御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
須々木 マコ…橙 | |
優木 誠人…黄緑 | |
亜内検事…黒 |
検事局・12階廊下 | |
糸: |
なんなんスか! あの検事は! 失礼ッス! 許せないッスよ! |
御: |
冷静になるのだ、 イトノコギリ刑事。 |
糸: |
絶対に、マコクンのムジツの 証拠を探しだしてやるッス! |
マ: |
でも、スズキたち、事件現場から 追い出されてしまったッスよ。 |
糸: |
そ、そうだったッス。 一体どうしたらいいッスか! |
マ: |
スズキの人生、 またしても大ピンチッス! |
御: |
何も取り乱すほどのことではない。 他にも、調べるべきところは、 いくらでもあるだろう。 |
糸: | え! ホントッスか? |
御: |
たとえば、この”廊下”だ。 スズキさんが疑われているのは、 ”カギの問題”があるからだ。 私の部屋の扉が どうやって開けられたのか‥‥。 それを知るためにも、この廊下を 調べてみる価値はある! |
検事局・12階廊下) | |
亜: |
大変なコトが起きましたねえ、 御剣検事。 |
御: |
うム。検事局で殺人とは、 ダイタンな犯行だ。 ハンニンにはしかるべき報いを 与えてやらねばな。 |
亜: |
聞けば、なかなかの難事件とか。 わからないコトがあれば、この私に 相談してくれてもいいのですぞ! |
御: |
その折には、よろしく頼む。 (‥‥ダレだったかな、 このヒトは) |
御: |
事件について、少し話を 聞かせてもらえるだろうか? |
マ: |
スズキ、これでもちょっとした 法廷マニアッスからねえ。 御剣さんに尋問してもらえるなんて 夢のようッス! |
御: |
(彼女には、マスターキーについて、 詳しく聞いておく必要がある。 証拠品をつきつけて話を 聞くには、Xボタンだったな) |
御: | 被害者と面識は? |
マ: |
優木検事の部屋に来るのを 何度か見たことがあるッス。 いつも、優木検事の バスケの相手をしていたッス。 |
糸: |
楽しそうッスね! 一度ぐらいまざりたかったッス。 |
マ: |
でも、いつもシュートするのは 優木検事だけで‥‥ 仲間戸刑事は、パスする 役だったッスよ。 |
糸: |
‥‥そのチームには、 入りたくないッスね。 |
御: |
スズキさん‥‥と言ったかな? キミは刑事の知り合いかね? |
糸: |
マコクンは、警察官をやっていた頃、 自分の部下だったッスよ。 その後、別の仕事をしてたッスけど、 色々あってやめるコトになったッス。 |
マ: |
イトノコセンパイが、警備会社を 紹介してくれて助かったッス! と、昨日までは 思ってたッスけど‥‥。 今日の仕事を終えて、 帰ろうとおもった矢先に‥‥ |
御: |
この事件に巻きこまれた、 ということか‥‥。 |
マ: |
スズキの人生は、まさに不運と 敗北と大番狂わせの見本市ッス。 |
御: | ‥‥? |
マ: |
生後6ヶ月のとき、マンションの 9階から落っこちたのを皮切りに、 ひととおりの乗り物にはひかれ、 ひととおりの食べ物にはあたり、 だいたいの試験には落第して、 ほとんどの災害をも経験して、 警備員になってみれば、逆に 犯罪者に間違われる始末。 |
御: |
むう‥‥それはまた、 困ったことだな‥‥。 |
マ: |
でも、今度こそ‥‥人並みの幸せを つかめるかと思ったッスのに! センパイや御剣さんまで、自分の 不幸に巻きこんでしまって‥‥ |
御: |
スズキさん‥‥私の心配をする 必要はない。ムロン、君の心配も。 この事件は私が解決する。 そのためにも協力してくれたまえ。 |
マ: |
ハイッ! 御剣さんッ! 何でも協力しますッ! |
御: |
マスターキーがなくなったのは いつのことなのだね? |
マ: |
なくなったことに気がついたのは、 午前1時ごろのことだったッス。 戻ってきたのに気づいたのは、 午前2時30分ごろだったッス。 警備員室の窓のところに 置いてあったッスよ。 その間、盗まれていたことは マチガイないッス! |
御: |
そんなに盗まれやすいところに 置いてあるものなのだろうか? |
マ: |
いえ。そんなことないッス。 いつもは、警備員室の奥に しまってあるッスよ! |
御: | いつもは‥‥というと? |
マ: |
スズキ、あのときは うっかりしてたッス! ちょっとマスターキーを 使う用事があったッスけど。 そのあと、廊下に面した窓の所に、 置きっぱなしだったッスよ。 |
御: |
(マスターキーを 使った用事だと?) |
御: |
マスターキーを使った用事とは、 なんのことだろうか? |
マ: |
それは、カギを忘れた検事さんが いたからドアを開けてあげたッス。 スズキ、これでも警備員ッスからね。 ‥‥‥‥あッ! |
御: | どうしたのだ? |
マ: |
そうッス! 思い出したッス! そのカギを忘れた検事さん‥‥。 優木検事だったッスよ! |
御: |
なんだと? その話、 詳しく聞かせてもらおうか。 |
マ: |
たしかあれは、 夜中の12時ごろだったッス。 優木検事が、執務室のカギを忘れて、 警備員室に来たッスよ。 |
御: |
それで、マスターキーを 貸したのか? |
マ: |
まさか! マスターキーは、 貸しちゃダメッス。 スズキが、優木検事の部屋の前まで 行ってカギを開けたッスよ。 |
御: | (なるほどな‥‥) |
糸: |
それで、そのあと どうしたッスか! |
マ: |
優木検事が帰るときに、カギを 閉めるためにまた呼ばれたッス。 たしか、午前1時30分ごろ だったと思うッス。 |
御: |
つまり、スズキさんは ユウキ検事のために、 マスターキーを2回使った ということだな‥‥。 |
糸: | あやしいッス! |
御: |
カギを忘れるということが、 ないとは言い切れないが‥‥。 (ユウキ検事の部屋か。しっかりと 調べてみる必要がありそうだな) |
(「盗まれていたマスターキー」と「マスターキーを使った」をまとめる) | |
御: |
スズキさん。 キミの話にはムジュンがある。 |
マ: | えッ! ムジュンッスか! |
御: |
キミがユウキ検事の部屋のカギを 閉めたのは午前1時30分ごろ。 そのとき、すでにマスターキーは 盗まれていたはずではないかね? |
マ: |
あッ! さすが御剣さんッス! バシッと! 見抜かれたッス! スズキ、すっかり忘れていたッス! バッチリ、思い出したッスよ。 そのころッス! マスターキーが ないことに気がついたのは! |
御: | それで、どうしたのだね? |
マ: |
スズキ、これでも 警備員ッスから! ”なくした”って言うわけにも いかなかったッス。 だから‥‥ 閉めたフリをしたッス。 |
御: | 閉めたフリだと? |
マ: |
そうッス、スズキの家のカギを 使ってガチャガチャやったッス。 |
御: |
それじゃあ。実際には、カギは 閉めなかったということか? |
マ: |
マスターキーを見つけてから 閉めようと思ったッスけど。 そういえば、 まだ閉められてないッス‥‥。 |
捜査手帳に記録した。 | |
御: |
(あやしい場所は、 すみずみまで調べるとしよう) |
御: | シッカリとカギがかかっている。 |
糸: |
ハリガネで開いたり しないッスかね? |
御: |
ここは上級検事執務室だ。 そのへんのコソドロが開けられる ような、ヤワなつくりではない。 |
糸: |
なるほど! すると、ハンニンは 大ドロボウってことッスか! |
御: | ‥‥なぜ、そうなる? |
御: |
(この場所‥‥あの証拠品と 関係があるのか‥‥?) |
御: |
これは、明らかに ムジュンしている! スズキさんの証言がたしかならば、 どうしてカギが閉まっているのだ? |
糸: | あれ? たしかにオカシイッスね! |
御: |
スズキさん。閉めていないのは、 たしかなのだろうな? |
マ: |
それは、たしかッス。 優木検事は、気づいてなかった みたいッスけど。 |
糸: |
となると、 どういうことになるッスか? |
御: |
本当は、ユウキ検事が カギを持っていたか‥‥。 それとも、スズキさんが開けたのが ちがうドアなのか‥‥だな。 |
糸: |
ちがうドアって、 どういうことッスか? |
御: |
それを、カンタンに 確かめる方法がひとつある。 それは、コレを調べることだ。 |
御: |
ドアノブに残された指紋‥‥。 それで、すべてハッキリする! |
糸: |
鑑識ッ! さっそく指紋を 調べるッスよ! |
糸: | 指紋は、指紋はどうだったッスか! |
御: | 鼻息が荒いぞ、イトノコギリ刑事。 |
鑑: |
ハッ! 優木検事と仲間戸刑事の 指紋が検出されました! |
御: |
発見されたのは、2人の指紋だけか。 なるほど。決定的だな‥‥。 |
糸: | え? どういうことッスか? |
御: |
このドアノブには、ある人物の 指紋がなければおかしいのだ。 (優木検事の部屋のドアノブに、 指紋がのこるはずの人物とは?) |
御: |
カギを開けたはずのスズキさんの 指紋がなければおかしいのだよ。 |
糸: | つまり‥‥。 |
御: |
スズキさんの開けた扉は、 これではないということになるな。 |
情報を書きかえた。 | |
御: |
(ん? なんだ、これは? あやしい場所は、 すみずみまで調べるとしよう) |
御: | これは‥‥? |
糸: |
何かの紙キレッスね。 中を見てみるッスよ! どれどれ。 何が書いてあるッスかねー! |
御: | どうやら、被害者のメモのようだな。 |
糸: |
優木検事に あてたものみたいッスね。 |
捜査手帳に記録した。 | |
御: | (ん? これは‥‥) |
糸: |
どうしたッスか、御剣検事。 やるッスか? バスケ。 |
御: |
いや‥‥。このバスケットゴール、 位置がおかしいのだ。 |
糸: |
あッ! ホントッス。 シュートの衝撃で ズレちゃったッスかね? |
御: |
(この不自然な位置関係‥‥。 無視することはできないな) |
捜査手帳に記録した。 | |
御: |
(あやしい場所は、 すみずみまで調べるとしよう) |
御: |
ムリヤリこじあけられた アトはないようだな。 |
糸: |
鑑識の話では、ピッキングされた アトもないそうッス。 |
御: |
やはり、きちんとカギを使って 開けられたということか。 それで、 指紋はどうだったのだ? |
糸: |
ドアノブの指紋は、キレイに ふき取られていたみたいッスね。 |
御: |
(てがかりはなしか‥‥。 なかなか用心深い犯人のようだ) |
御: |
(あやしい場所は、 すみずみまで調べるとしよう) |
御: |
‥‥? これは‥‥。 |
糸: |
あッ! これ、盗まれた ファイルじゃないッスか! |
御: |
うム。血文字のアトもある。 まちがいないようだ。 ‥‥ページが抜き取られているな。 犯人は、必要な部分だけ取って 投げ捨てて行ったようだ。 |
糸: |
結局、この”0”のファイルは なんなんスか? 盗まれるようなものが 入っていたッスか? |
御: |
いや。中身は、ただの法廷記録だ。 しかし‥‥。 この「0号ファイル」は、 私が担当した事件のものではない。 |
糸: | え? |
御: |
あの執務室を、私の前に使っていた 上級検事のものだ。 ちょっとした理由があってな‥‥。 そのまま残してもらっているのだ。 |
糸: |
それじゃあ。犯人は、その検事の 法廷記録が欲しかったッスか? |
御: |
うム。どうやらそのようだな。 <<10年前の事件>>のページだけが、 ぬきとられている。 |
糸: |
どうして、そんな古いものが 欲しかったッスかねえ。 |
御: |
どうやら、廊下の調査は ムダではなかったようだな。 |
糸: | な、何か分かったッスか! |
御: |
うム。いろいろとな‥‥。 そろそろ、直接話を 聞かせてもらうとしようか。 ‥‥この事件の犯人に。 |
マ: |
まさか、御剣さんには、 もう犯人が分かったッスか! |
御: |
うム。私の推理に まちがいがなければ‥‥。 ユウキ検事。 彼こそが、この事件の犯人だ。 |
マ: |
ええええッ! 優木検事が! |
糸: |
やっぱりッスか! 自分の推理の通りッス! マコクンを犯人だと言ったときから あやしいと思っていたッス! |
御: |
(それは、推理とは言わないがな) さて。 準備は、すでに整った。 ”真相への扉”を、たたくときだ。 さあ。行くとしようか‥‥。 |