王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
北木 滝太…水 | |
北木 小梅…青 | |
北木 常勝…灰 | |
並奈 美波…紫 | |
矢田吹 麦面…黄土 | |
河津 京作…黄緑 | |
引田(偽)…黄 |
引田クリニック | |
成: |
やあ、また来たね。 オドロキ弁護士クン。 今日の法廷では ゴカツヤクだったみたいだね。 何か相談ごとかい。ちょうど、 タイクツしてたところなんだ。 |
王: |
(宝月刑事さんが言ってた‥‥ 知りたければ、 自分で調べることだ、って) 成歩堂さん! オレに‥‥7年前のこと、 教えてくれませんか。 オレ、知りたいんです。 あなたに何があったのか! |
成: |
‥‥7年前のコト、か。 いきなりズバッと来たね。 |
成: |
7年前。ぼくは、ある被告人の 弁護をするために、法廷に立った。 それは、”ある天才”の死に まつわる事件だった‥‥ キミも知っているんじゃないかな? |
王: |
‥‥あの事件は、大騒ぎに なりましたからね‥‥ そのときの相手が、あの 牙琉検事だったんですか。 |
成: |
‥‥そうだね。 彼はまだ、17歳だったかな。 |
王: |
(17歳って‥‥ 高校生じゃないか!) |
成: |
アメリカで検事になったらしいよ。 自由の国だから、アソコは。 ‥‥そして、17才の新人に敗れた ミジメなぼくは、法曹界を去った。 それだけのコトだよ。 |
王: |
”それだけ”‥‥って。 そんなワケ、ないじゃないですか! |
成: | ‥‥と、いうと? |
王: |
オレ、ニュースで見ました。 ”ねつ造”‥‥ですよね。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
証拠品を‥‥デッチ上げて、 弁護士バッジを奪われた、って! |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
それで‥‥ キミは、どう思ってるんだい? ウワサの”ねつ造弁護士”を 目の前にして、さ。 |
王: |
お。オレは‥‥‥ (信じたくない‥‥でも! この前の法廷で、 成歩堂さんは‥‥)
|
成: |
『気づいていたかい? 今日の裁判には、ひとつ。 ”ニセモノ”の証拠が あったことに。 本来、あるはずのなかった証拠。 ‥‥罪深い、手品の”タネ”さ。』 |
成: |
あっはっはっはっは。 否定できない‥‥か。 ‥‥まあ。ぼくが”ねつ造”を したかどうかなんてコトは‥‥ もう、モンダイじゃないだろ? |
王: | そ、そんな‥‥! |
成: |
ぼくは、もう弁護士じゃない。 ‥‥それだけが、真実だよ。 |
王: |
(”ねつ造”のコト‥‥ 話してくれないみたいだな。 ‥‥今は、まだ) |
留置所 面会室 | |
滝: |
はーい、お待たせ! ボクのかわいい堕天使ちゃん! ‥‥って。 またオマエらかよ! |
王: |
あの。 毎回、その登場をするんですか? |
滝: |
まあな。さっきは オヤジにやっちまってさァ。 かなり気まずいムードに なっちまったぜ! |
王: |
(‥‥そのケイケンから 何か学んでほしいな‥‥) |
滝: |
それにしても。 アンタらも、ゴクロウだよな。 オレはもう、 カクゴはできてるってのにさ! |
王: |
(やれやれ‥‥有罪になる気 マンマンだな) |
滝: |
ベツに、オレは気にしねェぜ。 有罪判決のひとつやふたつ。 |
み: |
でも! もし”殺人罪”なんて コトになったら‥‥ |
滝: |
なあに。それもケイケンってヤツよ。 まさか、死刑にはなるまい? 極道にとっちゃア、 勲章みたいなもんだからなァ。 |
み: |
でも、滝太さん。 やってないんですよね? |
滝: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ま。いいじゃねえの。 そんなの。どっちでもさァ。 |
王: |
(滝太クンの”チンモク”‥‥ ワケがあるのかもしれないな) |
滝: |
‥‥とにかく。最近の オヤジには、ガッカリしたぜ。 |
み: |
なんか。”ごくどー”を やめる‥‥らしいですよね。 |
滝: |
そんなコト! オレがさせるかよッ! オレはさ。クールな”ワル”を 目指して、やってきたワケ。 コシヌケのオヤジに つきあえるかっての。 |
王: | ‥‥はあ。 |
滝: |
オレが出所したアカツキには。 ミナミちゃんといっしょに‥‥ 新しいキタキツネ一家に 生まれ変わってやるのさ! |
王: |
(‥‥有罪判決は 大前提みたいだな) |
王: |
滝太さん。もしかして‥‥ コイツに見覚えがありませんか? |
滝: |
お! モチロン、知ってるぜ! なんたって、オレが 買ってやったんだからなァ! |
み: | みなみさんに‥‥ですか? |
滝: |
ああ。 誕生日のプレゼントにさァ。 彼女、足が小さくてさ。 カワイイんだよなあ! |
み: |
このサンダル‥‥みなみさんのもの、 だったんですね‥‥ |
王: |
ああ‥‥なんとなく、 予想はついていたけどね。 |
滝: |
な‥‥なんだよ。 その、しめっぽいムードはさァ! |
王: | (やれやれ‥‥) |
書き換えた。 | |
滝: |
なんだ、コレ。 レントゲン写真じゃねえか。 もしかして‥‥ |
王: |
そう。滝太クン。 あなたのものですよ。 |
滝: |
オレ、タバコ吸わないから。 長生きできるんじゃねェの? |
み: |
やっぱり‥‥ わかってないみたいですね。 |
王: |
あの。ココなんですけど‥‥ 見てもらえますか? <<担当看護師>>のところ。 <<並奈 美波>>のサインです。 |
滝: |
‥‥へえ。さすが、弁護士だなあ。 バレちゃったかあ。 |
み: |
じゃあ、やっぱり。 みなみさんと知り合ったのは‥‥ |
滝: |
まあ、ね。彼女に出会ったのは、 あの病院さァ! |
王: |
‥‥詳しく聞かせてもらえますか。 そのハナシ‥‥ |
滝: |
しかたないなァ! 聞かせちゃうか。 オレたちの”なれそめ”を! |
滝: |
半年前、組の抗争で 撃たれちまってよォ。 ベツにオレ、死んでも よかったんだけど‥‥ なんか、助かっちまって。 病院にかつぎこまれちゃったワケ。 |
み: | ‥‥<<宇狩外科医院>>ですね? |
滝: |
そこでさ。出会っちまったワケよ。 オレだけの堕天使ちゃんに。 |
王: | 並奈 美波さん‥‥ですか。 |
滝: |
最初は、オレのコト、 コワがってたみたいなんだけどさ。 ひかれちまったんだろうなァ。 オレの”悪”のミリョクに! |
王: | はあ‥‥ |
滝: |
カノジョ。病院のシゴトが イヤになってたらしくてね。 それなら、オレんトコに来いよ! って言ってやったワケ。 オトコらしいだろ? カノジョ。なんて言ったと思う? |
み: | なんて言ったんですか? |
滝: |
ちょっとは考えろよなー、 オマエらもさあ。 ‥‥小さな声で言ったんだよ。 『わたしとケッコン してくれるなら‥‥』って。 |
王: | それで‥‥婚約を? |
滝: |
そういうコト! 病院でアイをちかったワケ。 手術も終わって、カノジョとふたり。 あの病院とおサラバ、ってワケ! |
王: | あの。その”手術”ですけど‥‥ |
滝: |
‥‥ああ。 なんかモンダイがあったみたいだな。 聞いたぜ‥‥健康診断で。 弾丸がまだ、残ってる、って。 |
み: |
健康診断、って。 組長さんがやったんですよね。 |
滝: |
ああ。 情けねェハナシだよ。 極道が長生きして どうするんだっての! |
み: |
でも! そのおかげで、 弾丸のコトがわかったんですよね? |
滝: |
たしかになァ。 だからこそ‥‥ あの医者に思い知らせて やろうと思ったんだけどなァ。 弾丸を抜くのは、ベツに それからでもかまわねえだろ? こうして、 退院後もピンピンしてるわけだし。 |
王: |
その、健康診断‥‥ 初めてだったんですか? |
滝: |
ああ。今月に入って、 急にオヤジが言いだしてサ。 オヤジもトシをとった、 ってコトなんだろうさ。 |
矢田吹さん宅前 | |
み: |
あ。ムギツラさん! やっと見つけましたあ! |
麦: |
おう、おじょうちゃん! どうしたい、そんなカオして。 |
み: |
オドロキさん! 見てもらいましょうよ、アレ。 やっぱり、”専門家”に 聞くのが一番だと思います! |
王: |
(‥‥そうだな、見せてみるか。 ムギツラ”先生”に) |
麦: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ う‥‥ううううう。 |
王: |
ムギツラさん! どうしたんですか! |
麦: |
なんか、うれしくてよお。 また、医者としてのオレが 役に立つときが来るなんて、なァ。 |
王: | ムギツラさん‥‥ |
王: |
あの‥‥オヤジさん。 コレ、なんですけど。 |
麦: |
おう! カルテじゃねえの。 ダメだよこんなの。 勝手に持ち出しちゃ。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
み: |
あの。どうしたんですか? ダマりこんで‥‥ |
麦: |
なんだ、こりゃ‥‥ どういうコトだよ、コレは! |
王: |
いやいや! こっちが聞きたいですよ! その、カルテ‥‥ オレの依頼人のものなんですけど。 |
み: |
今、サツジンの容疑を かけられて、裁判を‥‥ |
麦: |
バカ言ってんじゃねェよ! そんなネムたいコト言ってたら‥‥ 死ぬぜ、このクランケ。 |
み: | ‥‥くらんけ? |
麦: |
患者だよ、カンジャ。 こいつは‥‥一刻を争う事態だ。 |
王: | く。詳しく聞かせてください! |
麦: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ これからのハナシは、 <<外科医>>としてさせてもらう。 シッカリ聞くコトだ。 ‥‥ニイちゃん。 |
王: | (‥‥ウソだろ‥‥) |
麦: |
カルテによると‥‥ この、北木 滝太っていうクランケ。 心臓の横っツラに、弾丸を カッ食らったみたいだな。 |
王: | はい。そのとおりです。 |
麦: |
そして、こっちのカルテには ”術後”‥‥つまり。 弾丸の摘出手術後の経過が 書かれている。‥‥しかしだ。 心臓のヨコに、ハッキリ 弾丸のカゲが見えるんだよ。 |
王: | でも。なぜ、そんなコトに‥‥ |
麦: |
考えられることは、ひとつだ。 手術が、むずかしすぎた。 |
み: | え‥‥ |
麦: |
弾丸は、心臓につながる大動脈の すぐそばにメリ込んでやがる。 しかも‥‥奇跡的なコトに、 弾丸の周りも動脈が取り囲んでいる。 ‥‥コンマ2ミリのブレで、 大出血が起こるだろうぜ。 フツーの医者には、 手が出せねえのさ。 |
み: | そ。そんな‥‥! |
麦: |
こんな状態自体、奇跡的なんだ。 コイツを抜き取るには‥‥ その奇跡を超えた、 大魔術が必要だろうぜ。 |
王: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
み: |
そっち方面の奇跡は、 みぬきに期待しないでください! |
麦: |
心臓の脈動や肺の活動で、 弾丸は今も”活きて”いやがる。 長くて‥‥半年、だな。 |
王: |
でも! 滝太クンが退院したのは ‥‥もう半年前ですよ! |
麦: |
だから! 一刻を争う事態だって 言ってるんだよ! 裁判なんて、後回しだ! |
王: | (なんてこった‥‥) |
み: |
なぜ、宇狩さんは‥‥ こんな、ヒドいコトを! ほったらかしなんて、 ヒドすぎます! |
麦: |
わかる気がするよ。 アイツの‥‥宇狩のキモチがな。 緊急手術をして、クランケの ムネを開いて‥‥ この状況に出くわしたときの、 アイツの”絶望”が。 |
み: | ぜつぼう‥‥ |
麦: |
アイツは、そのまま傷口を 閉じるしかなかった。そして‥‥ ”弾丸を抜けなかった”なんて‥‥ とても、言えなかっただろうぜ。 |
み: | あ! キタキツネ一家‥‥ |
麦: |
そう。このクランケは、 あの組のひとりムスコだ。 そして‥‥手術をしなくても、 退院して、生きることはできた。 まあ。‥‥やがて、心臓が大出血を 起こして、ほぼ即死するがな。 |
み: | そんな‥‥! |
麦: |
そして‥‥その”死亡”を 処理するのは、宇狩自身だ。 組との、深いつながりを利用すれば。 ごまかすコトは不可能ではなかった。 |
み: |
ヒドいです! それって。 滝太さんを、見殺しですッ! |
麦: |
‥‥オトナの世界には、ミニクイ 暗闇がクチを開いている。 それにくらべれば、極道のケンカ なんてカワイイもんだ。 ホントの”悪”には‥‥ チカラが強いか弱いかなんて、 関係ないんだ。 |
み: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ あの! ムギツラさん、 外科医だったんですよね! それなら! 滝太さんの手術を‥‥ |
麦: | ‥‥バカ言うな。 |
み: | え‥‥ |
麦: |
少なくともこの国には、 こんな手術ができる医者はいねえよ。 たぶん‥‥世界にも、ひとり。 いるか、いないか‥‥ |
み: | じゃ、じゃあ‥‥滝太さんは‥‥ |
麦: |
今、生きてるのが 不思議なくらいだ。 |
み: | そ。そんな‥‥! |
王: |
‥‥ひとつ。 モンダイがあります。 |
み: | お。オドロキさん‥‥? |
王: |
この、カルテです。 <<担当看護師>>のトコロ‥‥ ‥‥並奈 美波。 |
み: |
‥‥ああ。これがキッカケで ふたりは知り合ったんですよね。 |
王: |
モンダイは‥‥彼女はカクジツに ”知っていた”ってコトだよ。 ‥‥滝太クンが、 ”どういう状態だったか”をね。 |
み: | あ‥‥‥ |
王: |
彼女は‥‥なぜ。それを本人に 言ってあげなかったんでしょうか? |
麦: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
(‥‥常識で考えて、 あり得ないハナシだ‥‥ 患者のイノチの危険が近い コトを、知っていたのなら‥‥ 婚約する前に、するコトが あるはずじゃないか‥‥!) |
み: |
あのお姉さん‥‥いったい、 何を考えていたんでしょう‥‥ |
王: | (並奈 美波さん、か‥‥) |