御剣 怜侍…茶 | |
糸鋸 圭介…黄土 | |
狩魔 冥…水 | |
木之路 いちる…緑 | |
白音 若菜…紫 | |
ジンク・ホワイト…青 |
G−390機内 1F CAルーム | |
冥: |
あなたね。機長の許可も取らずに、 機内の捜査をしたCAというのは! |
木: | ‥‥‥‥ |
冥: |
あなたの行動は、マニュアルから あまりにもイツダツしているわ。 一体、どんな目的があって あんなことをしたのかしら? |
木: | ‥‥わ、わたくしは‥‥ |
御: | コノミチさん‥‥ |
木: | あ。御剣さま! |
御: |
くわしく話を聞かせて もらえないでしょうか。 |
木: | ‥‥‥‥わかりましたわ。 |
御: |
どうして、機長の許可が出たなんて ウソをついたのですか? |
木: |
‥‥‥‥‥‥‥‥ わたくしでは、きっと機長の 許可を取るなんてムリでしたわ。 |
御: | どういうことですか? |
木: |
機長は、いつも白音さんの話しか 聞きませんから‥‥ |
冥: |
機長からは、さっき話を聞いたわ。 ずいぶん、あのCAのことを 気に入ってるみたいね。 |
木: |
それに‥‥ わたくし、カンチガイで御剣さまを 犯人だと疑ってしまった。 そのツグナイをしたかったんです。 |
御: |
そのことについては、 お礼を言わせていただきたい。 あなたのおかげで、私は容疑者では なくなることができた。 |
木: |
本当ですか! 御剣さまは、もうヌレギヌを 晴らすことができたんですね。 良かった‥‥ |
冥: |
木之路さんだったわね。 ‥‥もうひとつ聞かせて もらえるかしら。 あなたは、エアポケットの前に 機内ショップに行っている。 そうね? |
木: | はい。 |
冥: | 何をしに行ったのかしら? |
木: | それは‥‥ |
御: |
(ん? どうしたのだ? 急に様子が変わったような‥‥) |
木: |
機内ショップには、ただ様子を 見に行っただけでございますわ。 |
冥: | 仕事だったということかしら。 |
木: |
ええ。あそこは わたくしの担当ですし、 仕事以外の用事はないですから。 |
冥: |
そのあと、CAルームにも 立ち寄っているわね。 |
木: |
CAルームは、ちょっとお化粧を 直しに行っただけで‥‥。 お話するようなことは、何も ないんですよ。すいません‥‥ |
御: |
(機内ショップには、仕事以外の 用事はない‥‥ はたしてそうだろうか? アレについて話を聞いてみるか) |
御: |
コノミチさん。 コレを見てください。 |
木: |
あ。 そのスーツケースは‥‥! |
御: |
このスーツケースはあなたが デザインしたものだそうですね。 あなたが、機内ショップに 足を運んだ理由。 私には、 分かるような気がします。 |
木: |
‥‥‥‥あなたの前では、隠し事は できないみたいですね。 |
御: | 聞かせていただけるでしょうか。 |
木: |
はい。私、自分のデザインした スーツケースの売上が‥‥ 気になって気になって! ああ! 接客のプロとして そんなことではいけないのに、 こっそり様子を見に! あのひとつが、最後の売れ残り でしたから‥‥! |
御: |
! (最後の‥‥だと?) |
御: |
コノミチさん。そのスーツケース、 今、最後のひとつと言いましたか? |
木: |
ええ。もう大人気で、飛ぶように 売れておりまして! |
御: |
(どうも、聞いた話と ちがうようだ‥‥) |
木: |
機内ショップにあるのが、 最後のひとつですわ! |
御: |
先ほど、そのスーツケースを ハイケンさせてもらいました。 |
木: |
そうですか! お買い上げ ありがとうございます! |
御: | いや、まだ買うとは言っていない。 |
木: | 言ってください! |
御: | そ、それは‥‥ことわる。 |
木: |
そ‥‥そんな! なぜですか! きっと御剣さまに お似合いだと思います! 接客のプロとして、 保証いたしますわ! |
御: |
むぅ。あれは、そう。なんというか。 ‥‥悪趣味だ。 |
木: | いっ‥‥イヤァァァッ! |
御: |
(うム。少し言い過ぎたか) しかし、問題は、 あのデザインではない。その数だ。 |
木: | 数ですか? |
御: |
機内ショップのスーツケースは、 2つあった。 |
木: |
2つ? そんな‥‥。オカシイです! たしかに残りは ひとつだったハズ‥‥。 |
冥: |
どうやら、彼女の言っていることは ムジュンしているようね。 |
木: |
機内ショップに行ったとき、 スーツケースは‥‥ たしかに、あとひとつしか残って いませんでしたわ! |
御: |
(どういうことだ? なぜ、 こんなムジュンが起こる? ん?) コノミチさん。 ところで‥‥ ここにあるスーツケースは なんだろうか? |
木: | そ、それは‥‥ |
御: |
スーツケースは、 残りひとつだったのでは? |
木: |
そ、そのスーツケースは‥‥ 私が、ずっと前から 使っているものですわ。 |
御: |
(ずっと使っていたもの‥‥か) コノミチさん。やはりあなたは、 ウソをついている。 |
木: | えっ? |
御: |
あなたが、このスーツケースを ずっと使っていたはずがない! (ずっと前から使われているもの ではないことを示すのは?) |
御: |
あなたは、値札も取らずに スーツケースを使うのですか? |
木: | あっ! |
冥: |
これは、どういうことなの? なぜ、そんなウソを? |
木: | ‥‥‥‥ |
御: |
(自分のセンスが認められたと 思ったのに、 結果が出なかったというのは あわれだが‥‥ 真実を明らかにするには、 いたしかたあるまい) コノミチさん。 私には分かりましたよ。 あなたの隠そうとしていることが。 このスーツケースがもともと 置かれていたのは‥‥ |
御: |
値札が示すように、この スーツケースはついさっきまで‥‥ 機内ショップで売られていたと 考えられる。 そして、このスーツケースを 買ったのは‥‥ |
御: |
木之路 いちるさん。 あなたですね。 あなたがデザインした このスーツケース‥‥ お気の毒ですが、あまり売れては いないようですね。 |
木: | ‥‥‥‥ |
御: |
あなたは、自分のデザインした スーツケースが売れないことに、 ココロをいためていた。 だから、自分の手で買って、 在庫を減らしたかった。 そんなところではないでしょうか? |
冥: |
じゃあ、あのとき機内ショップと CAルームに行ったのは‥‥ |
木: |
ごめんなさいッ! 私‥‥自分のデザインが採用された ときは、本当にうれしかった‥‥ 私、仕事しかとりえがなくって‥‥ こんな私でも‥‥ できることがあったんだって‥‥ |
御: |
しかし、スーツケースは 売れなかった。 |
木: |
私のデザインが 悪かったのですね‥‥ |
御: |
(売る場所も、 悪かったと思うが‥‥) |
木: |
ひとつも売れずに機内ショップで ホコリをかぶっている‥‥ スーツケースがフビンで しょうがなくて。 フライトのたびに、ひとつずつ 買っていたのです。 |
御: | フライトのたびに、毎回ですか。 |
冥: |
それで、今日もひとつ買いに行った というわけね。 |
木: |
はい。これがそのときの レシートですわ。 |
御: |
(む。たしかに、午前5時40分に 購入したと記録されている) |
捜査手帳に記録した。 | |
木: |
じつは在庫がたまっていて。 今日のフライトが終わったら、 処分される予定なんです。 |
御: |
コノミチさん。 その在庫はどこに? |
木: |
あとは、<<貨物室>>に在庫が いくつかあるはずです。 |
冥: |
では、犯人が使用した スーツケースは‥‥ |
御: |
<<貨物室>>から 来たと考えられる。 |
木: |
あの! 御剣さま。犯人が、 スーツケースを? |
御: |
ええ。犯人は、あなたの デザインしたスーツケースで‥‥ 死体を運んだのです。 |
木: |
そんな! ヒドイ! あのスーツケースは、お客様の おともとして世界を巡る。 ただ、それだけの祈りをこめた モノなのに! |
御: |
コノミチさん。エレベータを使う 以外に、貨物室に行く方法は? |
木: |
あとは、そちらのドアが貨物室に 続いていますわ。 |
御: | カギは? |
木: |
そのドアには、特にカギは かけていませんわ。 CAルームに入るのには、 スタッフの持っている <<カードキー>>が必要ですけれど。 |
御: |
それならば、犯人はCAルームに 入れた人物‥‥ すなわち乗客ではなく 従業員、ということになるな。 |
木: | そ、そんな‥‥。 |
御: | どうしたのだ、メイ? |
冥: |
見苦しい。聞くにたえない イツワリのコトバばかり‥‥ |
御: | どういうことだ? |
冥: |
スーツケースは、 <<貨物室>>から来た。 そのことが、 すべてを物語っているわ。 |
御: |
ああ。だから、犯人は <<カードキー>>を使える従業員‥‥ |
冥: |
御剣 怜侍! 犯人は、<<貨物室>>から エレベータに乗った。そうね? |
御: | うム。そう考えるべきだろうな。 |
冥: |
もう一人のCA‥‥ 白音と言ったかしら。 彼女からすでに聞いているわ。 |
御: | (白音さんからだと?) |
冥: |
<<貨物室>>にエレベータを 下ろすには‥‥ <<もう一枚のカードキー>>が 必要なの。 |
御: | もう一枚のだと? |
冥: |
そう。そして、そのカードを 持っているのは、たった一人‥‥ 木之路 いちるッ! アナタだけなのよ! |
木: | きゃあああああああ! |
御: |
な、なんだとッ! 本当ですか? コノミチさん! |
木: |
は、はい‥‥。<<カードキー>>は、 私のロッカーに保管していますわ。 |
御: |
そのカード、 見せていただけるだろうか? |
木: | は、はい‥‥ |
木: | えッ! そんな! |
御: | どうしたのだ? |
木: |
カードが、<<カードキー>>が ないんです! |
冥: |
なるほどね‥‥。やるじゃない。 カードキーを隠すことで、誰かに 盗まれたかのようにみせる‥‥。 考えたものだわ。 |
木: | ち、ちがいますッ! |
冥: |
詳しい話は、取り調べでするのね。 連れて行きなさい! |
警: | ハッ! |
木: | み、御剣さ‥‥ま‥‥。 |
御: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
冥: |
どうしたのかしら? 納得できないという顔ね。 |
御: |
メイ。たしかに、捜査の指揮権は キミにある。しかし‥‥ |
冥: |
待って! ムダ話はそこまでにして もらえるかしら。 |
御: | ! |
冥: |
あなたにも分かっているはず。 証拠なきもののコトバには、 何のチカラもない。 たとえ、ここが法廷でなくてもね。 |
御: | ‥‥‥‥‥‥‥‥ |
冥: |
私はこれから<<貨物室>>を 調べるわ。 御剣 怜侍。 あなたはどうする? |
御: | ‥‥同行させてもらおう。 |