王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
絵瀬 まこと…黄緑 | |
絵瀬 土武六…灰 | |
或真敷 バラン…薄橙 | |
葉見垣 正太郎…橙 | |
或真敷 ザック…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
原灰…黄 | |
ラミロア…藤 | |
牙琉 霧人…紫 |
ザ: |
或真敷 天斎の大魔術は、芸術だ。 その仕掛けは厳重に管理されている。 この書類を持つ者は、 彼の芸を継承して‥‥ ステージで 上演することができる。 |
成: |
(まあ。”弟子”にとっては ダイジなものなんだろうな‥‥) |
ザ: |
私は、彼の芸を受け継いだ者として、 それを、正統な人間に残したかった。 |
成: | ”正統な”‥‥? |
ザ: |
もう、わかっているだろう。 私の決めた後継者は‥‥ |
成: | むすめさん、ですか。 |
ザ: |
私が、こうしてキケンを犯して カオを出したのは、そのためだ。 ‥‥ハミガキくん。 |
葉: | はッ! コレ、ですね? |
成: | それは‥‥? |
ザ: |
私が受け継いだ<<権利>>を みぬきに譲渡する書類だ。 ここに署名してくれないか。 証人として、ね。 |
成: |
で、でも‥‥ ぼくはもう、弁護士じゃない。 それに。公証人の資格を持った 人間がいないと‥‥ |
葉: |
あ。ワタシ。こう見えて、 公証人の資格、持ってますから。 |
成: | あなたが‥‥? |
葉: |
あるときは、公証人の メガネをかけた、ニュース屋。 あるときは、ニュース屋の メガネをかけた、公証人。 そのメガネをハズすと‥‥ 人生よく見えない、ってゆう。 |
ザ: |
さあ、署名をたのむよ。 ここへきた、第一の目的なのだ。 |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
なるほど‥‥やっと、 わかりましたよ。 あなたがなぜ、今になって。 姿を現したのか‥‥ あれから”7年”‥‥ そういうことですね? |
ザ: | ‥‥そういうことだ。 |
成: |
‥‥こんな法律があります。 <<行方不明になった者は、満7年を もって”死者”として扱う>> ‥‥つまり。 世間から姿を消して7年たつと‥‥ その人物の”生者”としての権利は、 すべて失われてしまうんです。 ‥‥もちろん、その”財産”もね。 |
ザ: |
そのとおりだ。 だからこそ、私はこうして‥‥ 書類を作るため、世間に カオを出すしかなかった。 ”満7年”が過ぎてしまう前に。 ‥‥いわば、これは。 私の”遺産相続”だな。 |
成: |
でも。書類がなくても‥‥ 財産なら自動的に、みぬきちゃんに 相続されるのでは‥‥? |
ザ: |
‥‥そうはいかないのだ。 この場合は、な。 |
成: | ”この場合”‥‥? |
ザ: |
たしかに私は、或真敷 天斎から こうして”上演権”を譲渡された。 しかし。それは、誰も知らない ”密室”で行われた。 天斎の生前、後継者として名前が 挙がっていたのは、ふたりだった。 私‥‥或真敷 ザック、 そして、或真敷 バランだ。 ‥‥むすめの名はなかった。 |
成: |
‥‥なるほど。 だから、この書類を‥‥ |
ザ: |
ハミガキくんは、姿を消す前からの つきあいで、信頼できる男だ。 つまり。私が”生き返った”コトを 知る人間は、3人しかいない。 |
成: |
‥‥みぬきちゃんのコト、 調べてみました。 どうも、あなたの他に身寄りがない、 ということでしたけど。 |
ザ: |
‥‥ああ。そのとおりだ。 ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ (ふつう、この流れなら‥‥ ”母親”について話してくれる のが当然、だと思うけど‥‥) |
ザ: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(気になるな。みぬきの ”母親”‥‥か‥‥) |
成: |
この方が、みぬきちゃんの おかあさん、ですね? |
ザ: |
‥‥‥! どうして、これを‥‥ |
成: |
みぬきちゃんに 見せてもらいました。 あの子は”いなくなった”と 言ってましたけど‥‥ |
ザ: | ‥‥ならば、そうなんだろう。 |
成: | え。 |
ザ: |
”いなくなった”‥‥そのとおり。 それ以上、話すことはない。 |
成: | (なぜ、話してくれない‥‥) |
葉: |
あ。ワタシ! 聞いたコトありますよ! |
成: |
うわッ! あなた、 まだいたんですか! |
葉: |
ワタシの取材によると。 みぬきさんのママは、その。 或真敷 天斎の ひとりムスメだった、ってゆう。 |
成: |
な。なんですって! そうなんですか、ザックさん‥‥ |
ザ: | ハミガキッ! よけいなコトをッ! |
葉: |
ふぎゃあああああああッ! え。え。なんですか。 ワルモノですか、ワタシ‥‥ |
成: | (パンチされた‥‥) |
ザ: |
‥‥とにかく、成歩堂くん。 この話は終わりだ。 |
成: |
(‥‥”或真敷 優海”には、 何か、大きなヒミツがある。 もっと、証拠を集める必要が あるみたいだな) |
ザ: |
‥‥さて。前置きが 長くなってしまったね。 そろそろ始めようか。 私の生涯”最後の勝負”をね。 |
成: | 最後の‥‥? |
ザ: |
私は今日、この書類を作るため だけに、世間にカオを出した。 用がすんだら、また。 地下にもぐるつもりだ。 |
成: |
‥‥ムスメさんには 会わないんですか? |
ザ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 会わないほうがいいだろう。 ‥‥7年前。 私は、キミに負けた。 私は”負け”は許せないタチでね。 ”負け”は、天斎ひとりでいい。 聞くところによると、キミは ”無敗”のプレイヤーだとか。 |
成: | ‥‥くだらないウワサですよ。 |
ザ: |
<<無敗>>など、あり得んのだよ。 何か”シカケ”がないかぎりは。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
ザ: |
魔術師を名乗る者として、 どうしてもユルせないんだ。 弁護士クンふぜいが、ちゃちな イタズラをしていると思うとね。 |
成: |
やれやれ‥‥ぼくは、あなたの 書類にサインしたんですよ? |
ザ: |
そいつは、ベツの話だ。 最後の勝負‥‥なんとしても、 キミの<<無敗伝説>>に風穴を開ける。 それが、私の最後のショーだ。 カクゴすることだ。 |
成: |
(やれやれ‥‥ヤッパリ、本気だ。 ヤッカイな男だな) |
ザ: |
‥‥ハミガキ。 キミはもう、帰っていいぞ。 |
葉: |
あ。その。セッカクですから! 世紀の大勝負を、スクープ‥‥ |
ザ: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥まだ、パンチが足りないか? |
葉: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あ。 ワタシ、急用を思い出しました! それでは、みなさん。 またお会いしましょうッ! |
ザ: |
‥‥それじゃ、始めよう。 ディーラー! 来てくれたまえ! |
雅: | ‥‥はい。 |
ザ: |
キミは、この勝負の”証人”だ。 シッカリたのむぞ。 |
雅: |
よ。よろしく おねがいいたしますね。 |
成: |
‥‥‥? (見ないカオだな‥‥) |
ザ: |
ああ。そういえば‥‥ レストランの入口で、 知ったカオを見かけたよ。 ‥‥向こうは 気がつかなかったようだが。 |
成: | ‥‥‥? |
ザ: | がりゅう‥‥といったかな、アイツ。 |
成: | 知ってるんですか? 彼を。 |
ザ: |
ああ、ちょっとな。 ‥‥いいかい、成歩堂くん。 ”真剣勝負は、いろいろな コトを教えてくれる” ‥‥覚えておくといい。 |
成: |
或真敷の”チカラ”‥‥ それを知るためには、まだ 手がかりが足りなかった。 追うべき手がかりは、わかっていた。 みぬきの”母親”‥‥ いつか、あの記者にもう一度‥‥ 会う必要があるだろう。 ‥‥そして、もうひとつ。 ザック氏との<<最後の勝負>>が 始まってから‥‥ アタマの中を、ある”名前”が グルグルと回りつづけていた。 ‥‥そう。今はすでに、刑務所の 独房の中にいる、あの男の名前だ。 なぜ、或真敷 ザックは、あの 名前を知っていたんだろう‥‥? |
中央刑務所 13号独房 | |
霧: |
おやおや。 これは、めずらしい客ですね‥‥ わざわざ、この狭い我が城に 足を運んでいただけるとは。 |
成: | 牙琉‥‥ |
霧: |
『‥‥これが‥‥キミの復讐、 というワケですか。成歩堂 龍一。 7年前‥‥キミが弁護士バッジを 失うことになった、あの事件の‥‥』 |
成: |
『ヒトの”過去”は、 ロジックといっしょ‥‥一本道だよ。 今さら、何をしても変わりはしない。 ぼくは、ただ‥‥ 降りかかる火の粉を払っただけさ。 ‥‥正しい方向に、ね。』 |
霧: |
『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ まあ、いいでしょう。 楽しかったですよ。 キミと戦うことができて、ね。』 |
霧: |
‥‥元気そうですね。 成歩堂 龍一。 |
成: | きみもな。‥‥牙琉。 |
霧: |
人生とは、予想がつかないものです。 ‥‥おたがいに、ね。 |
成: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
霧: |
まさか、弁護士バッジを失うことに なるとは思わなかったでしょう。 |
成: |
きみも、まさかこんなところに 入るとは思わなかったワケか。 ”浦伏 影郎”‥‥ きみが殺害した人物の名前だ。 彼の<<正体>>‥‥ 知っていたのか? |
霧: | 正体‥‥? |
成: |
<<或真敷 ザック>>さ。 例の、被告人だよ。 |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 覚えていますよ。モチロン。 彼が、或真敷 ザック? あり得ない話ですね。 |
成: |
‥‥トボけるなよ。 グーゼン、とは言わせない。 |
霧: |
‥‥だから、さっきも 言ったでしょう。 人生とは、予想がつかないものだ、 と。そう思いませんか? |
成: |
あの法廷のあと。きみはタイホされ、 有罪判決を受けたが‥‥ ケッキョク、きみの”動機”は ハッキリしないままだった。 それが急に、気になりだしたのさ。 |
霧: |
‥‥きみはもう弁護士ではない。 そんなコトを調べて、 なんになると言うのですか。 私は、浦伏という男を ボトルで撲殺した、ヒドい人間だ。 ‥‥それで、じゅうぶんでしょう。 |
成: |
(‥‥それは、ちがう。 ぼくには、知る必要があるんだ。 撲殺の”理由”を‥‥) |
成: |
7年前の、あの事件‥‥ おぼえているな? |
霧: |
或真敷 ザックが法廷内から ”消失”した事件‥‥ですね。 私の弟が、世間の賞賛を 一身に浴びた事件でもある。 弁護士の不正を暴いた 天才検事、ということでね。 |
成: |
あの事件がキッカケだったな。 きみと知り合ったのは。 |
霧: | そう、でしたっけね。 |
成: |
弁護士協会の査問審議機関の意見は、 全会一致で<<厳罰処分>>だった。 しかし‥‥きみだけが、 それに異議をとなえてくれた。 |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ なんといっても、 原因を作ったのは私の弟ですから。 |
成: |
以来、7年間‥‥ きみとは、長いつきあいだ。 なのに‥‥いまだに。 ぼくは、きみがわからない。 |
霧: |
あなたは、ただの”友情”で 私に近づいてきたのではない。 ‥‥疑っているのでしょう? この私のことを。 |
成: | ‥‥わからないよ。今は、な。 |
成: |
ヒトは、理由もなくジュースの ボトルを振り下ろすことはない。 きみの”理由”を 聞かせてほしいんだ。 |
霧: | ‥‥なかなか、しつこいですね。 |
成: |
ぼくがここへ来たのは‥‥ 思い出したからだ。 あの”勝負”の夜‥‥ 或真敷 ザックが、 きみの名前を出したことを。 |
ザ: |
『ああ。そういえば‥‥ レストランの入口で、 知ったカオを見かけたよ。 ‥‥向こうは 気がつかなかったようだが。』 |
成: | 『‥‥‥?』 |
ザ: | 『がりゅう‥‥といったかな、アイツ。』 |
成: |
‥‥その後、彼が殺害されて‥‥ ぼくは、きみに助けを求めた。 きっと、それも‥‥あのときの コトが、印象に残っていたからだ。 |
‥‥すまないが、 メンドウに巻きこまれたようだ。 うん。そんなところだ。 ‥‥死んじまったよ。 思い切り、殴られたみたいだ。 よしてくれ。 とにかく、これから警察が来る。 たのむぜ。 ‥‥もしものときは、な。 | |
成: |
‥‥教えてくれ。 きみはなぜ、浦伏 影郎を‥‥いや、 或真敷 ザックを殺害したんだ! |
霧: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(こ。これは! 見たことのないロックだぞ‥‥ 暗くて‥‥ 絶望的に、冷たい感触‥‥ このロック‥‥ 解除できるのか‥‥?) |
霧: |
どうかしましたか? 成歩堂‥‥ |
成: | ‥‥な、なんでもない。 |
霧: |
ムリはしないほうがいいですよ。 人生には、余裕がないと、ね。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
(牙琉のやつ‥‥ マニキュアを塗り始めたぞ) |
霧: |
”男のクセに、マニキュアか” ‥‥そう思いますか? |
成: |
まあ‥‥きみは、見るからに キレイ好きみたいだからな。 |
霧: |
ツメの美しくない人間は、 生き方もまた、しかり‥‥ それが、私の考え方なのですよ。 なにものも、一流‥‥ そこは、ゆずれませんね。 |
成: |
たしかに‥‥このボトルも、 キラキラとキレイだな。 |
霧: |
クリスタルですからね。 そんなに気になるようなら、 ひとつ進呈しましょうか。 |
ポケットにそっと忍ばせた。 | |
どぶろくスタジオ | |
?: |
まあ‥‥いつか来る、とは 思っていましたよ。 |
成: |
ひさしぶりですね。 絵瀬 土武六さん‥‥でしたっけ。 |
土: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ わ。私は‥‥法に背いた コトはしておりません。 |
成: |
‥‥ぼくも、過ぎたコトでグチを こぼすために来たワケじゃない。 お話をうかがいたいんです。 |
土: |
‥‥アナタには、 そのケンリがあるでしょうな。 ‥‥あの日。 法廷で、大騒ぎになって‥‥ ただ、アナタだけが。 ‥‥静かな目をしていた。 あのときのアナタには、 感銘を受けたものですよ。 |
成: |
‥‥トンでもない目にあうのは、 慣れてますから。 |
土: |
成歩堂 龍一さん、でしたな。 答えられる質問には、答えましょう。 |
成: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ (なんだろう‥‥? 強い”視線”を感じるな) |
?: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
土: |
ああ‥‥私のムスメです。 まこと。ごあいさつなさい。 |
ま: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: | (行っちまったよ‥‥) |
土: | それでは、始めましょうか。 |
成: |
‥‥この机。 もう少し、そばによってみよう。 |
成: |
ヤケに小さなガクだな‥‥ 中に飾られているのは‥‥ 切手、かな? |
土: |
ああ。さわらないでもらえますか。 私が怒られてしまうので。 |
成: | ‥‥‥? |
土: |
いや。その切手は まことのものでしてね。 いつもそうやって、見える ところに飾っておくのですよ。 |
成: |
これは<<ザックとバラン>>‥‥ 或真敷一座、ですね? |
土: |
去年、文化庁から表彰された ときに発行された、記念切手です。 ‥‥当時、その。 人気の絶頂でしたからね。 |
成: |
(あの事件のせいで‥‥ 文字どおり、姿を消すコトに なっちまったワケだけど‥‥) |
土: |
あれが小さいコロに一度、 大魔術ショーを見に行きましてね。 そのとき以来、すっかり ファンになってしまったようです。 一座があんなコトになるまで、 いつもテレビで応援を。 |
成: | ‥‥そうなんですか。 |
土: |
なかなか、手に入らない シロモノらしいですよ、その切手は。 ‥‥ムスメも、どこで 拾ってきたものやら‥‥ |
法廷記録にファイルした。 | |
成: |
あなたは‥‥画家、なんですか? ‥‥この部屋の感じでは。 |
土: |
お恥ずかしいハナシですが‥‥ 私の絵が売れたことは、 まだないのですよ。 まあ。私ヒトリなら、 どうとでもなるのですが‥‥ |
成: | むすめさん、ですか‥‥ |
土: |
あれの母親も、私にアキれて 出ていってしまいました。 あの子には、みじめな思いは させたくないのですよ。 それで‥‥その。始めたのです。 |
成: | ”贋作”‥‥ですか。 |
土: |
‥‥そんな目で見ないでください。 私だって、わかっているのです。 持ちこまれる”絵”は 半分以上が盗品。 そして、コピーされた作品が 何に使われるかも‥‥ |
成: |
どうやら‥‥”作品”は、 絵だけじゃないようですが? |
土: |
こんなコトを言って、信じて もらえるかどうか‥‥ ”絵”以外の依頼を受けたのは、 アレが初めてだったのですよ。 |
成: | なんですって‥‥ |
土: |
‥‥まさか、殺人事件の 証拠品だったとは‥‥ 本当に‥‥そんなことは 考えもしなかったのですよ。 |
成: |
じゃあ、どうして 引き受けたんですか! |
土: |
あまりに‥‥その。 報酬が高額でしたから。 |
成: |
(やれやれ‥‥どうやら、必死で 逃げようとしてるな‥‥ ”過去”から‥‥) |
土: |
正直なトコロ‥‥ 早く忘れたいのですよ。 アナタには悪いのですがね。 |
成: |
ザンネンですが、 そうはいきませんよ。 (思い出させてやらなければ ならないみたいだな‥‥ 自分の”作品”のコトを‥‥) |
成: |
あなたの”作品”‥‥ 忘れたとは言わせませんよ。 |
土: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
あなたは、ただ”コピー”を作った だけだと言うかもしれない。 しかし。コイツは、無実だったかも しれない男の人生を狂わせた。 |
土: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
ぼくにも、そのセキニンがある。 だから‥‥知らなければならない。 そして‥‥あなたも、 話さなければならないんです。 |
土: |
‥‥やはり。もう、 逃れることはできないんですね‥‥ |
成: |
じゃあ‥‥ 聞かせていただきますよ。 |
土: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
さあ。この”作品”について、 聞かせていただきましょう。 |
土: |
‥‥今まで、 やったことのないシゴトでした。 |
成: |
たしかに。 ”絵”じゃないですからね。 |
土: |
そういうイミではありません。 今までは、そこにあるものを ”コピー”するだけだった。 |
成: | ‥‥どういうことですか? |
土: |
‥‥あの日。<<依頼人>>から わたされたのは‥‥ 手記と思われる、サンプルの 1ページと‥‥ <<依頼人>>がデッチ上げたと 思われる、印刷された文章でした。 |
成: |
”本物”を参考にして、デッチ上げ の文章を再現したわけですね? |
土: |
そ。そう‥‥ あんなシゴトは、初めてでした。 |
成: |
それで‥‥ あなたに、このシゴトを 依頼したのはダレなんですか? |
土: |
ほ‥‥法廷でも、言いましたが。 わ。私は、知らないのですよ。 |
成: |
‥‥本当ですか? こんなアヤシイ”偽造”ですよ。 ぼくなら、依頼人の情報を 知っておこうと思いますがね。 |
土: |
ほ。本当に知らないのです。 その‥‥わ。私自身は‥‥ |
成: |
(ここで”サイコ・ロック”‥‥) どうやら‥‥何か”ヒミツ”が あるようですね。 この”作品”について‥‥ |
土: | む‥‥うううう‥‥ |