 起こったことになります! |
成: |
もう一度、記録を見てみましょう。 そうなると、残るのは、1つ。 ‥‥<<7777777>>! |
罪: |
とんだラッキーナンバーだね、 コイツは‥‥ |
裁: |
し‥‥しかし。 それでは、不自然です! 被害者自身‥‥多田敷捜査官が、 保管室に入れないではないですか! |
成: |
使用記録がない以上‥‥ <<真犯人といっしょに入った>> ‥‥そう考えるしかありません。 <<7777777>>の人物と! |
裁: |
御剣検事! 大至急、調べてください! なななななななななななななななの IDの人物を! |
御: |
”な”が1回多いようだ、裁判長。 幸か不幸か‥‥そのナンバーを 調べることは不可能だ。 少なくとも‥‥今の時点では。 |
成: | な‥‥なんだって! |
罪: | どういうコトだ? ボウヤ‥‥ |
御: |
<<7777777>> このナンバーは、警察署長以上‥‥ いわゆる”上層部”と呼ばれる グループのものだ。 それを調べる権限は、キホン的に ‥‥我々には、ない。 |
成: |
そんなバカな! じゃあ、いったい‥‥ |
御: |
最後まで聞きたまえ。 我々に、捜査権が発生する ケースが、1つだけある。 |
裁: |
上層部の特定の人物に、公式な 容疑が認められた場合、ですな。 |
成: | ‥‥”公式な容疑”‥‥ |
罪: |
アンタたちは、いつもそうさ。 ‥‥身内をかばい合う。 ”いんぺい”と”ねつ造”‥‥ それが、検事局のやり方なのさ! |
御: |
‥‥私は、自らのシゴトに ホコリを持っている。 コンキョのない中傷は やめてもらいたいな‥‥証人。 |
罪: |
”中傷”‥‥? おもしろい。 じゃあ‥‥1つだけ。 質問させてもらうぜ。 |
御: | ‥‥なんだろうか。 |
罪: |
アンタじゃない。 被告席に座ってる、カノジョだよ。 アンタの言う”上層部”の代表さ。 |
成: | (ともえさん‥‥?) |
御: |
‥‥バカなコトを。 彼女には、容疑がかかっている。 当然、IDナンバーは調べた。 ‥‥<<7777777>>ではない。 |
罪: |
そうじゃない。 わかってるだろう? ボウヤ。 オレの知りたいのは、ただ1つ。 あの事件のコトだけさ。 |
裁: | <<SL9号事件>>ですか‥‥ |
罪: |
主席検事、答えてくれ! 2年前の、あの裁判で‥‥ アンタたちは、本当に‥‥ 正当な証拠だけを使ったのか? |
御: |
質問は聞かれたと思うが‥‥ 主席検事。 |
巴: | うかがいました。 |
御: |
2年前‥‥私自身が この事件の審理を担当した。 当然、我々は、違法な証拠など |
巴: |
‥‥ときとして。 法の無力を感じることがあった。 ‥‥少なくとも、私は。 |
成: | ‥‥! |
茜: | お、お姉ちゃん‥‥? |
巴: |
私は、犯罪を法でしばるため、 このシゴトを選びました。 しかし、気がついてみれば。 しばられているのは、我々のほう。 |
裁: |
ひ、被告人! あなたは‥‥ 何を言おうとしているのですか! |
罪: |
‥‥もう一度、聞こう。 主席検事サマ。 2年前の、あの裁判‥‥ アンタたちは本当に、すべての 証拠を法廷に提示したかい? ジッサイに捜査をしていた オレの目を見て、断言できるかい? |
裁: | 主席検事! まさか、あなたは‥‥ |
巴: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ その必要は認めません。 |
御: |
‥‥‥! なぜだ! なぜ、答えない‥‥ |
巴: |
真に恐ろしい犯罪には、 こちらも恐ろしい手を使う‥‥ いたしかたのないことです。 彼に正当な裁きを与えるため‥‥ 私は、手段を選ばなかった。 |
茜: | そんな! お、お姉ちゃん‥‥ |
巴: |
それが、たとえ‥‥‥”ねつ造”と 呼ばれる結果になろうとも。 |
罪: |
つまり、そういうことだよ。 ‥‥御剣のボウヤ。 |
御: |
な‥‥‥‥‥ なんだとオオオオオオオオオオッ! |
静粛にィィィィィィィィィッ! | |
あまりに衝撃的だった‥‥ ‥‥騒ぎはおさまらず、 審理は中断。すべては明日‥‥ ‥‥最終日に持ち越された‥‥ |