御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
狩魔 冥…水 | |
木之路 いちる…緑 | |
白音 若菜…紫 | |
ジンク・ホワイト…青 |
羽咲空港 | |
御: |
(空港に到着した以上‥‥ あとは警察にまかせるべき なのだろうが、 コノミチさんのことといい、 気になることがある。 なんとか捜査を続けることは できないだろうか‥‥) |
?: | 待っていたわよ、御剣 怜侍。 |
御: |
メイ? キミはアメリカにいると 思っていたが‥‥ |
冥: |
私はどこにでもいるわ。 キタナイ犯罪をたくらむ悪人の いるところにね。 |
御: |
(彼女の名前は狩魔 冥 <<かるまめい>>。 私の師である狩魔 豪の娘であり、 彼女もまた検事である) キミが今回の事件を 担当しているのか? それは心強いことだが‥‥ |
冥: |
余計なオシャベリは無用。 御剣 怜侍‥‥あなたを逮捕するわ。 |
御: | なっ! なにっ!? |
冥: |
ザンネンだわ。 あなたには、ちがうカタチで 引導をわたしたかった。 仮にも、狩魔の教えを受けた ニンゲンが‥‥ 犯罪者になりさがるとは‥‥ 恥をしりなさい! |
御: |
待て! ゴカイだ! 私が殺したのではない! |
冥: |
ゴカイ? 事件の経過は機長からの 無線を通じて聞いてるわ。 あなたは1Fで被害者を 待ちかまえ、なぐりつけた。 |
御: |
メイ。キミは本当に、 私が殺したと思っているのか? |
冥: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ たしかに、まだ私は自らの 手で捜査をしていない。 捜査が終わるまで、 タイホは待ってあげる。 |
御: | うム。そうするべきだろうな。 |
冥: |
あなたに言われるまでもないわ。 狩魔はカンペキをもってよしとする。 ‥‥その信念にしたがったまで! |
御: |
私も私の信念にしたがい、事件を アキラカにしてみせよう。 |
冥: |
‥‥そろそろ行くわ。事件現場を 調査しなければならない。 逃げようとは思わないことね。 |
御: | もとより、そんなつもりはない。 |
冥: | イトノコギリ刑事! |
?: | はいッスゥ! |
冥: | 遅いッ! |
糸: | ひぃっ! |
冥: |
あなたが、この男のことを みはっておくのよ。分かったわね! |
糸: | じ、自分が御剣検事をッスか? |
冥: | 返事は! |
糸: |
ひぃっ! 了解したッスゥゥ! まかせるッス! |
冥: |
御剣 怜侍。 私の捜査のジャマになるようなら、 その時点でタイホさせてもらう。 ‥‥それじゃ。 |
糸: |
おひさしぶりッス、御剣検事どの! お元気そうでうれしいッス! |
御: | うム。 |
糸: |
自分は御剣検事を信じてるッス! なんでも協力させてもらうッス! |
御: |
(メイの考えていることも 気になる。 詳しく話を聞いてみるか‥‥) うム。では、いくつか質問に 答えてもらおう。 |
御: | 初動捜査はどうなっている? |
糸: |
さきほど、死体を運び出して 検死に回したッス! 今は、関係者の話を聞いている ところッス! |
御: |
うム。さすがは、メイだ。 対応がジンソクだな。 |
糸: |
それが‥‥どうも、ちょっと ジンソクすぎるんスよね‥‥。 |
御: | どういうことだ? |
糸: |
は‥‥はっ! 自分はレンラクを受けてすぐ、 めいっぱいトばしてきたッス! なのに現場に到着したら‥‥ すでに狩魔検事が指揮を とっていたッス! そう! まるで、事件が 起きることを知っていて‥‥ 待ちかまえていたみたいに! |
御: |
(たしかに、メイが事件現場に いきなりやってくるのは‥‥ おかしな話だ。 メイが日本にいる理由も ハッキリしない‥‥ なにかウラがあるのか?) |
糸: |
狩魔検事は、1週間ほど前から 検事局に出入りしてるみたいッス。 なんでも、ある事件の手がかりを 追っているとかで‥‥ |
御: | ある事件とは? |
糸: |
トップシークレットらしくて、 自分には相談してもらえないッス。 |
御: |
(トップシークレットで なくとも‥‥ 彼女が刑事に相談することは ゼッタイにないだろうが‥‥ それが、今回の事件にもカンケイ しているのだろうか?) |
糸: |
とりあえずは以上ッス。捜査が 進めばもっと出てくると思うッス。 |
御: |
(まずは関係者の話を‥‥ もう一度聞くことから 始めるとするか) |
G−390機内 2F客席 | |
冥: | あなたが、この飛行機の機長ね。 |
機: |
いかにも。わたしこそが機長だ。 キミは? |
冥: |
狩魔 冥。天才検事よ。事件の話を 聞かせてもらえるかしら? |
白: |
あ〜! 機長さん。ダメですよ〜! わたし以外の女の人と仲良くしちゃ。 わかな、怒っちゃうんだから! |
機: |
な、なな、なにいってるんだい。 ぼくは、わかなちゃんだけだよ〜。 |
御: |
(どうやらあまりソンケイできる ヒトガラではなさそうだな) |
糸: |
機長の話は、 聞かなくていいッスか? |
御: |
ずっと操縦室にいたのだ。 何も知るまい‥‥。 ああいうタイプの証人は、 メイのムチにまかせておくとしよう。 |
機: | うぎゃああああああ! |
G−390機内 1Fラウンジ | |
?: | コラーーーーーッ! |
糸: |
ほおおおおおおおおっ! スミマセンスミマセン スミマセンッス! |
ジ: |
いつまでワシを 足止めさせる気じゃあっ! ワシは犯人のハズなかろうがっ! |
御: | ミスター・ホワイト‥‥ |
ジ: |
おおっ、アンタか! アンタからも足止めはやめろと 言ってやってくれ! ”時ハガネなり”! こんなムダな時間、1秒たりとも 使ってられんのじゃあ! |
御: | 事情聴取がまだ終わってないのか? |
糸: | もう終わってるッス。 |
ジ: |
貨物室の調査が終わってないと、 荷物をカエしてくれんのだっ! |
ジ: |
キサマら、ワシの美術品にキズ ひとつでもつけたら、ユルさんぞ! |
御: | 美術品? |
糸: |
ジンクは商売のために、多くの 美術品を貨物室に積んでるッス。 大きなモノから小さなモノまで 盛りだくさんッス。 |
ジ: |
民族衣装から石像まであらゆる 美術品を取り扱っておる! |
御: |
(民族衣装か。ん? よく見れば、 ホワイト氏のボウシ‥‥ 似ているな‥‥。見せてみるか、 あの”布”を‥‥) |
御: |
ミスター・ホワイト。これを見て いただけないだろうか? |
ジ: |
ん? おお! これは、 <<ボルジニアの布>>ではないか! |
御: |
やはり‥‥。あなたのボウシと 同じものだろうか? |
ジ: |
まさしくその通り! 海外からも 注文があるほど有名な織物じゃぞ! |
情報を書きかえた。 | |
御: |
では、あなたの荷物とは、 コレのことなのか? |
ジ: |
いやいや、今回ワシが運んでいる ものはもっと大きなものじゃよ! そこの刑事! ワシの荷物は いつになったら動かせるんじゃ! |
糸: | 捜査が終わるまで動かせないッス! |
ジ: |
ケーサツというやつは、 ユーズウがキカン! あのCAもずっとCAルームから 出してもらえないようだしのう。 |
御: |
CA‥‥? (コノミチさんのことか?) |
御: |
ミスター・ホワイト。 そのCAは、どうしたのだろうか? |
ジ: |
CAルームで取調べを 受けているようじゃの。 さっきから、 なかなか出てこないのじゃよ! ワシの取調べはすぐに 終わったんじゃがのう! |
御: |
(なぜ、コノミチさんの取調べだけ 長引いているのだ?) |
冥: |
御剣 怜侍。あなた、飛行機内で 好き勝手に捜査していたようね。 |
御: |
うム。CAに協力を要請したのだ。 そのCA‥‥ コノミチさんと話をしたい。 CAルームに入る許可を もらえないだろうか? |
冥: |
フン。その前に‥‥。 まずは、自分にかけられた容疑を 晴らすことね。 |
御: | ‥‥承知した。 |
冥: |
CAたちをうまく言いくるめる ことができたとしても‥‥ 私の目をごまかすことは できないわ。 |
冥: |
『論証は、シンプルに行きましょう。』(推理1) 『犯行現場は、死体が発見された このラウンジ。』(推理2) 『被害者が点呼で目撃されたときから、 死体が発見されるまで‥‥』(推理3) 『ラウンジにはずっと、 御剣 怜侍‥‥あなたがいた!』(推理4) 『最有力容疑者が、あなたなのは マチガイないでしょうね。』(推理5) |
御: |
フッ。 最有力容疑者‥‥か。 |
冥: | 何がオカシイのかしら? |
御: |
キミにしては、 アイマイな表現だな。 |
冥: |
これでも、アナタに 気をつかったつもりなのだけど。 分かってもらえなかったかしら? |
御: |
いらぬ気づかいだ。私の無実は、 すぐに証明されるのだからな。 (なんとしてもこの推理を くつがえす!) |
御: |
どうやら、キミはまだ報告を 受けていないようだな。 |
冥: | 何のことかしら? |
御: |
空港に着く直前のことだ。 私たちは、見つけたのだよ‥‥。 死体が移動させられた 証拠をな。 |
冥: | ‥‥‥‥ |
御: |
犯人は、このスーツケースを使って 死体を運んでいる。 真の犯行現場は、 ラウンジではなかったのだ! |
冥: |
‥‥そう決め付けるには、 まだ早いのではないかしら? |
御: | どういうことだろうか? |
冥: |
スーツケースからは、この布が 発見されただけ。 死体が運ばれたという証拠は ないわ。 犯人が、布の隠し場所として 選んだだけかもしれないわ。 |
御: |
さすがと言ったところか。そう カンタンには納得しないようだな。 |
冥: |
狩魔はカンペキをもってよしとする。 あなたも知っているはずよ。 |
御: |
少なくとも、犯人がスーツケースを 持ち運んでいたことはたしかだ。 |
冥: | そんな証拠があるというの! |
御: |
(犯人がスーツケースを持ち運んで いたことを示す証拠は?) |
冥: |
エレベータ前に、こぼれていた ぶどうジュース‥‥。 |
御: |
そう‥‥。注目するべきなのは、 ココだ。 (犯人がスーツケースを持ち運んで いたことを示す証拠は?) |
御: |
このアト‥‥。スーツケースの 車輪のアトに見えないかね? |
冥: | ! |
御: |
スーツケースの車輪部分には、 ぶどうジュースが付着していた。 あのスーツケースが、 ここを通ったのはマチガイない。 |
冥: |
‥‥‥‥なるほどね。 どうやら、犯人がスーツケースを 運んでいたのは、たしかなようね。 |
御: | 分かってもらえただろうか? |
冥: |
しかし、その犯人が あなたではなかった証拠はないわ! |
冥: |
『あなたは、エアポケットより前に 凶器の貯金箱を用意していたのよ。』(推理1) 『そして、ラウンジで被害者を 待ち伏せて撲殺する。』(推理2) 『死体をスーツケースに入れて、 エレベータに乗ったそのとき‥‥』(推理3) 『エアポケットで、スーツケースから 死体が、飛び出してしまった!』(推理4) 『追いつめられたあなたは、 とっさにスーツケースを元にもどし、』(推理5) 『第一発見者のフリを することにしたんだわ。』(推理6) |
御: |
キミの推理もなかなか悪くない。 短時間で推理したわりには、だがな。 |
冥: | なんですって? |
御: |
フッ。今にわかる‥‥。 キミの推理のアナがな。 (さすがの彼女でも、ドウヨウを かくしきれていない‥‥ ここは一気に たたみかけるとしよう!) |
御: |
証拠品をもとに推理を組み立てる、 キミの法廷戦術‥‥。 見事だと言っていいだろう。 |
冥: |
証拠品とロジック。 法廷に立つものならば、誰でも あやつるものに過ぎないわ。 |
御: |
だが、その証拠品の中にニセモノが まざっているとしたら? |
冥: | ニセモノ‥‥? |
御: |
ゴーユーくん貯金箱‥‥。 その凶器は、ニセモノだ! |
冥: | なんですって! |
御: |
その貯金箱が機内ショップから 持ち出されたのは、 エアポケットよりも後なのだよ。 |
冥: |
しかし! この貯金箱には、 血痕もついているわ! |
御: |
犯人の事後工作だと考えるべき だろうな。 エアポケットのあと、 犯人が行ったことは3つ。 エレベータから降りた犯人は‥‥ まずスーツケースを 機内ショップに置いた。 そして、床に落ちていた 貯金箱を持ち出した。 凶器にみせかけるため、それで 被害者の頭を殴って転がしておく。 さらに、被害者のサイフを 私のポケットに入れた。 すべては、私にぬれぎぬを着せる ために行われたと考えられる! |
冥: | そこの、警官! |
警: | ハッ! |
冥: |
この貯金箱以外で、 凶器と思われるものは? |
警: |
このラウンジと機内ショップでは、 発見されておりません! ほとんどのものは、エアポケット 対策で固定されていますし‥‥ その他の、凶器に使えそうなもの からは血液反応が出ていません! |
冥: |
‥‥‥‥そう。御剣 怜侍。 どうやら命拾いしたようね。 |
糸: |
でも、凶器をどこかに 隠したのかもしれないッスよ。 ヒイイッス! |
冥: |
もっと安全な場所に凶器を隠す 余裕があったのならば‥‥ あの血だらけの<<布>>も一緒に 隠すことができたはずよ。 |
御: |
その通りだ。 あの<<布>>がスーツケースの中に 隠されていたことから、 犯人はそれ以上安全な隠し場所を 用意できなかったと考えられる。 本当の凶器は、いまだに犯人が 持っているか‥‥ 本当の事件現場にあることになるな。 |
冥: | もうひとつの可能性があるわ。 |
御: | なんだと? |
冥: | やはり、その貯金箱が凶器だった。 |
御: | しかし‥‥ |
冥: |
犯人は、エアポケット よりも前に貯金箱を持ち出した。 ちゃんとショーケースのカギを 開けてね‥‥。 ガラスは、そのときにあやまって 割ってしまった。 そう考えることもできるわ。 その人物は、ショーケースのカギを 持っていた。 |
御: |
メイ‥‥。 キミが言おうとしているのは‥‥。 |
冥: |
そして、その人物はすでに ある”罪”をおかしているわ。 機長にだまって‥‥ 御剣 怜侍‥‥あなたに事件の 捜査をさせるという罪をね。 |
御: | ‥‥! |
冥: |
そういえば、あなたも彼女の話を 聞きたがっていたわね。 |
御: | うム‥‥。 |
冥: |
許可するわ。ただし、<<尋問>>には 私も参加させていただく。 よろしいかしら? |
御: |
私は、<<尋問>>を しに行くつもりはない。 だが、同席したいならば、 好きにすればいい。 |
冥: |
彼女がいるのは、CAルーム だったわね。いきましょうか。 |