成歩堂 龍一…黒 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
宝月 茜…桃 | |
宝月 巴…藤 | |
巌徒 海慈…紫 | |
罪門 恭介…紺 | |
市ノ谷 響華…水 | |
原灰 ススム…黄 |
警察署内 刑事課 | |
成: |
ここ、いつもヒトが少ないけど‥‥ 今日は特にヒドいな。 |
茜: |
刑事課が静か、ということは。 忙しいのかな、やっぱり。 |
課: |
ああ。みんなは今、大会議室で ドンチャン騒ぎだよ。 |
成: |
あ‥‥‥どうも。 (課長さんが話しかけてきた) |
課: |
主席検事のバクダン発言に、 御剣検事の、これからの処置。 マスコミ対策に、明日の裁判‥‥ もう、ヒドいコトになってるな。 まるで、そう。 盆と正月がイッペンに来た感じさ。 |
成: | (それは、おめでたいのでは‥‥) |
茜: |
あの。あたしたち、巌徒局長さんの お部屋に行きたいんですけど。 |
課: |
わたりろうかでトナリのビルに 行って、エレベータで最上階だよ。 |
茜: |
‥‥‥え。 あの。行っていいんですか? あたしたち、いわゆるその。 イッパンジンですけど。 |
課: |
あ! イカン、そうだった! ダメだよ、行っちゃ。 |
成: |
(さすが、イトノコ刑事の 上司だけのコトはあるな‥‥) |
茜: |
じゃ。さっそく 行ってみましょうか。局長室。 |
警察局・局長室 | |
成: |
こ、ここが‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ なんだ? ここ。 |
茜: |
<<局長室>>ですよ。 ソトに、そう書いてあったから。 |
成: |
あの、巨大なパイプオルガン‥‥ 信じられないけど、ホンモノだぞ。 |
茜: |
あたしね。ようちえんのころ、 オルガン習ってたんですよ! <<ゆり組のバッハ>>なんて 呼ばれて、天才きどりでしたねー。 ‥‥どれどれ。 ”ド”はどこだったっけ。 |
茜: | ‥‥死ぬかと思った。 |
巌: |
あれー? なんだキミたち。来てたんだー。 |
成: |
きょ‥‥局長さん! (読んでいた書類を、デスクの 引き出しにしまいこんだぞ‥‥) |
巌: |
どーなのよ、ナルホドちゃん。 泳いでる? 最近。 |
成: |
あ‥‥いえ。 最近ちょっと、忙しくて‥‥ |
巌: |
こっちもタイヘンよ、ホント。 罪門のアニキの不始末とかね。 トモエちゃんまで、トンでもない 発言してくれちゃってさあ。 |
成: |
”トンでもない”‥‥ああ。 証拠品の”ねつ造”ですか。 |
巌: |
あの事件から、2年ねー。 かー! 早いモンだわ、ホント。 ‥‥ホラ。あそこのカベに でっかい写真があるでしょ? トモエちゃんと、ナオトくんと 3人で撮ったんだけどさ。 |
成: |
(これが‥‥罪門さんの弟。 罪門 直斗検事、か‥‥) |
巌: |
『3人で、がんばっていこう!』 なんて言ってたんだけどねー。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (なんだろう、この写真‥‥ ビミョーな”違和感”が あるような‥‥) |
データを法廷記録にファイルした。 | |
巌: |
あー、悪いんだけどさ。 ボク、アトシマツで忙しくて。 今日はここ、もう閉めちゃうから。 いっしょに出ようか。 |
茜: |
え‥‥‥ あ。でも‥‥ここって、その。 現場、なんですよね。2年前の‥‥ |
巌: |
あの事件、もう終わったんだから。 今さら捜査する必要、ないってさ。 |
成: |
でも、できれば 調べたいんですよ、ぼくたち。 |
巌: |
‥‥もう一度、言わせるの? 今さら捜査する必要は、ない。 |
成: | ‥‥! |
巌: |
じゃ。出て出て。そろそろ カイギに行かないとさ。 |
茜: | ‥‥追い出されちゃいましたね。 |
成: |
やっぱり‥‥あの事件は、 終わっていないんだよ、きっと。 |
茜: | な、成歩堂さん‥‥? |
成: |
巌徒局長は、”現場”を 調べられることを、拒否した。 そこには‥‥かならず。 何か”理由”があるはずだよ。 |
茜: |
じゃ、じゃあ! あの部屋には、手がかりが‥‥ |
成: |
(‥‥何か、ないかな。 局長室を調べる方法‥‥) |
警察署内 刑事課 | |
糸: | あ、アンタたち! |
成: |
イトノコ刑事! 今まで、会議ですか? |
糸: |
ま‥‥ちょっと一休みッス。 カタがコっちまったッス。 |
茜: |
そんなカタくるしい 会議だったんですか? |
糸: |
いや。その。自分は‥‥ お茶をいれてたッスから。 ‥‥みんなの。 |
成: |
(イトノコ刑事‥‥ 今日もハズされてるのか) |
糸: |
それより、アンタ! 御剣検事には会ったッスか? |
成: |
御剣‥‥? どうかしたんですか? |
糸: |
もー、検事局も警察局も、 エラいイキオイで暴走してるッス。 まるで、裁判中のアンタと 御剣検事のごとく! |
成: |
それは‥‥きっと、 大暴れなんでしょうね。 |
茜: |
やっぱり‥‥騒ぎの原因は お姉ちゃんの発言、ですか? |
糸: |
‥‥そッスね、ヒラたく言えば。 <<2年前の”ねつ造”>>ッス。 御剣検事は、今。 世界中をテキに回しているッス。 |
茜: | そんな‥‥ |
成: |
‥‥でも、どうして御剣が? アイツは、何も知らなかったのに! ジッサイに不正をしたのは、その。 ともえさん‥‥だったんですよね? |
茜: | ‥‥‥‥‥‥ |
糸: |
まあ‥‥ジッサイに法廷に立つのは 検事ッスからねぇ。 それに、もう1つ。 知ってのとおり、御剣検事には ずっと、黒いギワクがあったッス。 ただ、御剣検事には、ズバ抜けた 才能があったッスから‥‥ 今まで、反対派も手を出すことが できなかったッス。 |
茜: |
テキが多かったんですか? 御剣検事さん‥‥ |
糸: |
‥‥検事局と警察局は、才能だけが モノを言う世界ッス。 若い、ムキ出しの才能は テキを作る‥‥それは、宿命ッス。 |
刑: |
よォ、イトノコ。 がんばってるな、今日も! |
糸: | ッス! |
刑: |
今度、またメシおごってやるぞ、 イトノコ! |
糸: | ッス! |
刑: |
ノコさん! また連れていって くださいね! あの店。 |
糸: | ッス! |
成: |
‥‥よかったですね。刑事さんには テキがマッタクいなくて。 |
糸: |
ま。自分はウマく やってるッスからね。 とにかく‥‥自分はシンパイッス。 このイヤな流れに‥‥ 御剣検事が、折れてしまわないか。 |
糸: |
ジツは‥‥資料を調べてみたッス。 お茶をいれながら。 |
成: |
(本気でシンパイしてるんだな、 御剣のこと‥‥) それで‥‥何かありましたか? |
糸: |
ズバリ、すべての手がかりは、 ヤツの最後の犯行にあるッス! |
成: | 最後の犯行、というと‥‥ |
糸: |
少女を救おうとした罪門検事が 殺害された事件ッス。 |
茜: | あたしのコト、だ‥‥ |
成: |
(この子のコト、気づかなかった みたいだな。イトノコ刑事‥‥) |
糸: |
この事件で、青影は致命的な 証拠を残してしまったッス。 |
茜: | その”証拠”というのは? |
糸: |
え。えーと。たしか‥‥ <<凶器>>だったッスけど。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ まあ。詳しいコトは、 コレのどこかに書いてあるッス。 |
成: |
(‥‥ホント、コシャクな 刑事さんだよな‥‥) |
茜: |
見せてみましょうか。 ”キョーキ”を。 何か、思い出してくれるかも しれません! |
糸: |
青影 丈‥‥犯行当時、42才。 ごくフツーの会社員だったッス。 |
成: |
連続殺人犯‥‥なんですよね? なぜ、そんなヒドいことを‥‥ |
糸: |
ある日。会社からの帰りに、 クルマで人をひいてしまったッス。 |
茜: |
クルマで? それって‥‥事故、ですよね? |
糸: |
しかし、その瞬間から! ヤツは、キケンや野生動物にッ! |
茜: | やせいどうぶつ‥‥ |
糸: |
その事故を目撃した男性を、殺害。 その犯行を見ていた女性も、殺害。 そこに通りかかった学生を、殺害。 その死体を埋めているところを サンポ中の男性に見られて、殺害。 ‥‥そこでやっと、任意出頭を。 |
成: |
ずいぶん うかつな野生動物ですね。 |
糸: |
今、アンタに話したのは、 あくまで”スイソク”ッス。 証拠は、マッタクなかったッス。 |
成: | それで、任意出頭を‥‥ |
糸: |
取調べ中に逃げ出して、最後の犯行 ‥‥罪門検事を殺害したッス。 その場でタイホされたッスが‥‥ その犯行すら、見られていたッス。 最後の目撃者がブジで、 ホント、よかったッスね。 |
成: |
(最後の犯行の”目撃者”‥‥ ‥‥この子、か) |
成: | これ、なんですけど‥‥ |
糸: |
こッ、これは! もしかして、あれッスか? |
成: |
<<SL9号事件>>と書かれた タグがついています。 先の折れたナイフ‥‥ あの事件の<<凶器>>ですよね? |
糸: |
なんで、アンタが このナイフを知ってるッス? あの事件はとっくに解決されて、 証拠保管庫に入っているハズッス。 |
茜: |
事件のあった日、証拠保管庫から コツゼンと消えて‥‥ 御剣検事さんのクルマの マフラーから出てきたんです。 |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あああッ! 思い出したッス! 青影 丈が、最後の犯行で 残した”致命的な証拠”‥‥ そのナイフを見ていたら、 ピン! と来たッス! |
茜: |
また忘れないうちに、早く 聞かせてください! 刑事さん! |
成: |
このナイフ‥‥ 青影のもの、なんですか? |
糸: |
そッス。買った店も判明して、 青影の指紋も付着していたッス。 |
茜: |
でも。ジッサイにコレで刺したか どうかは、わからないんじゃあ‥‥ |
糸: |
そこが、ヤツの 運のワルいところッス。 ナイフをよーく見ると‥‥‥ なんと! 刃がポッキリ、 折れているッス! |
茜: |
よく見なくてもわかりますよ、 それぐらい。 |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ と、とにかく! 折れた刃の先が発見された”場所” ‥‥それがキメ手になったッス。 |
茜: | ど、どこだったんですかっ? |
糸: |
被害者‥‥‥罪門 直斗検事の ”体内”ッス。 |
成: | ‥‥! |
糸: |
刺された際の、キズの奥から ナイフの刃のカケラが。 |
成: | それが、青影のナイフに‥‥? |
糸: | ピッタリ、一致したッス。 |
茜: | なるほど‥‥カガク的ですねえ。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
データを書きなおした。 | |
糸: |
‥‥とりあえず‥‥ 自分にわかるのは、 こんなトコロ、ッスかねえ。 |
成: |
あの、最後にもう1つだけ。 おねがいがあるんですけど‥‥ |
糸: |
なんス? おカネなら、巌徒局長に たのんだほうがいいと思うッスよ。 |
成: |
その、巌徒局長のコトです。 局長室は”現場”なんですよね? 罪門 直斗検事が 殺害された事件の‥‥ |
茜: |
局長さんが出かけちゃって、 ロックされちゃったんです。 あの部屋‥‥調査して みたいんです! あたしたち。 |
糸: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ジツは、捜査官のIDカードを 使えば、ロックは開けられるッス。 |
茜: | え! そうなんですか! |
糸: |
でも‥‥一般のニンゲンを 局長室に入れたら‥‥ 背任罪にあたるッス。 |
茜: | はいにん‥‥? |
糸: |
わかりやすく言えば、 クビになっちゃうッス。 |
成: | そ、そうなんですか‥‥ |
糸: |
ワルいッスけど‥‥自分。 アンタのためにクビになるのは ゴメンナサイッスから。 |
茜: |
あ。じゃ、この 多田敷捜査官のIDで‥‥ |
糸: |
それはダメッス。亡くなった日に データは抹消されたハズッス。 |
茜: | うううう‥‥ |
成: |
(つまり。あの部屋を調べるには、 このヒトにたのむしかない‥‥) |
茜: |
何か、刑事さんの気持ちを変える ようなモノが必要ですね。 |
検事局・地下駐車場 | |
成: |
今日は、ダレもいないね。 ‥‥おキョウさんも。 |
茜: |
証拠保管室のナゾが キョーレツでしたからねー。 刑事さんたち、あっちに 行ってるんじゃないかなあ。 |
成: |
でも、今日の法廷で ハッキリ立証したからね。 <<事件当日の5時15分、 証拠保管室で、事件はなかった>> |
茜: |
それって、なんか‥‥1歩、 前進したような気がするケド。 |
成: |
ケッキョク、ともえさんが アヤシイ、ってコトになるかな。 |
茜: | うううう‥‥ |
成: |
(明日までに‥‥すべて、 コタエを見つけないと!) |