王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
北木 滝太…水 | |
北木 小梅…青 | |
北木 常勝…灰 | |
並奈 美波…紫 | |
矢田吹 麦面…黄土 | |
河津 京作…黄緑 | |
引田(偽)…黄 |
み: |
あの! なんか、カワイイですね! ”キタキツネ一家”って。 |
小: |
カワイイ‥‥? このキタキツネ一家が、かい? |
王: | お、おい。ちょっと! |
み: | なあに? |
王: |
‥‥このヒトと話すときは、 オレを通してくれるかな。 |
み: | えー。なんでですか? |
王: |
‥‥いちおうオレ。 ホラ。弁護士だし。 |
小: |
いいかい、おじょうちゃん。 ウチは、極道なんだよ。 |
み: |
ゴクドー‥‥ああ。 ワルモノですよね! |
王: |
だから! 弁護士のオレを 通してくれ! たのむから! |
小: |
わっはっはっはっはっはっ! ワルモノ、ねえ‥‥ ちげェねえわ、こりゃ! |
王: |
(やれやれ‥‥ シンゾウに悪いな) |
小: |
‥‥まあ。これだけの大所帯を 守るには、苦労もあるもんさね。 ムカシながらの極道だけじゃ、 食っていけないからねェ‥‥ |
み: |
‥‥いわゆる、アレ。 ”ふけいき”ってヤツですね! |
王: |
(あんまり立ち入らないほうが よさそうな話題だな‥‥) |
王: |
あの。ゆうべ、このへんで 交通事故があったと思うんですけど。 |
小: | ゆうべ‥‥ |
王: |
あ。モチロン知りませんよね! シツレイしました! |
小: | ‥‥待ちな。 |
王: | は、はいッ! |
小: |
10メートル吹っ飛ばされた のにケロッとしていた‥‥ あのニイさんのコトかい? |
み: |
あ、それ! うちのパパなんですよ! それ。 |
小: |
あっはっは! そりゃイイわ! ‥‥ウチの若頭が、 テッポー玉にほしがってたよ。 |
み: |
わかがしら? てっぽーだま、って‥‥ |
王: |
あ。あの。難しいコトバは 使わないでもらえますか! |
小: |
とにかくね。メーワクな話さね。 おかげでこっちは、 朝っぱらからこの始末だよ。 |
王: | このペンキ‥‥ですか‥‥? |
王: |
このペンキは‥‥ ”事故”のときに? |
小: |
ゆうべ、9時ごろのコトだったね。 スゴイ音がして、出てきてみたら。 ペンキの海に、あんたのパパが おぼれかけたってワケさね。 |
み: |
おばさんたちが、 助けてくれたんですか? |
小: |
ウチの組長に カンシャするコトだね。 ‥‥あんたのパパを ひきツブしたクルマは‥‥ ウチのペンキをひき散らかして、 カドを曲がって逃げたらしいよ。 ウチのヘイも古くなってね。 塗りかえようとしていたんだけど。 |
王: |
(‥‥たしかに、ドラゴンが こっちをニラんでるな) |
み: |
でも、どうして。おばさんが お掃除してるんですか? |
小: | どういうコトだい? |
み: |
だって。おばさんは ヤクザなんでしょう? そういうのは、”じゃくしゃ”に 押しつけるんじゃあ‥‥ |
王: |
だから! このヒトと話すときは、 弁護士であるオレを通して‥‥ |
小: |
わっはっはっはっはっ! いいって、いいって。 たしかにね。極道のイメージなんざ、 そんなモンさね。 |
王: | は。はあ‥‥ |
小: |
ま。ウチのキタキツネ一家はね。 地域密着型の極道だから。 ‥‥組長の方針でさ。 |
王: | (どんな方針だよ‥‥) |
小: |
とにかく。ペンキのついたゴミは ゼンブかたづけたし。 あとはこの道のペンキだけさね。 |
王: |
(ゴミ‥‥? あそこのゴミ箱、か‥‥?) |
王: |
ちょっと、 お聞きしたいんですけど。 |
小: | なんだい。 |
王: |
‥‥トナリの公園、 何かあったんですか? |
小: |
ああ。‥‥なんかね。 ドンパチあったみたいだね。 |
み: | どんぱち‥‥? |
小: |
だれか、殺されたらしいよ。 ‥‥それはそれは、奇妙な状況で。 |
王: | な‥‥なんですって! |
小: |
まったく、なんて朝だろうねェ。 ウチはウチで、イヤな事件が 起こってくれちまうし。 |
み: |
え! オバサンのおうちでも、 何かあったんですか? |
小: |
ホント、義理も人情も あったもんじゃないよ。 ‥‥聞いてくれるかい? |
み: |
‥‥キョヒできるムード じゃなさそうですね。 |
王: |
それで‥‥このお屋敷で起こった 事件というのは? |
小: | パンツさね。 |
王: |
え。 (イヤな予感‥‥) |
小: |
この北木 小梅サマのパンツが ‥‥ゆうべ、盗まれちまったのさ! |
み: |
えええええええッ! おばさんも? みぬきもなんです! |
小: |
アンタもかい! かわいそうに。 ホントに、義理も人情も あったもんじゃないよ。 アンタじゃないのかいッ! |
王: |
ちち、ちがいますよ! ドスはしまってください。 |
小: |
ここ数日、やたらパンツが 盗まれてるってウワサだよ。 それも、似たようなヤツがね。 |
王: |
(みぬきちゃんのパンツと おばさんのパンツ‥‥か。 1つでも共通点があるとは 思えないけどなあ) |
み: |
そうだ! おばさんのパンツも 探しましょうよ! |
小: | たのんだよ! ニイちゃん! |
王: | (ううう‥‥この子は‥‥) |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: | (‥‥あ。さっきの‥‥) |
小: |
おや‥‥ お帰りなさいまし。お嬢。 |
?: | あ‥‥え、ええ。ただいま‥‥ |
王: |
(キタキツネ一家の ヒトだったのか‥‥) |
み: | あ! あの! おねえさん! |
?: | ‥‥‥? |
み: | わたくしども。こういうものです。 |
?: |
<<なるほどう‥‥ なんでもじむしょ>>‥‥ですか。 |
王: | な、なんでもじむしょ‥‥? |
み: |
ビラ、作りなおしておきました。 ええと。こちら、弁護士の 王泥喜 法介センセイです! |
?: | ‥‥べんごし‥‥ |
み: |
よろしかったら‥‥ 事務所で、お待ちしていますね! |
?: | はあ‥‥失礼します。 |
王: |
なんだよ、急に。 事務所のビラなんかわたして。 |
み: |
なんとなく‥‥ 困っているように見えたから。 |
王: |
ヤクザのムスメさんだぞ。 弁護士なんて、お呼びじゃないよ。 |
み: | ‥‥それはどうかなあ。 |
王: | ‥‥? |
屋台消失事件・現場 | |
王: | ええと‥‥ここは? |
み: |
矢田吹さん‥‥ムギツラの オヤジさんのおうちですね。 |
王: |
ああ。屋台が盗まれた現場、か。 たしかに、これ見よがしな 手がかりが1ヶ、落ちてるな。 |
み: |
‥‥あれ。 あそこ‥‥ パトカーが止まってますね。 |
王: |
なんだなんだ。 やたらゴウカな‥‥病院、かな。 えーと。 ‥‥<<宇狩(うかり)外科医院>>か。 |
み: |
あの病院‥‥ 犯人が逃げこんだトコです! |
王: | ハンニン‥‥? |
み: |
みぬきのパンツですよ! ゆうべ、あの病院の方へ逃げたの。 ‥‥もしかして、あのパトカー‥‥ みぬきのパンツの捜査のために! |
王: | そりゃ、ないだろ。 |
み: |
とにかく! ちゃんと調べて くださいね、オドロキさん! |
麦: |
お。ニイちゃん! どうだい! 何かわかったかい! |
王: | い、いえその。まだですけど。 |
麦: |
遅くなればなるほど。報酬の ラーメンはしょっぱくなるからな! |
王: | (バツゲームか? ラーメン‥‥) |
王: |
オヤジさんの屋台‥‥ <<やたぶき屋>>でしたっけ? |
麦: |
おうよ! 矢田吹家伝来の屋台さ。 ワシは先代から、 先代はそのまた先代から‥‥ そうやって、ずっと 伝わってきたもんなんだよ! |
王: |
(‥‥いつから使ってるんだよ) それが、盗まれてしまった‥‥ |
麦: |
‥‥盗まれたのは ただの屋台じゃねえ。 ガタガタの車輪に、ギザギザのなべ、 そして、ギトギトの赤ノレン‥‥ そいつらすべてにシミついた、 みそクサい伝統そのものなんだよ! |
み: |
伝統まで盗むなんて。 みぬき、許せません! ゼッタイ見つけましょう! オドロキさん! |
王: |
(いいかげん、買い換えどき だったんじゃないか‥‥?) |
王: |
あの‥‥もう少し、詳しく聞かせて もらえますか? 屋台のコト。 |
麦: |
おうよ! ゆんべのコトだけどな。 いつもどおり。しょっぱい チャルメラ吹きちらかして‥‥ 街中にみその香りを届けたワケ。 とびきり濃厚なヤツをな。 ウチに帰ってきたのが‥‥ 夜の10時前ぐらいだったか。 |
王: |
(ずいぶん、夜が早い ラーメン屋だな‥‥) |
麦: |
どんぶりをざぶざぶ洗って、車輪に アブラをひょひょっと差して‥‥ |
王: | 盗まれたのに気づいたのは? |
麦: | 今朝も早く、朝日の前よ。 |
王: |
(ずいぶん、朝が早い ラーメン屋だな‥‥) |
麦: |
もお、商売にならんぜよ! 屋台の中には、ワシのすべてが しまってあったんだから。 |
み: | ”すべて”‥‥? |
麦: |
大量のみそにナマめんにドンブリ! ‥‥そして、少しのユメ! |
み: |
あそこに1ヶ、落ちてますね。 どんぶり。 |
麦: |
ニイちゃんが今日、 屋台を見つけてくれなかったら‥‥ ワシ、アレ1個で 街をねり歩くハメになるからな! |
王: |
ムチャなプレッシャー かけないでくださいよ‥‥ |
み: |
そう、あそこだよ! みぬきの パンツを盗んだヒトが逃げこんだの。 |
麦: |
まったく、ふてェヤツだ! どうせ盗むなら、このムギツラの フンドシにしろってんだ! |
王: |
ガレージ‥‥か。まさか、あの家の ヒトじゃないだろうな。ハンニン。 |
麦: |
フン! あの医者なら やりかねないだろうな! |
王: |
(なんだ‥‥? オヤジさんの ”敵意”‥‥) |
み: |
ね。オドロキさん。 ちゃんと調べてくださいね。あそこ。 |
王: | ‥‥これは、オヤジさんの? |
麦: |
おうよ! そいつは <<やたぶき屋>>のイノチ! しょっぱいみそが、ホネのズイまで しみわたった、ウチのどんぶりよ! |
み: | ホントだ! みそクサいです! |
麦: |
他のどんぶりは、屋台といっしょに 持っていかれちまった! よろしくたのむぜ、ニイちゃんよ! |
法廷記録にファイルした。 | |
王: |
救急車ならともかく、 パトカーってのが気になるんだよな。 |
み: |
アレじゃないですか? ”ダツゼー”でしたっけ? |
警: |
あー、おじょうちゃん。 ダメだよ、入ってきちゃ。 |
み: | あの。何があったんですか? |
警: |
ん? いやいや。 大したコトじゃないから。 おままごとなら、 よそでやりなさい。 |
王: |
(”おままごと”しそうなトシに 見えるか‥‥?) <<宇狩外科医院>>‥‥か。 もう少し、情報がほしいな。 |
み: |
お隣さんのこと、ムギツラさんに 聞いてみましょうか。 あのガレージも ちゃんと調べてくださいね! みぬきのパンツを盗んだ ハンニンがまだ、いるかも! |
王: | ‥‥やれやれ。 |
み: |
あれ‥‥何かあったんですか? パトカーが停まってますけど。 |
麦: |
フン! おおかた、 中毒でも出したんじゃねえか? |
王: | (中毒なら、お宅だろ‥‥) |
麦: |
あのパトカーなら、 さっき来たんだけどな。 なんも教えてくれんのよ。 おトナリさんのワシにすら。 |
み: | ふうん‥‥ |
麦: |
ま。前々から、あの医者には 何かあるとふんでたからな。 いつか、天バツがくだると 思っとったわ。ヤクザ医者めが! |
王: | ”てんばつ”‥‥? |
麦: | ‥‥アンタにはカンケーない話だ。 |
宇狩医院・ガレージ | |
み: |
あ。やっぱりここだ! パンツ盗んだハンニンが消えたの! |
王: | まちがいないの? |
み: |
たぶん! だから、 キチンと調べてくださいね! パンツを盗んだハンニンの 手がかりや‥‥もしかしたら! パンツそのものの 手がかりが残っているカモ! |
王: |
‥‥あのさ。 パンツパンツ連呼しないでくれよ。 恥ずかしいから。 |
王: |
やっぱり、気になるのは あのクルマ、かな‥‥ |
み: |
さあ。 じっくり、調べましょう! |
王: |
そういえば‥‥ 成歩堂さんの、ムカシの事件の 記録を読んだことがあるんだけど。 |
み: | ‥‥? |
王: |
ムカシ、自動車の排気パイプに 詰まっていた”布きれ”が‥‥ 事件解決の手がかりに なったコトがあったんだって。 |
み: | へええ。 |
王: |
それ以来、このオレも。 気になるクルマを見かけたら‥‥ 排気パイプをのぞくように してるんだけどね。 |
み: |
ちょっとキモチ悪いですね、 それは。 |
王: |
どれどれ。‥‥あ! 何か、詰まってるぞ! |
み: | えッ! |
王: | こ‥‥これ。もしかして‥‥ |
み: |
ああああああッ! みぬきのパンツだあ! |
王: | ええええッ! いきなりかよ! |
み: |
わあ、ありがとう! オドロキさん、 スゴイ! テンサイ! |
王: |
い。いやその。 いいけど。ベツに。 |
み: |
じゃ、さっそく おひろめしましょうか。 はい、みぬきのパンツでーす! |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ナニ、それ。 |
み: | だから。みぬきのパンツ。 |
王: |
え! で、でも。 それを‥‥その。はくの? |
み: |
さ。さ。よく見ててくださいねー。 この、パンツ。 中に、何が入ってるのかなー? ‥‥はいッ! |
王: |
うおッ! なな。なんだなんだ! なんで、パンツの中から どんぶりがッ! |
み: |
みぬきのパンツは小宇宙。 なんでも出てきちゃいまーす! ‥‥これ。みぬきの得意芸。 <<マジック・パンツ>>だよ! |
王: | まじっく‥‥ぱんつ‥‥? |
み: |
毎晩、<<ビビルバー>>っていう お店のステージで大ウケなんです! |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 最初から言ってくれッ! |
みぬきのポシェットにしまわれた。 | |
王: |
とにかく‥‥とりあえず1ヶ、 事件が解決したみたいだな。 |
み: |
ナニ言ってるんですか! みぬきの商売道具を盗んだ、 にっくきハンニンを捕まえないと! |
王: |
やれやれ‥‥わかりましたよ。 (このガレージ‥‥他にも 手がかりがありそうだしね) |
王: | これ‥‥携帯電話、だな。 |
み: |
タイヤの下に落ちてますよ。 自動車が動いたら、 ふみつぶしちゃいます! |
王: | うーん‥‥この家のヒトのものかな。 |
み: | あとで、届けてあげましょうよ! |
法廷記録にファイルした。 | |
み: | あれ! ここ。見てください! |
王: |
‥‥こわれてるね。 (これは‥‥大きな手がかりだな) |
み: |
なんですか! その、フテキでステキな微笑みは。 もしかして、オドロキさんってば。 何か、手がかりを持っているとか! |
王: |
(”手がかり”‥‥か。 どうだろう?) |
王: |
‥‥決定的な手がかりが あるみたいだよ。それは‥‥ |
王: |
”決定的な手がかり”‥‥ それは、モチロンコイツだよ! |
み: |
あ‥‥色も形もピッタリ、です! そのドアミラーは、たしか‥‥ |
王: | 『いちおう、調べておくか‥‥』 |
み: |
『ペンキがついてるゴミが2つ、 ありますね。 あ! こっち! これ、自動車の‥‥』 |
王: |
『ミラー‥‥か。 モギ取れたみたいだね。 何かの衝撃で‥‥』 |
王: |
どうやら‥‥事件がひとつ、 解決したみたいだね。 |
み: |
ゆうべ、パパをハネ飛ばした ハンニンは‥‥ |
王: | このクルマだった、ってコトだ。 |
み: |
みぬき。”ぷろ”ってコトバの イミがわかった気がします! |
王: | そ。それは、どうも。 |
み: | ね。オドロキさん! |
王: | ん。なに? |
み: |
事件が解決したら、パパのトコに 報告に行ってあげてくださいね。 あれで、ほっとかれると すぐ、スネちゃいますから。 |
王: |
うん、わかったよ。 ‥‥スネるようには見えないけど。 (報告に行くのが恥ずかしいほど 小ツブな事件なんだよな‥‥) |