王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
マキ・トバーユ…黄土 | |
ラミロア…藤 | |
ローメイン・レタス…青 | |
眉月 大庵…紫 | |
或真敷 バラン…薄橙 |
王: | (ホントに‥‥出た‥‥!) |
み: |
やっぱり、スゴいんですねー。 カガクって。 |
茜: |
これは‥‥ <<IPXX314206>>‥‥ ‥‥ハンニンの名前、なの? |
裁: |
ふむう‥‥もしかすると、 ハンニンはロボットかもしれな |
牙: | ああ! そうか‥‥ |
王: | なんですか? |
牙: |
どこかで見た組み合わせだと 思ったが‥‥<<IPXX>>‥‥ これは、 国際警察のIDナンバーだよ。 |
茜: | こ。こくさいけいさつ‥‥? |
牙: |
ああ。国際犯罪の潜入捜査が おもな任務だが‥‥ そのナンバーが、どうして‥‥? |
王: |
そんなIDナンバーを、どうして レタスさんが知っているんですか! |
牙: |
オーケイ、刑事クン。 よくやってくれた! |
茜: | え。 |
牙: |
裁判長! ナンバーの照合は、 すぐにできるだろう。 ‥‥ダイアン! いたら、 証言台のところへ来てくれ! |
牙: |
ダイアン‥‥聞いてのとおりだ。 このナンバーを 国際警察本部に照会して欲しい。 |
大: |
ああ。わかった。 30分もあればじゅうぶんだろう。 |
裁: |
ふむう‥‥ いったい、これは、 どう考えるべきなのでしょうか‥‥ 検察側の立証は、 ほぼカンペキといっていいでしょう。 しかし‥‥このIDナンバーが、 国際警察の捜査官となると‥‥ |
茜: |
もしかして、 マキ・トバーユさんは‥‥ じつは、国際警察の ヒミツエージェントだったとか‥‥ |
牙: | まあ。その可能性はあるだろうね。 |
裁: |
もし、そうならば‥‥ まちがいなく、彼はハンニン、 ということになるでしょう。 |
王: |
(なぜレタスさんが、そんなIDを 知っていたのか‥‥? オレとしては、そっちのほうが 気になるけどな‥‥) |
牙: |
‥‥さて。それじゃあ。 報告を待つあいだ‥‥ もうひとつ、ナゾを解いておこうか。 マキ・トバーユをめぐる、 不可解なナゾをね。 |
王: | ‥‥どういうことですか? |
牙: |
刑事クン。 さっきは悪いことをしたね。 ”被告人は、目が見える”‥‥ 報告があったのが、開廷の直前でね。 知らせるのが、 メンドくさくなってさ。 |
茜: |
‥‥今の後半部分は、 とうていユルせませんけど。 |
牙: |
ここで‥‥ギモンに思わないかい? きわめて、自然なギモンさ‥‥ |
茜: |
それは、モチロン‥‥ ”なぜ、マキさんは 見えないフリをしたか”‥‥? |
牙: |
そのとおりだよ。 ‥‥まったく、そのイミがない。 さあ。どうかな? おデコくん。 |
王: | え! お。オレですか? |
牙: |
マキ・トバーユが、目の見えない ”フリ”をしていた‥‥ そのイミ。 キミ、わかるかな? |
茜: |
え! そ。そんなの‥‥ わかるワケがないじゃないですか! |
み: |
まさか‥‥がりゅう検事、 コタエを知ってるのかな? |
王: |
(アイツは‥‥そこまで見抜いて、 この裁判にのぞんでたのか‥‥) |
牙: |
おや。どうしたんだい? ぼくを、片手間で遊んでいる 検事だとでも、思っていたのかな? ぼくはね。 報告を聞いた次の瞬間には‥‥ もう、コタエがわかっていたよ。 |
裁: |
ふむう‥‥ さすが、100万枚もレコードを 売るヒトは、ちがいますなあ。 |
王: | (それはカンケーない) |
牙: |
”見えないフリをする”理由‥‥ マキ・トバーユ自身にはなかった。 それならば。 コタエはひとつ、だろう‥‥? |
王: | コタエは、ひとつ‥‥‥‥! |
裁: |
いかがですか? 弁護人。 被告人が、目の見えないフリをした 理由‥‥提示できますかな? |
王: |
(マキさんが、目が見えないフリを する理由はない‥‥ と、なると‥‥まさか。 ‥‥そんな、バカなコトが‥‥) |
牙: |
‥‥さすが、おデコくん。 何か、思いついたようだね。 |
王: |
(くそ‥‥牙琉検事の ヒトコトがなければ‥‥ 思いつかなかったかもしれない。 ‥‥クヤシイな‥‥) ‥‥わかりました。 これを見てください。彼は‥‥ このために、”見えないフリ”を していたのです! |
裁: | これは‥‥ラミロアさん、ですか。 |
王: |
ラミロアさんと、 マキ・トバーユ‥‥ このふたりの関係を 思い出してください。 ふたりがこの国を訪れる”前”の イメージです。 |
茜: |
ラミロアさんと、 あのピアニストの子‥‥ いつも、ラミロアさんが彼の手を 引いて歩いていたわ。 ステージに上がったときも、 ラミロアさんは‥‥ まずあの子を、 ピアノの前までつれていって‥‥ |
王: |
そう‥‥マキさんは ”目が見えない”。だから‥‥ ラミロアさんが彼を導いていた。 いつ、いかなるときも‥‥ |
裁: | ”いつ、いかなるときも”‥‥ |
王: |
しかし。オレたちは今、 知ってしまった。 ‥‥マキさんの目は、 ”見えていた”。 ならば‥‥なぜ。そんなコトをする 必要があったのか‥‥? |
裁: |
ふむう‥‥だから、それは‥‥ ある種の”演出”だった、とか‥‥ |
王: |
もっと、スナオに考えれば いいんですよ。 マキさんは、手を引かれて ”導かれる”必要はなかった。 そうなれば‥‥ケツロンは、 ひとつです。 |
茜: | あ。あああああ‥‥まさか! |
王: |
そう‥‥ すべては”逆”だったのです。 手を引いて”導いてもらう”必要が あったのは‥‥ ラミロアさんのほうだった! |
裁: |
な‥‥なんですって‥‥ じゃ、じゃあ‥‥じゃあ、 ラミロアさんは‥‥ |
王: |
”目が見えない” ‥‥そうなります。 |
茜: |
えええええええええええええ えええええええッ! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛にィィッ! そんな‥‥そんなバカなコトがッ! 牙琉検事! |
牙: | なんだろう。 |
裁: |
あなたは‥‥あなたは、 どう考えますか! 今の、弁護人のトンでもない‥‥ |
牙: |
ああ‥‥ そのトンでもないおデコは、 まんざら無意味に広いワケじゃあ なかったんだ‥‥そう思ったさ。 ‥‥正解だよ。 |
裁: | な。し、しかし! |
茜: |
そうよ! だって彼女は! <<音の絵の具の風景画家>>‥‥ |
牙: | ‥‥せっかくだからさ。 |
茜: | ! |
牙: |
本人に聞いてみる、ってのは どうだろう。 まだ、証人控え室に いるはずだろうからね。 |
み: |
お‥‥オドロキさん‥‥ これって、いったい‥‥ |
王: |
オレに聞くなよ。ラミロアさんが、 目が不自由だったなんて‥‥ 今の今まで、 考えたこともなかった! |
裁: |
係官! ラミロアさんをお連れしなさい! |
牙: |
‥‥ラミロアさん。 こういうカタチであなたを 呼び出すのは‥‥ ぼくとしても、ツラいのです。 |
ラ: | お気になさらないことです。 |
王: |
(あの目が‥‥見えない? ホントなのか‥‥) |
ラ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ 本当、でございます。 |
王: | ‥‥! |
ラ: |
まさか‥‥ボルジニアの片すみで 生まれた小さなウソが‥‥ 全世界をあざむくことになるなんて。 人生とは、おもしろいものですわね。 |
裁: | それでは、あなたは‥‥やはり! |
ラ: |
はい。 先ほども申し上げましたとおり‥‥ わたくしには、”ラミロア”を 名乗る以前の記憶がございません。 ‥‥気がついたときには、 わたくしの記憶において、 ”光”というコトバは、 すでにイミを失っておりました。 |
裁: | そう、だったのですか‥‥ |
牙: |
だから‥‥ぼくは最初に、ハッキリ 言ったはずだよ。おデコくん。 |
王: | ‥‥? なんですか? |
牙: |
この事件には、 ”直接的な”目撃者はいない‥‥と。 |
王: | あ‥‥ |
牙: |
それでは、ラミロアさん。 まことに申しわけないのですが‥‥ あなたの目について、 証言をおねがいできるでしょうか? |
ラ: |
かまいませんわ。 こうなってしまったことは、 わたくしの本意ではございません。 よろしいですか? 裁判長さん? |
裁: |
は、はあ‥‥モチロン、 かまいませんが‥‥ 正直なトコロ、 少しコンランしておりまして。 |
王: |
たぶんそれ、 みんな同じだと思います。 |
ラ: |
『わたくしには”光”というものの 記憶がございません。』(証言1) 『そして、残された”音”の世界で デビューすることになった際‥‥』(証言2) 『それを知らないプロデューサーが、 宣伝文句を考えたのです。』(証言3) 『そのせいで、バカげたことに‥‥ 見えるフリをするハメになりました。』(証言4) 『スタッフは全員、知っていますが、 ‥‥それ以外には、ゴクヒでした。』(証言5) |
裁: |
しかし‥‥ コトは殺人事件ですぞ! |
ラ: |
もうしわけございません。 ボルジニアでの契約条件のひとつに、 『目のことは、ヒミツにすること』 ‥‥というものがあったのです。 わたくしには音楽だけがすべて‥‥ そこで、あのような‥‥ |
牙: |
ラミロアさんは、いちばん最初に、 真実を証言していたのさ。 ”何も見ていない”‥‥ってね。 |
裁: |
‥‥わかりました。 弁護人。いかがですか? |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ 尋問は、させていただきます。 |
み: |
でも! もう、聞くことなんか、 ないじゃないですか! |
王: |
今の証言‥‥ひとつだけ。 どうしても気になる点があるんだよ。 |
牙: |
いいんじゃないかな。 気のすむまでやってみるといいよ。 ‥‥そのうち、キミにも わかるようになるさ。 ”自分で考えることの大切さ”がね。 |
裁: |
それでは、弁護人。 尋問を許可します。 ただし‥‥ 不要に彼女を苦しめるような質問は 認めませんから、そのつもりで。 |
王: |
‥‥はい。 (気になる証言は、ひとつ‥‥ それについて、 聞きたいだけさ‥‥) |
王: |
あなたのスタッフ‥‥そこには、 レタス氏も含まれるのですか? |
ラ: |
もちろんです。 マネージャーですから。 |
王: |
(やっぱり‥‥でも。そうなると、 どうしてもナットクできない!) |
裁: | どうしたのですかな? 弁護人。 |
牙: |
わかるような気がするよ。 キミが、何を気にしているか‥‥ 死体を発見したときのコト、 だろう? |
王: | ‥‥! |
み: |
そ。そうなんですか? オドロキさん! |
王: | ‥‥そのとおりです。 |
レ: | 『‥‥‥‥‥‥う‥‥‥‥‥‥』 |
王: |
『‥‥! (い‥‥生きている‥‥!) れ、レタスさん! だいじょうぶですかッ!』 |
レ: | 『き‥‥きけ‥‥』 |
王: | 『?』 |
レ: | 『もく‥‥げきしゃに‥‥きけ‥‥』 |
王: |
『もくげきしゃ‥‥目撃者が いたんですね! 誰ですか!』 |
レ: |
『もく‥‥げきしゃ‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥め。めが‥‥み‥‥』 |
王: |
レタスさんは、『目撃者に聞け』と いい残してあなたを指名しました。 |
ラ: | ‥‥‥! |
王: |
なぜですか! レタスさんは、あなたの目が 不自由なのを知っていたのに! |
ラ: | そ。それは‥‥わたくしには‥‥ |
牙: | やれやれ。 |
王: | ‥‥! |
牙: |
さっきも言っただろう? ”自分で考える”クセを つけることだよ。 |
王: | なんだって‥‥? |
牙: |
ここまで来れば‥‥レタス氏が 言いたかったことは明白じゃないか。 最後のコトバ‥‥もう一度。 よく考えてみたまえ。 |
裁: |
<<もくげきしゃ‥‥めがみ>> でしたかな。 何度も聞かされましたぞ。 弁護人の、迫真のモノマネつきで。 |
牙: |
最後のコトバは、死神にノドを つかまれて、闇に消えてしまった。 ‥‥あのコトバには、 ”つづき”があったんだよ。 |
王: |
”つづき”‥‥ (”めがみ”につづくコトバ‥‥) あッ! |
牙: |
‥‥そう。レタス氏は、 こう言おうとしていたんだよ。 <<事件のことは、目撃者に聞け。 ただし‥‥その証人は‥‥ ”目が見えないぞ”>> ‥‥ってね。 |
裁: |
めがみ‥‥えない‥‥ ”目が見えない”ですか‥‥ッ! |
牙: |
”目が見えない”のは、 ラミロアさんだけではなかったねえ。 どうだい? おデコくん。 少しは落ち着いて、モノゴトを よく”見て”みたらどうかな。 |
王: | ‥‥ぐうッ! |
裁: | 静粛に! 静粛に! |
牙: |
思い出してほしい‥‥ ラミロアさんの証言を。 |
ラ: |
『あれは、ステージから楽屋エリアの 出口へ向かう途中でした。 2発の銃声‥‥わたくしには、 止めることはできませんでした。』 |
裁: |
しかし! 銃声は、 聞こえるはずがなかった‥‥ そういうケツロンに なったはずでは‥‥ |
牙: | 重要なのは‥‥そこではないんだよ。 |
裁: | ? |
牙: |
事件の瞬間‥‥被害者・レタス氏は ”目撃”したのさ。 小窓から、こちらを見ている ラミロアさんをね。 |
王: | あ‥‥ |
ラ: |
で。ですが‥‥わたくしは、 本当に聞いたのです! 2発の銃声と‥‥ハンニンの、 オトコの声を! |
牙: |
ザンネンだが‥‥それはあり得ない。 あの小窓はしまっていた。 音がもれないコトは、 もう実験してあるのですよ。 |
ラ: |
わたくし。もう一度、 その声を聞けば‥‥ゼッタイに‥‥ |
裁: | ふむう‥‥ |
係: | ‥‥裁判長どのッ! |
裁: |
なんですか、係官! ただ今、審理中ですぞ! |
係: | 先ほどの、結果が出たそうです! |
裁: | けっか‥‥? |
牙: |
レタス氏が書き残したナンバーだね。 国際警察の‥‥ |
裁: |
‥‥! それは、 聞いてみなければなりませんな! ‥‥尋問は、 ここでいったん中止しましょう。 眉月刑事! 報告をお願いします! |
大: |
国際警察に、 さっきのナンバーを照会したよ。 おもしろいコトがわかった。 |
牙: |
‥‥さすが、ダイアン。 |
裁: |
それで! あのナンバーは! やはり、被告人が‥‥ ヒミツソーサカン だったのですかッ! |
大: |
<<IPXX314206>>‥‥ このナンバーで登録されていた 捜査官の名前は‥‥ ローメイン・レタスだ。 |
牙: | なんだと‥‥ |
大: |
つまり。国際警察の捜査官は、 ローメイン・レタス自身だったんだ。 何かの潜入捜査の 途中だったらしいな。 |
王: |
じ、じゃあ‥‥ あの文字を書き残したのは‥‥ |
大: |
おそらく、自分の身分を 知らせたかったのだろうね。 ‥‥用心深いハンニンに、 消されてしまったようだが。 |
み: |
レタスさんが‥‥ 国際警察の、潜入捜査官だった‥‥ じゃあ! ラミロアさんの マネージャー、っていうのは‥‥ |
王: | 彼の”仮の姿”だったことになるね。 |
大: |
もうひとつ。 重要なジジツがある。 |
牙: | なんだい? |
大: |
あの、凶器のピストル‥‥ 45口径だが。 あれも、ローメイン・レタス 自身のものだ。 本部に特別許可をもらって 携帯していたようだ。 ‥‥ピストルの登録ナンバーが 一致した。 |
牙: |
凶器が、被害者自身のもの‥‥ まあ、ナットクの行く話だね。 この国で、あんなハデなピストルを カンタンに振り回せるはずがない。 |
王: |
(被害者のレタス氏は、 国際警察の潜入捜査官‥‥ こいつは、何か事件に 関係あるのかな‥‥) |
み: |
フツーに考えたら、”関係ない” ってコトはないんじゃないですか? |
王: | だよなあ、やっぱり‥‥ |
裁: |
‥‥ごくろうさまでした、眉月刑事。 たいへん、参考になりました。 |
大: |
いやいや。 かまいませんよ、裁判長さん。 ‥‥それじゃ、オレはこれで‥‥ |
ラ: | 待ってください‥‥! |
裁: |
ど。どうかしましたか? ラミロアさん‥‥ |
ラ: | 今の、その声‥‥ |
牙: | ダイアンが、なにか‥‥? |
ラ: |
ミスター・ダイアン‥‥ というのですか。 ‥‥‥‥‥‥彼、です。 まちがいありません。 |
裁: | ”彼”‥‥なにが、ですかな‥‥? |
牙: | ‥‥ッ! ま。まさか‥‥ |
ラ: |
2発の銃声を聞いたとき‥‥ レタスさんと話していた声‥‥ そう。今の方です! ミスター・ダイアン! |
牙: | な。な‥‥なんだとッ! |
王: | ええええええええッ! |
大: | ‥‥ウソ‥‥だろ‥‥ |
王: |
(‥‥法廷内のさわぎは収まらず、 審理は、中断された。 ムリもない‥‥けどな。 ラミロアさんが”聞いた”という、 犯人の声が‥‥ ギタリストにして刑事の、 眉月 大庵! 事件は、マッタク次元のちがう 展開を見せ始めていた。 ‥‥正直なトコロ。オレには、 ついていく自信がなかった‥‥) |
み: | コラ! 弱音を吐かないっ! |