第2話『逆転連鎖の街角』探偵パート1日目(その1)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
北木 滝太…水
北木 小梅…青
北木 常勝…灰
並奈 美波…紫
矢田吹 麦面…黄土
河津 京作…黄緑
引田(偽)…黄
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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<<運命>>の車輪は、回りつづける。
オレたちが、生きているかぎり‥‥
大きな事件、小さな事件を
巻きこんで、車輪は回りつづける。
<<運命>>の車輪が止まるとき‥‥
その人生も、終わる。


6月15日 午前9時12分
成歩堂法律事務所

王: (牙琉先生がタイホされてから、
そろそろ2ヶ月‥‥
初めての法廷で、オレは尊敬する
先生と職場をいきなり失った。
‥‥正直なトコロ、途方に
くれていたのは認めるけど‥‥
でも。ここにだけは来るつもりは
なかったんだ。ホントだぜ)

王: (ここが‥‥あの、伝説の
<<成歩堂法律事務所>>か。
さすがに、キンチョーするな)
?: あ。面接のカタですねー。
こちらへどうぞー。
王:え。
?: ようこそ、成歩堂の事務所へ。
カンゲイします!
王: は、はあ‥‥
(なんだ、この子は‥‥)
?: それじゃ、
さっそく始めましょうか。
王: 始める‥‥?
?: じゃあ、そうですね‥‥
とりあえず。あなたのトクギは?
王: と。トクギ‥‥ですか?
?: そう。あるでしょ?
なんか。ひとつぐらいは。
王: は。ええと‥‥その。
やっぱり‥‥ベンゴ、かな。
?: ”ベンゴ”‥‥ははあ。
ちょっとメズラシイですね。
ひょっとしたら、イケるかも。
王: そ。そうですか?
?: ‥‥じゃ、サッソク
やってみましょうか。
王:え。
?: ベンゴですよ。やってみてください。
今すぐ、ここで。
ハイ、はりきってどうぞ!
王: い。いやいや! ムリだよ!
こんなトコロで!
?: いいですか。プロならば、
舞台を選んではいけません。
王: ‥‥はあ。
?: 私たちは、お客さまを
”笑わせる”立場なのです。
そんなコトでは
”笑われる”だけですよ。
王: ‥‥あの。
オレはベツに”笑わせる”つもりも
”笑われる”つもりもないんだけど。
?: なんですって‥‥
じゃ、あなたはここへ
ナニしに来たんですか?
王: ”ナニ”、って‥‥その。
だから、ベンゴを‥‥
?: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
あの。失礼ですが‥‥ここが
どこだか、おわかりですか?
王: え、ええ。
成歩堂法律事務所‥‥でしょ?
?: ‥‥なるほど。
たまに、いらっしゃるんです。
そういうカタが。いまだに。
王: ‥‥あのさ。
きみこそ、なんなのかな。
オレは、ここの事務所の
所長さんに会いに来たんだよ。
?: ‥‥どうやら。あなたは2つほど、
ゴカイしてらっしゃるようです。
王: ゴカイ‥‥?
ナニ言ってるんだよ!
今朝、所長の成歩堂さんから
電話をもらったばかりだぞ。
?: トビラの文字‥‥もう一度。
よく、お読みになってください。
王: だから、
ちゃんと書いてあるじゃないか!
‥‥‥‥‥‥‥‥ん。
<<成歩堂‥‥芸能事務所>>
‥‥げいのう‥‥じむしょ‥‥?
み: はじめまして。
所長の、成歩堂 みぬき
大魔術師です。
王: (その瞬間‥‥やっと、思い出した。
2ヶ月前の、あの事件を‥‥)

?: 『さあ、お客さま。1枚。
カードを選んでくださいな。』
成: 『そうだ。
この子はぼくのムスメだよ。』

王: なるほどう‥‥みぬき‥‥
み: これ、どうぞ!
ウチの事務所のビラです。
‥‥それで。あなたは?
王: 王泥喜 法介‥‥弁護士、です。

(「成歩堂芸能事務所」を聞く)
王: ホントに‥‥
ここは<<芸能事務所>>なの?
み: はい。
7年前、法律事務所をやめて、
パパが始めたんです。
所属しているタレントは、まだ2人。
小さな事務所ですけどね。
王: タレント‥‥って。
もしかして、きみが?
み: 大魔術師の成歩堂 みぬきです。
スゴいんですよ、みぬきってば。
もう、ステージにも立って、
キチンとおカネもらってるし。
れっきとした
”プロ”なんですから!
王: ‥‥はあ。
み: 今度、ぜひステージを
見に来てくださいね。
ええと‥‥そして。
もうひとりのタレントが‥‥
ピアニストの成歩堂 龍一、
となっております。
王: ”ピアニスト”って、
おとうさんかよ。
ピアノは弾けないって言ってたぞ。
たしか。
み: モンダイありません。
世の中、手品のできない手品師も、
たくさんいますからね。
王: ‥‥カラクチだね。若いのに。

(「成歩堂 みぬき」を聞く)
王: きみは‥‥ムスメさん、なんだ。
その。成歩堂 龍一の。
み: そうですよ。パパね。
7年前に弁護士をやめてからは‥‥
みぬきが食べさせてあげてる、
みたいな感じかな。
”ヒモ”っていうんでしたっけ?
こういうの。
王: ‥‥ちょっと、ちがうと思うよ。
み: みぬきね。この事務所を
任されてるんですよ。
15才にして、もう!
王: じゅ、じゅうごさい‥‥ねえ。
成歩堂さん、いくつだっけ。
み: パパなら、たしか‥‥今年で33才
だったと思いますけど。
王: ‥‥何か”ワケあり”みたいだな。
(そう信じたい‥‥)
み:

(「成歩堂 龍一」を聞く)
王: 成歩堂さんが
弁護士をやめたのって‥‥
やっぱり。
7年前の、あの事件が‥‥?
み: え! 知ってるんですか?
あの事件。
王: あ、いや‥‥詳しくは
知らないけど。
大騒ぎになったからね。
あの事件は‥‥
み: そう、みたいですね。
みぬきも小さかったし、
よくおぼえてないけど。
今度、パパに聞いてみますね。
王: ああ。それで、そのパパ‥‥
成歩堂さんは?
今朝、電話がかかってきて、
呼び出されたんだけど‥‥
み: ああ‥‥パパなら、
ここにはいませんよ。
‥‥病院にいます。
王: びょういん‥‥?
み: 入院してるんです。
‥‥絶対安静だって。
王: な‥‥なんだって!
とにかく‥‥
成歩堂さんが入院している病院を
教えてくれないか。行ってみるよ。
み: ええと‥‥この近くです。
<<引田クリニック>>っていう。
王: じゃ、またね。芸能界入りは、
今度、考えておくよ。
み: あ。待ってください!
みぬきも行きます!


同日 午前9時45分
引田クリニック

王: (‥‥ここが、成歩堂さんが
入院している病院か‥‥)
?: ん。ご面会かな? ん。
王: あ、どうも。
先生は、ここの‥‥?
引: ん。院長の引田(ひきた)ですわ。
ほっほっ。
み: おはようございます、センセイ!
引: お。みぬきちゃん。
今日もカワイイねー。ん。
み: ‥‥あの。
ここ、パパの病室、ですよね?
引: ああ。朝の診察に行っとるよ。
すぐ、戻ってくるんじゃないかな。
それより、みぬきちゃん。ん。
どこか悪くないのかな? ん?
成: ‥‥センセイ。
お医者さんが探してましたよ。
引: お! これはこれは。
おとーさん。どうも。
ん。ん。シツレイしますぞ。ん。
それじゃ、みぬきちゃん。ん。
王: なんだったんだよ、
あのセンセイは‥‥
成: おはよう。思ったより早かったねえ
‥‥オドロキくん。
王: 成歩堂さん‥‥

(「入院のこと」を聞く)
王: いったい、何があったんですか?
成: ‥‥ああ。
まさか、こんなコトになるとはね。
ヒキ逃げ、ってヤツだよ。
王: ひきにげ‥‥って、
クルマにひかれたんですか?
成: 向こうも、よけようとした‥‥
その努力は認めるけどね。
ボンネットにハネ上げられて、
10メートルほど飛ばされて‥‥
電柱にしたたかアタマを
打っちまったよ。
王: そ。それで! 大丈夫なんですか!
そんな目にあって!
成: さいわい、足首の
ネンザだけですんだよ。
王: (ウワサ以上に
ラッキーなヒトだな‥‥)

(「みぬきのこと」を聞く)
王: なんか、まだピンと来ないんですよ。
成歩堂さんに、
ムスメさんがいたなんて。
しかも‥‥こんな大きな子が。
成: おいおい。
みぬきは、まだまだ子供だよ。
み: もう! パパ。
いつも言ってるじゃない!
みぬき、もうコドモじゃないって!
成: はっはっはっ。
みぬきには、かなわないなあ。
王: (‥‥なんか
ウソっぽいんだよなあ‥‥)
成: ああ、オドロキくん。
この子はね‥‥
王: 本人から聞きましたよ。
大魔術師、なんでしょう?
成: ただの大魔術じゃない。
この子は‥‥天才だよ。
み: へへ。ホメられちゃった。
成: すぐにわかるさ。
彼女の”チカラ”が。
王: ‥‥その、何かをホノめかすクセ、
やめてもらえませんか。

(「成歩堂芸能事務所」を聞く)
王: それで、なんの用ですか?
<<成歩堂芸能事務所>>の
ヒトが、このオレに。
成: そう、トガらなくてもいいだろ。
王: オレは、
来るつもりなんてなかった!
み: え。でも、今日は電話をもらって、
来てくれたんですよね?
王: そりゃ、しかたないよ。
『たのむ! 事務所がタイヘンな
コトになっているんだ!』
‥‥なんて、死にそうな声で
言われたんだから。
成: たしかに”タイヘンなコト”
だと思わないかい?
ふたりきりのタレントの片割れが、
活動不能になってるんだからね。
み: そうだよ、パパ! 今月のお家賃
どうするの! それに、給食費も!
成: ううん‥‥困ったなあ。
ウチは共働きだからな。
どっちかがコケると、
みんなが路頭に迷うんだよ、みぬき。
王: 15才のコドモにする
ハナシじゃないでしょう!
成: とにかく。このおニイちゃんが
助けてくれなかったら‥‥
また、転校するしかないな。
み: そんなの、ないよ! せっかく、
トモダチもできたのに‥‥
ひどい、おニイちゃん!
王: え。お。オレのせいかよ!
成: とにかく、オドロキくん。
ウチで働かないか。
きみにピッタリの依頼だって、
ちゃんと用意してある。
王: い。依頼‥‥ですか?
(もう一度‥‥弁護できるのか?
このオレが!)
‥‥わかりました。
お話を聞きましょう。
み: やったあ! 釣れたよ、パパ!
成: ああ。釣れたねえ、みぬき。
王: (イヤな言い方をする親子だな)

(「”依頼”」を聞く)
王: それで! ”依頼”というのは!
成: ああ。とにかく、
地図を見ながらハナシを聞いてくれ。
ゆうべのコトだ。
9時前に、事務所を出て‥‥
ぼくは、そば屋<<あるでん亭>>に
向かったんだ。
その店で、ピアノを
弾いてるワケだけどね。モチロン。
‥‥そのとき!
ぼくをフッ飛ばしたクルマは、
そのままカドを曲がって‥‥
夜の街を逃げて行ったんだ。
‥‥オソロシイ話だろう?
王: たしかに、オソロシイですね。
‥‥そんな目にあって、すずしい
カオをしている成歩堂さんが。
成: クルマは、
こっちの方角に逃げていった。
‥‥というわけで、
よろしくたのむよ。
王:‥‥え。
成: だから、依頼だよ。
ぼくと電柱を引き合わせた
犯人を見つけてほしいんだ。
王: いやいやいや!
オレ、弁護士だし!
成: ああ。犯人が見つかったら
モチロン、訴えるつもりだ。
そのときは、法廷で
追いつめてくれていいから。
王: いやいや! そっちは
検事の仕事でしょう!
‥‥悪いけど、
帰らせてもらいます!
成: まあまあ、待ちなよ。
カルいジョークだ、ジョーク。
王:え。
み: すみません。
パパ、ジョークが大好きなんです。
おもしろいかどうかはともかく。
成: ホンモノの依頼人は、きっと今ごろ
事務所に来ているハズだよ。
王: 事務所‥‥って、
あの、芸能事務所ですか?
(いちおう、行っておくか。
シゴトがないのはたしかだし)
成: ‥‥ああ。それから。
ぼくの事故のほうも
よろしくたのむよ。
あのヒゲキの現場は
地図に書きこんでおいたからね。
この公園の前だから、
行けばすぐに分かると思うよ。
王: (ケッキョクやらされるのか‥‥)

<<地図>>のデータを
法廷記録にファイルした。

(「成歩堂芸能事務所」に移動する)


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