第4話『逆転を継ぐ者』第1回法廷(その4)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
絵瀬 まこと…黄緑
絵瀬 土武六…灰
或真敷 バラン…薄橙
葉見垣 正太郎…橙
或真敷 ザック…青
糸鋸 圭介…黄土
原灰…黄
ラミロア…藤
牙琉 霧人…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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同日 午後1時24分
地方裁判所 被告人第6控え室

み: ええと‥‥
ケッキョク、どういうコト
だったんですか? オドロキさん!
王: だから。殺害された
絵瀬 土武六さんは、いわゆる‥‥
”絵瀬 土武六さん”じゃ
なかった、ってコトだよ。
み: え?
じゃ、ダレだったんですか?
王: いや、だからそれは‥‥
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: (‥‥この状況を知ってか知らずか、
ご本人はマニキュア塗り、か)
やっぱり‥‥その。
あなたが<<贋作>>を‥‥?
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥そうです‥‥
おとうさんの、かわりに‥‥
‥‥イケナイこと、
でしたのですね‥‥
み: あの。みぬきたちに、
聞かせてくれますか?
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥おとうさんは、画家でした‥‥
‥‥わたし、小さい頃から
絵を描くのがスキで‥‥
‥‥ある日。おとうさんが、
気がついたんです‥‥
‥‥わたしに‥‥その。
”チカラ”があることに‥‥
み: チカラっていうのが‥‥その。
”贋作”の‥‥?
ま: ‥‥なんて言うんでしょう。
”絵”だけじゃないんです‥‥
‥‥材料さえあれば、
なんでも”つくる”ことが‥‥
王: なんでも‥‥?
ま: ‥‥おとうさんも、喜んでくれて。
わたし、うれしかった‥‥
‥‥それが‥‥
いつのまにか‥‥
王: <<贋作>>‥‥ですか。
ま: ‥‥わたし。身体が弱いし。
性格も、こんなだから‥‥
‥‥あまり、ソトの世界の
コトは、わからなくて‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥おとうさんは‥‥
わたしのせいで‥‥
み: じゃあ、この、赤い封筒は‥‥?
ま: ‥‥見おぼえがあります。
もう、ずっとムカシ‥‥
王: じゃあ。
そのころから、もう‥‥その。
”作品”を作っていたんですか?
ま: ‥‥12才のコロから
やっていましたから‥‥
王: じゃあ! 切手のウラの”毒”を
見抜いたのは、やっぱり‥‥
係: ‥‥弁護人! そろそろ時間です!
法廷へおねがいします!
王: は、はい!
(時間切れ、か‥‥)
み: あ! まことさん!
コレだけ聞かせてください!
アトリエにあった、
3枚の絵、ですけど‥‥
ま: ‥‥あれも、わたしが
お仕事で描いたものです‥‥
み: 調査をしていたら‥‥
みぬきたち。見てしまったんです。
3枚のキャンバスの下に
隠されていた”下絵”を‥‥
ま: ‥‥そう、だったんですか‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥弁護士さん‥‥
王: ‥‥はい!
ま: ‥‥わたしのおとうさん‥‥
知っていたみたい、です‥‥
‥‥あなたがたのことを‥‥
王: 亡くなった、おとうさんが‥‥?
ま: ‥‥”成歩堂法律事務所”‥‥
‥‥いつも、情報を
集めていたんですよ‥‥
み: で。でも!
みぬきたち、最近は‥‥
ま: ‥‥おもしろおかしく手品をしたり
ピアノを弾いてるんですね‥‥
み: おもしろおかしく‥‥
ま: ‥‥最近、弁護のおシゴトを
再開されたと聞いて‥‥
‥‥おとうさんも、それは
喜んでいました‥‥
み: ‥‥ドブロクさん、って‥‥
いったい、ダレなんですか?
王: ‥‥オレが知ってるワケないだろ?
み: もしかして! 土武六さん、
パパのパパ、だったりして!
王: トシの感じからして、
それはアヤしいと思うぞ。
(みぬきちゃんと成歩堂 龍一の
親子関係ぐらい、な‥‥
<<贋作師>>は、
ムスメのまことさんだった。
これがいったい、事件にどんな
影響を、およぼすんだろう‥‥)


同日 午後1時36分
地方裁判所 第3法廷

裁: それでは、審理を再開します。
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: (まことさん‥‥かなり
キンチョーしてるみたいだ。
‥‥せわしなく、
ツメなんか噛んでるぞ)
牙: じゃあ‥‥まず。
聞かせてもらおうかな。
<<贋作師・絵瀬 土武六>>という
”仕組み”について、ね。
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: (また、だ‥‥まことさん。
牙琉検事のカオを見つめてるぞ)
み: クヤシイけど、カッコいい
ですからねー。牙琉検事。
王: なんで”クヤシイ”んだよ。
裁: それでは、おじょうさん。
うかがいましょうか。
あのニクむべき<<贋作>>は、
本当に、アナタが‥‥?
ま:‥‥‥!
牙: ‥‥じゃあ、ぼくの質問に
答えてくれるかな?
あの絵を描いたの、キミなの?
‥‥とても、よく似ていたけど。
ま: ‥‥あ‥‥はい‥‥
‥‥あれ、わたしが描きました‥‥
‥‥おとうさんが、
よくホメてくれたんです‥‥
裁: やはり‥‥<<贋作>>は、
この少女がやっていたようですな。
牙: しかし。”ウラ”の事情までは
見せたくなかった。
だから、被害者が<<身代わり>>を
つとめていた、というわけだね。
‥‥表向きは<<贋作師>>として。
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥わたし‥‥やっぱり。
悪いコトを‥‥?
牙: とにかく‥‥もう少し、
情報がほしいね。
たとえば、そうだね。
‥‥コイツについて。
王:‥‥!
牙: ‥‥どうだろう。
見たコトは、あるかな?
ま: ‥‥は。はい‥‥
机の引き出しに入ってた‥‥
裁: それでは、証言を
おねがいしましょう。
この封筒について、
知ってることを教えてください。

(赤い封筒について)
ま: 『‥‥わたしが作った”作品”は、
おとうさんが売ってくれて‥‥』(証言1)
『‥‥この封筒は、はじめて”絵”で
ないものを作ったときに‥‥』(証言2)
『‥‥”とりひき”は、おとうさんが
やってくれていたので‥‥』(証言3)
『‥‥わたしは‥‥封筒に入っていた
”切手”をもらったんです‥‥』(証言4)
『‥‥そのシゴトのあと、今の
アトリエに移りました‥‥』(証言5)
裁: ふむう‥‥
どうも、さまざまな興味深い
事実が含まれた証言でしたな。
牙: ‥‥ご本人は
気づいていないようだけどね。
裁: それでは、
尋問をおねがいします!
王: はいッ! 大丈夫ですッ!
(贋作師<<絵瀬 土武六>>‥‥
その正体について、
情報を集めるんだ!)

(「証言1」をゆさぶる)
王: まことさんの”作品”と
いうのは、ええと。
”ソックリ”に描いた絵のこと、
なんですか?
ま: ‥‥似ていれば似ているほど
おとうさんが喜んでくれて‥‥
‥‥わたしも
うれしくって‥‥
裁: しかし。あなたはその。
ずいぶん若いようですが‥‥
いったい、いつごろから?
ま: ‥‥はじめて絵が売れたのは、
12才のときでした‥‥
王: ‥‥裁判長ッ!
彼女は、それが法律に触れる
とは知らなかったんです!

(牙琉検事「異議あり!」)
牙: ‥‥まあまあ。
キミが今、弁護しているのは‥‥
彼女の”贋作”では
ないんじゃないかな?
裁: ふむう‥‥そうですな。
今は、土武六氏を殺害したかも
しれない、この一通の封書‥‥
これについて、
お話をうかがいたいですな。
ま: ‥‥わかりました‥‥

(「証言2」をゆさぶる)
王: ”初めて”というと‥‥
それまでは、<<絵>>だけを
描いていたんですか?
ま: ‥‥そうです‥‥
‥‥でも、おとうさんが
気づいたんです‥‥
‥‥わたしが再現できるのは、
”絵”だけじゃないコトに‥‥
王: と、いうと?
ま: ‥‥たとえば‥‥誰かの書いた
お手紙とか‥‥
‥‥コップにさわったときの
指先の”跡”とか‥‥
‥‥書類に書かれたサインとか、
ハンコとか‥‥
王: (‥‥ゼンブ、キナくさいもの
ばっかりじゃないか!)
牙: つまり。この封書の
”1000万円”のシゴト。
コイツがキッカケだったわけだ。
<<絵瀬 土武六>>の新事業の、ね。
裁: あたらしい‥‥”事業”?
牙: <<犯罪事件の証拠品>>の贋作。
ひらたく言えば、そう‥‥
”ねつ造”かな。
王: (なんてこった‥‥)

(「証言3」をゆさぶる)
王: じゃあ‥‥あなたは、自分の作品に
どういうイミがあったかは‥‥
ま: ‥‥わたし、絵を描くのが
スキですから‥‥
牙: とにかく、彼女は‥‥
ちょっとフツウじゃない世界に
生きてきた少女、というワケだね。
王: それじゃ、まことさん。
この封書のときも、書類は‥‥?
ま: ‥‥おとうさんがサインして
送り返したと思います‥‥
王: ええと。この手紙の指示に
したがったんですか?
”同封の封筒に、同封の切手を
貼って返送すること”‥‥
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: 重要なコトですからね。
よく考えて、おねがいいたします!

(「証言4」をゆさぶる)
王: 切手を”もらった”‥‥
ど。どういうことですかッ!
ま: ‥‥あの。
いけなかったのでしょうか‥‥
王: だ。だって!
その切手を使わなかったのは‥‥
ウラに、モードクがッ‥‥!
アトロキニーネがッ‥‥!

(牙琉検事「異議あり!」)
牙: ‥‥待ちなよ、おデコくん。
王:‥‥‥!
牙: コタエを押しつけちゃダメだよ、
弁護士クン。
さあ‥‥
ぼくに聞かせてくれるかな?
きみは、どうして切手を
”もらった”のか‥‥?
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: ? どうしましたかな?
ま: ‥‥とても‥‥
キレイだったから‥‥
裁: はあ‥‥いわゆる、その。
”記念切手”というヤツですかな?
ま: ‥‥きっと、それです‥‥
王: じゃあ‥‥そこに
”毒”が塗られていたコトは‥‥?
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
(知らなかったみたいだな)
牙: ‥‥この”ワナ”は、
たまたま失敗した、ってコトかな。
その”記念切手”のおかげで。
裁: ふむう‥‥
あぶないところでしたな。

(「証言5」をゆさぶる)
王: <<どぶろくスタジオ>>に
引っ越した、ってコトですか?
ま: ‥‥はい‥‥
ヒトと会わなくなって‥‥
‥‥わたしは、絵本の
絵を描くようになりました‥‥
牙: この依頼がキッカケで、”犯罪”と
つながりを作ってしまったのならば。
世間から隠れようとした
気持ちも、リカイできるね。
ま: ‥‥どうしても、ヒトと会う
必要があるときは‥‥
‥‥おとうさんが<<作者>>として
応対してくれるんです‥‥
王: それが、画家<<絵瀬 土武六>>の
正体だったんですね‥‥
作品を”描く”のはあなた。
作者の”カオ”は、父親の土武六氏。
裁: どうやら‥‥あなたは、
何も知らなかったようですね。
‥‥身の回りで、どんな
危険なコトが起こっていたか‥‥

(まこと、泣き顔の絵を描く)
牙: 知らなかったそうだよ。
王: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
その”記念切手”ですけど。
もう少し、詳しく
聞かせてもらえますか?
ま: ‥‥‥‥‥‥‥
‥‥キレイだったんです。
そして、なによりも‥‥
王: なんですか?
ま: ‥‥わたしの大好きな人たちの
絵が描いてありましたから‥‥
王: ‥‥‥!
(は。はじめて聞く情報だ‥‥)
牙: ‥‥どうやら、尋問はまだ
つづくみたいだね。
証言をつづけてもらえるかな?
‥‥おじょうさん。
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『‥‥切手は、大好きな魔術師の
絵だったから、もらったの‥‥』(証言6)

(「証言6」に「魔術ショーチケット」をつきつける)
王: あなたが好きな<<魔術師>>‥‥
それは、コイツらですかッ!
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
み: こらッ! なんですか、
”コイツら”って!
裁: ふむう‥‥なるほど。
それにしても‥‥なぜ。
わざわざ”びじねす”の文書に、
記念切手など、同封したのでしょう。
王: たしかに‥‥そうですね。
み: キレイな切手の方がいいですよ!
<<或真敷一座>>なら、なおさらです。
裁: しかし、そのせいで
殺害計画が失敗したのであれば‥‥
ヒニク、と言うしかありません。
‥‥いかがですか? 牙琉検事。
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
裁: ‥‥牙琉検事?
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
あるまじき‥‥あるまじき‥‥
王: (なんだ‥‥? 牙琉検事の
ようすがオカシイ‥‥)
牙: ‥‥おじょうさん。
ひとつだけ、いいかな‥‥?
ま: ‥‥‥‥‥‥?
牙: ‥‥今、こう証言したね?
『この依頼で、はじめて‥‥
”絵”以外のものを”作った”』
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥
牙: ‥‥教えてくれないか。
いったい、そのとき”作った”のは、
なんだったのか‥‥?
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥どうして、ですか‥‥
牙: いいからッ!
答えて! ‥‥早くッ!
ま: きゃああああああっ!

(ざわめきが起こる)
裁: が。牙琉検事‥‥?
どうしたのですか。
あなたが声を荒くするなんて‥‥
牙: ‥‥たしかに、ぼくらしくない。
あやまるよ。
でも。‥‥聞かせてほしいんだ。
おねがいするよ。おじょうさん。
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥本‥‥でした‥‥
‥‥ある”本”の、
1ページを作りました‥‥
牙: ”ほん”‥‥
もう少し、セイカクにたのむよ。
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥手書きの、本‥‥
あれは‥‥日記、のような‥‥
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ウソだッ!
そんな‥‥バカなッ!
み: ど。どうしたのかな、
牙琉検事‥‥マッサオです。
牙: ‥‥おじょうさん。
その”本”だが‥‥
ウラ表紙に<<シルクハット>>が
描かれていた! ‥‥どうだい!
ま: ‥‥‥‥!
‥‥どうして、それを‥‥

(王泥喜「異議あり!」)
王: ‥‥牙琉検事!
被告人は、キチンと証言している!
そんな聞き方は、やめてください!
牙: ‥‥‥‥‥‥‥‥
キミは‥‥
聞いていないのか。何も。
‥‥キミの、
ウスよごれたセンセイから!
王: ウスよごれた‥‥?
牙: ‥‥成歩堂 龍一だよ。
決まってるだろ?
み: ‥‥パパ‥‥?
牙: あのオトコが、今から
7年前‥‥
弁護士バッジを
奪われることになった法廷。
王:‥‥‥!
牙: ‥‥彼の運命を決定したのは、
ある”証拠品”だった。
‥‥一冊の、手記。
ウラ表紙に<<シルクハット>>の
マークが刻まれていた‥‥
王: ‥‥なんですってェェェ‥‥ッ!

(ざわめきが起こる)
王: (”ニセの証拠”で、法曹界を
追放された、成歩堂 龍一‥‥
‥‥その証拠を
”作った”贋作師が‥‥
目の前の、この‥‥
この子だっていうのか‥‥ッ)
まことさん!
‥‥教えてください。
7年前の、あの法廷で‥‥
<<絵瀬 土武六>>‥‥”あなた”に
証拠品のねつ造を依頼した人物は!
‥‥いったい。誰だったのですか!

(ざわめきが起こる)
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥わたし。一度しか
会ったことがなくて‥‥
王: 一度‥‥
”会った”んですか!
どんな‥‥
どんな人物だったんですか!
ま: ‥‥それは‥‥
‥‥それは‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
み: まことさん‥‥
どうしちゃったのかなあ。
また、牙琉検事のカオを
じっと、見つめてますけど‥‥
牙: な‥‥なんだい?
ぼくが、どうかした‥‥?
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥ハッキリ、おぼえてます‥‥
‥‥あのとき、わたしに
本をわたしてくれたヒトは‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
王: 誰だったんですかッ!
ま: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ぐっ‥‥
ごほっ!
王: ま‥‥まことさんッ!


‥‥あ‥‥く‥‥ま‥‥
‥‥ドサッ‥‥


被告人・絵瀬 まこと:
証言中、人事不省の重態。
医師の診断:猛毒・アトロキニーネ
による、急性中毒。


‥‥以上が、<<絵瀬 土武六>>殺害
事件の公判‥‥その、全記録です。
絵瀬 まことは、審理中。
何者かに、毒を盛られたようです。
致死量にわずかに足りなかったため、
一命はとりとめましたが‥‥
現在、集中治療室にて、
予断を許さない状況です。
‥‥こうして。
単純に見えた事件は‥‥
ここへ来て、その真の姿を
闇の彼方へくらましたのです。
真実への長い旅‥‥ここに、
もうひとつの裁判記録があります。
ある種”出発点”ともいえる
審理の記録です。
‥‥私たちは、そこに
立ち会わなければなりません。
‥‥そう。すべてを知るために‥‥


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