王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
絵瀬 まこと…黄緑 | |
絵瀬 土武六…灰 | |
或真敷 バラン…薄橙 | |
葉見垣 正太郎…橙 | |
或真敷 ザック…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
原灰…黄 | |
ラミロア…藤 | |
牙琉 霧人…紫 |
‥‥7年前の、あの裁判が すべてのキッカケになった‥‥ それは、マチガイありません。 <<過去>>に残った”謎”が、 <<現代>>に与えた”影響”‥‥ 今度は、あなた自身の手で、 それを解き明かしていただきます。 或真敷 天斎を殺害したのは、 ふたりの弟子のどちらなのか‥‥? 法廷内から”消失”した被告人、 或真敷 ザックの行方は‥‥? 偽造された<<1ページ>>の 手記の”真相”は‥‥? とり残された、少女の運命は‥‥? ‥‥これが<<過去>>に残された 4つの”キー”です。 ‥‥そして、同じように。 7年後の<<現代>>にも、 4つの”キー”があります。 すべての謎の”コタエ”が アキラカになったとき‥‥ あなたは、最後の審理を 目撃することになるでしょう。 <<過去>>と<<現代>>が 入り乱れた”謎”をたどる‥‥そう。 これは、ある種”ゲーム”なのです。 | |
成: |
この”ゲーム”の案内役は、わたし。 成歩堂 龍一がつとめます。 <<偽造証拠の提示>>‥‥ あの、トンでもない裁判が‥‥ <<被告人の消失>>という、 最悪の幕切れで中断されたあと。 このわたしが、いったい どうなったのか‥‥? 調査が進むうち、 アキラカになるでしょう。 ‥‥それから、もうひとつ。 最初に、言っておかなければ ならないコトがあります。 王泥喜 法介弁護士が <<腕輪>>を持っているように‥‥ わたし自身にも、 ある”武器”があります。 <<勾玉>>‥‥ ”まがたま”と読みます。 コイツが、どんな チカラを発揮するのか‥‥? 調査を進めながら、みなさんの目で たしかめていただきましょう。 ‥‥さて。 それでは、始めましょうか。 パネルに触れることで、<<過去>>と <<現代>>を切り替えられます。 まずは<<過去>>‥‥ 7年前に戻ってみましょう。 先ほどの法廷が 終わった”直後”の世界。 ‥‥それでは、 ”ゲーム”を始めてください。 |
成: |
あの、悪夢のような法廷が 終わって、ぼくに残されたのは‥‥ これまた、悪夢のような ”後始末”のヤマだった。 ほったらかしておきたいけど、 そうもいかない。 ‥‥カタづけることができるのは、 たぶん、ぼくだけだから。 まあ‥‥時間だけは、 じゅうぶんにあった。 弁護士協会の 査問審議機関の決定で‥‥ ぼくの弁護士バッジは、 取りあげられてしまったのだから。 |
成歩堂法律事務所 | |
み: | 『あ、パパ! おはよう!』 |
ザ: | 『おお。よく来てくれたな。』 |
み: |
『パパ‥‥大丈夫? いじめられてない?』 |
ザ: |
『はっはっはっはっはっはっ。 モチロン、大丈夫さ。 今日はね。このオジちゃんが、 パパを助けてくれるからね。』 |
成: |
『(”おニイちゃん”だけどね) おはよう。今日は、 カワイイ服を着てるね。』 |
み: |
『うん! だってね。 今日は、初舞台だから。』 |
成: |
‥‥あれから、2週間が過ぎた ある日。 ぼくは、ふたたび ”あの子”と会った。 |
成: |
みぬきちゃん。ちょっと、 ハナシを聞いてくれるかな。 |
み: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
おとうさんがいなくなってから、 今日で2週間になるね。 そろそろ、きみ自身のコトを 考えないと‥‥そう思ってさ。 |
み: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
調べてみたんだけど‥‥ 言いにくいな。 きみには、どうも 身寄りがいないみたいなんだよ。 |
み: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
‥‥それでね。 とりあえず、ここでしばらく ぼくと暮らしてみるかい? パパも‥‥そう。 もうすぐ帰ってくるだろうし。 (正直なトコロ、その点は ちょっとギモンだけど) |
み: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
ああ。モチロン、選ぶのは みぬきちゃんだけどね。 ここが気に入らなかったら、 好きなところへ行っていいよ。 とりあえず、ひととおりの施設は 調べておいたし‥‥ |
み: |
‥‥パパが言ってたの。 弁護士さんは、 シンライできるヒトだ、って。 |
成: | あ‥‥あ。そう。 |
み: |
ケツロンから言うと。 弁護士さんが、みぬきの家族に なってくれる、ってコトですか? |
成: |
え。う、うん。 そういうコト、かな。 (なんだ。このブキミなまでの 飲みこみの早さは‥‥) |
み: |
あの。ええと‥‥ 弁護士さん? |
成: |
ああ。今はムリなのはわかってるよ。 ‥‥でも、いつかは。 ぼくのコトを”パパ”って 呼んでほしいな。 |
み: | じゃ、パパ! |
成: |
(早いな) ‥‥なにかな? |
み: |
みぬき、こっちに転校して こなくちゃいけないでしょ? でね。前の学校の給食費、 まだ払ってないの。10ヶ月ぶん。 よろしくね、パパ! |
成: | ‥‥はあ。 |
み: |
あー、あと。この事務所、 ちょっと”どうかな”って思うの。 なんていうか。 ”ハナがない”っていうのかなあ。 |
成: | ‥‥はあ。 |
み: |
それに、パパ。弁護士、 クビになっちゃったんだよね。 だいじょうぶだよ! みぬき、がんばっちゃうから。 |
成: | みぬきちゃん‥‥いくつだっけ? |
み: |
8才ですけど。 こう見えて、みぬきってば。 チャキチャキの”プロっ子” だから! やしなってあげるね! パパ! |
成: |
‥‥あ。ありがと。 (ま、いいか‥‥) |
み: |
で、パパ。クビに なっちゃったんでしょ? 弁護士。 |
成: |
あのさ。そんなマッスグな目で ”クビ”ってキメつけられると‥‥ 意外とコタえるんだよなあ‥‥ |
み: |
あ。ゴメンなさい! オトナって”くだらないめんつ”で 生きてるんだっけ。 前のパパが、そう言ってたの。 それのコト? |
成: | まあ‥‥ある種、ね。 |
み: |
ね。みぬき、思うんだけど。 いっそ、新しい事務所にしようよ! ”ホーリツ”って、 なんかカタそうだし。 みぬき、学校で トモダチできなくなっちゃうよ。 |
成: |
うーん‥‥それはコマるけど。 法律以外のコト、 よく知らないんだよ。 (”法律もアヤシイ”って 言われることがあるけど) |
み: |
でも。”事務所”っていえば、 フツー”ゲーノー”でしょ? |
成: |
”げーのー”って‥‥ ”芸能事務所”のコト? でも。そっちの事務所には、 ”タレント”がいるからなあ。 |
み: |
ホラ! みぬきがいるじゃない! ”ぷろふぇっしょなる”だよ! |
成: | みぬきちゃんが‥‥プロ? |
み: |
そうだよ! なんてったって、 ”あの”或真敷 ザックの子だから。 |
成: | はあ‥‥ |
み: |
あ‥‥‥モチロン、今は ”あの”成歩堂 龍一の子だけど。 |
成: |
(8才の女の子に 気をつかわれてしまった) |
成: |
パパ‥‥”或真敷 ザック”のコト、 聞かせてもらえないかな? |
み: |
うん。いいよ! パパ、みぬきの家族だし! |
成: |
(この場合の”パパ”は、 どっちの”パパ”なんだろう) |
み: |
パパねー、スゴイんだよ! あの<<或真敷一座>>の カンバンスターだからね! |
成: |
<<或真敷>>‥‥たしかに。 よくテレビに出てたよね。 (そういえば最近、 あまり見なくなったけど‥‥) |
み: |
<<或真敷 ザックとバラン>>‥‥ ふたりでスゴい大魔術をするの。 舞台に巨大な滝を出してみたり! その滝を、巨大なコイが のぼってみたり! |
成: |
コイが巨大であるイミが、 よくわからないけど、スゴイね。 |
み: |
もっと‥‥パパの、いろんな魔術を 見たかったのにな。 |
成: |
(しまった! このハナシは、 まだ早かったか‥‥) |
み: |
これから、どうすればいいのかな。 もう、ママもいないし。 |
成: |
ママ‥‥か。 (そういえば‥‥まだ、 聞いたことがなかったな。 みぬきちゃんの ”おかあさん”のこと‥‥) |
み: |
でも。みぬきには大魔術があるし。 無職のステキなパパもいるし。 だから、大丈夫だよ! |
成: |
(少し、聞いてみようかな。 おかあさんのコト‥‥) |
成: |
みぬきちゃんは、その。 ”プロフェッショナル” なんだよね? |
み: |
そう! ええと。 なんていうのかな、こういうの。 ”カエルの子はカエル”‥‥? |
成: | ああ。そんなコトバはあるね。 |
み: |
でもね、みぬき。 それって、ヘンだと思うの。 |
成: | なにが? |
み: |
”カエルの子”は ”オタマジャクシ”じゃない。 コドモだと思ってバカにしてさ。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ まあ、ケッキョクのトコロ。 みぬきちゃんは <<大魔術のプロ>>ってコトかな。 |
み: |
そう、それ! どう? どう? 見てみたい? |
成: |
みぬきちゃんの大魔術、かあ。 そうだなあ‥‥ |
成: |
ぜひ、見てみたいなあ。 事務所の将来にも、大きく かかわってくるみたいだし。 |
み: |
そう来なくっちゃあ! ‥‥じゃあ! みぬきのトクイ芸、行きまーす! |
帽: | ぼうしクンです。ヨロシク。 |
成: |
うわああああああああッ! ううう‥‥ビックリした‥‥ |
み: |
ね。ね。ものスゴいでしょ? <<ぼうしクン>>って言うんだよ! |
帽: | 恥ずかしながら、スゴいんです。 |
成: |
たしかに‥‥ コレは、ウケるかもしれないね。 |
み: | でしょお? ふふ。よかった! |
帽: |
‥‥正直なトコロ、 マンザラでもない気分です。 |
成: |
(ヤレヤレ‥‥ホントに 心臓が止まるかと思ったよ) |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
よかったら‥‥ママのコトも、 話してくれないかな。 |
み: |
ママ‥‥ホント、 キレイだったんだよ。 舞台の上で、アレ。 ”てんし”みたいな。 |
成: |
”ぶたい”‥‥というと、 パパといっしょに‥‥? |
み: |
うん! <<ザックとバラン>>のステージで、 いつもいっしょに笑ってたよ! それなのに‥‥ 突然、いなくなっちゃった。 |
成: | いなくなった‥‥? |
み: |
ママ‥‥大魔術で失敗して‥‥ 消えたまま、出てこられなく なっちゃったのかなあ‥‥ |
成: | ‥‥そう、かもしれないね。 |
み: |
みぬき、泣いちゃって。 そしたら‥‥パパがくれたの。 ‥‥これ。 |
成: |
これが‥‥おかあさん? (キレイなヒトだな‥‥) |
み: |
或真敷 優海(あるまじきゆうみ) っていうの。 |
成: |
(いなくなった”ママ”‥‥ そして、今度は目の前で”パパ” が消えた‥‥かわいそうにな) |
み: | ねえ、パパ。パパは‥‥ |
成: |
ああ‥‥大丈夫だよ。 ぼくは、消えたりしないから。 |
み: |
うん! パパは魔術できないし、 ”安全パイ”ってヤツだよね! よく、パパが言ってたの。 |
成: |
(‥‥ちょっと引っかかる 言い方だな) |
手に入れた。 | |
成: |
じゃあ‥‥今日は これぐらいにしておこうか。 ゴメンね。いきなり、 いろいろ聞いちゃって。 |
み: |
ううん、いいよ。 もう、家族なんだし。 それより、パパも カクゴ決めてくれた? ”成歩堂芸能事務所” あしたから始めるからね! |
成: |
い。いや、だから。 タレントは‥‥ |
み: |
みぬきとパパ。 決まってるじゃない。 |
成: |
いやいや。それだけじゃ 足りない‥‥ え。待てよ。 なんでぼくまで”タレント”に 入ってるんだよ! |
み: |
なんか、あるでしょ? トクギのひとつぐらい。 |
成: | え‥‥ |
み: |
うわ。ないの? カッコわるいなあ。 男子たるもの、芸のひとつやふたつ、 いつもポケットに‥‥ |
成: |
ああ、わかったよ! なんか考えるから。 |
み: |
よおし! じゃ、明日から がんばろうね、パパ! |
帽: | よろしくたのみますよ、パパさん。 |
成: | ああ‥‥よろしくね。 |
成: |
‥‥こうして、 魔術師の忘れ形見は‥‥ <<成歩堂 みぬき>>となり、 ぼくの家族になった。 正直なところ、最初はとまどう ばかりだったけど‥‥ ふり返ってみると、ぼく自身。 ひどくキズついていた時期だった。 ‥‥にぎやかな彼女のおかげで、 ずいぶん救われたような気がする。 |
地方裁判所 第2控え室 | |
成: |
‥‥しばらく来ることは ないだろうと思っていた。 来れば、あの日のコトを 思い出すのはわかっていたから‥‥ |
裁: |
『‥‥このようなカタチの判決に なるのは、ザンネンですが‥‥ 本法廷は、これ以上の審理を 認めるワケにはいきません。』 |
ザ: | 『ああ‥‥裁判長さん。』 |
裁: | 『? な。なんですかな?』 |
ザ: |
『ヒトツだけ、 ハッキリさせておこうか。 今日。この場で‥‥ キミたちは、この私に <<有罪判決>>を下すコトはできない。』 |
裁: | 『ど。どういうことですかな?』 |
ザ: |
『そいつは‥‥‥‥‥‥ こういうことさ!』 |
成: | 『な‥‥奈々伏さんッ!』 |
牙: |
『被告人が逃げたッ! 追うんだ! 早くッ!』 |
裁: |
『係官! すべての出入り口を 封鎖するのですッ!』 |
裁: |
『大至急! ゼッタイに 逃がしてはなりませんッ!』 |
成: |
(あの日、ここに来たときには つけていた<<弁護士バッジ>>。 ‥‥今は、もうない。 調査をする権限すらない今、 どこから手をつければ‥‥) |
?: |
ちょっと! そこのオトコッ! 床にハラバイになり、 手をアタマの上に置きなさいいッ! |
成: |
な。な。な。なんですか! いきなり耳元で! |
?: |
ここは関係者以外の人間以外、 立ち入り禁止でありますッ! |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ それって、”関係者”が 立ち入り禁止になっちゃいますよ。 |
?: |
ええええええええええええッ! ‥‥本官、ありていに言って、 いつもこんな調子であります。 署を追われ、サイフを落とし、 友に逃げられ、コイビトに捨てられ。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あの。あなた‥‥ 会ったことがありますよね? 2年ほど前‥‥何かの事件で。 |
?: | おぼえてないでありますッ! |
成: | ‥‥え。 |
?: |
本官にとって”事件”とは、ツネに 現在進行形でボッ発しているもの。 過去の事件は、キレイサッパリ 忘れるコトにしてますからしてッ! |
成: |
わかりましたわかりました! とにかく、係官さんですね? |
原: |
法廷係官・原灰(はらばい)で ありますからしてェェッ! |
成: |
‥‥あの。 法廷で、魔術師を取り逃がした 係官に面会を申し込んだんですけど。 |
原: |
それは。おそらく、その。 ヒトコトで申し上げますと。 ‥‥本官のことで ありますからしてェェェッ! |
成: |
で、でも‥‥シツレイですが。 あなた、警察官でしたよね‥‥? |
原: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ イロイロありましたでありました。 |
成: |
(事情を聞くのはメンドウだ。 今はそっとしておこう) じゃあ、あの”消失事件”のとき、 あなたが警備を‥‥? |
原: |
やるせないでありますッ! あれ以来! 本官。その。 ドン底人生でありますッ! 署を追われ、サイフを落とし、 友に逃げられ、コイビトに捨てられ。 |
成: |
(どうやら‥‥ここにもヒトリ、 ”被害者”がいるみたいだ‥‥) |
成: |
たしか、以前お会いしたときは、 おまわりさんでしたよね。 ‥‥その制服。 警察官のものだし。 |
原: |
本官‥‥本官。 じつは、本官であります。 あれは、去年のコト。将来有望な 若き本官に、ヒゲキが。 3日で4回、警察手帳を なくして、警察官をクビにッ! |
成: |
‥‥それはかえって、 貴重な人材とも思えますね。 |
原: |
だからこうして、法廷係官として イチから出なおすコトに! |
成: | でも。その制服は‥‥? |
原: |
クビになった日、記念に 持って帰っちゃったであります。 |
成: |
(それって、かなり マズいんじゃないのか‥‥?) じゃあ‥‥あなたが”あの日”。 彼を取り逃がしたんですか? |
原: |
やるせないでありますッ! 将来有望な、若き法廷係官に ヒゲキが襲いかかったであります! |
成: |
すみませんが‥‥そのときのコト、 くわしく聞かせてもらえますか? ‥‥或真敷 ザックの ”消失”について。 |
原: | やるせないでありますゥゥゥゥッ! |
成: | ‥‥それ、もういいですから。 |