第1話『逆転の来訪者』後編(その3)

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御剣 怜侍…茶
糸鋸 圭介…黄土
須々木 マコ…橙
優木 誠人…黄緑
(フォントサイズをご都合に合わせて変えて、お楽しみください。量が多いので、最小が オススメ)


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御: (もう一度、冷静に
<<ロジック>>を追うのだ!)

(「あらされた本棚」と「優木検事のアリバイ」をまとめる)
御: 本棚には、犯行前と後の2回
あらされているアトがあった。
その2回は別々の人物によるもの
とは考えられないか?
つまり、今夜私の執務室を
訪れた人物‥‥。
まねかれざる来訪者が、
もう1人いたのだとすれば‥‥!

(ロジック「もう1人の来訪者」追加)

(「もうひとつの拳銃」と「もう1人の来訪者」をまとめる)
御: 2人目の来訪者が
いたとするならば‥‥。
凶器の拳銃のムジュンも解ける。
部屋には2つの弾痕があったが‥‥
凶器は1発しか
撃たれていなかった。
残り1発を撃った拳銃はもう1人が
もちこんだ拳銃なのではないか?
そして‥‥
それが私につきつけられた
拳銃だと考えれば‥‥。

(御剣検事「異議あり!」)
御: ユウキ検事。私は、自分の発言を
訂正しなければならないようだ。
優: やっと分かってくれたみたいだね。
マ:御剣さん!
糸: 御剣検事! 何を言ってるッス!
御: 私は大きなカンチガイをしていた。
私は、殺人者と顔を
合わせてはいなかった。
優:どういうことだい?
御: 私が出会ったのは、ただの
<<ドロボウ>>だった。
糸: ただの‥‥<<ドロボウ>>?
なんかムジュンした言い方ッスね。
御: <<殺人者>>は、
他にいたということだよ。
今夜、私の部屋に侵入した
人物は2人いたのだ!
糸:ど、どういうことッスか?
御: 2回あらされた本棚と、2つの
拳銃の存在がそれを示している!
ユウキ検事は、スズキさんを
だまして私の執務室に侵入した。

(優木検事「異議あり!」)
優: きめつけは良くないな。
ボクがやった証拠はないはずだろ?
御: フッ。ただ仮定のハナシを
しているだけではないか。
本当にやっていないのならば、
堂々としていたまえ。
優:‥‥クッ!
御: ユウキ検事の目的は、
何かを盗みだすことだった‥‥
だから、隠し金庫を調べ、
本棚をあらした‥‥これが1回目。
糸: このとき‥‥ファイルの順番を
間違えてもどしたッスね。
御: そして、他の場所を
探そうとしたところに‥‥
仲間戸刑事がやってきた。
糸: どうして、仲間戸刑事は
この部屋に来たッスか?
御: もともとは、ユウキ検事の部屋に
用事があって来たのだろう。
そこで‥‥私の部屋から物音が
することに気付いたのかもしれんな。
マ: あ! 出張で留守中の御剣さんの
部屋から物音がしたから‥‥!
糸: フシンに思って
執務室に入ったッスね!
御: そうだ。彼は、刑事として、
正しい行動をした。
マ: でも、そこにいたのは、
ジブンの相棒だった‥‥。
御: 彼は、ユウキ検事の姿を見て
ユダンしたのだろう。
しかし、ユウキ検事は
ヨウシャしなかった。
仲間戸刑事のスキをついて
彼の拳銃をうばうと‥‥!
射殺した。<<ドロボウ>>の瞬間を
見られたことの口封じのために‥‥。
優:‥‥‥‥‥‥‥‥
御: このとき、本棚のファイルに
ついたのが‥‥1つ目の弾痕だ。
そして、拳銃を投げ捨て、
ユウキ検事は逃走した。
ニセのダイイングメッセージを
用意してからな‥‥。
糸: なんてメイワクなヤツッスか!
御: それだけならば、まだ事件は
シンプルなものだった。しかし‥‥
もうひとりの”来訪者”の存在が
さらに事件をフクザツにしたのだ。
優:もうひとりの?
糸:来訪者ッスか?
御: そう。もうひとりの来訪者の
目的もまた<<ドロボウ>>だった。
ユウキ検事が逃走したあと、
執務室のカギは開いたままだった。
しかし、そのことを知らない
もうひとりの来訪者は‥‥
すでに警備員室から
マスターキーを盗みだしていた。
そして、執務室に侵入して
本棚を物色したのだ。
‥‥これが2回目。<<ドロボウ>>は、
目的のものを見つけたようだな。
糸: 盗まれた0号ファイルッスね!
御: 目的のものを手に入れたところに、
今度は、私が帰ってきた。
<<ドロボウ>>は、ジブンの拳銃で
私をおどして逃走した。
このときのイカク射撃で
できたのが、2つ目の弾痕だ。
糸: 本棚をあらしたのも、
2つの弾痕を作ったのも‥‥。
別々の人間が
やったことだったッスね!
御: そのとおりだ。
これで分かっていただけたかな?
私が会ったのは、<<ドロボウ>>
であって、殺人犯ではない!
私が2人目の来訪者に会った時刻の
アリバイなど意味がないのだ‥‥。
なぜならば! 犯行は1人目の
来訪者によって行われたのだから!

(優木検事「異議あり!」)
優:クックックックック。
糸:何がオカシイッスか!
優: さすがだね! その推理ならば、
すべての状況証拠を説明できる‥‥。
糸: 当然ッスよ!
御剣検事の推理ッスからね!
優: でもさ。
あくまで状況証拠だよね。
御:
優: もしも‥‥もしもだよ?
キミの推理が当たってるとしてさ。
たしかに、ボクが主張した
アリバイは意味がなくなる。
でもさ。ケッキョクのところ
証拠がないよね。
ボクがその1人目の”来訪者”
だったという証拠が‥‥さ。
糸: うおおおおお! 御剣検事!
どうなんッスか!
御: ‥‥‥‥たしかに、証拠はない。
マ:そんなあ‥‥。
糸:く、くやしいッス!
優: でもさ。ボクにはフシギだな。
ミツルギ検事が出会った‥‥
<<ドロボウ>>だったっけ?
なんで、そいつを疑わないのさ?
キミの推理が正しいとしても‥‥

(優木検事のアリバイ2)
優: 『ミツルギ検事の会った
<<ドロボウ>>が1番あやしいだろ?』(推理1)
『今すぐ、そいつを探すべきだよ。
まだ近くにいるかもしれない。』(推理2)
『さっきも言ったけど、ボクは自分の
部屋でトレーニングをしていた。』(推理3)
『そこにリョウが来たから、証拠品を
受け取って警察局に向かったんだ。』(推理4)
『そのあとのことは、
よくわからないよ。』(推理5)
御: <<ドロボウ>>を探すべき‥‥か。
優: そうさ。こんなムダな議論を
している場合じゃないよ!
御: いや。私にとっては、
キミのアリバイのほうが興味深い。
続けてくれたまえ。
優:‥‥‥‥‥‥。
御: (ユウキ検事は、ウソをついている。
彼は、必ず現場にいたはずだ。
どうにかして、そのことを
証明しなければ‥‥!)

(「推理4」をゆさぶる)
御: そのとき、リョウ‥‥仲間戸刑事は
一緒に行かなかったのか?
優: ああ。リョウはちょっと疲れたから
仮眠を取るって言ってたな。
廊下にソファがあるだろ。アイツ、
あそこで寝るクセがあってさ。
御: 彼の持ってきた
証拠品というのは?
優: 昨日起きた事件の証拠品でね。
<<拳銃>>と<<ペンダント>>の2つさ。
御: (‥‥フッ。なるほど。この証言、
聞き逃すわけにはいかないな)
優: 『昨日起きた事件の証拠品でね。
<<拳銃>>と<<ペンダント>>の2つさ。』(推理6)

(「推理6」に「被害者の残したメモ」をつきつける)
御: 2つの証拠品か‥‥。
キミは、検事としては”落第”だな。
優:”落第”?
御: ”恥を知れ”ということだよ。
証拠品を、隠そうとするとはな!
優: な、なんだよ。
ボクは、何も隠してなんか‥‥。
御: この証拠品を見てもらおうか。
マ: あッ! ”3つの証拠品”って
書いてあるッスよ!
御: そう。これこそが、被害者から
キミへのメッセージだ。
優: あいつ‥‥! ちくしょうッ!
余計なことを!
御: あと1つの証拠品。
どこにいったのかな!
優:‥‥そ、そんなものは。
御: その顔は‥‥
持っているな。
イトノコギリ刑事!
糸: はいッス!
調べさせてもらうッスよ!
優: な! キサマ!
やめろ‥‥。
糸: これは、捜査のイッカンッス!
キョヒすることはできないッスよ!
優:やめろおおおおおおお!
糸: あッ! これは!
こんなものを持っていたッス!
御: どうやら、それが隠そうとした
証拠品のようだな。
糸: どうして、隠そうとしたッスか!
御: フッ。殺人犯が証拠を隠す理由は
ただひとつ‥‥
それが、自分の犯行を指し示す
決定的な証拠だからだ。
優:‥‥‥‥うぐぐぐ。
御: このビデオテープ‥‥
調べさせてもらうとしよう!
彼は、ビデオテープの
この部分を隠そうとしたのだ!

(「裏側の血痕」を調べる)
糸: あッ!
これ、血痕じゃないッスか!
御: この血痕こそ、
ユウキ検事が隠そうとしたものだ!
この血痕‥‥まだ新しいな。
糸: もしかして、この血!
仲間戸刑事のものじゃないッスか!
優: ‥‥ち、ちちちちち、ちがッ!
ちがッう!
御: フッ。ムダなあがきだな。
血液鑑定をすればわかることだ。
優:うううう‥‥
御: さきほど君は、被害者から
証拠品を受け取ったといったな。
それでは、いつ、どうして
被害者の血痕がつくというのだ?
マ: そうッス! オカシイッス!
御: それは、犯行の瞬間しかない!
仲間戸刑事は、ビデオテープを
もっているときに殺されたのだ!
優: リョウがこのビデオを持っていたか、
証明することはできない!
御: フッ。ビデオについた指紋を
調べればわかることだよ。
優:うがあッ!
御: そのビデオテープを
もっている以上‥‥。
キミこそが仲間戸刑事を
殺害した殺人犯に他ならない!
優: まさか! マサカッ! ボクがッ!
この、ぼ、ボクがッ!
ボクが、がががががががががががが
ががががががががががががががッ!


同日 午前5時47分
上級検事執務室・1202号

糸: 優木 誠人を、仲間戸刑事
殺害容疑でタイホしたッス!
御:うム。
糸: ビデオテープに行った科学捜査の
結果が、決め手になったッス!
あの血痕は、やっぱり
仲間戸刑事のものだったッス。
トドメに、仲間戸刑事の
指紋もちゃんと採取されたッスよ!
マ: 御剣検事殿!
ありがとうございましたッ!
法廷以外で御剣さんの推理が
見られるなんて!
スズキ、カンゲキッス!
御: いや。むしろ私の執務室で
起きた事件に巻き込んでしまった。
申し訳ない‥‥。
マ: これぐらい、スズキにとっては、
たいしたことじゃないッスよ!
空き巣と殺人犯だけですんで、
まだラッキーだったと思うッス!
これで、強盗や誘拐犯まで現れたら、
スズキにはお手上げッスから。
自分も、やっと<<不幸なヒト>>
レベルに近づいてきたッスよ!
御: (‥‥別の警備員をやとった
ほうが安全ではないか?)
糸: しかし‥‥優木検事は、
とんだ悪徳検事だったみたいッスね。
御:悪徳検事だと?
糸: 担当した裁判に不自然なところが
多かったというハナシッス。
証拠品をネツゾウしているという
ウワサもあったみたいッスよ。
御:(証拠品のネツゾウか‥‥)
糸: 理由のアイマイな不起訴も
よくあったらしいッス。
マ: 検事のカザカミにも
おけないヤツッスね!
御: 彼は私の執務室に侵入した
目的を話したのかね?
糸: それが‥‥そのことになると
黙ってしまうッスよ。
御: (何かを盗もうとしていたのは
たしかなのだが‥‥)
糸: ここだけの話ッスけど‥‥。
巨大な”組織”とのツナガリが
ウワサされていたみたいッスね。
御: ”組織”か‥‥。
ユウキ検事が口を割らないのは、
それが関係しているのかもしれんな。
‥‥やはり、事件はカンゼンに
解決したとはいえないようだ。
糸: えッ! 優木検事が
犯人じゃなかったッスか?
御: そうではない。まだナゾが
残っているということだよ。
この証拠品のナゾがまだ
解けていない‥‥。

(「盗まれた0号ファイル」を選択)
御: このファイルを盗んだ人物。
もう一人の侵入者の正体‥‥。
糸: いったいダレが盗んだッスかね?
御: 盗まれたファイルの中身は、
どこに行ったのか?
(私に拳銃をつきつけた人物‥‥。
いったい何者だったのだ?)
鑑:御剣検事殿!
御:なんだね?
鑑: さきほど御剣検事の執務室を
捜査していて、これを発見しました。
御:これは‥‥?
糸: なんッスかね、このカード。
‥‥トリのマークッスか?
御: いや‥‥。
これは、カラスのマークだ。
<<3本足のカラス>>のな。
イトノコギリ刑事、
キミも知っているはずだぞ。
糸: あ! これ! あのちまたを
騒がせた大ドロボウの!
御: そう。これは、大ドロボウ
<<ヤタガラス>>のマークだ。
かつて、世間をさわがせた
1人の”ギゾク”がいた。
正体不明・神出鬼没の
大ドロボウ”ヤタガラス”。
その姿も、目的もナゾだったが、
ヤツのターゲットは、決まっていた。
不正を働いている企業から、
その証拠を盗み出し公開する。
ヤタガラスの犯行は、”静か”に、
そして”カンペキ”に実行される。
どこかの怪盗のように、おおげさな
予告状を出したりはしない。
ターゲットにされた企業は、
侵入されたことにすら気づかない。
ただ、ある日突然マスコミに不正の
証拠が送りつけられてくるのだ。
この1枚のカードとともに‥‥。
ここしばらくは、
現れていなかったはずだが‥‥。
糸: あッ! 御剣検事!
カードの裏側を見るッス!
御:ムッ。これは‥‥。
糸: 御剣検事の部屋の番号と<<証拠品を
確保>>って書かれているッス!
御: (ファイルを盗んでいったのは、
<<ヤタガラス>>だというのか?)
<<ヤタガラス>>‥‥<<組織>>‥‥。
キーワードは集まり始めている。
私の執務室で起きた殺人事件。
大ドロボウ<<ヤタガラス>>の復活。
しかし‥‥。今思えば、
”予兆”はすでに現れていた。
2日前のあの事件から、
すべては始まっていたのだ‥‥。


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