第1話『逆転の来訪者』前編(その3)

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御剣 怜侍…茶
糸鋸 圭介…黄土
須々木 マコ…橙
優木 誠人…黄緑
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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(優木検事の推理)
優: 『イトノコギリ刑事。キミは、
拳銃をうばって、リョウを撃った。』(推理1)
『そして、わざと本棚をあらしたんだ。
物取りの犯行と見せかけるためにね。』(推理2)
『そのとき、本棚の前に座っていた
リョウの死体を移動させたんだ。』(推理3)
『でも、そのせいで死体で隠れた
ファイルの血文字に気づけなかった。』(推理4)
『そう‥‥リョウの最後のコトバが、
こうしてキミを捕えたんだ。』(推理5)
御: ダイイングメッセージが
犯人を指し示す、か‥‥。
優: リョウの声が聞こえるんだ。
犯人を捕まえてほしがっている。
御: フッ‥‥。その声、
聞きマチガイでないといいがな。
(イトノコギリ刑事は、
犯人ではない‥‥
このオトコの推理の
”ムジュン”‥‥
証拠品で
証明してやるとしよう!)

(「推理4」に「盗まれたファイル」をつきつける)
御: ユウキ検事。キミの推理は、
アキラカにムジュンしている。
優: お! 気分は法廷の尋問かい。
いいね! ボクも熱くなってくるよ。
御: ‥‥私には、フシギで仕方がない。
優:フシギ?
御: キミが、私と同じ検事だとはな。
検事局の権威も地に落ちたものだ。
優: な‥‥なんだよ!
イキナリ冗談キツイなあ。ははは。
御: 笑っているヒマがあったら、
ダイイングメッセージを見たまえ。
気づかないのかね? ファイルが
ひとつ失われていることに‥‥。
優: なんのことだ‥‥いッ?
ウソだ! そんなハズは!
御:何が、”ウソ”なのだ?
優: い、いや。なんでもないさ‥‥。
御: ここには、”ある事件”の
調査ファイルが置かれていた。
犯人は犯行後、その
ファイルを盗み出している‥‥。
そのとき、犯人は血文字に
気がついたと考えるべきだろう。

(優木検事「異議あり!」)
優: ファイルが盗まれたのは、
犯行より前だったのかもしれない!
御: 血文字が書かれた後に
盗まれたことは、あきらかだ。
盗まれたファイルのところで、
血文字が途切れているからな。
糸: たしかにその通りッス!
ノとコが少し短いッスよ!
御: 犯人がイトノコギリ刑事
だったならば‥‥。
血で書かれた自分の名前を
黙って見過ごしはすまい。
いくらこの血のめぐりの悪い
刑事といえどもな!
優:ぐッ!
糸: となると、どうなるッスか?
このダイイングメッセージは‥‥。
御: 犯人による偽装工作だと
考えるべきだろうな。
優:‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
糸: ヒドイッス! 犯人は、自分に
罪をなすりつけようとしたッスね!
タイホッス!
がぜんタイホッスよ!
御:いかがかな? ユウキ検事。
優: はっはっはっはっはっは!
おみごと! おみごとだよ!
これがオリンピック級の
ロジックってやつだね!
御: おほめにあずかり光栄だが、
キミの推理は間違っていたようだな。
優: まあね。ダレでも失敗はあるさ。
残念、残念。
糸: なんか、軽いッスね‥‥。自分は
生きた心地がしなかったッスのに。
優: ああ。
でも、ホントに残念だなあ。
ホントは、こんなこと
言いたくなかったんだけどなあ。
糸: な、なんスか! まだ自分のことを
疑っているんスか!
優: ‥‥この部屋のカギを
持っているのはダレだい?
糸: それは、自分ッスけど。
でも、自分のムジツは今、
御剣検事が証明してくれたッス!
優: そうだね。うん。
それは、ボクも認めるさ。
御: まだ何か、言いたいことでも
あるのかね?
優: ところが、もう一人いるんだな。
この部屋のカギを開けられる人間が。
御:(もう一人だと‥‥?)
優:ちょっと、そこのキミ!
警:はッ! なんでしょうか!
優: 連れてきてくれないかな。
彼女を‥‥さ。
御:(彼女‥‥だと?)
優: 彼女は、検事局の”警備員”でね。
事件の重要参考人ってところかな。
糸: えッ! 警備員! それはッ!
それは、ダメッス!
御: (イトノコギリ刑事‥‥。
突然、どうしたのだ?)
優: 紹介の必要はないかな?
警備員の須々木 マコ
(すずきまこ)くんだ。
マ:イトノコセンパイ‥‥。
糸:マコクン!
優: 彼女は今夜、この検事局の
当直警備員をしていた‥‥。
御: なるほどな‥‥。
そういうことか。
優: さすがにさっしがいいなあ。
そう。彼女は、使うことができた。
”マスターキー”‥‥。すべての
執務室の扉を開けられるカギをね。
糸: な、なんッスとおおおおおおおお!
優: イトノコさん。
キミが犯人ではないなら‥‥。
あとは、彼女しかいないんだ。
この部屋に侵入できた人物は、ね。
マ: ちがうッス!
スズキ、そんなことしてないッス!
糸: マ、マコクンが
犯人のハズないッス!
えーと‥‥!
そうッス! 自分ッス!
優: それは、自白と考えていいのかな?
糸: えーと、ちがうッスけど‥‥。
でも! マコクンじゃないッス!
だから、自分が殺したッス!
そうにチガイないッスゥゥゥゥ!
御: イトノコギリ刑事。落ち着きたまえ。
そんなデタラメな主張に意味はない。
優: ミツルギ検事の言うとおりだよ。
犯人は、彼女しかありえない。
その理由は、シンプルだよ‥‥!

(マコを疑う理由)
優: 『マコくんは、マスターキーで
カギを開け、執務室に侵入したのさ。』(推理1)
『部屋のカギをあずかっていた
イトノコギリ刑事が犯人でないなら、』(推理2)
『それができたのは、
彼女しかいないからね。』(推理3)
『それに、イトノコギリ刑事とも
知り合いなんだろう?』(推理4)
『ニセのダイイングメッセージを
残すこともできたってことじゃない。』(推理5)
御:マスターキーか‥‥。

<<マスターキー>>を
捜査手帳に記録した。
優: ”決定的な証拠”っていうのは、
こういうことを言うんだろうね!
御: 同じセリフをさっきも
聞いた気がするが‥‥。
優: さっきはさっき、今は今。
試合の状況は常に動いてる。
アスリートにはジュウナンな
ハンシャシンケイが必要なのさ!
御: (彼女以外に、マスターキーを
使うことはできなかったのか?
”ゆさぶる”でくわしく話を
聞く必要がありそうだな)

(「推理1」をゆさぶる)
御: マスターキーを使えた警備員は、
彼女だけだったのだろうか?
優: 夜勤の警備員は、1人だけだよ。
そして、今夜の担当は彼女だった。
マチガイないよね?
マ: それは、そうッスけど‥‥。
でも‥‥。
でも、あのとき自分は
マスターキーを使えなかったッス!
御: (マスターキーを使えなかった?
どういうことだ‥‥?)
優: ああ。その話はもういいよ。
カンケーないから。
糸: もういいとは、何ッスか!
マコクンの話を聞くッスよ!
優: だって、見え見えのウソ証言さ。
聞くだけ時間のムダだよ?
御: (どうする? スズキさんの話を
詳しく聞くべきだろうか?)

(「詳しく聞く」を選択)
御: 待ってくれ。スズキさん。
その話、詳しく聞かせてもらおう。
優: だから、そんな必要ないって
言ってるのになあ。
御: 必要かどうかは、私が判断しよう。
スズキさん‥‥お願いする。
マ: 午前1時ぐらいにマスターキーが、
なくなってるのに気づいたッス!
御:なくなっていた?
マ: 警備員室のどこにもなかったッス!
きっと、犯人に盗まれたッス!
御: ユウキ検事‥‥。これは明らかに
重要な証言だと思うが?
優: まいったな。アンタほどの人が、
こんな証言にまどわされるとはね。
マ: スズキ、ウソは言ってないッス!

(優木検事「異議あり!」)
優: じゃあ聞くけどさ。なんで今そこに
マスターキーがあるんだい?
マ: う‥‥。それは、気がついたら
戻って来てたッス。
優: ほら。こんな都合の良い話ないだろ。
盗まれたって証拠はあるのかな?
おおかた、自分でどこに置いたか
忘れちゃってたんじゃないの。
マ: スズキ、自分でモノを
なくしたことはほとんどないッス!
スズキのモノがなくなるときは、
たいてい誰かに盗まれてるッス!
糸: そうッス! マコクンの運の悪さを
なめたらいけないッス!
御: ‥‥‥‥‥‥。たしかに、
決定的とは言いがたいようだな。
優: わかってもらえてよかったよ。
糸: うう‥‥。
でも! でも!
そもそも、マコクンには
執務室に侵入する理由がないッス!
優: それは、ドロボウ目的だってことで
カタがついてるだろ?
犯人は、本棚を荒らし、
金庫を調べているからね。
御: イトノコギリ刑事。
ユウキ検事の言う通りだ。
(そう。”犯人の目的はドロボウ”。
これは、見逃せないジジツ!
今度は、こちらが
反撃する番だな‥‥)
優: 『本棚を荒らし、金庫を調べてるから、
ドロボウが目的だったんだろうね。』(推理6)

(「推理6」に「隠し金庫」をつきつける)
御: スズキさんが、ドロボウに入った。
‥‥はたしてそうだろうか?
優: おいおい。どういうことだい?
ドロボウ目的だったっていうのは、
アンタが推理したことだろ?
御: キミも知っているはずだろう?
この金庫は、<<隠し金庫>>なのだ。
<<検事>>だけしか、
知らないハズのな‥‥。
優:あッ!
御: そう。彼女が、隠された金庫を
調べられるはずがないのだよ。
優: そ、それは‥‥!
部屋中を探してて、
たまたま見つけたのかもしれない!
御: その可能性は、低いだろうな。
犯人は、手当たりしだいに
部屋を荒らしたわけではない。
狙いすましたように、<<本棚>>と
<<金庫>>だけを調べている。
優:うぐぐぐぐぐッ!
糸: そうッス! あの金庫は、
自分すら知らなかったッス!
マコクンが
知ってるハズがないッスよ!
優: そ、それじゃあ。
アンタはこう言いたいのか?
”犯人は、検事だ”‥‥って。
御: フッ。さっしがいいな。
その可能性は高いだろう。
優:‥‥‥‥‥‥‥‥。
御: どうしたのだ? ユウキ検事。
何か心当たりでもあるのかな?
優: そうか。
そうだったのか‥‥。
チクショウッ!
どうしてッ! どうしてなんだッ!
糸: い、いきなり。
どうしたッスか?
優: ああ‥‥。
すべては、ボクのせいだ‥‥。
御:どういうことかな?
優: リョウだよ‥‥。
アイツは、知っていたのさ。
あの<<隠し金庫>>の存在を。
御:
なんだと‥‥?
優: ボクたちは、相棒だった。
一心同体の仲間だった。
だから、教えてあったんだ。
<<隠し金庫>>のことも。
糸:それじゃあ‥‥。
優: そう。ボクがいけなかったんだ。
ボクが教えたばっかりに‥‥。
ミツルギ検事の部屋に入った
ドロボウは、リョウだったんだ‥‥
御: (被害者が、
ドロボウだった‥‥だと?)
優: そして‥‥。アンタは、
リョウを止めようとしてくれた。
そうなんだろ?
須々木 マコくん。
マ:えっ?
御:‥‥‥‥!
優: たしかに、それが警備員である
キミの仕事さ。
でも、何も殺さなくても
良かったんじゃないかな?
糸: 何ッスか! アンタは、
まだマコクンのことを!
優: そうだよな。キミにみつかった
リョウは、拳銃をぬいたんだ‥‥。
”正当防衛”だった。
そうなんだろう?
マ: ち、ちがうッス!
スズキ、そんな‥‥。
そんな、警備員みたいなこと
してないッス!
糸: そもそもドロボウに入ろうとしても、
被害者はカギを持ってないッス!
優: だから、盗んだんだろうね。
マスターキーを、さ。
マ:ああッ!
優: 盗まれたはずのマスターキーが
今ここにあるのも納得だよ。
キミは、リョウを殺したあと、
マスターキーを回収したんだ。
御: ユウキ検事。ホンキでキミの相棒が、
ドロボウだったと主張するのか?
優: ボクだって認めたくないさ。でも、
それなら、すべてつじつまが合う。
御:(この男‥‥)
優: さて。おしゃべりは、終わりだ。
本格的な捜査をしなければならない。
キミたちは、
出て行ってくれるかな?
糸: 何言ってるッスか!
ここは、御剣検事の部屋ッスよ!
優: この事件は、ボクが担当する。
キミたちは、容疑者とつながりが
深すぎる。適任とは言えないね。
御:‥‥‥‥。
糸: だから、マコクンが
犯人のハズがないと何度も‥‥!
御: イトノコギリ刑事!
冷静になりたまえ。
糸:でも‥‥!
御: ここは、引くしかないようだ。
今はまだ‥‥な。
優: ははッ!
話が分かるなあ。ミツルギさん。
ほら。分かったんなら、
さっさと出て行ってよ。
御: フッ。ユウキ検事。
またあとでお会いしよう。
優: 伝説の検事さんの
アポイントじゃしょうがないね。
楽しみに、待ってるよ!


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