第3話『逆転のセレナード』第1回法廷(その1)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
マキ・トバーユ…黄土
ラミロア…藤
ローメイン・レタス…青
眉月 大庵…紫
或真敷 バラン…薄橙
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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7月9日 午前10時
地方裁判所 第3法廷

裁: これより、ええと‥‥
な。なんと読むのですかな? コレ。
牙: マキ・トバーユ‥‥
アルペジオの妖精さ。
裁: はい。
その、彼の法廷を開廷します。
王: ‥‥弁護側、準備完了しています。
牙: ‥‥検察側、オーケイだ。
裁: ふむう‥‥それで、牙琉検事。
牙: ああ。冒頭弁論、だね。
裁: いやいや。その前に、ひとつ。
おうかがいしたいことが。
牙: ‥‥? なんだい?
裁: 不治の病にかかっているカタを
お見舞いするときは‥‥
なんとアイサツすれば
よろしいのでしょうねえ。
牙:え。
裁: ”回復をお祈りします”‥‥
と言っても‥‥
なおる見込みがなければ、
深くキズつけることに‥‥
王: あの。なんのハナシですか?
裁: いやいや。
じつは、お見舞いに行くのですよ。
コレが終わったら、
‥‥司法長官の病室に。
王: しほうちょうかん‥‥?
裁: なんでも、ムスコさんが
タイヘンな病気になられましてな。
どうやら、もうアブナイらしい、と。
王:はあ‥‥
裁: ここはひとつ、
お見舞いに行って‥‥
泣かせるヒトコトでも言って、
取り入っておきたい、と。
み: ううん。
オトナって、ナマぐさいですよねー。
王: (みぬきちゃんのオレを見る目に、
ケーベツが‥‥)
‥‥って、
なんでオレを見るんだよ!
裁: まあ、そんなワケで。
今日は少し忙しいものですから、
早めに切り上げたいと思います。
牙琉検事。冒頭弁論を‥‥短めに!
牙: ‥‥ラッキーだったね。
おジイさん‥‥
お見舞いには、
さっさと行くことができそうだ。
王:‥‥!
牙: まずは、被害者について、
カクニンしておこうか。
名前は、ローメイン・レタス氏。
世界的な歌姫・ラミロアの
マネージャーだね。
死因は、大口径のピストルで
撃たれたコトによる、失血死。
詳しいことは、
この記録を見てもらえばいいだろう。
裁: わかりました。受理しましょう。

証拠品<<レタスの解剖記録>>の
データを法廷記録にファイルした。
裁: 45口径といえば‥‥
そうとう強力な破壊力ですな。
まともに弾丸が当たれば、
吹き飛んでしまったでしょうな。
牙: 幸い‥‥というべきか、
弾丸はカタに当たったため、
遺体はたいした損傷は受けていない。
どうやら、即死でもなかったようだ。
ザンネンながら失血がヒドく、
助からなかったけどね‥‥
裁: ふむう‥‥たしかに、思ったより
ヒドい現場ではなかったようですな。

証拠品<<現場写真>>のデータを
法廷記録にファイルした。
牙: ‥‥発射された弾丸は、2発。
1発はハズレ、もう一発は、
被害者の体を貫通したみたいだね。
どちらも、現場のカベに残っていた。
‥‥上面図を見てもらおう。
ちょうど、このあたりだよ。
裁: なるほど‥‥
証拠品として受理しましょう。

証拠品<<上面図>>のデータを
法廷記録にファイルした。
裁: しかし。
45口径ともなると‥‥
ハンニンは、ピストルの扱いに
慣れていたと考えられますね。
み: そうなんですか?
王: 大口径のピストルはね。撃つと、
ものすごい反動があるらしいよ。
裁判長が撃ったら、
カラダ中のホネが砕けるぐらいね。
裁: それ、ちょっと言いすぎです!
牙: ‥‥さて。彼は、会場の楽屋で
撃たれたワケだが‥‥
楽屋の出入り口は、ひとつ。
この、ドアしかない。
裁: なるほど。たしかに。
ひとつしかありませんな。
牙: しかし。犯行の瞬間。
その銃声を耳にした”証人”がいた。
み: オドロキさんと‥‥
アカネさん、ですよね。
牙: そして、
証人が部屋に入ったとき‥‥
部屋の中はカラッポだった‥‥
被害者の遺体を残して、ね。
裁: そ‥‥それはッ!
いわゆるひとつの‥‥
<<不可能犯罪>>ではないですかッ!
牙: そうなんだよ。
‥‥この犯行は”不可能”だった。
‥‥ただ、ひとりをのぞいて、ね。
裁: ただ、ひとり‥‥
牙: もちろん、それが‥‥
被告人、マキ・トバーユという
ワケだけどね。
裁: 被告人だけが‥‥
犯行を行うことができた!
なぜ、そんなコトが‥‥
牙: ‥‥カンタンなコトだよ。
現場の状況が、それを叫んでいる。
裁: わかりました。
さっそく、立証していただきます。
それでは、
証人を入廷させてください!

牙: それじゃ‥‥
名前と職業をたのむよ。
茜: 宝月 茜。所轄署の刑事です。
事件当日は、
現場の警備にあたっていました。
王: (アカネさん‥‥
なんか、元気がないな‥‥)
裁: ふむう‥‥
現場の警備、ですか。
茜: 警備、って言っても‥‥
殺人事件が起きちゃいましたけどね。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: ま。まま。気を落とさずに!
そんなコトもありますぞ!
私も、もっとスゴい大失敗を
したことがあります!
王: (ヒドいなぐさめかただな)
み: ‥‥みぬきとしては、裁判長さんの
大失敗を聞いてみたいです。
牙: とにかく‥‥
キミが警備してくれていたおかげで、
犯行をすぐに発見することができた。
それに‥‥ハンニンを
特定することができたのさ。
茜: ‥‥‥‥‥‥‥‥
牙: それでは‥‥サッソク、
証言してくれるかな?
当日の状況から‥‥事件を発見した、
そのいきさつを、ね。
茜: ‥‥はい‥‥

(事件当日の状況)
茜: 『事件当夜は、牙琉検事に言われて
楽屋の前を警備していました。』(証言1)
『楽屋に入れたのは、
コンサートの関係者だけです。』(証言2)
『コンサートの第3部が始まったとき
‥‥銃声を聞きました。』(証言3)
『部屋に踏みこむと、
大音量のロックの中、死体が‥‥』(証言4)
『現場を捜査した結果‥‥犯行は、
被告人以外不可能と判断しました。』(証言5)
裁: ふむう‥‥
刑事が第一発見者だったのは、
幸運だったと言えるようですね。
み: でも。部屋の出口、
ドアだけだったんですよね?
王: うん。それはまちがいないな。
み: じゃあ‥‥どうして。
”マキさんにはできた”ってコトに
なるんですか?
王: どうやら‥‥まずは、情報を
集めなきゃいけないみたいだね。
裁: それでは、弁護人。
尋問をおねがいいたします。

(「証言1」をゆさぶる)
王: ‥‥”事件当夜”って‥‥
コンサート、ですよね?
茜:そうよ。
王: なんでまた、刑事さんが
ケイビなんてしてたんですか?
‥‥たかがコンサートなのに。
茜: あたしもそう思ったんだけどね。
命令を受けちゃったから。
そこの、おエラいギターの人から。
王: 牙琉検事‥‥?
牙: まあ、ね。なんというか。
巨大なインボーのニオイを、
かぎとったワケさ。
あの日の、コンサート会場にね。
王: いんぼー‥‥って?
牙: コイツに決まってるだろ!
あの日の朝!
このカギが盗まれたせいで!
バイクも乗れず、
大事なギターのケースは開かず‥‥
み: また、始まりましたね。
王: ”なくした”っていう発想は
ないのかな。
牙: ”なくした”で済むか!
カギはその後、死体の手に
ニギられていたんだぞ!
裁: な。なんですって‥‥!
そ。それでは‥‥
ハンニンはあなた自身ということに
なるではないですかッ!

(ざわめきが起こる)
牙: ‥‥♪ ”遅効性の恋は
アトロキニーネ”‥‥
み: ハナウタ、歌ってます。
王: 大物だよな。なんにしても。
牙: ‥‥事件が起きたのは、
コンサートの最中。
ぼくは、音の波をただよう
セイラーマンだったさ。
とにかく‥‥また、何か盗まれちゃ
たまんないからね。
警備として、いちばん
ヒマそうな刑事を手配したのさ。
裁: なるほど。
‥‥ナットクしました。
茜: なんですか! ”ヒマそう”って。
あたしはナットクできない‥‥
裁: それでは、
証言をつづけていただきましょう。

(「証言4」をゆさぶる)
王:ロック?
茜: そう。大音量のね。
裁: ”ろっく”というと、やはり。
アレですかな?
いま、はやりの
”ろっけん・ろーる”‥‥
王: (たしかに‥‥オレたちが
楽屋に踏みこんだとき‥‥
部屋の中にうるさい音楽が
流れていたな‥‥)
茜: 楽屋にはいつも、ステージ上の音を
スピーカーで中継しているそうです。
それで、楽屋の人たちが、
自分の出番をカクニンしたり‥‥
王: そのワリには、
大音量でしたけど‥‥
牙: ガリューウエーブの音楽は
”耳で聞く”ものじゃない。
全身で”感じる”ものだからね。
楽屋のモニターも、
フルボリュームにしてもらったのさ。
茜: 部屋に踏み込んだときには
ちょうど‥‥
<<ラブラブ・ギルティー>>
という曲が流れていました。
だから、
犯行時刻の特定もラクでした。
裁: ふむう‥‥その演奏が聞こえていた
ということは、つまり‥‥
牙: ステージで演奏していた連中には、
アリバイがある‥‥
そういうことだね。ぼくを含めて。
茜: とにかく。すぐに現場を封鎖、
捜査に取りかかりました。

(「証言5」をゆさぶる)
王: いったい、それはなぜですかッ!
茜: それは‥‥現場の状況を見れば、
アキラカなのです。
いいですか‥‥
先ほども言いましたが、
現場の出入口は、ドアがひとつ‥‥
明かりをとるためのマドは、
少ししか開けることはできません。
そして、ドアの前には、
私がいました。
そうなると‥‥ハンニンは
どこから逃げたのか‥‥?
コタエは、ひとつしかありません。
‥‥天井に設置された、通気口です。
裁:あ‥‥

(王泥喜「異議あり!」)
王: し、しかし! 通気口は、小さい!
そんなトコロ、通れるワケが‥‥
茜: そこなんです。
王:‥‥!
茜: そう‥‥たしかに。あなたじゃ
通れないわね。たぶん、あたしでも。
あの通気口を通ることが
できるのは‥‥コドモしかいない。
王: こども‥‥
茜: そして‥‥思い出してください。
あの楽屋には、関係者しか
出入りすることはできなかった‥‥
牙: そう。そして関係者の中に、
たった一人だけいた。
”コドモ”と呼べるほど、
小さなカラダの人物が、ね。
裁: 被告人‥‥ですか‥‥!
牙: ”アルペジオの妖精”‥‥
妖精は、天にのぼって‥‥
そして、消えたのさ。
現場から、ね。

(王泥喜「異議あり!」)
王: し。しかし‥‥そんなの、
スイソクにすぎない!
牙: ‥‥でもね。
他に、出口はない‥‥
それは、キミもよく知ってるんじゃ
ないのかな? おデコくん。
王:‥‥ッ!
茜: そして‥‥もうひとつ。
”証拠”があるんです。
王: しょうこ‥‥?
茜: 通気口のフタ、なんですけど‥‥
つい最近、
開閉された痕跡が残ってるんです。
王: な。なんですって‥‥
茜: そして‥‥そこには、
ハッキリ残っていたんです。
被告人‥‥
マキ・トバーユさんの指紋が‥‥
王: え‥‥
ええええええええええええええッ!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に! 静粛に!
牙: 部屋から脱出できる出口は、
あの通気口だけだった!
そして、そこには、
被告人の指紋が残っていた!
‥‥さあ、おデコくん!
ここから、キミは
どんな”物語”を想像するかい?
王:ぐ‥‥ッ!
牙: ‥‥ちなみに、その通気口‥‥
”天国のトビラ”をくぐることが
できたのは‥‥その妖精だけ、さ。
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
み: な。なんですか?
みぬきを見て。
あ! みぬきなら、その時間。
客席でフィーバーしてました!
王: (”決定的な証拠”‥‥
そういうこと、だったのか‥‥)
裁: ふむう‥‥たしかに。
いきなり決定的なようですな‥‥
‥‥もう、じゅうぶんでしょう。
王:
裁: 検察側の主張どおり‥‥これは、
かなりハッキリした事件のようです。
犯行現場の出入り口は、
ふさがれていた。
そこから逃れることができたのは、
被告人だけだった‥‥
シンプルにして、決定的です。
王: うううう‥‥
裁: さっさとお見舞いに行きたくて
言うわけではないのですが‥‥
どうやら、これで
じゅうぶんだと言えるでしょう。
牙: そのとおり。
せいぜい、長官に取り入るコトだね。
不幸なコトに、この事件には
”直接的な”目撃者はいなかった。
そのかわり、ハンニン自身が、
決定的な手がかりを残してくれた。
それでヨシとしないとね。
王: (くそ‥‥!
いきなりオワリなのか‥‥?)
裁: それでは‥‥
弁護側に反証がないようでしたら、
これで審理を終了しますが‥‥?
牙: 検察側は、これだけハッキリした
コンキョを提示したんだ。
モチロン‥‥
”反証”と言う以上は‥‥
それに負けない、ハッキリした
ものをおねがいするよ!
み: お。オドロキさん! なんか。
いきなり追いつめられてますよ!
こっちもナニか、カマさないと!
王: わ、わかってるよ!
(この場を切り抜けるには‥‥
無実を決定的に立証できる
”証拠品”か‥‥”証人”‥‥
それが必要だ。だけど‥‥)
裁: それでは、弁護人にうかがいます。
ただ今の検察側の主張を
くつがえすだけの”反証”‥‥
そのジュンビはありますかな?
王: (‥‥これが、
いきなりの正念場だ!
コタエをまちがえれば‥‥
オシマイだ!)
は。反証のジュンビは‥‥

(「証人を提示」を選択)
王: 牙琉検事‥‥
まちがいありませんか?
『この事件に、
目撃者はいなかった』‥‥
牙: マチガイないね。‥‥誓ってもいい。
この検事生命と‥‥
100万枚を売り上げたヒット曲、
<<恋のアトロキニーネ>>にかけて。
み: ‥‥さりげなく
ジマンされちゃいましたね。
王: ザンネンながら‥‥
この事件には、目撃者がいたのです。
裁: ほ。ほおお‥‥しかし。
検察側もつかんでいない情報を、
なぜ、あなたが‥‥?
王: その情報は‥‥そう。
”オレだけしか”知らないのです!

王: 『(‥‥なんてこった! さっき、
話をしたばかりなのに‥‥)』
レ: 『‥‥‥‥‥‥う‥‥‥‥‥‥』
王: 『‥‥!
(い‥‥生きている‥‥!)
れ、レタスさん!
だいじょうぶですかッ!』
レ: 『き‥‥きけ‥‥』
王:『?』
レ: 『もく‥‥げきしゃに‥‥きけ‥‥』
王: 『もくげきしゃ‥‥目撃者が
いたんですね! 誰ですか!』
レ: 『もく‥‥げきしゃ‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥め。めが‥‥み‥‥』

裁: な‥‥なんと!
被害者は、亡くなる前に
そんな重要なコトを‥‥!
牙: 言い残したか、どうか‥‥?
真実はわからないけど。
王: どういう意味ですか?
牙: このおデコくんが”言った”と
主張しているだけ‥‥
<<証言>>とは呼べない、ってコトさ。
被告人の弁護士でもあるしね。

(王泥喜「異議あり!」)
王: オレは、ホントに聞いたんだ!
きのうだって、ちゃんと
アンタたちに話した!
それなのに‥‥
取り合わなかったんじゃないか!
牙: ‥‥ぼくは、自分が必要と
思う調査は、ゼンブやる主義だよ。
ナニも知らない新米のキミに、
とやかく言われるスジアイはないな。
裁: ‥‥そこまで!
弁護人。あなたは今、ハッキリした
”反証”を求められています。
あなたの言う”検察側も
ハアクしていない目撃者”‥‥
‥‥気安く主張できることではない。
わかっているでしょうな?
牙: いつもより‥‥ちょっと厳しめの
ペナルティをカクゴしてもらうよ。
王: (ぐっ‥‥! でも‥‥ここで、
引き下がるわけにはいかない!)
裁: 目撃者の名前‥‥
それをうかがいましょうか!

(「ラミロア」を選択)
裁: ラミロアさん‥‥ですか‥‥
王: レタス氏が言い残したコトバを
思い出してください。

レ: 『もく‥‥げきしゃ‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥め。めが‥‥み‥‥』

裁: ”めがみ”‥‥”女神”、と。
ああ! そういうことですか!
王: <<バラードの女神>>‥‥
彼女は、そう呼ばれています。
そして、ラミロアさんは、
コンサート第2部の出演者‥‥
つまり”関係者”です。
彼女が目撃者である可能性は、
じゅうぶんにある!
裁: なるほど‥‥
いかがですか? 牙琉検事。
牙: ぼくの主張は変わらないさ。
『この事件に、
目撃者はいなかった』‥‥
裁: よろしい!
それでは、本人のクチから
聞かせていただくとしましょう。
証人・宝月 茜刑事の尋問は一時、
中断します。
‥‥ラミロアさんを
入廷させてください!
王: (事件当夜、ラミロアさんは‥‥
何も話してくれなかった。
それがどんな話であれ‥‥
引きずりだしてみせるさ!)
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥


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