第4話『逆転を継ぐ者』探偵パート2日目(その5)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
絵瀬 まこと…黄緑
絵瀬 土武六…灰
或真敷 バラン…薄橙
葉見垣 正太郎…橙
或真敷 ザック…青
糸鋸 圭介…黄土
原灰…黄
ラミロア…藤
牙琉 霧人…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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7年前
留置所 面会室

バ: これはこれは‥‥
フシギな光景ですな。
成: なにが、ですか?
バ: この、ガラスの壁をへだてた
向こうとこちら‥‥
そもそも”逆”であるべきでは
ないでしょうかなッ!
証拠をねつ造したあなたが
自由の身で‥‥
無実の私が、こうして、
とらわれの身とは。
成: ぼくが”ねつ造”したという
証拠はありませんよ。
バ: 私が、師匠のイノチを奪ったという
証拠もないようですがね。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
バ: まあ‥‥やがて私は、
自由の身になるでしょう。
大きなステージが、
私を待っている。
その一方で‥‥あなたを
待っているのは、なんですかな?
成: (場末のレストランの、
小さなピアノ‥‥かな)
バ: まあ、いいでしょう。
タイクツしていたところです。
ハナシを聞いてあげましょうか。
成: (或真敷 天斎をめぐる
”射殺事件”‥‥
撃ったのは、兄弟子ザックか、
このバランか‥‥
決着の前に、”兄弟子”は
消失してしまった。
その”謎”の手がかりが、
ここで見つかるのか‥‥?)

(「運命の”法廷”」を聞く)
バ: さすが、兄弟子・ザック‥‥
といったところでしょうか。
あの場面で”消失”とは。
成: おかげで、ぼくの弁護士バッジも
消えてしまいましたけどね。
バ: 栄光の影では、ダレかが
泣くものなのですよ。それに‥‥
彼の”消失”は、あるひとつの
<<ジジツ>>を示しています。
成: ‥‥なんですか?
バ: <<或真敷 天斎を殺害したのは、
或真敷 ザックである>>‥‥
彼は、それを認めたのです。
成: (たしかに‥‥世論も、
そんな感じだったな)
バ: ‥‥とにかく。
私自身の拘留期限も近い。そろそろ、
帰りじたくを始めないとね。
成: ‥‥さっそく、ステージに
立つつもりですか?
バ: 観客が待っているかぎり、バランは
どこへでも現れる。それに‥‥
成: なんですか?
バ: 兄弟子の消えた、今。
天斎の術はすべて‥‥
不肖この私、或真敷 バランの
ものになるのですからな。
成: (それは‥‥どうだろう‥‥?)
バ: まあ、そういうイミでは
あの法廷は‥‥
バランにとっては、この上ない
宣伝になったと言えましょう。

(「師匠の脅迫」を聞く)
成: あなたの容疑も、キレイに
晴れたワケではありません。
‥‥なんといっても。
あなたにも、あの”手紙”が
届いたワケですから。
或真敷 天斎から、あなたに
宛てられた”脅迫状”‥‥
バ: ‥‥さよう。或真敷 ザックは、
この”命令”に従ったワケですな。
‥‥やめましょう。
”どっちが撃ったか‥‥?”
兄弟子が消えた以上、
水かけ論にすらなりません。
成: ぼくが聞きたいのは、他のコトです。
バ: なんでしょうかな‥‥?
成: カンタンなコトですよ。
脅迫の”タネ”は、
いったい、なんだったのか?
バ: ‥‥脅迫の”タネ”‥‥
はっはっはっはっ‥‥!
ご存じなかったかな?
成: なんですか?
バ: 大魔術師は、タネ明かしなどしない、
ということです。

(サイコ・ロック 錠4つ)
成: (‥‥そりゃ、すんなり教えて
くれるわけ、ないよな‥‥)
バ: 観客は、ステージに
上がることはできない。
客席から、スポットライトを
ながめておればよいのです。

(勾玉をつきつける)

(脅迫の”タネ”)
成: (今回は、ほとんどスイソクする
ことしかできない‥‥
事実関係‥‥そして、証拠品から
導き出される”道”を‥‥
できるだけ、たどってみよう!)
”自分のイノチを奪え”
余命が短かったとはいえ‥‥
これは<<殺人>>の
強要に他なりません。
バ: ムチャなコトを考えるヒトだった。
‥‥我が師匠は。
成: ‥‥そして。
ジッサイ、イノチは奪われた。
<<殺人>>の理由になるような
”弱み”‥‥それはやはり。
”イノチ”に関わるような
コトだったのではないでしょうか。
バ: ‥‥どういうことですかな?
成: あなたがたは、大がかりな
ショーの世界に生きている。
当然”キケン”がつきまとって
いた、と考えられますが‥‥?
バ: ‥‥おたがい、
手間は省きたいもの。
ワレワレのショーの”キケン”‥‥
具体的な証拠を見せていただきたい。

(「ステージ用ピストル」をつきつける)
バ: ‥‥‥!
これは、ワレワレの‥‥
成: トクベツにデザインされている
そうですが‥‥このとおり。
実弾を1発、装填して‥‥
撃つことができる。
バ: ‥‥バカなッ!
ワレワレは魔術師であって、
殺人鬼などではないッ!
成: いやいや。そんなコトは
言ってません。ただ‥‥
いつだって、可能性はあった
はずです。
‥‥”事故”のね。

(錠1つ解除)
バ: <<ザックとバランの早撃ちショー>>
‥‥かなりムカシ、
封印した演目だ。
成: ‥‥封印の理由は‥‥
”キケンだったから”ですか?
バ: ‥‥そのとおり。
他にいったい、どんな理由が?
成: カンタンなコトですよ。
”すでに事故が起こったから”‥‥
バ: ‥‥‥ッ! さすがは
”ねつ造”の魔術使い、ですな。
しかし。そんなピストル1挺で、
何が証明できるというのですかな?
成: ステージ上で、あなたがたの
いずれかの弾丸が‥‥
もし。誰かのイノチを
奪ってしまったとしたら?
バ: 大魔術師に”もし”などという
呪文は存在しない‥‥
たとえば‥‥そう。
ワレワレがいったい、だれを
撃ったというのですかッ!
成: (どうやら‥‥正しい道を
進んでいるみたいだな‥‥
あとは、コイツをスナオに
たどればいい‥‥)
”事故”のギセイになった人物‥‥
それを示す、証拠品があります!

(「みぬきのロケット」をつきつける)
バ: そ、それは‥‥
成: 或真敷 ザックの奥さん‥‥
みぬきちゃんのおかあさんですよ。
‥‥優海さん、
というみたいですね。
バ: あ‥‥‥
あるまじきィィィィッ!

(錠1つ解除)
バ: し。しかし!
いったい、なぜッ!
彼女が、ワレワレの弾丸に当たった
などと断言できるのかな‥‥?
成: (やれやれ‥‥
まだ、認めないつもりか)
ユーミさんは、ダレよりも弾丸に
当たるキケンが高かったのです。
”撃たれる危険性”は、
コイツを見ればアキラカです!

(「記念切手」をつきつける)
成: <<或真敷一座>>‥‥ものすごい
人気だったみたいですね。
その絶頂期には、
記念切手まで発行された、とか。
バ: ‥‥まあ、ワレワレは、ステージに
”時代”を刻んだといえるだろう。
成: ‥‥その記念切手に
写っているんですよ。
‥‥これは、優海さんですね。
バ: ぐ‥‥ッ!
成: みぬきちゃんの母親は、
”行方不明”だそうです。
‥‥いったい、彼女は
どうなったんですか?
バ: わ‥‥私は‥‥私は、知らないッ!

(錠1つ解除)
成: (まだ、ロックが残っている‥‥)
バ: ‥‥ひとつ、見落としていることが
あるようだ。
成: ‥‥なんですか?
バ: ‥‥たしかに。
<<一座>>は閉鎖された世界だ。
座長・天斎が”その気”になれば、
隠すことは可能だったかもしれない。
‥‥しかし。
そんなコトをすれば、”隠した”
天斎自身も”共犯者”になるッ!
‥‥つまり。脅迫の”タネ”に
使うことは、不可能なのですよ。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
(或真敷 バランの主張には、
一理ある‥‥
一座の人間が事故死したとして、
それを隠した場合‥‥
天斎自身も”罪”に
問われてしまうだろう‥‥)
バ: ‥‥どうやら
わかってくれたようですね?
成: (あと、一押しだ!
何か、ないのか‥‥?
優海さんが死んだこと”自体”が、
師弟関係に及ぼすチカラ‥‥)
バ: その目‥‥まだ、
何か言いたげ、かな。
これ以上、いったい
どう立証してくれるのかな?
成: ‥‥優海さんの事故が、あなた方の
”絶対的”な弱みになった理由‥‥

(「<<人物>>で立証」を選択)
成: (‥‥ここは、<<人物ファイル>>の
情報で立証してみよう‥‥!)
ザックさんの奥さんの”事故死”。
そのコト自体が‥‥
天斎氏に対して、絶対的”弱み”に
なる理由を示す情報とは‥‥

(「或真敷 優海」をつきつける)
成: 亡くなった”優海”さんが
モンダイだった‥‥そうですね?
バ: ど。どういうことかな?
成: 彼女は、或真敷 ザックの妻であり、
みぬきちゃんの母親であり、そして。
或真敷 天斎の
ひとりむすめだったのです!
バ: ぐ‥‥‥ッ!
成: あなたがたは、
ステージの上で‥‥
師匠の大切なひとりむすめを
事故で死なせてしまった‥‥
これ以上、決定的な”弱み”は
ないと思いますがね!
バ: う‥‥‥‥‥‥
あ。あれは‥‥
あるまじき事故だったのだッ!

(解除成功)

(「師匠の脅迫」を聞く)
バ: ‥‥証拠なんて、
なにひとつない‥‥ないのだ!
成: しかし。優海さんは
”行方不明”になって‥‥
あなたがたふたりは、
師匠から”脅迫”を受けていた。
調べれば、わかることだと
思いますけどね。
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
私たちは、フクザツな
カンケイだったのですよ‥‥
成: <<或真敷一座>>ですか‥‥?
バ: 天才大魔術師・或真敷 天斎と、
そのひとりむすめ。
そして、ふたりの弟子‥‥
成: なんというか。最初から、
何か起こりそうな布陣ですね。
バ: 誤解してもらっては困る。
たしかに、事故は起こった‥‥
しかし。
あれは、本当に事故だったのだ。
あれは<<ザックとバラン>>の
得意芸だった‥‥
アシスタント‥‥ユーミの
カラダを素通りして‥‥
いろいろなものを撃ち砕く!
スピードとスリルに満ちた芸だった。
ある日。その芸に、新しい要素を
加えるためのリハーサルで‥‥
あの悲劇は起きた。
どっちの弾丸が、
彼女のイノチを奪ったのか‥‥
それは、今でもわからない。
ユーミはこの世から消えて、
ザックは妻を失った。
みぬきは母を失い、そして‥‥
天斎は、ひとりむすめを失った。
成: それが‥‥
”脅迫”につながったんですね。
バ: <<或真敷一座>>の”影”の
部分‥‥というワケですな。

(「或真敷一座の”影”」を聞く)
成: ‥‥なぜ、或真敷 天斎は
”事故”を隠そうとしたんですか?
ひとりむすめの”死”を‥‥
バ: 或真敷一座にとって、大切な
時期だった‥‥そうとしか言えない。
<<天斎>>から
<<ザックとバラン>>へ‥‥
世代交代を成功させるため、
ワレワレはすべてギセイにしていた。
ユーミの死も、そのひとつだ。
しかし‥‥やはり。
彼女のイノチは消えても、
彼女の”存在”は消えなかった。
成: どういうことですか?
バ: いつしかワレワレ‥‥兄弟子と私は、
天斎に逆らえなくなっていった。
天斎の下で、天斎のために芸を
することを強いられつづけたのです。
成: なるほど‥‥でも。
しかたないかもしれませんね。
ひとりむすめ、だったワケですから。
バ: しかし! それはヒキョウと
いうものではないかッ!
成:え‥‥‥
バ: 父親である彼が、
彼自身の決断で”隠した”ジジツだ。
それなのに‥‥
ヒトの弱みにつけこむとは‥‥ッ!
成: (やはり‥‥フツウの関係では
なかったんだ‥‥)
このコト、みぬきちゃんは‥‥?
バ: 知らせていない。
‥‥当然だろう。
母親のイノチを奪ったのが、
自分の父親かもしれぬ、など。
成: そう、ですね‥‥
バ: ‥‥あの事故‥‥
今さら、思い出すことになるとは。
成: すみませんでした。でも、
いろいろなコトがわかりましたよ。
バ: <<天斎を撃った人間>>を
示す証拠には、ならないがね。
成: ‥‥そうですね。
バ: そういえば‥‥
成:‥‥?
バ: あの、事故のあと。
かなりしつこく、ワレワレを
嗅ぎ回っていたヤツがいたな。
成: それは‥‥記者、ですか‥‥?
バ: ”ニュース屋”とか言っていたな。
<<取材>>と称して、
一座をウロウロしていたよ。
成: そのヒトの名前はわかりますか?
バ: なんといったかな‥‥
忘れてしまったよ。
取材を通じて、兄弟子・ザックと
仲よくなったようでね。
私は気に入らなかった。
成: そうですか‥‥
バ: 名前は思い出せないが‥‥たしか。
キツいミントのニオイがしたよ。
‥‥ニカッと笑うと、ね。
成: わかりました。
いろいろありがとうございます。
バ: ‥‥過去に干渉するものじゃない。
わかっただろう?
なんのモンダイも解決しない。
他人のキズをえぐるだけだ。
成: ‥‥申しわけありませんでした。

成: 或真敷一座のあいだには、
深い”闇”が横たわっていた。
その”闇”から、みぬきを守る‥‥
それが、ぼくの
役目であるように思えた。
あのとき浮かんだ人物‥‥
<<ニュース屋>>の正体は、当時。
ケッキョク、わからずじまいだった。
‥‥しかし。”今”のぼくには、
心当たりがある。
ミントのニオイのきつい、
あの”笑顔”‥‥
或真敷 ザックと”世間”をつなぐ、
最後の”糸”‥‥
‥‥いずれ、そいつを
たどってみることにしよう。

(「現代・どぶろくスタジオ」に移動する)


現代
どぶろくスタジオ

葉: オヤ。これは。
これはこれは。これはこれはこれは。
成: ぼくのこと、おぼえていますか?
葉: モチロンです! あの夜、
ボルハチでお会いした、ってゆう。
成: 何してるんですか?
こんなところで。
主人の土武六氏は毒殺されて、
むすめさんも、もう‥‥
葉: ええ。わかっています。
わかっていますよ、ええ。ええ。
なんというか。
”クヤシイ”と言いますか。
”もう少し早く、ここに
たどりついていれば”ってゆう。
成: ずっと、追っていたんですか?
‥‥この事件。
葉: なんといっても、トモダチですから。
‥‥或真敷 ザック氏は。
成: ああ。ボルハチで、
ザック氏もそう言ってましたね。
葉: キモチのイイ男でしたよ。
ちょっと‥‥いや。かなり‥‥いや。
すこぶる、アラっぽいオトコでした。
成: ‥‥少し、お話を
聞かせていただけますか。
葉: あ、いいですか、ワタシ。ワタシ、
インタビューする側なんですよ。
わかります? 聞くほうであって、
聞かれるほうではない、ってゆう。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
葉: ま。ま。いいでしょ。
最近は、聞かれるコトにも
慣れてきたことだし。

(「”贋作師”親子」を聞く)
成: 絵瀬 土武六氏と、まことさん‥‥
オキノドクでしたね。
葉: ”贋作”は、犯罪行為です。
それは、責められるべきでしょう。
しかし。彼らの運命を決定的に
狂わせたのは‥‥おわかりですね?
成: ‥‥ええ。
手記の偽造‥‥ですね。
葉: ‥‥あの晩。ワタシ。
土武六氏に”取材”をして、
わかったコトがあります。
成: ‥‥なんですか?
葉: 土武六氏はいつも、
”誰かに見張られていた”そうです。
7年間、ずっと。”カベの左目、
ドアーの右目”‥‥ってゆう。
成: ”見張られていた”‥‥
<<罪>>のイシキがあったワケですね。
葉: いいや。決して”気のせい”
というワケじゃなかったのですよ。
成:‥‥‥?
葉: ‥‥じつはね。
このワタシも感じてたんですよ!
‥‥この事件を
追っているあいだ、ずっと!
”あれワタシ、見張られてるの?”
‥‥ってゆう。
成: それは、やっぱり。
<<罪>>のイシキがあったワケですか。
葉: なんでワタシがツミなんですかッ!
成: (”見張られていた”‥‥
たしかに、気になるな‥‥)

(「誰かの気配」を聞く)
成: 絵瀬 土武六さんが
”見張られていた”‥‥
‥‥そして、あなたも。
気のせいではないんですか?
葉: ”気のせい”とか
”モリのせい”とか‥‥
そういうメルヘンティックな
ハナシではないのです!
この私自身も!
見張られていた、ってゆう。
‥‥だからこそ。
<<或真敷 ザック>>は‥‥
7年たって、私に接触したトタン。
消されたのではないでしょうかッ!
成:‥‥‥!
葉: 法廷より”消失”してから
7年間‥‥
彼は、ダレとも
連絡を取りませんでした。
そして‥‥”残り時間”が
ギリギリになってから‥‥
この書類を作るため、
ワタシに連絡してきたのです。
成: そして‥‥彼は、死んだ。
葉: これが、どういうことか‥‥
おわかりでしょうッ!
成: ”見張られていた”
というワケですか‥‥
葉: もしかしたら‥‥
”あなた自身”もね!
成: (ぼ‥‥ぼく自身‥‥?)

(「或真敷 ザック」を聞く)
葉: 彼と知り合ったのは、そう。
あの事件がキッカケでしたね。
成: <<或真敷 天斎射殺事件>>
‥‥ですか。
葉: いや。その前の‥‥
世間には、知られていませんがね。
成: もしかして‥‥”事故”ですか?
<<早撃ちショー>>の。
葉: ‥‥コレは! よく、ご存じだ!
当時のワタシときたら。
デカいスクープを掘り当てて。
富と名声と美女と子犬をゼンブ
ヒトリジメしようとしていた‥‥
ミントのニオイのキツい、
青二才でしたからね。
成: 或真敷 バラン氏が言ってました。
”しつこい記者がいた”って。
葉: じつは、ワタシ。
或真敷 天斎と親交がありまして。
当然、むすめさんも知ってた
ワケですな。優海さん、でしたか。
成: そうだったんですか‥‥
葉: その優海さんが、突然、
いなくなった。
そして、天斎氏も、そのことに
ついて、何も教えてくれない。
いやー、悪いクセが
カオを出しちまいましてね。
”事件のニオイをオカズに
ゴハン3バイ行ける”ってゆう。
それで、優海さんのダンナに
直撃インタビューを。
成: 或真敷 ザック‥‥ですか。
葉: 当時、或真敷一座には、
フシギな空気がただよっていました。
師匠と弟子のイビツな関係は、
すでに始まってたんでしょうなあ。
やっぱり‥‥
優海さんが関係してるんでしょ?
ね。ホラ。どーなんだそのへん!
成: ‥‥さあ、ぼくにはなんとも。
葉: ‥‥とにかく。
取材をつづけるうち、
ザック氏と仲よくなりまして。
ま。つきあいの中で、5発ほど
パンチをカッ食らいましたが。
何かと相談を受けるように
なったワケです。

(「或真敷 バラン」を聞く)
葉: この7年間‥‥
ずっと待っていたようですね。
成: 待っていた‥‥?
葉: もちろん、
ステージへのカムバックです!
”天斎の芸を復活させる”‥‥
ま。かなわぬユメでしたが。
成: この書類‥‥
<<上演権>>のせいですね。
葉: 正式な書類が提出されない
かぎりは‥‥
或真敷 ザック・バランの両者に
<<譲渡>>の可能性がありました。
成: ‥‥だから、バランさんは、待った。
ザック氏が、法律的に”死ぬ”まで。
葉: 待ちに待った”時”がきて。
バラン氏、すっかりその気ですよ。
成: ステージの準備を進めてますね。
<<県立国際ひのまるコロシアム>>で。
葉: まあ、その書類が提出されれば‥‥
ステージはいきなり中止、
というコトになるでしょうけどね。
なんというか。気の毒な男ですね。
或真敷 バランは。
相続争いにやぶれ‥‥
そして、恋にも破れた。
成: ”恋”にも‥‥?
葉: ‥‥想像がつくでしょ?
ふたりの”弟子”と、
師匠の”ひとりむすめ”‥‥
これをめぐった三角関係、
というヤツです。
成: ううん‥‥
わかりやすいですね。
葉: ”一座”というのは、
閉ざされた世界ですからね。
家族同様のつきあいと‥‥
それ以上にドロドロした感情が
ウズまいているようですな。
成: ”優海”さんは‥‥そんな中で
みぬきを生んで‥‥
そして、
亡くなったわけですか。
(もう少し、詳しく聞いてみた
ほうがいいな‥‥彼女のこと)


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