王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
北木 滝太…水 | |
北木 小梅…青 | |
北木 常勝…灰 | |
並奈 美波…紫 | |
矢田吹 麦面…黄土 | |
河津 京作…黄緑 | |
引田(偽)…黄 |
み: |
このゴミ箱‥‥きのう、 このミラーを拾いましたよね! |
王: |
そういえば。 あのとき、たしかもう1個。 何か、落ちていたような気が‥‥ ‥‥ペンキがついている、 ってコトは‥‥ ”事故のあと”ここに落ちた、 ってコトだよな。 |
み: |
パパの事故と関係あるのかなあ。 ‥‥拾っておきましょうか。 |
法廷記録にファイルした。 | |
み: | 裏側には、ペンキがべっとりです! |
王: |
あれ? ここ‥‥ なんかヘンなアトがついてるぞ。 |
み: |
”葉っぱ”をくっつけたまま ペンキを踏んだみたいですね。 |
王: |
そのあと”葉っぱ”が取れたって ことか‥‥ あ! さわってたら、ペンキが 手にくっついちゃったよ。 |
み: |
‥‥‥‥‥‥‥‥オドロキさん。 さりげなく、みぬきのマントで ふかないでください! |
王: |
これってさ‥‥もしかして、 <<指のアト>>じゃないかな? |
み: |
あ。そうか! 足の指ですね。 オドロキさん。サエてます! |
王: |
と、いうことは‥‥ 指紋が取れるんじゃないか? |
み: |
これは、重要な証拠になるかも。 ちょっと、やってみましょう! |
王: |
おお! 出てきたぞ! これは、親指の指紋かな? |
み: | なんかウレシイですねー、コレ。 |
王: |
えーと。 次は、照合だったっけ。 |
み: |
よーし! 照合しましょう! ‥‥‥‥‥‥あれ? でも、足の指紋のリストなんか 刑事さんからもらってないですよ。 |
王: | あ。そうか。 |
み: |
刑事さんに相談しましょうか? ”専門家”に聞くのが一番ですよ。 |
王: |
‥‥そうしようか。 (じつは、ただの刑事さんだけど) |
留置所 面会室 | |
王: |
‥‥あの。オレの依頼人と 面会したいんですけど。 |
看: |
北木 滝太の取調べは終わりました。 今なら、話を聞けますよ。 |
み: |
よーし。 話を聞いてみましょうよ! |
滝: |
はーい、お待たせ! ボクのかわいいペテン師ちゃん! |
み: |
きゃあッ! な。な。なんですかッ! |
滝: |
うお! な。なんだ。アンタかよ。 美波ちゃんだと思ったぜ! |
み: |
コイビトを”ペテン師” 呼ばわりしてるんですか? |
滝: |
あれ? そんな感じで言うだろ、 シャバのヤツらは。 ええと‥‥ あ。”堕天使ちゃん”か? |
み: |
”ぺ”や”だ”は いらないと思いますけど。 |
滝: |
とにかくよォ! オレにとっちゃ 弁天サマなワケよ、ある種。 ‥‥で? なんの用よ、いったい。 |
み: |
‥‥なんか、 元気がないみたいですね。滝太さん。 |
王: |
ああ。もしかして‥‥ アレがヒビいてるのかもしれないね。 |
滝: |
『笑っちまうぜ! 極道がガン首 そろえて健康診断なんてよォ! オレ、死ぬジュンビなら いつでもできてるってのにさァ!』 |
牙: | 『‥‥それを聞いて、安心したよ。』 |
滝: | 『え。‥‥な。なんだよ!』 |
牙: |
『あれ。オヤジさんから 聞いていないのかい? キミの手術ミス‥‥ 早急に手を打たないと、 イノチに関わる可能性も あるそうだよ。』 |
滝: |
ば、バカ言うなよ! オトコってヤツはなァ。 タイセツなものを守るために戦って、 それで死ねるなら本望なんだ! ミナミちゃんに会いてえよォ。 つれてきてくれよォ! アンタ、オレの ベンゴシなんだろォ? |
王: |
(やれやれ‥‥ 世話の焼ける依頼人だな) |
王: | 来月、ケッコンされるそうですね。 |
滝: |
そうさ! もう、サカヅキはかわしてるんだ。 ミナミちゃんも、来月からは ウチの一家さ。サイコーだよな! |
王: |
(ヤレヤレ‥‥ そうとうホレてるみたいだな) |
み: |
あの。おふたりは、 どうやって知り合ったんですか? ミナミさんに聞いても、 ハッキリ教えてくれなくて。 |
滝: |
あー、それなァ。 カノジョが言わないんなら、 オレのクチから言うワケにも 行かないっしょ。 |
み: | えー! |
滝: |
なんかさ。ムカシのコト、 忘れたいらしいのよ、カノジョ。 ミナミちゃんてさ‥‥ なんか”守ってやりたい” って感じだろ? 弱いんだよな、オレ。 ああいう子にさァ。 |
王: |
(ムカシのコトを 話したがらない恋人、か‥‥) |
み: |
あの。被害者の宇狩 輝夫さんと ‥‥何があったんですか? |
滝: |
‥‥今なァ。 キタキツネ一家は、トナリ町の 華汰義組と抗争中なのさ。 それでな。半年前‥‥ オレも小刀をコシに差して、 華汰義組に乗りこんだワケ。 |
み: |
それで‥‥ 撃たれちゃったんですか? |
滝: |
仁義を知らねェ、ひでェヤツらさ。 心臓に一発。 なんで死ななかったのか‥‥ 今じゃ、キタキツネ一家の 七不思議のひとつになってるぜ。 |
王: |
それで、宇狩外科医院に 入院したワケですか。 |
滝: |
なんせ、組長のムスコだからな。 病院の連中としても、 死なせるワケにはいかなかったのよ。 |
王: |
(たしかに‥‥このヒトの オヤジさんにニラまれると‥‥ ホンキでイノチの危険を 感じるからな) |
み: |
でも。華汰義組さんに 撃たれた弾丸は‥‥ まだ、摘出されてなかった‥‥ |
王: |
(その弾丸が、滝太さんのイノチを 狙っているのか‥‥今も!) |
滝: |
あの医者‥‥ワザとだ! きっと、華汰義組の手が 回っていたのさ! |
王: |
(事件当夜のコト‥‥ 聞き出しておきたいな) |
滝: |
極道ってのは”ワル”の道だ。 ”ワル”にこそオトコの美学がある。 ‥‥わかるだろ? |
み: |
みぬき、女の子だから。 わかんないなあ。 |
滝: |
オヤジのヤツ。ここ最近、 急に弱気になっちまってさ。 <<切った張ったの時代は もうオシマイだ>>なんて言ってよ。 |
み: | いいじゃないですか。 |
滝: |
バカ言え! カネもうけに、 なんの美学があるんだよ! ワルってのはな。スカッと生きて、 アッサリ死ぬもんさ。 |
王: | (やれやれ‥‥) |
滝: |
見てな。 オレが組長になったら。 <<ワルい奴ら>>のカッコイイ世界を 作ってやるぜ! |
み: |
”ワル”はどうかと思うけど。 夢があるって、イイですよね。 |
王: | (平和な子だよな‥‥) |
王: |
‥‥あの。 このピストルと小刀ですけど‥‥ |
滝: |
両方ともウチの組のモノさ。 オレがコッソリ、持ち出したんだ。 |
王: |
じゃあ。あの晩、河津さんが 見たという<<ハンニン>>は‥‥ |
滝: |
オレ、だったんじゃねえか? あの晩、あそこにいたし。 |
王: |
ぐ‥‥ッ! (お。おしまいだぁ‥‥) |
み: |
あの、滝太さん! 事件当夜のこと‥‥キチンと 聞かせてもらえませんか! |
滝: |
ふうん‥‥その、 ものおじしないトコ‥‥ なんか、気に入ったぜ。 |
王: |
あの‥‥一度、 ハッキリ聞きたかったんだけど。 あなたは、その。被害者を ‥‥撃ったんですか? |
滝: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ オレにもわからねェ。 |
王: | え。 |
滝: |
組の健康診断で、オレの心臓に 弾丸がある、ってわかった日。 オレ‥‥ 組のピストルを持ち出したんだ。 ‥‥あの医者に、オレと同じ思いを 味わってもらうためになァ! |
王: |
(ううう‥‥ 聞くんじゃなかった‥‥) |
み: |
でも。ジッサイには‥‥ 小刀を持っていたんですよね。 |
滝: |
ああ‥‥ドスか。まあ、な。 用心深いのさ。オレは。 そして、あの病院へ 向かう、その途中。 公園で、ヤツと出くわした。 なぜか‥‥屋台を引いていた。 |
み: |
あの。滝太さんが ”要求”したんじゃないですか? ほら、アレ。 ”みのしろきん”感覚で。 『イノチがおしければ、 屋台を引いてこい』みたいな! |
滝: |
‥‥ムジャキなカオで くだらねえコトを聞くな。 |
み: |
ううう‥‥みぬき、 シンケンだったのに。 |
滝: |
そこから先のコトは‥‥ よく、おぼえてねえ。 |
王: | お。おぼえていない‥‥? |
滝: |
でも。ジッサイのトコロ‥‥ 他に撃てるヤツがいなかった以上、 やっぱり、オレ‥‥カモな。 撃ったの。 |
矢田吹さん宅前 | |
み: |
あ。ムギツラさんだよ! おーい、オヤジさーん! |
麦: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥むぐ。 |
み: | ? どうしたんですか? |
麦: |
‥‥アンタらは、 ワシの屋台を見つけてくれたワケだ。 そういうイミでは、 礼を言いたいワシが、ここにいる。 |
み: | はあ。 |
麦: |
しかし! 一方で屋台は、事件の 現場とやらで取り上げられて‥‥ トホウにくれるワシが ここにいるのも、ジジツ。 |
王: | はあ‥‥なるほど。 |
麦: |
屋台が”現場”って どーいうコトよ! あのヤロウ、死んでまでもヒトの 商売のジャマをしやがって‥‥ ワシが、そんなに しょっぱいってか! |
王: | ”あのヤロウ”‥‥ですか? |
み: |
”死んでまで”というコトは‥‥ 被害者の宇狩院長さん、かなあ。 |
麦: |
まあ、そんなワケでな。 ワシのカオも<<極みそ>>並みに しょっぱくなっちまうワケよ。 |
王: |
(‥‥やれやれ。 キゲンが悪いみたいだな‥‥) |
み: |
やっぱり、ちゃんと調べて おきたいですよね。宇狩医院! |
王: |
でも、さっきから警察のヒトが 見張ってるんだよなあ。 |
み: |
とにかく、聞いてみましょう! <<当たって砕けろ>>です! あのー、すみませーん! |
警: | あ。キミたちは、きのうの! |
王: |
(あ。このヒト、きのう 人情公園の入口にいた人だ) |
警: |
キミの事件は、公園のアレだろう? この病院は関係ありませんよ。 |
み: | あ。でも‥‥! |
警: |
とにかく、ダメです! この医院が、公園の事件と ハッキリ結びつかないかぎりは! |
王: |
(やっぱり、くだけたか‥‥ とりあえず‥‥ 今、ここでハナシをしていても ムダみたいだな) |
麦: |
あの屋台はな。 矢田吹家の男児が代々、 ちぢれ麺と秘伝の”みそ”と ともに伝えてきたのだ。 ある種、このあたりの歴史そのもの と言ってもいいシロモノなのだ。 |
王: | (それは言いすぎだろう) |
み: |
でも、いいですね! なんか、一家でひとつのものを タイセツに伝えていく‥‥って。 |
麦: |
正直なトコロ‥‥ワシは 屋台など、継ぐつもりはなかった。 |
み: |
そういえば。きのうも 言ってましたよね。 <<親に反抗して、 ベツのシゴトを選んだ>>って。 |
麦: |
よくおぼえていたなァ、 おじょうちゃん。 そう。ワシも若く、必死に がんばったもんさ。それが‥‥ あの、トナリのヤローに ジャマされちまってな。 ケッキョク。ワシに残されたのは、 みそ臭のシミ込んだ屋台だけだった。 |
王: |
あの‥‥ムギツラさん。 あなたの、ムカシのお仕事って、 なんだったんですか? |
麦: |
フン! クチに出すのもイヤな、 ニガくてしょっぱい思い出だよ! |
王: |
(なんとなく‥‥ ハナシが見えてきたぞ) |
麦: |
とにかく! トナリのオヤジは、 ワシから夢を奪って死んだのさ! <<営業停止>>という、 ドえらいメーワクを残してな! |
王: |
あの、ムギツラさん。 シツレイですけど‥‥ トナリの宇狩外科医院と、 何かあったんですか? |
麦: | なんだと? |
王: |
なんか、”敵意”みたいなものを 感じたものですから。 |
麦: |
ああ。大っキライさ。 ヤツは、すましたカオをして やり方がキタナイのだ! |
王: | やり方‥‥? |
麦: |
個人の医院にしちゃ、 リッパなモンだろ? ヤツは、成功するために ヤクザたちと手を組んだのだ! |
王: |
やくざ‥‥というと、 <<キタキツネ一家>>ですか? |
麦: |
連中、”抗争”とか言って ケンカが多くてな。 ケガ人が絶えなかったのさ。 そこに目をつけたのが、あの宇狩だ。 <<キタキツネ割引>>という サービスを始めた。 |
王: | わりびき‥‥ |
麦: |
きっと、先代の知恵の結晶‥‥ <<やたぶき屋スタンプ割引>>の アイデアをパクったんだよ! |
み: |
でも。治療費って、お医者さんが 決めていいんですか? |
麦: |
モチロン、違法だわッ! だが、組とのつながりが強くなった。 おかげで、このへんの一般の客も、 宇狩医院に流れちまったのだ。 おかげで、ワシはこのとおり! クビまでドップリ、みそに つかるハメになっちまったのさ! |
王: |
(どうやら‥‥見えてきたな。 ムギツラさんの、ムカシの職業) |
み: | サッソク、聞いてみましょうよ! |