王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
北木 滝太…水 | |
北木 小梅…青 | |
北木 常勝…灰 | |
並奈 美波…紫 | |
矢田吹 麦面…黄土 | |
河津 京作…黄緑 | |
引田(偽)…黄 |
引田クリニック | |
成: |
やあ。また来たね。 困ったことでもあったかな。 |
み: |
オドロキさん。パパに 報告したいことがあるんですよねー。 |
王: |
いや、みぬきちゃん。 オレは別にいいって。 |
成: |
おやおや。今度はどんな問題が 起こったんだい。 |
王: |
モンダイなんて、ありませんよ。 弁護の依頼を受けただけです。 |
成: |
なるほど‥‥。 たしかに、それは困ったなあ。 |
王: | え‥‥? |
成: |
だって、ホラ。ぼくはもう、 弁護士は辞めているからねえ。 |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ オレの依頼ですよ! |
成: |
あ、そうか。そういえば、 オドロキくんは弁護士だっけ。 |
王: | (ゼッタイ、ワザとだ!) |
成: |
‥‥それで。 ”弁護の依頼”っていうのは? |
王: |
人情公園の 殺人事件なんですケド。 |
み: |
殺人現場でね! ムギツラさんの 屋台も見つけたんだよ! |
成: |
‥‥なるほど。 それは、たしかに奇妙な事件だ。 ぼくも聞いたことがないよ。 ‥‥屋台が凶器の事件、とはね。 |
王: |
‥‥たぶん、凶器は ベツのものだと思います。 |
成: |
なんだ。凶器は まだ、わかってないのかい? |
み: |
だって、ヘンな刑事さんが 調べさせてくれないんだもん! 白衣を着てるんだよ! ‥‥刑事のクセにさ。 |
成: |
白衣? ‥‥なるほど。 現場の責任者、彼女だったのか。 |
王: |
‥‥知ってるんですか? あの刑事さんのコト。 |
成: | ‥‥まあ、ね。 |
王: |
彼女のコト、知ってるんですか? ‥‥やっぱり。 |
成: |
‥‥10年ぐらい前かな。 ある事件で知り合ったんだ。 そのときは、まだ。 高校生だったけどね。 |
王: |
(なんだよ。オレとあまり 変わらないトシじゃないか) |
み: |
さすが、パパ! ケーサツ関係の 人たちには顔が広いね。 あ。そうだ! ‥‥もしかして、 あの人のことも知らないかな? |
王: | あの人‥‥? |
み: |
みぬき、知りたいの。 バイクに乗った”王子様”のコト! |
成: | おうじさま‥‥かぁ。 |
成: |
オドロキくん。みぬきの言う ”王子様”というのは‥‥? 父親として、聞き捨てならないな。 |
王: |
事件現場で会ったんですよ。 牙琉先生にそっくりな男に‥‥。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ そう、か。 |
王: | ‥‥知ってるんですか? |
成: |
それはきっと‥‥ 牙琉 霧人の”弟”だね。 |
王: | おとうと‥‥ですか? |
成: |
ぼくにとっても、 知らない男じゃない。 牙琉 響也(がりゅうきょうや)。 ロックでコシャクな男さ。 |
み: |
”きょうやさん”っていうんだ。 ステキなヒトでしたよねー! |
王: |
(牙琉先生に、弟がいたなんて! でも‥‥ どうして、あんな所に‥‥?) |
成: |
‥‥近いうちに、また出会うことに なるかもしれないね。 ‥‥ああ、そうだ。 公園の調査ができなくて 困ってるんだっけね。 |
み: |
そうなの。あの刑事さんが ダメだ、って! |
成: |
‥‥事務所のシルクハットの中に、 丸いビンに入った、白いコナがある。 そいつを、彼女のトコロに 持っていくといいよ。 |
王: |
”白いコナ”‥‥? (ヘンなクスリじゃないだろうな) |
成: |
なあに。持って行けばわかるさ。 ‥‥それじゃ。彼女によろしく。 |
王: |
えーと。成歩堂さんが言ってた ”シルクハット”って、コレかな。 どれどれ‥‥。 お。コレか‥‥。 |
み: | あ! それは‥‥! |
王: | みぬきちゃん、知ってるの? |
み: |
たしか、子供のころ、 パパの机の引き出しで見つけて‥‥ おサトウだと思ってなめたら、 怒られちゃいました。 |
王: | (ますます、あやしいな‥‥) |
ポケットに入れた。 | |
み: |
とにかく、あの刑事さんのところに 行ってみましょうか! 刑事さんに聞けば、 コナの正体も分かりますよ! |
王: | あの‥‥これ。なんですけど‥‥ |
茜: | あ! これ! もしかして! |
王: |
ウチの事務所から 持ってきたんですけど‥‥ |
茜: |
あなた‥‥ 成歩堂法律事務所のヒトなの? |
王: | え。ええ、まあ‥‥ |
み: |
宝月刑事さん‥‥パパと、 どういうカンケイなんですか? |
茜: |
ぱ‥‥ぱぱ‥‥って! あの。 シツレイですが、あなたは‥‥ |
み: |
あ。ムスメです。 成歩堂 みぬきと申します。 |
茜: |
えええええええええええッ! 成歩堂さんに、ムスメさんがッ! |
み: |
かなり、ショックを 受けてますね。 |
茜: |
と。とにかく。成歩堂さんの弟子と ムスメさんということなら‥‥ 協力しないワケにはいかないね。 うん! よろしくね! |
王: |
は、はい。よろしくおねがいします。 (弟子、じゃないんだけどな‥‥) |
茜: |
これはね。指紋を 採取するためのコナなんだけどね。 |
王: | しもん‥‥ |
茜: |
思い出の品ってヤツかな。 成歩堂さんと、あたしの。 |
王: | (コナの思い出‥‥か) |
茜: |
手のアトが残った証拠品を 見つけたら、言いなさいね。 指紋、取ってみましょう! |
王: |
(なんだなんだ。 急にイキイキしてきたぞ‥‥) |
茜: |
ごらんのとおり。ゆうべの深夜、 通報があって発見されたの。 ‥‥あの人形と同じ状態で、ね。 |
王: | でも、どうして‥‥ |
茜: |
”どうして死体が屋台を 引いてるのか?”‥‥ ヤボなこと、聞かないでね。 あたしが聞きたいぐらいだから。 |
王: | それじゃあ、死因は‥‥? |
茜: |
コメカミに、弾痕がひとつ。 ‥‥ピストルで撃たれたみたい。 |
み: | ピストル‥‥ |
茜: |
フツーのヒトが、おいそれと 入手できるものじゃないわ。 |
王: |
(警察官か‥‥ ヤクザでもないかぎり、か) |
茜: |
ちなみに、被害者の名前は 宇狩 輝夫(うかりてるお)。 さっき、解剖記録が 届いたばっかりなんだけどね。 |
データを法廷記録にファイルした。 | |
茜: |
ホントに、もう! なんなのかな、これ。 ナゾの屋台を引いて、あたしが 逃げちゃいたいぐらいだよ。 |
み: |
なぞのやたい‥‥ ね。教えてあげましょうよ! 刑事さんに! この屋台の”正体”を! |
茜: |
なにそれ。テキトーなこと 言ってるんじゃないでしょうね。 |
王: |
オレたち、その屋台が どこから来たのか知ってますよ。 ‥‥この屋台の持ち主は‥‥ |
茜: |
‥‥‥‥‥‥ ダレ? このオジサン。 |
王: |
<<やたぶき屋>>のご主人です。 この近所の、名物らしいですよ。 |
み: |
<<やたぶき屋>>のみそラーメンは、 この辺じゃジョーシキです! |
茜: |
へえ、やるじゃない。 さすが、成歩堂さんとこの子たちね。 これで、手間がはぶけるわ。 ありがとう。 |
法廷記録にファイルした。 | |
み: |
それで‥‥被害者、 どういうヒトなんですか? |
茜: | なんでも、お医者さんみたいよ。 |
王: |
お医者さん‥‥? (なんか、心当たりがあるような) |
茜: |
ああ。あたし? 名前ばかりの現場責任者よ。 |
王: | (‥‥宝月 茜刑事、ね) |
茜: |
科学捜査官になるため、 最近、この国に帰ってきたの。 |
み: |
もしかして、アレ。 ”りゅーがく”ってヤツですか? |
茜: |
ま。そんな感じかな。 アメリカでベンキョウしてきたワケ。 ”カガク捜査”のなんたるか、をね。 それなのに‥‥ 刑事課なんかに配属されてさ。 |
み: |
じゃあ、アメリカの警察官に なればよかったですね。 |
茜: |
うん、まあね‥‥でも。 こっちには、お世話になったヒトが いっぱいいるから。 |
王: |
(”お世話”‥‥そのトシでもう、 刑務所のヤッカイに‥‥) |
茜: |
ナニよ? その失礼な目つきは。 ‥‥ムカシね。 あたし、事件に巻きこまれて。 そのとき助けてくれたのが‥‥ 成歩堂さんたちだったの。 |
み: | そう、だったんですか‥‥ |
王: |
(ひさしぶりに帰ってきた、 ということは‥‥ 成歩堂さんの”事情”‥‥ 何も知らないのかな) |
王: |
あの‥‥被告人のコト、 聞かせてもらえますか。 キタキツネ一家の ひとりムスコさん、とか‥‥? |
茜: |
北木 滝太(きたきたきた)ね。 組長のムスコかなんか知らないけど、 かなり暴れてるみたい。 ‥‥取調べ室で。 |
み: | そうなんですか。 |
王: |
そもそも。どうして彼が タイホされたんですか? |
茜: |
‥‥‥‥‥‥ たしか。あなた、弁護士だったよね。 もしかして、彼の弁護を? |
王: | え。ええ、そうですけど。 |
茜: |
カレ‥‥ね。 犯行の瞬間を目撃されているの。 |
王: | え‥‥ |
茜: |
その目撃者が、通報してくれたワケ。 明日の法廷に、証人として立つわ。 |
み: | えええええッ! |
王: |
被害者のこと、 もう少し教えてもらえませんか? |
茜: |
ええとね。この近くの 病院の院長さんみたい。 けっこう、お金持ちって ウワサでね。‥‥ああ。 病院の名前は、<<宇狩外科医院>>ね。 |
み: |
そういえば、 パトカーが停まってましたね。 |
茜: | あれ。知ってるの? |
王: |
ええ‥‥たまたま、ですけど。 (オレは、屋台盗難事件のコトを 刑事さんに話した) |
茜: |
‥‥なるほどねえ‥‥ じゃあ、この屋台は‥‥ この院長センセイが盗みだして、 ここまで引いてきたことに‥‥ |
王: | そうなりますね。たしかに。 |
茜: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ どうして? |
王: | オレに聞かないでくださいよ。 |
王: |
(‥‥ナニか、手がかりに なるものは、と‥‥) |
み: |
オドロキさん、スキですよね。 ゴミ箱あさるの。 |
王: |
うるさいな‥‥あ。 こ‥‥こんなところに、 また。パンツがッ! |
み: |
オドロキさん、上手ですよねー。 パンツ見つけるの。 |
王: |
うるさいな。 それより、これ。もしかして‥‥? |
み: | み。みぬきのじゃありませんよ! |
王: |
(まさか‥‥コイツも ”盗品”なのか‥‥?) |
法廷記録にファイルした。 | |
王: | これは‥‥小刀、だぞ。 |
茜: |
専門用語で”ドス”と 呼ばれる刃物ね。 |
み: | せんもんようご‥‥さすがです! |
茜: |
被告人の北木 滝太は、 極道一家のムスコだから。 警察では、彼の持ち物と 考えてるらしいわね。 |
王: |
(あれ。でも‥‥凶器は、 ピストル‥‥なんじゃ‥‥) ん? この、カタナ‥‥ 手のアトが残ってますね。 |
茜: |
手のアト‥‥それって、 ”指紋”がとれるかもしれないな。 よし! ちょっと、やってみようか! さてと! まずは、 検出する指紋を選ばないとね。 |
王: | 指紋を‥‥選ぶ? |
茜: |
ほら、小刀の柄をよく見て。 いくつか 指の跡が残ってるでしょ? |
み: |
ほんとだ。 黒く残ってます! |
茜: |
その中から、どの指を検出するか、 選ばないとね。 |
茜: |
よーし! それじゃあ さっそく検出してみようか! |
王: |
(刑事さん、カラダ中で ギラギラしているぞ‥‥) |
茜: |
まずは、このアルミ粉を、 指紋の上にふりかけまーす。 スクリーンをさわれば、 ほら。こんな風に‥‥ アルミ粉は指紋に吸着するから、 ある程度ふりかけたら‥‥ 今度は、吹き飛ばしてね! |
み: | ふ。”ふきとばす”‥‥? |
茜: |
ジッサイ、息を吹きかけるの。 ふーって。 |
み: | わあ! すごい! すごい! |
茜: |
ふふん。どう、わかった? 面白いでしょー。 |
王: |
(よーし。 とにかく、やってみるか!) |
茜: |
ちなみに、粉をまんべんなく ふりかけるのがポイントだからね。 |
茜: |
お! キレイに出たね! なかなかやるじゃない。 じゃあ、次は照合するからね。 警察にサンプルがあるから、 指紋のヌシが誰か、調べるの。 |
王: |
なるほど‥‥。 手間がかかるものなんですね。 |
茜: |
それじゃあ。この指紋の持ち主だと 思う人物を選んでみて。 このドスがダレのものか‥‥ だいたい予想はつくでしょ? |
王: |
やっぱり‥‥指紋は 被告人のもの、か‥‥ |
茜: |
ね? スゴいでしょ? カガクは。 これぞあたしの生きる道よねー。 |
み: |
おねえさん、 ハダがつやつやしてきました。 |
王: |
‥‥そのかわり、 オレのハダはかさかさだよ。 |
茜: |
ま。気を落とさず、 次にがんばるコトね。 |
み: | オドロキさん。どんまい。 |
王: |
(まだ、裁判すら 始まっていないんだけど‥‥) |
法廷記録にファイルした。 | |
茜: |
そういえば‥‥カンジンの 依頼人には、もう会ったの? |
王: | あ。‥‥いいえ、まだ‥‥ |
茜: |
面会時間、そろそろ 終わっちゃうからね。 テキトーに切り上げて 行っておいたほうがいいよ。 |
王: |
‥‥そうですね。 (目撃証人はいる、指紋のついた 小刀は見つかる‥‥ なんか、イヤな感じだケド‥‥) |
茜: |
ま。アンタのトコの事務所の 伝統みたいなもんでしょ。 |
王: | (いらないよ。そんな伝統‥‥) |
留置所 面会室 | |
看: |
‥‥スミマセン。 面会時間は終了です。 |
王: |
で、でも! あと3分あるじゃないですか! |
看: |
いちおう申請はしてますけどね。 ムズカシイと思いますよ。 いま、お父さんが独房のほうで、 お話しをしていますから。 |
み: | おとうさん‥‥ |
看: |
キタキツネ一家組長・北木 常勝 (きたきつねかつ)本人ですよ。 |
王: | (うわあ‥‥会いたくないな‥‥) |
?: | ‥‥死ねッ! クソがッ! |
?: |
‥‥死にかけているのは キサマのほうだッ! |
王: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
み: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
看: | あ。来たみたいですね。 |
王: |
(うお。ものすごい威圧感‥‥ ‥‥でも。 なんだ? あのエプロンは‥‥) |
?: |
あなたが‥‥ 滝太の弁護士、ですかな? |
王: | は、はいッ! |
常: |
キタキツネ一家・4代目組長の 北木 常勝です。 |
王: |
あの。ムスコさんのハナシを 聞きに来たんですけどッ! |
常: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ オドロキさん。 |
王: | はいッ! |
常: |
ムスコは、無実です。 サツジンなどやっていない。 万が一にも、有罪になどなって もらっては困るのですよ。 ‥‥わかりますね‥‥? |
王: | がんばります! もちろん。 |
常: |
がんばるだけではダメなのですよ、 この世の中。 もし、万が一の場合‥‥ その真実を思い知るでしょう。 その、短い人生の最後に。 |
王: |
(うぐぐ‥‥ 急にサムくなってきたぞ‥‥) |
滝: |
ふざけんなよ! クソオヤジがッ! いつまでも、オレを コドモ扱いするんじゃねえよ! オレだって! オレだって! シュラバをくぐるぐらい、 なんてコトねえんだよ! |
王: | あなたが‥‥滝太さん、ですか‥‥ |
滝: |
極道は、刑務所に入ってこそ オトコだ! いいさ。キッチリつとめあげて、 ハクをつけて帰ってきてやらァ! |
常: |
いいかげんにするのだッ! すみませんねえ‥‥弁護士さん。 いつもは、やさしい子なのですが。 |
王: | (そ。そうは見えないけど) |
滝: |
はっはっはァ! 今度ばかりは オヤジの世話にはならねえぜ! ああそうさ! やったのはオレだ! 裁判なんかいらねえさ! |
常: |
‥‥とにかく。 今日は帰ってもらえませんか。 明日‥‥ よろしく、たのみますぞ。 |
王: |
面会時間が終わって‥‥ケッキョク、 依頼人とは話すことはできなかった。 |
み: |
でも! 今日はいろんな 事件を解決したじゃないですか! みぬきのパンツも見つかったし。 楽しかったな。みぬきなりには。 |
王: |
‥‥そのかわり、イチバン重要な 事件がまったく手つかずだけどね。 (こんなで‥‥大丈夫なのか? 明日の裁判‥‥) |
み: |
あ。じゃ、みぬき。 そろそろお仕事の時間だから。 <<ビビルバー>>‥‥近所だから。 よかったら、見にきてくださいね! |