第4話『逆転を継ぐ者』探偵パート2日目(その7)

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王泥喜 法介…紺
成歩堂 龍一…黒
成歩堂 みぬき…赤
裁判長…緑
牙琉検事…茶
宝月 茜…桃
絵瀬 まこと…黄緑
絵瀬 土武六…灰
或真敷 バラン…薄橙
葉見垣 正太郎…橙
或真敷 ザック…青
糸鋸 圭介…黄土
原灰…黄
ラミロア…藤
牙琉 霧人…紫
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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現代
ひのまるコロシアム

バ: ‥‥これはこれは。
なつかしいカオですな。
成: おひさしぶりです。
バ: あれから7年、ですか‥‥
正直なところ。二度と会うことは
ないと思っておりましたよ。
成: うかがいたいことがあって、
やってきました。
バ: ‥‥取材はじゅうぶん受けました。
もう、話すことはありませんな。
成: ぼくも、いろいろなハナシを
聞いてきました。
ただ‥‥最後に、もう一度だけ。
あなたと会っておかなければ
ならない‥‥そう思ったんです。
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥

(「或真敷 天斎」を聞く)
バ: この7年間。決して、
ラクな道ではなかった‥‥
成: 天斎氏の演目を
上演できなかったから、ですか?
バ: 見そこなわないでいただきたい。
バランの技は”ホンモノ”。
師匠の助けなど。
むしろ。我が道をジャマしたのは、
兄弟子でしたな。
成: 或真敷 ザック‥‥
バ: ‥‥7年前。
法廷での、あのミゴトな消失。
あれで、すべてが解決した‥‥
そう思ったのですが。
成: <<或真敷 ザックが師匠を殺害、
その罪から逃れるために消えた>>
‥‥7年前。あなた自身、
そう言ってましたね。
バ: ‥‥ついさっきのコトのように
おぼえていますよ。
しかし。ザンネンながら、
そのようには行かなかった。
このバラン自身の”疑惑”が
消えなかった!
兄弟子・ザックが、
この私をかばって消えた‥‥
そんなコトを書くマスコミもあった。
‥‥信じられますか!
成: そうだったんですか‥‥
バ: ‥‥しかも。
その同じマスコミが‥‥
今度はこの、史上最大のショーを
おもしろ半分に取材に来る。
そして私は、それにニコニコと
答えなければならない。
これを茶番と呼ばずして、
なんでしょうかッ!
成: でも‥‥それは。あなたたちが
ハッキリさせなかったからです。
天斎氏の”死”を。
ぼくは今日、今度こそ、
そのコタエを知るために来たのです。
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥

(サイコ・ロック 錠2つ)
成: (‥‥まあ、そうだろうな)
バ: 観客は、ステージに
上がることはできない。
客席から、スポットライトを
ながめておればよいのです。
成: (やれやれ。そのセリフ‥‥
7年前にも聞いた気がするぞ)

(勾玉をつきつける)

(天斎の”死”)
バ: ‥‥今さら、
何を聞こうがムダですな。
成: ぼくは、この事件に
関わってしまった。
すべてを知らなければ
ならないんです。
バ: この7年間。私は耐えてきた。
今こそ! 遅ればせながら、
私の時代が幕を開けるのです!
我が一座が生み出した奇跡の数々は、
今。この私のモノになるのだ!
成: (バランさんには悪いけど‥‥
とにかく、今は
”コタエ”が必要だ。
最も破壊力のあるバクダンで、
まず、ダマらせてしまおう)
バランさん。
コイツがあるかぎり‥‥
あなたが”奇跡”を上演するのは
ムズカシイかもしれません。

(「上演権利譲渡書類」をつきつける)
バ: なんですかな? それは。
‥‥我が一座のマークが
入っているようですが‥‥
成: もっと早く、持ってくるべき
だったようです。
こんなに早く<<復活>>のジュンビを
しているとは知らなかったもので。
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
これは‥‥?
成: 天斎氏の<<奇跡>>の上演権利‥‥
その権利者を示す書類です。
バ: ば、バカなッ!
或真敷‥‥ザック‥‥だと‥‥
しかも、なんだ!
我がムスメにゆずる、だと‥‥
成: 奈々伏 みぬき‥‥今は、ぼくの
ムスメということになっていますが。
バ: あり得ぬッ! あのオトコは‥‥
ザックは、消えたハズではないか!
成: この書類は、ホンモノです。
‥‥ザック氏は、生きていた。
公証人と、ぼくが証言します。
バ: ぐ‥‥‥‥‥‥‥‥‥
おおおおおおおおおおおおおッ!

(錠1つ解除)
バ: ど、どうして‥‥なぜだッ!
なぜ、運命は、私をもてあそぶ‥‥
なぜ私の人生は、死者に
操られなければならないのだッ!
成: ‥‥それは、あなただけでは
ないと思いますが。
バ: 天斎を撃ったのは‥‥そう!
ザックなのだ! そうなのだッ!
あのザックが逃げたばかりに‥‥
我が魔術師人生は、闇に閉ざされる。
成: ”或真敷 天斎氏を殺害したのは、
或真敷 ザックである”‥‥
それが”立証”されれば、
あなたは救われる‥‥
そういうコトですか?
バ: そうだッ! そう‥‥
そうなるはずだったのだッ!
成: それならば‥‥今でも、
遅くはないかもしれません。
世間に対して”立証”できる
証拠品があればいいのですから。
天斎氏を殺害したのが
”本当は、誰だったのか?”‥‥

(「ザックの自白書」をつきつける)
成: ‥‥ここに、あなたの
”お望みのもの”があります。
或真敷 ザックが書いた、
もう1通の書類です。
バ: こ。これは‥‥なんだ。
じ。<<自白書>>だと‥‥?
成: ”或真敷 天斎を殺害した”‥‥
彼は、そう認めています。
‥‥よかったですね。
これで、あなたの思いどおりだ。
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
私は‥‥大魔術師。
人をダマすのがシゴトだ。
観客をダマして、ひとときの
夢を見せる‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
いつのまにか。
自分自身が観客になっていた。
私は、私をダマしつづける‥‥
成: ザックさんは、ぼくの目の前で
コイツを書き上げました。
‥‥彼に、あなたの置かれた
立場を説明したときに。
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥あ。
あるまじきィィィィィィィィィッ!

(解除成功)

(「或真敷 天斎」を聞く)
バ: ‥‥わかっているのだろう?
その<<自白>>が、ウソっぱちだ、と。
成: はい。或真敷 ザック氏は、誰も
殺害していないと考えています。
バ: ”それなら、ハナシはカンタンだ”
‥‥そう思ってるのだろう?
脅迫状を受け取ったのが、2人。
そのうち1人が無実だとしたら‥‥
残る1人が、ハンニンだ。
成: ‥‥そうなりますね。
バ: ステージの相棒をかばって、
その姿をくらます‥‥か。
ハッハッハッハッ‥‥!
これはたしかに、美談だ。
成: あなたが‥‥撃ったんですね?
或真敷 天斎氏の、ヒタイを。
バ: ‥‥それを知って、どうする?
警察に駆け込む、かな?
‥‥好きにしたらいい。
私には、もう何も残っていない。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥
バ: ‥‥さよう。
私には、たいした実力はない。
師匠・天斎の演目が欲しかった。
‥‥あのときの私は、大魔術の
悪魔にとりつかれていたのだろう。
成: (やはり‥‥
或真敷 天斎を撃ったのは、
この或真敷 バランだった‥‥)
バ: クッ‥‥クックックッ‥‥
‥‥ハッハッハッハッ‥‥!
あなたには、ザンネンだが。
我が師匠を撃ったのは、
このバランではないッ!
成: な。なんですって!
あなたじゃ、ない‥‥?
まさか‥‥まさか!
他にも弟子がいた、とか‥‥?
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
たとえば、どのような?
成: あるまじき‥‥
チャランとポラン、とか。
バ: ‥‥その、暴言。
あるまじかるべきムクイをッ!
脅迫状を受け取ったのは、たしかに。
ザックとバランの2人のみ。
しかし‥‥もうヒトリだけ。
ピストルを撃つことができる
ニンゲンがいたのです。
‥‥ここまで言えば、
さすがに、おわかりでしょう?
成: (‥‥天斎氏を撃ったのは、
ザックでもバランでもない‥‥
撃ったのは‥‥現場にいた、
”もうひとり”の人物‥‥)
ま。まさか‥‥まさか!
バ: ‥‥そのとおり。
或真敷 天斎”本人”です。

(「自殺」を聞く)
成: 或真敷 天斎は‥‥自殺だった、
ということですか?
バ: ‥‥信じられませんかな?
成: 正直なトコロ‥‥
想像もしていませんでした。
バ: あの晩、私が訪れたとき。
老人は生きていた。
眠っている‥‥
そのように見えました。
私は‥‥‥
私は、あの老人を撃てなかった。
背を向けて、
病室を出ようとしたとき‥‥
老人が、私を呼び止めたのです。
成: ‥‥或真敷 天斎と
ハナシをしたんですか。
バ: ええ。だから、
私は知っていたのですよ。
天斎が、兄弟子‥‥或真敷 ザック
に、上演権を譲渡したことを。
成: そう、だったんですか‥‥
‥‥どうやら。お詫びを
言わなければなりません。
”天斎氏を撃ったのは、あなただ”
‥‥ぼくは、そう考えていました。
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
詫びる必要はないでしょう。
成: ‥‥‥え?
バ: あるイミ‥‥
私の罪は、殺人よりも重い。
成: な。なんですって!
あなたの”罪”‥‥?
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
成: (或真敷 バランの”罪”‥‥
師匠の”殺害”以外に、
いったい、何が‥‥)

(「バランの”罪”」を聞く)
バ: 私は‥‥知っていたのですよ。
脅迫状が2通、あったことを。
成:‥‥‥!
バ: 兄弟子は、隠しゴトができない。
探り出すのはカンタンだった。
‥‥私には、師匠の計画がわかった。
成: ”どちらかの手で
死のうとしている”‥‥
バ: まさか、上演権の譲渡まで
考えているとは知りませんでしたが。
しかし‥‥そのとき。
‥‥私のココロに
悪魔が宿ったのです。
成: 悪魔が‥‥‥
バ: ‥‥告白しましょう。
私は、天斎を撃つつもりでいた。
そして‥‥その”罪”を、兄弟子に
負わせる計画を立てたのです。
成: な‥‥‥なんですって!
バ: 私は、あの晩‥‥”あるもの”を
用意して、天斎の病室へ向かった。
成: それは‥‥?
バ: 点滴の薬液ですよ、モチロン。
見舞いに行ったとき、調べておいた。
ザックが撃たなかったときは、
この自分がトドメをさす!
そして‥‥この薬液を使って、
彼を”殺人者”に仕立てあげる‥‥
それが、私の計画だったのです。
成: そう、だったんですか‥‥
バ: しかし‥‥
やはり。私には撃てなかった。
私の中の悪魔は去ったのです。
そして‥‥天斎が、私を呼び止めた。

天: 『‥‥おまえには悪いが‥‥
‥‥ワシのトリックは
ザックにゆずることにしたよ‥‥
‥‥おまえにはまだ、
客を集めるチカラはない‥‥
‥‥できれば、
ザックをささえてやってくれ‥‥』

バ: 病室を出て‥‥
私は、立ちつくしていた。
ショックで‥‥動けなかった。
そのとき‥‥聞いたのだ。
運命の、あの銃声を‥‥
成: 或真敷 天斎の、自殺‥‥ですか。
バ: そして、私のココロに
悪魔がよみがえってしまった。
‥‥”ザックが殺した”コトに
するのだ‥‥
‥‥そうなれば、
上演権は、私のものになる‥‥
私は‥‥現場に偽装をほどこした。
天斎の手からピストルを取りあげ、
指紋をふき‥‥そして。
持ってきた薬液を、注射器で
点滴に注入したのだ‥‥
成: 結果的に‥‥あなたの思った
とおりの展開になったワケですね。
天斎氏は亡くなり、その罪を
ザックさんにかぶせようとした‥‥
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
”思ったとおり”‥‥か。
現実は多少、ちがう展開を
見せたワケですがね。
さあ‥‥いかがですか?
信じますかな?
私の、この物語を‥‥
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
7年前のことです。
ぼくには、わかりません。
ただ‥‥‥
バ: なんでしょうかな?
成: あなたのクチから聞きたかった。
話していただけて、うれしいです。
バ: ‥‥礼を言うべきなのは、
こちらです。
すべてを失って‥‥
やっと、決心がついた。
成: ‥‥警察へ、
出頭するつもりですか?
バ: 兄弟子が消えようとも、
私の罪は消えない。
罪が消えないかぎり、私のまわり
からは、すべてが消えていく。
仲間‥‥上演権‥‥
そして、大魔術。
もう、消えるのはタクサンですな。
成: ‥‥わかりました。
バ: <<死者に操られた人生>>‥‥
今までずっと、そう思っていました。
しかし、そうではなかった。
或真敷 ザックは、
生きていたのですからね。
成: (セイカクには‥‥
彼はもう、いないんだけど)
バ: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
もしかすると。
生きていたのは、彼だけでは
なかったのかもしれない。
成: ‥‥どういうことですか?
バ: 今になって、考えてみると。
私‥‥いや。私たちは、一度も
見ることがなく、終わってしまった。
そう。‥‥”彼女”の遺体を。
成: ”彼女”‥‥?
バ: ‥‥いや。考えすぎでしょう。
忘れてください。
‥‥いつか。我が兄弟子、
或真敷 ザックに会う日が来たら。
そのときは、我がアヤマチを
詫びるコトにしましょう。
今日は、お話しできてよかった。
‥‥ありがとう。

成: 或真敷 ザック‥‥<<浦伏 影郎>>
は、もうこの世にはいない。
法廷で暴かれた”真実”は
ほんの一部で‥‥
とらえきれない”闇”は、
新しい事件を生み出した。
その”闇”を払うためには‥‥
もう一度。
”あの男”に会わなければ
ならないのだろう。

(「現代・中央刑務所13号独房」に移動する)

看: ‥‥申しわけありません。
牙琉 霧人は今、
<<作業>>に参加しています。
成: そうですか‥‥
あと、どれぐらいで終わるか、
わかりますか?
看: さ。さあ‥‥、それは。
成: すみませんが‥‥
聞いてきてもらえますか?
看: はあ‥‥それでは。
ここで少し、お待ちください。
成: (‥‥看守さんには悪いけど‥‥
どうしても、調べておきたい
ことがあるんでね)

(「黄色の封筒」を調べる)
成: ‥‥そう。こいつだ。
この”黄色の封筒”‥‥
差出人は、思ったとおり!
<<絵瀬 土武六>>‥‥

葉: 『ワタシがアトリエを訪ねたとき‥‥
土武六氏、机に向かっておりました。
手紙を書いていたようですが‥‥
あわてて封筒に封をしました。
黄色の封筒でしたね。‥‥たしか、
現場に残されていたと聞いてますよ。』

成: これが‥‥絵瀬 土武六が書いた、
<<最後の手紙>>だとすれば。
やっておかなければならない
ことがある。
‥‥それで、ぼくにできる
調査はすべて、終了する。
‥‥調べてみるんだ!
<<アトロキニーネ>>を検出する、
この毒性探知スプレーで‥‥

(「切手」を調べる)
成: 絵瀬 土武六のクチに
毒を運んだ”使者”‥‥
やはり、この切手だった!
まちがいない‥‥
彼の最後の手紙は、牙琉 霧人に
宛てられたものだった!
コイツだ‥‥

<<土武六からの手紙>>のデータを
法廷記録にファイルした。
成: ついに、手に入れた‥‥
決定的な<<証拠>>を!
霧: ‥‥おや。
独房に泥棒ですか‥‥
成: ‥‥牙琉‥‥!
霧: キミに、そんなシュミがあるとは
知りませんでしたね。
成: 牙琉‥‥
きみに聞きたいことがある。
霧: 残念ですが。私は今、話したい
ことは、あまりないのですよ。
お引き取りねがいましょうか。
成: ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
絵瀬 まことさんは、
まだ”判決”を受けていない。
‥‥わかっているな? 牙琉。
霧: ‥‥あの毒がカラダに回って、
助かった例はありませんが‥‥
ココロしておきましょう。
成: ‥‥それじゃ。
ぼくはこれで失礼するよ。
霧: 待ちたまえ、成歩堂。
成: ‥‥なんだ? 牙琉。
霧: その手紙、置いていって
いただけますか?
‥‥すこし、
プライベートなものなのでね。
成: ああ‥‥すまないな。
ウッカリしていたよ。
霧: ‥‥どういたしまして‥‥

成: ‥‥以上、すべての<<手がかり>>が
出そろいました。
7年の時を超えて、
この私が用意したものです。
‥‥さて。
この長い物語に、決着をつける
ときがやってきました。
これから始まる、最後の法廷‥‥
<<真実>>を見いだすのは、
あなたがたなのです。


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