王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
マキ・トバーユ…黄土 | |
ラミロア…藤 | |
ローメイン・レタス…青 | |
眉月 大庵…紫 | |
或真敷 バラン…薄橙 |
Let’s rock, guys! | |
牙: |
Thank you! ありがとう、みんな! ギグはまだつづくぜ! 次はいよいよ、あのゲストが登場だ。 ナミダは取っておいてくれよな。 オーケイ、ベイビー! それじゃ、またやろうぜ! 夜はこれからさ! |
ガリューウエーブ公演 <<ギルティツアー>> 第一部は終了です。 第二部”バラードタイム”まで、 20分間の休憩に入ります。 | |
楽屋前ろうか | |
み: |
いやー、来てよかったですよね! ガリューウエーブのコンサート。 |
王: |
ううう‥‥正直、 このうるさいのには、なじめないよ。 ”音楽”っていうより、 ”音が苦”っていうか。 |
み: |
でも。ガリュウさん、 いいとこあるよね! チケット、2割引でとって くれちゃう、なんて! なかなか買えないんですよ! このチケット。 |
王: |
フツー、 招待するモンだと思うけどな。 |
み: |
ね。ちょっと、楽屋に行って みましょうよ! なんか、アレ。 ”ワレワレ、関係者ですから” みたいな感じ。 みぬき、 アコガレてたんですよねー。 |
王: |
あのさ、みぬきちゃん。 そもそも。 こないだの事件のときは、 名前さえ知らなかったよな。 <<ガリューウエーブ>>はおろか、 あの検事さんの名前すら。 |
み: |
『‥‥あの。 王子サマみたいなヒトが‥‥』 『”きょうやさん”っていうんだ。 ステキなヒトでしたよねー!』 |
み: |
やー、なんていうか。 みぬきもホラ。女のコだから。 カッコイイ男のコには ヨロめいちゃうワケですよ。 |
王: | ”男のコ”、ねえ‥‥ |
み: |
あの裁判の帰りに、みぬき。 ぜーんぶ、買っちゃいました! <<ガリューウエーブ>>のアルバム 12枚と、ライブビデオ15本。 |
王: |
‥‥帰りの道すがらに買う 物量じゃないぞ、それ。 |
み: |
パパに、おこづかい15年ぶん 前借りしちゃいましたあ。 |
王: |
‥‥成歩堂さん、 ムスメには甘いんだなあ。 (今日は、あのキザな牙琉検事が ひきいるバンド‥‥ <<ガリューウエーブ>>の コンサートに来ている。 正直なトコロ‥‥ ちょっとカッコよくて、それが また、ハラが立つんだよな‥‥ みぬきちゃんには 言えないけどさ‥‥) |
ガリューウエーブ 楽屋 | |
牙: | やあ、キミたち。来てくれたのか。 |
み: |
あ、ガリュウさん! 来ちゃいましたあ! |
王: |
請求書同封のチケットを 送りつけておいて、よく言うよな。 |
み: |
すごかったです! ガリュウさん! カッコよかったあ! |
牙: |
キミたちのささくれだったココロを いやしてあげようと思ってね。 ‥‥いよいよ、 次はゲストのコーナーだよ。 ぼくも楽しみにしているんだ。 |
み: |
あ! ”バラードの女神”、 ラミロアさんですよね! |
王: |
そういえば‥‥ わざわざ海外から招待した、って パンフレットに書いてあったな。 |
牙: |
ああ‥‥海外出張の際に、 グーゼン”彼女”の声を耳にしてね。 まさに”女神の歌声”さ‥‥ ぜひ、いっしょにステージを させてもらいたい、と思ってね。 |
?: |
”それは‥‥いささか ホメ過ぎではありませんか?” ‥‥ラミロアが、 そう申しておりますよ。 |
王: |
(うわ。デカいなあ‥‥ さすがに、外国の人は‥‥) |
牙: |
ああ‥‥この人は、 ローメイン・レタス氏。 ラミロアさんの、マネージャーだね。 彼女の通訳もされている。 |
レ: |
このたびは、ラミロアの歌声を この国に届けることができて‥‥ 大変に光栄に思っております。 |
?: |
■■■■■■■■■■■■ ■■■■■‥‥ |
王: |
(キレイな声が聞こえるぞ‥‥ 異国の言葉なので、 イミはまったくわからないけど) |
?: |
■■■■■■■■■■■■ ■■■■‥‥ ■■■■■■■■■■■■■ ■■■■■■■‥‥ |
み: |
きゃあ! ラミロアさんだ! ホンモノですよ! |
王: |
(ラミロア‥‥ 謎に包まれた、歌姫‥‥ シンプルな ピアノの伴奏にのせて‥‥ 静かな、深い歌声を 聞かせてくれる‥‥ 今、全世界で最も注目されている ”音の芸術家”だ) |
ラ: |
■■■■■■■■■■■■■ ■■■‥‥ |
レ: |
”私たちも、この日の共演を 楽しみにしていました” ‥‥ラミロアは、 そう申しております。 |
牙: |
ラミロアさん‥‥ あなたの、その声。 まさに、芸術です。 |
ラ: |
■■■■■■■■■■■■■■■■ ■■■‥‥ |
レ: |
”そんなコトはありません。 私など‥‥ この子のピアノがなければ、何も できない、しがない歌い手”‥‥ |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: | (この子‥‥見たことがあるな) |
み: |
ラミロアさんのステージで、 ピアノを弾いてる子ですよ! カワイイなあ。 じょうずなんですよ! ピアノ。 |
王: | そりゃそうだろうね。 |
レ: |
この少年は、マキ・トバーユ。 ‥‥彼は、目が見えないのですよ。 だから、いつもこうして、 ラミロアの手を離さない。 ふたりは、 いつもいっしょなのです。 |
マ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
(異国の人‥‥おとぎの国の住人、 って感じだな‥‥) |
み: |
でも、ラミロアさんって、 ちょっと、アレ。 ”アジア”な感じですよね。 そこがまた、 ミステリアスなんですけど。 |
王: |
たしかに‥‥ 黒いヒトミがキレイな人だね。 |
牙: |
”サイト・シーイング・ムジーク” ‥‥さ。 |
み: | はい? |
牙: |
彼女は、各国を旅して‥‥その目に 写った<<風景>>を歌にする。 だから‥‥人々のココロに‥‥ ある種のなつかしさと、あたたかい キモチがよみがえるのさ。 |
み: | 風景を、歌に‥‥ |
牙: |
今回は、ぼくの書いた”詩”に、 曲をつけてもらったんだ。 <<恋するギターのセレナード>> ‥‥聞いてくれたまえ。 |
み: | わあ! 楽しみです! |
牙: |
‥‥さあ。そろそろ時間だね。 ガリューウエーブのロックは、 しばしのお休み。 よろしくおねがいしますよ。 ラミロアさん。 |
ラ: |
■■■■■■■■■■ ■■■■■■‥‥ |
レ: |
次のバラードタイムでは、バンドの メンバーは休んでいただいて。 マキのピアノとラミロアの歌を 楽しんでいただくのです。 |
牙: |
‥‥もちろん。 ぼくもギターで参加するけどね。 |
み: |
うわあ! サイコーです! 生きててよかった、って感じ! |
王: |
(‥‥オレも、ギターぐらい、 やっておけばよかったかな‥‥ 発声練習ばっかりじゃなく‥‥) |
牙: |
それじゃあ、そろそろ時間だ。 行こうか。ぼくたちのステージへ。 |
み: | がんばってくださいね! |
牙: |
ああ‥‥キミたちも、ハートを 落としちまわないように、ご用心。 |
み: |
よーし。じゃ、みぬきたちも 席に戻りましょうか! |
sugar,sugar... 腕に 抱かれて こころのカギは 今、盗まれた ...Pleasure... いとしの メロディー この身をつつみ 今、放たれた Uh... uh... 胸を焦がす Fire... 恋人も 燃える 愛の弾丸よ Fire... いのちまで 奪って Guitar,Guitar... ふたりは 空へ | |
楽屋前ろうか | |
み: |
いやー、やっぱりよかったね、 ラミロアさん。 みぬき、ちょっぴり 泣いちゃいました! |
王: |
うーん‥‥まさか、牙琉検事の ギターが燃えるとは思わなかったよ。 |
み: |
”えんしゅつ”ってヤツですよね! あれはよかったなあ。 魔術師でもビックリでした! |
王: |
演出‥‥ね。 (そのワリには、牙琉検事。 あわてふためいていたように 見えたけど‥‥) |
み: |
ああいう、カラダを張った芸人根性、 っていうんですか? 好きだなあ、みぬき。 |
王: | ”芸人”ねえ‥‥ |
み: |
とにかく、ホラホラ。もう一度、 行ってみましょうよ! 楽屋。 コンサートの第三部まで、 20分、ありますから! |
王: |
やれやれ。どれだけ休憩をとれば 気がすむんだ。あのバンドは‥‥ |
ガリューウエーブ 楽屋 | |
牙: |
なんなんだよ、アレは! ぼくは、聞いてなかったぞ! |
ス: |
す、すみません! 今、担当の方に、事実関係の カクニンを‥‥ |
牙: |
あやうく、火ダルマに なるところだったんだぞ! コトと次第によっては、 出るトコ出てやるからな! |
み: | ‥‥なんか、荒れてますね。 |
牙: |
あ! キサマか、王泥喜 法介! ぼくを燃やそうとしたのは! |
王: | なんでオレなんだよ! |
み: |
なんだか‥‥”芸人根性”は カンケイなかったみたい。 |
牙: |
せっかくの<<恋するギターの セレナード>>が台なしじゃないか! |
み: |
ささ。とにかく、ちょっと話を 聞いてみましょうよ。 |
王: |
‥‥そんなフンイキじゃないと 思うんだけどなあ。 |
み: |
あの‥‥”演出”じゃ なかったんですか? ギター‥‥ |
牙: |
演出? そんなワケないだろ! どうしてギターが 燃えなくちゃいけないんだよ! |
み: |
だって‥‥ホラ。 ちょうど歌でも、 ”胸を焦がす Fire 恋人も燃える”って言ってたし。 |
牙: |
‥‥あ。 ‥‥そういえば。じゃあ、 もしかしたらお客さんは‥‥? |
王: | (気がつかなかったな‥‥) |
み: |
”ワザと”だと 思ってたんじゃないかなあ。 みぬき、そう思ったし。 |
牙: | ‥‥‥‥‥‥ |
王: |
(牙琉のヤツも、気づいて なかったみたいだな‥‥) |
牙: |
と。とにかく! あのギターは、 そこらの新車なみにゴキゲンなんだ。 走りも、音も‥‥ そして、値段もね。 ライブのたびに燃やしていたら、 ぼくは破産だよ! |
王: | ケチなロックンローラーだな。 |
み: | 本人に言ってください。 |
牙: |
まったく! どうも今日は、 朝からツイてないんだよな。 バイクは動かないわ、 ギターケースはブッ壊れるわ‥‥ |
み: | ありますよねー。そんな日って。 |
み: |
でも。とってもよかったですよ! ラミロアさんの歌。 ガリュウさんが作ったんですよね? |
牙: |
ああ‥‥ありがとう。 あれはね。彼女との共作なんだよ。 ぼくが”詩”を書いて、 彼女がメロディをつけた。 |
み: |
でも‥‥日本語で 歌っていましたね。ラミロアさん。 |
牙: |
きっと、練習して くれたんだろうね。ホラ、これ。 |
王: | これは‥‥? |
牙: |
歌詞のカードさ。 あげるよ。 ラミロアさんとぼくの サインもしておいたからさ。 |
み: |
きゃあ! ありがとうございます! |
王: | (くそお‥‥なんかクヤシイな) |
手に入れた。 | |
牙: | ‥‥さて。そろそろ第三部だ。 |
み: |
お。また”のりのり”で 行くんですか? |
牙: |
ああ。ラミロアさんは、 第二部でおしまい。 これからはまた、ぼくたちの グルーブをぶつけるよ。 シッカリ、受けとめてくれよ。 |
み: |
はいっ! じゃ、オドロキさんも‥‥ |
王: | ああ‥‥オレは、もういいや。 |
み: | え。 |
王: |
ラミロアさんみたいなのは 好きなんだけどね。 このコンサートには、ボリュームの ツマミがないみたいだし。 |
み: |
ふーん。やっぱり、オドロキさんも、 もう”おじさん”ですね。 |
王: |
ぐっ! (15才の子にとっては、22才は ”おじさん”なのか‥‥) |
み: | じゃ、みぬき。行ってきますね! |
牙: |
おじさんは、そこで休んでいると いいよ。‥‥シツレイ。 |
王: |
(あんたのほうが 年上じゃないか!) |
楽屋前ろうか | |
茜: |
あれ。あんた! 成歩堂さんトコの子じゃない。 |
王: |
あ。宝月刑事さん! (”子”ってなあ‥‥) |
茜: |
アカネ、でいいよ。 なんせ、同じビンの指紋検出粉を 振りかけた仲だし。 |
王: |
そういう表現は初めて聞きました。 それで‥‥アカネさん。 何やってるんですか? こんなところで。 |
茜: |
‥‥見ればわかるでしょ。 おかし食べてるの。 ジョーダンじゃないわよ! なんであたしが、こんなトコで 警備をしてなくちゃならないのよ! |
王: |
けいび‥‥? ナニかあったんですか? |
茜: |
あの、じゃらじゃらした検事さん。 何か、大事なものが盗まれた、 って大騒ぎして。 コンサートのあいだ、 ここに警備をつけろって。 ナニサマのつもりかしらね、ホント。 |
王: |
(宝月刑事は、 今日もフキゲン、か‥‥) |
茜: | コラ! ムシしないでよ! |
王: |
あの‥‥こっちのドアは、 何の部屋なんですか? |
茜: |
ああ。 そっちは、ラミロアさんの控え室。 勝手に入ったら、このカリントウ 投げつけるからね! |
王: |
(たまにはキゲンがいいときは ないのか? このヒト‥‥) |
王: | あの‥‥アカネさん。 |
茜: | さくさくさくさくさくさく。 |
王: |
(キョーレツなニクシミをこめて カリントウを噛み砕いてる‥‥ ウカツに近寄ると、オレも 噛み砕かれる‥‥キケンだ) |
王: |
(カリントウを 投げつけられた‥‥) |
王: | あの‥‥アカネさん。 |
茜: | さくさくさくさくさくさく。 |
王: |
(キョーレツなニクシミをこめて カリントウを噛み砕いてる‥‥ ウカツに近寄ると、オレも 噛み砕かれる‥‥キケンだ) |
王: |
(カリントウを 投げつけられた‥‥) |
王: | あの‥‥アカネさん。 |
茜: | さくさくさくさくさくさく。 |
王: |
(キョーレツなニクシミをこめて カリントウを噛み砕いてる‥‥ ウカツに近寄ると、オレも 噛み砕かれる‥‥キケンだ) |
王: |
(カリントウを 投げつけられた‥‥) |
王: |
これが、ラミロアさんの 控え室、か‥‥ |
茜: |
勝手に入ったら、 このカリントウが‥‥ |
王: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
茜: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
なんだ? 今の音‥‥ |
王: | まさか‥‥銃声? |
王: |
(何か‥‥ 何か事件が、起こった!) |
茜: | ちょっと、あんた、どきなさい! |
王: | あ、アカネさん! |
茜: | ラミロアさん! ラミロアさん! |
‥‥‥‥‥‥‥‥ | |
茜: |
カギはかかっていない‥‥ 入るわよ! |