御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
須々木 マコ…橙 | |
優木 誠人…黄緑 |
優: |
『イトノコギリ刑事。キミは、 拳銃をうばって、リョウを撃った。』(推理1) 『そして、わざと本棚をあらしたんだ。 物取りの犯行と見せかけるためにね。』(推理2) 『そのとき、本棚の前に座っていた リョウの死体を移動させたんだ。』(推理3) 『でも、そのせいで死体で隠れた ファイルの血文字に気づけなかった。』(推理4) 『そう‥‥リョウの最後のコトバが、 こうしてキミを捕えたんだ。』(推理5) |
御: |
ダイイングメッセージが 犯人を指し示す、か‥‥。 |
優: |
リョウの声が聞こえるんだ。 犯人を捕まえてほしがっている。 |
御: |
フッ‥‥。その声、 聞きマチガイでないといいがな。 (イトノコギリ刑事は、 犯人ではない‥‥ このオトコの推理の ”ムジュン”‥‥ 証拠品で 証明してやるとしよう!) |
御: |
ユウキ検事。キミの推理は、 アキラカにムジュンしている。 |
優: |
お! 気分は法廷の尋問かい。 いいね! ボクも熱くなってくるよ。 |
御: | ‥‥私には、フシギで仕方がない。 |
優: | フシギ? |
御: |
キミが、私と同じ検事だとはな。 検事局の権威も地に落ちたものだ。 |
優: |
な‥‥なんだよ! イキナリ冗談キツイなあ。ははは。 |
御: |
笑っているヒマがあったら、 ダイイングメッセージを見たまえ。 気づかないのかね? ファイルが ひとつ失われていることに‥‥。 |
優: |
なんのことだ‥‥いッ? ウソだ! そんなハズは! |
御: | 何が、”ウソ”なのだ? |
優: | い、いや。なんでもないさ‥‥。 |
御: |
ここには、”ある事件”の 調査ファイルが置かれていた。 犯人は犯行後、その ファイルを盗み出している‥‥。 そのとき、犯人は血文字に 気がついたと考えるべきだろう。 |
優: |
ファイルが盗まれたのは、 犯行より前だったのかもしれない! |
御: |
血文字が書かれた後に 盗まれたことは、あきらかだ。 盗まれたファイルのところで、 血文字が途切れているからな。 |
糸: |
たしかにその通りッス! ノとコが少し短いッスよ! |
御: |
犯人がイトノコギリ刑事 だったならば‥‥。 血で書かれた自分の名前を 黙って見過ごしはすまい。 いくらこの血のめぐりの悪い 刑事といえどもな! |
優: | ぐッ! |
糸: |
となると、どうなるッスか? このダイイングメッセージは‥‥。 |
御: |
犯人による偽装工作だと 考えるべきだろうな。 |
優: | ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。 |
糸: |
ヒドイッス! 犯人は、自分に 罪をなすりつけようとしたッスね! タイホッス! がぜんタイホッスよ! |
御: | いかがかな? ユウキ検事。 |
優: |
はっはっはっはっはっは! おみごと! おみごとだよ! これがオリンピック級の ロジックってやつだね! |
御: |
おほめにあずかり光栄だが、 キミの推理は間違っていたようだな。 |
優: |
まあね。ダレでも失敗はあるさ。 残念、残念。 |
糸: |
なんか、軽いッスね‥‥。自分は 生きた心地がしなかったッスのに。 |
優: |
ああ。 でも、ホントに残念だなあ。 ホントは、こんなこと 言いたくなかったんだけどなあ。 |
糸: |
な、なんスか! まだ自分のことを 疑っているんスか! |
優: |
‥‥この部屋のカギを 持っているのはダレだい? |
糸: |
それは、自分ッスけど。 でも、自分のムジツは今、 御剣検事が証明してくれたッス! |
優: |
そうだね。うん。 それは、ボクも認めるさ。 |
御: |
まだ何か、言いたいことでも あるのかね? |
優: |
ところが、もう一人いるんだな。 この部屋のカギを開けられる人間が。 |
御: | (もう一人だと‥‥?) |
優: | ちょっと、そこのキミ! |
警: | はッ! なんでしょうか! |
優: |
連れてきてくれないかな。 彼女を‥‥さ。 |
御: | (彼女‥‥だと?) |
優: |
彼女は、検事局の”警備員”でね。 事件の重要参考人ってところかな。 |
糸: |
えッ! 警備員! それはッ! それは、ダメッス! |
御: |
(イトノコギリ刑事‥‥。 突然、どうしたのだ?) |
優: |
紹介の必要はないかな? 警備員の須々木 マコ (すずきまこ)くんだ。 |
マ: | イトノコセンパイ‥‥。 |
糸: | マコクン! |
優: |
彼女は今夜、この検事局の 当直警備員をしていた‥‥。 |
御: |
なるほどな‥‥。 そういうことか。 |
優: |
さすがにさっしがいいなあ。 そう。彼女は、使うことができた。 ”マスターキー”‥‥。すべての 執務室の扉を開けられるカギをね。 |
糸: | な、なんッスとおおおおおおおお! |
優: |
イトノコさん。 キミが犯人ではないなら‥‥。 あとは、彼女しかいないんだ。 この部屋に侵入できた人物は、ね。 |
マ: |
ちがうッス! スズキ、そんなことしてないッス! |
糸: |
マ、マコクンが 犯人のハズないッス! えーと‥‥! そうッス! 自分ッス! |
優: | それは、自白と考えていいのかな? |
糸: |
えーと、ちがうッスけど‥‥。 でも! マコクンじゃないッス! だから、自分が殺したッス! そうにチガイないッスゥゥゥゥ! |
御: |
イトノコギリ刑事。落ち着きたまえ。 そんなデタラメな主張に意味はない。 |
優: |
ミツルギ検事の言うとおりだよ。 犯人は、彼女しかありえない。 その理由は、シンプルだよ‥‥! |
優: |
『マコくんは、マスターキーで カギを開け、執務室に侵入したのさ。』(推理1) 『部屋のカギをあずかっていた イトノコギリ刑事が犯人でないなら、』(推理2) 『それができたのは、 彼女しかいないからね。』(推理3) 『それに、イトノコギリ刑事とも 知り合いなんだろう?』(推理4) 『ニセのダイイングメッセージを 残すこともできたってことじゃない。』(推理5) |
御: | マスターキーか‥‥。 |
捜査手帳に記録した。 | |
優: |
”決定的な証拠”っていうのは、 こういうことを言うんだろうね! |
御: |
同じセリフをさっきも 聞いた気がするが‥‥。 |
優: |
さっきはさっき、今は今。 試合の状況は常に動いてる。 アスリートにはジュウナンな ハンシャシンケイが必要なのさ! |
御: |
(彼女以外に、マスターキーを 使うことはできなかったのか? ”ゆさぶる”でくわしく話を 聞く必要がありそうだな) |
御: |
マスターキーを使えた警備員は、 彼女だけだったのだろうか? |
優: |
夜勤の警備員は、1人だけだよ。 そして、今夜の担当は彼女だった。 マチガイないよね? |
マ: |
それは、そうッスけど‥‥。 でも‥‥。 でも、あのとき自分は マスターキーを使えなかったッス! |
御: |
(マスターキーを使えなかった? どういうことだ‥‥?) |
優: |
ああ。その話はもういいよ。 カンケーないから。 |
糸: |
もういいとは、何ッスか! マコクンの話を聞くッスよ! |
優: |
だって、見え見えのウソ証言さ。 聞くだけ時間のムダだよ? |
御: |
(どうする? スズキさんの話を 詳しく聞くべきだろうか?) |
御: |
待ってくれ。スズキさん。 その話、詳しく聞かせてもらおう。 |
優: |
だから、そんな必要ないって 言ってるのになあ。 |
御: |
必要かどうかは、私が判断しよう。 スズキさん‥‥お願いする。 |
マ: |
午前1時ぐらいにマスターキーが、 なくなってるのに気づいたッス! |
御: | なくなっていた? |
マ: |
警備員室のどこにもなかったッス! きっと、犯人に盗まれたッス! |
御: |
ユウキ検事‥‥。これは明らかに 重要な証言だと思うが? |
優: |
まいったな。アンタほどの人が、 こんな証言にまどわされるとはね。 |
マ: | スズキ、ウソは言ってないッス! |
優: |
じゃあ聞くけどさ。なんで今そこに マスターキーがあるんだい? |
マ: |
う‥‥。それは、気がついたら 戻って来てたッス。 |
優: |
ほら。こんな都合の良い話ないだろ。 盗まれたって証拠はあるのかな? おおかた、自分でどこに置いたか 忘れちゃってたんじゃないの。 |
マ: |
スズキ、自分でモノを なくしたことはほとんどないッス! スズキのモノがなくなるときは、 たいてい誰かに盗まれてるッス! |
糸: |
そうッス! マコクンの運の悪さを なめたらいけないッス! |
御: |
‥‥‥‥‥‥。たしかに、 決定的とは言いがたいようだな。 |
優: | わかってもらえてよかったよ。 |
糸: |
うう‥‥。 でも! でも! そもそも、マコクンには 執務室に侵入する理由がないッス! |
優: |
それは、ドロボウ目的だってことで カタがついてるだろ? 犯人は、本棚を荒らし、 金庫を調べているからね。 |
御: |
イトノコギリ刑事。 ユウキ検事の言う通りだ。 (そう。”犯人の目的はドロボウ”。 これは、見逃せないジジツ! 今度は、こちらが 反撃する番だな‥‥) |
優: |
『本棚を荒らし、金庫を調べてるから、 ドロボウが目的だったんだろうね。』(推理6) |
御: |
スズキさんが、ドロボウに入った。 ‥‥はたしてそうだろうか? |
優: |
おいおい。どういうことだい? ドロボウ目的だったっていうのは、 アンタが推理したことだろ? |
御: |
キミも知っているはずだろう? この金庫は、<<隠し金庫>>なのだ。 <<検事>>だけしか、 知らないハズのな‥‥。 |
優: | あッ! |
御: |
そう。彼女が、隠された金庫を 調べられるはずがないのだよ。 |
優: |
そ、それは‥‥! 部屋中を探してて、 たまたま見つけたのかもしれない! |
御: |
その可能性は、低いだろうな。 犯人は、手当たりしだいに 部屋を荒らしたわけではない。 狙いすましたように、<<本棚>>と <<金庫>>だけを調べている。 |
優: | うぐぐぐぐぐッ! |
糸: |
そうッス! あの金庫は、 自分すら知らなかったッス! マコクンが 知ってるハズがないッスよ! |
優: |
そ、それじゃあ。 アンタはこう言いたいのか? ”犯人は、検事だ”‥‥って。 |
御: |
フッ。さっしがいいな。 その可能性は高いだろう。 |
優: | ‥‥‥‥‥‥‥‥。 |
御: |
どうしたのだ? ユウキ検事。 何か心当たりでもあるのかな? |
優: |
そうか。 そうだったのか‥‥。 チクショウッ! どうしてッ! どうしてなんだッ! |
糸: |
い、いきなり。 どうしたッスか? |
優: |
ああ‥‥。 すべては、ボクのせいだ‥‥。 |
御: | どういうことかな? |
優: |
リョウだよ‥‥。 アイツは、知っていたのさ。 あの<<隠し金庫>>の存在を。 |
御: |
! なんだと‥‥? |
優: |
ボクたちは、相棒だった。 一心同体の仲間だった。 だから、教えてあったんだ。 <<隠し金庫>>のことも。 |
糸: | それじゃあ‥‥。 |
優: |
そう。ボクがいけなかったんだ。 ボクが教えたばっかりに‥‥。 ミツルギ検事の部屋に入った ドロボウは、リョウだったんだ‥‥ |
御: |
(被害者が、 ドロボウだった‥‥だと?) |
優: |
そして‥‥。アンタは、 リョウを止めようとしてくれた。 そうなんだろ? 須々木 マコくん。 |
マ: | えっ? |
御: | ‥‥‥‥! |
優: |
たしかに、それが警備員である キミの仕事さ。 でも、何も殺さなくても 良かったんじゃないかな? |
糸: |
何ッスか! アンタは、 まだマコクンのことを! |
優: |
そうだよな。キミにみつかった リョウは、拳銃をぬいたんだ‥‥。 ”正当防衛”だった。 そうなんだろう? |
マ: |
ち、ちがうッス! スズキ、そんな‥‥。 そんな、警備員みたいなこと してないッス! |
糸: |
そもそもドロボウに入ろうとしても、 被害者はカギを持ってないッス! |
優: |
だから、盗んだんだろうね。 マスターキーを、さ。 |
マ: | ああッ! |
優: |
盗まれたはずのマスターキーが 今ここにあるのも納得だよ。 キミは、リョウを殺したあと、 マスターキーを回収したんだ。 |
御: |
ユウキ検事。ホンキでキミの相棒が、 ドロボウだったと主張するのか? |
優: |
ボクだって認めたくないさ。でも、 それなら、すべてつじつまが合う。 |
御: | (この男‥‥) |
優: |
さて。おしゃべりは、終わりだ。 本格的な捜査をしなければならない。 キミたちは、 出て行ってくれるかな? |
糸: |
何言ってるッスか! ここは、御剣検事の部屋ッスよ! |
優: |
この事件は、ボクが担当する。 キミたちは、容疑者とつながりが 深すぎる。適任とは言えないね。 |
御: | ‥‥‥‥。 |
糸: |
だから、マコクンが 犯人のハズがないと何度も‥‥! |
御: |
イトノコギリ刑事! 冷静になりたまえ。 |
糸: | でも‥‥! |
御: |
ここは、引くしかないようだ。 今はまだ‥‥な。 |
優: |
ははッ! 話が分かるなあ。ミツルギさん。 ほら。分かったんなら、 さっさと出て行ってよ。 |
御: |
フッ。ユウキ検事。 またあとでお会いしよう。 |
優: |
伝説の検事さんの アポイントじゃしょうがないね。 楽しみに、待ってるよ! |