成歩堂 龍一…黒 | |
御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
裁判長…緑 | |
宝月 茜…桃 | |
宝月 巴…藤 | |
巌徒 海慈…紫 | |
罪門 恭介…紺 | |
市ノ谷 響華…水 | |
原灰 ススム…黄 |
地方裁判所 第9法廷 | |
裁: |
それでは‥‥ 被告人・宝月 巴さん。 ‥‥証人席へおねがいします。 |
御: |
宝月 巴さん。 ‥‥あなたは、主席検事だ。 この場で、何を求められているか ‥‥よくご存じだろう。 |
巴: |
‥‥御剣検事。 その私が、この2年間。 いったい、何をしてきたか‥‥ すべて、ご存じなのでしょう? |
御: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
これから、あなたに証言を していただきます。 ‥‥真実を述べるように。 |
巴: | ええ。真実を、ね‥‥ |
茜: |
お姉ちゃん! あたし。 味方だからね! 何があっても‥‥ |
巴: | ‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
‥‥それでは、 証言していただきましょう。 最初に‥‥巌徒局長との ”関係”について。 |
成: |
(すべては‥‥ あなたのコトバにかかっている。 巌徒を追いつめられるのは、 あなたしかいない!) |
巴: |
『巌徒局長とは長い間、いっしょに 仕事をさせていただきましたが‥‥』(証言1) 『脅迫のジジツなど、 まったくありませんでした。』(証言2) 『2年前の<<ねつ造>>も‥‥ 私ひとりが、やったことです。』(証言3) 『罪門検事さんの死体を見つけて‥‥ 証拠をデッチ上げてしまった。』(証言4) 『青影を、有罪にしたかっただけ。 ‥‥妹は、関係ありません。』(証言5) |
裁: |
‥‥ふむう‥‥ 本当に、まちがいありませんな? |
巴: |
<<重罪>>を自供しているのです。 まちがうハズ、ありませんわね。 |
茜: | お、お姉ちゃん‥‥! |
裁: |
‥‥これが真実ならば、やはり。 巌徒局長は無関係というコトです。 |
巴: |
最初から、そう申し上げている ハズですけれど‥‥? |
茜: |
な‥‥成歩堂さん、おねがい! あたしのせいで、お姉ちゃんが‥‥ |
成: |
(でも! もし彼女が、ホントの コトを言っていたら‥‥?) |
茜: |
‥‥あたし、わかったんです。 お姉ちゃんが、ていねいな コトバで話しているとき。 いつも‥‥ホントのコトを 押しかくしているんです。 ホントは、悲鳴を 上げたいぐらいツラいのに! |
成: |
‥‥! (たしかに‥‥ ぼくが迷って、どうするんだ!) |
裁: |
‥‥それでは、弁護人。 尋問をおねがいします! |
成: |
あなたが、ヒトリで やったと言うのですか? |
巴: | ‥‥ええ。 |
御: |
2年前、現場で何を見たのか? ‥‥お聞かせねがおうか。 |
巴: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ どうやら、私は‥‥最初に 現場を発見したようです。 死体には‥‥<<検事局賞>>の、 折れた剣が刺さっていました。 |
成: |
待ってください! 罪門検事の イノチをうばったのは‥‥ ‥‥不幸な”事故” だったハズです! |
巴: |
‥‥それは、成歩堂弁護士。 あなたの、勝手なスイソクです。 |
成: | ‥‥! |
巴: |
罪門検事のイノチを うばったのは、妹ではない。 この主張を変えるつもりは ありません。‥‥ゼッタイに! |
御: |
つまり‥‥罪門検事は、 青影の返りうちにあった、と? |
巴: |
きっと‥‥そういうコト、 なのでしょうね。 |
御: |
‥‥そうなると。もう1つの凶器は どうなったのだろうか? 青影 丈は、飛び出しナイフを 持っていたはずだが。 |
巴: |
ああ‥‥そのナイフは、少し離れた ところに落ちていました。 格闘の際に 飛ばされたのでしょうね。 |
成: |
(‥‥ちがう! 彼女はまだ ウソを重ねようとしている‥‥) |
茜: |
‥‥あたしを”殺人者”に しないため、なんですね‥‥ |
裁: |
それで、あなたは‥‥ 現場で、何をされたのかな? 重要なのは、その1点です。 証言をおねがいしましょう! |
巴: |
‥‥はい。 『青影のナイフの刃先を折って 埋めこみ、死体を移動させました。』(証言6) |
成: |
”青影 丈のナイフの刃先を 死体に埋めこんだ”‥‥! |
裁: |
”罪門 直斗の死体を 移動させた”‥‥! |
御: |
いったい、なぜ! そのようなことを‥‥ |
巴: |
‥‥御剣くんなら わかるのではないですか? アタマがよろしいのですからね。 |
御: | ‥‥! |
成: |
(ぼくもアタマはいいけど‥‥ 念のため、聞いてみるか?) |
成: |
あなたが現場を発見したとき、 被害者の死体は、どこに‥‥? |
巴: |
あなたが立証したとおり。 巌徒局長のデスク付近です。 |
御: |
しかし‥‥我々が死体を見たのは、 あなたのデスクの近くだった。 なぜ、その死体は移動されたのか? |
巴: |
カンタンなコトです。 その理由は‥‥ |
裁: |
それでは、証言に 加えていただきましょう! <<死体を移動させた>>‥‥ その理由を! |
巴: |
『犯行の瞬間に割れたツボのカケラが ジャマだったものですから‥‥』(証言7) |
成: |
‥‥ともえさん。 あなたのキモチはわかります。 2年前‥‥妹さんを守るため、 あなたは”罪”を犯した。 |
裁: |
罪門 直斗殺害現場の <<ねつ造>>‥‥ですか。 |
成: |
今。その真相が暴かれたら‥‥ この2年間が、ムダになる。 ‥‥それでも、ぼくたちは 追求しなければならない! あなたの証言にひそむ、 大きなムジュンを! |
巴: |
わ。私の証言に ”ムジュン”が‥‥? |
成: |
‥‥あなたは、こう証言しました。 <<割れたツボのカケラが ジャマだった>>‥‥と。 |
巴: | え‥‥ええ。 |
裁: | ‥‥何か、モンダイが? |
成: |
タンジュンな見落としです。 このツボには‥‥被害者の血で、 メッセージが残されていました。 |
巴: |
罪門検事が、最後のチカラを ふりしぼって、書いたのでは? |
成: |
‥‥そう。その時点ですでに ムジュンしてるのです。 |
巴: | ! |
成: |
被害者が、ツボにメッセージを 書くことができたのであれば‥‥ 犯行後、ツボはまだ ”割れていなかった”コトになる! |
巴: | あ‥‥ッ! |
成: |
そう! 割れたツボに、名前を 書くのは、不可能なのですッ! |
裁: | ‥‥静粛に! 静粛にッ! |
御: |
裁判長! どうやら‥‥ さらなる情報が必要のようだ。 ‥‥そのツボと、血の文字。 我々は、とんでもない 見落としをしていた可能性がある! |
成: |
(とんでもない‥‥ ”見落とし”?) |
御: |
‥‥主席検事。 どうやら、あなた自身にも まだ、見えていないようだ。 これから、我々がたどりつく ‥‥<<真相>>に。 |
巴: | え‥‥‥ |
御: |
‥‥あなたは、見たことを そのまま、証言すればよい。 あとは‥‥我々が、 正しい道をたどるだろう。 |
裁: |
それでは、証人! つづけて、証言をおねがいします! |
巴: | ‥‥‥‥‥‥ |
巴: |
『ツボのカケラに、血のアトが あるのは、すぐに気がつきました。』(証言1) 『でも、部屋は暗くて‥‥ 調べている時間は、なかった。』(証言2) 『だから、私。すべてのカケラの 血のアトをふき取ったのです。』(証言3) 『カケラは大きかったから、 見落としはありませんでした。』(証言4) 『『見つかる前に、消してしまおう』 ‥‥それだけを考えていました。』(証言5) |
裁: |
あなたが‥‥ふき取った! この、血の文字を‥‥ |
巴: |
あのときの私は、 主席検事ではなかったのです。 |
茜: |
お姉ちゃん‥‥真犯人が 青影だとは、思わなかったんだ。 だから‥‥ツボの文字を 消しちゃったんですね‥‥ |
裁: |
それでは、弁護人。 尋問をおねがいしましょう。 |
成: |
きっと‥‥あなたも 知らなかった事実があります。 |
巴: | ‥‥‥? |
成: |
この、最後のカケラ‥‥ 巌徒局長の金庫から発見しました。 |
巴: |
局長の‥‥‥? どうして、そんなところに‥‥ |
成: |
(やはり‥‥‥ともえさんは 知らなかった!) ここに、ひとつ。 フシギなことがあるのです。 そのカケラにだけ‥‥ハッキリ。 ”血のアト”が残っていたのです! |
裁: |
し、しかし! さきほど、 証人は断言しましたぞ! ”カケラは、1つ残らず集めて 血をふき取った”‥‥と! |
成: |
だからこそ‥‥‥ 1つの”コタエ”が見えてくる。 つまり‥‥あの晩! 最初に現場を発見したのは、 宝月 巴さんではなかった! そう、巌徒局長だったのです! |
裁: |
ですが! 被告人が、カケラを 見落とした、という可能性もある |
成: |
このカケラは、ひとつひとつが かなり大きい。 見落とすなど、考えられません! |
裁: |
ですが! 私などは、その。 クチに入れた入れ歯を探して、 1日をムダにしたコトがあったりす |
御: |
お忘れだろうか、裁判長。 この証人が、現場に行ったとき。 ツボは、すでに割れていた。 |
裁: | あ‥‥‥ |
御: |
割れたツボに、名前を 書き残せるワケがない‥‥つまり! 証人よりも先に、現場を ”発見”した人物がいるのだッ! |
裁: |
ですが! 巌徒局長は、あの日、 逃走した青影を追っていました! 先に現場を発見しても、 不自然だとは言い切れないと考えら |
成: |
それならば、なぜ! 2年間もダマっていたのですかッ! |
裁: | そ。それは、アレで |
成: |
さあッ! どうなんですか、裁判長ッ! |
裁: |
う‥‥‥‥‥‥‥‥ もうしまッせええええええええええ ええええええええええええええん! |
裁: |
‥‥ココロならずも、裁かれる 立場を味わってしまいました。 |
御: |
巌徒 海慈は、あの日。証人より ヒトアシ先に、現場に現れた。 そして、自らツボを割り‥‥ カケラの1つを、故意にかくした。 ‥‥さて。 この行為を、なんと呼ぶか? |
成: |
<<ねつ造>>‥‥ そして、<<インペイ>>! |
裁: |
しかし! いったい、なぜ! 巌徒局長は、そんなコトを‥‥! |
御: |
それは‥‥その後の展開を見れば、 アキラカなのではないだろうか。 |
裁: | その後の展開‥‥? |
御: |
現場を”発見”した被告人は、 それが妹の”犯行”だと考えた。 彼女は、巌徒局長に助けを求めた。 ‥‥妹を助けたい、一心で。 巌徒は、彼女に”協力”して、 青影に対する証拠を作りあげた。 そして、宝月 茜は救われた。 そう! これは、すべてッ! あなたを言いなりに動かすための 計画だったのだ! |
巴: |
‥‥‥ッ! そ、そんな‥‥! 私は! 私は、ひとりで‥‥ |
茜: |
お姉ちゃん! もう‥‥ 局長さんをかばうのはやめて! あたしのせいで、これ以上‥‥ お姉ちゃんが苦しむの、 見たくないよ! |
巴: |
ち、ちがう! あなたじゃない! あなたは、だれも殺してないの! 弁護士の言うコトなんて、 信じてはダメ! 依頼人のためならば、平気で ハレンチなウソをつく連中なのよ! |
成: |
はれんち‥‥ (依頼人、本人に言われたぞ) |
裁: |
なんだか、急にあなたが はれんちに見えてきました。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥! (ちょっと、待てよ‥‥ もしかしたら‥‥まだ ぼくたちは、ワナの中に いるのかもしれない!) |
裁: |
ど‥‥‥どうかしましたか? 弁護人‥‥ |
成: |
‥‥ともえさんが‥‥ 正しかったのかもしれません。 |
御: | どういうことだ、成歩堂! |
茜: |
やっぱり、はれんちなんですか? 成歩堂さん! |
成: |
ともえさん! もう一度! 証言してください! |
巴: | え‥‥‥ |
成: |
‥‥あなたの知らないところで <<ねつ造>>があったのならば。 <<罪門 直斗のイノチをうばった のは、宝月 茜である>>‥‥ それ自体が、まやかし だった可能性がありますッ! |
茜: |
で、でも。あたし‥‥たしかに。 つき飛ばしたようなキオクが‥‥ |
成: |
ともえさん! ‥‥おねがいします! |
巴: |
‥‥‥‥‥ で、でも。やっぱり、私は‥‥ |
御: | 今は、恐れるべきではない。 |
巴: | ‥‥! |
御: |
尋問の結果‥‥やはり、 何も変わらないかもしれない。 しかし! 可能性は、ある。 あなたが‥‥<<真実>>を語れば! |
巴: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ わかりました。 証言させてください。 私の見たコトを‥‥そのまま。 |
裁: |
それでは‥‥最後に、もう一度。 証言をおねがいしましょう! |
巴: |
『現場では‥‥‥罪門検事の死体が ヨロイの剣に刺さっていました。 そして‥‥その横に、あかねと 青影がキゼツして、倒れていた‥‥ あの状況を見て、私。あの子が 殺した‥‥そう思ったのです。 だから、妹に結びつきそうな証拠は すべて、消し去りました。 巌徒局長に手伝っていただいて、 死体を剣から抜いて、運んで‥‥ でも、すべてが<<ねつ造>>ならば。 妹は、無実かもしれないのですね!』 |
裁: |
信じられない光景です。 死体が‥‥ヨロイの剣に! |
御: |
‥‥ザンネン、だ。 それを見たのは、あなただけ。 何か、証拠でもあれば‥‥ |
巴: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ じつは‥‥あるのです。 証拠ならば。 |
御: | ‥‥! |
巴: |
今朝、コッソリおわたししました。 ‥‥成歩堂弁護士に。 |
成: | え! ぼ、ぼくですか? |
巴: |
2年前の、あの日。 私が撮影した<<現場写真>>です。 もしかしたら‥‥必要に なるかもしれないと思って。 |
成: |
でも! そんなもの、 受け取ったおぼえは‥‥ |
茜: |
きっと、お姉ちゃん‥‥ 予想していたんだと思います。 成歩堂さんのチカラを、 信じていたから‥‥ |
裁: |
それでは、弁護人。 その<<写真>>を提出してください! |
成: |
(ともえさんから、写真なんて 受け取ったおぼえはない‥‥) |
茜: |
お姉ちゃん、”今朝、わたした” って言ってましたよね。 |
成: |
今朝‥‥‥か。たしかに。 何か、もらったような‥‥ |
茜: |
その証拠品! もう一度、 よく調べてみましょうよ! きっと、どこかに。 写真があるハズです! |
成: | ‥‥こんなところに、写真が‥‥ |
茜: |
ひ‥‥‥ひどい‥‥‥ これが‥‥本当の、サツジン現場! |
巴: |
‥‥この光景を、ジッサイに 見た捜査官は、存在しません。 すべて‥‥細工をしてから、 刑事課に連絡を入れましたから。 |
法廷記録に挟んだ。 | |
茜: |
あッ、成歩堂さん! あの、ムネの切りぬかれた部分。 もしかして‥‥‥! |
成: |
(巌徒局長のキンコで見つけた、 あの布きれ‥‥‥か!) |
成: | 『‥‥なんだ? コレ‥‥』 |
茜: |
『これ、って‥‥ 手のアト、ですよね。』 |
茜: |
あの布きれ‥‥たしか、 指紋がついてましたよね。 その指紋のヌシこそが! きっと、ハンニンですよッ! |
成: |
(な‥‥‥なんてコトだ! あの布キレの指紋は‥‥ あかねちゃん! キミのもの、なんだよ‥‥!) |
茜: |
どうしたんですか? クチビル、ムラサキ色ですよ。 |
御: |
‥‥とにかく、すべては 尋問でアキラカになるだろう。 あなたが、真実を述べていれば‥‥ <<真犯人>>をいぶり出せる! |
裁: |
それでは、弁護人。 ‥‥尋問をおねがいします。 |