第4話『逆転を継ぐ者』探偵パート1日目(その1)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
絵瀬 まこと…黄緑
絵瀬 土武六…灰
或真敷 バラン…薄橙
葉見垣 正太郎…橙
或真敷 ザック…青
糸鋸 圭介…黄土
原灰…黄
ラミロア…藤
牙琉 霧人…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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‥‥以上が、この事件に関する
事実の”すべて”です。
今回の事件を
”理解”するためには‥‥
この7年間につづられた、長い
”物語”を知ることが必要でした。
何ひとつ、ムダな要素はありません。
‥‥すべてはつながっているのです。
‥‥そして、今。
あなたがたは、その”物語”の
最終章に立ち会おうとしている‥‥
被告人が、殺人の罪を負うべきか、
それとも”否”か‥‥
決めるのは、あなたがたです。


10月7日 午前10時37分
成歩堂なんでも事務所

み: ね。ね。見て見て、オドロキさん!
テレビ、テレビ!
王: うん‥‥ちょっと。
今、忙しいから。
み: わあ! すごいんだ!
やっぱり、アルマジキ一座の
最後のヒトリですよねー!
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥
み: もう!
ちょっと、見なさいよ!
王: いててて! なんだよ。
‥‥この前の事件のコト、
日記に書いてるのに。
み: フツー、弁護士さんが
書くのは”記録”でしょ?
なんで”日記”になるかなあ。
しかも、もう3ヶ月も前なのに。
王: 大長編だからね。
‥‥オレのカツヤクぶりをさ。
あの感動を、真空パック
しておきたいんだよな。
今、ラミロアさんが消えた謎を
カッコよく解き明かしてるトコ。
み: そう、それ! そのときの
ステージを演出したバランさん!
今、テレビに出てるの! 見てよー。
王: やれやれ‥‥
いいトコなんだけどな。
(しかたない、か‥‥
みぬきちゃんのお父さんの、
おとうと弟子だもんな)
ア: さあ! ここ、
県立国際ひのまるコロシアムでは、
今。世界最大のマジックショーの
リハーサル、真っ最中です!
王: ひのまるコロシアム‥‥
ああ。あの、ガリューウエーブの
事件が起こった現場か。
ア: ‥‥いよいよ、3日後。
伝説の大魔術集団<<或真敷一座>>の
奇跡が、7年ぶりに蘇るのです!
み: うー。楽しみだなあ。
みぬき、ゼッタイ、見に行くんだ!
オドロキさんと
パパもいっしょだからね!
王: (或真敷一座の奇跡‥‥か。
もし、みぬきちゃんのお父さんが
生きていれば‥‥
その”奇跡”を起こすのは、
彼だったんだよな‥‥)
み: みぬき、ちゃんとチケットも
手配しておいたんですよ!
はい。オドロキさんのぶん。

<<魔術ショーチケット>>を
手に入れた。

‥‥ガチャ‥‥
成: おー。いたいた。ヒマみたいだね。
けっこう、けっこう。
ただいま。
み: あ。パパ! ひさしぶりだね!
王: (父親に”ひさしぶり”も
どうかと思うけど‥‥
たしかに、しばらく
会ってないよな‥‥)
成: 元気だったかい? みぬき。
ホラ。おみやげだぞ。
み: きゃあ! プリンですよ、プリン!
しかも、牧場の!
3個あるけど、ゼンブ食べて
いいんだよね。みぬきが!
成: ああ、さすがにつかれたなあ。
み: そういえば、パパ。
<<ゴクヒニンム>>とか言ってたっけ。
ダメだよ。
ゴクヒもほどほどにしないと。
成: はっはっはっ。
ホントだねえ。
王: まだ、教えてもらえないんですか?
‥‥その、<<ゴクヒ任務>>。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
そうだなあ。そろそろいいか。
キミにもカンケイない話じゃないし。
王: え‥‥お。オレ、ですか?
み: きゃあ!
ゴクヒ任務ですよ、オドロキさん!
なんか、アレ。
すぱい、みたいだよね!
王: (やれやれ‥‥今度は
何をやらされるんだ‥‥?)
成: はっはっはっ。
じつはね。
今日は、そのハナシをしに
帰ってきたんだよ。
王:え‥‥‥
成: きみたちも、
聞いたことはあるだろう?
‥‥”裁判員制度”について。
み: さいばんいん‥‥?
成: そうだ。ウワサの、
新しい裁判のシステムだよ。
み: 聞いたこと、あります?
オドロキさん。
王: え?
ど。どうだったかな‥‥
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
ぼくが思ってるほど、
話題になってないみたいだなあ。
王: (”裁判員”‥‥か)

(「裁判員制度」を聞く)
み: ね。なあに、パパ。
”さいばんいん”って。
成: そうだなあ。みぬき、
”陪審員”はわかるかな?
み: あ、それ! アレでしょ?
アメリカとかの裁判所に
座っていて‥‥
<<有罪>>とか
<<無罪>>とか言う人たち!
知ってる? オドロキさん。
王: ドラマで見たことあるよ。
市民の中から、12人。
選ばれるんだよ。
成: 今度ね。この国にも、その制度を
導入しようというハナシが出てね。
その、新しいシステムの
名前が”裁判員”というワケだ。
み: ”もう、裁判長さんの好きには
させないぞ”っていうワケだ。
成: いやいや。この制度はね。
あくまでも、裁判長に協力して、
いろいろな角度から事件を
検証するためにあるんだよ。
王: たしか、6人でしたね。
今回の”裁判員”の草案書では。
み: へえ!
ものしりだなあ、オドロキさん!
成: 被告人の判決に、
じかに影響するワケだからねえ。
みんなも、今まで以上に、法廷を
マジメに考えるコトになるだろうね。
み: わあ。さっきから、
なんか教育番組のノリだねー。
ナルホドーハカセ、みたいな。
成: はっはっ。ナルホドーハカセと
助手のみぬきちゃんに‥‥
使えないマスコットの
オドロキくん、という3人組だね。
王: (失礼な‥‥)

(「ゴクヒ任務」を聞く)
王: それで‥‥
”ゴクヒ任務”というのは?
成: ‥‥その”裁判員制度”の
コトなんだけどね。
この国では、新しい考え方だから。
うまくいくか、わからないんだ。
み: うーん、たしかに。
みんながみんな、言いたいコトだけ
言ってたら、まとまらないもんなあ。
‥‥オドロキさんみたいに。
王: オレ、そこまでワガママじゃないぞ。
成: ま、そういうわけで。
とにかく一度、やってみようって
コトになったんだよ。
言ってみれば‥‥テスト、だね。
み: てすと‥‥
成: ある事件をサンプルにして、
ジッサイに裁判員を6人、選んで。
その手配をね。
ぼくがやることになったんだよ。
王: どういうことですか‥‥?
成: <<裁判員シミュレーション
法廷委員会>>委員長ってヤツさ。
扱う事件から、裁判員のコウホ、
法廷の手配まで‥‥
理想的なチームになるように、
ぼくが選んで、調整するんだ。
み: すごーい! なんか、
”シゴトしてます”って感じ!
成: うん。ピアノ弾くより
向いてるみたいだね。
王: (元・弁護士が
何か言ってるよ‥‥)
成: その、記念すべき裁判が、
いよいよ明日、開廷するんだよ。
<<シミュレート裁判>>
というワケだね。
み: しみゅれーと‥‥
王: で‥‥どんな事件なんですか?
明日の<<シミュレート裁判>>は。
成: なにぶん、初めての試みだから。
わかりやすい事件を選んでみたよ。
み: やっぱり”お試し”だったら、
気軽にできないとね。
成: そうだよね。
殺人事件なんだけど。
王: ゼンゼン、
気軽じゃないじゃないですか!
み: ”わかりやすい”っていうと。
被告人のヒト、やっぱり‥‥?
成: うん。かなり
わかりやすく”有罪”っぽいね。
‥‥というワケで。
よろしくたのむよ、オドロキくん。
王: え‥‥何が、ですか?
成: 決まってるだろ。
弁護士役だよ、明日の。
最初に言ったろ?
”キミにもカンケイがある”って。
み: いいじゃない、オドロキさん!
たかだか”お試し”裁判の
弁護士役なワケだし。
王: で、でも! ジッサイ、
判決は出るワケですよね?
成: ‥‥最悪の場合、
極刑もあり得るね。
王: イヤですよ! そんなの!
ただ”役”がついてる
だけじゃないですか!
成: もう、手配は終わってるから。
変更はムリだよ。
開廷は明日の10時だ。
予定、あけておいてくれよな。
王: な。なんで、もっと早く
言ってくれなかったんですか!
成: ‥‥ああ。
今朝になって、変えたんだ。
‥‥扱う事件を。
王:え‥‥‥
成: ‥‥ゆうべ起こった
事件なんだけどね。

(「或真敷バラン」を聞く)
み: ねー、オドロキさん。
ゴクヒ任務も気になるけど。
こっちも気になるでしょ?
<<或真敷一座・大魔術ショー>>!
王: え? ああ。手品か。
み: ”てじな”じゃないッ!
大魔術だよ! 奇跡だよ!
天変地異だよ! この世の終わりか
王: うるさいなあ。
3日も先のハナシじゃないか。
み: <<県立国際ひのまるコロシアム>>
行きたいー! 今日、行きたいー!
バランおじさんに会って、
アイサツしておきたいよー!
王: ひとりで行ってきなよ。
み: えー、ダメだよー!
みぬき、”ひっこみじあん”だし。
王: ウソつけ!
成: いいんじゃないか。
いっしょに行ってくれば。
王: え‥‥でも。
”ゴクヒ任務”は‥‥?
成: ああ。いいよ、ベツに。
明日になれば、イヤでも
わかることだから。
王: (なんだ、そのイミありげな
ホホエミは‥‥)
み: わあい! じゃあ、
連れてってね。コロシアム。
王: (やれやれ‥‥ヒマを見て、
カオを出しておくか‥‥)
成: あ。そうだ。
‥‥”アルマジキ”で思い出したよ。
み: なあに、これ。パパ?
このシルクハット‥‥
或真敷一座のマークだけど。
成: そうだなあ。
お誕生日のプレゼントだよ、みぬき。
み: ありがとう! ウレシイ!
‥‥でも。
今日、みぬきの誕生日じゃないよ。
成: ‥‥ふうん。
じゃあ、そうだなあ。
‥‥今日はなんの日だい?
オドロキくん。
王: え! きょ、今日ですか?
たしか‥‥プラスチックのゴミの日、
ですけど。
成: じゃ、みぬき。
そっちのプレゼントだ。
み: わあい!
プラスチックなんだね!
王: (イミがわかんないな、
この親子は‥‥)
‥‥で、なんですか?
これ。
み: サッソク、開けていい?
パパ!
成: ‥‥ダメだ。
み:え‥‥‥
成: ‥‥そう遠くない、未来。
かならず、その封筒が
必要になるときがくる。
そのときまで、
ゼッタイ開けちゃダメだ。
み: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
じゃ、そのときに
くれればいいのに。
王: (‥‥言っちまったよ)

<<或真敷の封筒>>を
手に入れた。
王: ”アルマジキ”に関する封筒‥‥
ちょっと、気になるな。

(「シミュレート裁判」を聞く)
王: とにかく、聞かせてくださいよ。
その”事件”ってヤツを。
成: え、困ったなあ。
聞きたいの? やっぱり。
王: そりゃ、そうですよ!
弁護するんですよね?
成: できればね。今回は
”テスト”ということもあって‥‥
全員”まっ白”な状態で
裁判を始めたかったんだけど。
王: そんな状態で始まったら、
アタマの中まで”まっ白”ですよ!
ダレが決めたんですか!
そんなバカなコト‥‥
成: だから、ぼくだよ。
なんせ、ホラ。委員長だから。
王: ううううう‥‥
成: しかたないなあ。
‥‥じゃあ、トクベツに。
事件が起こった現場を
調べることだけは許可してあげるよ。
王:え‥‥‥
成: ‥‥そのかわり。
関係者の話を聞くのは、ダメだ。
王: ‥‥でも!
それじゃ、まともな弁護なんて‥‥
成: 何度も言わせるなよ。
今回の裁判についてはね。
ぼくが、すべての権限を
持っているんだ。
王: そのせいで、不当な判決になったら
どうするんですか!
成: あのね、オドロキくん。
”すべての権限を持っている”って
コトは‥‥
”すべてのセキニンをとる”って
コトなんだよ。
王:‥‥‥!
成: きみは、きみにできるコトを
すればいいよ。
ぼくには、
ぼくの考えがあるからね。
王: わ‥‥わかりました。
成: じゃあ‥‥、とりあえず。
留置所に行ってみるんだね。
依頼人が待っているからね。
現場のコトは、そこで聞けばいい。
王: え。でも。関係者から
ハナシを聞いちゃダメ、って‥‥
成: ‥‥ああ。
その依頼人ならかまわないよ。
もし‥‥きみが聞き出すことが
できるのなら、ね。
み: よおし。
とにかく、行ってみましょうよ!

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