王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
絵瀬 まこと…黄緑 | |
絵瀬 土武六…灰 | |
或真敷 バラン…薄橙 | |
葉見垣 正太郎…橙 | |
或真敷 ザック…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
原灰…黄 | |
ラミロア…藤 | |
牙琉 霧人…紫 |
茜: |
それじゃあね。まず、 サンプルは‥‥そうだなあ。 この、おみくじに してみようか。 サンプルを、こうやって <<メカ>>にセットすると‥‥ |
王: | ‥‥何も写りませんよ。 |
茜: |
ま。あわてないで。 画面の右側を見て。 これが、封筒の”断面図”なの。 |
み: | だんめんず‥‥? |
茜: |
今、ちょうど封筒のソトガワの 断面が表示されてるワケ。 そうだなあ‥‥ジッサイ、 やってみたほうが早いね。 ちょっと、そこのツマミを 回してみてくれるかな。 そうそう。そうやってスキャンする ”厚み”を調節するわけ。 |
み: | あ! なんか出た! |
茜: |
ね? 中のお札に書かれた文字が、 こうして表示されるワケ。 すごいでしょ? |
王: | でも‥‥ゼンゼン読めませんよ。 |
茜: |
もっとツマミを回してみて。 つまりね。ホラ。 紙キレ1枚でも、 大きくおおきく拡大すると、 ほんの少し波うってるワケ。 |
み: | えー。そうなんですか? |
茜: |
このX線はね。0.05ミクロンの 光線で試材を分析するから。 その”厚さ”の断面に書かれた ものしか表示しないの。 |
王: |
よくわかりませんけど、 読めなきゃイミないじゃないですか。 |
茜: |
そこで、次のステップよ。 この映像を、ちょっと こすってみてくれるかな。 |
み: | ”こする”‥‥画面を、ですね? |
茜: |
そう。これで、この映像は スクリーンに”固定”されたわ。 じゃ、ツマミを少し回して。 はい。じゃ、またこの映像を こすって”固定”させてみようか。 |
み: |
あ! わかった! こうやって‥‥ 少しずつズラして 塗りつぶせばいいんですね! |
茜: | そう。さすが! |
み: |
なるほどねー。じゃあ、 もう少しやってみましょうよ! |
茜: |
じゃ、プリントアウト するわね。 |
み: |
きゃあ! 大吉ですよ、大吉! |
茜: |
ふふん。この<<メカ>>が 秘めたパワー、わかったでしょ? さ。じゃあ、いよいよ 本番、行ってみる? |
茜: |
じゃ、プリントアウト するわね。 |
み: |
”いっせんまんえんを ふりこみ”ですか‥‥ 土武六さんの絵。イイお値段で 売れたみたいですね! |
茜: |
封筒の中には、もう一枚 入ってるけど。 ‥‥どうする? |
み: |
あ。モチロン、やります! 気になるじゃないですか! |
茜: | じゃ、2枚目。行くわよ。 |
茜: |
じゃ、プリントアウト するわね。 |
み: |
‥‥ケッキョク、絵の代金 についてのお手紙でしたね。 |
王: |
それにしては、ずいぶん キンチョーをはらんだ文面だな。 それに‥‥ |
み: | なんですか? |
王: |
どうして、この1通だけが 残されていたのかな。 ‥‥7年も前のものなのに。 |
み: |
‥‥なんか、トクベツな ものなのかなあ、これ。 ね? アカネさん。 |
茜: |
‥‥さあ、ね。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
(アカネさん‥‥ 何か、知ってるみたいだ。 オレたちに話してくれる ようすはない、か‥‥) |
書きかえた。 | |
み: |
あ‥‥ここッ! なんか、カラダに悪そうな シミがありますよ! きっと、これが。ウワサの ”ブルーマウンテン”なんですね! |
王: |
きっと、ここまで青いってコトは ないと思うよ。 このシミは‥‥おそらく‥‥ (アカネさんに聞いてみるか) |
王: |
あの、アカネさん。 このカップなんですけど‥‥ ここ‥‥カップのフチに、 青白い”アト”がありますよね。 |
茜: |
え! あ。そ、それね! えーとね。ウワサなんだけど‥‥ ”ブルーマウンテン”っていう コーヒーがあるらしいよ! |
王: |
きっと、ここまで青いってコトは ないと思いますよ。 |
茜: |
ううう‥‥わかったわよ。 それはね。 あたしのカガク薬品のアト。 |
み: |
でたッ! アカネさんのシュミ、カガク捜査! |
茜: | ”シュミ”はないでしょ‥‥ |
み: |
やっぱり、今回もアカネさん、 カガク捜査してたんですねー。 |
茜: |
このスプレーをふきつけると、 毒物に反応して青く変色するの! |
王: |
と、いうことは。 被害者を殺害した”毒”は‥‥ |
茜: |
そう。毒は、コーヒーに 入っていたワケじゃなかったの。 こうして、カップのフチに 塗ってあったみたいね。 |
み: |
やっぱり、カガクは スゴいんですねー! |
王: |
(カガク捜査‥‥か。 アカネさんのチカラ、 借りられないかな‥‥) |
み: |
とりあえず、 ホメてみたらどうですか? 女のヒト、ホメられて イヤな気はしない、って言うし。 |
王: |
(‥‥とにかく、 ハナシを聞いてみるか) ‥‥あの。 <<毒性検査>>なんですけど。 |
茜: |
ははあ‥‥ 気になる? やっぱり。 コレね。アトロキニーネを 検出する試薬なワケ。 |
み: | あとろ‥‥‥? |
茜: |
やだなあ。被害者の遺体から 検出されたモードクじゃない! |
王: |
(‥‥アカネさんが イキイキしてきた。キケンだ) |
茜: |
毒性は、超・モーレツなんだけど、 体内への吸収は、意外にゆっくり! 呼吸器への影響が現れるのは、 服毒から最低15分はかかるわ。 それにね! 聞いてくれる? 最新の研究では‥‥ |
王: |
い。いやいや。 専門的なコトはいいですから! |
み: |
あ、わかった! そのスプレーを吹きつければ‥‥ |
茜: |
そう! どんなにかすかな 痕跡でも見つけちゃうわけ! |
み: |
ねー、アカネさん! それ。みぬきもやってみたいー! |
茜: |
いいよ、ホラ。 ‥‥まあ。アヤシイところはもう、 あたしが調べちゃったけどね。 |
み: |
やったー! じゃ、オドロキさん。 やってみますね。 |
王: |
ぎゃあああっ! ナニするんだよッ! |
み: |
いや、ホラ。オドロキさんに 反応しないかな、って。 |
王: | ヒトを毒物扱いするなッ! |
み: |
だって。オドロキさん、アレ。 ”どくぜつ”だし。 |
王: | (とにかく‥‥調べてみるか) |
み: |
ザンネン。 なかったですね。毒の反応。 |
王: |
まあ、アカネさんが、 さんざん調べた後だからね。 ‥‥いや、ちょっと待てよ。 |
み: | どうしました? オドロキさん。 |
王: |
あそこの小さな机の上、 ちゃんと調べられた? |
み: |
ちょっと遠いですからね。 ザッとやっただけです。 |
王: | 念のため、調べてみようか。 |
み: |
きゃあああああッ! 反応しました! |
茜: |
ええええええッ! どこ、どこよ! |
み: |
ホラ! この、 カワイイ額の中ですッ! |
茜: |
やー、やるねー。 やっぱり、みぬきちゃんだよ。 |
み: | へへ。みぬき。魔術師だし。 |
王: |
(見つけたの、 オレなんだけどな‥‥) |
法廷記録にファイルした。 | |
王: |
(なんで、額の中なんかに 毒の反応が‥‥? ‥‥他に、毒物の反応は ないみたいだな‥‥) ところで、アカネさん。 教えてもらえますか? 事件当夜、取材にきていた ”記者”というのは‥‥? |
茜: |
あ。あたしに聞かれても困るけど。 明日の裁判の証人になるみたいね。 |
み: | やっぱり‥‥ |
茜: |
名前‥‥なんだっけ。 カオは、一生忘れないんだケド。 ああ。そうそう。 ハミガキさん。 |
み: | はみがき‥‥ |
茜: |
ヒトリで特ダネを追って、 マスコミに売りこむんだってさ。 |
王: |
‥‥今まで、ダレにも会おうと しなかった画家が‥‥ トツゼン、知らない記者の取材を 引き受けて‥‥その夜、殺害された。 |
み: |
ものすごくアヤシイですね。 ‥‥その取材。 |
茜: |
まあ‥‥たしかに。 気になるわよね。 |
王: |
その記者のヒトに ハナシを聞きたいんですけど‥‥ |
茜: |
そうねー。たしか、今日も 取材だ、って言ってたよ。 ‥‥なんとかいう、 手品師さんのショー、だったかな。 |
王: |
てじなし‥‥? (ま。まさか‥‥) |
み: |
あの! もしかして。 <<或真敷 バラン>>‥‥とか? |
茜: |
あー、そうそう! そんな感じ! 今度、デカいショーをするみたいね。 |
王: |
(‥‥やれやれ。 或真敷 バラン‥‥か。 どうやら、情報を集めざるを 得なくなっちまったな) |
茜: | よかったら、この名刺。あげるわ。 |
法廷記録に挟んだ。 | |
県立国際ひのまるコロシアム | |
み: |
わああ。夢と魔法の ステージですねー! まさに。 |
王: |
ほんのちょっと前までは、 悪夢と無法のステージだったのに。 |
み: |
さ。さ。早くアイサツに 行きましょうよ! バランさんに! |
王: |
(やれやれ。 事件のコトが気になるな‥‥) |
?: |
はあーっはっはっはっ はっはっはっはっはあ! |
み: | この、究極の営業スマイルは‥‥ |
バ: |
これはこれは、みぬき嬢ッ! また会えるとは! あるまじきシアワセ! |
み: |
きゃあっ、バランさん! お元気でしたか! みぬきも、会えてうれしいです! |
バ: | それはそうでしょう。 |
王: |
(まばたきもせずに 言いきったな‥‥) |
バ: |
それで、みぬき嬢。 今日は、どうされたかな? バランへの花束は、ステージの幕が 下りてからの、ふたりの呪文。 |
み: |
あの。今日は、お祝いの ごアイサツに来たんです! 大魔術ショーの開演、 おめでとうございます! |
バ: |
なあに‥‥バランとしては、 みなさまにお祝いを申し上げたい。 奇跡のショーを見ることのできる、 幸運な大衆のみなさまにねッ! |
王: | (やれやれ‥‥) |
バ: |
或真敷 天斎の奇術が、 このバランの手によって蘇る! まさにあるまじきッ! |
み: |
ものすごい人気なんだよ! 今回の大魔術ショー。 <<或真敷一座>>の奇跡が、 7年ぶりに蘇るんですからね! |
バ: |
‥‥みぬき嬢。 あなたにはモウシワケない。 本来ならば、このショーは あなたの父上が行うべきだった。 |
み: | パパ‥‥‥ |
バ: |
”兄弟子”・或真敷 ザック。 あのような事件がなければ‥‥ |
み: |
‥‥もう、いいんです。 パパのことは。 |
バ: |
あなたの父上は 偉大な魔術師だった。 彼が生きていれば‥‥ このバラン。 よろこんで、彼の助手として ステージに立っていたでしょう! |
み: |
バランさん‥‥ありがとう。 でも、みぬき。 うれしいんです! お師匠さんの魔術が、 また見られるんですから! |
王: |
(みぬきちゃん‥‥ ホントにうれしそうだな) |
バ: |
我が師匠・或真敷 天斎こそ、 まさに魔術の”創造神”‥‥ 彼が生み出した魔術は、いつも ワレワレの想像を超えていた。 |
み: |
みぬき、まだ小さかったけど。 一生、忘れません。 天斎師匠が乗ったスポーツカーが、 客席のはるか上空を走り回って‥‥ 超音速で宇宙へ消えていった、 あの日のコト! |
王: |
(思い出に、多少の演出が 入ってるみたいだな) |
バ: |
この7年間。全世界が ”奇跡”の復活を熱望していた。 <<或真敷一座>>‥‥その奥義を 受け継ぐモノとして。 そのキタイにこたえることは、 神より与えられた使命にひとしい! |
王: | あの‥‥ |
バ: |
ナニかな。名もなき大衆を 代表する、名もなき青年よ。 |
王: |
そんなに世界が待っていたのなら、 どうして7年もほったらかしに? |
バ: |
ふう‥‥‥ 青年は、ご存じないやもしれぬ。 しかし、この世界は”法律”という 魔術に支配されている。 |
王: |
‥‥聞いたことはあります。 魔術かどうかは知りませんけど。 |
バ: |
或真敷 天斎の”奇跡”‥‥ その上演は、実現不可能だった。 ‥‥この7年間。ある”法律”が ジャマをしていたのですよ。 |
王: |
(”7年”‥‥ なんか、引っかかる数字だな) |
み: |
‥‥あの。 どういうことですか? |
バ: |
”興行権”というヤツですよ。 みぬき嬢。 |
み: |
あの‥‥ ”興行権”というのは‥‥? |
バ: |
天斎の魔術を支えているのは、 きわめて独創的な”トリック”。 それは、彼の”財産”として、 法律で守られているのです。 |
王: | <<知的財産>>というヤツですね? |
バ: |
さよう。天斎は、それを ”遺産”として、相続させたのです。 ‥‥ある人物に。 |
王: | まさか‥‥その”人物”って! |
バ: |
そうなのです、みぬき嬢。 それが、あなたの父上‥‥ 或真敷 ザックだったのです! |
み: | パパ‥‥ |
バ: |
しかし。みぬき嬢もご存じのとおり。 あなたの父上は、その。 7年前‥‥この世界から 姿を消してしまった。 |
王: |
(どうやら‥‥ ハナシが見えてきたな) ある人物が”行方不明”になって、 一定の期間が過ぎた場合‥‥ その人物は”死亡”したことになる。 ‥‥そういうことですね? |
バ: |
‥‥そのとおり。 よくご存じだ。半ソデのヒトよ。 その”期間”‥‥ それが、すなわち7年なのですよ。 |
み: | あ‥‥‥ |
バ: |
つまり、みぬき嬢‥‥ 言いにくいことではあるが。 今年の、春‥‥4月。 あなたの父上は、法律的に ”死亡”したことになるのです。 そして、あなたの父上の正式な 遺言状が残されていない以上‥‥ 師匠・天斎の秘術は、このバランに 相続されることになるのです。 ‥‥それが、師匠の遺志として、 書類が残されているので。 |
み: |
そう、なんですか? オドロキさん。 |
王: |
そうだね。いわゆる <<失踪宣告>>‥‥というヤツだ。 |
み: | ‥‥パパ‥‥ |