第3話『逆転のセレナード』探偵パート1日目(その1)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
マキ・トバーユ…黄土
ラミロア…藤
ローメイン・レタス…青
眉月 大庵…紫
或真敷 バラン…薄橙
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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Let’s rock,
guys!
牙: Thank you!
ありがとう、みんな!
ギグはまだつづくぜ!
次はいよいよ、あのゲストが登場だ。
ナミダは取っておいてくれよな。
オーケイ、ベイビー!
それじゃ、またやろうぜ!
夜はこれからさ!

ガリューウエーブ公演
<<ギルティツアー>>
第一部は終了です。
第二部”バラードタイム”まで、
20分間の休憩に入ります。


7月7日 午後8時05分
楽屋前ろうか

み: いやー、来てよかったですよね!
ガリューウエーブのコンサート。
王: ううう‥‥正直、
このうるさいのには、なじめないよ。
”音楽”っていうより、
”音が苦”っていうか。
み: でも。ガリュウさん、
いいとこあるよね!
チケット、2割引でとって
くれちゃう、なんて!
なかなか買えないんですよ!
このチケット。
王: フツー、
招待するモンだと思うけどな。
み: ね。ちょっと、楽屋に行って
みましょうよ! なんか、アレ。
”ワレワレ、関係者ですから”
みたいな感じ。
みぬき、
アコガレてたんですよねー。
王: あのさ、みぬきちゃん。
そもそも。
こないだの事件のときは、
名前さえ知らなかったよな。
<<ガリューウエーブ>>はおろか、
あの検事さんの名前すら。

み: 『‥‥あの。
王子サマみたいなヒトが‥‥』
『”きょうやさん”っていうんだ。
ステキなヒトでしたよねー!』

み: やー、なんていうか。
みぬきもホラ。女のコだから。
カッコイイ男のコには
ヨロめいちゃうワケですよ。
王: ”男のコ”、ねえ‥‥
み: あの裁判の帰りに、みぬき。
ぜーんぶ、買っちゃいました!
<<ガリューウエーブ>>のアルバム
12枚と、ライブビデオ15本。
王: ‥‥帰りの道すがらに買う
物量じゃないぞ、それ。
み: パパに、おこづかい15年ぶん
前借りしちゃいましたあ。
王: ‥‥成歩堂さん、
ムスメには甘いんだなあ。
(今日は、あのキザな牙琉検事が
ひきいるバンド‥‥
<<ガリューウエーブ>>の
コンサートに来ている。
正直なトコロ‥‥
ちょっとカッコよくて、それが
また、ハラが立つんだよな‥‥
みぬきちゃんには
言えないけどさ‥‥)


同日 某時刻
ガリューウエーブ 楽屋

牙: やあ、キミたち。来てくれたのか。
み: あ、ガリュウさん!
来ちゃいましたあ!
王: 請求書同封のチケットを
送りつけておいて、よく言うよな。
み: すごかったです! ガリュウさん!
カッコよかったあ!
牙: キミたちのささくれだったココロを
いやしてあげようと思ってね。
‥‥いよいよ、
次はゲストのコーナーだよ。
ぼくも楽しみにしているんだ。
み: あ! ”バラードの女神”、
ラミロアさんですよね!
王: そういえば‥‥
わざわざ海外から招待した、って
パンフレットに書いてあったな。
牙: ああ‥‥海外出張の際に、
グーゼン”彼女”の声を耳にしてね。
まさに”女神の歌声”さ‥‥
ぜひ、いっしょにステージを
させてもらいたい、と思ってね。
?: ”それは‥‥いささか
ホメ過ぎではありませんか?”
‥‥ラミロアが、
そう申しておりますよ。
王: (うわ。デカいなあ‥‥
さすがに、外国の人は‥‥)
牙: ああ‥‥この人は、
ローメイン・レタス氏。
ラミロアさんの、マネージャーだね。
彼女の通訳もされている。
レ: このたびは、ラミロアの歌声を
この国に届けることができて‥‥
大変に光栄に思っております。
?: ■■■■■■■■■■■■
■■■■■‥‥
王: (キレイな声が聞こえるぞ‥‥
異国の言葉なので、
イミはまったくわからないけど)
?: ■■■■■■■■■■■■
■■■■‥‥
■■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■‥‥
み: きゃあ! ラミロアさんだ!
ホンモノですよ!
王: (ラミロア‥‥
謎に包まれた、歌姫‥‥
シンプルな
ピアノの伴奏にのせて‥‥
静かな、深い歌声を
聞かせてくれる‥‥
今、全世界で最も注目されている
”音の芸術家”だ)
ラ: ■■■■■■■■■■■■■
■■■‥‥
レ: ”私たちも、この日の共演を
楽しみにしていました”
‥‥ラミロアは、
そう申しております。
牙: ラミロアさん‥‥
あなたの、その声。
まさに、芸術です。
ラ: ■■■■■■■■■■■■■■■■
■■■‥‥
レ: ”そんなコトはありません。
私など‥‥
この子のピアノがなければ、何も
できない、しがない歌い手”‥‥
?: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: (この子‥‥見たことがあるな)
み: ラミロアさんのステージで、
ピアノを弾いてる子ですよ!
カワイイなあ。
じょうずなんですよ! ピアノ。
王: そりゃそうだろうね。
レ: この少年は、マキ・トバーユ。
‥‥彼は、目が見えないのですよ。
だから、いつもこうして、
ラミロアの手を離さない。
ふたりは、
いつもいっしょなのです。
マ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: (異国の人‥‥おとぎの国の住人、
って感じだな‥‥)
み: でも、ラミロアさんって、
ちょっと、アレ。
”アジア”な感じですよね。
そこがまた、
ミステリアスなんですけど。
王: たしかに‥‥
黒いヒトミがキレイな人だね。
牙: ”サイト・シーイング・ムジーク”
‥‥さ。
み:はい?
牙: 彼女は、各国を旅して‥‥その目に
写った<<風景>>を歌にする。
だから‥‥人々のココロに‥‥
ある種のなつかしさと、あたたかい
キモチがよみがえるのさ。
み: 風景を、歌に‥‥
牙: 今回は、ぼくの書いた”詩”に、
曲をつけてもらったんだ。
<<恋するギターのセレナード>>
‥‥聞いてくれたまえ。
み: わあ! 楽しみです!
牙: ‥‥さあ。そろそろ時間だね。
ガリューウエーブのロックは、
しばしのお休み。
よろしくおねがいしますよ。
ラミロアさん。
ラ: ■■■■■■■■■■
■■■■■■‥‥
レ: 次のバラードタイムでは、バンドの
メンバーは休んでいただいて。
マキのピアノとラミロアの歌を
楽しんでいただくのです。
牙: ‥‥もちろん。
ぼくもギターで参加するけどね。
み: うわあ! サイコーです!
生きててよかった、って感じ!
王: (‥‥オレも、ギターぐらい、
やっておけばよかったかな‥‥
発声練習ばっかりじゃなく‥‥)
牙: それじゃあ、そろそろ時間だ。
行こうか。ぼくたちのステージへ。
み: がんばってくださいね!
牙: ああ‥‥キミたちも、ハートを
落としちまわないように、ご用心。
み: よーし。じゃ、みぬきたちも
席に戻りましょうか!


sugar,sugar...
腕に 抱かれて
こころのカギは 今、盗まれた
...Pleasure...
いとしの メロディー
この身をつつみ 今、放たれた
Uh... uh...
胸を焦がす Fire...
恋人も 燃える
愛の弾丸よ Fire...
いのちまで 奪って
Guitar,Guitar...
ふたりは 空へ


同日 午後9時05分
楽屋前ろうか

み: いやー、やっぱりよかったね、
ラミロアさん。
みぬき、ちょっぴり
泣いちゃいました!
王: うーん‥‥まさか、牙琉検事の
ギターが燃えるとは思わなかったよ。
み: ”えんしゅつ”ってヤツですよね!
あれはよかったなあ。
魔術師でもビックリでした!
王: 演出‥‥ね。
(そのワリには、牙琉検事。
あわてふためいていたように
見えたけど‥‥)
み: ああいう、カラダを張った芸人根性、
っていうんですか?
好きだなあ、みぬき。
王: ”芸人”ねえ‥‥
み: とにかく、ホラホラ。もう一度、
行ってみましょうよ! 楽屋。
コンサートの第三部まで、
20分、ありますから!
王: やれやれ。どれだけ休憩をとれば
気がすむんだ。あのバンドは‥‥


同日 某時刻
ガリューウエーブ 楽屋

牙: なんなんだよ、アレは!
ぼくは、聞いてなかったぞ!
ス: す、すみません!
今、担当の方に、事実関係の
カクニンを‥‥
牙: あやうく、火ダルマに
なるところだったんだぞ!
コトと次第によっては、
出るトコ出てやるからな!
み: ‥‥なんか、荒れてますね。
牙: あ! キサマか、王泥喜 法介!
ぼくを燃やそうとしたのは!
王: なんでオレなんだよ!
み: なんだか‥‥”芸人根性”は
カンケイなかったみたい。
牙: せっかくの<<恋するギターの
セレナード>>が台なしじゃないか!
み: ささ。とにかく、ちょっと話を
聞いてみましょうよ。
王: ‥‥そんなフンイキじゃないと
思うんだけどなあ。

(「ギターの炎上」を聞く)
み: あの‥‥”演出”じゃ
なかったんですか? ギター‥‥
牙: 演出? そんなワケないだろ!
どうしてギターが
燃えなくちゃいけないんだよ!
み: だって‥‥ホラ。
ちょうど歌でも、
”胸を焦がす Fire
恋人も燃える”って言ってたし。
牙: ‥‥あ。
‥‥そういえば。じゃあ、
もしかしたらお客さんは‥‥?
王: (気がつかなかったな‥‥)
み: ”ワザと”だと
思ってたんじゃないかなあ。
みぬき、そう思ったし。
牙: ‥‥‥‥‥‥
王: (牙琉のヤツも、気づいて
なかったみたいだな‥‥)
牙: と。とにかく! あのギターは、
そこらの新車なみにゴキゲンなんだ。
走りも、音も‥‥
そして、値段もね。
ライブのたびに燃やしていたら、
ぼくは破産だよ!
王: ケチなロックンローラーだな。
み: 本人に言ってください。
牙: まったく! どうも今日は、
朝からツイてないんだよな。
バイクは動かないわ、
ギターケースはブッ壊れるわ‥‥
み: ありますよねー。そんな日って。

(「ラミロアの歌」を聞く)
み: でも。とってもよかったですよ!
ラミロアさんの歌。
ガリュウさんが作ったんですよね?
牙: ああ‥‥ありがとう。
あれはね。彼女との共作なんだよ。
ぼくが”詩”を書いて、
彼女がメロディをつけた。
み: でも‥‥日本語で
歌っていましたね。ラミロアさん。
牙: きっと、練習して
くれたんだろうね。ホラ、これ。
王: これは‥‥?
牙: 歌詞のカードさ。
あげるよ。
ラミロアさんとぼくの
サインもしておいたからさ。
み: きゃあ!
ありがとうございます!
王: (くそお‥‥なんかクヤシイな)

<<歌詞カード>>を
手に入れた。
牙: ‥‥さて。そろそろ第三部だ。
み: お。また”のりのり”で
行くんですか?
牙: ああ。ラミロアさんは、
第二部でおしまい。
これからはまた、ぼくたちの
グルーブをぶつけるよ。
シッカリ、受けとめてくれよ。
み: はいっ!
じゃ、オドロキさんも‥‥
王: ああ‥‥オレは、もういいや。
み:え。
王: ラミロアさんみたいなのは
好きなんだけどね。
このコンサートには、ボリュームの
ツマミがないみたいだし。
み: ふーん。やっぱり、オドロキさんも、
もう”おじさん”ですね。
王: ぐっ!
(15才の子にとっては、22才は
”おじさん”なのか‥‥)
み: じゃ、みぬき。行ってきますね!
牙: おじさんは、そこで休んでいると
いいよ。‥‥シツレイ。
王: (あんたのほうが
年上じゃないか!)

(「楽屋前ろうか」に移動する)


同日 某時刻
楽屋前ろうか

茜: あれ。あんた!
成歩堂さんトコの子じゃない。
王: あ。宝月刑事さん!
(”子”ってなあ‥‥)
茜: アカネ、でいいよ。
なんせ、同じビンの指紋検出粉を
振りかけた仲だし。
王: そういう表現は初めて聞きました。
それで‥‥アカネさん。
何やってるんですか?
こんなところで。
茜: ‥‥見ればわかるでしょ。
おかし食べてるの。
ジョーダンじゃないわよ!
なんであたしが、こんなトコで
警備をしてなくちゃならないのよ!
王: けいび‥‥?
ナニかあったんですか?
茜: あの、じゃらじゃらした検事さん。
何か、大事なものが盗まれた、
って大騒ぎして。
コンサートのあいだ、
ここに警備をつけろって。
ナニサマのつもりかしらね、ホント。
王: (宝月刑事は、
今日もフキゲン、か‥‥)
茜: コラ! ムシしないでよ!
王: あの‥‥こっちのドアは、
何の部屋なんですか?
茜: ああ。
そっちは、ラミロアさんの控え室。
勝手に入ったら、このカリントウ
投げつけるからね!
王: (たまにはキゲンがいいときは
ないのか? このヒト‥‥)

(「ガリューウエーブ」を聞く)
王: あの‥‥アカネさん。
茜: さくさくさくさくさくさく。
王: (キョーレツなニクシミをこめて
カリントウを噛み砕いてる‥‥
ウカツに近寄ると、オレも
噛み砕かれる‥‥キケンだ)

こつん!
王: (カリントウを
投げつけられた‥‥)

(「ラミロアのこと」を聞く)
王: あの‥‥アカネさん。
茜: さくさくさくさくさくさく。
王: (キョーレツなニクシミをこめて
カリントウを噛み砕いてる‥‥
ウカツに近寄ると、オレも
噛み砕かれる‥‥キケンだ)

こつん!
王: (カリントウを
投げつけられた‥‥)

(「警備について」を聞く)
王: あの‥‥アカネさん。
茜: さくさくさくさくさくさく。
王: (キョーレツなニクシミをこめて
カリントウを噛み砕いてる‥‥
ウカツに近寄ると、オレも
噛み砕かれる‥‥キケンだ)

こつん!
王: (カリントウを
投げつけられた‥‥)

(「手前の扉」を調べる)
王: これが、ラミロアさんの
控え室、か‥‥
茜: 勝手に入ったら、
このカリントウが‥‥

‥‥バアン‥‥!
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
茜: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: なんだ?
今の音‥‥

‥‥バアン‥‥!
王: まさか‥‥銃声?

‥‥かしゃん‥‥!
王: (何か‥‥
何か事件が、起こった!)
茜: ちょっと、あんた、どきなさい!
王: あ、アカネさん!
茜: ラミロアさん! ラミロアさん!

‥‥‥‥‥‥‥‥
茜: カギはかかっていない‥‥
入るわよ!


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