王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
絵瀬 まこと…黄緑 | |
絵瀬 土武六…灰 | |
或真敷 バラン…薄橙 | |
葉見垣 正太郎…橙 | |
或真敷 ザック…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
原灰…黄 | |
ラミロア…藤 | |
牙琉 霧人…紫 |
王: | あの‥‥コレ、なんですけど。 |
バ: |
おお。それこそは、 我が或真敷のシンボルッ! ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥む。 |
み: |
‥‥どうかしましたか? バランさん。 |
バ: |
‥‥みぬき嬢。 いったい‥‥これは、どこで? |
み: | え。あ、あの‥‥パパから。 |
バ: |
ぱ‥‥‥ぱぱぱぱぱぱパパとなッ! それは、兄弟子・ザック‥‥ |
み: |
いえいえいえッ! あの。 成歩堂 龍一のほうですけど! |
バ: |
なぜ、このようなものを みぬき嬢のパパ上がッ! |
王: | (ぱぱうえ‥‥) |
バ: |
この、封筒のウラ面のサイン。 ご存じなかったかな? これは‥‥或真敷 ザックのもの! |
み: |
えええええっ! ぱ、パパの‥‥サイン! |
バ: | シツレイして、開けてもよろしいか。 |
王: |
‥‥あ。シツレイですけど、 それはダメです! |
バ: | むむむううう‥‥う。 |
王: |
(‥‥いったい、 ナニが入ってるんだ‥‥?) |
王: |
そうそう。こちらに、記者さんが 来たそうですね? 取材とか。 |
バ: |
バランのショーは、全宇宙にて 注目のマトの中のマト。 世界から記者団がちらほら 訪れるゆえ、ダレがダレやら。 |
み: |
あの。ハミガキさん、っていう ヒトなんですけど。 |
バ: |
ハミガキ‥‥ハミガキ‥‥ ハミガキ‥‥ハミガキ‥‥ |
み: | ‥‥思い出したみたいですね! |
王: |
ものすごくフキゲンそうな カオになったけどな。 |
バ: |
‥‥ニカッと笑うと、キツい ミントのニオイのする男でしたな。 |
み: |
あの! みぬきたち、 そのヒトのお話を聞きたいんです! お話、聞かせていただけますか! |
バ: |
その名刺の男なら、さきほど。 この、バランのもとへ現れたようだ。 |
王: | ”さきほど”‥‥? |
バ: |
バランのすばらしき目は、 常に明日を見つめているッ! バランのズバぬけた足は、 常に前に踏み出されるッ! ‥‥それだけのコト。 |
み: |
あの‥‥それだけじゃ、 ゼンゼンわからないんですけど。 |
バ: |
<<大魔術ショー>>の取材‥‥ そういうコトで、このバランは 記者に会うことにしたのです。 それなのにッ! きゃつは、 しきりにあの事件のコトを‥‥ |
王: | ”あの事件”‥‥? |
バ: |
とにかく‥‥その記者クンには お帰りねがいましたよ。 絵描きの死など‥‥ <<或真敷一座>>にくらべたら、 タイクツな幕間劇にすぎぬ‥‥ |
み: |
バランさん! その記者さん。 どこへ行ったかわかりませんか? |
バ: |
‥‥記者氏には、ツミビトたちの パーティー会場をオススメしました。 |
王: | (留置所、か‥‥) |
バ: |
シツレイなオトコだった‥‥ その名刺。よろしいかな? |
王: | あ。はい‥‥ |
バ: |
‥‥シツレイな名刺は コナゴナに破いてしまおう。 |
み: |
あ! 始まりましたよ。 バランさんの大魔術が! |
王: |
破いた名刺がもとに戻るワケか。 (キボの小さな大魔術だな‥‥) |
み: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
バ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
み: |
あれ。大魔術が 始まるんじゃないんですか? |
バ: |
はっはっはっはっはっ! バランにとっては、戻らないほうが 逆に大魔術なのですよ! |
王: |
(どうやら‥‥そうとう 気に入らなかったみたいだな) |
バ: |
さて。そろそろバランは ショーの準備に戻らねばならぬ時間。 よろしいかな? みぬき嬢。 |
み: | ありがとう! バランさん! |
バ: |
それでは、3日後。<<奇跡>>に 立ち会うジュンビをッ! |
王: |
この記者‥‥いったい、 ナニを探っていたんだろう。 それに、この封筒。 バランさん、ヘンだったよなあ。 |
み: |
留置所、もう一度 行ってみましょうか! |
留置所 面会室 | |
?: |
‥‥だからそれはつまり こういうコトでしょ? ”オレたちは、カネのために やっているんだ”ってゆう。 |
看: |
いやいやいやいやッ! ゼンゼンちがいますからッ! |
王: |
‥‥あれ。 だれか、面会してるみたいだね。 |
み: | あの記者さんかな。 |
?: |
おや。 なんですか。あなたたちは。 |
王: |
あ‥‥スミマセン。 面会のおジャマしちゃって。 オレ、弁護士の王泥喜 法介‥‥ (落ち着かないヒトだな‥‥) |
?: |
あ。あ。アナタが、 あの、オドロキさんですか! |
王: |
え。知ってるんですか? オレのコト‥‥ |
?: |
モチロンです。 アレですよね? 法廷で証人をニラみつけ、 ムリヤリ自白させる、ってゆう。 |
王: |
ち。ちがいますよ! (なんか書かれてるぞ‥‥) |
み: |
あの‥‥もしかして、 おじさん‥‥記者さん、ですか? |
?: |
あ。あ。アナタ、 あの、ミヌキさんじゃないですか! |
み: |
え! みぬき、そんなに有名なんですか! |
?: |
モチロンですよ! アレでしょ? カバンを持つのが大のキライで‥‥ 身の回りモロモロみんな、パンツに ネジこんでる、ってゆう。 |
み: |
きゃあああああッ! ゼンゼンちがいますから、それッ! |
?: |
ま。ま。 ちょっと待っててくださいね。 今、インタビューを 済ませっちゃいますから。 |
み: | ”インタビュー”‥‥? |
?: |
えー、それで、看守さん、 つまりアナタがた、アレでしょ? ”オレたちが日々、見張ってるのは、 オノレの欲望そのもの”ってゆう。 |
看: |
い、いやいや! だから、 ゼンゼンちがいますからしてその! ざ、ザンネンながら本官。 シゴトがありますので‥‥失礼ッ! |
み: |
あの‥‥看守さんに インタビューしに来たんですか? |
?: |
やー、オハズカシイ。 面会の張本人が話してくれなくて。 血が鳴り、ウデが騒いだ、ってゆう。 |
み: | え‥‥‥ |
王: | ‥‥やっぱり。 |
葉: |
申し遅れました! ワタシ、葉見垣 正太郎(はみがき しょうたろう)と申します。 ケチなニュース屋ってヤツですわ! ”目をつぶって書け!”ってゆう。 |
王: |
(たしかに、笑うとキツい ミントのニオイがするな‥‥) |
葉: |
ワタシのインタビュー、それは スリリングだという評判なんですね。 ”悲鳴と怒号のウズまくシュラバの スクランブル交差点”ってゆう。 |
王: |
‥‥そうみたいですね。 (なんか書かれてるぞ‥‥ とりあえず、 ハナシを聞いてみるか) |
み: |
あの。葉見垣さんって。 ジャーナリストなんですよね? |
葉: |
あ、ワタシ。いいですか、 ワタシなんですけども。 |
み: | は。はあ。 |
葉: |
ワタシ、インタビューする側。 わかりますでしょうかねえ? 聞くほうであって、 聞かれるほうではない、ってゆう。 |
み: | それは、わかりますけど。 |
葉: |
たとえば‥‥そう! ”作る側”である映画カントクが、 映画を見ると思いますか? |
み: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 見ると思いますけど。 |
葉: |
そう! つまり、そういうコトなんですよ。 |
王: | (やれやれ‥‥) |
み: |
事件のあった夜‥‥ <<どぶろくスタジオ>>に いたんですよね? |
葉: |
あ、ワタシ。いいですか、 ちょっと、それなんですけども。 |
み: | は。はあ。 |
葉: |
ワタシ、こう見えて忙しいんですよ。 いわば、事件を追う旅人なワケです。 ”片道キップの人生は おつりのない人生”ってゆう。 |
み: | それは、わかりますけど。 |
葉: |
片道キップってね。 いつも、手元に残らないんだなあ。 ‥‥改札に出しちゃうから。 |
み: |
まあ、そうですね。 ‥‥手元に残らないのは 片道にかぎりませんけど。 |
葉: |
そう! ケッキョク、 同じコトなんですよ。 |
み: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ナニとナニが同じなんだろ。 |
王: | (やれやれ‥‥) |
み: |
絵瀬 ドブロクさん‥‥ これまで、取材を受けたことが なかったんですよね? |
葉: |
あ、ハイ、それワタシ。 いいですか、ちょっと。 |
み: | な。なんですか。 |
葉: |
きっと、取材に応じさせた ニュース・ソースはナニか‥‥ そういうハナシになると 思うんですよね。 |
み: | は。はあ‥‥ |
葉: |
たとえば‥‥そう! とんかつ屋さんで、ソースが 絶品だったとしましょうか。 オヤジさんが秘伝のソースの 作り方を教えると思いますか? |
み: |
‥‥そのへんで売ってると 思うけどなあ‥‥ |
葉: |
そう! つまり、そういうコトなんですよ。 |
王: |
(やれやれ‥‥今のは わかりやすかったかな) |
葉: |
とにかく。おはなしできるコトは ありませんね。 ”ガラスごしに目と耳あり” ってゆう。 |
王: | しかたないな‥‥行こうか。 |
葉: |
そうだなあ‥‥じゃあ、ひとつだけ。 気まぐれに、ちょっとした ニュースを聞かせてあげましょうか。 |
み: |
あ。聞きたい聞きたい! ‥‥ちょっとした気まぐれに! |
葉: |
あれは‥‥ある日。 片道旅行先で映画を見て、ソースの うまいとんかつ屋さんに入ったとき。 そこで見た、スポーツ新聞に 書いてあったのですが‥‥ ある画商のギャラリーから、 有名な油絵が盗まれたそうです。 |
王: | 油絵が‥‥? |
葉: |
ま、よくあるハナシですがね。 しかし、たまたまその”絵”‥‥ ワタシ、どこかで見たような気が するんですよ。 ‥‥大きなモモが流れてくる。 そんな絵だったんですが。 |
王: | (盗まれた、”油絵”‥‥) |
葉: |
”サンマの焼ける匂いより スクープの燃える匂い”ってゆう。 |
どぶろくスタジオ | |
茜: |
あ、どうだった? 何か、わかった? |
王: |
そうですね。‥‥ひとつだけ、 カクニンしたいことがあります。 |
茜: | な。なによ。コワいカオして‥‥ |
王: |
(どうやら‥‥アカネさん、 何か知ってるみたいだな) |
王: |
この絵‥‥そこの、タナのウラから 出てきたヤツですけど‥‥ |
茜: | う、うん。それがどうかしたかな。 |
王: | ‥‥盗まれたものらしいですね。 |
茜: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ やっぱり、バレちゃったか。 |
王: |
できれば‥‥お話、 聞かせていただけますか? |
茜: |
‥‥そう、ね。 あなたの考えているとおりよ。 絵瀬 土武六さんは ”贋作師”だったみたい。 |
み: | がんさく‥‥ |
み: |
あの。なんですか? ”がんさくし”って。 |
茜: |
”贋作”というのは‥‥ カンタンに言うと ”ニセモノ”のコトね。 |
み: | にせもの‥‥ |
茜: |
コピー、みたいなものかな。 精密に、ホンモノとそっくりの ニセモノを作ることなの。 |
み: |
えー! それなら‥‥ホントに コピーを取った方がラクなのに。 |
茜: |
”贋作”の問題はね。 それを”ホンモノ”として 売ろうとすることなの。 リッパな犯罪なんだよね。 ‥‥トーゼンだけど。 |
み: | じゃあ‥‥土武六さんは‥‥? |
茜: |
そう。ザンネンだけど‥‥ お金をもらって、精巧な贋作を作る シゴトもしていたみたい。 ‥‥イラストを描くかたわらで。 |
王: | そう、だったんですか‥‥ |
茜: |
‥‥じつはね。 これも、そのために 持ってきていたんだけど。 |
王: | どういうことですか? |
茜: |
ある”絵”が、 贋作かどうか、判断する場合‥‥ キャンバスの下に描かれた、 木炭の”下絵”が手がかりになるの。 |
み: |
ああ。したがき、ですね! みぬきも描きますよ! 下書きをしなくちゃ、 絵は描けませんからね! |
茜: |
ただ‥‥ 贋作だと、そうとも限らないの。 最初から、完成形は わかってるワケだし。 |
み: |
へええ‥‥ そんなもの、なんですか。 |
茜: |
だから、キャンバスの下を 調べてみようと思って‥‥ これを持ってきたワケ。 |
王: | (そういうこと、だったのか‥‥) |
茜: |
ま。調べるまでも なかったんだけどね。 3枚のうち1枚は、 贋作の描きかけだったから。 |
み: |
‥‥でも。みぬきとしては、 ちょっと、見てみたいなあ。 どぶろくさんの、下絵。 |
王: |
(そうだなあ‥‥ なんとかならないかな) |
み: |
とりあえず、 ホメてみたらどうですか? 女のヒト、ホメられて イヤな気はしない、って言うし。 |
王: |
(‥‥そうだな。アカネさんに たのんでみるか) |
王: |
あの。この絵の下絵‥‥ 見てみたいんですけど。 アカネさんの”メカ”で なんとかならないかなー、なんて。 |
茜: |
もう、しょうがないなあ! 今回だけだよ? |
み: | じゃ、さっそく調べましょうか! |
茜: |
じゃ、プリントアウト するわね。 |
王: | な‥‥なんだよ‥‥コレ。 |
み: |
なによ! 描いてある絵と、 ゼンゼンちがうじゃない! 下絵。 |
茜: |
ちょっと前までは、 こんなメカ、なかったからね。 テキトーな下絵を描いたんじゃ ないかな。土武六さんも。 |
み: | どういうことですか? |
茜: |
ムカシはね、キャンバスの断面の、 成分だけを調べたんだって。 |
み: | せいぶん‥‥? |
茜: |
絵の具とキャンバスの間に、 木炭の”痕跡”があるかどうか。 つまり‥‥”下絵”があるか どうか、それだけを調べたの。 ‥‥というか、それしか調べようが なかった、ってコトかな。 |
王: |
ああ‥‥じゃあ、つまり。 下絵に”ナニを描こうが” カンケイなかったんですね。 |
茜: |
ジッサイ。プロでも、一度描いた 下絵を絵の具で塗りつぶして‥‥ もう一度、上から絵を描くヒトも いるみたいだしね。 |
み: |
土武六さんも、自分の好きな下絵を コッソリ描いていたんですねー。 |
茜: |
たぶんねー。 ‥‥それが、どうかしたの? |
王: |
(”どうかした”もなにも。 コイツは‥‥) |
み: |
どうしたんですか? オドロキさん。 ダマりこんじゃって。 |
王: |
あの! あの‥‥ もう1枚、調べてみていいですか? |
茜: |
い。いいけど。 アンタも好きだねー。こういうの。 |
茜: |
じゃ、プリントアウト するわね。 |
王: | こ‥‥こいつもか‥‥ |
み: |
どうしたの? オドロキさん。 さっきから、シンコクなカオして。 |
王: |
あの! あの‥‥いっそ、 ゼンブ、調べていいですか? |
茜: |
べ。べつに、かまわないけど。 すっかり、気に入ったみたいだね。 |
茜: |
じゃ、プリントアウト するわね。 |
王: |
い。いったい‥‥これは。 どういうことなんだッ! |
茜: |
‥‥どうしたの、さっきから。 ひとりでコーフンして。 |
み: |
ヘンな光線でもモレてるんじゃ ないですか? このメカ。 |
王: |
みぬきちゃん! 3枚の絵を、よく見てくれよ! ‥‥気がつかないか? |
み: |
あああああああああああッ! こ。これ。これ、って‥‥! |
茜: |
ど。どうしたのよ? ふたりとも、マッサオよ。 |
王: |
これ‥‥この絵。オレが扱った 3つの事件じゃないですか! |
茜: | え‥‥ |
王: |
レストラン<<ボルハチ>>で起こった、 ポーカールームの殺人事件! ラーメン屋の屋台をひいたまま 死んでいたオトコの事件! そして‥‥ ガリューウエーブのライブ中に 起こった、あの事件‥‥ |
茜: |
‥‥どういうことなの‥‥? どうして。よりによって、 そんなものが描かれてるのよ! |
王: | オレのほうが聞きたいですよ! |
茜: |
もしかして! 絵瀬 土武六さん‥‥ おとうさん? あなたの。 |
王: |
そんなワケ、ないでしょう! (絵瀬 土武六‥‥そんなヒト、 聞いたこともないし‥‥ もちろん、 写真に見覚えだって、ない。 それなのに‥‥オレの扱った 事件をキャンバスに描いていた。 ‥‥それも、3件とも ゼンブだ! グーゼン、 なんてワケ、ないよなあ。 いったい‥‥ナニモノなんだ。 ”絵瀬 土武六”って) |