御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
狩魔 冥…水 | |
木之路 いちる…緑 | |
白音 若菜…紫 | |
ジンク・ホワイト…青 |
G−390機内 1Fラウンジ | |
御: | コノミチさん。先ほどは助かった。 |
木: |
‥‥いえ。許可を下したのは、 あくまで機長ですから。 わたくしもまだ、御剣さまのことを 信じているわけではございません。 ご注意くださいませ。 御剣さまの立場が変わったわけでは ないのですから。 |
御: | うム。キモに命じておこう。 |
木: |
先ほど、機長からお達しが ございました。 じきに、この機は 着陸態勢に入ります。 そのときは、すみやかに席に 戻るようにとのことでございます。 |
御: |
(空港着陸までがタイムリミット ということか‥‥ それまでに、ホワイト氏の 目撃証言を崩さねばならない!) ところで、この飛行機のどこかに、 犯人が隠れている可能性は ないのだろうか? |
木: |
それは、ありえませんわ。 お客様に客室に集まって いただいた後、 機内をテッテイ的に 見回りましたから。 ビジネスやエコノミーは、 従業員用のキーを使わないと 移動できないですし‥‥ 各通路に、カードキーの使用記録は ございませんでした。 |
御: |
(つまり、ファーストクラスの 誰かが犯人というのは‥‥ カクジツというわけか。 そして、あの後ここに 近づいたものは‥‥ 誰もいないということになるな) |
1Fラウンジ) | |
御: | それでは、始めるとしようか。 |
木: | 何から始められるおつもりですか? |
御: |
うム。ホワイト氏の主張はこうだ。 事件は午前6時から、 6時15分の間に起こった。 その間、ラウンジにいたのは 私ひとり。 ゆえに、私にしか犯行は行えない。 私が殺していない以上、犯人は どこかにいたはずだ‥‥ |
木: |
御剣さまの言葉を信じるならば、 そうなりますね。 |
御: |
うム‥‥。信じてもらうためにも、 まずは<<情報>>を集めるとしよう。 |
御: |
このエレベータが 移動できる範囲は? |
木: |
1Fと2Fだけでございます。 地下の貨物室も移動できますが、 従業員のカードキーが 必要になります。 |
御: |
(乗客が行けるのは 1Fと2Fのみ、か) |
御: |
(あやしい場所は、 すみずみまで調べるとしよう) |
御: |
これは‥‥なんだろうか? なんともフキツなゾウケイだが。 |
木: |
当社のマスコットキャラクター <<ゴーユーくん>>の貯金箱です。 機内ショップで 売っているものですわ。 限定発売の商品ですので、 もう最後のひとつだったはずです。 |
御: | 機内ショップ‥‥? |
木: |
ええ。ラウンジの先にございます。 今はシャッターを下ろさせて いただいておりますが、 死体が発見されるまでは 開けておりましたわ。 |
御: |
(血痕がついているな‥‥ これが凶器なのだろうか?) |
御: |
よりにもよって エレベータの中に死体とはな。 |
木: |
やはり、 し、死んでいるのでしょうか? |
御: |
うム。 (死体を目の前にして、さすがに ドウヨウしているようだな‥‥) |
木: |
アクビーさま‥‥ 死んでいるならお返事を‥‥ |
御: |
(ドウヨウを とおりこしているようだ。 さて‥‥。 死体の様子は‥‥) 後頭部に血がニジんでいる‥‥ これが死因なのだろうか? よほど強いイキオイで なぐられたのだろうな‥‥ |
御: | メガネも割れている‥‥ |
御: |
(ム‥‥。ポケットから 何か出ているようだな。 シツレイして、ポケットの中身を 調べさせてもらおう) ‥‥‥‥‥‥ん? これは‥‥写真か。 どこかの‥‥建物の中で撮られた 写真の様だな。 |
捜査手帳に記録した。 | |
御: |
(この場所‥‥あの証拠品と 関係があるのか‥‥?) |
御: |
アクビーが持っていたはずの ”マシーン”がないのだ。 |
木: | ‥‥マシーン? |
御: |
コホン‥‥。 いや、携帯電話のことだ。 |
木: |
それがなくなっていると いうことは‥‥ |
御: |
犯人が持ち去った。 そう考えるべきだろう。 |
捜査手帳に記録した。 | |
御: |
エレベータの前に、ぶどう ジュースがこぼれている。 (エアポケットの時に、 こぼれたのだろう) |
木: |
掃除をしなければ なりませんわね‥‥ |
御: | 見つけたぞ‥‥! |
木: |
? どうされたのですか、御剣さま? |
御: |
重要な証拠をみつけたのです。 ここに残されている、 重要な証拠とは? |
木: | これは‥‥ |
御: |
不鮮明ですが、これは足跡だと 考えていいでしょう。 |
木: | これってやっぱり‥‥。 |
御: |
ええ。 おそらくは犯人のものでしょう。 |
木: |
御剣さま! すぐに全員の クツを調べましょう! |
御: |
いや。その必要はありません。 残念ですが、足跡を照合するには、 これは不鮮明すぎます。 |
木: | そうでございますか‥‥。 |
(「凶器のゴーユーくん」と「撲殺」をまとめる) | |
御: |
撲殺死体の横に、血のついた貯金箱。 これはまさしく‥‥。 |
木: |
あ! 御剣さま。わたくし、 気付いてしまいましたわ! |
御: | な、なんだね? |
木: |
ゴーユーくんもケガしています。 ほら、カドのところ! |
御: |
(‥‥‥‥ それがどうかしたのだろうか?) |
木: |
どうですか? 御剣さま。 あやしいですよね! |
御: |
うム‥‥。どうやら、この貯金箱が 凶器のようだな。 |
木: |
やっぱりそうですか。 わたくしも、そうじゃないかと! |
御: | (どういう推理をしたのだ‥‥?) |
捜査手帳に記録した。 | |
御: |
(エアポケットの直前、ラウンジ には私のほかに誰もいなかった。 しかし、もし犯人がエレベータに 同乗していたとするならば‥‥) |
御: | 見つけたぞ‥‥! |
木: |
? どうされたのですか、御剣さま? |
御: |
私以外にもう1人、 この場所にいたのはマチガイない。 |
木: | えッ! ほ、本当ですか? |
御: |
ええ。カンタンなことです。 証拠はこのぶどうジュースの 足跡です。 この足跡が示すことは明白です。 これは、アクビー以外の人物が、 エレベータから降りた証拠だと いえる。 |
木: |
でも‥‥アクビーさま自身の 足跡かもしれませんわ。 |
御: |
よく見てください。 被害者の靴は汚れていない。 |
木: | つまり‥‥ |
御: |
エレベータには、アクビー以外に、 もう1人誰かが乗っていた ということですよ。 |
捜査手帳に記録した。 | |
御: | (うん?) |
ジ: |
■■■■■■! ■■■■■■■■■! |
?: | ■■■■■‥‥■■■■■‥‥ |
ジ: |
あってはならん! あってはならんことじゃぞッ! |
?: | ‥‥‥‥‥‥ |
ジ: |
わかるか? 映画が遅れるということは、 飛行機の到着が遅れることと 同じなんじゃぞっ! |
?: | ええーっと。でも、映画は‥‥ |
ジ: |
ええい! もう良いわ! 時間のムダじゃッ! |
木: |
ホワイトさま。 いかがなさいましたか? 席に着いていていただきたいの ですが‥‥ |
ジ: |
イライラしてしかたがないッ! 座ってなどいられるかッ! どうじゃ、検事! アンタの無実を証明できそうかの? |
御: |
ミスター・ホワイト。 お望みとあらば、すぐにでも。 |
ジ: |
なんじゃとおッ! ワシの目撃証言が おかしいとでもいうのかッ! |
御: |
ギモンの余地があると言って いいだろう。 もう一度詳しく話を聞かせて いただきたい。 |
ジ: | のぞむところじゃッ! |
ジ: |
『ワシは、アクビーがエレベータに 乗るのを見たのじゃ!』(推理1) 『あれは、ワシの懐中時計の針が午前 6時をさしたときのことじゃった!』(推理2) 『ラウンジで死体が発見されたのは、 その15分後なのじゃろ?』(推理3) 『そのときラウンジにいたアンタが 犯人でマチガイない!』(推理4) |
御: |
(ホワイト氏の主張は イッカンしている‥‥ 犯行が行われたと思われる時刻に ラウンジにいたのは私だけ‥‥) |
ジ: |
どうじゃ? ワシの証言。 やぶれるもんなら、やぶってみい! ほれほれ! 早くせい! |
御: |
(なんなのだ、このイラツキは! なんとしてもこの証言を くつがえす!) |
御: |
ミスター・ホワイト。そのとき、 エレベータの中を見ただろうか? |
ジ: | ああ。モチロン、見たとも。 |
御: |
被害者は、1人でエレベータに 乗ったのか? |
ジ: |
そうじゃ! 乗っていたのは、 アイツ1人じゃった! |
御: |
(うム。この発言を、見逃すことは できないな‥‥) |
ジ: |
『乗っていたのは、アイツ1人 じゃった!』(推理5) |
御: | ミスター・ホワイト。 |
ジ: | なんじゃああッ! |
御: |
あなたの証言は、完全にムジュン している! |
ジ: | どういうことじゃッ! |
御: |
エレベータの前を、よく見て いただきたい。 ぶどうジュースがこぼれている。 |
ジ: |
それが、どうしたのじゃ? アンタがこぼしたのかね? |
御: |
いや‥‥。エアポケットの衝撃に よるものだ。 しかしそのことよりも重要なのは、 この足跡だ。 |
ジ: | あ、足跡じゃと! |
御: |
そう。エレベータの中から、 ラウンジへと続くこの足跡‥‥ アクビー以外の何物かが 降りた証拠だと言える! |
ジ: | んぐぐぐぐぐぐぐッ! |
御: |
エレベータには、もう1人 乗っていたはずなのだ! さあ! 正直に話して いただこうか! |
ジ: |
■■■! ‥‥■■■■■■■■■■?! |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
木: | あなた。通訳をしてちょうだい。 |
?: |
えーっと。 ”いや! そんなハズはない!”と 言ってますねー。 |
ジ: |
いや! そんなハズはない! ゼッタイに、1人じゃった! だって、ワシ見たもの! |
御: | ‥‥‥‥‥‥ |
木: |
御剣さま。わたくしには、 ホワイトさまがウソをついている とは思えないのですが‥‥。 |
御: |
(‥‥たしかに、ウソをついている ようには見えない。 どういうことだ、これは?) ミスター・ホワイト。 もう一度詳しく、話を聞かせて もらえないだろうか? |
ジ: | ぬうう! |
ジ: |
『アクビーが席を立ったとき、 ワシはイライラしておった!』(推理1) 『何度も何度も懐中時計を カクニンしていたのじゃ。』(推理2) 『ワシは、席を立ったヤツを なんとなく目で追った。』(推理3) 『ヤツが乗りこんだエレベータの中も はっきりと見た。』(推理4) 『まちがいなく、 他には誰も乗っていなかった!』(推理5) |
木: |
ホワイトさま。 あまり興奮なさいませんよう‥‥。 |
ジ: |
なんじゃッ! キサマもワシの 言うことにモンクがあるのかッ! |
木: |
きゃあッ! めめめ、めっそうもございません! |
御: |
(ウソをついているようには 見えないが‥‥ どこかにムジュンがあるはず‥‥ それを見つけ出すのだ!) |
御: | なぜ、そんなに懐中時計を? |
ジ: |
ありえん! ありえんことが 起こったのじゃ! |
御: |
そういえば、さきほどもそこの CAともめていたようだが‥‥。 |
ジ: |
CAに、映画の上映時間のことで クレームをつけていたところじゃ! ワシの時間を返せ! 金で! ‥‥とな。 |
御: |
(映画? 機内上映のヤツのことか。 たしかスカイマガジンに‥‥ 映画の紹介や、 上映時間が書かれていたな‥‥) |
ジ: |
この飛行機で上映予定だった ”愛と雪国のサンバ”は‥‥ ワシの国では見れない、 海外先行上映の映画じゃった。 ワシは映画が楽しみじゃった! ことあるごとに懐中時計で時間を カクニンしておったんじゃ! ワシは、飛行機に乗るたび、 針を次の到着地に合わせておる。 時刻にマチガイはない! なのに映画の上映が遅れて おったのじゃよ! それも大幅に! |
御: |
その懐中時計の話‥‥ じっくり聞かせていただこう! |
ジ: |
『映画がなかなか始まらず、何度も 懐中時計をカクニンしておった。』(推理6) 『懐中時計の針は、飛行機に乗る たび、次の到着地に合わせておる。』(推理7) |
御: |
ミスター・ホワイト。 先ほど、アナタはこう証言した。 |
ジ: |
『ワシは、飛行機に乗るたび、 針を次の到着地に合わせておる。』 |
御: |
到着地に合わせている。 ということは、 アナタの時計は、到着地の時間に なっている。 |
ジ: |
そうなるな。時計の正確さには 6セントかけてもいいぞ。 |
御: |
‥‥これを見ていただこう。 このスカイマガジンによれば、 飛行機内の時間は、中継地の 時間に合わせられている! 当然、映画のスケジュールも それをもとに計算されている。 コノミチさん! この飛行機の<<中継地>>は‥‥。 |
木: |
当機の<<中継地>>は、 西鳳民国(せいほうみんこく)です。 |
御: |
(西鳳民国か‥‥。 アジアの小国だったな) |
木: |
当機の時計は、<<中継地>>の時間に 合わせておりますので‥‥ 機内時間は常に<<西鳳民国時間>>に 合わせられていますわ! |
ジ: | なんじゃとッ! |
御: |
西鳳民国と到着地の時差は、 およそ3時間‥‥ 調整した時間の分、スケジュールが ズレるのは、アタリマエなのだよ。 |
ジ: | んがっ!? |
御: |
到着地の時間に合わせて いるならば、 時計は3時間進んでいる ことになる。 そうなると、あなたの目撃証言も 変わってくる‥‥ 100万セントかけてもいい。 あなたがアクビーを見たのは、 3時間前の午前3時だったのだ! |
ジ: |
んがががががががががががががが ががががががががががががががっ! 100万セントもおおおおおおおお おおおおおおおおおおおおおおっ! |
御: |
(これで、私のヌレギヌは晴れたと 考えていいだろう‥‥) |
木: |
つまり、犯行時刻の範囲が広く なったということですわね。 |
御: |
そうだ。犯行時刻は、ホワイト氏が 被害者を目撃した午前3時から、 死体が発見された午前6時15分の 間ということになるな。 その間、アクビーは どこにいたのだろうか? |
?: | あのー。ちょっといいですかあ。 |
御: | キミは‥‥? |
白: |
えーっとですねえ。‥‥あッ! CAの白音 若菜 (しらおとわかな)っていいますう。 |
御: | なんだろうか? |
白: |
その時間は、ちょっと ちがうんですよお。 |
木: | どういうことなの、白音さん。 |
白: |
ヒックスさまは、午前5時に 席にいましたよぉ。 |
御: | ? どうして、そんなことが? |
木: |
あ! そうですわ。<<中継地>>で、 <<点呼>>を行いましたもの。 |
御: |
西鳳民国に降りたときのことか‥‥。 たしか給油作業を行ったのだったな。 |
木: |
ええ。<<西鳳民国時間>>で、 午前4時から5時までのことです。 |
御: |
その間、乗客の増減は あったのだろうか? |
木: |
いいえ。 西鳳民国で降りられた方や、新しく 乗ってきたお客様はおりませんわ。 |
御: | 従業員の方は? |
木: |
貨物の搬入はありましたけど、 現にCAふたりともここに おりますから。 |
御: |
(従業員と乗客の出入りは なかった‥‥ そう考えてよさそうだな) |
捜査手帳に記録した。 | |
白: |
わたし、点呼しましたよお。 午前5時の出発のときは‥‥ アクビーさまは まだ客席にいましたわぁ。 |
捜査手帳に記録した。 |