王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
絵瀬 まこと…黄緑 | |
絵瀬 土武六…灰 | |
或真敷 バラン…薄橙 | |
葉見垣 正太郎…橙 | |
或真敷 ザック…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
原灰…黄 | |
ラミロア…藤 | |
牙琉 霧人…紫 |
王: |
証人”牙琉 霧人”の動機。 それは‥‥ 切手が、絵瀬 土武六氏のもとに 届いた理由を考えれば、明白です。 |
裁: | その”理由”というのは‥‥? |
王: |
もちろん、”贋作”ですよ。 今から、7年前。 絵瀬 土武六が初めて引き受けた 証拠品の<<ねつ造>>‥‥ |
裁: |
それは‥‥見覚えがありますぞ。 たしか‥‥手記の1ページですな。 <<或真敷 天斎>>の‥‥ |
霧: |
成歩堂 龍一弁護士が バッジを失うハメにおちいった。 ‥‥あのときの証拠品ですね。 忌まわしい。 |
王: |
‥‥この証拠品は、 たしかに”ニセモノ”です。 しかし。ねつ造を依頼したのが 成歩堂さんだったかどうか‥‥ それは、立証されていません! |
牙: |
あの事件の担当弁護士は、 成歩堂 龍一だった。 ”勝ち”に目がくらんだ 担当弁護士以外に‥‥ ダレがそんな偽造をしようと 考えるんだい? |
王: |
‥‥‥‥‥‥ ところで。 この<<依頼状>>‥‥ モチロン、覚えてますね? これが、1枚目です。 ‥‥そして、こちらが2枚目。 |
裁: |
きのうの法廷で 提出されたものですね。 <<贋作>>の依頼人が、 絵瀬 土武六氏に宛てた手紙です。 |
王: |
”同封の切手”‥‥それこそが、 この、猛毒の記念切手だった。 絵瀬 土武六氏は、つい 先日、死に至りました。 ‥‥しかし。 その”理由”は、今から 7年前に生まれていたのです! |
牙: | 7年前‥‥だって‥‥ |
王: |
<<偽造>>を依頼した人物は、 そうとう用心深かったのでしょう。 だから、自分と<<ねつ造>>を結ぶ、 すべてのものを消そうとした‥‥ |
裁: | ”口封じ”‥‥ですか‥‥ |
王: |
‥‥しかし。 手ちがいが起こってしまった。 |
ま: |
『‥‥切手は、大好きな魔術師の 絵だったから、もらったの‥‥』 『‥‥小さいころ、おとうさんに 連れていってもらった‥‥ ‥‥大好きだったんです。 あの大魔術ショーが‥‥』 |
王: |
‥‥そのせいで、犯人の ”時限爆弾”は不発に終わった。 猛毒の切手は ガクに飾られてしまい‥‥ そのまま、 7年が過ぎてしまったんです。 |
牙: |
‥‥おデコくん。 キミ、自分の言ってることが わかってるのかな? |
王: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
牙: |
手記の<<ねつ造>>を企んだ人物が、 切手を”毒”に染めた‥‥ その”証拠品”は、7年前。 成歩堂 龍一から提出された。 つまり。絵瀬 土武六の殺害を 企んだ人物は‥‥ 成歩堂 龍一ということに なってしまうのさ! |
王: |
‥‥ザンネンながら、 そういうことにはならない! |
牙: | どういうことだい‥‥? |
王: |
この事件の資料を調べて‥‥ 見つけたんですよ。 ‥‥7年前。 あの法廷が始まる直前‥‥ |
み: |
『あ。そうだ! ‥‥オジちゃん! あの。あの‥‥コレ。』 |
成: | 『これは‥‥?』 |
み: |
『わかんない。 今、そこの廊下で、もらったの。 <<アタマのトガった、青い服の オジちゃんに渡してくれ>>って。』 |
王: |
‥‥そして、 もうひとつのジジツがあります。 |
ザ: |
『今回は‥‥ 急な話でモウシワケなかった。』 |
成: |
『前任の弁護士さんから資料を 受け取ったのが、きのうです。』 |
ザ: |
『‥‥ムリを言ってるのは じゅうぶん承知の上だ。』 |
成: |
『しかも。事件のお話も、 ほとんど聞いていません。 やったのは‥‥ポーカーだけです。』 |
ザ: | 『‥‥いや。それでいいんだ。』 |
王: |
成歩堂 龍一が依頼を受けたのは、 審理の前日のことだったのです。 当然、<<ねつ造>>を依頼する 時間など、あるワケがないッ! |
牙: | ぜんじつ‥‥ |
王: |
それでは‥‥いったい。 誰だったのでしょうか? 奈々伏 影郎の、 本来の”担当弁護士”とは‥‥ |
霧: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
牙: | ま。まさか‥‥ |
王: |
‥‥今さら、 説明するまでもありません。 当時はまだ、そのエリにバッジが ついていた、もうヒトリの弁護士。 あなたです! 牙琉 霧人さん! |
裁: |
静粛に! 静粛に! 静粛にィッ! い。いかがですかッ! 証人! いや、被告人! いや、元・弁護人 |
霧: |
‥‥とりあえず、 否定しておきましょうか。 |
王: |
調べればわかることですよ。 牙琉さん。 |
霧: |
調べてみなければわかりませんよ。 オドロキくん。 |
王: | ‥‥‥! |
霧: |
法廷に、弁護士の登録を するのは、審理の前日。 つまり、裁判所には記録は 残っていないということです。 成歩堂氏の言いぶんを立証する のは、ムズカシイでしょうねえ。 |
裁: |
ふむう‥‥ たしかに、そうですな。 こうなると、この問題に コタエを出すことは‥‥ |
牙: |
何か‥‥ 何か、証拠はないのか? おデコくん‥‥ |
王: | ‥‥! |
み: |
どうしたのかな、ガリュー検事。 なんか、カオイロが悪いです! |
牙: |
証拠だッ! 7年前‥‥ この男‥‥牙琉 霧人が、 贋作を依頼したという証拠だッ! |
霧: | 響也‥‥? |
牙: |
たのむ! ハッキリさせてくれ! これ以上‥‥何かを疑って 検事席に立つのはゴメンだ! |
み: |
検事さん‥‥きっと。 何か、心当たりがあるんですよ! |
王: |
(牙琉検事は、苦しんでいる! 彼のココロに広がる”闇”‥‥ その”闇”を引きずり出すには。 ‥‥立証するしかない! 牙琉 霧人と絵瀬 土武六の ”つながり”を示す証拠を‥!) |
裁: |
いかがですか、弁護人! 今から7年前‥‥ 牙琉 霧人が、絵瀬 土武六氏に 対して行った‥‥ ”贋作”の依頼。 ‥‥それを立証できるのですかッ! |
王: | 立証は可能だと考えます。 |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ バカバカしいですね。 議論するまでもありません。 なぜなら、そんな証拠は‥‥ |
牙: |
ホント‥‥なのか? 王泥喜 法介‥‥ |
王: | ‥‥はい。 |
牙: |
そこまで言うなら‥‥ おデコくん、キミを信じてみよう! |
裁: |
よろしいでしょう。 ただし、まちがえた場合は‥‥ これだけのペナルティを カクゴしていただきます。 |
霧: |
裁判長。 その程度のペナルティでは‥‥ 弁護人の情熱に対して、 失礼というものです。 これぐらいは、必要でしょうね。 |
裁: |
こッ、これほどのペナルティは、 私もひさしぶりです。 どうなのですか? 弁護人ッ! |
王: |
‥‥いいでしょう。 (カンジンなのは‥‥牙琉 霧人と 絵瀬 土武六に‥‥ ある種の ”関係”があったことだ。 その、あからさまな証拠を オレは持っている‥‥) |
裁: |
‥‥それでは、弁護人。 証拠品の提示を命じます! この証人と、絵瀬 土武六の ”つながり”を示す証拠品とは! |
王: |
‥‥これが、ふたりのつながりを 立証する証拠です! |
霧: |
その、紙切れ‥‥ 提出させるわけにはいきませんね。 |
王: | ‥‥どういうことですか? |
霧: |
それは、こっちが聞きたいですね。 きみが、そんなものを ”持っているはずがない”のですよ。 |
王: | え‥‥‥ |
み: |
あ! コレ。 パパの字じゃないですか! |
裁: |
弁護人ッ! いったい、 どういうことですかッ! |
霧: |
なるほど、ね。 そういうワケ、ですか‥‥ |
裁: | なんですかな? 証人。 |
霧: |
なに‥‥。そういえばきのう、 成歩堂氏がね。 私の独房に、面会に現れたのですよ。 ‥‥私の不在時間を狙って、ね。 |
牙: | 成歩堂 龍一が‥‥? |
霧: |
私が独房に戻ったとき‥‥ 彼は、私の私信を手にしていた。 モチロン、盗み見を見逃すほど 愚かではありませんが。 |
裁: |
それが、この手紙‥‥ というワケですか? |
霧: |
‥‥まさか。 成歩堂氏の”偽造グセ”は、 なおっていないようですねえ‥‥ |
裁: |
”偽造”どころか。こんなの、 ただの走り書きではないですか! |
王: |
コレは、本来の文面の内容を、 成歩堂さんが書き起こしたものです。 |
裁: | ”書き起こした”‥‥? |
王: |
成歩堂さんは、牙琉 霧人の 独房を訪れた際に‥‥ 小型のビデオカメラを 仕込んでいたのです。 |
霧: | なんですって‥‥ |
王: |
あなたとのやりとりは、 すべて録画されていたんですよ。 あなたの”私信”の内容も、ね! |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥ッ! い。いずれにせよ。 そんなものが、証拠として 認められるワケがないでしょう。 なんの権限もない男が撮影したと ”主張する”ビデオなど‥‥ しかも。撮影したのは、”ねつ造” の罪に問われた、元・弁護士です。 |
裁: |
ふむう‥‥ いかがですかな? 牙琉検事。 |
牙: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: | 牙琉‥‥検事‥‥? |
霧: |
お恥ずかしい話ですが。 どうやら‥‥ 弟は、正常な判断が 下せない状態にあるようです。 裁判長。 ‥‥裁定を、どうぞ。 |
裁: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 弁護側の主張は、認められません。 |
み: | そんなあ! |
裁: |
法廷で認められるのは、 実在する<<証拠品>>のみです。 ただ今の、弁護側の”立証”‥‥ 記録から削除を命じます。 |
霧: | ザンネンでしたねえ、オドロキくん。 |
王: | ‥‥‥ッ! |
裁: |
どうやら。特別証人の尋問に 回り道をしてしまいましたが‥‥ 弁護側の”立証”に コンキョがない以上。 牙琉 霧人氏に対する尋問は、 ここで終了しなければなりません。 |
み: |
‥‥オドロキさん! なんとかしないと‥‥ |
王: |
わかってるよ! でも。 あの証拠が却下されちまったら‥‥ もう、追いつめる材料がないよ! |
裁: |
‥‥それでは。以上をもって、 特別証人の尋問を終了します! |
牙: |
‥‥なんとなく、 わかった気がするよ。 ステージが終わって、アンコールを 叫ぶお客さんのキモチがね。 |
裁: | 牙琉検事‥‥? |
牙: |
ちょっとは、ワカモノらしく 悩んでみたりもしたけどね。 でも。やっぱり、ぼくには 似合わないみたいだ。 この7年間。ずっと、 ココロに引っかかっていたんだよ。 ‥‥この際だ。 ハッキリさせておこうか! |
霧: |
響也。‥‥おまえは今、 かなりコンランしている。 むやみにクチを 開くべきではありません。 |
牙: |
それが、ぼくのため? それとも ‥‥アニキのため、かな? |
霧: |
考えてみるといい。 おまえ自身が築いてきたもの‥‥ 検事としての名声や、 世俗的な”人気”‥‥ すべてが失われるかも しれないのですよ‥‥? |
み: |
オドロキさん! あ。あのヒト‥‥ 牙琉検事を説得しています! |
王: |
牙琉検事! あなたにとって ”本当に大事なコト”‥‥ それを思い出してください! |
牙: |
何を言ってるのかな、おデコくん。 ”本当に大事なコト”なら‥‥ 忘れないだろう? フツー。 |
王: | ‥‥‥! |
牙: |
そうさ。一度だって 忘れたことはないんだよ。 7年前‥‥あの、法廷‥‥ |
牙: |
『‥‥ついに。 ついに、それを出しちゃったね。 成歩堂弁護士さん。』 |
成: | 『‥‥どういうことですか?』 |
牙: |
『ここでいったん、この証人の 尋問を中断してもらえないかな。 新しい証人の話を聞きたいんだ。』 |
牙: |
『‥‥それじゃあ。 職業と名前を教えてもらおうか。』 |
王: |
‥‥その裁判なら知ってます。 ビデオ資料で何度も見ました。 |
牙: | ”不自然”だとは思わなかった? |
裁: | 不自然‥‥ですか? |
王: |
たしかに‥‥ヤケに手回しがいいな、 とは思いました。 成歩堂さんが、あの証拠品を 提出した次の瞬間には‥‥ 絵瀬 土武六さんが召喚された。 まるで‥‥ |
牙: | ”まるで”‥‥なんだい? |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (‥‥今まで、 考えもしなかった‥‥ しかし。スナオに考えれば‥‥ コタエは、ひとつだ!) まるで‥‥その。 最初から、成歩堂さんがあの証拠を 提出すると知っていたような‥‥ |
裁: | あ‥‥ |
牙: | ‥‥そうさ。 |
王: | ‥‥‥! |
牙: |
ぼくは、知っていたんだ。 テキトーに追いつめてやれば‥‥ 成歩堂 龍一が、 ニセの手記を提出する、って。 |
霧: | やめておくのです、響也。 |
牙: |
それを教えてくれたのは‥‥ アンタじゃないか! アニキ! |
王: | な‥‥‥なんだってェェェェェッ! |
牙: |
あの裁判の、前日‥‥ 夜のことだった。 |
霧: | 『‥‥響也。』 |
牙: |
『アニキ‥‥か。めずらしいな。 裁判の前日、検事局に来るなんて。』 |
霧: |
『ああ‥‥あの審理は、 私は出ないコトになりました。』 |
牙: | 『え。どうして、また‥‥』 |
霧: |
『おまえの初法廷での 兄弟対決は、おあずけのようです。 ‥‥そのかわりに、 ”情報”を持ってきました。』 |
牙: | 『”情報”‥‥?』 |
霧: |
『明日。私のかわりに弁護席に 立つのは、ウサンくさい男だ。 まともに相手をしてはいけない。 ‥‥いいですか。 ある男を”参考証人”として 喚問しておきなさい。 そして‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥』 |
牙: |
‥‥ホントは、 フシギに思っていたんだ‥‥ ”なぜ、アニキはそこまで 知っていたんだろう”って。 |
王: | 牙琉検事‥‥ |
牙: |
‥‥答えてくれ、アニキ! あの法廷は、オレたちの 兄弟対決になるはずだった。 オレは、初めての法廷を 正々堂々と闘いたかった! だから。前もって、被害者の 遺留品の貸し出しも認めたし‥‥ 調査資料もゼンブ、 見せたんじゃないか! |
み: | 被害者の、”遺留品”‥‥? |
王: |
当然‥‥あの、天斎の手記も 含まれていただろうね。 |
霧: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
裁: | 証人‥‥? |
霧: |
やれやれ‥‥響也。 おまえには失望させられますね。 小さなコトに気を取られて いるから、大局を見失う‥‥ |
王: |
‥‥大局が見えていないのは あなたのほうです。 |
霧: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
牙: |
ここまで来てしまっては、 もう、隠しとおせない。 あの法廷のウラで、 いったい、何があったんだい‥‥? |
霧: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ‥‥いいでしょう。 私の当初の目的は、 すでに完全に果たされている。 振り返ってみるのも、 悪くはないような気がします。 |
み: | オドロキさん‥‥ |
王: |
‥‥いよいよ、すべての闇が 払われる時がきたみたいだ。 オレたちにできることは‥‥ もう、ゼンブやったよ。 |
霧: |
‥‥7年前‥‥あの法廷の前日。 私は、依頼人・或真敷 ザックの 要請で、留置所を訪れた‥‥ |