第3話『逆転のセレナード』第2回法廷(その7)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
マキ・トバーユ…黄土
ラミロア…藤
ローメイン・レタス…青
眉月 大庵…紫
或真敷 バラン…薄橙
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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(「マキ・トバーユ」を選択)
王: ”協力者”の条件を満たす人物‥‥
それは‥‥
被告人、マキ・トバーユ!
彼しかあり得ません!
裁: そ。それは‥‥
あなたの依頼人ではないですかッ!
大: ハッ! 依頼人を告発する弁護士、
とはね! 初めて聞いたよ!
王: 依頼人が犯罪に協力しているのは、
オレとしてもザンネンです。
でも‥‥オレが弁護しているのは、
”レタスさんの殺害”についてです。
それに対する、主張は変わりません。
彼は、殺人は犯していない!
裁: たしかに‥‥被告人は
ボルジニアの人間です。
協力者としての条件を満たしている、
というのはわかりますが‥‥
ラミロアさんだった、というコトも、
考えられるのでは‥‥?
王: それはあり得ません。
裁: ‥‥ヨウシャなく
切り捨てられました。
王: 理由は‥‥”電波”です。
裁: でんぱ‥‥
王: いいですか。このリモコンの
電波の届く範囲は‥‥
10メートルていど、
ということでしたね。
裁: はあ‥‥たしかに。
王: 思い出してください‥‥
‥‥犯人が通信をしたとき、
ラミロアさんは通気口にいました。
ちょうど、ラミロアさんの楽屋の
真上で犯人の声を聞いていた‥‥
会場の位置関係を
見てみましょう。
通気口からリモコンの電波が
届くのは‥‥このエリアです。
裁: やはり、これを見るかぎり‥‥
ラミロアさんも考えられると
思われますが‥‥
王: いえ。
犯人による通信が行われたとき‥‥
ステージの状況は、
この断面図とは、ちがっていました。
<<恋するギターのセレナード>>の
演奏中‥‥
ステージの一部がせり上がって‥‥
牙琉検事とニセラミロアさんは
空中にいたのです。
この”タワー”の高さは‥‥
約5メートルでした。
つまり!
通気口のラミロアさんからでは、
リモコンの電波は届かなかった!
裁:あ‥‥
大: ‥‥‥‥‥‥‥‥
王: さあ、いかがですか? 眉月刑事。
今度こそ‥‥
大: ‥‥裁判長。
裁: な。なんですかな‥‥?
大: ガリュウのギターが
燃えた瞬間のビデオ‥‥
もう一度、見せてもらえないかな?
裁: は。はあ‥‥まあ。
いいでしょう。
王: (な。なんだ‥‥まだ何か、
反論するつもりなのか‥‥?)


...Pleasure...
いとしの メロディー
この身をつつみ 今、 放たれた

大: ‥‥ハッハッハッ‥‥
ザンネンだったなあ‥‥コゾウ。
王: こ。こぞう‥‥
み: ”腕まくりクン”から始まって、
”ワカゾウ””コゾウ”‥‥
どんどん格が下がっていきますね。
裁: な。なんですか? 今の映像に、
何か不自然なところでも‥‥
牙: ‥‥モンダイは”映像”じゃない。
そうだな? ダイアン。
大: そう‥‥”音”だよ。オレたちは、
”音楽”をやってるんでね。
王: ‥‥どういうことですか?
大: いいか、コゾウ。
キサマのデタラメなスイリでは‥‥
あのピアニストが、命令を受けて
発火装置を作動させた‥‥
そういうことだな?
王: そ。そうですけど‥‥
大: その発火装置を作動させるには、
スイッチを押さなければならない。
マチガイないな?
王: ‥‥はい。
大: よく聞いてみるんだな。
モンダイのシーンの、ピアノの音を。
王: ピアノ‥‥?


...Pleasure...
いとしの メロディー
この身をつつみ 今、 放たれた

裁: これが、どうかしましたかな?
ピアノの音は、ごくフツウに
聞こえているようですが‥‥
大: まだ、わからないのかい?
‥‥それこそがモンダイなのさ。
王:あ‥‥
大: そうなんだよ。楽器を弾きながら、
スイッチを押すことはできない。
歌姫と、ギター、ベース、ピアノ、
そしてドラム‥‥
あのタイミングで手があいてたのは、
歌姫さんだけだ。
み: ラミロアさん‥‥
大: しかし! さっき、
アンタはハッキリ言った。
歌姫さんは”協力者”ではない、
とな。
王: ぐ‥‥ッ!
大: さあ、どうする?
アンタの言う”共犯者”は‥‥
スイッチを押すコトが
できなかったみたいだぜ!
王: う‥‥うおおおおおおおおおッ!

(ざわめきが起こる)
王: (たしかに‥‥ピアノの音が
聞こえている‥‥
これじゃ、スイッチを押すことは
できない‥‥ッ!)
裁: いかがですかな? 弁護人。
たしかに、ギターが燃えるまで、
ピアノの音は聞こえているようです。
王: そ。それは‥‥
大: まあ‥‥ダレにでもあることさ。
”見落とし”はね。
み: お‥‥オドロキさん!
まちがってたんですか?
王: そんなハズはない!
今までのスイリには、
スジがとおっている!
それが‥‥こんなコトで‥‥
牙: ‥‥妙‥‥だな‥‥
王: な。なんですか‥‥?
牙: いや。なんとなく‥‥
”違和感”があったんでね。
今の演奏に‥‥
王: ”いわかん”‥‥
裁: 弁護人。
被告人‥‥マキ・トバーユさんが
スイッチを押せなかったのであれば、
当然。あなたの主張する
”協力者”ではあり得ません。
王: し。しかし!
他のジジツは、すべて!
彼が”協力者”であることを
示しています!
大: ‥‥それじゃ、意味がないんだよ。
王:
大: 現実に、ガリュウのギターは
燃えているんだ。
スイッチを押したのは、
ピアニストくんじゃない。
つまり。アンタのスイリは
崩れ去った、ってワケさ。
裁: それでは。弁護人に、
最終的なケツロンをうかがいます。
被告人、マキ・トバーユは、
密輸の”協力者”であったのか?
‥‥このコタエは、あなたの主張
すべてに影響しますので‥‥
よく考えて、答えるように。
み: マキさんが
”協力者”じゃなかったら‥‥
今までのスイリ、
ゼンブひっくり返っちゃいますよ!
王: わかってるよ!
マチガイはないはずだ。
マキさんは、”密輸”に
協力した‥‥
だから、あのスイッチも
押しているハズだ!
み: それを、立証しないと‥‥
王: クソッ!
どうすればいい‥‥
どうすればいいんだ!
み: ううう‥‥何かひとつでも、
手がかり、ないんですか?
気になること、とか!
王: 気になること‥‥
そういえば‥‥ひとつだけ‥‥
み: な。なんですか!
王: (さっきの、
牙琉検事のコトバ‥‥)

牙: 『‥‥妙‥‥だな‥‥』
王: 『な。なんですか‥‥?』
牙: 『いや。なんとなく‥‥
”違和感”があったんでね。
今の演奏に‥‥』

王: (‥‥たったひとつのヒントだ。
牙琉検事の感じた
”違和感”の正体‥‥か)
裁: いかがですか。弁護人。
すべては‥‥
”マキ・トバーユが
スイッチを押した”‥‥
それを立証できるか否かに
かかっています。
最終的なコタエを
聞かせていただきましょう!
マキ・トバーユがスイッチを
押したことを、立証できますか?

(「立証できる」を選択)
王: ‥‥立証‥‥
と言えるかどうかわかりません。
しかし‥‥その”可能性”を
証明することはできます。
牙: 検察側としては‥‥証拠の提示を
求めなければならないが‥‥
大丈夫なのかい? おデコくん。
大: バカな!
そんな証拠、あるワケがない!
裁: それでは、証拠品を
提示していただきましょう。
被告人がスイッチを押したという、
そのコンキョは!

(「ミキサー」を選択)
王: コンキョは‥‥
”音楽”そのものです。
裁: どういうことですか?
王: いいですか。
ギターが燃え上がる、直前‥‥
スイッチが押されたときの
ピアノだけを聞いてみましょう。


...Pleasure...
いとしの メロディー
この身をつつみ

裁: ふむう‥‥やはり、しっかり
ピアノの音が聞こえるようですな。
王: しかし‥‥
”シンプル”だと思いませんか?
裁: シンプル‥‥?
牙: ‥‥もしかして。
これなら‥‥
片手で弾けるかもしれない‥‥
そういうコトかな?
裁: 片手で‥‥
王: スイッチを押すのは、
片手でじゅうぶんです!
ピアノを片手で弾いて、
もう片方の手で‥‥
大: ハッ!
アンタ、ピアノを弾けるのかい?
王: い。いえ‥‥
大: そんなアンタに、
何がわかるんだい?
あんなフレーズ、
片手で弾けるワケ、ないだろ?
王: ぐ‥‥ッ!
(たしかに‥‥弾けないオレが
何を言ってもムダだ‥‥)
そうだ! みぬきちゃん!
み: な。なんですか‥‥
王: 成歩堂さん‥‥パパ、
ピアニストだろう? 彼なら‥‥
み: ああ。パパならきっと。
あんなムズカシイフレーズ、手が
3つあっても弾けないと思いますよ。
大: どうやら‥‥
ムダ、だったみたいだな。
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥いえ。
そうとはかぎりませんよ。
大: な。なんだと‥‥
王: ラクな道がふさがれただけです。
それがないとすれば‥‥
正面から突破するだけのハナシです。
大: しかし‥‥両手で弾いたか、
片手でひいたか、なんて‥‥
立証できるわけがない!
王: たしかに、
立証はムズカシイでしょう。
でも。片手で弾いた可能性は
極めて高いはずです。
大: な。なぜ‥‥そんなコトが‥‥
王: ヒントは‥‥牙琉検事が感じた
”違和感”です。
大:‥‥!
王: その違和感の正体‥‥
じつは、この曲のある部分を聞くと、
ハッキリわかるんですよ。
大: ま。まさか‥‥
裁: どうやら‥‥ここからが
本番だったようですな。
それでは、うかがいましょう。
モンダイの部分を、被告人が
片手で弾いたと考えられる‥‥
そのコンキョを示す部分とは、
どこなのですかッ!
王: (ギターが燃える直前のフレーズ、
マキさんが片手で弾いている!
そのコンキョを示す”部分”の
メロディを、つきつけるんだ!)

(「最初のパート」を選択)
王: ‥‥牙琉検事。
あなたの感じた”違和感”‥‥
その正体に、もう
気づいているのではないですか?
牙: どうやら‥‥キミも
気づいたみたいだね。おデコくん。
裁: ど、どういうことなのですかッ!
王: いいですか。もう一度。
モンダイの部分のピアノだけを
聞いてみましょう。
とくに”いとしの メロディー”の
部分を聞いてください。


...Pleasure...
いとしの メロディー

大: だからさァ!
何度聞いたって、同じことだぜ!
王: そのとおり。
大:‥‥‥!
王: だから‥‥
別の場所を聞かないとね。
裁: ベツの‥‥場所‥‥
王: ギターが燃えたのは、歌の
<<2番>>の最後の部分でした。
それでは‥‥<<1番>>の
同じ部分を聞いてみましょう。
今度は、”腕に 抱かれて”の
部分に注目してください!


Sugar, Sugar...
腕に 抱かれて

裁: あ‥‥も、もう一度!
今度は<<2番>>をおねがいします!


...Pleasure...
いとしの メロディー

王: あ。ここです! わかりましたか?
裁: こ。これは‥‥
”感じ”は似ていますが‥‥
アキラカに、
ちがうではないですかッ!
大: な。なんだと‥‥!
王: そのとおりです!
<<2番>>のフレーズは
シンプルなのに対して‥‥
<<1番>>のフレーズは、
低い音と高い音が入り組んでいる。
こっちはアキラカに、
両手を使わなければ弾けません!
裁: あ‥‥ッ!
大: ば。バカなッ!
そ。それがなんだって言うんだ!
王: ”なんだって言うのか”‥‥
言わなくてもわかるはずですが?
大: し‥‥シロートは、
これだから困る!
<<1番>>と<<2番>>‥‥アレンジが
ちがうなんてよくあるハナシで‥‥
牙: それはとおらないよ、ダイアン。
大:‥‥!
牙: アレンジを変えるならば、
ハッキリわからなければ意味がない。
しかし‥‥このピアノは。
”なるべく聞こえ方が変わらない”
ように弾いている。
大: う‥‥うううッ!
牙: ぼくが感じた違和感も、
それだったのさ。
”同じはずのフレーズなのに、
微妙にちがって聞こえた”‥‥
王: なぜ、そんな弾き方をしたか‥‥?
コタエは、たったひとつ!
”スイッチを押す片手を
空けるため”だったのです!
大: ぐ‥‥ぐおおおおおおおおおおッ!

(ざわめきが起こる)
裁: 静粛に! 静粛に!
静粛にィィッ!
‥‥どうやら。ここにすべて、
つながったようですね。
いかがですかな?
牙琉検事。
牙: そう、だね。
個人的には”非常に残念だ”‥‥
そう言わなければならないようだ。
大: ‥‥クッ‥‥
王: (やった‥‥ついに‥‥
ついに、アイツを
ダマらせてやったぞ‥‥)
裁: それでは。
検察側から反論がないようでしたら、
本法廷の見解を
述べなければなりませんが‥‥
大: クッ‥‥クックックッ‥‥
あーっはっはっはっはっはっ‥‥
いやあ、ミゴトだねえ。
ウデまくりクン。
王: ど‥‥どういうことですか。
(な。なんだ‥‥この、
ホガラカすぎる笑顔は‥‥)
大: ガリュウ。言ってやれよ。
何が”非常に残念”なのかを、さ。
牙: 個人的に、”非常に残念だ”‥‥
そう言わざるを得ないよ。
‥‥おデコくん。
王: え‥‥お。オレ?
牙: そう‥‥
たしかに、ツジツマは合っている。
その点は、ミゴトだ。
しかし。この時点に至っても‥‥
キミはまだ、決定的な<<証拠>>を
提示しきれていないのだよ。
王: でも!
ダレが聞いたって、アキラカ‥‥
裁: 不幸なコトですが‥‥
”誰が聞いても、アキラカ”‥‥
法律では、そのコトバには
なんの効力もないのです‥‥
王: そんな、バカな‥‥
裁: 100の事実が、ある1点を
指し示していても‥‥
決定的な証拠がないかぎり、
”立証”にはならない。
それが、現在の、この法廷の
絶対的なルールなのです。
王: そ。そんな‥‥
裁: どうやら、これ以上の”証拠”を
提示するのはムリなようですな。
大: まあ‥‥そんなモノがあれば、
とっくに提出しているだろうからね。
裁: 残念ながら‥‥
今の時点では、あなたの告発を
受け入れるコトはできないのです。
王: な‥‥なんですってぇぇぇぇぇっ!

(ざわめきが起こる)


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