王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
牙琉 霧人…紫 | |
裁判長…緑 | |
亜内検事…茶 | |
浦伏 影郎…青 | |
逆居 雅香…水 | |
成歩堂 みぬき…赤 |
王: |
(‥‥これこそが、成歩堂さんの ”作戦”だったんだ! もし、そうなら。 オレは、見とどけたい!) ‥‥弁護側は、 被告人の証言を要求します! |
霧: |
オドロキくん。この私を ウラ切るつもりですか? |
王: |
そういうモンダイじゃありません。 ”真実”を知るためです! |
霧: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
それでは、被告人‥‥成歩堂くん。 証言をおねがいします。 |
成: |
『あの夜、牙琉とぼくは夕食を食べた。 この写真と、まったく同じ席でね。』(証言1) 『彼が帰って5分ほどしてから、 浦伏 影郎が現れた。』(証言2) 『そして、あの”ワナ”が失敗して、 浦伏は、あの子を殴りつけたんだ。』(証言3) 『彼女がグッタリして、浦伏も慌てた。 ぼくは彼を残して、警察を呼んだ。』(証言4) 『部屋に戻ると、今度は彼が死んでた。 ヒタイから一筋、血が流れていたよ。』(証言5) 『それで、もう一度。電話をかけた。 ‥‥今度は、牙琉弁護士先生に、ね。』(証言6) |
裁: |
牙琉弁護士! 事件の夜‥‥あなたも <<ボルハチ>>にいたのですかッ! |
成: |
彼とは、よくいっしょに メシを食うのですよ。 |
亜: |
し、しかも! 事件が発生した後、 電話で被告人と話しているですと! |
成: |
殺人事件に巻きこまれた ワケですからね。 弁護士が必要になる気がして‥‥ 相談したかったのですよ。 |
霧: |
成歩堂。キミは、最初から‥‥ これを狙っていたようだね。 この私を‥‥ 引きずり出そうとしていた。 |
成: |
ぼくが引きずり出すのは ”真実”だけだよ。 それは変わらない。‥‥今も。 |
霧: |
キミのためだと思って 弁護を引き受けたのだが‥‥ どうやら、ムダだったようだ。 |
裁: |
‥‥では、弁護人。 <<尋問>>をおねがいしましょう。 |
霧: | 王泥喜くん。 |
王: | は‥‥はいッ! |
霧: |
彼は、真実を語っていない。 ウソを暴くのです。必ず。 |
王: |
わ、わかりました‥‥ (牙琉先生と成歩堂さん‥‥ 正直、怖ェな。 こんな裁判、 聞いたことないよ!) |
王: |
失敗した”ワナ”というのは‥‥ 先ほど、イカサマサカイさんが 証言した、アレですよね?
|
雅: |
『”ワナ”はシンプルなものだったね。 あらかじめ、ポケットに‥‥ オトリのカードを1枚、 コッソリ仕込んでおけばいい。 そして、<<5枚目のA>>のシナリオ どおりのカードを配って‥‥ ”イカサマだ!”と ケチをつけて、身体検査。 そのオトリのカードを取り出せば、 ワナのクチは‥‥閉じる!』 |
スリ替えたな!‥‥ | |
雅: |
『これで、 すべての”伝説”は、消える‥‥』 |
成: |
‥‥そう。かわいいイタズラだね。 見破ったのは、ささやかな キッカケだったよ。 |
亜: | キッカケ‥‥? |
成: |
たまたまポケットに手を入れたら ‥‥カードが入っていたんだよ。 |
王: | カードが‥‥ |
成: |
コッソリ見てみたら ”ハートの5”だった。 イヤな予感がしたんで、始末したよ。 最後の勝負が始まる”前”にね。 |
裁: |
しまつ‥‥ いったい、どこに! |
成: |
かたわらに、ぼくが飲んでいた ジュースのボトルがあった。 その中に捨てておいたよ。 |
亜: |
現場にあった ジュースのボトルといえば‥‥ ”凶器”のコトですかッ! |
成: |
コイツは、中が見えないからね。 手の中で丸めて押し込んでおいたよ。 |
裁: |
ふむう‥‥ イカサマ師の、アツい戦い。 キライではありませんな。 そういうのも。 |
王: |
(凶器のボトルの中に、カード‥‥ ちょっと、妙だな。 警察が、見落とすだろうか‥‥? 調べてみるか。あのボトル‥‥) |
裁: |
その”勝負”、 証言に加えていただきましょう! ”第3法廷のポーカーヘッド” たる私の好みです! |
成: |
『ゲーム中に”ワナ”に気づいた。 凶器のボトルにカードを始末したよ。』(証言7) |
王: |
ボトルの中は、 キレイにカラッポだ。 |
王: |
あの、成歩堂さん。 ちょっといいですか。 |
成: | なんだろう。 |
王: |
この、ボトルの中‥‥ カードなんて、ありませんケド。 |
成: |
あれ。そうかい。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: |
なんですか、被告人! その、つれないそぶりはッ! |
成: |
さあ。ぼくに聞かれても 困りますね。 カードはたしかに ボトルの中に捨てましたよ。 |
王: | え‥‥ |
霧: |
また”第三者が持ち出した”‥‥ とでも主張するつもりですか? |
裁: |
‥‥牙琉弁護士。 あなたの依頼人ですぞ。 |
霧: | ‥‥失礼しました。 |
亜: |
ワレワレの捜査を ナメてもらっては困りますな。 ボトルの中ぐらい のぞいてみますぞ! |
王: |
(‥‥どういうコトだ? また成歩堂さんに イッパイ食わされたのか‥‥ それとも、カードが ”消えた”のか‥‥?) |
裁: |
‥‥とにかく、 尋問をつづけていただきましょう。 決定的なムジュンと呼ぶには、 決定的なパンチに欠けています。 |
王: | え。 |
霧: |
さあ、オドロキくん。 もっと、攻めていきましょう。 弁護士のシゴトは、証人を ノックアウトすることです。 |
王: |
(ううう‥‥なんか、 趣旨が変わってきたような‥‥) |
王: |
あの、成歩堂さん。 ちょっといいですか。 |
成: | なんだろう。 |
王: |
現場写真を見てもらえますか。 その‥‥被害者ですけど。 帽子をかぶっていますよね。 ヒタイの血‥‥ 見えないと思うんですケド。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ そうみたいだね。 |
霧: |
‥‥オドロキくん。 ムジュンを暴くときは、もう少し 元気にやったほうがいいですね。 |
裁: |
被告人。いったいこれは どういうコトなのですか? |
成: |
そう‥‥ひとつ。 言い忘れていました。 その帽子をかぶせたのは ‥‥ぼくだった。 |
王: | え‥‥ |
亜: | あなたが‥‥ |
裁: | 帽子を‥‥かぶせた? |
成: |
ポーカーのあいだ、 彼は帽子をとりませんでした。 警察へ通報して、現場へ戻ったとき。 ミゴトなアタマと対面したワケさ。 ‥‥そう。この写真のとおり。 クモリもなくツルリと光っていたよ。 |
裁: | それで‥‥? |
成: |
‥‥床に落ちていた帽子を拾って、 そっとアタマに乗せておきました。 |
亜: | ななな、なぜ! そんなコトをッ! |
成: |
もうしわけない‥‥としか 言えませんね。 ぼくが現場で手を触れたのは、 それだけですよ。 |
王: |
じゃあ‥‥逆居 雅香さんも 見てないんですか? ‥‥その。被害者の、アタマを。 |
成: |
どうだろう。 彼女はキゼツしていたからね。 彼のアタマを”目撃”したのは ぼくだけ、だと思うよ。 |
霧: | やれやれ。また、ですか‥‥ |
王: | 牙琉先生‥‥? |
霧: |
‥‥いや、失礼。 依頼人のウソは、これが初めてでは ないようですからねえ。 |
裁: | ふむう‥‥ |
王: |
(困るな‥‥先生が そんなコトを言っちゃあ‥‥) |
霧: | ‥‥もう、いいでしょう。 |
王: | 牙琉先生‥‥? |
霧: |
どうも、この被告人の証言には ”イツワリ”が多すぎるようです。 7年前‥‥弁護士バッジを 失ったのも、ムリはありませんね。 |
成: |
フッ‥‥ 依頼人に向けるコトバとしては ずいぶんキツいな、牙琉。 |
霧: |
最初に攻撃をしてきたのは、 たしか、キミでしたね‥‥? |
王: |
成歩堂さん! ホントのコトを 言うなら‥‥今しかありません! |
成: | ぼくは、ウソは言ってないよ。 |
王: | え‥‥ |
成: |
”ワナ”に気づいたぼくは‥‥ あのカードを、ボトルの中に捨てた。 そして、被害者のアタマに 帽子をかぶせたのにも‥‥ ある”理由”があった。 |
裁: | ”りゆう”‥‥ですと? |
成: | ‥‥コイツですよ。 |
王: | 携帯電話‥‥ですか? |
成: |
‥‥あの夜。 警察に通報したあとの、 牙琉弁護士との”通話”‥‥ 念のために、 録音しておいたのですよ。 |
霧: | なんですって‥‥? |
成: |
せっかくだ、牙琉。みなさんに 聞いてもらおうじゃないか。 |
成: |
「牙琉。‥‥すまないが、 メンドウに巻きこまれたようだ。」 |
霧: |
『なんですか? ゲームのトラブル、かな?』 |
成: | 「うん。そんなところだ。」 |
霧: |
『今夜キミに勝負を挑んでいた、 あの紳士‥‥ですか。』 |
成: |
「ああ‥‥死んじまったよ。 思い切り、殴られたみたいだ。」 |
霧: |
『まさか‥‥ キミではないのでしょうね。 キズひとつないボーンチャイナに ヒビを入れたのは‥‥』 |
成: |
「よしてくれ。 とにかく、これから警察が来る。 たのむよ。 ‥‥もしものときは、な。」
|
王: | ”ボーンチャイナ”‥‥ |
成: |
陶磁器のコト、だね。 きわめて、ツルッとしている。 ヒトのアタマにたとえるなら‥‥ ちょうどこんな感じ、かな。 |
裁: |
ふむう‥‥ 被告人が私のアタマを指さないのは ある種、”やさしさ”でしょうか。 |
王: |
(待てよ。今の”会話”‥‥ なんか、おかしくないか?) 牙琉先生は、成歩堂さんと 夕食のあと‥‥ すぐに<<ボルハチ>>を 立ち去ったんですよね? |
成: | まちがいないね。 |
王: |
それならば‥‥なぜ。 先生は知ってたんですか? 被害者の”ボーンチャイナ”‥‥ きわめてツルッとしたアタマを。 |
裁: | あ‥‥‥ |
成: |
そう‥‥ そのときから、なんだよ。 ぼくの友人のカオが、 ちがって見えだしたのは‥‥ |
霧: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
ココロに、何か引っかかったまま、 ぼくは現場に戻った。 そして、被害者のアタマを見たとき ‥‥違和感の正体に気づいた。 さあ、牙琉先生。 舞台はととのったようだ。 よかったら‥‥ 聞かせてもらえるかな? 被害者のアタマの”秘密”を、 なぜ。きみが知っていたのか‥‥? |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ なるほど。 それが”理由”ですか。 被害者のアタマにキミが 帽子をかぶせた”理由”‥‥ |
成: | なんのことかな。牙琉先生。 |
霧: |
‥‥やってくれましたね‥‥ 成歩堂 龍一。 |
裁: |
静粛に! 静粛にィィッ! 亜内検事ッ! |
亜: | は、はいッ! |
裁: |
‥‥こうなってしまった以上、 避けるコトはできますまい。 牙琉 霧人弁護士の<<証言>>‥‥ よろしいですね! |
亜: |
は。ま、まあ。アレです! 検察側といたしましては‥‥ |
裁: |
‥‥それでは! これより、10分後。 牙琉 霧人弁護士に対する 尋問を行います! ‥‥よろしいですね? |
霧: | ‥‥おおせのままに。 |
裁: | それでは。最後の休憩に入ります! |
地方裁判所 被告人第3控え室 | |
王: |
(牙琉先生と成歩堂さんは、 裁判長に呼ばれている。 まさか‥‥ こんなコトになるなんて!) |
?: | ‥‥よろしいでしょうか。 |
王: | ‥‥あ。なんですか? |
?: |
さあ、お客さま。1枚。 カードを選んでくださいな。 |
王: |
(な。なんだなんだ‥‥) こ。これでいいのかな。 |
?: |
‥‥では。 お客さまに、伝言があります。 ”これから最後の勝負が始まる。 きみには最強の切札が必要だ” |
王: | きりふだ‥‥ |
?: |
”きみが選んだそのカードには 魔法がかかっている。 正しく使うことができれば‥‥ 最強のワイルド・カードになる” ‥‥とのことです。 |
王: |
(”A”‥‥か。 どこかで聞いたような‥‥) |
雅: |
『浦伏さまが3枚、被告人さまが2枚。 ‥‥5枚目のAが使われたのです。』 『ワタシ‥‥見たんです! 5枚目のAを。 たしかに、 イカサマはあったのです!』 |
王: |
(5枚目の、”消えた”A‥‥! この、赤黒いシミは‥‥ ”血痕”‥‥か?) |
?: |
”真実”をみちびき出す、切札。 すべては、あなたにかかっています。 それでは‥‥ 父をよろしくおねがいいたします。 |
王: |
血痕の残った、このカードが オレの”切札”‥‥ (混乱するアタマの中で、 オレはぼんやり考えていた。 そういえば、あの子‥‥ どこかで最近、見たぞ。 たしか、アレは‥‥) |
法廷記録にファイルした。 | |
地方裁判所 第2法廷 | |
裁: |
それでは、審理を再開します。 ‥‥牙琉 霧人弁護士。 証言台へおねがいします。
|
裁: |
それでは、亜内検事。 おねがいします。 |
亜: |
は、ははッ! では、その。 証人。名前と、職業を‥‥ |
霧: |
‥‥こんな茶番は聞いたことが ありませんね、裁判長。 |
裁: |
私にとっては、それほど めずらしいコトではありません。 |
霧: |
‥‥よろしいでしょう。 おつきあいしますよ。 |
裁: |
まず、ハッキリさせなければ ならないコトがあります。 あなたは、なぜ。被害者の帽子の 下の”ヒミツ”を知っていたのか? |
王: |
(”ヒミツ”‥‥って。 ハゲアタマのコト、だよな‥‥) |
霧: |
おコトバですが‥‥ それがいったい、なんですか。 裁判長は、何か頭頂部に対して 必要以上にコダワリがあるようだ。 |
成: |
それはとおらないだろう。 牙琉先生。 |
王: | な、成歩堂さんッ! |
霧: | どういうつもり、ですか‥‥? |
成: |
”立場逆転”といったところだ。 わかるだろう? オドロキくん。 あの晩。被害者は、ずっと 帽子をかぶったままだった。 しかし。ただ一度だけ。 それが取られた瞬間があった。 |
王: |
それは‥‥ 犯行の”瞬間”ですか。 |
裁: | あ‥‥‥ |
王: |
通報した成歩堂さんが戻ったとき、 帽子は床に落ちていました。 成歩堂さんはそれを拾って、 かぶせておいた‥‥ つまり。被害者のアタマを 見るコトができたのは‥‥ ”事件現場”しか あり得ないのです。 |
霧: |
‥‥つまり、”真犯人”‥‥ そう言いたいワケ、ですか? |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ なかなかいいね。 ‥‥オドロキくん。 |
霧: | ‥‥フッフッフッ‥‥ |
裁: | 牙琉弁護士‥‥? |
霧: |
‥‥私は今まで、 本当のコトを話していなかった。 |
亜: | な。なんですと‥‥! |
霧: |
‥‥何も、 自分のためではありません。 すべては、依頼人‥‥ 成歩堂氏のため、でしたが。 |
王: | ‥‥! |
霧: |
しかし。ここまで来ては、 かくす意味もなくなったようです。 ‥‥いいでしょう。 今こそ、お話ししますよ。 |
裁: |
それでは、証言を おねがいしましょうか。 事件の夜‥‥あなた自身が どう関わっていたのか。 |