王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
マキ・トバーユ…黄土 | |
ラミロア…藤 | |
ローメイン・レタス…青 | |
眉月 大庵…紫 | |
或真敷 バラン…薄橙 |
地方裁判所 被告人第2控え室 | |
み: |
オドロキさん! アレ、ホントなんですか? 事件は、ホントは第2部‥‥ ラミロアさんたちのステージの ときに起こった、って! |
王: |
ラミロアさんがなぜ、 天井の通気口にいたのか? そして、あの”スイッチ”と 燃え上がったギター‥‥ すべてをつなげると、そういう ケツロンになるんじゃないかな。 |
?: |
‥‥さすが、ぼくが見こんだだけの ことはあるね。 |
み: | あ‥‥パパ! |
王: |
成歩堂さん! オレのコト‥‥ 見こんでくれていたんですか! |
成: | いや、どうなんだろ。 |
王: | え。 |
成: |
ここは、そう言いながら出てくると いい感じかなと思ってさ。 |
王: | ‥‥聞くんじゃなかった。 |
み: |
もう! どこ行ってたの? パパ。 最近、ゼンゼン事務所に 来てくれないじゃない! |
成: |
ああ。ゴメンな、みぬき。 パパは今、ゴクヒ任務中でね。 |
み: |
ゴクヒ‥‥? 潜入捜査、みたいなヤツ? |
王: | レタスさんみたいですね。 |
み: |
うう‥‥パパ、やだよ。 コロされちゃったりしたら。 |
成: |
はっはっはっ。 かなわないなあ、みぬきには。 とにかく。 これからもう一度、出かけるから。 |
王: |
え。 行っちゃうんですか! |
成: |
ああ、そうだな。 ‥‥ひとつだけ、忠告しておくよ。 |
王: | なんですか? |
成: |
‥‥‥‥‥‥ がんばれ。 |
王: | はあ。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あの。 おしまいですか? それで。 |
成: |
‥‥おそらく。 マキ・トバーユの無罪判決‥‥ それを勝ちとるのは、 そうムズカシイことじゃない。 |
王: | え‥‥ |
成: |
だけど。キミは‥‥あの刑事を 狙っているんだろう? |
王: | 眉月 大庵‥‥ |
成: |
彼の犯行を立証するのは‥‥ かなりムズカシイだろうね。 今の法廷のシステムでは、特にね。 |
王: |
”ほうていのしすてむ”‥‥? どういうことですか! |
成: |
法廷で、牙琉検事も 言ってただろう? キミのスイリは、ただひとつの 仮定の上で成り立っている。 あの歌姫さんの証言が、 <<正しい>>という仮定の上で、ね。 |
み: |
え。でも! 証拠もイロイロあったじゃない! ブローチとか。スイッチとか。 |
成: |
ブローチにしろ、 歌詞のマチガイにしろ‥‥ 他の説明をつけることが可能だよ。 ギターが燃えたのだってそうだ。 事件とカンケイがあるという 決定的な証拠は、ないんだからね。 |
み: | そんなあ‥‥ |
成: |
もし、歌姫さんが”ウソ”を ついていたとしたら‥‥ キミの主張は、フライパンの上の バターのように溶けて消えて、 あとに残るのは香ばしいニオイだけ。 ‥‥そういうコトだよ。 |
王: | じゃあ‥‥どうすれば! |
成: |
だから。忠告しただろ。 ‥‥がんばれ、って。 フツーの手段で、彼の犯行を 立証するのはムリだからね。 |
王: | うううう‥‥ |
成: |
ああ‥‥そういえば。 キミにわたすモノがあったな。 あの刑事さんからたのまれたんだ。 |
王: | え‥‥アカネさんから、ですか! |
成: |
ええと。このカリントウ‥‥は、 ぼくがオヤツにもらったんだった。 そうそう。こっちだよ。 |
み: |
なに、これ。パパ。 みぬきたちのオヤツには なりそうもないけど。 |
成: |
現場で発見されたらしいね。 燃えカスを分析したところ‥‥ 火薬の痕跡があったそうだ。 |
み: | かやく‥‥ |
成: |
いわゆる、バクチク、かな。 パァンと大きな音がする、アレだね。 ‥‥現場の、ソファの下の スミっこで見つけたそうだよ。 |
王: | ソファの下‥‥ |
み: |
あ! アレですよ、オドロキさん! あの、ちっちゃなキカイを 見つけたところ! |
王: |
ああ‥‥コイツ、か。 (さすがに‥‥ アカラサマなハナシだな) |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
じゃ、そんなところだな。 判決のあとに、また会おうか。 ‥‥会えたら。 |
王: | はあ‥‥ |
成: | 発火装置‥‥ |
王: | え。 |
成: |
眉月 大庵にとっての ”発火装置”を探すことだよ。 |
王: |
(或真敷 バランばりに、 フツーにドアから出ていったな) |
み: |
うううう‥‥ どうしろっていうのかな。パパ。 ”フツーの手段じゃダメ”なんて。 |
王: |
とにかく‥‥成歩堂さんの忠告を 聞いておくしかないな。 |
み: | ううん。そうですね‥‥ |
王: |
(がんばってみるさ‥‥ 最後まで、な) |
地方裁判所 第3法廷 | |
裁: |
‥‥それでは、審理を再開します。 牙琉検事。眉月 大庵刑事は。 |
牙: |
証人控え室にいる。 いつでも呼ぶことができるよ。 |
裁: | わかりました。 |
牙: |
ぼくとしては‥‥ 今も、信じていない。 アイツは‥‥ダイアンは、 最初に組んだ刑事だ。 あいつが捜査三課に配属されてから、 組むことはなくなったが‥‥ あいつのギターは、ぼくの想像力を いつもシゲキしてくれる。 |
王: |
でも‥‥オレたちのシゴトに、 そんなことは関係ない。 ‥‥そうですね。 |
牙: |
わかってるよ。 ‥‥おデコくん。 |
裁: |
それでは! 最後の証人を入廷させてください! ‥‥眉月 大庵刑事! |
牙: | ‥‥名前と職業をたのむよ。 |
大: |
眉月 大庵。捜査三課の刑事だ。 ”三課”じゃあ、分かりにくいか。 いわゆる”国際課”だな。 それとも‥‥ガリューウエーブの ギタリスト、のほうがイイかい? |
裁: |
あなたが、なぜ、ここにいるか‥‥ 状況はわかっていますね? |
大: |
もちろん、 わかっていますよ、裁判長さん。 ‥‥なあ、どういうことだい、相棒。 |
牙: | ‥‥‥‥‥‥ |
大: |
オレが証言台に立つことはない‥‥ そう保証してくれてたじゃねえかよ。 |
牙: |
状況が変わったんだ、ダイアン。 今は‥‥ ぼくのことを、 ”相棒”と呼ばないでくれ。 |
大: |
ふうん‥‥そうかい。 さびしいコト、言ってくれるぜ。 |
牙: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
(眉月刑事‥‥牙琉検事に ”ゆさぶり”をかけているな) ‥‥裁判長。 審理を始めてください。 |
裁: |
わかりました。それでは、 証言していただきましょう。 まずは‥‥そう。先ほどの証人、 ラミロアさんの証言に対して‥‥ あなたの言いぶんを 聞かせてもらえますかな。 |
大: |
ああ。 言いたいコトはヤマほどあるぜ。 歌姫さんの証言は、 デタラメもいいトコだ。 アンタのデッチ上げもなァ‥‥ 弁護士クンよ。 |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ (”フツーの手段では 追いつめられない”か‥‥ 最後の闘いが始まるんだ‥‥!) |
大: |
『歌姫さんの言ってるコトは、ウソだ。 何も裏づけがねえだろ?』(証言1) 『そもそも彼女は、オレの声を 聞いたことはなかったんだぜ。』(証言2) 『銃声でおどろいて、歌詞を忘れた? そんなの、信じられるか!』(証言3) 『宝月刑事が銃声を聞いたのは、 第3部だったハズだろう?』(証言4) 『事件はオレがステージにいるときに 起こったんだ!』(証言5) |
裁: |
ふむう‥‥ラミロアさんの証言を ”ウソ”とキメつけましたか‥‥ |
大: |
あのオトコの子を守るため、 ってのはリカイできるけどな。 目が見えないおかげで、アイマイな 証言でもみんな信じてくれちまうし。 |
牙: | ‥‥それは言いすぎだ、ダイアン。 |
大: |
とにかく。 オレは信頼のおける証人‥‥ 刑事の証言をちゃんと聞いてくれ、 と言いたいね。 |
裁: |
宝月刑事‥‥ですか。 わかりました。 それでは、弁護人。 尋問をおねがいしましょうか。 |
王: |
(思ったとおり‥‥ こっちの弱点をついてきたな。 たしかに今は、ラミロアさんの 証言にたよっている状態だ。 ”事件がいつ起こったか”‥‥? 別の方法で、立証してやる!) |
王: |
きのうの法廷が終わってから、 現場であるものが発見されました。 |
裁: | あるもの‥‥? |
王: | 1つは、この小さなキカイ‥‥ |
牙: |
‥‥そいつは‥‥リモコン式の、 発火装置‥‥ |
王: |
そうです。そして‥‥ もうひとつ。 |
裁: |
なんですかな? 何かが燃えたアトのようですが‥‥ |
牙: |
火薬の反応が見つかっている。 バクチクのようなものではないか、 と報告が来ているね。 |
王: |
え‥‥ (牙琉検事‥‥知ってたのか) |
牙: |
なんだい? 宝月刑事は キミの部下じゃないんだよ。 今朝‥‥開廷の前に、 ぼくのところにも報告が届いた。 じつは‥‥そのときなんだよ。 |
裁: | 何がですかな? |
牙: |
‥‥念のために、ダイアン‥‥ キミを証人として、今日の法廷に 登録しておこう、と思ったのは。 |
大: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
つまり‥‥こういうことです。 コンサートの第3部に楽屋でなった ”銃声のような音”は‥‥ リモートコントロールで破裂した、 バクチクだった可能性がある! |
大: |
はっはァ! いろんなコトを考えるねェ、 アンタも。 でも‥‥いいかい? いくらなんでも、 それはツゴウがよすぎないか? |
王: | なにが、ですか? |
大: |
その”バクチク”とやらが 破裂した瞬間‥‥ ちょうど、おあつらえ向きに 証人がいた、なんてさ。 |
王: | ‥‥! |
み: |
そうですよ! ダイアンさん、そのときは ステージにいたんですよ! 楽屋の前にダレかいるかなんて‥‥ わからないじゃないですか! |
大: |
ダレもいないときにバクチクを 鳴らしても、イミがない‥‥ わざわざそんなシカケを用意する なんて、ムジュンしてると思うぜ! |
王: |
ぐ‥‥ッ! (たしかに‥‥そうか) |
牙: |
‥‥ダイアンはこう見えて、 優秀な刑事だよ。 スキを見せたら、こうなる。 |
大: |
”こう見えて”はよけいだけどな。 相棒。 |
牙: |
‥‥ああ。そういえば。 あの日は、ぼくもあのろうかを 何度かとおったのだが‥‥ 第3部の始まる前に、 妙なモノを見たな。 |
王: | 妙なもの‥‥? |
牙: |
ぼくたちメンバーとスタッフが つけていた、ヘッドセットだよ。 |
王: |
‥‥! (たしかに‥‥ 現場の楽屋の前で、 コイツを拾ったっけ‥‥) |
牙: |
そのヘッドセットの電源が、 もしONになっていたら‥‥? |
王: |
ステージの上にいても、 ろうかの状況を‥‥ ヘッドセットを通じて、 聞くことができる‥‥! |
大: |
ふーん‥‥ アンタはオレの味方だと 思っていたんだけどねえ‥‥ |
牙: |
言っておくよ、ダイアン。 この法廷には、敵も味方もない。 |
大: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
牙: |
敵も味方もないからこそ、 おデコくん。 キミに、聞いておかないとね。 |
王: | え! オレですか? |
牙: |
現場から見つかった、 この発火装置と、火薬のアト‥‥ たしかに、銃声が”偽装”だった 可能性はあるね。 ろうかのヘッドセットと合わせれば、 アリバイを作ることはできただろう。 しかし‥‥何度も言うけど、 ケッキョク。 ”偽装”だったという証拠は、ない。 |
王: | う‥‥ |
牙: |
キミは、第3部の銃声が ”偽装”である可能性を示した。 ならば‥‥もうひとつ。 立証しなければならないことがある。 |
王: | それは‥‥? |
大: | カンタンなコトさ。 |
王: | ‥‥! |
大: |
いまいましい事件が、第2部‥‥ あのピアノ弾きがステージに いたときに起こった‥‥ そいつを立証することだ。 そうだろ? ガリュウ。 |
牙: |
そのとおりだ。 それが立証できないかぎり‥‥ この尋問をつづけるイミはない。 |
裁: |
ふむう‥‥ いかがですかな? 弁護人。 犯行が第2部に起こった‥‥ 立証できるのですかな? |
王: | えー‥‥それはモチロン‥‥ |
み: |
できなきゃ、終わっちゃう みたいですよ。尋問。 |
王: | できるに‥‥ちがいありません! |
牙: | ‥‥他人ゴトみたいな言い方だね。 |
裁: |
それでは、 尋問をつづけましょうか。 証人。証言に戻ってください。 |
王: |
(さすがに、ムズカシイな‥‥ もっと、 決定的な証拠を探さないと‥‥) |
大: |
フン‥‥いいかい? アンタに、 ハッキリ挑戦しようじゃねえか。 『事件が、第2部に起こった‥‥? 証拠があるなら見せてみろよ。』(証言6) |
王: |
‥‥どうやら‥‥証拠はハッキリ、 残っていたみたいですね。 ラミロアさんの”歌”に。 |
大: | ”歌”‥‥だと? |
裁: |
あの‥‥このキカイは、 いったいなんなのですか? 蓄音機の一種、みたいですが。 |
王: |
(おいおい。 さっきも使っただろ‥‥) このキカイには‥‥あの日の演奏が、 パートごとに録音されているのです。 |
裁: | ぱーと‥‥ |
牙: |
このレバーを操作することで、 ギターやピアノなど‥‥ 楽器ごとの音量を調整できる。 モチロン、ラミロアさんの歌も。 |
裁: |
ほほお。‥‥しかし。 それが、どのような証拠に? |
王: |
ラミロアさんの証言によると‥‥ 銃声が起こった瞬間、 歌が途切れたということでした。 |
牙: |
そうか‥‥ そのときの録音を調べれば‥‥ 銃声が、 録音されているかもしれない! |
王: | ‥‥そのとおりです。 |
大: |
ば。バカを言うなよ。 楽屋で起こった銃声が、どうして ステージに聞こえるんだよ! |
牙: |
忘れたのか? ダイアン。 ぼくたちは全員、 コイツをつけていただろう。 |
大: | あ‥‥ |
牙: |
ぼくたちは演奏に夢中だったが、 このヘッドセットには‥‥ ラミロアさんのマイクに入った音が、 そのまま届いていたハズだ。 |
裁: |
とにかく! その録音を分析してみるのです。 ‥‥今、すぐにッ! |
王: |
(ラミロアさんは、銃声を聞いて、 歌が途切れた。 そのとき‥‥銃声がしたはずだ。 探してみよう‥‥!) |
王: |
裁判長! このパート! よく聞いてみてください! ラミロアさんの、 ボーカルのパートです! |
こころのカギは 今、 盗まれた ...Pleasure... | |
裁: |
‥‥こ。これは‥‥たしかに。 小さく聞こえます! 銃声のような音が‥‥ッ! |
大: | な。なんだと! バカな‥‥ッ! |
牙: |
どうやら‥‥ 立証されてしまったようだよ。 第2部に、銃声が起こったこと‥‥ つまり。 ラミロアさんの証言は、 ホンモノだった、とね。 |
大: | ‥‥くそがッ! |