王泥喜 法介…紺 | |
成歩堂 龍一…黒 | |
成歩堂 みぬき…赤 | |
裁判長…緑 | |
牙琉検事…茶 | |
宝月 茜…桃 | |
絵瀬 まこと…黄緑 | |
絵瀬 土武六…灰 | |
或真敷 バラン…薄橙 | |
葉見垣 正太郎…橙 | |
或真敷 ザック…青 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
原灰…黄 | |
ラミロア…藤 | |
牙琉 霧人…紫 |
‥‥‥2枚。 | |
‥‥‥1枚。 | |
‥‥ショーダウン、です。 | |
‥‥そこまで。 アンタの負けだ、牙琉くん。 今まで、ゴクロウだったね。 | |
霧: |
‥‥正直、今もって 理由がわからないのですよ。 しかし。どうやら‥‥ 私はポーカーに”負けた”から 弁護士をハズされた‥‥ そう考えるしかないようです。 |
み: |
パパ‥‥言ってました。 『真剣勝負では、相手の ”ニンゲン”が見える』って‥‥ |
王: |
(‥‥ザックさんが見ていたのは、 勝負の”結果”ではなかった。 見ていたのは‥‥ カードの後ろの”牙琉 霧人”) |
霧: |
ナットクが行きませんでしたね。 成歩堂 龍一‥‥? 勝負運とハッタリだけ、 二流の弁護士ではないですか! 私をハズしてまで、あのような ハンパな男に弁護を依頼した。 ‥‥その1点だけをとっても‥‥ あのオトコは”死”がふさわしい。 |
王: |
待ってください! それでは、やはり。 この偽造を依頼したのは‥‥ |
霧: |
‥‥私は、何も認めるつもりは ありません。とにかく‥‥ 私にハジをかかせた人物を、 ユルすわけにはいかないでしょう。 或真敷 ザックと成歩堂 龍一に、 しかるべき”ムクイ”を‥‥ |
王: |
‥‥あなたは、土武六氏に 証拠品の”ねつ造”を依頼していた。 ‥‥自分が”勝つ”ために! しかし。弁護士の任を解かれた あなたは‥‥ ねつ造した証拠品を ”ワナ”として利用した! |
牙: |
ねつ造の”情報”を、ワザと ぼくに流した。 そして‥‥アンタが作った ニセの証拠品を、ヤツに渡したんだ。 |
霧: |
想像は自由です。 とにかく‥‥すべては、 私の想定どおりにコトが運んだ。 私は、カンペキに成功したのです。 |
牙: |
‥‥フッ‥‥ ‥‥クックックッ‥‥ ケッサクだねえ‥‥ 悲しいほどに‥‥ |
裁: | 牙琉検事‥‥? |
牙: |
”カンペキ”‥‥? どうかしてるぜ、アニキ。 自分をゴマかすのも、 いいかげんにしてくれないか。 |
霧: |
何を言ってるのですか? ‥‥響也。 |
牙: |
‥‥あの裁判。 結果は、どうなった? |
裁: |
被告人の”消失”によって <<未結審>>‥‥でしたか。 |
牙: |
今、わかったよ。 アンタは、この7年間‥‥ ずっと、ビビりながら すごしてきたんだ! |
霧: | ‥‥なんですって‥‥? |
王: |
あなたは、”偽造”がバレて、 ”名声”が地に落ちるのを恐れた。 ‥‥だから、この7年間。 事件の関係者たちを 見張りつづけてきたのです! |
葉: |
『土武六氏はいつも、 ”ダレかに見張られていた”‥‥ そう、言っとりましたな。 7年間、ずっと。』 『この私自身も! 見張られていた、ってゆう。 ‥‥だからこそ。 <<或真敷 ザック>>は‥‥ 7年たって、私に接触したトタン。 消されたのではないでしょうかッ!』 |
裁: |
ちょ、ちょっと待ってください! <<或真敷 ザック>>が、 世間に姿を現した‥‥ どういうコトですかッ! 7年前に姿を消した、彼は‥‥ 生きていたのですかッ! |
王: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ (ついに‥‥ ついに、このときが きてしまった、か‥‥ 7年前に消えた <<或真敷 ザック>>は‥‥ みぬきちゃんの、 お父さんなんだ‥‥!) |
み: |
どうしたんですか、オドロキさん! あのひと、やっつけちゃって! |
王: |
‥‥うん。わかった。 オレに任せて。 ‥‥みなさんは、 覚えておられるでしょうか。 半年前。牙琉 霧人が殺害した ”身元不明の旅行者”を。 |
裁: |
覚えておりますよ。 浦伏 影郎氏のことですな? たしか、中華料理店で 毒殺された、ということでしたね。 |
王: |
‥‥まあ。 細かい部分はともかく。 あの事件の被害者こそが、 <<或真敷 ザック>>だったのです! |
み: |
‥‥‥‥‥‥‥‥‥ あれ。どうしたんですか? オドロキさん。 |
王: | え‥‥‥ |
み: |
どんどん行きましょうよ! 話はあとです! |
王: |
‥‥! (もしかして‥‥知っていた?) |
裁: |
なんということでしょう‥‥ ‥‥弁護人。 説明をおねがいできますかな? |
王: |
すべては、7年前‥‥ 大魔術師・或真敷 天斎の死が ”キッカケ”でした。 大魔術師・或真敷 天斎の死と、 容疑者・或真敷 ザック。 その弁護を成功させれば、 絶大な名声を得ることができる‥‥ そう考えた牙琉 霧人氏は、 ”許されない手段”を選びました。 証拠品の<<ねつ造>>‥‥ |
裁: | 絵瀬 土武六さん‥‥ですか。 |
王: |
正確には、ムスメのまことさん だったワケですけど。 あなたは、ねつ造を依頼したとき。 ‥‥その”先”まで考えていた。 |
裁: | さき‥‥? |
牙: | ”口封じ”だね、モチロン。 |
(‥‥この親子‥‥ 生かしておいては、あとで メンドウなコトになる‥‥!) | |
王: |
そこであなたは、 贋作師の”毒殺”を計画した。 |
牙: |
アトロキニーネ‥‥ そのために用意したのが、 あの<<記念切手>>だね。 |
王: |
土武六氏にとっては幸運なコトに、 ”爆弾”は、不発に終わりました。 |
裁: |
むすめさん‥‥ 絵瀬 まことさんが、その切手を 欲しがったから‥‥ですね。 |
霧: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
王: |
‥‥しかし。仕掛けられた ”爆弾”は、それだけではなかった。 |
牙: |
この<<アリアドネ>>の マニキュア、ってワケか‥‥ |
王: |
ねつ造を依頼したとき‥‥ あなたは、気づいたのです。 絵瀬 まことさんは、 緊張状態に置かれると‥‥ ‥‥ツメを噛むクセがある。 |
裁: | あ‥‥‥ |
王: |
マニキュアは‥‥彼女にとって、 ”おまじない”だったのです。 |
土: |
『じつは‥‥誘拐されかけた コトがあるのですよ。 それ以来‥‥その。 この家から出られなくなって しまったのです。』 |
ま: |
『おまじない‥‥教わったから。 ”どうしても”っていうときに。 わたしを、守ってくれる‥‥』 |
土: |
『どうやら、ね。 何か”もらった”らしいですな。 私には教えてくれないのですが。 ”依頼人”のヒトからです。 例の‥‥あの”メモ”の。』 |
王: | ”保険”だったのかもしれません。 |
裁: | ほけん‥‥? |
王: |
彼女が静かに暮らしているかぎり、 キケンがおよぶことはない。 しかし‥‥! |
牙: |
もし、なんらかの”緊張状態”に おちいることがあったら‥‥ ‥‥マニキュアが、 彼女のクチに毒を運ぶ! |
王: |
そして、7年たった、今‥‥ その2つの”時限爆弾”が、 同時に起動したのです。 |
霧: |
‥‥それで? 私は、そろそろ独房へ 帰ってもよろしいのでしょうか? 立っているのも、 疲れてきたものですから。 |
王: |
な、何を言ってるんですか! オレたちの話、 聞いていたんでしょう! |
霧: |
ああ。聞いていましたよ。 なんのコンキョもない、おとぎ話。 |
王: | なんだって‥‥ |
霧: |
‥‥響也。 おまえなら、わかるでしょう。 |
牙: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ 絵瀬 土武六のイノチを奪った アトロキニーネと‥‥ アンタを結びつける証拠。 検察側には、ない。 |
王: |
でも! あなたは、ボルハチで 或真敷 ザックを殺害しました! ”口封じ”としか考えられないッ! |
霧: |
‥‥私が殺害したのは、 そんな名前の男ではありません。 調書を、よく読んで いただきたいですね。 被害者は、身元不明の旅行者。 <<浦伏 影郎>>のハズですよ。 まさか、あの方が <<逃亡者>>だったとはねえ‥‥ |
王: |
じゃあ! いったいあなたは、 なぜ彼を殺害したんですか! |
霧: |
‥‥黙秘します。 よろしいですか。 この法廷は、私を裁く場ではない。 被告人の名前は”絵瀬 まこと”。 父親殺害の容疑がかけられています。 ‥‥私を裁く法廷は、すでに半年前。 決着しているのですよ。 |
裁: |
ふむう‥‥ どうやら私たちは、審理の本筋から 大きくズレてしまったようです。 証人の主張どおり。 当法廷は、あくまでも‥‥ 被告人・絵瀬 まことの審理で なければなりません。 |
み: |
そんなあ! オドロキさん、がんばったのに。 |
裁: |
この証人‥‥牙琉 霧人に対する 告発に、証拠がない以上‥‥ 絵瀬 まことの”無実”の 論拠にはなり得ません! |
王: |
しかし! これは、成歩堂さんが 7年かけて集めた資料をもとに‥‥ |
霧: | ‥‥まだ、わからないのですか。 |
王: | ‥‥‥! |
霧: |
この、マニキュアのボトルに 毒が入っていたとして‥‥ 彼女を”緊張状態”に 追いやったのは、誰ですか? |
王: | な。なんだって‥‥ |
霧: |
少なくとも、私ではない。 彼女のクチに猛毒を”運んだ”のは。 ‥‥あなたがた、なのですよ。 |
王: |
そ‥‥‥ そんなあああぁぁぁぁぁぁぁッ! |
霧: |
‥‥法廷は、証拠がすべて。 それだけのこと、なのですよ。 |
裁: |
‥‥どうやら。 議論はつくされたようですね。 |
王: | さ‥‥‥‥裁判長ッ! |
裁: |
弁護人‥‥王泥喜くん。 あなたは新人ながら、 本当によくやったと思います。 そして、あなたの協力者の執念‥‥ 成歩堂 龍一にも、敬意を表します。 |
霧: |
‥‥しかし。 直接的な証拠による<<立証>>が なければ、なんの意味もない。 そうですね? ‥‥響也。 |
牙: |
ザンネンだが‥‥ アンタの言うとおりだ、アニキ。 ‥‥今までの法廷ならば。 |
王: | ‥‥! |
霧: | ‥‥どういうことですか? |
牙: |
‥‥アニキ。独房にいた アンタは知らないだろうが‥‥ この法廷は、今。全国の”注目”を 集めているんだよ。 ‥‥新しい制度の ”モデルケース”として、ね。 |
王: |
‥‥ッ! そう、か。 (すっかり、忘れてた‥‥) <<裁判員制度>>‥‥ですねッ! |
霧: | さいばんいん‥‥ですって? |
裁: |
法律家たちの、閉ざされた法廷。 そこに、一般市民の知恵を 導入しようとする試みです。 |
霧: |
一般市民‥‥? 知恵‥‥? なんの冗談ですか? 日々を感情のおもむくままに過ごし、 論理的な思考もできない‥‥ そんなオロカな連中に 何ができるというのですか。 |
裁: |
一般市民には、”良識”と いうものがあります。 それは、法律でしばられる ことはありません。 |
霧: |
何をバカなッ! 私の相手は”法”のみだッ! くだらぬ連中の入り込む余地など、 どこにもないのだッ! |
王: |
この法廷のようすは‥‥ カメラで中継されていたんですよ。 |
霧: |
こ。こんなコトが。 ユルされていいのか‥‥ |
王: |
ちなみに。すべてを とりしきっていたのは‥‥ ‥‥成歩堂 龍一です。 |
霧: |
な‥‥‥ なるほどう‥‥だと‥‥? そうか‥‥すべては このためだった、というワケか‥‥ なるほどう‥‥なるほどう‥‥ なああああぁぁぁぁぁぁぁああぁぁ るううぅぅぅぅうううぅぅぅぅぅぅ ほおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおぉ どぉぉおおおおおぉぉぉおおぉぉぉ ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお オオオオオオオオオオオオオオオオ オオオオオオオオオオオオオオオオ オオオオオオオオオオオオオオオオ オオオオオオオオオ |
霧: |
認めぬ! 認められぬッ! こんな‥‥こんな法廷など! 法が‥‥ 法律だけが”ゼッタイ”なのだッ! それを知らない、無知なる 市民どもが法廷を汚すなど‥‥ |
牙: | もう‥‥終わったんだよ、アニキ。 |
霧: | き。響也‥‥ッ! |
牙: |
法律が”ゼッタイ”‥‥? 本気で言ってるのかい? |
霧: | な。なんだと‥‥ |
牙: |
じゃあ、法の”逃げ道”を探した アンタは、なんだったのさ。 <<法律>>は”ゼッタイ”じゃない。 いくつものムジュンを抱えているさ。 |
裁: |
法律とは、長い歴史‥‥ 先人たちの<<知恵の結晶>>なのです。 さまざまなケイケンやシッパイに 磨きぬかれた、宝物と言ってもいい。 私たちは、それを受け継ぎながら、 その時代の中で、立ち向かうのです。 常に、変化してゆく‥‥それでこそ、 人間の”営み”なのですから。 |
牙: |
立ち止まっちまったアンタは、 もう必要ない、ってコトなんだよ。 ‥‥きっとね。 |
王: |
(‥‥オレには、 コトバはなかった。 何かを言うには‥‥まだ。 ケイケンが足りなかったから。 でも、いつか。 その”変化”と闘う、 戦士になるんだ‥‥!) |
裁: |
‥‥それでは。 審理は、ここまでのようです。 本法廷は、画家として知られる 絵瀬 土武六氏の殺害事件で‥‥ 起訴された、絵瀬 まことの 審理として始まりましたが‥‥ いくつもの事件を巻きこみ、 ついに<<決着>>を見たようです。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 当法廷は、判決を下すに際して、 ”あなた方”の判断をお待ちします。 ‥‥裁判員のみなさま。 絵瀬 まことは、父親・ 絵瀬 土武六の死について‥‥ 有罪であるか‥‥? 無罪であるか‥‥? ‥‥今こそ。 評決をおねがいしましょう! |
裁判員室 | |
成: |
‥‥以上で、本件に関する審理は すべて終了しました。 残されたのは”判決”のみです。 被告人・絵瀬 まことは、 現在、集中治療室にいます。 本日、判決が出なかった場合‥‥ 彼女に判決が下されることは、 永久になくなるかもしれません。 ポイントは、シンプルです。 彼女が事件当夜、父親に 毒を運び、殺害したのか‥‥? ‥‥その場合、彼女は<<有罪>>です。 それとも、土武六氏の死には、 別の”事情”があったのか‥‥? ”第三者が、毒を運んだ” ‥‥その場合、彼女は<<無罪>>です。 <<判決>>は、手元のパネルで 選んでいただきます。 それでは‥‥ |
6: | あの‥‥待ってください! |
成: | ‥‥なんですか? 裁判員6号。 |
6: |
裁判員のハンドブックに、 こんなコトが書かれているのですが。 <<事件の関係者は、 裁判員になれない>>‥‥ |
成: |
‥‥そのとおりです。 ぼくは、あなたがたの 資料を調べさせていただいて‥‥ ”事件発生において”いかなる 関係もないと判断しました。 |
6: |
”事件発生の段階において” ‥‥ですか。 |
成: |
‥‥どうやら。 何か、思い当たったようですね。 |
6: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ |
成: |
‥‥それでは。 そろそろ時間です。 被告人・絵瀬 まことに対する 判決をおねがいしましょう! 7年の時間を経て、今。 真実が問われようとしている‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 正しい判断を期待しています。 |