王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
牙琉 霧人…紫 | |
裁判長…緑 | |
亜内検事…茶 | |
浦伏 影郎…青 | |
逆居 雅香…水 | |
成歩堂 みぬき…赤 |
雅: |
『最後の勝負‥‥おふたりとも、 ”フルハウス”という役で勝負に。』(証言1) 『トランプは、AからKまで、 それぞれ4枚ずつしかありません。』(証言2) 『だから、おふたりのカードを見れば、 イカサマはいっそ、アカラサマです。』(証言3) 『次の瞬間、口論になりました。 イカサマのバレた被告人さまは‥‥』(証言4) 『手元にあったボトルを手にとって、 浦伏さまを‥‥』(証言5) |
王: |
証人! なぜ、最初から 話してくれなかったんですか! |
雅: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
(どうも、アヤシイと思っていた! ‥‥あの証人。 このチンモクのウラには‥‥ ナニかある! かならず!) |
裁: |
ふむう‥‥ ”フルハウス”というと、 ずいぶん高い<<手役>>ですな。 私のケイケンから言っても、 カンタンには作れません。 |
亜: |
そのとおり。その時点で ”イカサマ”のニオイがしますな。 |
王: |
ええと‥‥牙琉先生? なんですか? ”ふるはうす”って。 |
亜: |
やれやれ‥‥最近の若い弁護士は ポーカーも知らないのですか。 |
裁: |
そんなことでは 苦労しますぞ、この先。 |
王: |
(なんだなんだ。 ハヤってるのか? 裁判所で) |
霧: |
‥‥オドロキくん。 ”ワンペア”や”ツーペア” ”スリーカード”は知ってますね? |
王: |
あ、はい! それなら大丈夫です! 同じ数字のカード2枚がペア、 3枚がスリーカード、ですよね! |
霧: |
その”ワンペア”と ”スリーカード”を‥‥ 組み合わせたものが ”フルハウス”なのですよ。 |
王: |
(たしかに‥‥そうカンタンに 作れそうもない<<手役>>だ‥‥) |
亜: |
ふたりのカードは、このとおり。 チップの写真に写っております。 |
王: |
(たしかに‥‥ふたりとも ”フルハウス”だな‥‥) |
亜: |
まあ‥‥7年間も”無敗”でいる など、不可能ですからなあ。 ‥‥イカサマでもしないかぎりは。 |
裁: |
それでは、弁護人。 尋問をおねがいします。 |
王: |
(最後の勝負に”イカサマ”が あったとして‥‥ギモンがある。 勝負の結果は‥‥ 成歩堂さんが”負けている” ”イカサマ”をした上、負ける <<プロ>>が、いるか‥‥?) |
王: | ”アカラサマ”と言うと‥‥? |
雅: |
その。被告人さまは‥‥ 5枚目のAを 出してしまったのです。 |
王: | ご。5枚目‥‥ですか? |
雅: |
今でも、おふたりの”手札”は ハッキリ覚えておりますの。 浦伏さまのフルハウスは、Aが3枚。 一方、成歩堂さまは、Aが2枚‥‥ |
亜: |
だからこそ、 イカサマが発覚したワケ、ですな。 |
霧: |
裁判長‥‥今の発言。 証言に加えていただけますか。 |
裁: |
わかりました。それでは、証人。 おねがいできますかな? |
雅: |
『浦伏さまが3枚、被告人さまが2枚。 ‥‥5枚目のAが使われたのです。』(証言6) |
王: |
どうやら‥‥証人は カンちがいをしているようです。 |
雅: | かんちがい‥‥? |
王: |
あなたの証言は、この証拠品と 決定的にムジュンしている! |
裁: | それは‥‥チップの写真、ですな。 |
霧: |
オドロキくん。 裁判長さんにもわかるように、 教えてあげましょうか。 ‥‥その指で、指し示して! |
裁: |
それでは、 指し示していただきましょう。 証人の証言と <<ムジュンするポイント>>とは! |
王: |
‥‥雅香さん。 あなたはこう証言しましたね。 <<浦伏氏の手札には、 3枚のAがあった>>‥‥しかし! このとおり! 被害者の手札に、 Aは2枚しかありません! |
雅: |
えええッ! そ。そんなハズは‥‥ |
亜: |
し‥‥証人の カンちがいかもしれませんぞ! 3枚目のAがあったのは、 被告人の手札の方だった‥‥ |
王: |
もう一度、写真を よく見てください! このとおり。被告人の手札にも、 Aは2枚‥‥ ‥‥つまり! イカサマがあったという証言こそ、 イカサマだった可能性がある! |
裁: |
ふむう‥‥たしかに、 ふたりの手札のAは、合わせて4枚。 イカサマがあったという証拠は ありませんな‥‥ |
雅: |
ま、待ってください! ワタシ‥‥見たんです! 5枚目のAを。 たしかに、 イカサマはあったのです! |
王: |
(‥‥なんだろう。 あの証人のタイド‥‥ 今までとはちがう ”ホンキ”を感じる‥‥) |
霧: |
”直感”というのはなかなか バカにできません‥‥ |
王: | 牙琉先生! |
霧: |
‥‥何かあるのかもしれません。 この先に、まだ。 裁判長。 提案があるのですが‥‥ |
裁: | なんでしょうか。牙琉弁護士。 |
霧: |
もし、よろしければ‥‥ ジッサイに、ふたりのカードを 調べさせていただけませんか。 |
裁: | カードを‥‥? |
霧: | ‥‥亜内検事。 |
亜: | は。はあ‥‥ |
霧: |
当然、ふたりの手札は証拠品として 保存されているはずですね? 弁護側は‥‥ そのカードの提示を求めます。 |
裁: |
それでは、カードを 提出していただきましょう! <<被告人のカード>>と <<被害者のカード>>‥‥ どちらを調べますかな? |
王: |
(カードを調べて”イカサマ”の 証拠を探す‥‥ アヤシイカードは、 どっちだ‥‥?) |
王: |
(証言では、”変化した”のは、 被害者のカードの方だ‥‥) それでは、浦伏さんのカードを おねがいします。 |
裁: |
わかりました。 ‥‥亜内検事。おねがいします。 |
亜: | ‥‥わかりました。 |
受け取った。 | |
霧: |
それでは‥‥ さっそく調べてみましょうか。 |
王: | は‥‥はいッ! |
霧: |
証拠品は、タテからヨコから、 じっくり調べることができます。 さあ、ダイヤルに タッチしてみてください。 いろいろな角度から ながめてみることです。 |
王: | (ようし‥‥調べてみよう!) |
王: |
(こ、これは‥‥!) 裁判長! 見てください! 被害者のカードには、1枚‥‥ ウラの色がちがうカードが まぎれこんでいますッ! |
亜: | え‥‥ええええッ! |
雅: |
そ。そんなバカなッ! アタシがシカケたのは、 成歩堂のほうなのに‥‥ あッ! |
霧: | ‥‥今、なんと言いましたか、証人。 |
雅: |
い‥‥いえ‥‥その。 アタシ‥‥わ、私は、ええと‥‥ |
霧: | ‥‥裁判長。 |
裁: | な。なんですかな? |
霧: |
最もカンタンにイカサマをする 方法とは、なんでしょうか。 |
裁: | イカサマを‥‥ |
霧: |
コタエは、ひとつ。 カードを配る人間‥‥ ”ディーラー”をミカタにつける。 |
裁: | あ‥‥ッ! |
王: |
じゃ、じゃあ‥‥ この証人‥‥逆居 雅香さんは‥‥ |
霧: |
イカサマ師、ですね。 おそらく‥‥プロ、の。 |
雅: | ‥‥きゃアアアアアアアああッ! |
裁: | 静粛に! 静粛にィィィッ! |
王: |
(今だ、王泥喜 法介! ‥‥一気にたたみかけろ!) 裁判長! ただ今の証言‥‥もう一度 思い出してください! |
雅: |
『そ。そんなバカなッ! アタシがシカケたのは、 成歩堂のほうなのに‥‥』 |
王: |
‥‥つまり! 逆居 雅香と組んで イカサマをしていたのは‥‥ 被害者・浦伏 影郎 のほうだったのです! |
雅: | うう‥‥ッ! |
王: |
しかも彼女は、そのイカサマを シッパイしていたようです! それならば! 被害者との間に ”何か”あっても、おかしくない! |
亜: | なんですとォォォッ! |
裁: |
それでは‥‥弁護人ッ! あなたは‥‥逆居 雅香さんを 告発するつもりですか! |
王: |
(今こそ、チャンスだ! 事件のとき、 あの部屋にいたのは、3人。 成歩堂さんが ハンニンでないとすれば‥‥) ‥‥はい。 弁護側は、この証人を 真犯人として告発します! |
雅: | きゃああああああああッ! |
裁: |
‥‥亜内検事。 証人‥‥逆居 雅香さんは? |
亜: |
その‥‥ただ今、 イシキを失っておりまして‥‥ |
裁: |
ふむう‥‥ 王泥喜くん。 |
王: | はい! |
裁: |
あなたは、ある”可能性”を 提示したようです。 この証人と、被害者・浦伏氏との かくされた”つながり”を‥‥ |
王: | そ。それじゃあ‥‥ |
裁: |
現時点で、この被告人に 判決を下すことはできません! |
亜: | な‥‥なんですとッ! |
王: |
(やった‥‥なんとか、 この場はしのいだかッ!) |
裁: |
どうやら本日は、これ以上の審理は 不可能であるようです。 検察側は、さらなる調査を‥‥ |
王: | な‥‥成歩堂さん‥‥? |
成: |
‥‥ここで審理を終了することは できませんよ、裁判長。 まだ、ね。 |
亜: |
なんですか! 被告人ッ! これは、いったい‥‥ |
成: |
1枚だけ、色のちがうカード‥‥ その、イミ。 もう少し考えてみませんか。 |
亜: |
ひ‥‥被告人は、自分の立場が わかっているのですかッ! 裁判長! こんなのは、 その‥‥メチャクチャですぞッ! |
裁: |
ふむう‥‥亜内検事。 あなたもよく、ご存じでしょう。 彼の立つ法廷は‥‥ メチャクチャになるコトを! どうやら‥‥ここで一度、 あの夜の”ゲーム”について‥‥ 整理をしておいたほうが いいようですね。 |
成: |
あの夜‥‥ぼくたちは、 2組のカードを交互に使っていた。 そのことは話しましたね。 |
亜: | とっくに聞いておりますぞ! |
成: |
そして、<<ボルハチ>>では、 ウラが”青”と”赤”‥‥ 2種類のカードを使っている、とも。 |
王: | 2種類‥‥なぜ、そんなことを? |
成: |
同じ色では、2組のカードが 混ざってしまうキケンがあるからね。 |
王: |
(ジッサイ、混ざってたワケ だけど‥‥) |
成: |
最後のゲームで使ったのは、 ”赤”のカードでしたね。 |
裁: |
なるほど‥‥しかし。 ちょっと、妙な感じがしますな。 なんとなく‥‥”青”のカードが 使われたという印象があるのですが。 |
王: |
(たしかに‥‥ 誰か、そんなようなコトを そう言っていたような‥‥) |
亜: |
とにかく。1枚だけ 色がちがうということは‥‥ イカサマがあった、 ということなのでしょう。 |
成: |
スリ替えられたカードは そのときのモノ、ですね。 しかし‥‥このカードには、 大きく2つ。モンダイがある。 ‥‥オドロキくん。 |
王: | は‥‥はいッ! |
成: |
まず、ひとつ目の モンダイを考えてみようか。 最後の勝負。カードは‥‥いつ。 スリ替えられたのか‥‥? |
王: | (”いつ”‥‥?) |
成: |
カンタンに分けるならば、 次の3つだ。 <<事件の起こる前>>か、 あるいは<<起こった瞬間>>‥‥ そして、<<起こった後>>。 |
亜: |
そんなの、 決まってるではないですか! モチロン‥‥ |
成: |
‥‥おっと。 コトは、そうタンジュンでは ないかもしれませんよ、亜内検事。 |
亜: | むぐ‥‥! |
成: |
オドロキくん。 ‥‥よく考えてみるんだ。 いったい、いつだと思う? |
王: |
(カードがスリ替えられた ”タイミング”それは‥‥) |
王: |
事件が起こった‥‥ ”後”でしょうか。 |
亜: |
な‥‥何を、バカな! イカサマは、手札を開く前に 行わなければ、イミがない! |
王: |
でも! ゲーム中に カードをスリ替えるなんて‥‥ 不可能じゃないですかッ! |
亜: |
この世に”不可能”など、ないッ! ‥‥それほどには。 |
王: |
いやいや! だって‥‥ ウラの色がちがうんですよ? ゲーム中にスリ替えたら、 アッという間にバレてしまう! |
裁: | あ‥‥ |
成: |
そのとおり。つまり‥‥ この青いカードは、 カードが開かれた”後”。 すなわち、事件が起こった”後”。 ‥‥スリ替えられたことになる。 |
亜: |
バカげているッ! 勝負が終わった”後”、 イカサマをした‥‥ そんなの、なんのイミもないッ! |
成: |
そう。‥‥それが、 ひとつ目の”ナゾ”ですね。 |
裁: | ま。まだあるのですか? |
成: |
カンタンな‥‥そして。 決定的な疑問ですよ。 ”ダレが”この赤いカードを スリ替えたのか? |
王: | だ。”ダレが”‥‥? |
霧: |
<<事件が起こった後>>‥‥つまり、 被害者はすでに死んでいます。 部屋にいたのは、残ったふたり。 被告人・成歩堂 龍一と、 逆居 雅香、ですね。 |
王: |
(赤いカードをスリ替えた人間‥‥ よく考えるんだ!) |
王: |
スリ替えたのは‥‥モチロン、 成歩堂さんじゃありません。 そして、おそらく‥‥ 逆居 雅香さんでもないような‥‥ |
裁: | な、ナニを言うのですかッ! |
霧: |
それはロンリ的ではないでしょうね。 弁護側としては‥‥ イカサマ師である、逆居 雅香の 名前をあげるべきでしょう。 |
王: |
たしかに、そうなんです! でも‥‥彼女。 カードを配った本人、ですよね? カードの色をまちがえる、なんて ‥‥信じられないんです。 |
裁: |
それに‥‥ウラの色がちがったら、 ゲーム中にバレてしまうでしょう。 |
成: | ふっ‥‥‥‥ふっふっふっ‥‥ |
裁: | どうしましたかな? 被告人。 |
成: |
いや失礼、裁判長。 なんか、楽しくなってきたもので。 |
亜: |
弁護人の主張は、 まったくイミ不明ですぞッ! スリ替えたのが、被告人でも 逆居 雅香さんでもなければ‥‥ ダレもいなくなってしまう! |
王: |
は、はあ‥‥まあ。 そうなんですけどねえ。 |
成: | そのとおり。 |
王: | え‥‥ |
成: |
ここに至って、初めて‥‥ この事件の新しい局面が見えてくる。 |
裁: | 新しい局面‥‥ |
成: |
事件の後、ある人物によって‥‥ 被害者の<<フルハウス>>の手札が、 1枚スリ替えられた。 ‥‥その人物は、 2つのミスを犯している。 |
霧: |
1つ目は、カードの色‥‥ というコトでしょうね。 |
成: |
スリ替えた人物は、2つのカードが 使われているのを知らなかった。 そして、もう1つは‥‥ カードの”数字”だ。 |
王: |
たしかに‥‥5枚目のAが消えて、 Kになっているワケですからね。 |
成: |
まさか、”5枚目”のAがあるとは 思わなかったのだろうね。 <<フルハウス>>という役が印象に 残っていた、その人物は‥‥ テーブルの上のカードから、 Kを選んで、入れておいたんだ。 |
亜: |
し‥‥しかし! そんな人物など‥‥ ワレワレの捜査では、 存在していないッ! |
成: |
ところが‥‥たった今、 その可能性が浮上した。 あの晩。現場には、もうひとり。 ‥‥そう。 まだ、誰も知らない ”第三者”がいたのですよ。 |
亜: | な‥‥なんですってぇぇぇぇぇッ! |
霧: |
‥‥裁判長のコトバは 正しかったようですね。 彼が立つ法廷は、メチャクチャに なる。‥‥かならず。 |
裁: |
本法廷は、1つの前提のもと、 審理をしてきました。 ”事件当時、現場には3人しか いなかった”という前提です。 |
成: |
前提は、くつがえる‥‥ そんなものでしょう? |
裁: |
‥‥モンダイは、それを あなたが黙っていたことです。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ たしかに。それはモンダイですね。 |
裁: |
これより休憩に入ります! 牙琉弁護士は休憩中、 私の執務室に来るように! |
霧: | ‥‥了解しました。 |
裁: |
それでは! 20分後、審理を再開します! |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
霧: |
‥‥勝手なことをして くれましたね、成歩堂。 事件現場に”第三者”がいた‥‥ 急に、言い出すとは。 あれは‥‥ホントのコト、 なのですか? |
成: |
さあね‥‥それは、きみにも わかっているんじゃないのかな? |
霧: |
‥‥謎かけにつきあう つもりはありません。 とにかく、弁護は私たちに 任せてもらいたいですね。 それができないのであれば‥‥ 結果は保証できません。 |
成: |
やれやれ‥‥あいかわらず、 カタい男だな、きみは。 |
霧: | オドロキくん。 |
王: | は‥‥はい! |
霧: |
私は裁判長に呼ばれている。 依頼人のお相手を頼みますよ。 |
成: |
王泥喜くん。 なかなか、よくやってくれたよ。 |
王: |
あの‥‥ちょっと 聞いてもいいですか? |
成: | なんだろう。 |
王: |
その、クビのロケットですけど‥‥ 本当に、成歩堂さんのもの、 なんですか? |
成: |
ああ‥‥消えた、 ”被害者のロケット”ね。 見せようか。 ぼくのムスメだ‥‥本当だよ。 |
王: |
成歩堂さん。 本当にムスメさんがいたんだ‥‥ |
成: |
‥‥まあ、ね。 そのうち、紹介できるかもしれない。 |
王: |
あと、もうひとつだけ。 勝負のとき、やっていたんですか? その‥‥”イカサマ”を。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥きみはどう思う? |
王: | え。 |
成: |
‥‥7年前、あんな事件を起こした 成歩堂 龍一だ。 イカサマをしてもおかしくない‥‥ そう思っているのかな? |
王: |
そ、そんな! でも‥‥ (7年間、イカサマなしで 勝ちつづけるなんて‥‥) |
成: |
いいコトを教えてあげよう。 一晩中、最悪のカードを配られても 勝てる、ただひとつのゲーム‥‥ ‥‥それがポーカーだ。 |
王: | え‥‥ |
成: |
ポーカーの本質は、 心理を”読み合う”ところにある。 ‥‥そうだな。ある種、 法廷戦術に通じるものがあるね。 |
王: | ポーカーが‥‥法廷戦術! |
成: |
相手が何を考えているかを、知る。 それができれば、勝つ。 |
王: |
そりゃそうですけど。 そんなコト、できるハズが‥‥ |
成: | できるんだよ。 |
王: | ‥‥! |
成: |
人間の思考・感情というものは ‥‥かならず。 身体から”情報”として 発信されている。 |
王: | そ。そんなバカな‥‥ |
成: |
たとえば。あの証人‥‥ 逆居 雅香を思い出してごらん。 彼女は、ある証言をするとき‥‥ かならず”首筋をさする”。 ‥‥気がついていたかい? |
王: |
い。いえ‥‥ (それどころじゃないよ、フツー) |
成: |
”クセ””コトバ”‥‥ それらが発する情報を読み解くこと。 それが、勝負に勝つ ”鉄則”だよ、オドロキくん。 まあ‥‥ぼくも”ある人物”に 教わったんだけどね。 |
王: |
でも! オレにはムリです! そんなの、見えるはずが‥‥ |
成: | いや。きみにはできるんだ。 |
王: | え‥‥ |
成: |
きみ自身はまだ、 知らないかもしれないけどね。 |
王: | (ど。どういうことだ‥‥) |
成: |
いずれ、わかるさ。 ああ。それから、もうひとつ。 今回の事件だけどね。 ぼくはまだ、誰にも ”本当のコト”を話してないんだよ。 |
王: |
えええええッ! (や、やっぱり‥‥) |
成: |
もちろん、”理由”がある。 これからアキラカになるだろう。 そして、ぼくの作戦には‥‥ きみが必要なんだよ。 きみの”能力”が、ね。 |
王: |
オレの、のうりょく‥‥ (声のデカさ、か‥‥?) |
成: |
‥‥そろそろ時間だ。 これからが本番だ。 よろしくたのむよ。 |