王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
絵瀬 まこと…黄緑 | |
絵瀬 土武六…灰 | |
或真敷 バラン…薄橙 | |
葉見垣 正太郎…橙 | |
或真敷 ザック…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
原灰…黄 | |
ラミロア…藤 | |
牙琉 霧人…紫 |
‥‥以上が、この事件に関する 事実の”すべて”です。 今回の事件を ”理解”するためには‥‥ この7年間につづられた、長い ”物語”を知ることが必要でした。 何ひとつ、ムダな要素はありません。 ‥‥すべてはつながっているのです。 ‥‥そして、今。 あなたがたは、その”物語”の 最終章に立ち会おうとしている‥‥ 被告人が、殺人の罪を負うべきか、 それとも”否”か‥‥ 決めるのは、あなたがたです。 | |
成歩堂なんでも事務所 | |
み: |
ね。ね。見て見て、オドロキさん! テレビ、テレビ! |
王: |
うん‥‥ちょっと。 今、忙しいから。 |
み: |
わあ! すごいんだ! やっぱり、アルマジキ一座の 最後のヒトリですよねー! |
王: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
み: |
もう! ちょっと、見なさいよ! |
王: |
いててて! なんだよ。 ‥‥この前の事件のコト、 日記に書いてるのに。 |
み: |
フツー、弁護士さんが 書くのは”記録”でしょ? なんで”日記”になるかなあ。 しかも、もう3ヶ月も前なのに。 |
王: |
大長編だからね。 ‥‥オレのカツヤクぶりをさ。 あの感動を、真空パック しておきたいんだよな。 今、ラミロアさんが消えた謎を カッコよく解き明かしてるトコ。 |
み: |
そう、それ! そのときの ステージを演出したバランさん! 今、テレビに出てるの! 見てよー。 |
王: |
やれやれ‥‥ いいトコなんだけどな。 (しかたない、か‥‥ みぬきちゃんのお父さんの、 おとうと弟子だもんな) |
ア: |
さあ! ここ、 県立国際ひのまるコロシアムでは、 今。世界最大のマジックショーの リハーサル、真っ最中です! |
王: |
ひのまるコロシアム‥‥ ああ。あの、ガリューウエーブの 事件が起こった現場か。 |
ア: |
‥‥いよいよ、3日後。 伝説の大魔術集団<<或真敷一座>>の 奇跡が、7年ぶりに蘇るのです! |
み: |
うー。楽しみだなあ。 みぬき、ゼッタイ、見に行くんだ! オドロキさんと パパもいっしょだからね! |
王: |
(或真敷一座の奇跡‥‥か。 もし、みぬきちゃんのお父さんが 生きていれば‥‥ その”奇跡”を起こすのは、 彼だったんだよな‥‥) |
み: |
みぬき、ちゃんとチケットも 手配しておいたんですよ! はい。オドロキさんのぶん。 |
手に入れた。 | |
成: |
おー。いたいた。ヒマみたいだね。 けっこう、けっこう。 ただいま。 |
み: | あ。パパ! ひさしぶりだね! |
王: |
(父親に”ひさしぶり”も どうかと思うけど‥‥ たしかに、しばらく 会ってないよな‥‥) |
成: |
元気だったかい? みぬき。 ホラ。おみやげだぞ。 |
み: |
きゃあ! プリンですよ、プリン! しかも、牧場の! 3個あるけど、ゼンブ食べて いいんだよね。みぬきが! |
成: | ああ、さすがにつかれたなあ。 |
み: |
そういえば、パパ。 <<ゴクヒニンム>>とか言ってたっけ。 ダメだよ。 ゴクヒもほどほどにしないと。 |
成: |
はっはっはっ。 ホントだねえ。 |
王: |
まだ、教えてもらえないんですか? ‥‥その、<<ゴクヒ任務>>。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ そうだなあ。そろそろいいか。 キミにもカンケイない話じゃないし。 |
王: | え‥‥お。オレ、ですか? |
み: |
きゃあ! ゴクヒ任務ですよ、オドロキさん! なんか、アレ。 すぱい、みたいだよね! |
王: |
(やれやれ‥‥今度は 何をやらされるんだ‥‥?) |
成: |
はっはっはっ。 じつはね。 今日は、そのハナシをしに 帰ってきたんだよ。 |
王: | え‥‥‥ |
成: |
きみたちも、 聞いたことはあるだろう? ‥‥”裁判員制度”について。 |
み: | さいばんいん‥‥? |
成: |
そうだ。ウワサの、 新しい裁判のシステムだよ。 |
み: |
聞いたこと、あります? オドロキさん。 |
王: |
え? ど。どうだったかな‥‥ |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ ぼくが思ってるほど、 話題になってないみたいだなあ。 |
王: | (”裁判員”‥‥か) |
み: |
ね。なあに、パパ。 ”さいばんいん”って。 |
成: |
そうだなあ。みぬき、 ”陪審員”はわかるかな? |
み: |
あ、それ! アレでしょ? アメリカとかの裁判所に 座っていて‥‥ <<有罪>>とか <<無罪>>とか言う人たち! 知ってる? オドロキさん。 |
王: |
ドラマで見たことあるよ。 市民の中から、12人。 選ばれるんだよ。 |
成: |
今度ね。この国にも、その制度を 導入しようというハナシが出てね。 その、新しいシステムの 名前が”裁判員”というワケだ。 |
み: |
”もう、裁判長さんの好きには させないぞ”っていうワケだ。 |
成: |
いやいや。この制度はね。 あくまでも、裁判長に協力して、 いろいろな角度から事件を 検証するためにあるんだよ。 |
王: |
たしか、6人でしたね。 今回の”裁判員”の草案書では。 |
み: |
へえ! ものしりだなあ、オドロキさん! |
成: |
被告人の判決に、 じかに影響するワケだからねえ。 みんなも、今まで以上に、法廷を マジメに考えるコトになるだろうね。 |
み: |
わあ。さっきから、 なんか教育番組のノリだねー。 ナルホドーハカセ、みたいな。 |
成: |
はっはっ。ナルホドーハカセと 助手のみぬきちゃんに‥‥ 使えないマスコットの オドロキくん、という3人組だね。 |
王: | (失礼な‥‥) |
王: |
それで‥‥ ”ゴクヒ任務”というのは? |
成: |
‥‥その”裁判員制度”の コトなんだけどね。 この国では、新しい考え方だから。 うまくいくか、わからないんだ。 |
み: |
うーん、たしかに。 みんながみんな、言いたいコトだけ 言ってたら、まとまらないもんなあ。 ‥‥オドロキさんみたいに。 |
王: | オレ、そこまでワガママじゃないぞ。 |
成: |
ま、そういうわけで。 とにかく一度、やってみようって コトになったんだよ。 言ってみれば‥‥テスト、だね。 |
み: | てすと‥‥ |
成: |
ある事件をサンプルにして、 ジッサイに裁判員を6人、選んで。 その手配をね。 ぼくがやることになったんだよ。 |
王: | どういうことですか‥‥? |
成: |
<<裁判員シミュレーション 法廷委員会>>委員長ってヤツさ。 扱う事件から、裁判員のコウホ、 法廷の手配まで‥‥ 理想的なチームになるように、 ぼくが選んで、調整するんだ。 |
み: |
すごーい! なんか、 ”シゴトしてます”って感じ! |
成: |
うん。ピアノ弾くより 向いてるみたいだね。 |
王: |
(元・弁護士が 何か言ってるよ‥‥) |
成: |
その、記念すべき裁判が、 いよいよ明日、開廷するんだよ。 <<シミュレート裁判>> というワケだね。 |
み: | しみゅれーと‥‥ |
王: |
で‥‥どんな事件なんですか? 明日の<<シミュレート裁判>>は。 |
成: |
なにぶん、初めての試みだから。 わかりやすい事件を選んでみたよ。 |
み: |
やっぱり”お試し”だったら、 気軽にできないとね。 |
成: |
そうだよね。 殺人事件なんだけど。 |
王: |
ゼンゼン、 気軽じゃないじゃないですか! |
み: |
”わかりやすい”っていうと。 被告人のヒト、やっぱり‥‥? |
成: |
うん。かなり わかりやすく”有罪”っぽいね。 ‥‥というワケで。 よろしくたのむよ、オドロキくん。 |
王: | え‥‥何が、ですか? |
成: |
決まってるだろ。 弁護士役だよ、明日の。 最初に言ったろ? ”キミにもカンケイがある”って。 |
み: |
いいじゃない、オドロキさん! たかだか”お試し”裁判の 弁護士役なワケだし。 |
王: |
で、でも! ジッサイ、 判決は出るワケですよね? |
成: |
‥‥最悪の場合、 極刑もあり得るね。 |
王: |
イヤですよ! そんなの! ただ”役”がついてる だけじゃないですか! |
成: |
もう、手配は終わってるから。 変更はムリだよ。 開廷は明日の10時だ。 予定、あけておいてくれよな。 |
王: |
な。なんで、もっと早く 言ってくれなかったんですか! |
成: |
‥‥ああ。 今朝になって、変えたんだ。 ‥‥扱う事件を。 |
王: | え‥‥‥ |
成: |
‥‥ゆうべ起こった 事件なんだけどね。 |
み: |
ねー、オドロキさん。 ゴクヒ任務も気になるけど。 こっちも気になるでしょ? <<或真敷一座・大魔術ショー>>! |
王: | え? ああ。手品か。 |
み: |
”てじな”じゃないッ! 大魔術だよ! 奇跡だよ! 天変地異だよ! この世の終わりか |
王: |
うるさいなあ。 3日も先のハナシじゃないか。 |
み: |
<<県立国際ひのまるコロシアム>> 行きたいー! 今日、行きたいー! バランおじさんに会って、 アイサツしておきたいよー! |
王: | ひとりで行ってきなよ。 |
み: |
えー、ダメだよー! みぬき、”ひっこみじあん”だし。 |
王: | ウソつけ! |
成: |
いいんじゃないか。 いっしょに行ってくれば。 |
王: |
え‥‥でも。 ”ゴクヒ任務”は‥‥? |
成: |
ああ。いいよ、ベツに。 明日になれば、イヤでも わかることだから。 |
王: |
(なんだ、そのイミありげな ホホエミは‥‥) |
み: |
わあい! じゃあ、 連れてってね。コロシアム。 |
王: |
(やれやれ‥‥ヒマを見て、 カオを出しておくか‥‥) |
成: |
あ。そうだ。 ‥‥”アルマジキ”で思い出したよ。 |
み: |
なあに、これ。パパ? このシルクハット‥‥ 或真敷一座のマークだけど。 |
成: |
そうだなあ。 お誕生日のプレゼントだよ、みぬき。 |
み: |
ありがとう! ウレシイ! ‥‥でも。 今日、みぬきの誕生日じゃないよ。 |
成: |
‥‥ふうん。 じゃあ、そうだなあ。 ‥‥今日はなんの日だい? オドロキくん。 |
王: |
え! きょ、今日ですか? たしか‥‥プラスチックのゴミの日、 ですけど。 |
成: |
じゃ、みぬき。 そっちのプレゼントだ。 |
み: |
わあい! プラスチックなんだね! |
王: |
(イミがわかんないな、 この親子は‥‥) ‥‥で、なんですか? これ。 |
み: |
サッソク、開けていい? パパ! |
成: | ‥‥ダメだ。 |
み: | え‥‥‥ |
成: |
‥‥そう遠くない、未来。 かならず、その封筒が 必要になるときがくる。 そのときまで、 ゼッタイ開けちゃダメだ。 |
み: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ じゃ、そのときに くれればいいのに。 |
王: | (‥‥言っちまったよ) |
手に入れた。 | |
王: |
”アルマジキ”に関する封筒‥‥ ちょっと、気になるな。 |
王: |
とにかく、聞かせてくださいよ。 その”事件”ってヤツを。 |
成: |
え、困ったなあ。 聞きたいの? やっぱり。 |
王: |
そりゃ、そうですよ! 弁護するんですよね? |
成: |
できればね。今回は ”テスト”ということもあって‥‥ 全員”まっ白”な状態で 裁判を始めたかったんだけど。 |
王: |
そんな状態で始まったら、 アタマの中まで”まっ白”ですよ! ダレが決めたんですか! そんなバカなコト‥‥ |
成: |
だから、ぼくだよ。 なんせ、ホラ。委員長だから。 |
王: | ううううう‥‥ |
成: |
しかたないなあ。 ‥‥じゃあ、トクベツに。 事件が起こった現場を 調べることだけは許可してあげるよ。 |
王: | え‥‥‥ |
成: |
‥‥そのかわり。 関係者の話を聞くのは、ダメだ。 |
王: |
‥‥でも! それじゃ、まともな弁護なんて‥‥ |
成: |
何度も言わせるなよ。 今回の裁判についてはね。 ぼくが、すべての権限を 持っているんだ。 |
王: |
そのせいで、不当な判決になったら どうするんですか! |
成: |
あのね、オドロキくん。 ”すべての権限を持っている”って コトは‥‥ ”すべてのセキニンをとる”って コトなんだよ。 |
王: | ‥‥‥! |
成: |
きみは、きみにできるコトを すればいいよ。 ぼくには、 ぼくの考えがあるからね。 |
王: | わ‥‥わかりました。 |
成: |
じゃあ‥‥、とりあえず。 留置所に行ってみるんだね。 依頼人が待っているからね。 現場のコトは、そこで聞けばいい。 |
王: |
え。でも。関係者から ハナシを聞いちゃダメ、って‥‥ |
成: |
‥‥ああ。 その依頼人ならかまわないよ。 もし‥‥きみが聞き出すことが できるのなら、ね。 |
み: |
よおし。 とにかく、行ってみましょうよ! |